きまぐれな日々

先週は、日本の企業活動にかかわる大きなニュースが相次いだ。

まずボーイング787型機のトラブル。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK16008_W3A110C1000000/

全日空ボーイング787から煙 高松空港に緊急着陸
バッテリー不具合を表示

 高松市消防などによると、16日午前8時45分ごろ、山口宇部発羽田行き全日空ボーイング787の機内から煙が発生し、高松空港に緊急着陸した。全日空によると、乗客、乗員計137人は全員無事という。操縦室の計器がバッテリーの不具合を示し、パイロットが異臭を感じたという。

 香川県警によると、高松空港は午前8時58分から空港を閉鎖した。〔共同〕

日本経済新聞 2013/1/16 9:35 (2013/1/16 10:03更新)


記事にもあるように、この日の朝の不時着で、高松空港は一時閉鎖される事態になり、多くの利用客に影響を与えた。

トラブルの原因はバッテリーではないかと言われている。航空機用のバッテリーは電池本体と制御システムの両面から安全性を確保することが強く要求されることはいうまでもないが、電気自動車用などで開発が進んでいる日本の技術の得意分野であり、ボーイング787型機に搭載されているのも日本のジーエス・ユアサ製のバッテリーである。今回のトラブルでは、そのバッテリーの過充電などが疑われているようだ。
http://www.47news.jp/CN/201301/CN2013011901001565.html

バッテリー過充電の見方強まる B787、日米の航空当局

 バッテリーの出火や発煙トラブルが相次ぐ新鋭中型機ボーイング787。高松空港に緊急着陸した全日空機は、操縦席付近床下のメーンバッテリーへの過充電で飛行中に煙が発生したとの見方が19日までの日米航空当局の調査で強まった。

 ラフード米運輸長官は18日(現地時間)「安全を千パーセント確認するまで飛行させることはない」と述べ、徹底的な安全対策が取られるまで787の運航を認めない方針を強調した。

 原因究明を急ぐ日本の運輸安全委員会は、1週間でバッテリーが解析できる第三者機関がないか模索。電子系統の制御システムや配線より優先的に調べ、糸口を探る構えだ。

2013/01/19 18:14 【共同通信】


ボーイング社は最初「787型機は安全だ」などと強弁していたようだが、さすがにそのような論外な態度はすぐに改めた。同型機はいずれもバッテリーに起因するとみられるトラブルが多発している。バッテリーの種類は数年前にノートパソコンや携帯電話機の発火事故が問題となったリチウムイオン電池だ。今回のトラブルが発煙事故による高松空港への不時着で済んだのは不幸中の幸いだと私は思っている。万一発火事故にまで至っていたならとんでもない大事故になった恐れがあると思われるからだ。

ただ、この分野であれば、この事故で日本の技術が信用を失って、韓国なり中国なりのバッテリーに置き換えられる心配はしなくても良いのではないかと個人的には考えている。それくらいのアドバンテージを日本の技術はまだ保っているはずだ。今回のトラブルに関しては、一刻も早い原因究明と安全性の確保を願うばかりである。

安倍政権も、重厚長大産業や、ローテクの塊である原発にいつまでも恋々としていないで、たとえば北欧諸国がやっているように、採算の合わなくなった企業には市場から退出願って、失業した労働者を成長分野に振り向けるべく手厚い就労支援をするといった政策を考えた方が良い。北欧諸国はそういう政策をとって近年めざましい経済成長を遂げた。

大惨事に至ってしまったのは、アルジェリア南東部イナメナスの天然ガス関連施設で起きた人質事件である。この記事を書いている最中に、産経新聞のサイトが凄惨な記事を配信してきた。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130120/crm13012023540011-n1.htm

「日本人9人を殺害」 日揮現地スタッフが証言

 アルジェリア南東部イナメナスの天然ガス関連施設で日本人らがイスラム過激派武装勢力に拘束された事件で、「リアド」と名乗る日揮の現地職員らは20日、フランス通信(AFP)に日本人9人が殺害されたとされる状況を詳しく証言した。菅義偉官房長官は21日未明の記者会見で、「情報があるのは承知しているが、確認していない」と述べた。

 証言によると、犯行グループは16日午前5時半ごろ、天然ガス関連施設からイナメナス空港に向かうバスを襲撃したさい、逃げようとした3人を殺害した。後に銃撃を受けた3人の遺体がバス近くで発見されたという。

 さらに居住区に向かった犯行グループは、別の人質を連れて日本人職員の部屋に行き、北米なまりの英語で「ドアを開けろ」と叫んで発砲。その場で日本人2人が死亡した。居住区内ではその後、別の日本人4人の遺体が見つかったという。AFPはブラヒムと名乗る別のアルジェリア人も「日本人9人が殺害された」と証言したと伝えた。

 一方、英紙テレグラフ(電子版)は19日夜、生存者の証言として、犯行グループが施設襲撃時に英国人技術者に銃を突きつけ、「米国人を捜しているから君らは殺さない」と英語で言わせ、隠れていた同僚らをおびき出した後、この技術者を射殺したと伝えた。

 欧米メディアは19日の制圧作戦の状況も断片的に伝え始めている。

 「19日朝、テロリストは人質7人とともに逃亡する望みを失い、人質の処刑を開始。『ニンジャ』として知られるアルジェリア軍特殊部隊は突入を余儀なくされた」

 テレグラフ紙はアルジェリア情報筋に近い地元紙を引用し、強行突入に至った理由を伝えた。犯行グループは米国で収監中のイスラム原理主義者ら2人との人質交換と、施設からの「安全な移動」を要求したが拒否された。18日夜には、施設への放火を試みた。

 犯行グループの生き残りは、居住区から3、4キロ離れたガス生産施設区域の「機械室」に籠城。戦車や装甲車が包囲し、上空では旧ソ連製の攻撃ヘリコプターが動向を監視した。同紙は17日の制圧作戦から48時間が過ぎ、特殊部隊が「忍耐を失った」可能性も示唆した。

 アルジェリア情報筋は、人質7人は部隊突入の前後に「報復のため処刑された」と強調。施設周辺には地雷などの爆発物が仕掛けられていたほか、犯行グループは集団自決の準備もしており、一部は部隊突入時に自爆して施設を破壊しようとしたという。部隊が15人の焼死体を発見したとの情報もある。中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、制圧後に60ミリ迫撃砲2門、携行式ロケット砲(RPG)2丁など多数の武器弾薬が押収されたと伝えた。(田中靖人)

(MSN産経ニュース 2013.1.20 00:44)


この事件で腹立たしいのは、安倍政権の初動の遅れである。本来なら事件が起きてすぐ安倍晋三は外遊を中断して帰国すべきだったが、そのまま外遊を続け、事態が深刻化してから帰国した。この不作為が犠牲を大きくした可能性が大きい。

安倍は、東日本大震災に伴う東電原発事故の際の菅政権の対応を批判し、最近も菅直人の訴追を匂わせる発言をしていたが、真に訴追されるべきは今回の安倍自身の初動の遅れではないか。なぜ安倍はだらだらと外遊を続けたのか。危機管理ができないことに関しては、自民党は民主党と何も変わらないと見える。また、そんな安倍晋三の行動について、確か朝日新聞は「批判を浴びる可能性がある」とかなんとか書いてお茶を濁した程度であって、正面切った政府批判は全然していない。それでも「社会の木鐸」と言えるのか。

また、アルジェリアに派遣された外務政務官・城内実の動きも鈍い。城内は17日、アルジェリアのメデルシ外相と会談し、アルジェリア軍による武装勢力への攻撃中止を要請したそうだが、これを無視された。やはり産経の報道によると、城内は多くの邦人が殺されたと思われるあとになって、「軍の許可を得て(イナメナスの天然ガス関連)施設に入り、その後、邦人の安否確認のため病院を訪問する予定」との電話を官房長官の菅義偉にかけてきたらしいが、事件の対応に全く役に立たなかったのではないか。普段は勇ましい酷使様は、やはり肝心な局面では頼りにならないようだ。

そのくせ、こういう事件が起きると、「自衛隊の海外派遣をもっと自由にしろ」とか「日本版CIAを作れ」などという動きばかりが強まりそうな政権なのである。また、外野席でも外務省OBの孫崎享がテレビ出演して日本版CIA創設を焚きつけていたとのことだ。さすがは本家のアメリカCIAから大量の政治資金を受け取っていた岸信介を絶賛するだけのことはある。

とにかく、今回の官邸の対応は全くいただけなかった。やはり、安倍内閣に多くを期待する方が無理というものだろう。
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アルジェリアの件は、日本に不都合な事件という事で、マスコミが腫れ物を扱うような感じになってますね。

>一方、英紙テレグラフ(電子版)は19日夜、生存者の証言
>として、犯行グループが施設襲撃時に英国人技術者に銃を
>突きつけ、「米国人を捜しているから君らは殺さない」と
>英語で言わせ、隠れていた同僚らをおびき出した後、
>この技術者を射殺したと伝えた。

今朝のテレビでも、中東の専門家が、日本人が現地でどう思われているかに関して、日本人は仏教徒で、良い仕事をする、という事で評判は悪くない、等と伝えていたが、あんなの真っ赤な嘘ですよ。
確かに、昔は、中東などイスラム教徒の多い国では、日本はアメリカに果敢にも戦いを挑んだ非キリスト教の国とされ、欧米の侵略主義と闘った英雄的な存在で、そして原爆を落とされた悲劇の国として、同情と好感を持たれていた。
しかし、日本が小泉政権時代に媚米とも呼ばれる極端な対米従属路線を取った結果、日本は単なるアメリカの先兵と看做され、日本人は欧米キリスト勢と同質の敵だと看做されるように変化した。
その中でも、自衛隊を出して、イラクの占領に手を貸した事は、致命的になったとも言われている。
また今書き込んだような情報は、数年前まで、小泉政権の極端な対米従属路線を非難する際には、日本のマスコミでも普通に伝えられていた内容で、小泉政権に批判的な専門家は普通にテレビで話していた。
つまりあからさまにマスコミが嘘を垂れ流している。
ことアルカイダ系に関しては、日本をアメリカの腰巾着化しているとして敵意を示しているし、小泉政権時代に高まった反日感情を持つイスラム教徒より、更に激しい敵愾心を持っている。
現地の日本人が「米国人を捜しているから君らは殺さない」と言われて信じたのは、小泉政権前のイスラム教徒達の対日観を伝えた為だと思うが、会社側は現地の事情について、日本が強い反感を持たれている事実を伝えていたのか疑問に感じた。
何れにせよ、今回の痛ましい日本人大量虐殺に関しては、小泉政権の極端な対米従属路線が無関係であると断言するのは無理でしょうね。小泉政権の歪んだ政策によって、多くの日本人が命を落とす結果を招いたのだと非難されても、仕方のない面があると思います。
親米路線で突き進みたい安倍政権にとっては、親米路線を取り、改憲し、アメリカの言いなりになって、自衛隊を動かせば全世界で反日感情が高まる事、イスラム教徒の反日感情が反米感情と同じ水準にまで高まり、イスラム圏で暮らす日本人や、日本人旅行者の命が脅かされ、現実に憎悪犯罪による殺人事件で命を落とす日本人が出る事、こうした事実を隠蔽したいので、マスコミに本当のところを報道させないのだろうが、これは極めて危険な兆候であると感じますね。
親米派も、日本国民の生命なり、日本国益が重要であると愛国者を標榜して語るなら、親米路線を取った結果として、このような痛ましい事件が日常茶飯事化し、反日感情が高まる現実くらい、卑怯な真似をせずに堂々と唱えるべきですよね。
今回の件で、親米派がそうした事実を隠蔽にかかる不誠実で国民の生命など対米従属の前には露程にも思っていない事実が改めて露見した格好ですが。

2013.01.21 13:18 URL | マスコミ酷すぎですね #- [ 編集 ]

このコメントは管理者の承認待ちです

2013.01.24 05:02  | # [ 編集 ]

「日本人出ろ」国籍で選別、先頭車に
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130126-OYT1T00161.htm?from=ylist

アルジェリア人質事件、襲撃指揮に「謎のカナダ人」
http://www.asahi.com/international/reuters/RTR201301220130.html

つまりは、2.3年後にアメリカが起こすであろう戦争に日本を参戦させるために日本人を狙ったんだろうね。カナダ人の指揮官でしたかね。

このテロを理由として国会で邦人救助活動をするために自衛隊を海外に派遣できる法律ができ、武力行使を前提とした事実上の海外派兵ができるって流れかw見えてきましたね。

2013.01.26 21:03 URL | #- [ 編集 ]

悲しいことにやはり被害者の自己責任を言い出すやつが出てきた・・・
http://eiji.txt-nifty.com/diary/2013/01/post-9f8a.html#comments

2013.01.29 15:59 URL | 6666 #iEsJClpc [ 編集 ]

このコメントは管理者の承認待ちです

2013.02.02 09:19  | # [ 編集 ]

時間がないので少しだけ。小泉政権以来の「日本の従米姿勢」を批判するのは筋が通っていますが、(いい意味でも悪い意味でも憲法9条を持つ)安倍内閣がいくら迅速かつ適切に動いたからといって、“理想的な”解決がなされたとは到底思えません。もし仮に民主党や社民党や共産党の首相ならば、理想的な解決(?)がなされていたとお思いでしょうか? あと気になったのは、「承認が取れず」表示されないコメントですが、ただ単に反対意見や気に入らない意見を無視しているわけではないですよね?

2013.02.14 10:40 URL | 税収総額 #gqQdkluw [ 編集 ]













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ショックドクトリンの乱発
アルジェリアの人質事件、痛ましい限りです。お亡くなりになった沢山の方々に心からご冥福をお祈り申し上げます。 この痛ましい事件も、国防軍を目指したい人々にとっては絶好の

2013.01.23 07:34 | Afternoon Cafe