http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20100214/1266123722
上記書評記事にも書いたが、この本の製作にはブログ『お玉おばさんでもわかる 政治のお話』を運営しているお玉さんが関わった。以前私は、城内実の評価をめぐってお玉さんのブログ記事を批判したことがあるが、平和を志向し、陰謀論に反対することに関しては、お玉さんと私は同志といえる。伊勢崎さんの本の内容には賛否いろいろな意見が出ると思うが、とにかくご一読をおすすめしたい。
さて、国会の論戦では、民主党と自民党が去年までとは攻守ところを変えた論戦を展開しているが、テレビでどえらくもてはやされていた与謝野馨の代表質問はひどかった。私はもともと与謝野馨など全く買っていなかったので、「ああ、地が出たな」と思っただけだが、テレビが作り上げた「政策通にして紳士」という虚像に騙されていた人たちには、品性下劣としか言いようのない与謝野の質問はショックだったようだ。
で、その与謝野による鳩山由紀夫首相への追及などどうでも良いと思う。それよりひどいと思ったのは、昨日(14日)のテレビ朝日『サンデープロジェクト』に出演した与謝野の消費税率に関する発言である。消費税率を上げて財政再建をしなければならない状態なのに、民主党はバラマキばかりしている、消費税は上げねばならず、その税率は10%では追いつかないかもしれない、15%くらいにする必要があるかもしれないと、そんな主張をしていた。相変わらずゴリゴリの「財政再建厨」であり、与謝野なんかに経済政策を任せたら、民主党発どころではない与謝野馨発の大恐慌を招いてしまうだろう。財政再建論者とはすなわち「小さな政府」論者のことであり、自民党は新自由主義から全然脱却できていない。その象徴が与謝野馨である。
昨日は、菅直人財務相が、「消費税について3月ぐらいから本格的に議論する」と発言したとかでマスコミが一斉にこれを報じている。自民党の谷垣禎一総裁は、菅財務相の発言を「(4年間は消費税増税を行わないとしてきた民主党の)公約を維持できなくなったと自白しているに等しい。自分たちの主張に責任を取るべきだ」と批判したそうだが(共同通信による)、これってマスコミが読者をミスリードする記事に、自民党総裁ともあろうものが引っかかったみっともないニュースであると私には思えた。
どこがミスリードなのか。
一連の「政治と金」の問題に隠れてほとんど目立たなかったが、1月末、政府税調の専門家委員会の委員長に、神野直彦・関西学院大学教授が就任した。2月4日付の毎日新聞には、神野教授へのインタビュー記事が出ている。
聞きたい:政府税調・専門家委委員長、神野直彦・関西学院大教授
政府税制調査会が設置した「専門家委員会」の委員長に就任した、神野直彦関西学院大教授が毎日新聞のインタビューに応じた。専門家委が約2年をかけてまとめる中長期の税制ビジョンについて聞いた。【聞き手・赤間清広】
◇所得税・法人税、課税ベース拡大を
??専門家委の役割は?
◆委員選考も任され、税財政に加え社会政策や環境分野の専門家も委員に加えた。新しい時代に沿った租税構造を構築するためだ。ただ、我々はあくまで政府税調のスタッフ。ビジョンを示す一方で「この問題には別の考えがあり、それにはこうしたメリットがある」という判断材料を提示する努力も必要だ。
??何から手をつけますか。
◆今の税制の問題点は90年代以降、所得税、法人税の減税が相次ぎ、税収調達能力が低下したことにある。深刻な不況の中、税率引き上げは難しいとしても、所得税、法人税の課税ベース(対象)拡大はできる。景気が回復すれば、自然に税収が伸びる本来の姿を取り戻すべきだ。
??財政再建の観点から消費税増税を求める声があります。
◆諸外国では公共サービスを豊かにするため増税するが、日本は公共サービスの縮小を含む行政の無駄を削らない限り増税できないという不思議な世論が形成されている。これは異様だ。
??消費税は、どう位置づけるべきでしょう?
◆福祉や子育てなど公共サービス充実のため、国民全体で等しく負担を分かち合うという理念であれば、消費税も有力な選択肢になる。友愛型の社会を目指すなら、消費税と所得税を税収の両輪とし、環境税などで補完する仕組みが望ましいのではないか。一方、日本が米国型の「小さな政府」を標ぼうし、公共サービスを最小限に抑えるというなら、高所得者の課税に重点を置いた所得税中心の税制を築き、消費税自体を廃止する選択肢もあり得る。どういう社会を目指すのか、将来ビジョンをまず明確にすることが必要だ。
(毎日新聞 2010年2月4日付)
この毎日新聞の記事では短すぎてわかりづらいところがあるが、『週刊金曜日』の1月29日号に、神野教授へのインタビュー記事が掲載されていたようだ。そこから抜き書きしたブログを見つけたので、下記にURLを示す。
http://blogs.yahoo.co.jp/koganemusida/59537293.html
以下引用する。
要旨
「消費税頼みではなく、税収調達能力の回復を」と題し、1929年以来の大恐慌次期には問題解決型改革と、ビジョン的解決が必要である。
1、当面の課題解決のために、次の4つを上げている(注:3つしかない)。
(1) 租税特別処置の見直し:法人税などに開いている穴、企業へ優遇している穴を埋める。
(2) 所得税控除の見直し:控除主義から手当て主義に変える。他の先進国でやっている手当て主義は、控除も受けられない貧困層に優しい。
(3) 暫定税率の廃止・自動車課税の見直し:世界(EU)も自動車関係税とガソリン税を環境関係に衣替えして課税強化する。
2、ビジョン的解決のためには「自然増収する構造を」作る。
不況のうちに自然増収できる構造を作っておければ、景気が良くなれば自然に増収する。不況が進めば自動的に減税になる。
1990年代日本は資本所得に対する租税負担を軽くすれば資本が流入して経済が成長すると信じ、法人税を引き下げて所得税の累進税率の最高税率を引き下げてきた。その一方で消費税に重点を置いた。
しかし、消費税の問題点は経済成長があった場合に自然増収が無いことで、増収するには消費税率を上げるしかない。所得税の累進税率の場合は、国民所得が一伸びれば税率が高い上のランクに入るために税収は1.5倍に自然増収する。
1990年と2000年の一人当たり国民所得は全く同じであるが、所得税は16兆円、法人税は10兆円近く減り、合計26兆円も減少してしまった。今後11兆円増収しなければならないから消費税を12%にしなければならないと財務省・自民党・竹中平蔵一派等の均衡財政主義・富裕層大企業減税主義者から強力に主張されてきた。
だが、所得税を見直す余地が大きいからと、単に最高税率を上げるという形式面ではなく課税ベース(範囲)と税率を組み合わせる、または控除を考慮して、実質的に累進性を高める方法もある。
そして、税制を変更するためには公平な税制を構築する必要があり、そのためには「納税者番号の導入」の必要になる。個人識別番号を導入し全ての所得を補足しているスウェーデンでは、多くの国民が「こんなに所得が少ないわけが無い。もっと所得があるはずだ」といって増額修正をするそうです。
これは、スウェーデンの年金は所得とリンクした所得比例年金なので、現在の所得で将来の年金が違ってくるからだそうです。
また、ストックホルム大学の女性教授が、日本の子供手当ての議論を着て驚いていたそうです。子供がいない家庭は「子供がいる家庭のために負担などしたくない」といい、「子供のいる家庭は「貴方の老後を支えるのは私たちの子供ではないですか」と反論する。「日本国民には連帯の意識は無いのですか」と教授は質問したそうです。
「税金は担税者である国民が負担しあうもの。やさしさと悲しみを社会で分かち合うための負担が租税である」と位置づけなおすことが必要です。(これが鳩山首相の友愛精神)
なお、租税特別措置とは、特定業界の減税や短期間の税負担減免のことで、国税だけでも約300項目ある。特定業界優遇や利益誘導の温床との批判があり、政府税調では期限到来の租税特別措置は原則廃止の方向である。
また、日本の所得税は非常に多くの非課税措置や控除があり、全ての課税可能な収入のうち27%しか課税されていない。抜け穴が多いといわれる米国の所得税でも課税ベースは日本のほぼ2倍だそうです。
政府税調専門家委員会の委員長はこのような考えを持っているわけである。特に赤字ボールドで示した財務省・自民党・竹中平蔵一派への批判は、そのまま昨日のテレビ番組における与謝野馨の発言に当てはまる。与謝野は紛れもない新自由主義者であると私が決めつけ、批判するゆえんである。
ちなみに、神野教授を専門家委員会の委員長に招聘したのは、菅直人財務相の意向による。前任の財務大臣だった藤井裕久は、与謝野馨同様の「財政再建厨」であり、藤井大臣の下では税制改革など進みようがなかっただろう。小沢一郎と対立してまで藤井氏を財務大臣に任命したのは、鳩山首相の大失策だった。
しかし、上記のような主張を持つ神野教授を、「消費税率引き上げに積極的だ」などと書くマスコミが後を絶たないのだから困ったものだ。マスコミは、どういうわけかわからないが、民主党政権に消費税率の引き上げを強烈に求めている。だから、菅財務相の発言を曲解して、おそらく税制改革の議論を進めるという意図の発言だったに違いないものを、税制には当然ながら消費税も含むから、「消費税の議論を本格化させる」などと報じ、そのミスリードに、こともあろうに自民党総裁の谷垣禎一ともあろうものが騙されて、「民主党の公約違反だ」などとトンチンカンなことを言う。この程度の人間に総裁が務まるのだから、自民党の将来は真っ暗だといえるだろう。一方、昨日サンプロに出ていた民主党の大塚耕平氏は、税制改革を進めるのだときっちり説明していたように見えた。サンプロでは、与謝野馨の馬鹿さ加減ばかりが目立った。
もちろん、民主党にも新自由主義者は大勢いるのだが、政府税調専門家委員会の委員長に神野教授を選んだだけでも、自公政権よりはずっと社民主義寄りの政策が期待できるだろう。昨年11月14日付の『kojitakenの日記』で、勉強の意味も兼ねて、神野教授の著書『財政のしくみがわかる本』(岩波ジュニア新書、2007年)より抜き書きしたが、神野教授は、財政赤字の何が問題かというと、借金返済に金が使われると、国民生活や企業活動を支えるサービスができなくなって所得再分配の機能を果たせなくなることだとする。また、消費税は負担が逆進的なので、消費税増税による財政再建には、逆再分配が行われる危険があるとも書いている(同書135頁)。これらは、与謝野馨や谷垣禎一らの主張する、消費税増税による財政再建を真っ向から批判するものである。消費税については、神野教授は、福祉国家を目指すのであれば、所得税や法人税の課税ベースを上げ、環境税を導入した上で、それでも公共サービスを充実するためには足りない分を、消費税率を上げて補うという考え方のはずだ。だから順序としては消費税率引き上げはあと回しになり、次の総選挙が行われる2013年以降に消費税率を上げるという構想になるものと思われる。それだったら、4年間は消費税率を引き上げないという民主党の公約には反しないのではないだろうか。繰り返して書くが、現在の民社国連立政権の政策は、財政再建のために消費税率をすぐにでも上げるという自民党の政策とは全く異なる。ところが、マスコミがでたらめな報道をするものだから、それが正しく伝わらない。今ほどマスコミの質が低下した時代は経験したことがない。
蛇足だが、現在「国策捜査」に抗議して気勢を上げている小沢一郎信者たちの中には、増税には何でも反対という人たちが少なからずいて、たとえば環境税にも反対している。その論拠として、「地球温暖化陰謀論」などを持ち出す者もいる。しかし、環境税は2011年度には間違いなく導入される。民主党より左の政党で環境税に反対する政党などなく(だって公共サービスを行うためには税収が必要だからね)、それどころか「みんなの党」でさえ導入に賛成だから、彼らには自民党を支持するしか選択肢がなくなるはずなのだが、さすがにそんなことはできないだろうから、政治ブログから離れていくのではないか。おそらく、今の「小沢信者」たちは、1年後には雲散霧消しているはずだ。
ま、そんな人たちは論外だからどうでも良い。私は、最近になってようやく、なんだかんだ問題は山積しているとはいえ、民主・社民・国民新党の連立政権は自公連立政権よりはずっとましだということを理解した。民主党は、決して自民党と同じではない。
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あのサンプロは私も見ていて与謝野の化けの皮が剥がれた感を強くしたものです。
与謝野という人物は結局は財務官僚の支えがないとあんな程度のものなのでしょう。
そして藤井さんから菅さんへ財務大臣が変わったことはとても良かったと思っています。
元々小沢幹事長は藤井大臣には反対だったようですが、これでやっと財政再建=小さな政府と決別出来る民主党らしくなりました。
ただ相変わらずマスコミは神野教授については殆ど触れず、菅大臣の発言もわざと曲解して自分達の思う方向へ世論を導こうとしていますね。
そして枝野大臣(きっと自分達のお仲間と思っているのでしょうが)就任に狂喜乱舞をしています。
ただ残念なのはそんなマスコミにすっかりと国民は騙されてしまっていることです。
今度の一連の騒ぎで、日本ではマスコミと検察などの公権力が組めば簡単に国民は騙されると言う事が広く知れ渡ってしまいました。
これは考えてみればとても恐ろしい事です。
海外はこの流れを注意深くみつめていることでしょうね。
ちなみに所謂陰謀論者の問題点は、自分達の筋書き通りに勝手に脚色して、物事の本質を返って見えづらくしてしまうことです。
自分達の筋書き通りにならないところを、きちんとした検証無しに思い込みで穴を埋めてしまう。
そして単なる憶測がいつのまにか事実のように一人歩きをする。
これでは第三者が見たらあまりにも胡散臭くて、そこに真実が混じっていてもそれすらインチキに思えてしまう。
これではまるで悪党に煙幕のサービスをしてやっているようです。
そして陰謀論に隠れて本当の問題点が国民の目から遠ざけられてしまう。
それにしても日本ではいまだに新聞やテレビの情報の信用度は高いのですね。
あのホリエモンが筑紫さんに突っ込んでいたテレビインタビューを思い出します。
確かに彼の言うようにジャーナリストが志を失なえば今のマスコミ報道は国民に害悪になってしまう。
まともなジャーナリストがマスメディアの中心から遠ざけられてしまい、メディア報道が情報操作の道具と化した今日、一人一人の国民の自立性がより強く求められてくるのでしょうね。
だって少し調べれば今日の小沢バッシングなどいかにインチキかわかりそうなものです。
2010.02.15 11:04 URL | 風太 #seTEoywg [ 編集 ]
そもそも国民や日本のためにカネを使うことがどうしていけないのか分かりません
今は北陸地方にいますが能登半島は七尾市から北は政府の助け無しにはやっていけないでしょう
公共交通にしても鉄道が消えて、バスが通っていますが利用し辛いのが現実です
ああいう地域を助けるには農業を営む人に所得補償をつけるとか公共事業を増やしてみるとかしないとやっていけないでしょう
それに安定した雇用や収入があれば消費として回収できます
昨日のコメントについては自分も感情丸出しでした
ごめんなさい
外国に対しての支援はカネを渡すのではなくて、やはりその土地その風土に合わせたような形にして衣食住を保つ方法を研究してそのノウハウを提供するのが一番です
カネを渡してもアメリカンスタンダードを使って同化政策を続けるようでは貧困は消えないでしょう
2010.02.15 11:50 URL | マケイン #- [ 編集 ]
>「日本国民には連帯の意識は無いのですか」と教授は質問したそうです。
これは、はっきり言って自治体レベルの規模の国の論理です。
人口や経済規模が多ければ、世代間の利害が対立してくるのは当然の事。加えて、世界的に見て日本におけるもっとも酷い格差は、老壮格差であり、老人が個人金融資産の6割も独占している状態で、どんな財金政策を打とうが徒労に終わるのは自明です。
>消費税は負担が逆進的なので、消費税増税による財政再建には、逆再分配が行われる
これは専門家とは思えない発言ですね。確かに消費税は逆進性が高いと言えますが、統計学的に見て、逆再分配等という事は殆どあり得ない。だって、非課税・不課税部門が日本の消費税制にはとても多く、実質的に見て貧困層ほどその恩恵を受け易くなっているんですから。
それに実質的に累進性を確保するなんてのも、税実務の面からみれば現実性に乏しい。だって、下の層には恩恵が少なく、中より上の層は負担が増大し、実質的に一番苦しむであろうのは、年収500万程度の並みのサラリーマン。
そうなれば、内需の落ち込みは必至であり、そうなるぐらいなら任意に消費税を払ってもらって財源確保すべきという論理は、論理として間違っているとは思いません。
2010.02.15 15:57 URL | 田舎税理士 #/FjCpfwg [ 編集 ]
>能登半島は七尾市から北は
これですが金沢市以北に訂正します
2010.02.15 20:17 URL | マケイン #- [ 編集 ]
現状の徴税体系を放置したまま、よりも、
「クロヨン」
「トーゴーサン」
が死語(!?)に成って久しい気がしますが、
先ずは(直接税の)不公平税制是正の方が先です。
さんざん間接税が高い高い言われている北欧等も直接税もちゃんと高累進で課税している筈です。
ま、なんか、日本共産党っぽい(笑)カキコ
になっちゃいましたけど、
とにかく、
「不公平税制是正が先決!!」
です。
2010.02.15 20:41 URL | ROM者です。 #WwJZAUYQ [ 編集 ]
消費税にいくら不課税や非課税が多いといっても一体どんな不課税や非課税が貧困層が恩恵を受けやすいものか説明してください。ほとんどないのでは?
また、確かに日本の資産の多くが年齢層の高い人達が所有していますがそれはそれで贈与税や相続税に問題があるとみるべきで、それをもってどんな政策も無駄だからとりあえず消費税を負担してくださいと言うのは乱暴な議論ではないでしょうか?
それらの税制も含めた議論が必要だとおもいますが。
2010.02.15 21:03 URL | 税理士見習い #NkOZRVVI [ 編集 ]
本日のエントリーのタイトル
【議論を本格化させるのは「消費税」ではなく税制全体の見直し】
に大きくうなずきながら拝読しました。
今朝の朝日新聞の見出しを見て、「え?」と感じて本文を読んでみると、
>菅直人副総理兼財務相は14日、東京都内で記者団に対して
>「所得税、法人税、消費税、環境税と、全部の税制のあり方の
>議論を3月ぐらいから本格的に始めたい」と述べた。
とあります。
それなのに、見出しをもう一度見直してみると、
【「消費税、3月ぐらいから本格的に議論」 菅財務相】
ですからね。消費税増税を煽り続けている朝日新聞ならではだなあと、逆に納得がいきましたが。
http://www.asahi.com/politics/update/0214/TKY201002140183.html
他紙の見出しを並べてみます。
日経【財務相「消費税論議、3月から」 税収減受け前倒し】
毎日【菅財務相:消費税議論「3月から」 大幅前倒し意向】
読売【菅財務相「消費税含めた税制議論、3月に開始」】
このように、主要4紙では読売だけが、「消費税に限らない、税制全体」の論議であることを明示しています。
マスコミのミスリード、ここに極まれり、といった感があり、本当に呆れます。
私の消費税の税率アップに関するスタンスは、これまでも何度かコメントさせていただいています。kojitakenさんとほぼ同様だと思います。
所得税の累進性再強化、法人税の引き上げ、租税特別措置の抜本的見直し。
加えて、各特別会計の不用金、剰余金の無駄を省くことをまず徹底的に行うべし、というものです。
さらには、消費税増税を目論んでいる財務省その他の勢力が主張する「消費税増税のための理由」の一つが、「社会保障費の不足」なのですから、「事業主(=企業)の社会保険料負担率のアップ」も当然議論に組み入れられるべきです。
それでもなお、税収が足りないときに初めて、「低所得層に、より重い負担を強いることになる」消費税の税率アップが議論されるべきである、と考えます。
当然、欧米諸国の例に倣い、食料品、医薬品は軽減税率を適用し、低所得層への負担を減じる措置を十分に講じることが必須です。
また、消費「税率」だけがよく議論の対象となり、
「日本の消費税率は5%で、欧米より極端に低い。」と、財務省のみならず、朝日・日経など主要紙、ニュースステーションの古館一郎、ZEROの村尾信尚は二言目には言っているわけですが本当にそうなのかをよく見極めないといけません。
国税・地方税を合わせた国全体の税収に占める、消費税による税収の割合は、
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/021.htm
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/101.htm
この2つのページから算出すると、
・日本14.8%
・イギリス22.3%
・フランス25.9%
・ドイツ28.8%
・アメリカ10.3%
です。
ドイツを基準にするなら、日本はほぼ半分と言えるでしょうが、その他の欧米諸国全体からすれば、極端に低いわけではない。
なお、消費税に、酒税・タバコ税・ガソリン税などを加えた「消費課税」の、税収全体に対する割合となると、日本と欧米諸国の差はもっと縮まって、
・日本29.6%
・イギリス36.1%
・フランス39.6%
・ドイツ46.6%
・アメリカ22.1%
・スウェーデン35.5%
です。
もし日本の消費税率が10%あるいは12%にアップされたら、間違いなく日本は、「消費税収の、税収全体に占める割合」が一気にトップクラスになります。そんな「低所得層から搾取し、富裕層を優遇する」、トンでもない社会を受容するわけにはいきません。
2010.02.15 23:11 URL | sweden1901 #SVqLzQOU [ 編集 ]
>田舎税理士さん
>確かに消費税は逆進性が高いと言えますが、統計学的に見て、逆再分配等という事は殆どあり得ない。だって、非課税・不課税部門が日本の消費税制にはとても多く、実質的に見て貧困層ほどその恩恵を受け易くなっているんですから。
国税庁のweb siteにあるこのページに非課税範囲が示されています。
ホーム>税について調べる>タックスアンサー>消費税>課税取引・非課税取引>「非課税となる取引 」
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6201.htm
これを簡略化したものは財務省のページ↓にあります。
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/106.htm
そして消費税非課税の範囲は、欧米諸国と比較して、広いとはとても言えません。
参考↓
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/108.htm
同じページに、食料品をはじめとする軽減税率が欧米諸国で導入されていることがよく分かる欄があります。(イギリスでは食料品などはゼロ税率)
それ以外の国の軽減税率はwikipedia(消費税)に載っています。
このように軽減税率を適用すれば、低所得者層に厳しい税制とは言えなくなるかもしれませんが、現在の日本の消費税は「実質的に見て貧困層ほどその恩恵を受け易くなっている」とはとても言えないのではないでしょうか。
2010.02.16 00:11 URL | sweden1901 #SVqLzQOU [ 編集 ]
なんでも実質GDPが上昇したようですがカラクリがあるようでーー
あれは名目の成長に対してデフレが進行した(=ものの価格が低下した)ことなどを勘案したりして修正して出したものです
経済の伸びがそのままで、ものの価格が低下すれば、購買力が相対として上昇します
デフレが進行してものの価格が低下していけば実際の経済が落ちていても成長したように見せかけることも出来ます
「いざなぎ景気」の時もそうだったように今回もそうなのか
普通の人が実感できるような景気回復はもうないと思います
それに今は賛成はしてませんがグローバル化の時代なので遠くの悲劇が思わぬ形で日本に押し寄せてくるのではないかという懸念もありますし
2010.02.16 00:21 URL | マケイン #- [ 編集 ]
担税責任に応じた経費課税《法人経費税》《生産費税》はどうでしょうか??