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きまぐれな日々

昨日、本屋で写真週刊誌(どこだったか忘れた)の見出しが目に入ったのでページをめくってみると、小沢一郎が昨年暮の衆院選で供託金没収の惨敗を喫した姫井由美子のパーティーに出たり、亀井静香がカラオケで何やら歌ったり、菅直人が東京・三鷹に建てた4LDKのエコ仕様だか何だかの新居の前でニヤニヤしたりするなどの冴えない様子が報じられていた。姫井由美子のパーティーには大新聞の「小沢番」が遅刻して現れ、なぜかスポーツ紙の記者がいたが、最近女子柔道のパワハラ問題で悪評ふんぷんの谷亮子が来るのではないかと期待したからだとか。結局谷は現れなかったそうだが。

写真週刊誌は、この3人の政治家を「セミリタイア」と形容していたが、3人が政権交代の失敗の責任を感じている様子はなさそうだ。

彼らのていたらくもあってかどうか、第2次安倍内閣に対する批判の言論に全く力がない。朝日新聞を日々眺めても、紙面が死んでいる。安倍晋三を批判する側のネット言論も不活発だ。「小沢信者」たちの「不正選挙キャンペーン」は当の「生活の党」にさえ相手にされておらず(当たり前だ)、連中は意気阻喪しているし、そんな狂信的な連中とは違う、まともな政権批判者でも、日本維新の会の分裂や、定数是正がなされないまま行われた衆院選が無効になることなどに空しい期待をしていたりする。だが、日本維新の会の騒ぎは、単に自分たちから注目を逸らさせないためのプロレスに過ぎないし、再投票などあり得ない衆院選の再投票が万一あったところで、自民党の議席がますます増え、民主党と生活の党は壊滅の度を増すだけだろう。菅直人や亀井静香は落選するだろうし、「生活の党」で残るのは小沢一郎ただ1人ではないか。いや、小沢の当選さえ危ういかもしれない。

先日、安倍晋三が施政方針演説で貝原益軒を引き合いに出した。貝原益軒と言えば私など真っ先に「女大学」を連想する。「女大学」は貝原益軒の自著ではなく、貝原の『和俗童子訓』を元に作られたものらしいが、「女は陰性也、陰は夜にて暗し、故に女は男に比るに愚にて目前なる然るべきことをも知らず」などと書かれており、儒教道徳で女性を縛る思想に基づいている。そんなことを思い出さずにはいられない貝原益軒を引き合いに出すなど、第1次安倍内閣の時代だったらそれだけで安倍は猛烈な批判を浴びただろう。だが今はそうではない。

また安倍は、「一身独立して一国独立する」という福沢諭吉の言葉を持ち出した。これを産経は、「首相は福沢諭吉の言葉を引用して自立した個人が互いに助け合うことこそ真の『共助』『公助』だと訴えた」と評しているが、安倍は福沢諭吉の言葉を換骨奪胎している。ひどいものだ。これではまるで小泉純一郎の言葉ではないか。

福沢諭吉が嘆いたのは、日本人の「お上」に対する依存心の強さである。それは現在でも根強い。だから小泉内閣から第1次安倍内閣時代に、格差や貧困が大きな社会問題になって、自民党の支持率が大きく低下した時にも、「剛腕」と称された「何とかしてくれそうな」小沢一郎にすがる人間が多数発生した。私に言わせれば、「政権交代」を望んでいた人たちの小沢一郎に対する依存心の強さが政権交代を失敗させたようなものである。昨今の橋下徹の異常人気も同じ心理規制によるものだろう。

そして、前述の貝原益軒を引き合いに出したことや、相も変わらず「教育改革」とやらで権力に隷従する人民づくりに精を出す安倍晋三の政治思想は、福沢諭吉とは真逆の方向性を持っていると言っても過言ではない。

安倍の「著書」であるらしい『美しい国』を、前回政権時代に私は「読まずに批判する」ことを実践したが、その改訂版であるらしい『新しい国』もまた、読まずに批判する。ネットで得られた情報によると、安倍はこんなことを書いているらしい。

自立自助を基本とし、不幸にして誰かが病に倒れれば、村の人たちみんなでこれを助ける。これが日本古来の社会保障であり、日本人のDNAに組み込まれているものです。


 アホか!!!!!

「DNA」という言葉をみだりに用いる人間を私は信用しないが、安倍晋三はそれ以前の問題外である。「アベノミクス」とやらは、財政出動と金融緩和とインフレターゲットの組み合わせであり、積極財政という点ではフリードマンではなくケインズ流の政策なのだろうが、何度も書くように税金の使い方が間違っている。安倍が社会保障を切りまくろうとしていることは疑う余地はない。現に安倍は生活保障の水準を切り下げる。上記『新しい国』の引用文は、そんな安倍の逃げ口上である。「国土強靱化」の政策は、人口が増加している国であれば効果があるかもしれないが、人口が減っている状態においては、社会保障費の割合を増やしていく政策をとるほかない。第2次安倍内閣の経済政策は、やはり日本を谷底に突き落とそうとするもの以外の何物でもあるまい。

だが、最初の方にも書いたように、そんな安倍を批判する言論に、全く力がない。ふと思い出したのは、昨年読んで感銘を受けた坂野潤治著『日本近代史』である。著者は、この本のあとがきに、「2011年3月11日は、(敗戦した1945年8月15日より)日中戦争が勃発した1937年7月7日の方に近く見える」と書いた。そして、「これ(1937年)以後の八年間は、異議申立てをする政党、官僚、財界、労働界、言論界、学界がどこにも存在しない、まさに『崩壊の時代』であった。異議を唱えるものが絶えはてた『崩壊の時代』を描く能力は、筆者にはない」という言葉で長い『日本近代史』の記述が締めくくられている。

昨年暮の衆院選の結果、「異議申立てをする政党、官僚、財界、労働界、言論界、学界」が、どこにも存在しないとまでは言わないけれども、影響力を決定的に失ったといえるのではないか。

現在はまだ村上春樹の訴えに中国の作家や人々が反応したり、榊原英資の言葉を借りれば「日中の経済統合が進」んだりしている。しかし、そんな文化や経済のつながりは戦争を防ぐ抑止力には全くならないことは、歴史が教えるところである。戦争を防ぐのは、正しい歴史認識だと思うが、現在の日本の最高権力者は、歴然とした「歴史修正(というより歴史改竄)主義者」である。そして、そんな権力者に対する批判に、全く力がない。ここまで危機的な状況なのに、何の危機感も持たない人間があまりにも多すぎる。

今回もまた、暗澹とした気分のまま文章を締めくくるしかない。
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危機感がないんじゃなくて、みんな空気を読んでいるのでしょう。こういう時代ですからいつまでも憲法改正反対ってわけにもいかないし、君が代も歌ってみれば悪くないし、中国いやシナは危険だし、普天間は返還したほうがいいし、etc etc etc.

かくしてワイマール共和国は崩壊しつつある、いや崩壊した。現代日本人にとって戦後憲法のリベラリズムは単なる情念だった。気分次第でリセット。もう死んでいる。

2013.03.04 11:27 URL | 野次馬 #mQop/nM. [ 編集 ]

私は私で、安倍の経済政策の間違いも、歴史認識の問題点も、拙ブログ…
http://blue.ap.teacup.com/nozomi/
…では展開してますが(更新頻度はさておくとしても…苦笑)、本当に自分自身には力(社会的な影響力)が無く、まだまだ勉強不足である事に、付託された世代的な責任に比して、暗澹とする思いです。(苦笑)

2013.03.04 12:56 URL | 伊賀篤 #Xk9Ues7M [ 編集 ]

>>日本人の「お上」に対する依存心の強さ

佐高信氏が小泉政権誕生以前に「さらば観客民主主義」を主張し、その代替として参加民主主義とか言っていたんですけど、寧ろ参加民主主義が日本人全体を翼賛的な方向に向かわせた気がしますね。板野氏の著作や加藤陽子氏など昭和戦前の社会運動とか見ていると、当初は社会改良を目指した革新運動が結果として(改良を「政策実現」するために)全体主義に進んで参加してしまうってのが結構デフォだった訳で。しかも抵抗ばかりか傍観でさえも「無責任」として非難されたのが、あの時代だった訳ですよ(かつての無産派ですら協力的だったのですから)。内田百閒の様な存在が寧ろ貴重だったのですし。

>>そんな文化や経済のつながりは戦争を防ぐ抑止力には全くならないことは、歴史が教えるところ

日中の経済統合が進んでいる・経済的交流が進んでいる・民間レベルで交流があるからってことが、戦争を起こす抑止力にすらならないってのは案外認識されていませんよね。第一次世界大戦直前には仏独・英独間の人やモノの交流は結構あったし、両大戦間にも仏独間での民間交流が結構盛んだったりした訳ですし(しかも、それに携わった面々が後のナチス体制で侵略の先兵や対独協力派になっている!)。

気がかりなのは、既に中国や韓国・周辺アジア諸国ですら日本と和解するどころか、突き放して余所者扱いにしつつあるってことですね。TPPについても中国や韓国が反発する訳じゃなくて、寧ろアメリカに引き取って貰えば厄介者を抑え付けてくれるだけマシ、って姿勢が見えてきますし。「自主路線」を呼号する連中には苦々しいかも知れませんが、「歴史修正主義」に鉄槌を下すのはアメリカの可能性が大きいと思います。

2013.03.04 12:58 URL | 杉山真大 #- [ 編集 ]

自社さ政権ができて、旧社会党が支持を失った1994年6月30日以降、事実上、日本に新自由主義を批判する政治勢力は無視可能な程度の存在となり、ライトな翼賛体制に突入していますよ。

新進党も民主党も新自由主義ですし、新進党は完全に自民と同根の保守、民主も1998年4月27日に旧新進党分裂組が加わって以降は、自民と同根の保守勢力の力が非常に強まり、保守化=第二自民化しています。

かつて大橋巨泉は議員辞職会見で民主党の事を「自民党から出馬できない保守主義者の巣窟になっている」と評した事がありましたが、2001年の時点で、既に民主党は第二自民党化していたわけです。

自民党と第二自民党(新進党、民主党)による二大政党制が、1994年12月10日の新進党結党以降ずっと続いているわけで、ライトな翼賛体制に突入してから20年近く経っています。

数少ない議会内左派である社民党や共産党が2003年11月9日の衆院選で完全にミニ政党化して以降、マスコミから左派の言動が殆ど聞かれなくなりました。

以降、自民党の保守主義、保守政治を根本から批判し、非難する左派的な言説というのは、事実上消滅状態に追い込まれ、自民党以外の選択肢のない翼賛体制が確立されました。

労働界に異議申立てできたなら、ここまで非正規雇用の比率は高まっていませんし、労働環境が悪化したり、ブラック企業が大手を振って存在していません。

言論界、学界に異議申立てできたなら、南京事件や慰安婦問題の否定といった歴史修正主義の台頭も、右派的言動以外を容認しない過剰な右傾化も生じていません。

労働界、言論界、学界の影響力なんて、10年以上も前に失われていますよ。

KOJITAKENさんは気づくのが遅すぎます。

2013.03.04 22:10 URL | 気づくのが遅すぎませんか? #- [ 編集 ]

安倍に対する批判が盛り上がらないことには、ひとつに安倍がまだ大きな失策をしていないからでしょう。大きな功績も残していませんが、勝手に円は下がり株が高くなって、国民はアベノミクスが功を奏していると思い込んでいます。

第二次政権になってから安倍はその極右的体質を表に出さないようにしています。今後、例えば以前の稲田のように「ニートを徴農しろ!」などの暴論を吐けば、安倍政権に対する批判も出てくるでしょうが、今の新自由主義発言の数々はむしろ多くの人の共感を得ているように思えます。
マスコミは稀有な生活保護の不正受給例を過剰に取り上げて報道し、「生活保護を申請しにくい社会」への誘導に成功していますし、TPPに関しては世論調査では国民の6割が参加賛成です。

kojitakenさんの苛立ちもわかりますし、私も安倍政権の本当に目指しているところを考えると危険も感じるのですが、今の日本でソシリべなど蚊ほどの力も持っていません。いやそもそも戦後日本で社民主義というのがまともに提唱されたことがあったのでしょうか?

本来なら歴史修正主義など思想の左右の問題ではないはずです。
問題は社会体制の構築なのですが、結局日本は戦後ずっと自己責任論に終始してきたのではないでしょうか。

小野市の生活保護の問題ですが、私は80年代頃だったと思いますが、骨髄移植を受けた人が酒を飲んでいたのを叩いていた報道を思い出しました。「移植を受けた人は一生写経でもして生きていかねばならないのか?」という反論があったのを覚えています。
あの頃と今、政党名や政権が代わっても、結局日本人の体質は何も変わっていないように思えます。

2013.03.04 23:13 URL | 飛び入りの凡人 #mQop/nM. [ 編集 ]

これからの阿部首相の政策の論点というか注意点を考えました。

一、足場はどこか
つまりどの国勢調査を資料を基に政策を煮詰めようとしているのかです。
本来ある程度方向性をきめて調査や資料集めに奔走しているべきですが…。マスコミは年末の国家公務員の仕事に関して調査するべき。

二、実証研究された財政政策か。
足場の調査と関連していますが、無駄な税金と利益団体への偏った政策に成らないよう。実証された政策または検証できる科学的な政策かどうか注意です。
この件に関しては阿部はもうマイナスです。三十人学級を取りやめたからです。あれは海外、国内で実証研究されて効果が云われているはずです。教職員の発言増員を恐れているのでしょうか、全く学力向上の真逆。酷い!

三、成長の方向性
成長戦略は実証研究された昔の政策をやればいいわけではなく、経済基盤や産業構造が既に変化しているため。
成長の方向性がポイントになるかと思います。
例えば福祉関係のパイを増やすとか、金持ち優遇で金融業緩和とか。

危ないのは、インフレ後の金利上昇による金融業の借金増加による倒産、加えて円安により買収される安いことです。また倒産しなくてもマスコミによる借金バッシング・TPPによる民営化です。サッチャーはこれで英国国内金融を潰しました。
日本は大量の貯蓄額があり多国籍企業の保険業、金融業に取っては狙い目です。
インフレや円安目指しているのにm&a強化という矛盾を言っている自民党に危険を感じます。言うなら防御策だろうと。
今後バーゼル条約も注意する必要性が出るかもしれません。自己資本率が高い日本の銀行は外国の狙い目ですから。

2013.03.05 21:11 URL | 基礎固め 論点 #z2MDYNRI [ 編集 ]

kojitaken様。

少々保守系のブログですが、安倍晋三を批判するブログを発見。

◎真実の政治家(保守派通信)
http://d.hatena.ne.jp/shinjitunoseijika/

◎WJFプロジェクト
http://wondrousjapanforever.cocolog-nifty.com/

※ 大体、前者は民主右派支持者、後者は反米保守派のブログ。

2013.03.07 20:35 URL | Windows #UqHsDmbQ [ 編集 ]

安倍晋三を排除して政界再編を目指すスレッド(2ch掲示板)

◎維新民主連立で石原首相誕生か
http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/giin/1353294198/
(自民 vs 維新・民主)

◎【石原伸晃】安倍無し保守政党を結成しろ【石破茂】
http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/giin/1349336743/
(安倍晋三 vs 石原伸晃・石破茂)

◎反小泉純一郎・反野田聖子・親平沼赳夫・親高市早苗
http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/giin/1293798231/
(小沢一郎・小泉純一郎・安倍晋三・田中眞紀子・野田聖子 vs 亀井静香・平沼赳夫・小池百合子・高市早苗・前原誠司)

※ 数を集めるため、わがまま言ってられない。基本的に保守左派(石原慎太郎・石原伸晃・亀井静香等)を最大限に活用し、橋下徹・石破茂・小池百合子等の経済軸を左に寄せよ。

2013.03.07 20:35 URL | Windows #UqHsDmbQ [ 編集 ]

番外編:今後、期待する政党。

◎◆みどりの風 Part1◆
http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/giin/1352976981/

※ 衆議院新党・参議院新党・党議拘束無し、この3条件が重なれば!!!!!



以上、安倍晋三批判の参考までに。

2013.03.07 20:35 URL | Windows #UqHsDmbQ [ 編集 ]

>#UqHsDmbQ氏

その、みどりの風は事もあろうにみんなの党と選挙協力した訳だが。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130306-OYT1T00248.htm

2013.03.08 16:26 URL | 杉山真大 #- [ 編集 ]

2ch貼られているかたは、論点というか定義ズレしていないでしょうか。

まず石原二人橋本は経済左派ですか?違うと思いますが。
安倍と石破のなにと何を対立軸しているのかまとめいただいた方がここでは有意義かと思います。

またそれによって互いの文章力を止揚していけていいのではないでしょうか。

2013.03.08 20:51 URL | 基礎固め 論点 #sK7dvhWA [ 編集 ]

「アベノミクス」は「公共事業」の部分を除けば、とりあえず第一段階は成功したと評価できるのではないか。問題は、それをやったのがアベだということくらいだ。
アベの政策の成功した部分は、ただの円安政策だ。これまでは、kojitakenさんの嫌いなリフレ派くらいしか大規模な金融緩和を主張してこなかった。
個人的には円安政策が重要だとずっと考えていたが、まさか金融緩和がこれほど劇的な効果を挙げると思わなかった。
市場の動きを読みきれなかったエコノミストは反省してほしいし、学んでほしい。
恐らく、円が過大評価されているという認識が市場には潜在していたのだろう。しかも安倍首相は必ずしも知性に優れていると思われていないので、無思慮に大胆なことをすると考えられた。投機筋が仕掛けて見事に動きが反転してしまった。
現状の円安と株高はいいこと尽くめだ。生産拠点の海外移転の動きは一時的に止まるだろうし、何よりも輸出産業が復活することが大きい。
農業を自動車の犠牲にするな、とか、日本は貿易がGDPに占める割合が少ない、とか、およそ経済の分らないたわ言を抜かす奴がいるが、日本に富をもたらしているのは唯一輸出産業である。生産性の低い業種が景気を良くすることはあり得ない。農業保護をどのように考えるかとは別論なのである。
企業のBSは改善するし、株高は消費の拡大に寄与すると想像している。カネのある奴が株をやるし、あぶく銭は使いやすい。所得増以上に消費にいい影響をもたらすのではないか。

この先、給与の引き上げを「リベラル」の諸君は期待するだろうが、それは消費の増加にはつながるかもしれないが、長期的にいい影響はないと思う。
ビジネスにたずさわる者としていえば、日本人の給与水準がこれ以上上がることはプラスにならないと思うからだ。この話は長くなるので割愛するが、日本人にとって厳しい時代は続くと思う。
それよりも雇用の拡大と非正規社員の正規化、それと女性の働く環境を整備することを企業には求めたい。
この辺のことを言い出すと切りがないので、本論に戻りたい。

今回のことでいくつか重要な点があると思う。
まず、なぜ民主党が有効な経済政策を打てなかったかである。
大きいのは前原などと小沢一派の経済政策に対する考え方が全く違い、両者が拮抗してしまったことであるが、もう一つは誤った政治主導である。
政治主導か官僚主導かなどと議論されるが、憲法に則れば、政治主導しか日本にはない。
どちらか選択できるなどと間違っても考えてはいけない。
民主主義では政治主導が唯一の道だが、「リベラル」は民主主義をどこか嫌っているところがあるので選択できるように考えてしまうのだ。
そして、政治主導は必ずしも政治家が政策を考えることではないことも正しい。
皆さんの大好きな小泉元首相が優れていたのは、経済政策の理念だけを決めて、具体策を学者の竹中に任せたことである。
民主党幹部は秀才が多かったので、自分たちは経済が分ると考えてしまったことがまずかった。だから官僚にいいようにやられたのである(菅元首相も、官僚と無関係に、直感的にやったことには結構いいことがあるのである)。
アベの背後には必ず専門家がいるはずである。今後、政治主導を目指す政党や政治家は専門家をスタッフに加え公的な役職につけるべきだと思う。

しかし、kojitakenさんの好むような、リベラルっぽい学者は不要である。彼らはエコノミストではなく、経済現象を自分の教義に合わせて解釈するだけの宗教家だからだ。
心の平安を求めるのならともかく、経済政策を彼らに求めるのは間違っている。彼らには現実の有効な処方箋を作ることはできない。
今後も、政府が事業主体となるような形で雇用の増加を図ることは、結局、雇用全体を大きく悪化させるので反対だ。政府は再分配、そして市場の機能が働きにくい福祉分野に活動を限定させるべきである。もちろん成長分野に対する成長戦略は歓迎するが、そのさじ加減は難しい。公共事業が復活している中、もう一度「民でできることは民に任せる」ということを想起したい。

2013.03.09 08:45 URL | greenstone #- [ 編集 ]

greenstoneさんへ

>そして、政治主導は必ずしも政治家が政策を考えることではないことも
>正しい。
>皆さんの大好きな小泉元首相が優れていたのは、経済政策の理念だけを
>決めて、具体策を学者の竹中に任せたことである。

まさか小泉改革を未だに支持してるネオリベなんですか?

>しかし、kojitakenさんの好むような、リベラルっぽい学者は不要である
>彼らはエコノミストではなく、経済現象を自分の教義に合わせて
>解釈するだけの宗教家だからだ。

これをやったのは新自由主義系の経済学者ですよね。

リベラル派に宗教がどうのという中傷を仕掛けてくる人士と言えば、日本会議系、親米右翼系、統一協会系(勝共連合)とかですが、greenstoneさんってそっち系の人なんですか?

仮に違うのであれば、このようなそちら系の如何わしい人士と誤解されるような中傷は控えるべきですね。

2013.03.09 12:51 URL | ?????? #- [ 編集 ]

greenstoneさんの意見に、
「元リベラル」の典型を見た気がしました。
こういう意見の人って今の大阪、とりわけ大阪市民にいっぱい居そうな気がします。

2013.03.09 22:39 URL | 元大阪府民からの伝言 #- [ 編集 ]

財政出動と金融政策の二本立てで臨んだ安倍の経済政策は、正攻法でまっとうなものだと私は思います。
単なる円安誘導ではないでしょう。
まあ現状を見る限りそう見えるのも無理はありませんが。
民主党ですが、彼らは経済政策には関心が薄く、「民のことは民に任せる」態度に終始していたと感じます。
無駄の削減に向けて、ひたすら政治主導の道を突っ走ったのが彼らの姿だと思います。
さらにいえば、薄く広くまんべんなくから、自らの好む方向への偏った再分配に走っていたともいえましょう。

2013.03.09 23:00 URL | 元大阪府民からの伝言 #- [ 編集 ]

>給与の引き上げを「リベラル」の諸君は期待するだろうが、それは消費の増加にはつながるかもしれないが、長期的にいい影響はないと思う

どこを見ればそういう理屈が出てくるのですか?
日本以外はこの20年間、経済成長をしており、給与の上昇もあるのですよ。経済成長と給与の上昇は同期しています。
そもそも消費の増加なくして長期的・安定的にどうやって成長するんですか?
まさか輸出産業が栄えれば日本人の生活は苦しくなるばかりでもいい、とでも仰るつもりじゃないでしょうね。

「患者は死んだが手術は成功した」という皮肉の言葉を差し上げましょう。

2013.03.09 23:21 URL | 飛び入りの凡人 #mQop/nM. [ 編集 ]

>greenstoneさんの意見に、「元リベラル」の典型を見た気がしました。

リベラル派で小泉や竹中を評価するような人間はいませんよ。
左翼思想や左翼系の団体、あるいはリベラル派に宗教というレッテルを貼りつけるのは、日本会議系、親米右翼系、統一協会系(勝共連合)の人士の特徴であって、元リベラルがいきなりそっちに走る可能性は流石にないです(笑)。
日本会議系は宗教右翼、統一協会はカルト教団なので、それで宗教というレッテルを貼りつけて中傷攻撃を試みるのでしょうし、幾ら左派から右派に転向したとしても、ちょっとありえないですね。
greenstoneさんがそっち系の人なら、ちょっと意外だったな。

2013.03.10 00:05 URL | ?????? #- [ 編集 ]

様々なご意見を頂きありがとうございます。
自分は、皆さん「リベラル」の方に挑戦する立場なので、過激な言い回しを使い、気を悪くされる方もいるかもしれません。どうかご容赦ください。
しかし、「リベラル」の方はもっと多様な考え方を受け入れるべきではないかと思っています。現状を肯定したいのであれば、今のままお経のように教条を繰り返していればいいのですが。
なぜ日本では「リベラル」の方々の意見が無視されるかの理由を皆さんは国民の側に求めていると思いますが、本当にそれが正しいのでしょうか。
まず他人の言うことを教条から解釈するのではなく、言葉通りに受け止めてはいかがでしょうか。
私自身は、この欄で池田信夫の悪口を書いた時に
「リベラルが誤解されるから引っ込め」をいう趣旨の批判を書かれ、リベラルであることを一切やめましたが、小泉改革は当時から支持していました。
なぜなら、小泉改革の真髄は皆さん理解されている通り、郵政民営化にあるからです(もちろん彼が最終的に目指している社会は私の希望しているものとは全く違いますが)。

私は、「公共事業」に代表される、大きな国家、国家社会主義、利権行政に反対しているのです。
数年前、私がこの「きまぐれな日々」という優れた政治ブログにコメントしたとき、公共事業反対、議員定数不均衡是正を主張し、kojitakenさんを始め常連の方々に徹底的に叩かれました。
現在、kojitakenさんは部分的にですが(しかし最も主要な部分で)、公共事業に反対されるようになりました(しかし労働者人口が減っているからという理由付けは誤っていると思います。経済成長のない成熟社会になったことが最大の原因です。)。
恐らく、現在では議員定数不均衡是正にも反対されないと思います(もし反対されるのでしたら是非投稿をお願いします。)。

右か左かという議論は楽しいかもしれませんが、不毛ではないですか?

自分は70年代の「1億総中流社会」を理想としているので恐らく新自由主義者ではないと思います(笑)。現在では再現できませんが。
また、累進税率の強化とその裏返しである生活保護を中心とする直接給付こそが国家の柱と考えていますので、典型的な経済右派とも違うと思います。そして福祉国家を理想としている点で小泉元首相とははっきりと袂を別っていると思います。しかしアプローチは皆さんと全く違います。
しかしこれらは皆さんが判断されることです。

財政出動がまっとうな経済政策と言われた方、本当に公共事業が今でも有効とお考えですか?「無駄の削減」は最重要なテーマと思いますが、その点についてはまた説明するチャンスがあると思います。kojitakenさんはこの点について強い考えをお持ちですから。
給与の引き上げは現実的でないと思いますが、その点についての説明は書けなくなりました。

今後も、kojitakenさんに嫌がられながら、コメントをさせていただきたいと思います。その際には、相手の考えを言葉通りに受け止め、お互い敬意をもって接したいと思います。
kojitakenさん、長いスペースを使ってしまいました。

2013.03.10 10:22 URL | greenstone #- [ 編集 ]

GREENSTONEさんのコメントが議論沸騰のための意見なのか、まじめな意見の意図なのかは分かりません、『リベラル』の定義がわからないのでそこはおいておきます。

で、突っ込みどころいっぱいありますが、労働のところに絞りましょう。私は『必需品』『安定』とかで非正規雇用の問題点を認識していますが、ちょっとまとめてみましょう。

まず、賃金は低辺層が一番重要です。それは前に書きましたが、底辺に近い人が一番必需品消費をする確率が高いからです。で問題は賃金上昇が雇用に影響がどうあるか?クルーグマンの賃金上昇は 最低賃金をあげてもアメリカにおいては雇用に影響はメリットのほうが大きいから上げろというコメントのようです。さて日本ではどうでしょう?数年前に研究があったようです。最新の研究は勉強します。

ここからが非正規雇用の問題を絡めます。底辺層の問題とも絡みますが。
日本では以前はパートなどの非正規雇用は、主婦が家計の世帯主(夫)補助のために行うものが多いものでしたが、現在は世帯主としての割合が多くなっています、つまり主の収入が非正規雇用でまかなっている人たちが多いということです。

そうしますと最低賃金をあげる事はメリットが多い可能性があります。そして非正規雇用の組合を立ち上げることはとても意義がまた経済是正にとって有意義と見れます。
主婦は上げても税金がかかるようになるだけですからメリットはありません。そして補助的だからこと非正規雇用人員の労組を作って賃金を上げるよういう市場のプレイヤーによる是正も働き図らい。

で今書いたのは市場やそのプレイヤーによる是正ですが、現在の日本では非正規雇用労組の力は強くなく、ブラック企業がのさばっている現状は市場の失敗といえるのでは。そしてブラック企業は底辺層・日本経済・日本の消費を壊していると見るできではないでしょうか。(『政府の失敗』はフリードマンが見つけた素晴らしい事象です。それをすべて民営化すればいいという教義してしまった新自由主義者はもう宗教ですが。これは「アダムスミスの神の見えざる手の扱いに似ていておもしろいです。スミス自体は市場の主体(プレーヤー)に公平公正がなければそれ(手)は働かないと思っていたようです。 まあフリードマンは自業自得なところありますが。)


話し戻して、
そしてそれを是正することこそ、政府の政策や法制度では。民主だったかの5年連続勤務者の待遇を正規に近づけるような政策があったかと思いますが、あれは今の日本ではよい政策だったかと思います。そして非正規を正規にする政策に加えて、重要なのが将来の安定・発展のインセンティブを呼び起こすことです。ここがいわゆる低~中間層の『賃金』問題。

それは知識技術教育や熟練職の技術の向上の問題ともいえるかと思います。終身雇用制がほぼなくなっている民間では、安定した技術訓練による労働者の成長そしてそれに伴う消費の成長が起こりづらくなっていると見えるからです。
対策は難しいですが、政府の財政政策・補助金でどこまで教育訓練をするか、しないで民間訓練所・資格所に補助金を出すか、パイの量を増やすとの関係で重要なテーマですね。
また市場による是正をいかにするか、雇用者や企業家はいかにして教育訓練のメリットを見出しているのか(以外にささいなことが大きくかかわっているというようなことは行動経済学とかが研究している分野)。
現状の企業家が訓練のいらない非正規雇用が多いほど利益がでるとおもっている状態では改善は見込めないでしょう。まあもしかしたらそれはブラック企業の企業者だけで、実際に長期で安定している会社は訓練のメリットをしっかり見つけているほうが多いかもしれません

2013.03.10 10:36 URL | 基礎固め 意図 #TOrOHEqA [ 編集 ]













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