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きまぐれな日々

「カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの虚業日記」の 『安倍晋三と岸信介と「女系」』 で、安倍晋三が「政治的DNA」という言い方を好んでいることとともに、安倍晋三岸信介のつながりが「女系」であることを指摘している(安倍晋三の母・安倍洋子は岸信介の娘)。

実はこのことは、同じく祖父・小泉又次郎と「女系」でつながっている小泉純一郎と関連づけながら、いずれ論じようと思っていたことだった。

さすがはカマヤン、と思っていたところに、月刊「現代」2006年9月号に、先日当ブログの記事でとりあげた「AERA」3月20日号の記事「昭和の妖怪継ぐ血と骨」の筆者・吉田司氏による『平成の夏に「妖怪」が甦る・「岸信介」を受け継ぐ安倍晋三の危うい知性』という記事が掲載された。この記事で、吉田氏はまさに小泉純一郎と安倍晋三のつながりを指摘しながら、「DNA政治主義」の話を持ち出している。

以下引用する。

『小泉首相と安倍晋三を結ぶ因縁の糸車は、実はもう一つある。福田派の源流はあの「昭和の妖怪」と呼ばれていた岸信介にあり、同時に安倍晋三も「私は安倍晋太郎の子だが、岸信介のDNAを受け継いでいる」と主張するDNA政治主義者だからだ。
(中略)
つまり小泉純也も福田赳夫も、みんな岸信介の手元で大きくなったのだ?だから小泉と安倍を結ぶ因縁の糸は福田派の源流である「岸派」までさかのぼるのであり、もしこれから小泉→安倍後継体制が出来るとしたら、それは格差社会の「微調整」(再チャレンジ)内閣などではなく、60年安保以後死滅したと思われていた大軍事産業国家の確立を目指した超タカ派『岸路線』の本格的登場=再起動が始まるということを意味するのだ。小泉劇場の5年間とは、実はそのための"露払い"という歴史的役割を担ったのだということが、やがてわかってくるだろう』
(月刊「現代」 2006年9月号 『「岸信介」を受け継ぐ安倍晋三の危うい知性』(吉田司)より)
吉田氏は、昨年(2005年)に出版された『安倍晋三対論集?日本を語る』から、安倍の発言を引用しながら、こう書いている。

安倍 いずれにせよ次の内閣は、政治日程として憲法改正を取り上げる初めての内閣になるでしょう。一内閣でできるかはわからないし、そう簡単にいかないかもしれない。何と言っても六十年間ずっと変えてこなかったんですから。しかしそれにトライすることはとても大切です。
(以上安倍の発言=筆者注。また、赤字ボールド体による強調は筆者による)

そう、安倍後継内閣が大したトラブルもなしに易々と成立したら、それは間違いなく、「改憲内閣」となる。戦後「平和憲法」体制の終わり?のはじまりとなろう。今年の8月15日が大きな歴史的変換点になると述べるのはこのためだ。国論が二分すべき機(とき)なのである。』
(前掲月刊「現代」より)

興味深いのは、吉田氏がこの指摘に続いて書いている、岸信介が戦争末期に東条英機と対立したいきさつである。岸は1944年に、東条内閣が「絶対国防圏」の要衝としていたサイパンが陥落したことによって、対米戦争はもはやこれまでと判断し、東条と対立、東条の「辞任要求」を拒否したため、東条内閣は「閣内不一致」で総辞職に追い込まれ、潰れた。この後、「和平派」のハト派政治家だった同郷の政治家・安倍寛 を病床に見舞い、それがのちに安倍寛の息子・晋太郎と岸の娘・洋子の結婚につながり、そこから「われらが安倍晋三」(吉田氏の記事中での表現)の誕生となる。このことから、「安倍晋三がそのDNAにかけて戦前東条軍国主義なるものと対決すべき運命にある」と、吉田氏は皮肉たっぷりに書いている。

吉田氏は、経済学者の野口悠紀夫氏の指摘で有名になった「1940年体制」を引きながら、戦時中から現在に至る経済政策の連続性およびそれを創始したのが岸信介だったことを指摘する。吉田氏の表現を借りれば、『戦前の満州国経済はソ連型とドイツ型を折衷させた一種の「国家社会主義」の様相を帯びたのである』(前掲月刊「現代」より)。
そして、小泉内閣の「構造改革」が、こうした岸信介が敷いた経済政策の否定であることを安倍晋三がさっぱり認識していないことを、『自分のやっていることが「祖父否定路線」だという認識や哀しみが感じられないのである。彼は「戦前の岸」の姿を直視したことがあまりないのではないかと思われてくるのだ』(同)と皮肉っている。

吉田氏の記事はさらに、『岸より物騒な安倍』の章に続き、ここで、岸がかつて「核保有は違憲ではない」と答弁したことを、安倍が「核使用は違憲ではない」と答えたかのようにねじ曲げたこと、ネオコンで有名なチェイニーでさえ取り下げさせたペリー元米国防長官の先制攻撃論を安倍が唱えたことを批判している。

さらに、『日本本土の「サイパン化」』の章で、アメリカによって日本が「反テロ時代の防波堤」にされようとしていることを指摘する。

『われらの日本列島は米国の国益を守るための最前線=「絶対国防圏」に変貌させられているのである。そう、それはいわば「日本本土のサイパン化」だ』
(前掲月刊「現代」より。赤字ボールド体は、雑誌では傍点)

記事は、日本が米国の軍国主義に汚染されたり、その一部と化したりすべきではない、と主張しながら、こう結ばれている。

『私たちはよくよく考えなければならない。日本が中国や北朝鮮に軍事で対抗しようとしればするほど、軍事力ならオールマイティをもつ米国の「属国化の道」からいつまでたっても抜け出られない。逆にますますその米国の軍事的魔力の依存症(パラサイト)に堕ちてゆくだけだ。
自主的に対話し、説得し、交渉するタフ・ネゴシエーターとして平和外交に徹することだけが、属国化から逃れる方法なのだ。だから今、日本人のほんとうの危機は、アジアとの関係にあるのではなく日米関係の中にこそあるのだ。安倍晋三が米国の軍国主義的魔力の中に堕ちぬよう、国民はもっと深い警戒心をもって彼を見つめなければならないのである。』
(月刊「現代」 2006年9月号 『「岸信介」を受け継ぐ安倍晋三の危うい知性』(吉田司)より)


PS
この記事の締めに、美爾依さんの「カナダde日本語」 の記事でツッコミを入れられていた。

私の意見では、安倍はもうとっくに米国の軍国主義的魔力の中に堕ちていると思うのだが・・・・。
「危険きわまりない空自バクダッド派遣」)より

私も全く同意見であり、「AbEnd」キャンペーンに参加している以上、こういう締めの言葉を入れるべきところだった。
これに対するイイワケは、前記「カナダde日本語」の記事のコメント欄に書いておきました。
(2006.08.05 08:35追記)

「違憲」とすべきところが「意見」となっていた誤変換を訂正した他、細かい修正を行いました。
(2006.08.17 22:26追記)
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