きまぐれな日々

ウィキリークスによるアメリカの公電の暴露が話題になっている。

これを、手放しで賛美する人たちもいる。参院選で「みんなの党」に投票し、臨時国会冒頭では稲田朋美を絶賛した天木直人もその一人である。
http://www.amakiblog.com/archives/2010/12/05/#001762

上記リンク先で天木直人自身が書いているように、天木はテレビ朝日のサンデーなんとかに出演し、ウィキリークスを絶賛した。

天木は、「ウィキリークスの判断基準は、『お前は権力側に立つのか、弱者の側に立つのか』だ」とか、「アサンジ氏を『弱者に代わって不義を討つ』英雄だと思っている」などと、例によって熱を込めてウィキリークスを絶賛しているが、これでよく外交官が務まったものだと呆れる。

というのは、どんな情報にも、情報を流す側によってバイアスがかかっており、情報を評価するものは冷静でなければならないからだ。初めからウィキリークスを熱狂的に賛美する天木直人のような人間は、外交官の適性を欠く。こんな人間を雇っていたから、日本の外交はダメだったのだと言いたいくらいだ。

掲示板を見ていても、「目覚めた民」を名乗る投稿者が、「マスコミ(=マスゴミ)は洗脳機関である」、「ウィクリークスこそ真の情報媒体である」などと高揚感に浸っているが、かつて日本政府の中枢にいた小沢一郎に都合の悪い情報がリークされた場合、目覚めた方々はどう反応されるのだろうかと、他人事ながら心配になる(笑)。

昨日は、TBSの「サンデーモーニング」でも、冒頭でウィキリークスの話題が出て、毎日新聞の主筆様を務める岸井成格は、ウィキリークスから得た情報でも、「裏がとれれば毎日新聞も記事にするだろう」と語った。岸井の言う「裏取り」には疑念もあるが、言っていることは間違っていない。

そして、その岸井が引き合いに出したのが、武器輸出三原則緩和をめぐるウィキリークスの暴露だった。ウィキリークスへの対応は、朝日新聞主筆様の船橋洋一も同じらしく、1日付のasahi.netで参照することができる(下記URL)。
http://www.asahi.com/international/update/1201/TKY201012010342.html

以下引用する。

武器輸出三原則見直し求める米公電暴露 ウィキリークス

 【ワシントン=伊藤宏】日米両国が2014年をめどに共同開発を進める海上配備型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」について、米政府が欧州への輸出を可能とするために、日本政府に武器輸出三原則の見直しを求めた内容の外交公電が明らかになった。民間告発サイト「ウィキリークス」が公表した。

 この外交公電は昨年9月17日付で、米国務省からミサイル防衛関係各国の米大使館にあてられている。

 それによると、米国のミサイル防衛戦略として、SM3ブロック2Aを「将来的には北大西洋条約機構(NATO)や欧州の同盟国に売却する可能性を探りたい」と指摘。将来的にミサイル防衛の地球規模のネットワークを構築するために「日本政府が戦略的な決断ができるよう協力していきたい」としている。

 ゲーツ米国防長官が昨年10月、北沢俊美防衛相と会談した際、「SM3ブロック2A」の第三国供与に言及。三原則を見直し、新型ミサイルを欧州などに輸出できるようにするよう非公式に求めたとされる。公電の日付は、こうした時期とも符合しており、菅政権が進める三原則の見直し議論にもつながっている可能性がある。

(asahi.com 2010年12月1日19時19分)


北澤俊美は、鳩山内閣からずっと防衛大臣を務めている。先般政界を引退した羽田孜の系列の保守政治家で、自民党を出発点として、新生党、新進党、太陽党、民政党を経て民主党入りした。

岸井成格は、民主党政権になって急に武器輸出三原則の緩和を言い出したのはなぜなのかなあ、と思っていたら、こんないきさつがあったことがわかった、などと言っていたが、なるほど、これでは「対米従属」の政権と言われても仕方ないだろう。

この件は別として、ウィキリークスに流れた日本関係の情報はごく少なかったという。それだけ日本の地盤低下が深刻だということなのだろうが、先の国会の醜態を見ていれば止むを得ないかとも思う。

もっとも、ウィキリークス自体に対して手放しで賛美するような態度は、当ブログはとらない。先の「尖閣ビデオ」の流出事件もそうだったが、これらは権力側からの情報流出であって、「尖閣ビデオ」の流出が日本において右翼的言説が力を増したことと同様、クーデター的な動きにつながる恐れもある。日本の民主党政権同様、アメリカのオバマ政権も深刻な支持率低下に悩まされており、「ティーパーティー」の台頭に見られるように、右翼的・新自由主義的な動きが強まっている。

そういえば、天木直人らと親和性が高いのではないかと思われる副島隆彦一派も、「ティーパーティー」に入れ込んでいる。そして、副島は小沢信者の間で神格化されている植草一秀とつるんでいるので、小沢信者は誰も副島を批判できない。こうして彼らは右翼的・新自由主義的な方向へとどんどん引っ張られる。少し前までは植草一秀が果たしていた「ハーメルンの笛吹き」の役割を、今では副島隆彦が担っている。そんな彼らの「ネットde真実」とはいったい何なのか。

世の中には、色のついていない情報などあり得ない。「知られざる真実」や「ネットde真実」など、幻想に過ぎない。
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内部告発をしたい人にとってはウィキリークスのようなサイトがあるのはいいことかもしれませんね。

でも、ウィキリークスはウィキリークスに都合の悪い情報は公表しないんじゃないでしょうか。その点ではテレビや新聞と同じだと思う。

ウィキリークスは英雄というよりは関西弁でいう“いちびり”とでも呼んだ方がしっくりきますよね。
話題になった各国首脳への悪口などは、ほとんど黒服座談会みたいだったし。

ウィキリークスが注目されることで、これまでマスメディアが行ってきた情報の流し方や扱い方、そしてそれの享受のされかたが、一般人にもわかりやすい形で見えたという功績はあるかもしれない。
やってることは似たようなことでしかないんだけど、素人のいちびりさんだから、粗が見えやすいところがある。

一部マスコミ関係者にとっては迷惑な存在なのかもしれません。でも、マスコミは、ウィキリークスを既にネタにして消費しようとしてますから、やっぱり強いのかな。

2010.12.06 11:49 URL | nessko #aIcUnOeo [ 編集 ]

僕もアメリカの暴挙を正す必要性は感じますが、歯止めのかからないリークは国際秩序をいたずらに乱すだけに終わると思います。外交文書に関しては日米のは公開されればアメリカにとって相当の痛手となります。
ウィキリークスに政治色があるかどうかも気になるところですね

2010.12.06 20:20 URL | Venceremos #- [ 編集 ]

外交官が相手国の首相や大臣の悪口を言ってたとか、あまり大した内容は伝わって来ないなあ、と思っていました。一応、“公”電なんだから、もう少し、上品かつ、皮肉めかした言い方だってあると思うんですが、それが「○ちゃんねる」並みのダイレクトさだっていうのは、こいつら、ハナから相手をナメとるな... ってその程度の感想です。その他のことも「公にはなっていない」というだけで、「さもあらん」みないなことばっかりのような...

この暴露で本当に何かが変わるのでしょうか?内部告発に対する対策と締め付けが強化されるだけだったりしたら...

こちらみたいな御意見もあるしね。
「マスコミに載らない海外記事 正確には、一体誰が世界を攻撃しているのだろう?」
ttp://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-6ed0.html

2010.12.06 20:56 URL | 桃色クジラ #- [ 編集 ]

海保画像情報のyoutubeへの流出とCNNのスクープ逃し、それにウィキリークス、最近ネットと従来型マスメディアが対比される事件が多々ありますが、私はなんとなく総合格闘技の台頭とプロレスの衰退を連想しました。
最強幻想を売りにしていたら「自由度の高いルールで実際にやってみたらどうなるの?」とばかりに総合格闘技が出てきて化けの皮が剥がされたプロレス。
「国民の知る権利に応え、真実と正義を追求するのがマスメディア」という幻想を売りにしていたら、ネットによって幻想を破壊され始めたマスメディア。似ていませんか?
総合の黎明期にもヒクソン・グレイシーとその一族みたいな胡散臭い人物・団体はいましたし、ウィキリークスもそんな感じかもしれません。現在は過渡期ですから、アサンジ氏や当該集団を盲信しないのが賢明でしょう。(プロレスや格闘技に興味ない方、解りにくくてすみません。)

2010.12.06 21:09 URL | loopy #- [ 編集 ]

天木氏のコメントは私も見ましたが,地球規模でホイッスル・ブローのためのサイトを作ったというパイオニア性,それこそ米軍筋などとの「テロとの戦い」も辞さず命がけで続けるという勇気に共感しての褒め言葉だと理解しました.私も第一声としては,やはり賞賛の言葉をアサンジ氏とウィキリークスに贈りたいと思います.
孫崎亨氏はThe Telegraphの次の記事
Is Wikileaks a front for the CIA or Mossad?
に言及して疑念を呈していますが,逆の状況証拠もあります.
いずれにせよ影響力が大きくなれば別物に転化する危険性はあるわけですが・・・.

2010.12.07 00:22 URL | yamamoto #npZ2BW2I [ 編集 ]

WLが一部で絶賛されるのも、メディアが作成したストーリィ通りの報道しかされていないためでもあります。

阿部英氏を記憶の方も多いでしょう。
薬害エイズ事件での中心人物となった医師でもあり厚生省研究班長でもあった「あの人」です。

薬害エイズで起訴され、無罪となって控訴審の最中に病死しました。
しかし検察が世界のHIVの権威からの意見聴取によると、当時のHIVの世界的な認識からして阿部氏の行動はまったく正当で、これを訴追することは異常なことだ、とあったようです。裁判では検察はこの不利な証言を隠しました。
阿部氏の無罪判決にはマスコミは「意外だ」と報じましたが、医学界では「当然の判決」という認識だったようです。
これはマスコミによって民衆の処罰感情が煽動され、それに便乗する(迎合する)かたちで検察が起訴を行ったものだったのです。
しかしいまだに薬害エイズの元凶はこの人だと思っている人も多いです。ググるとそんなサイトやらブログやらは簡単に見つかります。

一度マスコミに踏みにじられた名誉は簡単に回復するものではありません。
一方で阿部氏という格好の敵役を得た川田龍平氏は国会議員にまでなり、しかも阿部氏が厚生省に関わっていたこともあって、反官僚を掲げるデマゴーグ政党みんなの党に入ってしまいました。

マスコミのデタラメ報道が、学者の名誉を粉砕し、それがあろうことか新自由主義政党の伸長に一役買ってしまった、こうした過去の事実を見るたびに、マスコミへの不信は増します。
マスコミの「公式報道」の裏を知らせてくれるWLへの期待はこうしたところから出てくるのではないでしょうか?

2010.12.08 01:19 URL | 飛び入りの凡人 #mQop/nM. [ 編集 ]

今回の武器輸出緩和見送り自体は良かったのだろうが、固まった方針を最終段階で少数政党の意向でひっくり返すというのは、結局政権運営への信頼を傷つけるし、党内に鬱憤や借りを作る。本来なら民主党内で緩和が通ること自体由々しきことで、首相が早くから指導力を発揮すべき。国会で色んな可能性を残すのはいいが、再議決といっても身内数人の造反でダメになるようなものだし、菅首相が、いよいよ目の前のことしか目に入らなくなっている印象です。
あと、武器輸出も逆に北澤大臣に借りを作ったような感じでしょう。今や政権内最古参で、かなり重みを感じるこの大臣は良くも悪くも老練で、色んな代償を払わされる気がする。まあ逆に見れば、菅さんはそんなこと百も承知で、社民党が体よく使われているだけとも言えるが。。。

2010.12.08 11:26 URL | サンボレ #- [ 編集 ]

〉 さらに小沢氏は、自民党との大連立や民主党の分党にも言及。「今の党執行部は、自民党と主義主張が違うので大連立も出来ない。自分は大連立も分党もやる覚悟があるが、まず、君たちに動いて欲しい」とも語ったという。

朝日新聞。ほんとにいったのかあw

2010.12.08 13:47 URL | 赤塚男 #- [ 編集 ]

大手の新聞やテレビを信じている人多すぎですね。
記者クラブの既得権化を追求できずに大手のメディアの発表する内容であれこれいうのは
愚かの極地。
ウィキリークスは信頼できる内容かどうか常にメディアに信頼性を依頼している。
日本からの漏れた内容は日本のメディアには信頼性を調査していない。
なぜなら彼らは右翼、左翼を演じているが権力の1機関でしかないから。
政局しかほとんど運営しないのは官僚の支配しているこの国のやりかたなのに。。
このブログも終わったな。

2010.12.08 19:17 URL | ろーりんぐそばっと #ehuBx04E [ 編集 ]

ろーりんぐそばっとさん、

> このブログも終わったな。

どうもありがと。だったらもう来ないでね。

せいぜい、あなたの零細ブログを人気ブログにしてみてよ。

そしたら、こっちから挨拶に行ってあげるから。

2010.12.09 00:18 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

木霊の宿る町http://onomar.jugem.jp/
2010.12.08 Wednesday
資料・産経の手口@ウィキリークス
の記事の中で、
日本+沖縄+琉球諸島の電文総数は約二万通で一位だと報道するのが妥当な報道ではないでしょうか。
と書いておられますね。

2010.12.11 10:04 URL | 和久希世 #dN1wHbUA [ 編集 ]

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2012.03.15 01:16  | # [ 編集 ]













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