しかし、金子勝氏のTwitterを見ると、『サンデーモーニング』のような番組はむしろ例外で、「大飯再稼動問題は国民的関心事なのに多くの番組も回避」しているのだそうだ。
再稼働そのものにもまして問題なのは、野田首相が「原発政策の道筋を示していない」ことだ。たとえば朝日新聞編集委員(元論説委員)の竹内敬二記者は、「すべての原発を動かさないのも、多くの原発をなし崩しで再稼働するのも現実的ではない」とする立場をとるが、「事故の検証と総括がないまま再稼働すれば、再び大事故が起きるのではないかとの不安が消えない」、「事故の分析をふまえた根本的な安全対策や基準はまだできていない」、「電力不足について、政府や電力会社は突き詰めた電力需給のデータを示していない」などとして拙速な再稼働に反対した。同記者は「このまま政府が再稼働を押し切れば、国民との信頼関係は再び崩れ、炉心溶融を起こした東電原発事故に続いて、失敗を繰り返すことになる」と警告した。この記事が朝日新聞に掲載されたのは4月14日である(同日付の『kojitakenの日記』で記事の要旨を紹介した)。
しかし、野田首相は竹内記者が「現実的ではない」と評した「多くの原発をなし崩しで再稼働する」という方針をずっと持っていて、タイミングをずっと測っていた。それ以外には解釈できない。
私がこの記事で特に訴えたい対象は、「そうはいっても原発を再稼働しなければ関西が電力不足になってしまうんじゃないか。再稼働は仕方ない判断だ」と思われている読者、その中でも特に「基本的には脱原発が望ましい」との考えを持っておられる読者の方々である。現状の延長線上には、「多くの原発のなし崩し再稼働」しかあり得ないことを知っていただきたいのである。漠然と、「そうはいっても民主党政権下では緩やかな『脱原発』が進むだろう」などと楽観視しているあなた。事態はあなたが期待しているようには決して推移しない。
このところの原発をめぐる議論は何から何までまやかしだらけだ。たとえば「2030年の原発依存度15%」がいかにも「脱原発依存」の中庸の解であるかのような誤った印象操作がなされているが、『kojitakenの日記』の昨日(10日)の記事「『野ダメ』と関電の黒い企みを許すな」で指摘したように、原発の「運転開始から40年で廃炉」の原則を破って「40年超」の運転を認めるか、原発を新規に建設するかのいずれかを行わない限り、「2030年の原発依存度」を15%に保つことなどできない。何もしなくても、老朽原発が年を追って増えるため、自動的に原発依存度がそれ以下に下がってしまうからだ。つまり、「2030年の原発依存度15%」とは紛れもない原発維持の政策なのである。
私が特に暗い気持ちになるのは、財界を牛耳っている経団連や労働界を牛耳っている連合にそれぞれ強い影響力を持つ「電事連」と「電力総連」のマインドと、多くのメーカーのマインドとの間に大きなギャップがあることを知っているからだ。日本には環境・エネルギー関係の優秀な技術があるが、電事連や電力総連の意を受けた政府の「なし崩し原発再稼働・原発維持ないし推進」の政策は日本の製造業が伸びる芽をあたら摘んでしまうものなのである。実質的に破綻している東京電力や、まともに推移すれば今後10年内に経営が立ちゆかなくなる関西電力を守ることは、日本の産業の可能性を閉ざしてしまうことを意味する。それを痛感するからいやでも気持ちが暗くなる。経団連は決して日本の産業会を正しく代表していないし、電力総連は決して日本の労働界を正しく代表していない。このことを口を酸っぱくして訴えたい。
しかし、守旧的な「野ダメ」こと野田佳彦首相に代表される保守政治家たちはみな無能だから、本来退出を迫られて然るべき「原子力ムラ」を温存しようと躍起になっている。「まず脱原発依存の大方針を明確にする」つもりなど全くない。その必然的帰結として大飯原発3,4号機の再稼働は間違いなくあらゆる原発のなし崩し的再稼働につながる。だから今回の野田首相の再稼働すべきとの意思表示には断じて賛成できないのである。何よりも私が憂えるのは、野田政権や経団連や電力総連や読売新聞や産経新聞が、日本の産業の未来を損ねようとしていることである。それこそ、前回のエントリのコメント欄で小沢一郎支持者(信者?)の風太さんに教えていただいた金子勝・神野直彦両氏の共著(私も早速買って読みました。風太さんどうもありがとう)のタイトルにあるような「失われた30年」を招きかねない。いや、野田政権のあとに現れるのが自民党の政権復帰にせよ橋下「維新の会」政権の誕生にせよ、野田政権よりさらにひどいものになる可能性がきわめて高い(特に後者は最悪だ)から、私はもうこの国の未来に匙を投げたくなり始めている。
そんな私が現在一番イライラしているのが、したり顔で「原発再稼働は仕方ない」と口にして自らを「現実主義者」だと思い込んでいる人たちである。私とて、前記朝日の竹内記者と同様、日本の産業に支障をきたすことを防ぐために、今後原発の再稼働が必要になる局面が生じる可能性もあり得ると考えているが、再稼働の大前提は、竹内記者が簡潔にまとめたように、政府が「脱原発(依存)」の大方針を明確に打ち出すことであり、東電原発事故の検証と総括をなすことであり、根本的な安全対策や基準を作ることであり、突き詰めた電力需給のデータを示すことであり、新しい規制機関を早く立ち上げることだ。だが、そもそも「脱原発」の立場に立たない野田政権はこれらを意図的に怠り、なんとしてでも一刻も早く原発再稼働の既成事実を作ることばかりを考えてきた。だからダメな野田。
国会事故調もひどいものだ。民間事故調とは対照的に、東電及び「原子力ムラ」を免責し、東電原発事故当時の菅直人政権の対応にのみ責任をかぶせようとしている。これまで原発推進政策をとってきた責任をとりたくない二大政党(民主・自民両党)の思惑が反映されている。
特に呆れるのが、大阪で橋下徹の「思想調査」の下手人を務めた野村収也という人物の暗躍である。東電が原発事故を起こした福島第一原発から「撤退」しようとした件については、朝日新聞は東電が全面撤退しようとしたと主張しているし、読売新聞はそれは誤解だと主張している。状況証拠は朝日の主張(及び民間事故調の結論)の方が正しいことを示しているが、野村修也の言動は東電・原子力ムラ・読売・産経・自民党側に立ったものだ。それは、『kojitakenの日記』にも引用した読売新聞記事に端的に示されている。
この件に関して、前記『kojitakenの日記』に寄せられたgreenstoneさんのコメントを紹介する。
greenstone 2012/06/10 18:18
久しぶりにコメントいたします。腹の立つことが多かったもので。
この野村というのは、いわゆる弁護士ではなく商法の研究者である。
なぜ商法の研究者が専門外の原発事故の問題に出てきたのか。
野村は長く政府機関で仕事をしてきたこと、そして企業法たる商法の専門であったことから、官僚利権、電力業界の利益を代弁してくれることが期待されたのでしょう。
私は、菅元首相の事故対応は本人が語るような最善のものからは程遠いと思います。
批判検討は十分になされるべきです。
しかし、あの事故で経産省東京電力が事故対応を主導していたらどうなっていたか。
最終的には米軍が主導し自衛隊が実行部隊として収束を図ることになったと思います。
橋下の下手人・野村修也とはそういう男らしい。道理で橋下があっさり原発再稼働を容認するわけだ。橋下は「停電リスクに怖気づいた」などと言っているが、事故の究明も総括もなく、安全基準もないまま、事故を起こしたものと同じカテゴリのプラントを稼働させるリスクについてはとんと念頭にないようだ。こんな人間を「脱原発に頑張っている」など評価してきた人たちは、まことにおめでたいとしか言いようがない。
「野ダメ」も橋下も、もう顔も見たくないが、当分の間はいやでも見せつけられるのだろう。いい加減うんざりする。
- 関連記事
-
- 新自由主義勢力同士の内紛より、民自公の「暴走」を止めよ (2012/06/25)
- なし崩し原発再稼働と「40年超運転」を目指す「野ダメ」 (2012/06/11)
- 大飯原発再稼働と「野ダメ」(野田佳彦)と橋下徹の今後 (2012/04/09)
野田アホンダラ総理が、記者会見で、安全は保障されたなどと言いつつ、現段階の安全基準は暫定的だと言ってみたり、30項目の対策を先取りしたと言いつつ、実際には30項目の中には未実施の項目が多く含まれる事に言及しなかったり、あの「政治決断」なるものに、全く論理的な一貫性が無く、唯一一貫しているのは、財界の利益だけという事は、見る目の有る人間なら、きっと判ると思います。
それより、野田アホンダラ総理が、自分で口にしていた「脱原発依存」などを本気で考えてなどい無い事は、脱原発に向けた具体的なエネルギー戦略を、何一つ語ってい無い事でも明らかです。
拙ブログの記事で恐縮ですが…
「日本の今後のエネルギー政策に関して」
http://blue.ap.teacup.com/nozomi/131.html
…みたいな、不安定供給という宿命を持つ自然エネルギーを、産業用の電力も含めて安定的に利用する為の、エネルギーの大量貯蔵(少なくとも数十日分?)なんて事は、考えても居ないのでしょう。
まぁ、日本の産業の新しい展開の目を、こうして自ら摘んでいるのが、野田アホンダラ民主党政権というのには同意ですが、もっと大事なのは、民主党に代替できる【本物】の、普遍的人権の実現を旗印とした【左翼】の構築であり、それ無くしては、一度目の悲劇は、何度でも(その度に深刻となる)喜悲劇として、これからも歴史において繰り返されるでしょう。(拙日記でも書きましたが)
それには既存の自称【左翼】の解体に近い抜本的な体質改善と、草の根からの【新しい運動】を、起こしていくしかありませんね。
道は遠い様に見えますが、頑張りましょう!
2012.06.11 10:03 URL | 伊賀篤=勉強不足のJCP党員 #Xk9Ues7M [ 編集 ]
関西人は関電に脅迫されてるようなもんですよ
生きるか死ぬかしか選択肢がないところまで来ています
2012.06.12 03:56 URL | 禁止ワード #- [ 編集 ]
私も脱原発派ですが、他の脱原発派の人たちとは少々違うように思います。というのは私は原発推進派の言っていることはもちろん信用していませんが、一方で脱原発派の言っていることも信用していません。ただそれでもなお原発は廃止するべきだというのが持論です。
どうも脱原発派の人たちは原発推進派の学者などの意見には批判を加えるものの一方で脱原発派の学者などの意見には無批判であるように思います。ですが本当にそうでしょうか。特に経済や再生エネルギーの見通しなどに関しては原発推進派の有識者はかなり甘い見通しを持つ人が多いように思います。討論などでもその部分では原発推進派の言っていることの方が正しいと思われることも多々あります。現実に火力発電の稼動をまかなうために天然ガスなどの輸入量は増えてますし費用も増大しています。
原発の安全性に関して原発推進派は未だにあまりに楽観論にたった議論をしています。ですが同時に経済などの見通しに関して脱原発派は同じように楽観的な見通しに立った議論をしていないでしょうか。私は両方の論に対して懐疑的に見ています。
ただ私はそれでも原発を廃止するべきだと思っています。極論を言えば、脱原発によって経済が崩壊してやむをえないと思っています。脱原発を考えるならばそこまで考える必要があると考えています。
2012.06.12 08:54 URL | つづき #- [ 編集 ]
つづき さん、
私は「脱原発派の学者などの意見」に基づいてこの記事を書いたのではありません。現実に、製造業と関わりを持つ仕事に従事している人間の実感として、「原発に固執する政府・経産省・経団連が日本の産業の芽を摘んでいる」と日々体感しているので、それを記事に表現した次第です。
2012.06.12 09:03 URL | 古寺多見(kojitaken) #e51DOZcs [ 編集 ]
新エネルギーの研究開発は、国レベルではNEDOが中心になって取り組んでいますが、太陽や風力による発電の場合の電力安定化は一応考えられていますよ。
http://www.nedo.go.jp/library/shiryou_houkokusyo.html
でも研究開発ですからロードマップを作ってもその通りに上手くいくか保証はありませんよね。原子力ムラからはこんな懐疑的な指摘もありますし。
http://www.engy-sqr.com/media_open/others/hayashi120304.pdf
それからkojitakenさんの「日本の製造業が伸びる芽をあたら摘んでしまう」「日本の産業の可能性を閉ざしてしまう」云々はちょっと理解に苦しみますけど。それなら同様に「原発維持ないし推進」である中国や韓国はどうなんでしょうか。「原発維持ないし推進」ゆえに中国や韓国も産業が衰退する、ということになるのでしょうか。どうにも説得力に欠ける気がしますが。
2012.06.13 18:13 URL | Black Joker #RtNpiJ3M [ 編集 ]
kojitakenさんは、日本が中国や韓国に追いつかれ、今の立場を失い、日本に現実の痛みが増すことをよしとしませんから。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20120421/1334964351
常に一歩前を行って今の立場を失わないためには、中国や韓国と同じエネルギー政策では駄目、逆に、中国や韓国は、日本に代わることができるのならとりあえずよし、ということですかね。技術面で同じなら、有利な面を日本よりたくさん持っていますしね。
自意識過剰なので、呼び込まれたのかな?とか、思うんですけど…。
2012.06.13 21:05 URL | suterakuso #- [ 編集 ]
suterakusoさん、
すさまじいまでの自意識過剰ですね。私は記事を書いている時、あなたのことなど頭の片隅にも思い浮かびませんでしたよ(笑)。
中国や韓国は、現段階ではまだ日本の環境・エネルギー関係の技術力にはとうてい及びませんから、日本の産業はそのメリットを活かして行くべきだし、政府や経産省や経団連がオワコンである原発なんかに固執してその邪魔をすべきでないことなど自明でしょう。
それに、中国や韓国は昨年の3.11の東電原発事故のような深刻な原発事故は起こしていませんし、両国は日本のような極端な地震国ではありません。中国や韓国ととるべき方向性が異なるのは当然でしょう。
2012.06.14 00:38 URL | 古寺多見(kojitaken) #e51DOZcs [ 編集 ]
経済を崩壊させてまで原発を止める必要があるのか、疑問です。
雇用問題も生活保護バッシングも経済の好転によって解決できると思うのですが・・・。
3・11の震源地に最も近く、しかし大津波にも耐えた
東北電力女川原発を忘れないでやって下さい。
2012.06.14 01:00 URL | 岩手4区住民 #- [ 編集 ]
う~ん…、Black Jokerさんのことなんですけど…。あ、そんなこと言ったら、あのエントリーを一番覚えているのは私だから、こんなのありましたよねぇって、言うべきかなって。
2012.06.14 06:05 URL | suterakuso #- [ 編集 ]
原発にこだわることなく、色々な発電形態を少しずつ採り入れていくことは方向性としては良いと思います。
やり方次第で、今後の成長戦略のひとつにもなりうるでしょう。
しかしながら、今ある原発をいきなり全て停止させるのはさすがに無理があると感じています。
発電能力があるのに計画停電を考えなければならないというのは、どうみても普通ではないです。
単純にそう思います。
2012.06.14 23:24 URL | 元大阪府民からの伝言 #- [ 編集 ]
原発事故のリスクは他の発電所事故や工場の事故によるものとは次元が異なります。
今問題の大飯原発など、福島の事故原発でも備わっていた圧力容器のベントも免震棟もなく、予備電源も指摘されるまで危険な場所に置かれていて、いざという時の住民避難路も確保されてなく(オフサイトセンターの設置場所も津波の危険性が考慮されていないので、女川原発事故と同様流されて役に立たなくなる)、しかも事故後放出されるであろう放射性物質がシュミレーションでは琵琶湖を襲うのです。
琵琶湖が汚染されたら近畿圏の住民に恐ろしいほどの影響が及ぶでしょう。
さらに最近では実は原発の下には活断層の疑いのあるものが含まれているという指摘も出てきました。
この指摘に対して関電は、「保安院が大丈夫と認定しているから検査の必要はない」と方便して逃げ続けています。
ちなみに下に活断層があれば法的にも設置は認められませんので逃げ続けているのでしょうね。
こんな状態でも再稼働しないと大変なことになるというわけで(その電力不足の根拠の数字も実に怪しいのですが)、再稼働が強行されます。
しかも再稼働に必要な同意は地元の自治体の首長の同意です。
大飯町長は原発関連企業の経営者(創業者であり現在も役員)であり、原発再稼働なしでは会社がつぶれるところにまで追い詰められている人物です。
どうやらご自身は再稼働に躊躇なされていたようですが、息子が社長を引き継いでいる会社を潰すわけにもいかず、自分でははっきりと決めたくないというお考えの様ですが、しかし押されて再稼働容認を決めてしまったみたいです。
これが日本の原発の地元住民の置かれた立場であり、金で彼らの意思を原発ムラがコントロールしている実態です。
しかもその金はじつは国民の税金や電力料金から支払われています。
正直言ってこれはもう行き当たりばったりと言われてもしょうがないほどのいい加減さで、万一何かあったら住民が責任を取るというとんでもない体制です。
上手く事故もおこらないでいけば万々歳という、およそ民主国家では考えられないやり方ですね。
ユーロ圏では、たとえ原発がある国でも、それこそありとあらゆる事態を想定して、それへの対処が納得いくものでなければ存在を許さない厳しさで対応がなされているのです。
それでも事故が起きた後のことを考えて原発派廃止と言う世論が高まっていますし、脱原発へのレールがすでに引かれています。
比して日本では福島であれほどの事故を引き起こしておきながら、まだ処理も始まったばかりだというのに、もう危険性が指摘されている大飯原発が再稼働ですよ。
こんな事を許していたら日本国民はいずれ居場所を無くします。
それでも政府や関電や保安院の話を受け入れて原発再稼働も仕方が無いと容認するなど、殆ど狂気の沙汰です。
あきれ果ててものも言えません。
そんなでは結局うまい理由づけを与えられればしぶしぶでも容認するという今までの状態を引き続くものでしかありません。
そんあだから日本は何も変えられない変える事が出来ないのです。
たとえ原発の大事故が起きても変えられないのだから未来永劫にこのままでしょう。
まさにこれこそが日本的保守主義ですね。
2012.06.15 08:09 URL | 風太 #seTEoywg [ 編集 ]
私は現実的な政策をと言って来ました。ですから経済などを考えれば原発を直ちになくすのは合理的ではないと思います。ですがそれでも止めろというのが私の考えです。
というのも問題が安全という人間の生命の根幹にかかわるものだからです。つまり経済などとは物事の判断基準が違うからです。これが例えば消費税や法人税など経済や社会保障の分野であるならば現実的な政策をと思います。ですが安全はこれらとはまったく別のそれ以前にある問題であると考えています。そうであればおのずと違う考えが求められると考えています。
そもそも原発のリスクをどう考えるかですが、私は原発のリスクはあまりに巨大で経済などと同列、もしくは経済などの問題に内包できる問題ではないと考えています。もちろんこれは人によって様々意見のあるところだと思いますが、この点に関して言えば私は教条的であると思います。
ただ私はこの脱原発に関して楽観論には立ちません。脱原発を推進すれば経済的には厳しくなることは覚悟するべきだと思います。経済が崩壊するというのは一種の比喩表現ですが、それでも大きなダメージが来るのは覚悟するべきだと思います。私は(少なくとも即時の)脱原発には生活レベルを下げる覚悟があるのかが問われているのだと思います。
2012.06.15 10:03 URL | つづき #- [ 編集 ]
私は日本こそが脱原発の推進役になるべきとも考えています。
なぜならばそれがエネルギー革命の最先端をゆくことになるからです。
それは片方で原発処理技術をも確立させることにつながり、やがてそれは同様に脱原発を進める国への技術輸出の形で国内経済への貢献もすることになるでしょう。
そして新エネルギー研究開発は、いずれ日本の大きな輸出産業にも発展もするでしょう。
ところが私がみるところ、どうもその動きを原発ムラなどの体制派が妨害しているようにしか思えないのです。
実際に経産省や経団連主流派などは原発利権確保の為に暗躍しているとしか思えません。
読売Gなども同様です。
こんな連中の利権確保の為に日本の未来が暗くなるなど到底許せるはずもないのです。
世界では新エネルギーへの投資がどんどん増えてきています。
ところが日本はこれほどの事故を経験しながらも投資額は6番目に過ぎません。
せっかく新エネルギー技術で世界の最先端を行く日本なのに6番目ですよ。
これでは駄目です。
余談ですが、あの京大の山中先生のIPS細胞を研究するラボがいま資金難から閉鎖寸前に追いつめられているようです。
先生を慕って集まった研究者200名が拡散してしまう危機に直面しているのです。
先生は今まで何度も霞が関に陳情に行ったそうですが殆ど門前払いの仕打ちだったようです。
(本当はもっとひどい話も聞いているのですがここではふれません)
それがやっと世界的に研究が認められて、僅かでも予算が付いてラボが立ちあがったのですが、それが打ち切られていまや風前の灯。
企業も中小企業はともかく、大企業はなかなかこういう研究には資金を出しません(官のバックが付いた紐つきは別ですが)。
したがってIPS細胞の研究も、このままでは莫大な資金を出している欧米にもっていかれてしまうでしょう。
結果日本の国民は高額な金を出して海外から研究成果を購入するはめになるかもしれません。
山中先生の研究のケースは単なる象徴です。
日本では霞が関も経団連加盟の巨大企業も、このような新しい研究(特に基礎研究)分野へはなかなか金を出そうとはしないのです。
反面霞が関は自分達にとってうまみがある所へは湯水のごとく予算を付けます。
大企業経営者もまた研究者を囲い込むことはしても(自由な研究は疎外)、決して投資の対象としての資金を出す事すらしません。
今度の原発エネルギー護持も、うらにはそんな日本的な事情が根深く影響しています。
彼らは情報を隠し、都合のよい情報だけを出して手兵のマスコミを使って国民を半ば恫喝して原発再稼働を強行しようとしています。
ちなみに私は野田政権が原発にこだわるのは関電を守るためとしか思えません。
なぜならば原発依存が一番の関電は、原発再稼働なくしては経営が成り立たないからです。
原発を放棄すれば不良資産の増大ですぐに企業としては破綻してしまうでしょう。
だから必死なのですね。
また原発発電のエネルギーコストは初期投資比重が非常に高いのです。
よって使わない原発は本当にゴミくず同様です。
そして原発停止を考えないできた結果、国際市況がこれだけ緩んでいる天然ガスも、日本は国際相場を無視した額での輸入にあえいでいます。
つまり戦略なきエネルギー政策をしてきたつけを、これからもずっと国民は負担し続けて行くのでしょう。
まさに馬・鹿を上に置いているとこうなるという見本の様な国です。
変えないでいるリスクをこれから国民は享受(皮肉です)しつづけることになるわけです。
2012.06.15 11:21 URL | 風太 #seTEoywg [ 編集 ]
大飯原発再稼働には、原発輸出ということも関係しているのかも・・・。危険と自ら認めるものは輸出できない。→大変な損害
2012.06.15 15:07 URL | しゅん #- [ 編集 ]
はじめまして。ROMしていましたが、書き込みさせて頂きます。
>岩手4区住民さん
2011年3月11日以降、原子力発電所関連「実は…」報道あれこれ
http://azuryblue.blog72.fc2.com/blog-entry-959.html
やはり忘れられていきますか。
女川も最終的に停止はしたけど、原子炉冷却ができなくなる一歩手前まで行っていました。
この件を、原発が安全であるとする材料にするのは正直どうかと思いますね。
2012.06.15 16:32 URL | sleepgoat #PgLUA3UI [ 編集 ]
しゅんさんへ
それも大ありだと思います。
一部報道では仙谷さんあたりが原発輸出の為に動いているみたいですからね。
財界主流派の要請に応えて動いているのでしょう。
だから必死で再稼働を主張しているわけです。
仙谷さんは又野田総理と前原政調会長の背後にいて彼らを操っているようにみえます。
いずれにしても本当にとんでもない連中です。
いつまでもアメリカの戦略の通りに動いていれば日本は安泰とでも考えているのでしょうが、神野先生や金子先生らの仰られるとおり、そんなことで日本が生き残れるはずもないのです。
このままではアジアの異端として、いずれ孤立していくだけです。
変化を恐れて安易に流されて行くということはそういうことです。
2012.06.15 19:21 URL | 風太 #seTEoywg [ 編集 ]
どうやら消費税増税(社会保障制度改革断念)を、民主党・自民党と公明党で強行することが密室談合で決まったようです。
昨晩のテレビでは、民主の渡部恒三氏が、反対する勢力の中心である小沢元代表と鳩山元代表を笑いを浮かべながら嘲っていました。
自民党と組むことで採決に必要な衆議院議員の数などいくらでも余る様な事を言い、いつでも二人を切り捨ててやると言わんばかりでした。
財務省主導の増税と社会保障制度改革断念は、こうして民主と自民と公明の体制翼賛議員集団により強行可決になるのでしょうか。
そして小沢支持派を仮想敵に仕立てての解散総選挙でしょうか。
それとも小沢派鳩山派ともに増税反対を断念して、野田(財務省主導)政権に組しかれるのか。
いずれにしても崩れた社会制度をこのままにしての増税では、日本は破滅的な打撃を受ける事まちがいなしです。
しかし今朝もテレビでは毎日の岩見隆夫氏が、民主内の増税反対派を問題視する様な言説を振りまいています。
おそらくマスコミは、邪魔な増税反対派を追い詰めようと必死にプロパガンダをばら撒いて国民世論を誘導しようとするのでしょう。
ですが私は選挙になれば必ずや国民は彼ら体制翼賛議員らに落選の意思表示をすると信じています。
いま多くの議員は国民の方を向くのか、それとも霞が関・財界の言いなりになるかの瀬戸際です。
流れに身を任せて国を滅ぼす道を選ぶのか。
国民である我々にもその事は厳しく問われているようにみえます。
もしマスコミなどの報道に言い含められて、増税も(原発再稼働もTPP加入も)仕方が無いと諦めてしまい、体制翼賛議員らを再び選ぶような愚を犯せば、その時は日本人一人一人が厳しい代償を払わされることになるでしょう。
それにしても昨日の消費増税反対国民集会に参加した議員の顔ぶれをみていて、今の日本ではこれぐらいしか自分の旗色を鮮明にする勇気のある議員がいないのだなあと。
そこには有力議員では民主の小沢一郎さん、鳩山由紀夫さんにみんなの党の渡辺喜美さん、元国民新党代表の亀井静香さんに新党日本の田中康夫さん、共産党の志位和夫さんに社民党の福島瑞穂さんが参加したようです。
日本では体制(財務省)に真正面から逆らえるような議員はこんな程度のようです。
これで小沢さんや鳩山さんの顔ぶれが消えたら、もう殆どの国会議員はインサイダーということでしょうか。
なんだかなあです。
でもこれが日本の政治とやらです。
だから国民は政治から関心が遠ざかり、そしてますます政治が悪化するという悪循環に陥るのでしょう。
国民との約束を簡単に反故にする政治家。
そしてそれを助長するマスコミ、言論人達。
今朝の岩見隆夫氏の言動をみていて、こういう連中が日本を追い詰めて行ったんだなあとつくづく思いました。
岩見氏の毎日新聞は、消費増税に新聞だけは別扱いにしろと社説で主張したようですが噴飯ものです。
こんな似非メディアは潰れた方がいい(もうすでに潰れかけていますがw)。
2012.06.16 07:06 URL | 風太 #seTEoywg [ 編集 ]
どうも最近あちこちで「橋下が反対意見も取り入れて見解修正するのは政治家としては当然」という見方が広がっているような風潮があります。
しかし橋下の場合、時流に乗って「再稼働反対」を主張しただけで、そのまま再稼働をしなければどんな不利益が起きるかまでは想定していなかった。つまり考えが浅はかだったことを認めただけに過ぎません。
これは民主主義の原点である「多数決が基本だが、少数意見も可能な限り取り入れる」というものとはまったく違いますよ。ですから「再稼働に反対から賛成に回ったからといって叩くのは良くない」という意見には同調しません。
なぜならこうしたことが起きるたびに政治家を免罪していたら、リップサービスだけは立派なポピュリズム政治家の無能を指摘できなくなってしまいます。
「間違いに気づいた橋下(ほか多数)エライ」ということになってしまうのです。
民主党のマニフェストも時流に乗っただけの「バナナの叩き売り」でした。そういえば炭酸ガス25%削減を国際公約としましたね。「やっぱり無理でした」となったとき、世界は「政治家とはそんなものだから仕方ない」と日本を擁護してくれるでしょうか? 私は嘲笑の的になるだけと思います。
京都議定書から離脱したアメリカは今となって「履行不可能な約束をしなかったアメリカのほうが賢かった」と評価されているくらいですからね。
なんの根拠も戦略もなく、人気取りに走って口約束をばら撒き、その結果撤回するような先の見通せない政治家など批判されても当然ですよ。
2012.06.16 21:45 URL | 飛び入りの凡人 #mQop/nM. [ 編集 ]
橋下が「自分が原発の是非に関係なく傷つかない行動を取っている」のは明白ですが「野田はけしからん。橋下は苦渋の決断をした」と言うのが多いですね。
毎日新聞は岩見と与良を叩きだすことが優先ですね。
彼らが出ている番組にも抗議をせねば、です。
2012.06.17 20:01 URL | 不肖の弟子 #hgGo7H3Q [ 編集 ]
kojitakenは仙谷、松下政経塾一派だとわかりました。以下の記事についてアンテナが反応しないのが一派である証拠です。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120614-00000081-san-pol
2012.06.17 22:39 URL | 仙谷大嫌い。 #- [ 編集 ]
脱原発が現実主義的だとは思えません。日本だけが脱原発しても中国等のアジアの周辺諸国は原発を推進していきます。
日本、海外での事故に備えて、原子力に携わる人材を育成していく必要がありると思います。そのためにも原発は存続すべきです。
脱原発するにしても何十年後かに今の原発を廃炉にするのに技術者がいなくてどのように処理するのでしょうか。
社会的に害があるというだけで止めなければならないのであれば、一番身近な危険は自動車だと思いますが、年間どれだけの人が亡くなっているのでしょうか原発事故の比ではないはずです。
感情的な脱原発論は止めて技術の力で乗り越えていくべきだと考えます。
いいかがでしょうか。
2012.06.30 13:21 URL | #- [ 編集 ]
トラックバックURL↓
http://caprice.blog63.fc2.com/tb.php/1257-2ec56f76