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きまぐれな日々

小沢一郎は結局「嫌疑不十分」により不起訴処分となった。先週末、小沢が二度目の事情聴取を受けたあと、自らの進退に言及した時には、私は小沢が立件されると思ったし、野党や民主党内の反主流派も勢いづいた。民主党で特に目立ったのは前原誠司と野田佳彦の「偽メール事件」コンビだった。前原も野田も、私の大嫌いな渡部恒三が名づけたという「七奉行」のメンバーだそうだが、渡部の言う「七奉行」とはそもそも渡部自身や小沢一郎を含む「竹下派七奉行」に由来するものだろう。昨年末に、過去の栄光にすがる前世紀の遺物・渡部を囲む会などをやったという連中に、これからの日本を背負って立つことなど到底できそうにない。小沢一郎の不起訴で、彼らは一転してあわてふためいていることだろう。

まあ、浮かれていたのは何も民主党内の反主流派だけではなく、自民党もそうだっただろうし、われらが城内実センセイにいたっては、「小沢一郎民主党幹事長の例の土地購入原資を巡る問題と関わりのあるX氏」に、「城内実のファンなので是非会って欲しい」と言われたのに舞い上がったらしく、「小沢一郎問題」にかかわる怪情報をブログに公開した。前回のエントリで紹介した通りである。

城内センセのエントリからは、血湧き肉躍るセンセの興奮が伝わってきた。上気して頬を紅潮させたセンセの顔がまざまざと思い浮かぶかのようだった。もちろん、一方でCIA陰謀論を匂わすフレーズも挿入して、左側の陰謀論者たちへのサービスも怠りないあたり、さすがは東京大学経済学部卒の学歴を誇るセンセだ。しかしその一方で、センセには愛すべき(?)「不用意さ」もある。下記のくだりが読者の多くに見咎められてしまったのである。

 五、国策捜査だとか取り調べの全面可視化が必要だと叫び、検察に対する悪のイメージを流布したり、挑発するようなことを言えば言うほど、検察側は淡々と法と正義にのっとって処理せざるをえなくなる。

(『城内実の「とことん信念」ブログ』 2010年1月30日付エントリ「◎ 政 治 ◎ 小沢一郎幹事長と「陸山会」の問題」コメント欄より)


これはいったい誰が誰に向かって言っていることなのか。もちろん、X氏が城内実にこう言った、と城内実は書いているのだが、小沢一郎に対する東京地検特捜部の脅しにも見えるし、取り調べ可視化を求める世論というか、ブログに書いている内容だから、ネット言論に対して、「お前ら、取り調べの可視化なんかを要求したら、検察側は淡々と法と正義にのっとって処理せざるをえなくなるぞ、つまり小沢一郎は逮捕されるぞ」と恫喝しているようにも受け取れる。

ネット言論というのは、世論とずいぶん違った傾向があって、どういうわけか城内実は「左」側にも多くの熱心なファンを持っていたのだが、上記のブログ記事に彼らは一斉に反発し、城内実から離れていった。城内が国籍法改正に反対した際に差別記事を書いた時や、眞鍋かをりさんをポスターに無断使用したことが発覚したのに真鍋さんになかなか謝罪しなかった時にも城内支持を止めなかった人たちが、今回は一斉に「城内離れ」を起こした。それは、取り調べの可視化反対論者であることが知られている城内実の本音がはしなくも露呈して、ようやく熱心な「左」側のシンパの人たちも城内実の正体を悟ったためだろう。

犯罪の容疑者に対する取り調べの全過程を録音・録画(可視化)する「取り調べの可視化」は、何も石川知裕や小沢一郎のためにあるのではない。無実の罪で14年もの長きにわたって菅谷利和さんが投獄された足利事件のような、違法な取り調べやでっち上げが招いた冤罪を起こさせないために必要不可欠なのである。もちろん、国会議員の大部分もこのことを理解している。その一方で、警察や検察は取り調べの可視化の動きに反対している。権力を振りかざして、自らに都合の良い(容疑者にとって不都合な)自白を容疑者に強要するなどの従来のやり方ができなくなるためだろう。

そんな警察や検察の言い分を認めて、取り調べの可視化に反対している国会議員もいる。昨年、毎日新聞が衆院選候補者にアンケート(「えらぼーと」)を行ったが、その「問10」は取り調べの可視化への賛否を問うている。「犯罪の容疑者に対する取り調べの全過程を録音・録画(可視化)することに賛成ですか、反対ですか」という問である。

大部分の国会議員が取り調べの可視化に賛成している、と書いたが、反対者もいる。アンケートに回答した当選者のうち、反対と回答した者は57人で、「非該当」すなわち賛成、反対以外の回答をした者が10人、設問に答えなかった者が19人、アンケート自体に回答を出さなかった者が3人である。以上を合計しても89人にしかならないことをまず知ってほしい。

取り調べの可視化に反対した衆院議員は下記の通りである。現在の第一党は民主党だが、反対者は自民党に圧倒的に多いので、順番は自民党を最初に書く。括弧内は選挙区で、選挙区で落選して比例で復活した者も、立候補した選挙区で表記する。

自民党(45人) 町村信孝(北海道5)、伊東良孝(北海道7)、江渡聡徳(青森2)、大島理森(青森3)、木村太郎(青森4)、永岡桂子(茨城7)、茂木敏充(栃木5)、新藤義孝(埼玉2)、林幹雄(千葉10)、森英介(千葉11)、小池百合子(東京10)、下村博文(東京11)、鴨下一郎(東京13)、平沢勝栄(東京17)、田中和徳(神奈川10)、小泉進次郎(神奈川11)、宮腰光寛(富山2)、稲田朋美(福井1)、高木毅(福井3)、棚橋泰文(岐阜2)、高市早苗(奈良2)、田野瀬良太郎(奈良4)、松浪健太(大阪10)、西野陽(大阪13)、西村康稔(兵庫9)、石破茂(鳥取1)、赤沢亮正(鳥取2)、阿部俊子(岡山3)、加藤勝信(岡山5)、安倍晋三(山口4)、後藤田正純(徳島3)、平井卓也(香川1)、鳩山邦夫(福岡6)、麻生太郎(福岡8)、武田良太(福岡11)、園田博之(熊本4)、金子恭之(熊本5)、古川禎久(宮崎3)、小里泰弘(鹿児島4)、佐田玄一郎(比例北関東)、近藤三津枝(比例近畿)、柳本卓治(比例近畿)、村田吉隆(比例中国)、河井克行(比例中国)、山本幸三(比例九州・沖縄)

民主党(9人) 石原洋三郎(福島1)、大泉博子(茨城6)、松崎公昭(千葉8)、後藤祐一(神奈川16)、萩原仁(大阪2)、山口壮(兵庫12)、松野頼久(熊本1)、山口和之(比例東北)、金森正(比例東海)

公明党(1人) 漆原良夫(比例北陸・信越)

国民新党(1人) 亀井静香(広島6)

無所属(1人) 城内実(静岡7)


賛成でも反対でもない回答(「非該当」)をしたのは、下記の10人。自民党で賛成しそうな大物が何人か混じっているが、おそらく党内世論を慮ったものだろう(笑)。

自民党(6人) 福田康夫(群馬4)、河野太郎(神奈川15)、谷垣禎一(京都5)、谷公一(兵庫5)、村上誠一郎(愛媛2)、保利耕輔(佐賀3)

民主党(3人) 松本剛明(兵庫11)、山口和之(比例東北)、笠原多見子(比例東海)

みんなの党(1人) 江田憲司(神奈川8)


この設問に答えなかったのは下記の19人。このうち森喜朗と山本拓は全設問に対して答えていない。また、無所属の川村秀三郎は、院内会派「民主党・無所属クラブ」に属している。

自民党(15人) 佐藤勉(栃木4)、与謝野馨(東京1)、甘利明(神奈川13)、金子一義(岐阜4)、橘慶一郎(富山3)、森喜朗(石川2)、北村茂男(石川3)、山本拓(福井2)、大村秀章(愛知13)、川崎二郎(三重1)、石田真敏(和歌山2)、高村正彦(山口1)、岩屋毅(大分3)、北村誠吾(長崎4)、森山裕(鹿児島5)

民主党(2人) 木村剛司(東京14)、糸川正晃(福井2)

公明党(1人) 東順治(比例九州・沖縄)

無所属(1人) 川村秀三郎(宮崎1)


最後に、毎日新聞のアンケート自体に回答しなかった者は下記の3人。

民主党(3人) 田中真紀子(新潟5)、藤井裕久(比例南関東)、沓掛哲男(比例北陸・信越)


「取り調べの可視化」に反対している面々を見ると、3つのことに気づく。まず、亀井静香や平沢勝栄のような元警察官僚や、城内実のような元警察官僚の息子や、後藤田正純のように元警察官僚の大叔父を持つ者が反対していること。次に、元首相で賛成している者が一人もいないこと。小泉純一郎のドラ息子・小泉進次郎までもが反対している(もっとも、落選した海部俊樹は賛成している)。そして、「国士様」に反対者が多いこと。もっとも、何度も書くように、平沼赳夫は元検事総長の養子であり「国士様」であるにもかかわらず賛成しているから、いちがいには言えない。

反対者の顔ぶれ以上に注目すべきは、ここに名前を挙げた89人以外の衆院議員は、すべて取り調べの全面可視化に賛成する、とする回答を毎日新聞に寄せたことだ。あの人もこの人もみな「賛成」と答えているのである。

朝日新聞と毎日新聞は、「取り調べの可視化」に賛成の立場を社論にしているにもかかわらず、民主党が検察に対抗するために「取り調べの可視化」を持ち出すのはおかしい、と書いた。違う。民主党が小沢一郎の首と引き替えに「取り調べの可視化」を延期することで検察と手打ちなどしてはならないと書くべきだったのだ。

取り調べの可視化法案は是非とも成立させなければならない。


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取調べでの全面可視化は、日米地位協定の視点からも絶対に実施されなければならないことです。

今回の石川衆議院議員秘書に対する「取調べ」からわかることは、日本の検察・警察体制は戦前と変わらない前近代的なものであり、このような体制にある国に自国民を引き渡すような「非国民政府」はないでしょう。

それにしても、日本の司法(裁判所)は一体、どうしたというのでしょうか。検察のいいなりではありませんか。今回の小沢問題は、実は司法(裁判所)とマスコミの権威の失墜ではないかと思っています。

2010.02.05 11:19 URL | 負け組みの矜持 #- [ 編集 ]

石原洋三郎は民主党ですよー。

2010.02.05 12:15 URL | 観潮楼 #- [ 編集 ]

観潮楼さん、
ご指摘ありがとうございます。この時間帯は時間が取れないので、今晩訂正します。

2010.02.05 12:24 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

松野頼久は民主では?

2010.02.05 16:57 URL | zum #- [ 編集 ]

zumさん、
ご指摘ありがとうございます。観潮楼さんご指摘の石原洋三郎ともども本文を訂正しておきました。

2010.02.05 18:31 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

思想信条や所属政党を問わず賛成が大多数だと言うことに勇気付けられました。
右派・保守派及び自民党でも賛成が意外といることに気付きました。松原仁も賛成ですね。

やはり今国会で成立させるべきだと思います。自民党に反対が多いのは、警察・法務検察が絶対に正しいという価値観もさることながら、選挙違反や政治資金、汚職疑惑をもみ消してもらったから文句は言えないというのもあると思います。
警察官僚(消防・海保・入国管理・麻薬取締含む)・法務検察官僚及びその親族には「内務省警保局及び司法省の悪の遺伝子」が流れているのがはっきりしました。
もっとも、平沼赳夫はともかく検察官だった山尾志桜里議員は賛成ですね。町村信孝も父親は町村金五という元内務(警察)官僚で、警視総監・内務省警保局長でした。石破茂の父親も元内務官僚でした。
私も、父親が東京消防庁の消防官でしたし、伯父(父親の双子の兄)も千葉県警の警察官でした。
私自身は全面可視化に賛成です。

2010.02.06 17:39 URL | ゴルゴ十三 #DTxGwd9Y [ 編集 ]

同感です。
わたしも「全面可視化」に賛成です。

貴重な資料(議員名)ありがとうございます。
死刑制度反対の亀井静香さんが、反対とは、ちょっと驚きました。あとは、なるほどと思えるメンバーばかりです。

2010.02.07 12:58 URL | 非戦 #mHDa1xjc [ 編集 ]

社名は《日本PCサービス株式会社》
PC修理で超ブラック企業

東芝やシャープ、セコムやアビバ、楽天証券、イーモバイルなんかの下請けで出張修理をしてる会社だが
・残業は月平均で120時間。オールサビ残
・休日出勤を上司に指示されても休日出勤手当ても振り替え休日もなし
・客を騙してでも金を獲って来いといわれる
・もちろんボーナスもなし
・28歳で入社したが、月収は全込みで18。交通費も込み
・上司命令で客のパソコンをパクって来いと平気で言われる
・入社したやつの2/3は3ヵ月後にはいない
そんな会社だ

□まとめwiki□
【日本PCサービスってどうよ】
http://www39.atwiki.jp/jps4900/

□スレ□
日本PCサービスってどうよ 【訪問2件目】
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/venture/1262292574/l50

2010.02.07 15:54 URL | 社員のため匿名希望 #c.0JJ1AM [ 編集 ]

このコメントは管理者の承認待ちです

2010.08.09 07:38  | # [ 編集 ]













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