きまぐれな日々

FC2ブログのサーバー障害には終息宣言が出たようなので、本格的にこちらのブログを再開する。1日あたりのアクセス数においては、もともとは「裏ブログ」だった『kojitakenの日記』の方がこちらのブログより相当多くなってきたが、週に2回まとまった文章をこちらに公開するパターンは、当面継続したい。

東日本大震災と、同日に起きた福島第一原発事故は、東日本の被災地にとどまらず、日本の社会全体にとって大きな打撃となったが、特に原発事故で余分なリスクを背負い込んだことによって、日本の社会、経済、それに政治に大きな転換を迫ることになった。

朝日新聞は世論調査結果の記事で、これだけの大事故にもかかわらず、原発を「減らすべき」及び「止めるべき」という意見は41%にとどまっていると報じているが、この世論調査に「現状程度(を維持)」と答えている51%のうちどれくらいの人が、10年代半ば以降、既存の原子炉が次々と耐用年数に達して、運転を停止しなければならないこと、そして、新しい原発の建設を受け入れてくれる地域などありはしないことを認識しているだろうか。おそらくそんなことは考えたこともないという人が大半だろう。

この51%の人たちのかなりの部分は、原発の新設には消極的だろうし、特にそれが自分の住んでいる地域の話だとしたら、絶対に賛成しないだろう。そこまで考えると、原発を「減らす」と「止める」の合計が41%だからといって、決して日本人が今後とも原発推進を支持し続けるという結論にはならない。

全国紙の中では、原発事故発生直後からもっとも厳しく東京電力を批判してきた毎日新聞は、4月15日の紙面に、従来の「原発推進」の社論を転換する社説を掲載した(下記URL)。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20110415k0000m070174000c.html

毎日新聞はこの社説で「地震国の原発 政策の大転換を図れ」と政府に迫っているが、毎日新聞社の社論自体も政府に先駆けて転換したことになる。あの岸井成格が主筆を務める新聞社の社説とは信じがたい。岸井は、昨日(17日)のTBSテレビ「サンデーモーニング」で、「レベル7は厳し過ぎるという外国の意見もある」などと言って、なお原発推進に未練のありそうな口ぶりだったが、毎日新聞社においては、読売新聞社とは違って「主筆」の重みはずいぶん軽そうだ。まさか、「主筆は軽くてパーがいい」というのでもあるまいが。

ただ、その岸井も「首都を東北に移転してはどうか」という、岸井の口から出たとは信じられないような発言をしていた。日本政府の政策を大きく転換しなければならない、という空気は、毎日新聞社には充満しているように思える。そこには、震災前から経営難が言われていた毎日新聞社自体が変わらなければ、社の存続が危ういという記者の危機感もあるのではないか。当ブログは、岸井が主筆を務めている間は、かつてやっていた「毎日新聞叩きに反対するキャンペーン」を再開するつもりはないが、同紙の記事には今後注目したいと思っている。

毎日新聞は、4月16日付社説「『低エネ』社会 日本モデルは可能だ」でも、下記のように書いている。

 今後、日本は強いエネルギー制約下に置かれる。政府のエネルギー基本政策は2030年までに14基の原発を新設し電源の半分近くを原子力に頼るというものだったが、増設は政治的に不可能になったと思われる。それどころか、既存の原発も定期検査で休止した後、地元が再稼働に同意するかどうか予断を許さない。原発の今後は非常に危うい。

(中略)

 原発の比重は低下せざるをえず、当面、天然ガスが代替の主役になるとみられる。また、高効率の石炭火力の増設も有力だ。石油火力の新設は停止されているが、既存施設の再開も必要だろう。

 長期的には太陽光や風力による再生可能エネルギーの拡大だ。また、日本の送電ネットが東西で事実上分断され、緊急時に電力を融通できない現状も早急に改めるべきだろう。

(毎日新聞 2011年4月16日付社説「『低エネ』社会 日本モデルは可能だ」より)


そう、いくら「政界の癌」・与謝野馨が壊れたレコードのように「原発推進政策は間違っていなかった」と逆ギレ気味に叫び続けても、これ以上日本に原発を推進することはできない。仮に岸井が言うように首都を東北に移転して、天皇家にも東北に移っていただけば、皇居にスペースができるが、東京1区選出、もとい東京1区で落選して比例区で復活当選したくせに自民党を勝手に離党して議員辞職もしない外道政治家・与謝野馨は、果たして「皇居跡に原発を建設せよ」と言ってくれるだろうか。

毎日の社説に話を戻すと、この一節にも注目したい。

 私たちはエネルギーへの激しい渇望に突き動かされて、自然への畏怖(いふ)を忘れ、いつの間にか自然の許容限度を踏み外してしまったのかもしれない。


この文章が、社説後半の節電を説く文章へとつながるのだが、そこにはこうも書かれている。

 低エネルギーは低成長を意味し、一般に国民の福利を引き下げるとされている。しかし、今度の大災害で諸外国は日本人のさまざまな美徳を絶賛した。我慢強さ、助け合い、地域や職場の信頼の絆。日本には石油はないがこうした「社会資本」は多量にあり、それを社会の隅々に織り込んでいきたい。

(中略)

 窮乏生活をする必要はない。浪費を避け、資源の再生につとめ、リサイクルを促進する。そして、小型水力発電などでエネルギーの地産地消を可能な限り進めたい。分散型の国土形成で防災力を高める。エネルギー制約は早晩、ほかの国をも襲う。それに先だって低エネルギーでも福利の低下しない日本モデルを構築することこそ、3・11への何よりの鎮魂となるだろう。


私が思い出したのは70年代のことだ。二度にわたる石油ショックで、「省エネ」が合言葉とされた時代があった。1974年から75年にかけては、不況下の物価高(スタグフレーション)も経験したが、日本経済がこの危機を乗り越えると、「省エネ」なんて誰も言わなくなった

工業技術の世界で、昔から私が不満に思っていたことは、パソコンなどがどんどん電力を食うようになっていったことだ。インテルのCPUは、演算速度が速くなるにつれてどんどん消費電力が大きくなっていったし、ノートパソコンや携帯電話に搭載されるリチウムイオン電池でさえ、同じ体積でどんどんエネルギー容量が大きくなっていった。機器のデザインはいくら軽薄短小でも、消費する電力はどんどん増えていくのを見て、これはおかしいのではないかと長年思っていたのだ。スピンドルモーターをブン回すハードディスクにSSDがとって代わろうとしている流れなども一部にあるとはいえ、基本的には電力を食う方向に技術が進んできたし、リチウムイオン電池などは容量密度が大きくなったために安全性の問題が出てきて、2006年頃からノートパソコンに搭載されたリチウムイオン電池が爆発するなどの事故がしばしば起きて、マスコミにも大きく報じられた。

だが、その流れも今回の大震災と原発事故で変わるだろう。今後は、かつてのように「省エネ」が脚光を浴びることになると思う。

テレビなどに出てくる御用コメンテーターたちは、大なり小なり原発利権とかかわりのある人たちだから、彼らの言うことを信用してはならない。御用コメンテーターの中でも、勝間和代のように機を見るに敏な人間は、原発事故発生直後には声高に原発擁護論をぶっていたことに「謝罪」もどきの文章を発表して転向したりもしているが、まだ既得権益派が大勢で、少し前までの「原発は安全」との言説を、「放射能をいくら浴びても安全」にバージョンアップさせながら妄言を延々と繰り広げている。

そんな洗脳工作に騙されかかっている方々に是非ともお読みいただきたい文庫本がある。

柳澤桂子さんが書いた『いのちと放射能』(ちくま文庫、2007年)である。この本は、チェルノブイリ原発事故が起きた2年後の1988年、『放射能はなぜこわい―生命科学の視点から』と題して地湧社から出版した本を改題して、2007年にちくま文庫に収録されたものだ。

なぜ私がこの本を推薦するかというと、何より著者が著名な生命科学者だからである。著者は書く。

 ただひとつ、私は生命科学を研究してきたものとして、はっきりと言えることがあります。それは『放射能は生き物にとって非常におそろしいものである』ということです。そのことをひとりでも多くの方に理解していただくように努めることが「私のいま、なすべきことである」と思います。


テレビに出てくる御用コメンテーターたちは、みな立派な肩書きを持ち、「正しい知識を持て」などというから視聴者は騙される。だが、柳澤さんは生命科学者として放射能が生命に与える悪影響を熟知している。その柳澤さんがわかりやすい言葉で、放射能のおそろしさを訴えている。

書評を『kojitakenの日記』に書いた。この本を読めば、「少量の放射線は体にいい」とか、「チェルノブイリ原発事故では放射性ヨウ素が引き起こす甲状腺ガンは増えたけれども、他のガンは増えていない」などという見え透いた嘘を撒き散らす御用コメンテーターたちに騙されることはなくなるだろう。
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2011.04.18 08:48 | 東京電力原発事故 | トラックバック(-) | コメント(10) | このエントリーを含むはてなブックマーク

世論調査の結果だけをみれば、日本国民は事ここに至ってもまだ原発エネルギーに依存する体質から抜け出せていないようです。
その一因は原発エネルギーとはなんぞやという基本的知識と、原発ムラに象徴される裏の醜い構造が知らされていないからでしょう
今回の事故でも実際の被害の実態は殆ど公開されないできました。
それが今回は国内だけの問題ではなかったことで海外からその隠ぺい体質に厳しい非難が上がっています。
そこで東電(原発村の総意により)は自身のHPの中に、海外向けの情報公開サイトをこっそりと作りアリバイ作りをしています。
http://www.tepco.co.jp/en/news/110311/
このサイトは慶応大の金子先生がつい先ほどtwitterでばらしましたが、これは国民こそ見なければならないものなのでどんどんばらしていくべきだと思いここにもアドレスを張り付けておきます。

それにしてもこの間もテレビメディアからは鳥越さんのテレ朝「スーパーモーニング」が打ち切りとなり、また山口さんが週刊朝日の編集長を解任され販売部門に飛ばされました。
ようするにお上に楯つく様な者からメディアによる情報伝達の手段を取り上げようというわけでしょう。
日本国民はいまだにマスコミ情報を情報入手の手段のほとんどとしていると言っても過言ではありません。
今原発事故問題などもあり国策とやらのいい加減さに国民の関心が向かっています。
お上(霞が関)は追い詰められているわけですが、結託するマスコミがなりふり構わずに情報統制をしようと必死なのですね。
でもそんなことをしていたら日本も北朝鮮のようにしなければならず、もう無理なのです。
でもお上も財界も利権政治集団もマスコミも、いまだにそれがわかっていないみたいです。

2011.04.18 09:30 URL | 風太 #seTEoywg [ 編集 ]

今週のAERAの記事の民主党原発推進派議員へのアンケートの記事見ましたが、
小沢鋭仁と民社協会会長の田中慶秋が完全に原発慎重派に転向してました

田中慶秋は浪江出身だそうです
我が身に降りかかって目が覚めたようですね

2011.04.18 16:12 URL | オンユアマーク #- [ 編集 ]

毎日でいえば、4月14日付け文化面の武田徹氏の論文は秀逸。
まず目先の課題を何とかしなくては。
風評で右往左往しているうちは反原発も覚束ない。

2011.04.18 18:58 URL | 観潮楼 #- [ 編集 ]

叩かれ続けている管直人ですが、原発については増設の凍結示唆したようです。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011041800568

私は管直人が好きではありませんが、このことは高く評価するべきと考えます。少なくとも自民党より遥かにマシと思います。

2011.04.19 00:33 URL | THE EDGE #X.Av9vec [ 編集 ]

統一地方選で、原発推進の人が「安全な原発を」とか言っていました。安全な原発がどのようなもので、今回のような事故をどの程度防げて、コストがどのくらいかかるのかなど具体的な話はせずに、とにかく今は「安全性を高める」という言葉で現状維持派の数を減らさないようにしているようにみえます。今後は、数字を伴った具体的な議論をしていかないといけないです。
今回の事故では、原発を誘致した大熊町や双葉町より、微妙な距離にある飯舘村、浪江町、南相馬市などの住民の方々の方が大変な目にあっています。特定の原発の是非を決める時には、経済的利益がある地元自治体の人たちだけでなく、近隣自治体の人たちも参加できるようにすべきと思いました。

2011.04.19 09:13 URL | さくら #- [ 編集 ]

↑の自分の書き込み訂正
↑で書いた二人は慎重派というよりは完全に脱原発派になってますね
あと参院の増子って人も

2011.04.19 11:19 URL | オンユアマーク #- [ 編集 ]

時事ドットコム:1700万円を自民側に献金=東電役員、07年から3年間-「組織ぐるみ」の指摘も
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201104/2011040801039
東電:幹部・OB、自民に献金 07~09年で2000万円 - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/biz/news/20110420ddm001020022000c.html

2011.04.20 09:27 URL | #- [ 編集 ]

福島原発周辺の住民がカン総理に窮状を訴えたらしいが、原発を建設した当時の先生方や建設を容認した自治体、おまけに建設に賛成した住民に何とかして貰えば良いのでは?


ホント八つ当たりも良いところだべ

2011.04.21 18:29 URL | #- [ 編集 ]

東京電力 自民 献金 - Google 検索

東電幹部「自民党に政治献金」役職ごとに金額割り振り : J-CASTテレビウォッチ
http://www.j-cast.com/tv/2011/04/20093581.html
東電:幹部・OB、自民に献金 07~09年で2000万円 - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/biz/news/20110420ddm001020022000c.html
時事ドットコム:1700万円を自民側に献金=東電役員、07年から3年間-「組織ぐるみ」の指摘も
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201104/2011040801039
負の遺産。自民党の原発推進議員に渡った東電からの“隠れ献金” - 週刊実話
http://wjn.jp/article/detail/9247859/
東電役員が自民側に献金/ランク付け計1703万円
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-16/2011041615_01_1.html
【11.04.09】やっぱり 東京電力と自民党の「もたれ合い体質」 時事通信が報道:日本共産党亀山市議団
ttp://kameyama.jcpweb.net/actreport/110409-120651.html
ゲンダイネット
ttp://gendai.net/articles/view/syakai/129799

2011.04.22 08:56 URL | #- [ 編集 ]

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2013.06.22 09:14  | # [ 編集 ]













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