きまぐれな日々

コンピュータネットワーク上の議論においては、顔を突き合わせての議論の時にはほとんど起きない過激な論戦になることが多く、これは「フレーム」と呼ばれている。

私には、パソコン通信の経験はないが、インターネットのニュースシステムである 「fj.」フレームを、長年にわたってROMしていた時期がある。ここには、mohta, void, lalaという通称「三馬鹿」がいて(彼らが馬鹿だということではなく、彼らがしょっちゅう議論の相手を「馬鹿」と罵倒するところからついたあだ名だと思う)、彼らを中心に、皆が実名を出して過激な論戦を繰り広げていた。

のち、私は掲示板でしばしば論争をするようになってから、この「三馬鹿」のテクニックを借りて随分相手を激怒させ、憎悪の対象となったものである(ちなみに、政治関係以外がほとんどである)。

一番思い出深いのは、ある論争相手と、一対一で過激な罵倒合戦を繰り広げたことである。相手の人格を全否定する投稿を行い、意識的に相手を誹謗中傷した。相手もそれに応じて私の人格を否定するような投稿を行い、私を誹謗中傷した。

でも、それと平行して、別のスレッドでは、実はあの相手にかなりの程度敬意を抱いているんだ、と書いた。そして、それを喜んでくれる投稿仲間がいた。そちらでは、喧嘩している自分自身を見つめるもう一人の自分になって、自分が繰り広げている喧嘩を観察していた。その時の自己分析は、喧嘩相手に自分自身の鏡像を見ているのだ、だから相手の言動が神経にさわるのだ、というものだった。相手がこれを見ていたかどうかは知るよしもないが、多分見ていなかったと思う。

そのうち、その喧嘩相手とは和解が成立した。そして、親しく対話できる間柄にまでなった。
ところが、話はこれでは終わらない。今度は、この大喧嘩の時に私に加勢していた味方だったはずの投稿者と仲違いして、またも大喧嘩になった。そしてある時、私は彼の痛点を突いてしまった。

彼は逆上し、怒りにまかせて反論を投稿したが、それは彼が使っている別ハンドル名だった。そして、このダブハンからスキャンダルが発覚したのである。彼は、掲示板から逃走するしかなくなってしまった。

喧嘩相手を掲示板から葬り去った経験など、一度や二度ではない。たいてい相手の自滅であって、ダブハンによる自作自演がばれるのは、よくある話だ。だが、この時はその後が違った。
掲示板から逃走した彼には、深い恨みが残った。そして、見たことがないほど執拗で粘着質の「荒らし」と化してしまったのだ。

負の情念に強くとらわれた人間ほど始末に負えないものはない。どんなに相手を論破したところで、荒らし行為はなくならない。いつしか掲示板全体が彼一人によって破壊し尽くされ、彼の通ったあとにはペンペン草も生えないとしかいいようのない状態になってしまった。投稿仲間も次々と去って行き、私自身も去った。

私には、いくつかの掲示板にいろんな仲間がいて、たまに思い出したように訪問すると、なぜか同じタイミングで仲間が集まってきて、旧交を温めることができる。しかし、荒廃し切った掲示板では、それも不可能だ。
この苦い経験から、私は掲示板における喧嘩は止めることにした。

まさか政治権力に対する抵抗運動にまで、強い負の情念を持ち込んで運動を妨げ、結果的に権力側を助けて自らの思想信条とは逆の結果を招くような人はいない、そう思いたい。












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