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きまぐれな日々

中国本土に行ったことは過去1度しかない。台湾には4度、香港にも1度行ったが、中国には2004年に広州の某所を訪れたことがあるだけだ。

だから、広大なかの国の南部の一都市をピンポイントで、しかももう10年近く前に行っただけであって、その経験をもって中国を語ることはできないのだが、その時に強く持ったイメージは、中国とは巨大な新興土建国家であり、かつ貧富の差が極めて大きい格差の国だということだ。

中国の大気汚染は以前から言われている通りだが、黄砂が増え始める季節になって、また報道されるようになった。黄砂自体は大気汚染とは別の現象だが、特に西日本では首都圏と含む東日本とは比較にならないほどこれに悩まされることが多い。私の記憶では2002年が特にひどくて、この年の3月に九州に行った時には信じられないほどの黄砂によって景色がかすんでいた。但し、気象庁のサイトを見るとグラフが出ていて、2002年は突出して黄砂の観測が多かった年らしく、別に黄砂の観測日数が近年特に増えているわけではない。それに、前述のように黄砂そのものは大気汚染とは別の話である。

しかし、中国の大気汚染が以前にも増してひどくなっているのは事実で、黄砂の季節になるとそれと結びつけて報じられるのだろう。私が思い出すのは、光化学スモッグなどの公害が重大な社会問題になっていた1970年代の日本のことである。

この問題に関して、「公害を撒き散らす中国は怪しからん」と言ってこのところ高まっている対中国軍事衝突の気運を強めるほど馬鹿げたことはない。最近の対中関係はますます抜き差しならないものになっていて、例のレーダー照射の問題も、中国がやったことはおそらく事実だろうが、首相の安倍晋三がこれを政治利用しようとしているフシも濃厚だ。少し前に日経をはじめ朝日など各紙が報じていたように、民主党政権時代にもレーダー照射はあったが、野田政権がこれを公表しなかったというのはおそらく事実だ。特に日経は、官邸が公表を主導したと書いていた。つまり、安倍晋三が強い意向を示したということだ。

ただ、現在の日本の世論は、この件に関しても、「弱腰」もとい「『媚中』のミンス政権のていたらく」を批判するだけになっている。実際、昨年末の衆院選のあと、ニュースで報じられることもなくなった民主党の支持率はさらに凋落し、今夏の参院選では現在民主党が持っている議席は、自民党と維新の怪にとって絶好の草刈り場になるだろう。みんなの党もおこぼれにあずかるかもしれないが、共産党は現状維持、社民党は現有の2議席を1議席に減らし、左翼政党ではないが生活の党も現有の6議席から1〜2議席に激減する可能性が高い。

話題がそれたが、大気汚染に関しては、一昨日(10日)のTBSテレビ『サンデーモーニング』で、過去に大気汚染を改善した経験のある日本の知見を中国に応用する手助けをすべきではないかと言っていた。これもまあ穏当な意見だと思うが、番組では上記の問題と、まさに現在日本で大きな問題になっている東電福島第一原発事故の収束に失敗したために現在もなお放出され続けている放射性物質の問題がリンクされていた。こういう視座の提供は、局全体としては他局同様に姿勢が怪しくなっているTBSに残る異色の番組として存在感を発揮したなと思った。もちろん番組を監視するネトウヨ諸氏は怒り心頭だったに違いなかろうが。

いうまでもなく安倍晋三は強硬な原発推進派の政治家であり、昨日(11日)の朝日新聞にも、経産相の茂木敏充がサウジアラビア政府と原発の支援で合意したとの記事が出ていた。
http://www.asahi.com/politics/update/0210/TKY201302100136.html

経産相、サウジに原発建設支援を申し出 事故後初めて

 【リヤド=福山崇】中東訪問中の茂木敏充経済産業相は、原発建設計画があるサウジアラビア政府と、原発関連の人材育成などで協力することで合意した。東京電力福島第一原発事故後、将来の原発輸出を視野に入れて外国に新たな原子力分野の支援を申し出るのは初めてで、原発輸出に前向きな安倍政権の姿勢が鮮明だ。

 茂木氏は9日、サウジの首都リヤドで原子力政策などを担う政府機関「アブドラ国王原子力・再生可能エネルギー都市」のファラジ副総裁と会談した。ファラジ氏は、2030年に国内の電力供給の20%を原発でまかなう計画を示し、協力を求めた。これに対し茂木氏は、原子炉の運転技術や法規制などを担う人材を育てるため、サウジから研修生を受け入れることなど、支援の意向を伝えた。今後両国間で協議を進め、支援内容を盛り込んだ「原子力協力文書」をまとめる。

 世界最大の産油国・サウジには現在原発はないが、人口増で原油消費が急増し、原発を16基程度建設する計画があるとされる。日本は09年、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国の原発受注をめぐって韓国勢に敗れており、経産省内では「同じ失敗を繰り返すわけにはいかない」(幹部)との声が漏れる。

(朝日新聞デジタル 2013年2月10日22時28分)


但し、ネットでは無料で読めない記事の続きの部分に、日本とサウジアラビアは原発輸出の協定を結んでおらず、既に協定を締結しているフランス、韓国、中国や交渉中のアメリカ、イギリス、ロシアを相手に厳しい受注競争が予想されるなどと書かれている。

ネトウヨは日本と同様に原発の輸出をもくろんでいる中国や韓国の姿勢こそ批判すべきではないかと思うが、そんなことをしたら直ちに自民党や安倍晋三への批判に跳ね返ってくるからそれは批判しない。ネトウヨとてずいぶんなご都合主義なのである。

いかに強硬な原発推進派である安倍晋三とて思うに任せないのが国内の原発の再稼働だが、現在も原発事故を収束できていない東電が、次々と悪行を暴露されている現状ではそれも当然だろう。つい最近も東電が国会事故調に嘘をついて福島第一原発1号機の建屋内に入らせず、調査を妨害したことで批判の槍玉に挙がった。東電原発事故において、東電がポンプで海水を汲み上げられず、SR弁(主蒸気逃がし弁)を開くためのバッテリーが調達できないなどの失態を重ねたことが今では明らかになっており、少なくとも福島第一原発の2号機と3号機のメルトダウン(炉心溶融)は事故後の対応で防げたはずだというのが現在の定説のようだ。

だが、東電がそれをできなかったのは、原発派絶対に事故を起こさないという「神話」があったために、事故対策を講じることがはばかられるような本末転倒の状態にあったためであり、その「神話」を作り上げてきたのが自民党政府、経産省、それに東電自身を含む電事連(電気事業連合会)という悪の三角形だった(これに御用学者と電力総連を加えると、誰かさんの大好きな「悪徳ペンタゴン」になる)。

そもそも原発のような不経済なものに、必要不可欠になってしまった廃炉の技術は別として、新規原発の建設などを行うなどの金をかけることくらい、日本経済の首を絞める愚挙はない。これは、新自由主義的な立場からもいえることであって、だからこそ先日亡くなった加藤寛も「脱原発」を主張したし、現在の日本でもっとも過激な新自由主義者である橋下徹も「脱原発」に飛びついたのだ。その橋下に招かれ、のちには小沢一郎とも野合して日本未来の党の幹部になってもののみごとに自爆し、脱原発派の期待をさんざんに裏切ってくれた学者センセイもいたけれど、最低限「脱原発」が今後の日本にとって必要不可欠であることは間違いない。

第2次安倍晋三内閣は、それを妨害するとんでもない政権である。
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原発を推進した、一部の自称エンジニアの持つ、技術リテラシーの低さを、未だに安部氏は無反省に継承している様です。

こんな安倍氏に、強い経済を作る為の、日本の産業を、より高付加価値を産む先端産業にシフトしていく「産業構造改革」など、出来るとは思えません。
(アベノミクスの【3本目の矢】だそうですが)

こんな安倍氏ですから、学問一般に対するリテラシーも無く、マクロ経済学会の主要な専門家からは「的外れ」とされる、クルーグマン氏の日本経済への提言などを鵜呑みにして、インフレターゲット論などに飛びついたのでしょうが、その技術で事故(国債暴落)が起きた時を考えないという意味では、原発エンジニアにも通じるものがありますね。

2013.02.12 16:35 URL | 伊賀篤 #Xk9Ues7M [ 編集 ]

北朝鮮の核実験が成功した。
やはり国家安全保障政策上、将来の核武装の選択肢を残すためにも 原発は再稼働させるべきと思います。 経済性の有無はもう少しきちんと検証しないとよくわかりません。多少経済性に劣るとしても前記の理由から原発推進すべきです。

2013.02.13 23:38 URL | #- [ 編集 ]

安部内閣は、原発を推進しようとしているとんでもない政権であると同時に、急ピッチで戦前回帰(日本軍国主義、日本帝国主義の復活)を推進しようとしているとんでもない政権です。
内閣の顔ぶれも見てみましょう。
国家神道、皇国史観等々の戦前レジームのオンパレードではないですか。
ちなみに当ブログの7月の参院選の予想はそのものズバリのように思います。
民主主義が退化の一途をたどる日本を象徴しています。

2013.02.14 00:37 URL | 風てん #- [ 編集 ]

核実験から 核ミサイルを持つという選択肢を日本がをもつ論理が見えませんが…

経済数値は既に出ています。額もそして廃棄物の量も処理額も。経済学ではそのリスクや額を市場に上手く反映させられていないということです。
額わからないのではなく、経済学や経済学者は市場の不適応を言っているのです。そして自分の敗北も。政治的に反映させることはいくらでもできます。

そして安全保障上、核ミサイルを原発に落とされるリスクを消せないのに、原発を推進して核ミサイルの選択肢をもつ論理が分かりません。

米国との核物質や原子力利益の方が筋が通ります。いいとは思いませんが。

2013.02.16 09:20 URL | 基礎固め #sK7dvhWA [ 編集 ]

日本で毎年、どれだけの大地震、巨大地震が起きているか、ご存知ですか?

M7.0以上の地震
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E9%9C%87%E3%81%AE%E5%B9%B4%E8%A1%A8_(%E6%97%A5%E6%9C%AC)
■1990~1999 9件
・1990年 0件
・1991年 0件
・1992年 0件
・1993年 2件
釧路沖(1993,M7.5) - 北海道南西沖(1993,M7.8)
・1994年 3件
日本海北部(1994,M7.3) - 北海道東方沖(1994,M8.2) - 三陸はるか沖(1994,M7.6)
・1995年 2件
兵庫県南部(阪神・淡路大震災)(1995,M7.3) - 択捉島沖(1995,M7.7)
・1996年 0件
・1997年 0件
・1998年 2件
石垣島南方沖(1998,M7.7) - 小笠原諸島西方沖(1998,M7.1)
・1999年 0件
■2000~2009 18件
・2000年 4件
根室半島沖(2000,M7.0) - 硫黄島近海(2000,M7.9) - 小笠原諸島西方沖(2000,M7.2) - 鳥取県西部(2000,M7.3)
・2001年 1件
与那国島近海(2001,M7.3)
・2002年 1件
石垣島近海(2002,M7.0)
・2003年 3件
三陸南(2003,M7.1)- 宮城県北部(2003,M6.4) - 十勝沖(2003,M8.0)
・2004年 2件
紀伊半島南東沖(2004,M7.4) - 釧路沖(2004,M7.1)
・2005年 3件
福岡県西方沖(2005,M7.0) - 宮城県沖(2005,M7.2) - 三陸沖(2005,M7.2)
・2006年 0件
・2007年 0件
・2008年 3件
茨城県沖(2008,M7.0) - 岩手・宮城内陸(2008,M7.2) - 十勝沖(2008,M7.1)
・2009年 1件
駿河湾(2009,M6.5)
■2010~
・2010年 3件
沖縄本島近海(2010,M7.2) - 小笠原諸島西方沖(2010,M7.1) - 父島近海(2010,M7.8)
・2011年 9件
三陸沖(2011,M7.3) - 東北地方太平洋沖(東日本大震災)(2011,M9.0) - 岩手県沖(2011,M7.4) - 茨城県沖(2011,M7.6) - 三陸沖(2011,M7.5) - 宮城県沖(2011,M7.2) - 福島県浜通り(2011,M7.0) - 三陸沖(2011,M7.3) - 沖縄本島北西沖(2011,M7.0)
・2012年 2件
鳥島近海(2012,M7.0) - 三陸沖(2012,M7.3)

M7.0以上は大地震のカテゴリーなんですが、そのクラスの地震が、日本はほぼ毎年起きている地震大国なんです。M8.0以上の巨大地震も、10年に1度は必ず起きています。
しかも東日本大震災によって今後巨大地震が誘発されるリスクが高まるとされていて、関東、東海、東南海、南海といった大地震も発生を控えている状態です。
日本全国、どこでもM7.0以上の大地震、M8.0以上の巨大地震が起きるリスクがあり、福島第一原発事故が起きるまで何も起こらなかったのは、単なる幸運に過ぎません。
また、ボーイング787型機のトラブル続出事件は記憶に新しいところですが、科学技術というものは、絶対ではないんです。
どんなに巨大地震にも耐えられるよう設計したとしても、実際に巨大地震が起きた時に本当に耐えられるかと言えば、それは運次第というのが本当のところです。
そして一番問題なのが、福島第一原発事故後の、原発を推進した人達の言動です。
事故は地震によって起きたものではない、原発反対派が原発を建て替えさせなかったから事故は起きた、等々、自分の責任を認め、謝罪する者は皆無と言って良かった。
自分の発言に対して責任を持たない、現実に大事故が起きても責任転嫁して自分の責任を認めない、こういう人達は、果たして信用に値するのでしょうか?
これは原発推進派が主張するような不安を煽る行為ではなく、単なる事実の列挙に過ぎません。

原発再稼働って、結局、机上の空論に過ぎないんですよ。

また、経済性の話が出ていますが、人の命と経済性を比較する事自体、感覚がおかしいとしか言いようがありません。
資本主義はあらゆるものの価値を数値化して金に変え、市場化して金儲けの対象とするものですが、人の命すら経済性を比較するという行為は、その極みであると言えるでしょう。
人の命の数値化は、人間として許されない行為である事を肝に銘じるべきです。

2013.02.17 08:16 URL | 原発の再稼働は、現実的じゃないです #- [ 編集 ]

このコメントは管理者の承認待ちです

2013.02.17 16:41  | # [ 編集 ]

左派も右派も新自由主義も目指すところは同じ

誰もが豊かで平和な暮らしを未来永劫に送れる社会をつくること

立場によって異なるのは、現在の人間のレベルとそれが構成する社会のレベルについての認識。

左の人たちは、現在の人間のレベルに理想もしくは幻想を抱いている。右の人たちは、より「現実的」で人間が個人レベルでも社会全体でも抱えている闇もしくは負の部分を直視している。

たとえば話は飛躍するけれど、暴力団廃絶の動きがあるけど、それは不可能だと思う。人間個々が誰しも多かれ少なかれ持っている闇の部分が社会的に表れているのが暴力団だから、人間のレベルが進化しない限り暴力団を根絶することはできない。根絶できたとしてもそれに代わるものが必ず出てくる。「半ぐれ」がでてくるようなもの。

人間のそういう部分は必ずあるという前提に立って、社会の仕組みを考えるのが右派。根絶しようとするのが左派。それは、イジメだろうが原発だろうが核兵器だろうが戦争だろうが貧困だろうがすべてに当てはまると思う。


2013.02.24 12:22 URL | 熱湯遊弋 #- [ 編集 ]













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