きまぐれな日々

mixiの「鍋党」コミュニティには、これを書いている時点で44人の方にご加入いただいた。コミュは、今のところまだ「入れものだけがある」状態でしかないが、別にROMでも何でも構わないので、お気軽に参加していただきたいとお願いする次第だ。

それにしても、昨日放送されたNHKスペシャル「借金862兆円はこうして膨らんだ」は、ひどい番組だった。財政赤字を積み上げた歴史を、旧大蔵省幹部の極秘証言録を入手したと称して、財務省の論理、財政再建厨の論理から、「これだけ『お国の借金』があるのだから、国民は社会保障切り捨てに耐えろ、消費税の大幅増税を受け入れろ」と脅迫するだけの、最低の番組だった。これほど一方的な立場からのプロパガンダに徹した「NHKスペシャル」を見た記憶は、私にはほとんどない。

八つ当たりすると、司会の城本勝と首藤奈知子も最低で、城本というのは政治取材23年のキャスターらしいが、はっとさせられる言葉など皆無だったし、かつて松山放送局発の四国ローカルニュースでよくお目にかかった首藤奈知子アナは、政治・経済に関する番組をやる器とは思えない。

番組内容はさらに最低で、どこからけなしていったら良いか迷うほどひどかった。1965年の不況で初めて赤字国債を発行したあと、国の財政を借金漬けにした元凶として、田中角栄の「福祉元年」(1973年)をあげていたが、ここで早くも「社会保障費の増大」を槍玉に挙げる番組の制作姿勢がむき出しになった。だが、事実は田中角栄は当然の政策を行おうとしただけの話だ。そこに折悪しく石油ショックが襲ってきたのが、日本にとって不運だった。

番組はさらに、1978年の福田赳夫内閣の大型予算を批判していたが、元来緊縮財政志向の強い政治家だった福田赳夫が、この年に大型予算を組んだのは間違いではなかったはずだ。これで1979年には景気が回復したのだが、またしても折悪しく、第2時石油ショックに襲われた。

1979年に、福田赳夫から代わった大平正芳首相が一般消費税導入を掲げながらこれを撤回し、衆院選でも自民党が大敗に追い込まれた件では、自民党を総選挙で敗北させた国民は馬鹿だったと言わんばかりのナレーションだった。

何よりおかしいのは、この番組はバブルを招いた中曽根政権や、バブル期に壮大なバラマキをやった竹下政権への言及が何もなかったことだ。いきなり細川政権時代の「国民福祉税」構想に話が飛び、細川護煕がインタビューに応じていた。米クリントン政権の圧力で所得税減税を強いられて減った税収の穴埋めとして、大蔵官僚と小沢一郎が主導して消費税増税を狙ったが、消費税増税は実現できず、所得税減税だけが実施されたので、バブル期の税収増で発行を止めていた赤字国債を再び発行する羽目になったという言い方をしており、要するに大蔵官僚や小沢一郎の主張通りに消費税をしなかった政府及び増税を許さなかった国民が悪いといわんばかりだった。

そもそもこの番組では、バブル期を中心に所得税減税をどんどん進めていって所得税の累進性を大幅に緩めたことについて、何一つ言及していなかった。「所得税」という言葉さえも用いなかったのではないか。「消費税を増税しなかったから財政赤字が膨らんだ」という一点張りだった。

そして、悪名高い橋本龍太郎政権の「6大改革」については、せっかく橋本政権時代に与謝野馨らが尽力して財政再建の足がかりを作ったのに、運悪く1997年の山一証券破綻などで頓挫したと言わんばかりであって、橋本内閣の緊縮財政志向が日本経済に冷水を浴びせたという、当時は当たり前だった認識については、完全に頬かむりしていた。橋本政権の失政は、1998年の参院選における自民党大敗につながったことだったにもかかわらず。

番組は小渕内閣時代の大型財政出動を批判したが、小泉・竹中の「構造改革」には全く触れずに終わった。それは、NHKが入手したという「旧大蔵省幹部の極秘証言録」というのが、昭和40年(1965年)から平成12年(2000年)までの分だったからだとNHKは言うのだろう。白々しい話である。

もちろん、番組では財政の収支を家計にたとえる、いつもの粗雑な洗脳のロジックを駆使していた。確か数年前に結婚したはずの首藤奈知子アナが政府の財政を家計にたとえて城本勝に質問し、城本がそれに答えるわざとらしい演出には呆れた。

朝日新聞の経済担当論説委員、小此木潔は、著書『消費税をどうするか』(岩波新書、2009年)に、

「消費税を導入したい、引き上げたい、という思いの強さが災いして、直接税を減らしすぎた」―― 表立っては言えない「反省」の言葉を財務省幹部から聞くようになって久しい。消費税を導入し、財源として大きく育てようとする「税制改革」路線が、所得税や住民税に代表される直接税を減らす要因になってしまったというのである。官僚がこうした反省を口にするようになったのは、日本経済がデフレから回復し始めてもなかなか税収が戻らない状況が続いたためでもあるようだ。

と書いているのだが、番組に登場した「元大蔵省幹部」たちは、誰もそんなことは言わなかった。「経済右派」との評価が定着しつつある朝日新聞の記者が書くようなことさえ、NHKスペシャルでは全く触れない。20年ほど前、大蔵官僚が直間比率の是正だとか税制の簡素化だとかを錦の御旗にしてどんどん金持ち減税を進めていったことなど、もちろん何も触れない。1991年度に26.7兆円あった所得税収が、2009年度には12.9兆円と半分になり、1989年度に19兆円あった法人税収が2009年度には6.4兆円と3分の1になったことなど、その気配もうかがわせない。ましてや、累進制のはずの所得税が、分離課税だらけの制度のせいで超富裕層にとってはむしろ逆進的になり、超金持ち優遇税制になっていることなど、天地がひっくり返ってもNHKは言わない。これらはみな、ほかならぬ財務省の資料に示されていることだというのに。

NHKはただただ、社会保障費の政府支出が増えたから、それなのに消費税を増税しなかったから、「お国の借金」がこんなに膨れ上がったんですよ、国民の皆さん、我慢しましょう、欲シガリマセン、勝ツマデハ、と、すっかり頬がこけて貧相になった愛媛県出身の首藤奈知子に実質的に言わせているだけである。

NHKは、こんな番組で視聴者を騙して洗脳できると思っているのかと、あまりにひどい番組内容と、しもじもを見下したエスタブリッシュメント層の構成員たるNHKのテレビマンの傲慢さ、それにそれとは裏腹の彼らの頭の悪さに呆れ返った。あんなプロパガンダに易々と騙されるほど、大衆は馬鹿ではない。プロパガンダは、もっと巧妙にやらなきゃダメだよ(笑)。

NHKへの悪態はともかく、「鍋党」としてやるべきことは、まず事実を正しく訴えることだと理解した。前回のエントリでも引用した『広島瀬戸内新聞ニュース』の記事から再度引用すると、

  • 庶民にとって本当に負担が重いのは、年金保険料や介護保険料、国保料などであり、社会保障の保険料主義、さらには、企業主義的、家族主義的な日本の福祉が限界にきていること。

  • 日本の政府規模は決して大きくないこと。社会保障や教育費も他の先進国と比べて低いし、これからは社会資本のメンテナンス需要も考えたら実は公共事業費だって一定程度は必要で、そうなるとある程度大きな政府にする必要がある。それにはある程度お金持ちから負担をいただく必要がある。

  • 日本の税制はお金持ちに有利になってしまっている。

といった事実を正しく理解していただけるような資料を、鍋党ブログなりホームページなりに掲載して広く知ってもらうことだ。政府税調専門家委員会の会議資料に、題材は豊富にある。ちょっとトライしてみたいと思う。


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NHKを仕分けしろ! と言いたくなりますね。
NHKのサイトを見ると、
2010年11月30日(火)  午前0時15分~1時13分 (29日深夜) 総合
で再放送予定だそうですが、
http://www.nhk.or.jp/special/rerun/index.html
番組批評が新聞に出ないとおかしいです。
でも、たぶん、おかしいままなんでしょう。

2010.11.08 18:03 URL | nessko #aIcUnOeo [ 編集 ]

とても記事に共感します。
内容は官僚の愚痴で構成された
ゴミみたいな番組でした。

あの官僚達が有能とはとても思えなかった。
出来ないことを出来ないと言えないのですから。
事務作業だけなら派遣社員で十分です。
エリートから雇うという行為、を仕分けしたらと思いますよ。
かなりの税金が浮きますわ。

国民の為の福祉が悪というのなら
最初からしなくて結構。
いりませんから年金、国保、介護の保険料、
今まで払った分、返せですよ。
滅多に病院なんて行かないし
そんなに長生きする気もないんだし。

あんな風に自分達の贅沢さに微塵も
気が付いてないんですね、官僚って。

官僚のシステムを私はとことん
ぶっ潰してもらいたい。
あんな輩いらない。
税金に一番ぶら下がってるのは
税金がお給料のお前達と先ず気付くべき!!!

2010.11.08 19:25 URL | 仰るとおりです #SFo5/nok [ 編集 ]

ネット右翼や小沢信者の皆様方は、「国の借金」という国の根幹を揺るがす問題には見向きもせずに、ひたすら尖閣尖閣騒いでいるだけですよね。

尖閣なんて昔から日本固有の領土なのに、今更中国人にイチャモンをつけられて頭から湯気を噴出している姿は見てて呆れます。

小沢信者御用達の日刊ゲンダイなんかは、尖閣ビデオ流出を「ネット社会の脅威」「無政府状態だ」なんて煽ってたくせに、今日付の紙面を見ると「たかがビデオ流出ではしゃいでいる自民党の連中は浅はかだ」って書いていますからね。少なくとも、ゲンダイを鵜呑みにしている冴えないオッサンは間違いなくこの国の民族ではないと言えます(笑)。

ゲンダイとかバ勝谷とか、カネ絡みで小沢マンセーしている方は「売らんかな」でやっているんでしょうけど、どこぞの世に倦む大先生とか本気で小沢マンセーしている方々は、一度精神科の先生に診てもらったほうがいいでしょう。

2010.11.08 20:29 URL | #- [ 編集 ]

また例のごとく「カンリョウガー」が湧いてきてるな。
その官僚を指示する権限をもってるのは政治家なんだけど。
そうやって免責ばかりするから政治家がつけあがるんだよ。
国民から選ばれたというだけでそこまで偉いか?
じゃあ民間企業の社長も社員の投票で選べばいいだろ。
ブロ野球のドラフト指名選手も、当該チームのファンが投票して決めればいい。

2010.11.08 23:26 URL | 元大阪府民からの伝言 #- [ 編集 ]

NHK、ひどかったですね。
大蔵官僚の言い訳を聞かされているだけの番組でした。
そのなかで興味を引いたのは細川内閣に減税を押し付けたクリントン政権の担当者の言い分。
日本が財政赤字で苦しんでいたのは知っていたけど、そんなことは関係ないよというような態度でした。
昨日も国会で自民の町村議員が、アメリカ様とうまくやれない民主の責任とやらを追及していました。
まさにアメリカにすがるしかない過去の遺物自民党の姿がそこにありました。

日本が中国へあそこまで入れ込んで技術移転、資本移転をしたのは、ひとつには生産コストを下げるという意味合いもありました。
しかしその裏には、中国の経済を成長させて市場を拡大し、アメリカ一辺倒からの脱却の意図も、そこにはあったと思います。
だからこそいまだに人治国家である中国との太いパイプが必要になるのです。
日本の政治家でそこまで考えている政治家はもはやあの人しかいないのではないですか?
みんな口ではかっこのいいことを言いますが、実際には制度の枠内で騒いでいるだけの様に見受けられます。

せっかく中国の市場が成長しつつあるこの時期に、尖閣問題で関係を悪化させ、返す刀でアメリカの軍事力にすがろうとしたり、
アメリカとの同盟関係強化を言いだすのは、バカというか愚かというか、およそ私には考えられない愚政策だと思います。
日本が中国へ生産を移転した時に、中国とアメリカとをうまく天秤にかけながら、しかしアメリカ市場依存からの脱却も狙っていたはずなのに、
どうしていまさらその果実を捨てて後戻りしようとするのでしょうか。
工場の中国移転で多くの国内工場は閉鎖に追い込まれ、多くの日本人が雇用を喪失したというのに。
せめて未来の果実だけはしっかりと手にしないと何のための苦労なのかわからなくなります。

正直、だからこそ今の浮ついた民主党政権メンバーには期待できないし、過去の遺物自民には消えてもらいたいのです。
また官僚たちにも無責任な行いはやめにして、国民の利益を考えた責任ある行動を取ってもらいたい。
日本はアメリカや中国の為の国ではないのです。
もっと日本のリーダーならば日本国民の利益を考えて欲しいのです。
自分たちが楽だからと安易な選択をしたら国民への裏切りです。

2010.11.10 07:35 URL | 風太 #seTEoywg [ 編集 ]

どこのテレビ局がこのテーマを取り上げようが、
説教強盗になるのは見え見えなんで見ませんでしたが、案の定だったようで。
とりわけ「公共放送」をうたうNHKがそういうことを訴えるのは、
脅迫してまで金品をせしめて国の金蔵を豊かにすることが
「公共」と考えているってことだろう。

2010.11.10 19:20 URL | 観潮楼 #- [ 編集 ]

NHKは民放に比べ、比較的中立に近いニュース報道をしているイメージでしたが、10日夕方の名古屋ローカルの、例のリコール問題では、露骨に河村市長側の言い分ばかりを垂れ流していました。

ラストには、明らかに河村の肩を持つ「市民団体代表」が選管を罵倒し、それにアナウンサーが同調して終わるという、みのもんた的番組に見られる最悪の報道姿勢です。
NHKの唯一の長所である「ニュースのワイドショー化抑止」を放棄したのでは、もはやこの局には存在価値はありません。

2010.11.10 22:29 URL | 飛び入りの凡人 #mQop/nM. [ 編集 ]

「借金862兆円 HALTAN」というサイトも面白いですよ!

2010.11.12 21:02 URL | 闘莉王 #UMtEH1cc [ 編集 ]

NHkふぜいに期待するほうがおばかちゃんです。
私なんかもうテレビなんかほとんど見てませんよ。
競馬とアニメしか。
報道関係の番組に見るべきものは地上波のどの局にもありません。あったら教えてほしいです。
もはやアニメと映画とスポーツと、あと一握りの教養番組だけが見るに値します。
ケーブルテレビの、特定のジャンルの専門局以外はもはや不要だと思いますが、kojitaken様の意見を聞きたいです。どうですか?

2010.11.13 23:08 URL | 谷本篤史 #gKumvUXs [ 編集 ]

 名古屋市民です。
ここに参加されている方々は違うと思いますがNHKを国営放送と思っている人がいますがNHKは一種の非営利の民間団体です。
 だから私などNHKの福祉や医療の番組には素晴らしいものがあるがニュースなど見ると、これが民間団体のやることか、と思います。とにかく保守的で私的には耐えられない。番組改変事件もありましたし。
 では、また。

2010.11.14 21:04 URL | 藤原欽也 #4bWVJAFI [ 編集 ]

財政赤字の原因は社会保障です。この額は、現在は100兆円です。
この費用を負担せずに若者や未来に押し付けているのが高齢者です。
求めるばかりで負担増を許さないのが高齢者です。
選挙結果を決めるのは高齢有権者です。先の衆院選、50歳以上の投票者数と50歳未満の有権者数がほぼ同数です。消費税の導入したとき、5%に変えたとき、有権者は与党の議席を大幅に減らしました。

所得税と法人税の額を書いていますが、バブルの名残が残っている頃の所得税、バブル絶頂の頃の法人税と2009年のそれを比較して大幅に減っているのは当たり前でしょう。特に、法人税は、もともと、こういった特徴があるのです。不安定財源と言えるでしょう。
せっかくですから、その頃と2009年の社会保障支出を調べることをお勧めします。

さらには、人口ピラミッドや年齢別医療費の情報なんかも是非。

2010.11.19 22:05 URL | 蒼猿 #- [ 編集 ]

蒼猿って奴だけど、
こいつのブログから引用させていただきますと、

>求めるばかりで負担しない。
>そんな年寄りを生かすのは無駄だし有害だ。
>しかも、最近の年寄りの素行は悪すぎる。

>もう、本人負担比率が低すぎるだとか、
>細かいことをいってる段階では無いだろう。


>老人に死んでもらう法整備をすべきなのだ。


http://aozaru.iza.ne.jp/blog/entry/1899372/

蒼猿こそがまっさきに死ぬべき人間であって、
一言で言えば、
人間のクズってことだ。

2010.11.19 22:43 URL | フリスキー #iMBi6aSc [ 編集 ]

財務省の本音,愚痴が聞けたという意味では楽しい番組でした.

そろそろ,日本人は財政赤字の意味をきちんと理解すべきでしょうね.日本経済の本当の問題とは「貯蓄超過」でしょう.

貯蓄超過 = 財政赤字 + 貿易黒字

というマクロ経済学の基本さえ理解していれば,日本には財政赤字を回避する選択肢は無いんだなと理解できるかと思います.もし,どうしても財政赤字を回避したければ貿易黒字の拡大をアメリカ様に許してもらわないといけない.小泉内閣の時のように,第2,第3のイラクを支持しますか?私は反対です.今の財政赤字を問題視する風潮は,人倫に反しているとすら感じます.そんなにアメリカに人殺しをしてほしいのか?と.

大蔵官僚に聞いてみたいですね.「ところで,いつ,赤字国債は発行できなくなるんでしょうね?」と.80年代からすでに我が国は「財政破綻直前の緊急事態」が続いているわけですが.1京円くらいですか?

2010.11.30 18:09 URL | Tatch&Rotch #- [ 編集 ]

政府もしくは民主党のやつらにこういいたい
東日本大震災でもはや消費税大増税は不可能になった。
ならば被災者にも大増税するとでもいうのですか?。
柳沢がいっていたではないですか消費税は悪魔のような税制だと・・。
消費大増税は不可能
まして国の借金、赤字国債など刷ったら
最悪、ハイパーインフレーションが置きかねない。なっていったって862兆円の借金が
あるんですから
こうなったら復興財源は世界銀行からの借款に頼るしかなくなります
もう政府のバラマキは不可能です
国民の消費を増やすように世界銀行が指導し
世界にも消費を増やすように以って行くしか
なくなります
拙い返事ですが
今の私の考え方を述べました
では

2011.05.04 16:38 URL | 長谷 #- [ 編集 ]













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