きまぐれな日々

4月に入って、学校や企業、役所など、新年度が始まったところも多いと思うが、当ブログは新年度初日の昨日(1日)は更新しなかった。これは、ブログを開設した4年前以来だ(この年の4月1日にはブログ未開設だった)。昨年秋以降、週2回更新を基本にしているせいもあるが、今年は例年になく気分の浮き立たない年度初めである。

昨年の4月1日には、朝日新聞は立花隆が小沢一郎を厳しく批判する文章を載せ、小沢一郎の時代の終わりを予感させが、そうはならなかった。小沢一郎は、昨年5月に民主党代表を退き、電光石火の代表選で鳩山由紀夫を後継の代表にして、自らは民主党幹事長に収まったが、その体制下で昨年の衆院選に圧勝した。しかし、鳩山政権は実績不足もさることながら、意欲をあまり感じさせず、人々にフラストレーションだけならまだしも、政治に対する失望と無関心を引き起こしているように見える。

政権交代後、それまで自民党を応援していた保守派のメディアだけではなく、自公政権時代に政権に批判的だったメディアも、徐々に新政権を批判するようになった。ジャーナリズムの使命は権力の監視にあるから、それはそれで当然ではあるが、なぜかその批判が人々(市民というべきか、人民というべきか?)の側からではなく、大マスコミ自身がその一員であるところの既得権益だとか新自由主義者の側からなされていて、「産経も朝日も同じ」とまでは言わないが、少なくとも「読売も朝日も同じ」という様相を呈している。蛇足だが、自民党と一緒に下野した産経新聞は、やはり異彩を放っており、最近は自民党の方が産経色に染まってカルト化してきたように思う。

朝日新聞のダメっぷりを痛感させられたのが、新年度に入っての昨日(4月1日)付と今日(4月2日)付の紙面である。たとえば1日付では、党首討論で普天間基地問題を現行案支持の立場に立って論じた谷垣禎一自民党総裁に好意的な記事(社説や4面など)を掲載した。この問題で迷走する鳩山政権を厳しく批判すべきことは当然だが、それがアメリカの言うがままに沖縄に負担を強いてきた前政権と同じ側の立場からの批判であっては何の意味もない。

また、新自由主義側の論者ばかりを集めた、刀根館正明編集委員編集のオピニオン欄「こうする!日本再生」も全くいただけなかった。中でもうさんくさいと感じたのが、「成長政策」に特化するのではなく、「安定化政策」と「再分配政策」も大事だと、一見物分かりの良さそうなことを言っている駒沢大学准教授の飯田泰之なる人物だ。この男は、現在の日本では都会から地方へと一律に富が移転される設計になっているなどと書いている。だが、私が肌で感じるところでは、地方は都会よりずっと貧困がひどい。ハコモノや道路の建設は、都会から地方への富の移転なんかではない。潤うのは東京に本社を持つゼネコンであり、政官業癒着にあずかる役人や政治家たちである。その政治家のセンセイたちも、特に自民党の世襲議員などはその大半が生まれも育ちも東京であって、選挙区には週末に「帰る」というより「訪れる」だけだ。

飯田泰之のインタビュー(聞き手は杉井昭仁記者)は、読み進むにつれてどんどん馬脚を現していくのに唖然とした。税制を改革して(消費税は毎年1%ずつ引き上げて10%にするらしい)税収を70兆円超にしたら、労働市場の規制緩和や流動化に着手するのだそうだ。ここまできて、飯田泰之は新自由主義者の正体をむき出しにする。この飯田泰之という人物は、雨宮処凛との共著『脱貧困の経済学』や、勝間和代及び宮崎哲弥との共著『日本経済復活 一番かんたんな方法』を出していて、後者は嫉妬心の強さで有名な池田信夫(ノビー)に批判されているが(注:これらの書籍やノビーの文章にはいちいちリンクは張らないので、興味のある方はネット検索などで調べてほしい)、なんのことはない、飯田泰之とノビーは同じ穴の狢なのである。今では竹中平蔵のようなストレートな新自由主義者は敬遠されるようになったから、羊の皮を被った飯田泰之のような人物がもてはやされるようになったというべきか。雨宮処凛との共著を出すとは、編集者も出版社もあくどいことを考えるものだと感心してしまった。そして、そんな人物を朝日新聞が新年度最初の日の紙面に取り上げる。これでは救いがない。

朝日新聞は、2日付の科学面では、「転機の原子力」という連載をスタートさせ、「原発導入、高まる機運」という見出しで、原発推進の姿勢を維持してきたフランスの政策を紹介している。この連載は、毎週金曜日に掲載されるようだが、少なくとも原発を否定的に見直す記事にはならないことは予想される。こういう記事を見ていると、以前、「朝日新聞の民主党化」を指摘した魚住昭を思い出すが、その魚住も今では佐藤優や田原総一朗のお仲間だ。

しかし、「ネットで真実」を言っている面々はそれ以下なのだからお話にならない。植草一秀が副島隆彦と共著を出版していたり、ベンジャミン・フルフォードと対談していることを批判できないようでは、「ネット言論」とやらもタブーだらけだとしかいえない。フルフォードとリチャード・コシミズとの距離は、もうそんなにない。「植草一秀はトンデモである」と当ブログは書くが、そう書くことのできないブログが大多数である現実はお寒い限りである。

そんなわけで、真実はネットにもない。いや、探せばあるのだろうが、読者が多いサイトに真実があるわけではない。そもそも、そんなにお手軽に真実にたどり着けるのなら、誰も苦労しないのである。かくして、羅針盤なき航海は続く。


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都会や工業地帯が農村や地方から労働力という形で、収奪しているわけです
ネオリベでなくても、欧米型社会である以上はどうしてもそういう状態が発生します
企業誘致みたいなことをしようとしても、無駄でしょう
わざわざ地方に拠点を持っていく理由がないからです
あるいは中国をはじめとしたアジア諸国に移転した方がいいという風潮が蔓延しています

農業にしても、アメリカのような大規模営農を実行すれば、水が涸れたり、土地が荒んで生き物が住めないような状態までいって終了です(アメリカはまだ西側だけで済みますが
その土地その風土に合わせて、永続できるようなものでないと意味がないです

こういう状態のときにこそ、政府や行政機関の出番なわけですが、まあ期待しない方がいいです


いまはダウや日経がキチガイみたいに暴騰していますが、所詮は会計基準を変えたり、税金投入でごまかしてみたり(=景気対策よりは選挙対策という意味合いが強いのでは)、外需依存だったりするわけで
実感出来るような景気回復はないのでは(いや景気は回復しない
菅直人は着実に持ち直しているとか、二番底の懸念は消えつつあるとか言っていますが

あとなんでも今は金融や投資をすれば誰でも利益を得ることが出来るなどと言っている人がいますが、どうせこの異様な暴騰が落ち着いたり、あるいは痛い目にあったりすれば「やはり金融や投資なんていかさまだな 実体経済に伴ったことでないといけない」とか言い出します
まあああいう投資とか金融商品なんていうのはバカな小金持ちからカモルための口実でしかないわけです
それに個人投資家が痛い目にあっても、いつものように゛自己責任゛で終了なので

昨日もある番組で、帝国ホテルが出ていましたが、ああいう場所で寝泊まりしてサミットを開催している人に、地方の惨状を理解しろという方が無理がありますし

まとまりがないですが、終了です

2010.04.02 11:57 URL | マイケル #- [ 編集 ]

追記です
>肌で感じる
こういう感覚が大切ですが、さっきも書いたように帝国ホテルや豪邸で寝泊まりしている人には地方の惨状や都会の中低所得者のことなど理解出来ないでしょう

2010.04.02 12:03 URL | マイケル #- [ 編集 ]

こりゃ間違いなく行革競争になりますよ。選挙にかけて事業仕訳でしょう。それが不十分だとみんなの党や自民党、橋下一派や与謝野新党?あたりが大騒ぎするでしょう。一番正面から政府の役割を説くのが平沼一派だとかいう、笑うに笑えない話になるかもね。あとは亀井ですが、彼だってもともと根は同じなわけです。平沼グループが選挙で示したものと、国民新党の政策綱領、経済政策はまったく同じ方向ですから。まあ国民新が新党結成を打診したというだけありますね。

2010.04.03 10:56 URL | KYN #- [ 編集 ]

菅直人は、どうやら新自由主義の仙谷一派に仲間入りのようですね。今日の朝日でも、「消費税増税に意欲」で、菅・仙谷がグループ分けされています。
そして、そのグループがそろって亀井の郵政改革に反対しているのもわかりやすい。
「小さな政府・消極財政」派が、なぜ同時に消費税増税派なのでしょうか?

それから、いつもの余計な出しゃばりですが、ブログ主さんの、「それ以下」の基準がよく分かりませんね。
うさんくさい「陰謀論」など唱える奴は、皆「下の下」なのでしょうか。
それじゃ、癌のことには興味があっても、原発のことなど書かない立花隆より、「東京に原発を」とやった陰謀論の大家・広瀬隆は当然「それ以下」でしょうね。

2010.04.03 17:20 URL | cube #- [ 編集 ]

kojitakenさん、はじめまして。

飯田泰之のオピニオンを読んで私もギョっとしました。財政再建策を批判する真っ当な提言もある一方で、小泉構造改革については「改革そのものが悪なのではない」と評するなど、「いまひとつ信用できないな」というのが私の感想です。

インフレターゲットはミルトン・フリードマンが主唱していたマネタリズムから派生した政策ですから、新自由主義とは親和性が高いのかもしれませんね。

2010.04.03 23:07 URL | KaraKoramParka #- [ 編集 ]

このコメントは管理者の承認待ちです

2010.04.04 08:25  | # [ 編集 ]

kojitakenさん、どうも。


>エントリに取り上げなかった部分はもっとすごいぞ。小泉構造改革の積極評価や法人税減税など。大体こんなブクマで陰口叩いてないでコメント欄に出てきて堂々と批判したらどうだ。返事してやらないけどな。

てな感じで、なぜかぶくまコメを陰口呼ばわりされたので釣られてみました。返事は結構です。

>>文脈から消費税の部分だけ切り取るのは卑怯な印象操作だね。嫉妬深いノビーwと同じことやってる。ただ記者にのせられてインタビューで消費税に言及したのは不注意といえるかも。
↑これ私のぶくまね、念のため。


飯田さんの当該インタビュー記事は私も読んでますよ。
その上で申し上げますが、飯田さんの消費税増税論は、金融政策等の徹底で、安定的な経済成長率を実現するのがまず大前提というのは明らかでしょう。その文脈無視を失礼ながら「卑怯」と呼ばせていただいたんです。しかしこんな誤読曲解を招いたのは、コメントに書いた通り、記者にあんなかたちでしゃべらされた飯田さんの不注意でしょう。
>小泉構造改革の積極評価や法人税減税
そもそも貴方は飯田さんの著書を読んでらっしゃるんですよね。だったら飯田さんが小泉政権時代の所得税減税を「累進緩和=金持ち減税」と批判していることはご存知のはずでは。また法人税減税もそれ単体では論じられないと思います。誰かさんと同じ穴の~とか罵るなら著書から引用して批判すべきでしょう。

2010.04.04 17:25 URL | ko_chan #- [ 編集 ]

読売新聞は反新自由主義的&財政再建至上&公共事業必要論の古い自民党路線を鮮明にしてます。朝日は親新自由主義&財政再建&公共事業敵視の90年代の都市リベラル。財政再建では確かにどの新聞も同じだが…。
 結局55年体制末期の右と左の構図をそのまま読売も朝日も継承して思考停止している気がします。

2010.04.05 13:58 URL | kechack #1/Y8RI0s [ 編集 ]

>結局55年体制末期の右と左の構図をそのまま読売も朝日も継承して思考停止している気がします。

読売と朝日は商売上いろいろ提携してるようですね。
大手新聞はどんどん売れなくなって業界の存続が危ぶまれている状況ですから、それぞれ役割分担して固定客を逃がさない戦略なのでしょう。
ジャーナリズムの良心などとっくに失って、兎に角買ってくれそうな連中にあわせて適当に作っているのでしょう。
しかし、今や全国的には大手一般紙の影響力は無いも同然。
もはや産経は事実上存在せず、毎日は倒産寸前、朝日も読売も会社が付き合いで置いているだけ。でもその会社の従業員も手にとらない。
そんな時代になりました。

今や、大新聞の読者は時代に取り残されて孤立した存在です。
朝日・読売の読者たちがこのことに気付いて、大手の新聞とテレビから卒業して欲しいですね。

2010.04.07 00:04 URL | そにく #GCA3nAmE [ 編集 ]













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