きまぐれな日々

鳩山由紀夫・民社国連立政権の支持率が目に見えて落ちてきた。2週間ほど前に鳩山首相は「これからは民主党らしさを出していく」と言ったが、果たして「民主党らしさ」とは何かと考えても、なかなか出てこない。

民主党が野党で、かつブログなどと言うものを始める前の頃には、「民主党も自民党と似たようなものだけど、政官業癒着構造と距離を置く潔さがあるところが違うくらいかな」という印象を持っていた。あと、小沢一郎が代表に就任する前には、各議員が思い思いの主張をする百花斉放の党風があった。もっともこの点に関しては、小泉純一郎が総理総裁になる前の自民党にも、いや「郵政総選挙」で圧勝する前なら小泉時代の自民党にだって似たような気風はあった。そして、そのあとやっと思い出したのが、情報公開や取り調べの全面可視化、それに最近では企業・団体献金全面禁止などの主張だった。

イデオロギーの絡んだ問題では、左は社民党や旧社会党の流れをくむ民主党最左派、右は自民党より右寄りで悪名の高い旧民社党までが一緒になった政権だから、なかなかコンセンサスが得られないのはわかり切っていたが、情報公開や取り調べの全面可視化くらいはもっと積極的に進めてくれるかと思っていた。しかし、もともと現政権に過大な期待はかけていなかったつもりの私でさえ失望するくらいのていたらくだから、政権交代に大きな期待をかけていた人たちの失望が大きいことは想像に難くない。

現在の状況についてなされている分析は、大ざっぱに言って、都市部を中心として、民主党に「古い自民党」からの脱皮を求め、かつて2001?05年の選挙では自民党に投票し、07年参院選や09年衆院選では民主党に投票した人たちが、新自由主義政党である「みんなの党」に流れる一方で、都市部・地方を問わず、「国民の生活が第一」というスローガンを信じて民主党に投票した人たちの一部が共産党に流れ、新政権に失望した多くの人たちが棄権に回るだろう、いったん自民党を見限って民主党に鞍替えした地方の人が自民党支持に戻ることはないだろう、だいたいこんなところだと思う。

共産党やその支持者が政権を批判することは大いに結構だし、その大部分は正論だと私も思う。一方、「政権交代」に大きな期待を寄せて民主党に投票したことを後悔している人たちに対しては、少し注文がある。それは、いったんは支持した民社国連立政権を、少しでも自らが期待するような方向に動かすことをトライしてみてはどうかということだ。

先月、当ブログはそれを試みた。だから、「取り調べの全面可視化」に反対している衆議院議員(安倍晋三や城内実をはじめとする「政治思想右派」が多い)を可視化したし(2月5日付)、マスコミが「消費税論議を始める」と連呼した税制改革についても、「議論を本格化させるのは『消費税』ではなく税制全体の見直し」であることを指摘した。特に、2月5日付エントリ「『取り調べの全面可視化』に反対する衆院議員の名前を晒す」は、私の狙い通り、2月度において最多のアクセスを記録したエントリになった。

だが、所詮は「蟷螂の斧」。民社国政権の動きは鈍い。昨日(2月28日付)の『西日本新聞』社説でも、「取り調べ録画 法案化なぜ急がないのか」と催促されている。この社説では千葉景子法相と中井洽国家公安委員長が批判されており、特に中井洽に対しては、

 とりわけ中井氏は慎重だ。全面可視化について「自白に頼る捜査をそのままにして導入すれば検挙水準を落とす」と指摘し、司法取引など「新たな捜査手法」導入との同時実施を主張している。

 「自白頼り」の捜査は、もちろん改めるべきだ。しかし、可視化の導入は、検挙水準を高める捜査手法の検討とは次元が異なる問題だ。それを同列で論じる中井氏の姿勢には違和感を覚える。

と手厳しく批判している。ところが、この中井洽は、上述の「『取り調べの全面可視化』に反対する衆院議員」には名前が出てこない。つまり、党の公約だから、新聞社のアンケートには「賛成」と答えながら、本音はそうではないということだ。民主党にはこういう議員が大勢いるから困ったものである。なお、中井は旧民社系だが、自由党経由の議員であり、小沢一郎と行動を共にした時期が長い「小沢側近」と見られているとのことだ。

中井は、高校無償化法案から朝鮮学校を除外すべきだとも主張している。思想が全くはっきりしない鳩山首相はこれに同調したが、国連人権差別撤廃委員会が行なっている対日審査会合でこの問題が取り上げられ、北朝鮮との外交関係を理由に差別的措置がとられようとしている、という問題認識が委員から指摘された。

かつて安倍晋三が北朝鮮に対する強硬姿勢を打ち出して自らの人気を浮揚させたことがあったが、鳩山政権はまさか安倍晋三に倣おうというのだろうか。民主党の中でも、自民党の平均的議員よりはるかに右寄りであり、思想的に安倍晋三に近い中井洽を拉致問題担当大臣にしている鳩山首相のセンスは理解できない。鳩山政権の目指す方向性が全くわからないのである。

たとえば福田康夫元首相は、安倍晋三の対北強硬姿勢を改め、アジア重視の一環として日朝関係改善を目指しており、それを政権浮揚につなげようとしていたふしがあった。一昨年9月1日に福田康夫が突如辞意を表明したのは、「福田では参院選に勝てない」と考えていた公明党が自民党に圧力をかけたためだとされている。実際、麻生太郎が総理大臣に就任した直後に衆議院を解散していれば、政権交代が起きなかった可能性もあったが、小心な麻生は週刊誌や自民党独自調査による衆院選情勢予測が必ずしも良くなかったために解散を先送りし、そのあげくに先送りできなくなった任期満了直前の解散に追い込まれて大敗を喫した。時の流れを読めなかった麻生だが、小心なポピュリストでもある彼は、対北朝鮮政策でも、強硬姿勢を好む国民世論に阿って、安倍時代の強硬姿勢に戻してしまった。そして、鳩山現首相が拉致担当大臣に中井洽を据えた時、安倍晋三は小躍りしたといわれている。麻生にせよ鳩山にせよ、対北強硬姿勢をとることが政権浮揚につながるとでも勘違いしていそうなところがなんともイタい。安倍の思想信条及びキャラクターからしたら対北強硬姿勢は安倍の内面と一致しており当然だが、麻生の「国士気取り」は内面から出たものではなく人気をとろうとしてのものだと私は考えているし、鳩山に至っては人に気に入られるためなら何でもやる、究極の八方美人にしか見えない。

現在の民社国連立政権では、左派(菅直人系や旧社会党系及び社民党など)の力が、おそらく黒幕格の小沢一郎が「政治と金」の問題で痛めつけられた影響もあって弱っており、相対的に旧民社系に代表される右派の力が強まっている。歴史的経緯からいうと、鳩山由紀夫は旧民社系に支えられてきた政治家だが、トロイカの菅直人は市民運動出身、小沢一郎はもともとは政治思想も経済政策もゴリゴリの右派だったが、これも歴史的経緯によって民主党入りと同時に労組政治家に転向した人間だ。つまり、トロイカの他の二人からは鳩山由紀夫を左に引っ張る力が働く。それが弱っているのが現状ではないかと私は思うのだ。

旧民社系というのは、七奉行よりもっと右の人たちであって、代表格が平野博文官房長官であることはいうまでもない。七奉行には枝野幸男ら民主党の中間派や外交・安全保障ではタカ派の前原誠司、それにより右寄りの野田佳彦らがいるが、党内の中道右派として比較的まとまった位置を占めている。それに対し、旧民社系はいわば極右であり、現在の政権は民主党内でも左派と極右が支える形になっている。だから鳩山首相が股裂きされるような形になって、何事も決められない印象を与えるのである。特に、鳩山首相が当座の仕事のやりやすさだけを優先して官房長官に平野博文を据えた人事は致命的だった。この人事が報じられた頃から、多くの人が鳩山首相に警鐘を鳴らし、平野博文の更迭を求めてきたが、鳩山首相がそんな草の根の声に耳を傾けるはずはなく、いまや政権が大きく傾いている。

マスコミの狙いは何かというと、朝日新聞などの立場だと現在のトロイカ主導の体制をひっくり返して、七奉行らが主導する政権へと移行させることだし、読売や産経だと自民党政権に戻すために政権を弱めることだ。その場合、旧民社系のような極右のはね上がりは若干減るかもしれないが、根幹となる政策、たとえば雇用や景気に関わる政策や税制改革などは、自公政権時代の新自由主義政策に近いものになる。それでは、それこそ政権交代の意味が全くなくなると思うのだ。

だから、総選挙で民主党に投票した人間であれば(私自身は選挙区では民主党候補、比例区では共産党に投票したのだが)、小沢一郎の「政治と金」の問題や、中井洽や平野博文などの極右政治家のはね上がりを叩くと同時に、現政権の政策をあるべき方向に向かわせるために役立つ情報の発信もしてほしいと思う今日この頃である。
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2010.03.01 08:28 | 民主党 | トラックバック(-) | コメント(13) | このエントリーを含むはてなブックマーク

鳩山首相が支持率低下を意識して、人気取り目的で対北朝鮮強硬姿勢を見せているとしたら、最悪ですね。人気取り目的で朝鮮人叩きをするってまんまナチスじゃないですか。

2010.03.01 08:58 URL | nessko #aIcUnOeo [ 編集 ]

私の中では、鳩山政権はもはや倒すべき政権へと傾きつつある。それほど、最近の対応はひどい。

1) どうも取調べでの全面可視化法案を今国会では通しそうもない。
2) 情報公開をしそうもない。
  平野官房長官は、官房機密費について情報公開するつもりは今後もなさそうである。このごりごりの松下労組議員の政治資金については、東京サバイバル情報さん(http://yaplog.jp/ichijihinan/)が詳しく扱っている。
3) 沖縄に対する対応は許しがたい。最近の「東村高江米軍ヘリパッド建設」問題への対応は信じがたいものがある。
http://www.news.janjan.jp/area/0901/0901225925/1.php
4) 原発推進が民主党の政策であることがはっきりした。とくに以下の記事に私は激怒する。
「鳩山首相:日本原発採用へ親書 ベトナムに協議求める方針」というタイトルの記事。これは民主党を批判する記事ではないから、おそらく事実でしょう。しかし、私には、許しがたい話である。
http://mainichi.jp/select/world/news/20100228ddm003010137000c.html

ただし、自民党はもはや死んだ政党である。ゾンビで復活させるわけにはいかない。私の票は一体、どこに流れるのか。

2010.03.01 09:38 URL | 負け組みの矜持 #- [ 編集 ]

新政権は、何をもたもたしているのだ。
『取り調べの全面可視化』
西山事件のことを思い出す。
いつの時代も同じだ。
「国民主権は、どこかへ追いやられ、はぐらかされる」の連続だ。
国民の血と汗と涙の結晶である蓄えすら、守ることが出来ない奴等を、国民の代表といえるのであろうか・・・。
新政権は、西山事件に学ぶべきである。


民社国連立政権の最大公約数は、「新自由主義粉砕」でしょう。
 

2010.03.01 11:01 URL | 匿名 #sSHoJftA [ 編集 ]

単純にいつまでたっても普通の人が実感出来るような回復がないということがあります
通勤時間帯はともかくいまいる街にしてもハローワークと郊外のイオンだけ賑わっているような状態です
政府や金融機関は「持ち直しの動き」という見解ですが、むしろ悪い方向に向かっているような気がします
海岸ではアメリカと日本を行き来している人曰わく向こうも会計基準を変えたり税金投入とかでヤラセの景気回復を演じているだけなんだとか
もっとも、首相が無能とかバカとかいうことではなくてそもそも、ああいう人たちには庶民の生活のことなど分からないのでは

2010.03.01 11:31 URL | マケイン #- [ 編集 ]

まあ個人的には前から反対していた裁判員制度を廃止して欲しいなと思っていました
せめて被告が一般の裁判員を迎えるかどうか選択することだけでも認めた方がいいのでは(たしかそういう選択は出来ないはずです
裁判には傍聴というシステムがありますのでそれで第三者の目が入っていますのでわざわざ裁判員制度など設置する必要はないと思いますが

2010.03.01 11:39 URL | マケイン #- [ 編集 ]

>対北朝鮮
そういえば石川県には寺越事件がありますが「拉致被害者」に認定して欲しいという要望が親類から出ています(なぜ今更そういう動きがでてくるのか
もちろん無防備にしていいとは言いませんが北朝鮮についてはもはや話し合いを根気よく重ねていくしかないとは思いますが、正直に言って北陸地方でも北朝鮮は敵視されています
ひどい話しですが北朝鮮強硬を演じれば民主も「客寄せ」は出来ます
そういうことがないように祈りたいものです
それに北朝鮮=得体の知れないテロ国家だとすれば、どうしてそういう国から日本はアサリや松茸を仕入れているのか分かりません
もちろん食べても問題はないですが

2010.03.01 15:25 URL | マケイン #- [ 編集 ]

「民主党らしさ」とは、「ホップ、ステップ、肉離れ」とか「ブーメラン」とかであり、「これまででも十分出ている」ものです。

民主党は今のままではまず次回参院選で前回参院選と同程度には勝てないと思います。
民社国で過半数とれなければ、民主議席の減る分が社国議席の増える分に回らなければ、連立政権の枠組みが変わる可能性は非常に高いでしょう。

社民党は十中八九外れる。分裂の可能性もある。
国民新党も外れるかもしれない。
みんなの党は台風の目、みんなの党が加わる場合は国民新党は外れる。
公明党は加わるかもしれない、民公国も民公みんも両方ありうる。
自民党との大連立も全くありえない選択肢ではない。民主党が大きく負ければありうる。

2010.03.01 19:26 URL | Black Joker #RtNpiJ3M [ 編集 ]

>かつて2001~05年の選挙では自民党に投票し、07年参院選や09年衆院選では民主党に投票した人たちが、新自由主義政党である「みんなの党」に流れる一方で、都市部・地方を問わず、「国民の生活が第一」というスローガンを信じて民主党に投票した人たちの一部が共産党に流れ、新政権に失望した多くの人たちが棄権に回るだろう、いったん自民党を見限って民主党に鞍替えした地方の人が自民党支持に戻ることはないだろう、だいたいこんなところだと思う。

上記には同意しますが、↓の
>いったん自民党を見限って民主党に鞍替えした地方の人が自民党支持に戻ることはないだろう、だいたいこんなところだと思う。

これには疑問です。
地方在住者として、農家個別所得保障制度でさえ迷走している状況とマスコミが総バッシングに走っている現状では、参議院選では比例では確かにそうかもしれませんが、地方の1人区では「自民党に幻滅して見限ったが、民主がこれなら、自民の方がまだまし」との観測が広まりつつあり、また地方は後援会互助組織がまだある程度健在なところが多く、民主も自民も嫌って棄権が多くなるほど、1人区では圧勝しそうな気配があります(実際、最近の地方の知事選・大都市市長選挙ではほとんんど自民系の候補者が勝っています)
小沢一郎が幹事長を辞めて、マスコミのバッシングが辞めば潮目が変わるかもしれませんが、現状では小沢が辞めてもまた何か民主党絡みで、参議院選挙までバッシングが続く可能性がなくはないので(地方になればなるほどTV・新聞報道の影響力がつよくなりますし)個人的にはこの点については疑問があります。
(ただし、地方でも民主・自民両方に幻滅している人が多いので、比例代表に関しては大量の棄権がでて自民の票は管理人さんのおっしゃる通り回復しないと思いますが・・・)

2010.03.02 03:23 URL | michinokumutsu #bMnVHkc. [ 編集 ]

鳩山総理の党内基盤が民主党結党以来、旧民社党に依存しているんですよね。
 「友愛」などと、旧民社党のスローガンをこのんで使いますし。

2010.03.03 00:55 URL | kechack #1/Y8RI0s [ 編集 ]

>祈りたいものですなんだかイヤなフレーズでした

そういうことがないように権力を見ていきたいものですとでも言った方が良かったです
祈っても何も変わりませんし

2010.03.03 02:38 URL | マケイン #- [ 編集 ]

中井は児童ポルノにかこつけた治安立法にも大賛成とのことです。また、この人は教育基本法改正についても、自民党の二階(自由党まで同僚)と談合して、可決させたという説もあります。

2010.03.04 16:08 URL | puyonyan #- [ 編集 ]

半年たった今、大事なのは結果。
何一つまともではない「マニフェスト破り」。誰でも最悪な結果の予想がつく「売国」。効果も財源もないのにバラまく「子供手当・高校無償化」。全く具体的効果が期待出来ない「経済政策」。全く自浄出来ない「政権体質」。

人がドンドン死んで行き、国がドンドン疲弊している。これが政権交代の結果。

2010.03.07 03:06 URL | #mYadv.MQ [ 編集 ]

市民苦しめ何が政治家だ世の中の景気回復もでかないくせに貴方の月給半分カットして議員減らしよくいな新堂作るないまの政治家は最低のバカの集まりだ。市民殺して役立たず市民の1ヶ月の給料で生活してみろ、どれだけ苦しいか分からないバカ政治家なにが新堂設立だまともな政治出来ないくせにそんな政治家クビにしろだいたい総理大臣がバカだから日本駄目になるんだ辞めろ小泉元総理大臣は殺してしまえ

2010.04.09 20:09 URL | 一般市民 #- [ 編集 ]













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