きまぐれな日々

相変わらず「小沢・反小沢」の政局が続いている。1979年の自民党「40日抗争」より長く、いい加減にうんざりする。

外野では、あまりに「小沢信者」がうざいので、ついつい彼らの批判ばかり書いてしまうが、就任から半年を過ぎてもさっぱり成果が上がらない菅直人首相も批判しておかなければなるまい。

菅内閣が普天間基地移設問題で辞任した鳩山前首相の路線を受け継いだ以上、沖縄の米軍基地問題でこの内閣に何も期待できないのは当然だし、松下政経塾出身議員の支持を受けて総理大臣になったいきさつから、政策が新自由主義に傾いたのも予想通りだった。もっとも、小沢一郎も河村たかしを支援したりしているから、小沢なら良かったとはとてもいえない。

しかし、それでも最低限の期待だけはあった。それは、環境・エネルギー関係や取り調べの全面可視化、あるいは企業・団体献金の全面禁止などの政策だった。だが、「最低限」と思っていたそれらの期待までも、菅政権は裏切りつつある。

政権交代直後の一時期、当ブログの人気エントリだったのが、昨年9月25日付の「八ッ場ダムをめぐる謀略マスコミのとんでもない『やらせ』報道」だった。鳩山政権発足直後、前原誠司国土交通大臣(当時)が八ッ場ダムの建設中止を言明したのに対し、マスコミが猛反撃したのだが、当時よくテレビに登場した星河由起子という「一般市民」が実は、「長野原町議会ダム特別委員会副委員長」だったという話だ。だが、その後八ッ場ダム建設中止は、前原誠司の後任・馬淵澄夫国交大臣によって撤回された。マスコミのバッシングにもかかわらず、世論は八ッ場ダム建設中止支持の方が多かったにもかかわらずである。今、検索語「星河由起子」でネット検索をかけても、昨年秋当時の記事しか引っかからない。星河氏は、その後もダム建設推進に地道に活動していたと思われるが、その間民主党政権は何をしていたのかという問題だ。

無駄な公共工事を止めて環境を取り戻すというのは、鳩山由紀夫や菅直人など、「オリジナル民主党」の政党発足時からのウリだったはずで、菅直人は、鳩山政権発足直後の昨年9月18日には、「ダムは不要」の市民運動家・天野礼子さんと祝杯をあげている。当時、菅直人は天野さんにこう語った(下記URLの天野さんの記事を参照)。
http://www.the-journal.jp/contents/amano/2009/11/918.html

今日、総理官邸の中に、まず国家戦略室をつくりました。次の国会で法制化されると"国会戦略局"になります。三人で、お祝いしたかったのです。ワインを空けましょう。何のお祝いかというと、これは天野礼子が起こした"市民革命"なのです。だってそうでしょ。あなたが、岐阜の社民連の事務局長の村瀬惣一さんが細々とやっていた「金丸の河口堰」に反対する闘いに、1988年に火をつけ、国会の中に持ち込んで、1994年からは、日本に「日照権」を確立した辣腕弁護士の五十嵐さんも味方につけて、「長良川」を、"公共事業の悪しき図式"と闘う国民運動とした。

今、政権交代が成立して、見てごらんなさい。総理も「ダム反対」と言う、民主党や与党もそう言う、国土交通大臣も、あなたがずっと言い続けてきた「ダム反対」を言っているじゃありませんか。あなたは「建設省」という本丸をついに倒したのです。これが"市民革命"なんですよ。(後略)


今年2月6日には、天野さんは「長良川河口堰も撤去!」と題する記事にこう書いている。

長良川河口堰撤去は、私が今これ以上の行動をとらなくても、今年は秋に名古屋で「生物多様性条約締結国会議」もあり、必ずや民主党の政治的課題に挙がると信じて、「あえて」動かずにいるということです。


だが、課題が八ッ場から長良川へと展開するどころか、とっかかりに過ぎないと私も思っていた八ッ場さえ、政権は交代するていたらくだった。

最近では諫早湾開門の問題がある。これもオリジナル民主党が結党以来中心的な課題に挙げていた件で、菅直人は諫早湾干拓事業反対の急先鋒だった。長崎や佐賀など沿岸4県の漁業者らが、国を相手に堤防撤去や排水門開門を求めた訴訟の控訴審判決が先日あり、福岡高裁が一審に続いて諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の常時開門を命じたが、これに対して民主党政策調査会の農林水産部門会議が9日、参院議員会館で開かれ、福岡高裁判決について、民主党、農水省の側双方から「上告はやむを得ない」との考えが示されたという。
http://mytown.asahi.com/areanews/nagasaki/SEB201012090051.html

上記朝日新聞記事には、「小沢親衛隊」の急先鋒・松木謙公農水政務官も上告を容認する姿勢を見せたとある。環境問題に消極的なことに関して、小沢も反小沢もないというべきか、いや、むしろ自民党時代には土建業への利益誘導政治家だった小沢派の政治家らしいというべきかもしれない。諫早湾の件に関して、地元選出の福田衣里子の名前も聞かれないが、それもそのはず、彼女は「現時点では開門に反対」の立場をとっているのだ。まさに、「親小沢も反小沢もない」。民主党にはこんな政治家ばかりだ。

この問題では、最近論調がすっかりおかしくなった朝日新聞でさえ、7日付で「諫早湾干拓―開門を決断するときだ」と題する社説を掲載している。岸井成格が主筆に就任して以来、「大連立」を容認する記事をしばしば掲載するなど、完全におかしくなった毎日新聞も、朝日より2日遅れの9日に、「諫早湾判決 政治の責任で開門を」と題する社説を掲載した。毎日の社説の後半部分を下記に引用する。

 この諫早湾干拓事業は、一度始めたらとまらないとされてきた大型公共事業の代表例だった。コメの増産という当初の目的はコメ余りを受けて変わったのに事業は継続した。

 これを野党時代の民主党は痛烈に批判してきた。政権交代後、政府・与党が検討委員会を設け、今年4月には開門調査を妥当とする報告書を当時の赤松広隆農相に提出した。

 しかし、菅内閣発足時に赤松氏が再任されず、後任についた山田正彦前農相が、開門に反対している長崎県選出であることもあってか、開門へ向けた動きはとまってしまった。

 野党時代に「無駄な公共事業の典型」と強調していた菅直人首相は、判決に対し「しっかり政府として検討していきたい」と語っているものの、これまで指導力を発揮した形跡はうかがえない。

 党内での意見の取りまとめができず方針が定まらない。その結果、結論を先送りする。そんな民主党の姿が政権交代以降、繰り返されてきた。諫早湾の堤防問題についても同じ経路をたどっているように映る。

 判決を受けて、政府は開門調査を実施する方向に動き始めたようだ。しかし、逆に上告についても検討しているという。

 群馬県で建設が進められていた八ッ場ダムについても中止の方針が棚上げされた形になったことも含め、ふらついているように見える。菅政権は公共事業改革を本気で実施する覚悟があるのか。はっきりした形で示してもらいたい。

(2010年12月9日付毎日新聞社説「諫早湾判決 政治の責任で開門を」より)


この社説に出てくる山田正彦は、自民党から新生党、新進党、自由党を経て民主党入りした人物で、要するに小沢一郎系列である。前述の松木謙公といい、小沢系の政治家は環境問題には消極的だ。福田衣里子が開門反対の立場をとって、地元の支持者を落胆させていることにも、小沢系の先輩政治家が影響を与えているのかと勘繰りたくなる。

それならばなおのこと、菅直人は上告断念を政治決断すべきではないのか。現状のような党内抗争を繰り広げていては、国民は親小沢も反小沢も支持しない。1年ちょっと前の自民党と同じように、「民主党」という看板だけで、「あ、これはダメ」と判断されるだけだ。

これは、取り調べの全面可視化、企業・団体献金の全面禁止、情報公開の推進など、他の政治課題についてもいえることで、菅政権は何もしないから全く評価されない。党内で軋轢が生じようが、総理大臣・党代表のリーダーシップで前進すれば良いのである。それは、小沢派との違いを国民に印象つけることにもつながるだろう。

それさえもできないのであれば、菅直人は退陣に追い込まれても仕方ない。
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良い意味で?ナイーヴに政権交代の理想に忠実なのかな、と思っていた福田議員がそういう姿勢なのは残念ですね。まあ統一地方選が迫っていることにくわえ、本人の次の選挙は厳しいだろうし、といった背景なんでしょうけどねえ。

2010.12.13 19:59 URL | ヨッシー #- [ 編集 ]

振り返ってみると、菅直人氏自体が元々ポピュリズム臭の強い政治家だと思います。
諌早湾干拓事業に反対表明していた頃はマスコミが常にバックについていましたね。
まさに飛ぶ鳥をも落とす勢いでしたが。
いまや変わり果てたお姿ですが、あの頃「菅信者」だった人は一体今どこへ行ってしまったのか。
謎ですね。

2010.12.14 00:11 URL | 元大阪府民からの伝言 #- [ 編集 ]

諫早湾の開門については、長崎県知事も長崎県の民主党も自民党も「反対」の立場です。
福田衣里子議員が反対なのもそのせいでしょう。

一方、佐賀県は知事も民主も「早く開門せよ」で、原口一博議員もその一人。
諫早湾では「長崎」vs「佐賀・福岡漁業者」の対立がずっと続いていますので、親小沢・反小沢よりこっちの事情のほうが強いのではないでしょうか。

2010.12.14 01:38 URL | kiriko #- [ 編集 ]

あれー古寺多見氏
今度は菅批判ですか?
アリバイつくりということか。

あまりにひどい失態をすべて小沢のせいにして逃げ続ける菅を擁護できなくなったということですか?

この寒空の下、今年も何十人も凍死者が出るんだろうけど、公費でいいとこで飯食ってる菅に、もはやどんな反小沢からみても、付ける薬なしと評価されたということか。

小沢が言ったとおり、地方では火を噴きつつありますよ。
茨城で示されたとおりです。

なにかというと政治と金のせいにする反小沢派ですが、こういった低脳達はもはや現実と向き合う力もなくなったんでしょう。

なぜ民主党がこれほど選挙に負けつづけるか。
1.選挙の神である小沢を排除するから
2.法人税を減らすから
3.マニフェストを裏切りつづけ、完全に国民の信頼を失ったから

特に法人税を減らし、一年後、「歳入欠陥だよー金ねえよー消費税増税仕方ねえよー年金・福祉の維持のためによー」

エテ公だますにはこの程度でいいと思っている。
使い古されたフレーズがまた使えると思っている。
そしてまんまとだまされるエテ公。

国民が絶望してレミングの群れとなり、自民党に回帰していくその元凶が現政権であることを疑う者は、いずれ歴史から厳しい判定を食らうだろう。
ある意味、自民党にとって現政権ほど強いサポーターはいないだろう。
自民党は寝ているだけで得点を増やせるのだから。

2010.12.14 22:35 URL | uuu #a2H6GHBU [ 編集 ]

長崎県の話で言うと、「小沢幹事長」の時代に長崎県知事選挙で自公推薦候補に負けているんですけど。
その時長崎の民主党議員が訴えたのは「諫早開門反対」「長崎新幹線推進」「政権与党の利益誘導」--自民党とどこが違うんだって話。

「小沢なら勝てた」という空想もいい加減になさったらいかがかと。

2010.12.15 00:57 URL | kiriko #- [ 編集 ]

uuuさん

>あれー古寺多見氏
>今度は菅批判ですか?
>アリバイつくりということか。

>あまりにひどい失態をすべて小沢のせいにして逃げ続ける菅を擁護できなくなったということですか?

あなたは、いつからこのブログを読んでるのでしょう?
Kojitakenさんは小沢氏に対してと同様に菅氏も手厳しく批判の対象とされていますよ。どんな政治家・政党に対しても是々非々で臨むというのがブログ主のスタンスです。
ちなみに、ここ数か月のエントリから菅批判をしたものをいくつか挙げてみましょう。

「国会議員定数削減」で人気挽回を図る菅首相には呆れる
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1097.html

「核抑止論肯定発言」をした菅直人首相も論外だが...
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1099.html

小沢一郎と菅直人は、ともに正体不明の「鵺」(ぬえ)だ
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1108.html

これらは、タイトルからも菅批判をしていることがはっきりわかるエントリですが、その他ほとんどのエントリで「小沢も菅も支持しない」と繰り返し書かれているんですけどね。
最近の「北朝鮮砲撃、民主トロイカの馬脚、河村のリコール失敗」
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1131.html
でも、北朝鮮砲撃にかこつけて朝鮮学校の高校無償化からの適用除外解除を停止する指示をした菅直人を決して支持できないと書かれています。

「小沢=善、菅=悪」としか考えられない方たちには、夢をぶちこわすようで申し訳ないですが、結局のところ、小沢批判と菅批判は重なるものなんです。

それにしても、批判コメントも結構とは思いますが、ちゃんと読んでから批判しなさいよと言いたくなるコメントが結構多いですね。これは今回のuuuさんに限りませんけど。
管理人さんとしては、相手にする気も起きないといったところでしょう。

2010.12.15 01:00 URL | ぽむ #mQop/nM. [ 編集 ]

朝日新聞はスクープのようにして上告断念の方針。共同通信は上告の方向。よくわからないけど、最初から演出を狙っていたということか。党内に反対派が多いことを見越しての演出か。まあ動機はどうあれ結果的に良ければよいのですが。

今日の朝日新聞では、外岡氏が防衛大綱について批判しているのが鋭い。この問題は鳩山も菅もほとんど関心を持っておらず、武器輸出問題が政争の具になった程度で、ほとんど議論なしに安保政策の大転換が行われていると。同じく減額が続いてきた「思いやり予算」の5年総額維持なんてものがいきなり出てくる。強く批判されていいものだと思います。

2010.12.15 10:28 URL | 赤塚男 #- [ 編集 ]













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万全の対策期す 諫早湾開門
難しい問題だなぁ [ふっ/]海のギロチン水門とか言われて、報道番組で何回も見せられた次々と鉄の塊が海面に突き刺さっていくシーンを鮮明に記憶してるけど [・・・/]あのVTRに女性の悲鳴ともため息ともつ...

2011.06.19 22:07 | 時々時事爺