「日本未来の党」には最初から勝機はなかった。嘉田由紀子はもちろん、小沢一郎も己が自惚れているほどの「指導力のあるリーダー」では全くなくなっている。私がそのことを最初に痛感したのは一昨年5月から6月にかけての「菅降ろし」の政局の時であって、あの時、小沢は強い指導力を持つリーダーが必要だと言っていたが、私は、東日本大震災の時に雲隠れした政治屋が、何をいつまでも『強力なリーダー』ぶってるんだよ、と鼻で笑ったものだ。今にして思えば、東北のリーダーとして存在感を発揮するべきまたとない機会だったはずの大震災の時に、地元であるはずの被災地を訪れるどころか雲隠れして「行方不明説」まで流された時、小沢一郎の命運は尽きたのだと思う。
東京新聞などは総選挙報道で日本未来の党を「リベラルのとりで」とまで称揚して風を煽ったが、同党への追い風には全くならなかった。その敗因を、同党の「脱原発」の本気度が疑われたと見る向きもあるが、私は同党、というより小沢一派の経済政策が信用されなかったことが最大の理由ではないかと考えている。
周知のように、小沢一郎は2006年に民主党代表に就任すると同時に、民主党の経済政策を転換して、社民主義的ともいえる諸施策を打ち出した。前任者の前原誠司が新自由主義的傾向の強い政治家だったためにその対比は際立ち、当時は私も民主党の政策転換を歓迎したものだった。
だが、民主党の政策には財源論に難があった。本来、当時の鳩山由紀夫首相と小沢一郎幹事長には、自らがマニフェストに掲げた政策を実行する責任があったはずだが、普天間基地移設問題でつまずいて早々に政権を投げ出し、それに続く菅直人・野田佳彦両首相の内閣を、「マニフェスト破り」だとして批判した。
しかし、本来政策を遂行する責任があったはずの鳩山・小沢が勝手に政権を投げ出しておきながら、党内野党と化して権力抗争に明け暮れるさまを見て、「何やってるんだこいつら」と思ったのは私だけではなく、多くの有権者も同じだっただろう。この場合、「何やってるんだこいつら」という対象には、民主党内反主流派の小鳩派だけではなく、主流派の人たちも含まれることはいうまでもない。
「ムダの削減」と「埋蔵金」だけで政府支出を賄えるという小沢らの主張には説得力がなかったし、それ以上に私が小沢一郎に対する不信感を決定的に強めたのは、これまでにも何度も書いたように、小沢が「減税日本」を率いる河村たかしと手を組んだことだ。
当面の消費税増税反対論については、不況時の増税は景気を冷やすことと、これまでに減税されまくった所得税を見直すことから始めるべきだという論拠があり、これには私も賛成だが、将来的な税制をどうするかというビジョンを小沢らはいっこうに示す気配がなかった。私は、分離課税だらけの税制の見直しや、もうずっと続いている証券優遇税制(税率10%)を廃止して、所得税の累進制を強くした上で、消費税も増税すべきだと考えている。税制を所得税中心にするのはアメリカなど「小さな政府」をとる国の行き方であって、累進課税には景気の自動安定化機能がある。だが、そのことと表裏の関係として、税収が景気に大きく左右される。そのため、ヨーロッパの国々では税収を消費税にも頼っているというのが私の理解だ。
日本の国民負担率が低いのは周知だが、消費税の税収全体に占める割合はヨーロッパと変わらない。そこで、所得税も消費税もともに税収を増やす必要があるが、昨今の日本で格差が拡大してしまったことや景気に与える影響を考慮して、まず所得税を上げ、消費税の増税はそのあとにすべきだというのが私の意見である。
小沢一郎は、以前には所得税を半分にして消費税率を大幅に引き上げよというのが持論だった。言ってみれば、国民負担率が低いまま、直間比率だけヨーロッパ並みにしようという政策で、事実日本の税制はその通りになった。財務官僚は、今では所得税減税をやり過ぎたと臍を噛んでいるらしいが、一度決まったことは惰性で続くのが政治だ。
ところが、新自由主義のお株を小泉純一郎に奪われると、小沢は小泉構造改革のアンチテーゼとして「国民の生活が第一」のスローガンとともに、一連の社民主義的政策を打ち出した。それには当然ながら財源が必要で、アメリカ並みの国民負担率でやっていける政策ではない。しかし、選挙に勝つために増税を打ち出すのは得策ではないと考えた小沢は、それには触れなかった。そして、案の定政権交代のあと財源捻出に苦しんだが、いち早く鳩山由紀夫が政権を投げ出したために、小沢は党内野党として菅や野田が「マニフェストを破っている」と言うだけの、無責任なクレーマーに終始した。さらに「減税日本」と野合したとあっては、財政政策に関しては全くの支離滅裂としかいいようがない政治勢力とみなすほかなかった。昨年末の総選挙で、こうした小沢一派の無責任な態度に対して有権者の厳しい審判が下ったと私は考えている。
こうして、「なんちゃって社民主義」が雲散霧消した結果、民自公合意を推し進めると、世界に類のない「主に消費税に頼る税制の国」を目指す勢力として自民党、公明党の与党両党と、野田政権下で自公と合意した責任のある民主党があり、それに対抗するのは、維新の会とみんなの党という新自由主義勢力という構図となり、ヨーロッパでは大きな勢力を占める社民主義的な政策を掲げる政党は左翼2政党だけになった。そして「社会民主党」を名乗る政党は衆院選では2議席しか獲得できなかったが、何も社民主義政策を掲げて敗れたわけではなく、党首は「まずムダを削減しますぅ」というのが口癖で、選挙では日本未来の党と「共闘」した。これが日本の政治の現状だ。
なお、政権に復帰した自民党が所得税の最高税率を40%から45%に引き上げる方針を決定したことをもって、「古寺さんの思い描くような政策を安倍政権がやろうとしている」というコメントをした方がおられたが、残念ながらその政策は野田政権がやろうとしていたのを、自民党の一部が「頑張った者が報われない政策だ」として反対してきたことに過ぎない。年間所得3千万円だか4千万円だかで線を引いて、それ以上の所得について税率を5%上げたくらいではたいした税収増にならないのは誰にでもわかる。
まず分離課税だらけの税制を抜本的に見直し、長年10%に減税されている証券優遇税制をもとの20%に戻して初めて、政権に復帰した自民党を評価できるというものだ。今回の決定は、消費税の逆進性批判をかわすためのエクスキューズに過ぎない。直間比率で「直」が下がりすぎて問題なのは、景気の自動安定化機能が損なわれるからであって、これを保ちつつ、税収のうち景気に左右されない安定的な部分も、もし社民主義的な政策をとるのであれば必要になる、だから将来的には直接税も間接税もともに増税する必要があるというのが私の意見だが、おそらく潜在的には結構多いに違いないこうした政策を掲げる政党は存在しない。
憲法や外交・安全保障にしたって、安倍晋三には全くもって困ったものだが、それでもまだ官僚のブレーキが利くだけマシで、これが橋下徹なんかに取って代わられたらそれこそ破滅へ一直線だ。だから安倍が政権運営に行き詰まって前回同様「政権投げ出し」を期待するしかないという情けない状態だ。参院選は1人区のほぼすべてを制するであろう自民党の圧勝で決まりであり、2人区ではこれまでの民主に維新が取って代わり、比例区と合わせて第2党に躍進する可能性が高い。民主党と、2人区の新潟選挙区で現状では党代表の落選が濃厚な生活の党は存亡の危機に立たされ、社民党の獲得議席はおそらく1議席で、政党として認められる衆参合わせて5議席のギリギリに追い込まれる。
そんなわけで、今年の政治に期待できるものは何一つない。
- 関連記事
-
- 政権を奪回して所得税増税に豹変した安倍自民党政権だが (2013/01/28)
- 「日本未来の党」惨敗の原因は支離滅裂な経済政策にあり (2013/01/15)
- 経済右派からの「消費増税批判」しか起こらない惨状を憂う (2012/04/02)
こんにちは。
> 税収のうち景気に左右されない安定的な部分も、もし社民主義的な政策をとるのであれば必要になる、だから将来的には直接税も間接税もともに増税する必要があるというのが私の意見だが、おそらく潜在的には結構多いに違いないこうした政策を掲げる政党は存在しない。
私は賛成しますよ。(消費税も必要という点に)
ただ、消費税については、出来るだけシステムを煩雑にしない限りで、個別税率を導入していくべきだし、それはPOSシステム等で電算化されている現代であれば、可能であるとも考えています。
例えば、誰が考えても、貧困層の生活必需品に掛かる税率と、富裕層の嗜好品に掛かる税率が、同じで良い訳が無いからです。
私など、何千CCも排気量のある高級スポーツカーだとか、ゴルフセットだとか、何百坪もある高級別荘など、税率100%でも良いぐらいだと思いますが、非ブランド米やら、野菜などの非調理食材などは低率(もすくはゼロ%)であるべきだと、考えます。
2013.01.15 10:56 URL | 伊賀篤 #Xk9Ues7M [ 編集 ]
賛同します。ただし、譲渡所得の20パーセントは低すぎます。分離課税を相続対策等の場合を除き原則として廃止するべきです。日本ではほとんど報道されていませんが、フランスのオランドは年収100万ユーロ超について最高税率75パーセントを提案しています。これこそ社会党の名にふさわしい(もっとも財政均衡のためだそうだから?ですが)。
なお、クルーグマンは安倍の政策についてその政治的立場を批判しつつ連続でコラムを書いています。「悪者が正しい経済政策をとることはある。1930年代がそうだった」と。
http://krugman.blogs.nytimes.com/2013/01/11/is-japan-the-country-of-the-future-again/
ついでですが、経済学は科学ですから、いい加減なことを書くべきではありません。安倍だからと言って理論的に読むに耐えないコメントを散見します。馬鹿は右翼のはじまり。
2013.01.15 11:19 URL | 野次馬 #6r.DyFG6 [ 編集 ]
> 経済学は科学ですから、いい加減なことを書くべきではありません。
日本における現在の景気状況を、デフレ不況だと捉え、そのデフレの持続を、ケインズの言う低金利下における「流動性の罠」だと考える人の内で、マクロ経済学の中の「合理的期待形成論」派に属する人々が「流動性の罠」を脱するには中央銀行による「通貨供給量」を増やせば、インフレ期待が高まり、投資が活発に行なわれる好況に転じるという、所謂インタゲ論(リフレ論)は、その論理の展開過程において、あまりに多数の「仮定」を前提としており、私にはクルーグマン氏の論理が、実証科学の域に達しているとは思えません。
(私自身が、物理学という実証科学畑の出身だからかもしれませんが)
むしろ、現在の不況は、小泉元総理が始めた「労働市場の自由化」の結果として、貧困層が増えて国民の購買力が低下した結果であるとする立論の方が、傍証として数多くのデータを挙げられますし、説得的であります。(要するに再分配の失敗による構造的な不況という状況)
インタゲ論者が、科学を自称したいならば、まず「流動性の罠」の実証データについて明示し、合理的期待形成論における「インフレ期待」が過度に振れて、それが日本の様な膨大な国債や地方債の残高を抱える国における信用不安(崩壊)を齎さないという証明をする最低限の責任があるでしょう。
更に言えば、そこまでの責任を果たしたとしても尚、「インタゲ論」による通貨供給量の増大が、総需要の増大による景気回復の「必要条件」であるという証明には(論理的には)足りません。
科学とは単に理論だけでなく、常に現実に対して謙虚なものであり、その謙虚さを兼ね備えた責任ある実証的な論文としての「インタゲ論」については、寡聞にして読んだ事がありません。
私は、安倍総理のアベノミクスについては、その裏付の無さから、失敗するであろうと予想していますが…
2013.01.15 14:12 URL | 伊賀篤 #Xk9Ues7M [ 編集 ]
終わった政治家、小沢一郎。
何をしたかったのかも分からないまま・・・
自分の理解不足もあると思いますが
同じような思いの人も多いと思います
kojitakenさんは
小沢さんの本質とは何だったのだと思いますか?
2013.01.16 00:51 URL | ペコ #- [ 編集 ]
アベノミクス批判について、追記で、参考までに…
安倍財政で日本は年内にも破綻、「ガラガラポン」早まる-藤巻氏 (Bloomberg) - Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130115-00000040-bloom_st-bus_all
上記記事の2ページ目で、ハイパー・インフレの懸念が書かれています。
同じハイパー・インフレ懸念については、既に2年前もに、拙ブログでも…
一部で主張されるリフレ政策の失敗によるハイパーインフレを懸念し、今こそ構造改革を!
http://blue.ap.teacup.com/nozomi/105.html
【2010/7/15付け記事】
…と予言していますが、これが的外れである事を、ハイパー・インフレなどになれば真っ先に困窮する庶民の立場からは、願っていますが…
2013.01.16 08:27 URL | 伊賀篤 #Xk9Ues7M [ 編集 ]
伊賀さん:
あまりに多数の仮定とはなんですか?①有効需要論は過去数十年にわたり実証されています。②投資行動が金利にリンクしていることは実証されています。③そしてここでいう金利は実質金利であることも実証されています。更に投資行動がインフレ期待によって影響される(トービンのQ)ことも実証されています。④あとは通貨供給がインフレ期待に影響するかどうかです。
デフレ下で実験したことはないと思いますが、インフレのときに通貨供給を抑えてインフレを退治できることは世界中で実証されています。そしてロジックとして通貨供給の拡大がインフレ期待に影響することは明らかであると考えます。更に、流動性のわなに陥っていないというのであれば、金融緩和は有効需要の創出にますます有効です。
「分配の不公平による構造的不況」はあり得るでしょうが、では2007年ごろの好況をどう説明するのですか。
最後にシカゴ学派の「合理的期待」論は本件とまったく関係がありません。
2013.01.16 13:28 URL | 野次馬 #195Lvy4Y [ 編集 ]
北海道‘民主王国’を壊滅に導いたのは衆院選でムネオの大地と組むと、次の参院選でおのれの議席維持が危ぶまれるからと共闘を拒否した‘小川勝也’なるキモイ顔した奴こそA級戦犯だッッ!!と地元月刊誌に酷評されている。公務員、マンセ~~~~!!!馬糞の川流れになれ、嘘つきデブども。
2013.01.16 14:10 URL | 便所男・仙石が参院議員移って生き残り?? #- [ 編集 ]
伊賀篤さんへ
非常に説得力のある説で、アベノミクスの問題点をよく理解できました。
結局、経済問題は複合要因なので、大規模な公共事業で地方にお金が落ちれば、それで若干の持ち直しや再配分効果が期待できる事は事実だろうと思います。
その上で、伊賀篤さんが言われている格差の元凶となっている労働問題の解決(構造改革という言葉は小泉政権以降非常に嫌いですが、労働と企業の在り方を巡る社会民主主義な処方箋としての労働構造改革という言い方がもっとも適切でしょう)と再配分強化をセットでやる事で、ようやく格差拡大と困窮化に歯止めが掛かり、国内が正常化するという事なのだろうと思います。
問題は、アベノミクスを批判している人間達が、新自由主義者の池田信夫氏であったり、新自由主義的な観点から反対している人達であるという事でしょうね。
社会民主主義勢力が日本は脆弱すぎます。
2013.01.16 17:50 URL | #- [ 編集 ]
補足です。
私が先のコメントで…
> クルーグマン氏の論理が、実証科学の域に達しているとは思えません
…という事を書いたので、日本には数多居るという【クルーグマン信者】が、列を成して【信仰告白】をしてきそうな悪寒がしたので、予防線として…
例えばクルーグマン氏の文章に下記の様なモノがあります。(どちらも、そう長いものでは無いのですが)
http://krugman.blogs.nytimes.com/2011/10/09/is-lmentary/
http://web.mit.edu/krugman/www/japtrap.html
上記で挙げた様な経済モデルは単純で、経済学を齧った人間なら、学部生レベルでも理解可能でしょうが、実体経済には多種多様な金融商品と、経済全体から見ても無視できない規模を持った投機筋というものがあり、例えば長期金利一つを取っても現実の諸条件(多数のパラメーター)を捨象した机上の理論どおりとはいかず、上記の「IS-LMentary」とは反して、金融の現場からは下記の様な意見があります。
http://focus.allabout.co.jp/gm/gc/405338/?from=dailynews.yahoo.co.jp
住宅ローンの債務者には切実な問題ですね…(苦笑)
また「流動性の罠」を取り上げても、下記の様な論文での言及の方が常識的かつ実証的です。
http://www.imes.boj.or.jp/japanese/kinyu/2000/kk19-4-3.pdf
…上記から引用すると…
> 1つしか金利がないモデルで、流動性の罠の存在を証明することは容易である。しかし、複数の資産が存在する世界では、全ての資産価格がゼロの短期金利と整合的な均衡水準に達しない限り、流動性の罠は生じ得ない(Brunner and Meltzer[1968])
また、クルーグマン氏の安倍総理への評価にしても、下記の様な意見もあるので、ご参照下さい。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ogasawaraseiji/20130115-00023064/
2013.01.16 18:15 URL | 伊賀篤 #Xk9Ues7M [ 編集 ]
クルーグマンは通貨供給量だけではなく財政政策も同時にやれ派で、前者だけでうまくいくと思っているマネタリストとは微妙に違うと思います。
それはそれとして、前にも書きましたがスタグフレーションが問題、あと所謂乗数効果、財政政策のお金が一般人に回る所に出されるかそして企業の内部留保に吸収されない産業や税制や法律の仕組みができるかが問題でここら辺を無視してインフレが賃金上昇の手段や結果ではなく、目標になってないか注意かと思います。トリクルダウンを前提として話しする経済学者も結構いますので注意。
インフレの数値をどの目安で見るかも注意です。一番市民の状況を表す目安は何か。細かくいうと目安の計量方法も重要。勉強します。計量経済学で実証研究した論文が一番良いですね。伊賀さんが書いてたように経済学はモデルと理論値だけで話しをすすめる悪い慣習が有りますからね、
需要供給量のギャップやGDPより消費財関係だとは思いますが、消費財の数量なのか物価指数が一番相関関係が有るのか。カナダのインフレターゲットとデフレ回復の相関関係を研究したというのをヒマジナリさんのブログで見た気がする…
2013.01.16 21:17 URL | 基礎固め 結果的に #sK7dvhWA [ 編集 ]
自民党の「累進課税の強化」案についての補足のようなものです。
現状の最高税率は40%といっても基礎控除があり、実効税率は24%になります。最高税率を45%にあげると実効税率は27%くらいになるでしょうか。富裕層は給与所得や事業所得に加えて、配当金、金利などの所得もあるはずで、源泉分離課税の下では実質的な税負担率はさらに低いはずです。対象となる富裕層は課税所得額2000万円以上で納税者の0.3%くらいなので税収増の効果はわずかです。それでもしないよりはした方がいいのですが、貧困層・中間層の消費税増税による痛みには較べるべくもなく、金持ちからもとってるぞ、というアリバイ程度でしかありません。
2013.01.16 22:20 URL | tarari1036 #- [ 編集 ]
企業の内部留保に加えて、個人資本家の内部留保藻ある。彼等が成長力ある団体に資金を提供して経済をまわしているならいいが、株式や株で資金を得るだけで資本をなにも作らないで儲けているのは市場的にも問題。
ここら辺研究が進まないのが悔やまれるが、歴史的には主が書いているように所得税七割が日本ありその時は財政は黒字でした。またクルーグマンも経済学入門書でかいているが、アメリカも七割時代がありその時は黒字だったと行っています。
中小は消費税をもろにうけるので中小法人税は軽くして、個人投資家に対する税や所得税を増やすべきだと思います。大企業の法人税軽くして所得税七割で、企業が外に出るのを防げばいい。
個人で海外に出る奴は所得税が上がろうが下がろうが出る。竹中とか。
そして逆に出て行く奴は日本にお金を落とす気がない奴だというのがハッキリするからいいかと思います。
2013.01.16 22:53 URL | 基礎固め 加えて #sK7dvhWA [ 編集 ]
私もアベノミクスの効果には疑問を感じ始めています。
その理由として、財界がインフレターゲットと同時に為されなければならない賃上げをするつもりがないことなどです。いくら公共事業を行おうと、それで潤った業者が賃金として労働者に還元しなければ意味がない。今のままでは内部留保に回るでしょう。
賃上げなきインフレなど論外です。最悪のケースを考えると、内需は拡大せず、国内景気は冷え込んだままで国債だけが膨れあがるということになりかねません。
財界は輸出を当てこんでいるのでしょうね。円安になれば貿易収支が改善する。そこで国内消費の冷え込みをカバーできればいい・・・でもこれでは国民には何のメリットもないのです。物価は上がる、給料は上がらない、海外旅行へ行っても不利になるだけ・・・。
国家公務員に続いて地方公務員にも7.8%の賃下げ要請を自民は出したようです。
「連合」という組合は、参加の自治労を守るため、民主政権に国家公務員の賃下げを生け贄として差し出した経緯があるので、自業自得というか因果応報とは思いますが、それは別としても、労働者300万人、扶養者含め900万人の消費意欲の減退を招く政策は愚劣としか言いようがありません。
やはり安倍は小泉の継承者に任命された通り、基本的に新自由主義者です。
自公にはブレーキ役やブレーンがいるので、あからさまな「ムダの排除」とか「埋蔵金」とかの愚かな台詞を吐かないだけに過ぎません。
今のところ、私にはkojitakenさんの言われるように「自民党内での疑似政権交代が起きて、ネオリベ色の薄い内閣ができるのを期待する」しかないように思えます。
新自由主義政権は発足の頃は、一時的に経済が活性化することはあり、大東亜戦争の日本軍よろしく戦果に沸くことがあります。「○○の奇跡」などとよく称されます。
しかしこれも日本軍よろしく、やがて馬脚を表します。社会の矛盾が噴出してくるのです。日本ではもうこの段階まで来ているというのに、なぜ国民はそれでもネオリベに投票を続けるのか、もう理解不能です。
2013.01.16 23:02 URL | 飛び入りの凡人 #mQop/nM. [ 編集 ]
横槍すみません。
野次馬さんが伊賀さんにコメントしていたので
先に書きましたが問題点は流動性の罠かどうかではないということです。罠じゃないから通貨供給量を大量上るとも、罠だから財政政策をやったり、雇用を増やすとも言えてしまうので。
賃金の問題点わかってらっしゃるの、議論好きのかたと話す時は上に注意です。
あと合意的期待形成は全ての経済人は自分と他人の両方が何らかの合意をしているように二人にとって最適な決断をする期待をするといいもので。フィクションに近い理論でここでの話しには関係ないと野次馬さんはいいたいんだと思います。
因みに上の理論は情報の不公平性や伝達の時差が解消されない限りフィクションのままです。
2013.01.16 23:18 URL | 基礎固め 横槍 #RSP5Mz12 [ 編集 ]
召喚されているようなので…(自意識が過剰なわけではありません~伊賀さんのブログ参照~)
伊賀さんのところを退出してから、自分のブログに課された冬休みの自由研究をどうしようかと、一応悩んでたのですが、まず、論点整理が必要だなあ、その後、それぞれの論点についてどのくらいエネルギーが必要かなあ、それらを整理して、とりかかったはいいものの、途中でやり直しとかしそうだもんなあ…等々と考えて、踏み切れないでいるんですよね。
参考までに私がリフレ的?なものをネット上でお勉強する糸口にしているのは次のような人たちです。
http://b.hatena.ne.jp/yasudayasu/
http://d.hatena.ne.jp/himaginary/
http://www.anlyznews.com/
ちなみに、経済的なことについてをお勉強する糸口ですね。一応、エクスキューズしておかないと、こちらでは青筋を立てられてしまう部分のある人もいることは、承知しています。
とはいえ、やはり一つだけ確認したいのですが、伊賀さんは、既発国債の金利、新規発行国債の金利、国債の利回り、の3者の区別をされているのでしょうか。
2013.01.16 23:42 URL | suterakuso #- [ 編集 ]
【野次馬様へ】
私の言いたい理論の「フィクション性」については、基礎固め横槍さんが、既に書かれている様に、よく理論のモデル化で使用される変数(パラメーター)以外の事情については、暗黙に仮定する「その他の事情については同等・不変とする」という一言に尽きます。
> 「分配の不公平による構造的不況」はあり得るでしょうが、では2007年ごろの好況をどう説明するのですか。
それはリーマンショック前の時期ですから、米国のバブルによっても説明可能です。
> 最後にシカゴ学派の「合理的期待」論は本件とまったく関係がありません。
彼は自称「ニュー・ケインジアン」だそうですが、私は地元の浜松の書店で、クルーグマン氏の書いた「ミクロ経済学入門」なる本を見つけて仰け反ってしまい、パラパラ読み「他にもミクロの入門書なら良書は沢山あるのに」と、呆れた事がありますが、彼(クルーグマン氏)は、どうやら【摘み食い】と【単純なモデル化】が御得意な様なので、どの学派とかは関係無いのでしょう。
【suterakusoさんへ】
> 召喚されているようなので…
今になって、勝手な事をして、古寺多見さんに申し訳ないと思いました。
何故なら、貴兄は今回、ここでの議論と噛み合った話はされていないので…
> やはり一つだけ確認したいのですが、伊賀さんは、既発国債の金利、新規発行国債の金利、国債の利回り、の3者の区別をされているのでしょうか。
そんな金融の初歩まで、ココで貴兄にレクチャーする必要がありますか?…(それとも「買いオペ」の時みたいに貴兄がやるつもりですか?…苦笑)
2013.01.17 08:28 URL | 伊賀篤 #Xk9Ues7M [ 編集 ]
伊賀さん
①モデル化にあたってパラメーターをフィクスすることは当然であり、問題は何を変数とするか、またパラメーターの変化に気付くかどうかです。私が述べた実証された部分をベースとして将来を予測することこそ科学です。
②多種多様の金融商品があるから流動性のわなはない?Melzerは「金融政策は物価水準や経済活動に対して無力である」ことを「流動性のわな」と定義していますが(57ページ)、それはケインズの定義ではありませんし、よほどの異常な条件が満たされなければそうはならないでしょうね。
③仰せのとおり2007年の景気はバブルで説明可能です。つまりあなたの「不平等構造論」はバブルで乗り越えられるということになります。それこそアベノミクス。
④「合理的期待形成」とは合理的期待の仮定が成立すれば均衡は常に成立することを理論的に示したものです。原典にあたらずに用語を使うのはやめましょう。
⑤クルーグマンのポピュラーなものを読むよりも、理論的研究から入ることをお勧めします。彼の1984年からの理論的実績にはまことに注目するべきものがあります。
⑥「マネタリスト」とはフリードマンのように貨幣流通速度が一定で、金融政策は物価を上げるだけ、というものです。ケインズ経済学の対極です。
⑦最後に左の人間として言いますが、インフレターゲット論では分配に対する視点が欠けています。インフレは貸し手から借り手への所得移転を伴います。それが高齢の貯蓄者から若年の借り手への移転であれば公平と考えますが、これこそ全く簡単ではない。
2013.01.17 11:56 URL | 野次馬 #195Lvy4Y [ 編集 ]
【野次馬様へ】
①私が前に紹介した氏のモデル化…
http://krugman.blogs.nytimes.com/2011/10/09/is-lmentary/
http://web.mit.edu/krugman/www/japtrap.html
…において、これを貴兄は、現実の実態経済の分析として充分に考慮されたパラメータを持つ「将来を予測する」に足る充分に「科学的」な考察だと、果たしてお考えという事ですか?
(もちろん限定的だと御考えだとは思いますが)
②流動性の罠について、クルーグマン氏はそれを前提にして立論していると思うのですが、違いますか?(上記リンク先「is-lmentary」でのグラフのフラットな部分に関して)
③つまり貴兄も、一時的なら「バブルで乗り越えられる」という事は、裏面としてハブルは必ず弾けるという認識で居ると認識していると拝察されますが…それならば私と同じ認識です。
④「合理的期待形成」で均衡が成立するが故に、将来について合理的な期待を形成すると仮定すると財政・金融政策は無効となることが示されたとするのが、その学派の主要な結論の一つだと私は承知していますが、その学派と目される方の中から(あえて国内での代表的な方の実名は挙げませんが)現実の経済において…流動性の罠への対処としてはインフレターゲットだ!…という主張が聞かれるのですが。
⑤理論的研究という事で言えば、彼がノーベル賞を受賞した功績に含まれる、例えば比較優位のモデル化までを否定したい訳ではありません。
ただ、彼は日本について良く言及する事が多いのですが、その部分に限っては、例えば日本の国債発行残高等を過小評価しているのではないか?…思われる部分を感じるという事です。(それによる市場のマインドへの影響についても)
⑥私は彼が純粋な意味でのマネタリストだと言った覚えはありません。ただ彼が主張するインフレターゲット論については、後になってから流動性の罠に言及し始めた事を考慮しても、インフレ期待の効果に関して、上記の④の流れの議論を拝借しているのは事実だと思ってますが。
⑦貴兄が「分配に対する視点が欠けています」というのはその通りで、既にココのコメント欄でも、景気の遅行指数でしかない賃金上昇率の問題を挙げた方が居ますし、もっと劣悪なモノとしてトリクルダウンなどという破綻した論理への注意の喚起もありました。インフレ下における金利による所得移転についての視点もインタゲ論者には欠けていますね。
2013.01.17 14:01 URL | 伊賀篤 #Xk9Ues7M [ 編集 ]
同じニュー・ケインジアンの、ノーベル経済学賞受賞者である、Joseph E. Stiglit教授の、より控え目?な例…
http://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1022127/www.mof.go.jp/singikai/kanzegaita/giziroku/gaic150416.htm
古典的なマネタリズムには批判的ですが、政策において合理的期待形成を「仮定」する事は肯定なさってます。
2013.01.17 15:20 URL | 伊賀篤 #Xk9Ues7M [ 編集 ]
どうでもいいといえばどうでもいいんですが、城内実って外務政務官になってたんですね。アルジェリア事件で現地入りしたという報道で初めて知りました。当選は2.5回(補選を含むので)、離党経験ありで自民党の国会議員として過ごした期間は2年あまりに過ぎないのに、古巣の幹部として凱旋した姿を見て、かつてブログ主さんが、執念深さ、冷酷さといった資質と脇の甘さが同居する不思議で侮れない政治家だと書かれていたのを思い出しました。城内ウォッチャーとして感慨無量です。まあ外交で脇の甘さを露呈したら大変なことになりますから、ここは隠忍自重してネタを提供しないようにしっかりやってほしいものです。
2013.01.17 18:42 URL | pogemuta #- [ 編集 ]
>分離課税だらけの税制の見直しや、もうずっと続いている証券優遇税制(税率10%)を廃止して、所得税の累進制を強くした上で、消費税も増税すべきだと考えている
こういうことを管が消費税増税を言った時なぜ言わないのですか。留保つきでも消費税増税を主張すべきでした。
「リベラル」が新自由主義の最高の応援団だという認識はさらに強まりました。
証券取引の分離課税にしても民主党政権下では大した増税効果はなかったはずです。不公平感の問題だと思います。そうであれば利権打破のほうがはるかに重要でしょう。
それから明確に申し上げたいことは、無駄の削減こそ21世紀の福祉社会の不可欠の前提です。
無駄の削除がないと再分配の社会には決して進めません。
2013.01.17 23:37 URL | greenstone #- [ 編集 ]
greenstoneさんへ
>こういうことを管が消費税増税を言った時なぜ言わないのですか。留保つきでも消費税増税を主張すべきでした。
>「リベラル」が新自由主義の最高の応援団だという認識はさらに強まりました。
菅と菅派はブレアの第三の道路線派なんだから、根っこはネオリベですよ。
菅は公式サイトで「今日の一言」というつぶやきを毎日書き込んでるんですが、書いてる事は滅茶苦茶ですよ。
菅直人 今日の一言(リンク切れ)
http://www.n-kan.jp/2000/12/post-1650.php
>自由主義と社会民主主義
>2000年12月 9日 00:00 :
>自由主義と社会民主主義は間に保守主義を挟んで、
>遠い理念のように扱われてきた。
>しかしイギリスのブレア首相が提唱している
>「第三の道」は個人の自由と自由主義経済の「自由主義」に、
>セーフティーネットを重視する「社会民主主義」を統合した考えだ。
>我が国に置き換えてみると自民党は残念ながら「自由主義」政党とはいえない。
>自民党の本質は経済に政府が過剰に介入する「社会主義」型。
>つまり自民党は現状維持・守旧派の「保守主義政党」。
>民主党は自由主義と社会民主主義を統合・融合した理念を柱に
>すべきではなかろうか。こうした問題意識を持って明日から
>イギリス、イタリアなどヨーロッパに出かける。
これを読めばわかると思いますが、
>「第三の道」は個人の自由と自由主義経済の「自由主義」に、
>セーフティーネットを重視する「社会民主主義」を統合した考え
この主張というのは、文脈的には『自由主義経済の「自由主義」=新自由主義、ネオリベラリズム、新自由主義』ですよね。
社会民主主義は自由主義経済の一種であって、社会民主主義型の自由主義経済を否定し、その上で自由主義経済の「自由主義」と強調する以上、意味合い的にはそうなります。
菅の「今日の一言」での暴言珍言は他にも腐るほどあって、読む人が読めばネオリベの主張だとすぐにわかるもので、まずいと思った菅が過去の今日の一言を全て削除してる(笑)。
要するに民主党のリベラル勢力というのは、ヨーロッパのリベラルと同じで、新自由主義者達の集団に過ぎないんです。
大体、新自由主義とか言ってますけど、頭に「新」が付こうが「旧」がつこうが自由主義思想に由来する政治思想に過ぎないわけで、自由主義ですからね。
ヨーロッパで自由主義と言えば新自由主義、新自由主義者、ネオリベラリズムを指し、自由主義政党も「新自由主義政党」であるわけですが、当たり前の事です。
それから証券税制に関しては、社民党なら2012年衆院選マニフェストできちんと触れてますよ。
2012年衆院選選挙公約
http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/2012/manifesto2012_03.htm
>2.不公平税制を転換 ~大企業・高所得者に応能負担を!~1.所得税の累進性を強化します
>○所得税の累進性や税収調達の喪失原因である証券優遇税制(原則20%を
>所得税7%・住民税3%に軽減)は即廃止するとともに、税率の引き上げや総合課税化を追求します。
このサイトだとボロックソに叩かれてる社民党ですが、社民党が証券課税に興味がないかのような主張は流石に気の毒ですよ。
小政党なので、マニフェストや主張を知ってる人なんて殆どいないから、知られてないのは仕方のない面もありますが。
民主党のリベラル派みたいな、新自由主義軍団と社民党を一緒くたにするのは可哀想すぎます。
税制に関しては、共産党もマニフェストで力のこもった主張をしていて、なかなか良い事を言ってたりします。
結局、小政党になると、どんなにいい政策を唱えていても、見向きもされないって事なんですね。
左派政党に注視をしてるであろう人の集まってくるここですら、社民党のマニフェストについて知らない有様なんだから。
2013.01.18 16:55 URL | #- [ 編集 ]
私の批判をしてくれた人へ
HNが何か分らなかったのですが、私の批判をしてくれた人へ書きます。
その、何がネオリベであるとか、何が社会民主主義であるとかの議論は間違いだと思います。
個々の政策を議論すべきだし、そもそも社会民主主義とはどんな国の制度がモデルになっているのでしょうか。本来は旧東欧諸国がそれにあたるはずですが、そんなものは日本が採用する余地がありません。
「リベラル」の人に申し上げたいことは、好んで少数派に逃げ込むことは、ただの独善主義だということです。
これこそが「新自由主義者」に対する最大の応援となります。
2013.01.18 23:57 URL | greenstone #- [ 編集 ]
伊賀さん
①ISLMは初歩的です。しかし方向性を見極めるツールとしては使えます。見た目つたないから科学的じゃないとでもいいたいのですか。数理モデルを見たければ専門書でどうぞ。
②ケインズのいう流動性のわなは不均衡状態の分析です。均衡条件の解として流動性のわなが成立しないというのは批判にならないのです。Meltzer 1968はその見当違いの例でしょう。
④誰か知りませんがその馬鹿は流行を追っているのです。30年ぐらい前はシカゴ学派全盛だったし。
⑤日本国債の多くは郵貯保有です。政府は郵貯を破たんさせられるはずがなく、暴落説は「?」です。
⑥「インフレ期待の効果に対して云々」は趣旨不明です。名目金利がゼロ(わな)でも実質金利はデフレならプラス、そこへインフレ期待を起こせば実質金利が下がる、という簡単な話です。初歩の初歩。マネタリズムがどーしたとかいうのは隠語を作って専門家のふりをする日本人似非エコノミストの作文でしょう。
なお、Stiglizは「合理的期待形成を想定しても」(百歩譲っても)情報の非対称性があれば市場は最適解をもたらさない、といっているのです。ちゃんと読んでください。
2013.01.19 16:27 URL | 野次馬 #195Lvy4Y [ 編集 ]
野次馬さま
①宜しければクルーグマン氏の書いた、日本にインフレターゲットが効果的だという、充分に説得的モデルと思われる著書を、もし貴兄が読んだ事があれば、著書名をお教え下さい。
②不均衡状態をミクロ的な基礎付けを持って説明して罠を証明した人が誰か居るのですか?
⑤もし国債が暴落した時に、郵貯を破綻させない為に財政投入がされれば、ますますインフレがハイパー化しそうですが?
⑥貴兄は「インフレ期待を起こせば実質金利が下がる」と言いますが、いわゆる長期金利についても、同じ事(中央銀行によるコントロール)が起きると断言できますか?
2013.01.19 17:37 URL | 伊賀篤 #Xk9Ues7M [ 編集 ]
追記です。
> ⑤もし国債が暴落した時に、郵貯を破綻させない為に財政投入がされれば、ますますインフレがハイパー化しそうですが?
上記は財源(税収)が現状レベルを前提にしたして、新規国債発行が無い場合を度外視していると言われそうですが、1000兆円と言われる日本の債権残高を考えれば、並の増税では追いつけませんし、替りに日銀による買い支えを期待するなら、尚更のハイパーインフレを容認するのと同義です。
根拠の無い楽観論っていうのは、ハイパーインフレになっても、資産を金や海外資産に移動すれば良いだけの富裕層や、物価スライド賃金が約束されている一部の人の、ポジション・トークでしかありませんね。はっきり言って無責任です。
2013.01.19 19:33 URL | 伊賀篤 #Xk9Ues7M [ 編集 ]
このコメントは管理者の承認待ちです
2013.01.19 22:04 | # [ 編集 ]
greenstoneさんへ
第三の道について書き込んだ者ですが、私はリベラル派の擁護者ではありません。
だからgreenstoneさんを批判する意図はなく、書き込ませて貰いました。
新自由主義者のリベラル菅を、
>「リベラル」が新自由主義の最高の応援団だという認識はさらに強まりました。
と批判するのは、批判の仕方として変だったの、それは違うよと申し上げたまで。
ただ、書き込みを見させてもらって分かったのですが、どうやら社会民主主義に対する誤解があるようですね。
社会民主主義という場合、手本としているのはドイツ、フランス、北欧などの西欧諸国であり、旧共産圏の東欧ではありません。
日本の社民党も綱領上は完全に西欧社民政党に準じた政党となっていますし、その事は、マニフェストで証券税制について触れている点で理解できると思います。
社民党が修正マルクス主義政党であった時代なんて、今でも社会主義協会の名前を出してネガキャンする人がいますが、もうずっと前の話です。
菅が大好きだったイギリス労働党の第三の道路線ですが。
この路線は、新自由主義に批判的だった西側社民を破壊し、新自由主義に傾斜させた路線として非難を浴びています。
ドイツ社民党も、第三の道を真似て新中道と呼ばれる路線を取ったものの、大失敗し、同路線を否定しています。
ですので欧州の社民政党としては異質の存在なんですよ。
だから、菅、菅派、民主党のリベラル派が、たとえイギリス労働党の第三の道路線を真似ていたとしても、リベラル=欧州社民とはならないんです。
民主党リベラル派の根っこはネオリベで、彼らは「新自由主義者」に対する最大の応援をしているわけではなく、彼ら自身が、新自由主義者なんです。
民主党が、欧州社民という言葉を使うのは、支持者を騙して票を稼ぐツールであって、中身が本当に欧州社民であるわけではありません。
昔の菅の主張なんて、本当に傑作ですよ。
「日本にもサッチャリズムが必要だ!」とまで豪語してますから。
新自由主義改革を推進する件に関し、リベラル派がそれを正当化するロジックは、こういうものでした。
「第三の道に至るには、第一の道(福祉国家)、第二の道(新自由主義)が必要。だから新自由主義改革が必要だ」
リベラル派による新自由主義肯定には、批判もあったものの、反対派の声は極左のレッテルを貼りつけて圧殺しました。
またこのロジックには飛躍がある為、実際には、菅らリベラル派は改革を進めたくて、正当化の言葉が欲しかっただけなのでしょう。
民主党の事を知らない人は、菅らリベラル派が新自由主義と対峙し、抑え込もうとしていたと認識しいる人もいますが、実際はそうじゃないんです。
菅ら左派も前原野田ら右派も全員グルなんですよ。党内の左右が一体となって、新自由主義を進めようとしてきた。
民主党が新自由主義政党と呼ばれているのは、レッテルを貼っているのでなく、きちんとした根拠のある話だという事です。
ちなみに菅らリベラル派みたいな政治勢力の事は、左側の新自由主義という事で、左派新自由主義とか、新自由主義左派とも呼びます。
隣国韓国では新自由主義政策を実施した盧武鉉政権の事を左派新自由主義と呼んでましたよね。
現在の日本において、西欧の社会民主主義政党に該当する政策を唱えているのは、社民党、及びその左にいる共産党だけです。
この件に関しては、ブログ主さんも、記事の中で同様の記述をされていますよね。
>ヨーロッパでは大きな勢力を占める社民主義的な政策を掲げる政党は左翼2政党だけになった。
この件について説明するなら、例えば、フランス社会党の話が、最近話題によく出ています。
政策としての距離間では、新自由主義的な民主党より、社民党の方が遥かに近い。
フランス社会党は、第三の道を支持する右派と、伝統的な社民主義を支持する左派が激しく対立してきました。
右派が中道派のバイルと組み、党が分裂するという噂が絶えなかったくらい、対立が激しかったんです。
しかし、世界経済危機があり、第三の道の後退に伴い、近年になって左派側が強くなりました。
オランド大統領が左派色が強いのも、党内左派の主張を呑んだからで、伝統的な社民主義色が強いという事です。
第三の道より左に舵の切れない民主党が、フランス社会党に政策的に近づく事なんて出来るわけがないんです。
好んで少数派に逃げ込む、独善主義、と言われましたが、そういう事ではないんです。
そもそもフランス社会党のような社会民主主義は少数派なのだから、日本国内でフランス社会党と同じ主張をすれば、少数派になるんです。
むしろ私は、民主党リベラル派を「新自由主義の応援団」としてバシバシ叩いて下さる事を大歓迎してます。
民主党は、票が集まるとなれば社会民主主義を偽装し、その実、中身は新自由主義のネオリベで、悪質な集票詐欺手段に過ぎません。
リベラル派を支持している人達の中にも、リベラルの実態に気づき、民主支持をやめる人が増えてますが、もっと多くの人に目を覚まして欲しいですから。
民主党も、リベラル派も、解体しなければ欧州型の社民勢力を再建する事は不可能だとの認識ですので。
2013.01.19 23:05 URL | #- [ 編集 ]
このコメントは管理者の承認待ちです
2013.01.20 19:21 | # [ 編集 ]
伊賀様
①私はISLMで十分だと思っています。
②ほう、ケインズを否定するのですか。「わな」どころか「有効需要」ですら「ミクロ的基礎付け」からしたらおかしい。でも(最初から言っているように)ケインズは有効です。
⑤勘違いされているようですが、郵貯を支えることと国債を買うこととは別です。前者は貯金者の郵貯に対する信認を支えること。民間ならば資本投入ですが、郵貯銀行の場合は国が株を放出しないこと。
⑥時間選好などの家計行動だけで金利が決まるのなら「長期」金利を中銀が操作できるのはおかしい。がしかし、現に操作されています。
2013.01.21 13:18 URL | 野次馬 #195Lvy4Y [ 編集 ]
【野次馬さま】
もう、これで私からは最後にしますが…
①要するにクルーグマン氏に、日本にインフレターゲットが効果的だという、充分に説得的モデル化を果たした著書などは無いという事で、貴兄も「ISLMで十分」だと考える事だけが「科学的」という認識の根拠でしかないという事は解りました。
②これからミクロ的な基礎付けが出来ない限り、現状のマクロ経済学の混迷というか…現実に対して充分に説得的な【科学】としての統一は出来ずに、これからも学派によって言う事が違うという、いつまで経っても無責任な各学者の個人的な「言説」に過ぎない事になるでしょう。
⑤郵貯の持つ資産(国債)の価値が幾ら目減りしようと、政府が株を放出しなければ、郵貯は持ち堪えるとでも?
⑥金融の現場では「長期」金利は、市場が将来を先取りして動く為に、中銀のコントロールが本当に完全な制御が出来るなどと考えている人間など皆無でしょうし、もしそう(制御可能)なら財政破綻する国家など中銀の過ち以外には存在し無い様にも思えますが?
もっと【実証科学】とは現実に対して謙虚であるべきと、物理学出身の私は考えます。
2013.01.22 10:53 URL | 伊賀篤 #Xk9Ues7M [ 編集 ]
⑥時間選好について…(参考:日銀のHP)
長期金利の決まり方……将来の「予想」が大事 :日本銀行 Bank of Japan
http://www.boj.or.jp/mopo/outline/expchokinri.htm/
日銀自身が、長期金利は短期金利と異なり「期待」を基にした相場によって決まり、コントロール下には無い事を認めてますが…(苦笑…これは金融の基礎でしょう)
つまり現在の日本の長期金利が1%未満だからといって、これを決して「操作されています」と言える訳では無いという事です。(これから長期金利は上昇するという予想が大勢で、何処まで上昇するかについては不透明というのが今の論調です)
2013.01.23 11:24 URL | 伊賀篤 #Xk9Ues7M [ 編集 ]
伊賀さん
政策は予想に影響します。それを通じて目標をコントロールすることは可能です。
2013.01.24 13:07 URL | 野次馬 #195Lvy4Y [ 編集 ]
>HN不明様
では日本では社民主義勢力が伸びるにはどうすればいいのでしょうか?
安倍政権もカテゴリー的には新自由主義に入ります。公共事業の増加で一見カモフラージュされていますが、基本的には小泉政権を引き継いだ政策です。
アベノミクスが失敗に終わった時、取って代わる政権が思いつきません。人気で言えば維新の橋下でしょうが、彼の姿勢はさらに過激な新自由主義です。みんななんて政策的には維新とほとんど変わりません。本来なら合流してもいいくらいです。
つまり安倍が失脚した時に伸びるであろう勢力が、さらに悪いものになることが予想されます。これを考えると、少なくともここ数年は、さっさと安倍に馬脚を現してもらい、穏健保守の(言いようによっては旧来利権政治ともなりますが、ネオリベよりはいいでしょう)総裁になってもらうしかないと思います。
社民党や共産党が証券優遇税制を批判していることは知っています。しかしそれが表に出てこないのです。マスコミは分離課税そのものすらまともに報道しようとしないので、年収1億を超えると税負担率が下がるという事実を知っている人も少数派です。
有権者は経済が好転しない原因をろくに知らされていないというのが私の思うところです。なんでも既得権とか利権とかに結びつけてしまい、これをバッシングする報道を以てのみ判断材料としています。
だから総観的な経済政策ではなく、木っ端役人の給料を下げろとかのつまらないことが判断材料になってしまうのでしょう。
2013.01.24 23:11 URL | 飛び入りの凡人 #mQop/nM. [ 編集 ]
野次馬様
これで最後にします。
> 政策は予想に影響します。それを通じて目標をコントロールすることは可能です
その【政策】がインフレターゲット論であれば、長期金利は上がりますし、かつ新規国債による財政出動であれば、国債への信頼(一部では国債バブルとさえ言われる日本の国債への過剰信用※)は、実際のインフレの進行に伴い崩れていく(国債を保有し続ける魅力が損なわれる)でしょう。
※
http://www.world401.com/saiken/kokusai_iran.html
その結果、現在は日本の金融機関が持っている国債が市場に放出され供給過剰になり、国債の値崩れと長期金利の更なる上昇を伴い、市場で日銀が買オペをして買い支える事が、ますます(総需要の増加を伴わない)インフレがハイパー化していく事になり(通貨供給量が増え)、資産を持たず金や海外資産に避難させる事が出来ない貧困層=持たざる者にとっては、悲劇的な未来が来るでしょう。
ケインズやらISLMの分析だけでは見えてこない、こうした現実を根拠にした不安には、明確に答える事が出来ないのが、現在の経済学という「科学」の限界ではないでしょうか?
2013.01.26 12:05 URL | 伊賀篤 #Xk9Ues7M [ 編集 ]
伊賀さん
伊賀さんのブログでのこと等がありますが、それでもあえて質問いたします。素人視点に対して、もし、よろしければ解説していただきたく存じます。
>その【政策】がインフレターゲット論であれば、知長期金利は上がりますし、
インフレターゲットとは、インフレ率を基準として政策判断をする金融政策だと理解しています。今、日本で考えられているのは、消費者物価のインフレ率が2%になるように公開市場操作をする、2%を過度に超えれば、金融引き締めに転ずる、ということではないでしょうか。ということは、2%のインフレ率に見合う金利に落ち着くということにはならないのでしょうか?
>その結果、現在は日本の金融機関が持っている国債が市場に放出され供給過剰になり、国債の値崩れと長期金利の更なる上昇を伴い
(インフレ率や財政危機の深刻化ではなく、)既発国債の利回りの低下自体が、新規発行国債の額面上の金利に影響を与えるのでしょうか。
>市場で日銀が買オペをして買い支える事が、ますます(総需要の増加を伴わない)インフレがハイパー化していく事になり(通貨供給量が増え)、
日銀は、国債を買い支えるために買いオペをするのでしょうか。ハイパーインフレの局面に入ろうとしていると判断するのなら、政府に増税等の手段により自ら信用を維持するように求めないのでしょうか。今がまさしくその局面で、日銀は政権に求めるどころか押し切られたという主張もできるでしょうが、デフレから制御するタイミングもなくハイパーインフレに突入するものなのでしょうか。
それから、これは別の場所での話に対する質問になりますが、ハイパーインフレを確信的に予想して短期固定金利ローンの金利上昇に怯えている人は、その確信的な予想に従って早期に長期固定金利ローンに借り替えることで、ロスを最小限に抑えることはできないのでしょうか?
このレベルの質問に、観察者が多いこの場所で回答することに意味があると判断されるのでしたら、お答えいただきたく存じます。
2013.01.26 14:48 URL | suterakuso #- [ 編集 ]
あくまで私の考えです。
> 2%のインフレ率に見合う金利に落ち着くということにはならないのでしょうか?
> (インフレ率や財政危機の深刻化ではなく、)既発国債の利回りの低下自体が、新規発行国債の額面上の金利に影響を与えるのでしょうか。
初歩的な質問ですが、以前にリンクを張った日銀のHPの様に、長期金利(実質)は、市場によって決まるので、もしも市場で国債の価値が暴落(=つまり既存発行国債の約定金利では誰も買わない紙切れ同然になり、新規発行国際は市場で決まった長期金利以下の約定金利では全く売れなくなる)という事になった場合に、今の国の財政は国債依存であり国債の利子を新規発行国債で賄っている有様ですから、財政維持の為の利払いすらできなくなる政府のデフォルトを回避する為と、これまで貸し渋り分をの国債の保有で賄っていた民間(郵貯を含)金融機関の一斉の経営破綻を避ける為に、日銀が出来る事は、せいぜい紙幣を刷って民間(郵貯を含)金融機関から買い支える事だけですから、そういう事態が起こった時に、現在の経済学の想定するモデルでは2%に落ち着く保障など無いのです。
> 日銀は、国債を買い支えるために買いオペをするのでしょうか。ハイパーインフレの局面に入ろうとしていると判断するのなら、政府に増税等の手段により自ら信用を維持するように求めないのでしょうか
国債の暴落などという短期的な市場の動きに、ちんたら増税で信用回復しようという動きが間に合うのかというのは(海外の例を見ても後の祭りだという事は)置いておいても、国民に耐えられる並の増税の比率では、1000兆円の債務(金融商品)の暴落などは止められると考える方が馬鹿げてます。
だから、安易なインタゲ論などを、膨大な債務が無い国ならいざ知らず、そこの危険性を見ずに…日本などでは唱える事自体が無責任の誹りはまのがれないと思うのです。
ではどうすればソフトランディングできるかと言えば、安倍総理が最後に出してきた3本目の矢である【成長戦略】と、国内の総需要を減らした所得の再分配機能の弱体化を、今のウチに変える事で、徐々に債務残高を減らしていくしか無いというのが、私の考えです。
> 短期固定金利ローンの金利上昇に怯えている人は、その確信的な予想に従って早期に長期固定金利ローンに借り替えることで、ロスを最小限に抑えることはできないのでしょうか?
そうですね。もうスグに返済が終わる人なら安い変動金利のままでも良いでしょうが、3年固定の人なら10年固定とかに借り換えしておけば良いというのは、今やネットを検索しても賢い住宅ローンだと言われていますね。
(今ならまだ長期金利も安いですし)
2013.01.26 18:28 URL | 伊賀篤 #Xk9Ues7M [ 編集 ]
伊賀さん、ご回答ありがとうございます。参考にさせていただきます。
2013.01.26 22:24 URL | suterakuso #- [ 編集 ]
景気動向に左右されない消費税は、税制の景気自動安定化機能を弱
め、特に不況時の低所得者に苛烈な負担を強いる事から社民主義者
こそ『消費税は必要不可欠な安定財源』との立場からきっぱり距離
を置く必要が有ります。
景気と財政の安定は、不況時には日銀の長期国債買い入れと税収低
下による景気の刺激、好況時には累進税制による税収増とバブル抑
制効果、そしてGDPの拡大を利用して実現するべきです。
デフレ不況期においてすら、日銀による国債買い入れよりも、消費
税による財源確保を優先するならば、社民主義者は国民の関心が最
も高く得票効果の見込める景気・経済の分野において能動的なアピ
ールが出来ずに、自民党の後塵を拝する事になるでしょう。
むしろ、『消費税撤廃・社会保険料減免』『長期国債の日銀買い入
れ』『直接税の累進大幅強化』のような提案まで踏み込むべき時の
はずです。
1998年参院選で達成した819万票という得票のピークから共産党が
後退しだした時期も、消費税減税論を無責任と述べて撤回した時期
と重なります。
国債の実質金利が上昇するとしたら他に有望な投資先が出来た結果
国債に投資する意味が薄くなったり、企業や家計がどんどん貯蓄を
取り崩して国に金を貸せなくなるような状況が必要なので今現在心
配する必要はありませんし、もしそうなれば税収のほうも大幅に伸
びるでしょう。
ハイパーインフレについても同様の大規模な需要超過が必要なので、
未来の党や社民党の単独過半数を心配するような意味の無い議論だ
と思います。
2013.02.12 01:14 URL | 牛 #- [ 編集 ]
牛さんへ
> ハイパーインフレについても同様の大規模な需要超過が必要なので、未来の党や社民党の単独過半数を心配するような意味の無い議論だと思います。
ハイパー・インフレが需給ギャップだけで起きると考えているならば、それは貴兄の無知を表しています。
財政破綻国でのインフレ率については、下記を参照して下さい。
http://www.world401.com/saiken/default_infre.html
今後、インフレ期待によって、長期金利は上昇するものというのが、常識です。
長期金利の決まり方……将来の「予想」が大事 :日本銀行 Bank of Japan
http://www.boj.or.jp/mopo/outline/expchokinri.htm/
長期金利の意味は、上記の日銀のHPにもある様に、10年もの国債の利回りと(ほぼ)同義であり、長期金利上昇=国債価格低下というのは、金融の常識です。
その上で、既存発行国債の大部分は、日本の金融機関が持っていますが、インフレターゲット期待で長期金利が上昇すれば、既存国債を保持し続ける魅力が無くなり、金融機関は実際のインフレ率が2%でも含み損になり(※)金融機関の経営を圧迫して信用不安が生じますから、国債市場では売り超過の状態になり、政府のデフォルトや、国債暴落による金融危機を避ける為に日銀が買い支えれば、市場への通貨供給量は膨大なものになり、結果としてハイパーインフレは起こりえます。
※
日本の既発国債が、2%程度のインフレに弱い事は証明可能です。
下記のURLの長期金利の推移グラフを見て下さい。
http://www.bb.jbts.co.jp/marketdata/marketdata01.html
過去10年の間で2%を超えた事がありません。
それでも、満期まで待てば、国債には利率が付いて戻って来るのだから、含み損のままでも、金融機関は、国債を保持し続けるという議論もあるかもしれませんが、私はこれには懐疑的です。
例えば、ケインズの「美人投票」の喩えがあります。(↓)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%8E%E4%BA%BA%E6%8A%95%E7%A5%A8
上記のリンク先の中で、ケインズの当時には無かった現代ゲーム理論におけるナッシュ均衡についても触れられていますが、それは(均衡解は)候補者の数だけ存在して常に全員一致となります。
また、ゲーム理論と言えば「囚人のジレンマ」…
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9A%E4%BA%BA%E3%81%AE%E3%82%B8%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%9E
…という現象がありますが、上記のゲームでは、結局は全員が裏切り、次善の利得しか得られない事がナッシュ均衡解になります。
ここで注意したいのは、上記の利得表に、互いに裏切らずに黙秘を貫いた場合より利得が少なくても、裏切れば次善の利得が得られるという誘因がある事です。
例えば、国債の場合で言えば、含み損があろうが保有し続けるという選択肢しか無ければ、誰も裏切らずに全員が最高の利得が得られるでしょうが、変に日銀が甘い顔をして国債を買うなどという選択肢を与えると、それが次善でしか無くても、それしか価格下落時には選べなくなってしまうという事になってしまうので、あくまで日銀は国債を買い支えるなどという甘い顔など決してしない事(政府からの独立性を守る事)が、さらに重要になってくる訳です。
話が逸れましたが、非協力ゲーム理論では、こういう事は良くある事で、自分の金融機関だけでも暴落のボトムの前に早く売り抜けて国債の含み損による経営圧迫を避けようとする集団心理が働き、ゲームのナッシュ均衡解が「囚人のジレンマ」という状態では各プレーヤーにとって必ずしも最高の利得を得られない所に落ち着く現象でしょう。
(この非協力ゲームの利得表には、最低でも国債の暴落による金融破綻を避ける為に、日銀による買い支えで救済されるという、現実的な利得が、ちゃんと載っていますからね)
一般的には、こういう現象は変に見える事かもしれませんが、何かの暴落時には、何も国債に限らず、投機筋では一般的にも見られる現象です。
現在の不況が経済グローバル化を背景とする貧困層の拡大による消費停滞に起因する構造的な性質を有するという点も、2007年までの金融緩和による「戦後史上最大の好況期」が基本的に輸出大企業に恩恵を齎すもので、国内市場は依然として「不況」という認識であった事からも、すでに証明済みかと思います。
これが歴史的に証明された事実だとするなら、その対策も、ほぼ限定されるでしょう。
つまり、上記の「不況」の原因である貧困化への対策として、安部内閣の方針では全く不充分な、所得税や相続税などでの、富裕層への増税を更に大胆に断行して、安倍氏が軽視する所得の再分配を本格的に再構築するに当って、積極的な労働政策(失業者等への成長産業に適応できる再教育等を含む政策)と、産業構造改革=これからの成長産業育成(39番のコメントで述べた様な)への労働力集中による失業率やら、相対的貧困率の改善しか、生き残る道は残されていない事は、論証を待つまでも無く、限定されるのです。
上記の構造的な不況下で、インタゲ政策が齎すものは、単なる…一時的な金融バブルでしか無い事になりますし、それ(バブル)が弾けた時には、日本の国債は大部分が円建てですから、デフォルト(債務不履行)にはならないでしょうが、それを避ける為に日銀による国債の買い支えをせざるを得ない事態は充分に考えられ、結論としてハイパー・インフレは起り得ますし、それを説得的に論破する議論には、未だに私は御目に掛かってません。
2013.02.12 15:50 URL | 伊賀篤 #Xk9Ues7M [ 編集 ]
追記します。
インフレ期待⇒長期金利上昇⇒僅か2%のインフレでも既発国債を保有する金融機関にとって含み損となる⇒国債暴落⇒日銀買支えのシナリオ…が実際に起きた場合に、ゲーム理論の初心者にも解る様に、単純化した国債暴落時のゲーム利得表を(少し具体的に)作ってみました。
http://6560.teacup.com/nozomi/bbs/323
(画像をクリックすれば拡大します)
この利得表の前提条件は、あくまで仮のものなので、そりゃ文句の有る人も居るでしょうが、私はソコを問題にしたいのでは無く、あくまで非協力ゲーム(一般的な市場経済)では、つまり各プレーヤーが他者の行動に対する保障が無いという条件では、最高の利得が得られない状態がナッシュ均衡となる、いわゆる「囚人のジレンマ」が生じる事を示して理解を頂く事が、私の目的ですので、誤解の無い様に願います。
※注記事項を良く読んで下さい。
トラックバックURL↓
http://caprice.blog63.fc2.com/tb.php/1286-8343574e
[小沢一郎]小沢一郎の本質は「権力闘争中毒患者」だ
昨日公開した きまぐれな日々 「日本未来の党」惨敗の原因は支離滅裂な経済政策にあり に、こんなコメントをいただいた*1。 終わった政治家、小沢一郎。 何をしたかったのかも分から
2013.01.16 09:06 | kojitakenの日記
税制再論とアベノミクス批判
今回は、丁度1年前に本ブログで扱った税制に関する議論である…
「仮にも「税と社会保障の一体改革」と言うなら留意するべき点」
http://blue.ap.teacup.com/nozomi/127.html
【2012/1/15日付け記事
2013.01.30 09:03 | 伊賀篤のブログ