「きっこの日記」(7月26日)が、「差別用語のひとり歩き」というタイトルで、差別用語問題をとりあげている。
このところ AbEnd 一本槍の当ブログだが、当初は筒井康隆を何回か取り上げたことがある。筒井というと、1993年に自著が差別表現を含んでいると指摘されたことをきっかけに、「断筆宣言」をして話題になった。
「きっこの日記」に紹介されている、週刊文春編の『徹底追及「言葉狩り」と差別』(1994年、文藝春秋)は、私は持っていないし立ち読みしたこともないが、筒井が断筆中に出版された本であり、筒井も寄稿しているとのことだ。
そこで、筒井康隆の主張を引用しながら、この問題を論じるというやり方もあるが、これはそう簡単に割り切って論じられる問題ではないので、今日の記事では取り上げない。
その代わり、差別用語の問題に関して、日本のインターネット初期に起きた論争に、簡単に触れることにする。
まだwwwなどない時代から、インターネットにアクセスできる環境にいたのだが、当時の利用は、私の場合、主に電子メールとネットニュースであった。昼休みになると、毎日のように 「fj.」 のニュース記事を読みふけっていたものだ。私はあくまでROMであって、fj.には一度も投稿したことはなかった。
fj.のニュースを読み始めて間もなく、「差別用語」に関する白熱した議論が行われていることを知った。それは、何度も蒸し返されては罵倒合戦が繰り広げられる激しい論戦で、なにしろ投稿者はみな実名を出して「馬鹿」「アホ」などと罵り合っていたのだから、それと比較したら、その後の2ちゃんねるやYahoo!掲示板での論争などかわいいものだ。
この議論で、ある時、次のようなテーゼが出され、それに多数の投稿者が賛同した。
「差別用語なんて存在しません。存在するのは言葉を差別的に使う人たちです」
なるほどと思えるテーゼだった。しかし、ここに一つ大きな問題があった。
このテーゼを提出したのは、非常にエキセントリックな人物で、ネットニュースでしょっちゅう大喧嘩をしたり、そればかりか、ニュースシステムに対して、ある種のテロ攻撃さえ行っていたのである。
そして、彼の行くグループはことごとく議論や喧嘩で荒れに荒れた。「差別用語なんて存在しません」と主張する彼は、反対論を唱える者に対して、「差別用語派」とレッテルを貼り、口汚く罵っていた。
そのうち彼は、「テーゼは立派だけれど、やっていることは全然そのテーゼに見合っていないのではないか」という批判を受けるようになった(「罵倒用語派」などと逆レッテルを貼られていた)。まともな批判だといえるだろう。
さらに、「言葉が使われているコンテキスト(文脈、脈略。あるいは状況、環境)を無視して、差別用語があるとかないなどと議論しても意味がない」という指摘がなされた。これが、私にとって一番しっくりくる主張だった。
「きっこの日記」の締めでも、どんな言葉を使ったかよりも、そこに差別意識があったかどうかが重要だ、と書かれているが、まったくもってその通りだと思う。そして、放送コードを設けて表現の自由を制限するばかりか、「統一協会系の総会へ祝電を送る安倍晋三」 のニュースをほとんど取り上げず、自らの手で「言論の自由」を圧殺しているテレビ局こそ、差別してしかるべきだと思う今日この頃、ってあんまりきっこさんからパクってばかりいるのも気がひけるのだが、「差別用語」の議論にちょっと懐かしさを感じた週末の夕方だった。
(2006.07.28 20:39)
このところ AbEnd 一本槍の当ブログだが、当初は筒井康隆を何回か取り上げたことがある。筒井というと、1993年に自著が差別表現を含んでいると指摘されたことをきっかけに、「断筆宣言」をして話題になった。
「きっこの日記」に紹介されている、週刊文春編の『徹底追及「言葉狩り」と差別』(1994年、文藝春秋)は、私は持っていないし立ち読みしたこともないが、筒井が断筆中に出版された本であり、筒井も寄稿しているとのことだ。
そこで、筒井康隆の主張を引用しながら、この問題を論じるというやり方もあるが、これはそう簡単に割り切って論じられる問題ではないので、今日の記事では取り上げない。
その代わり、差別用語の問題に関して、日本のインターネット初期に起きた論争に、簡単に触れることにする。
まだwwwなどない時代から、インターネットにアクセスできる環境にいたのだが、当時の利用は、私の場合、主に電子メールとネットニュースであった。昼休みになると、毎日のように 「fj.」 のニュース記事を読みふけっていたものだ。私はあくまでROMであって、fj.には一度も投稿したことはなかった。
fj.のニュースを読み始めて間もなく、「差別用語」に関する白熱した議論が行われていることを知った。それは、何度も蒸し返されては罵倒合戦が繰り広げられる激しい論戦で、なにしろ投稿者はみな実名を出して「馬鹿」「アホ」などと罵り合っていたのだから、それと比較したら、その後の2ちゃんねるやYahoo!掲示板での論争などかわいいものだ。
この議論で、ある時、次のようなテーゼが出され、それに多数の投稿者が賛同した。
「差別用語なんて存在しません。存在するのは言葉を差別的に使う人たちです」
なるほどと思えるテーゼだった。しかし、ここに一つ大きな問題があった。
このテーゼを提出したのは、非常にエキセントリックな人物で、ネットニュースでしょっちゅう大喧嘩をしたり、そればかりか、ニュースシステムに対して、ある種のテロ攻撃さえ行っていたのである。
そして、彼の行くグループはことごとく議論や喧嘩で荒れに荒れた。「差別用語なんて存在しません」と主張する彼は、反対論を唱える者に対して、「差別用語派」とレッテルを貼り、口汚く罵っていた。
そのうち彼は、「テーゼは立派だけれど、やっていることは全然そのテーゼに見合っていないのではないか」という批判を受けるようになった(「罵倒用語派」などと逆レッテルを貼られていた)。まともな批判だといえるだろう。
さらに、「言葉が使われているコンテキスト(文脈、脈略。あるいは状況、環境)を無視して、差別用語があるとかないなどと議論しても意味がない」という指摘がなされた。これが、私にとって一番しっくりくる主張だった。
「きっこの日記」の締めでも、どんな言葉を使ったかよりも、そこに差別意識があったかどうかが重要だ、と書かれているが、まったくもってその通りだと思う。そして、放送コードを設けて表現の自由を制限するばかりか、「統一協会系の総会へ祝電を送る安倍晋三」 のニュースをほとんど取り上げず、自らの手で「言論の自由」を圧殺しているテレビ局こそ、差別してしかるべきだと思う今日この頃、ってあんまりきっこさんからパクってばかりいるのも気がひけるのだが、「差別用語」の議論にちょっと懐かしさを感じた週末の夕方だった。
(2006.07.28 20:39)
PS
「きっこの日記」が更新され、7月27日付の記事「輸入再開は輸入最下位」がアップされましたが(更新日時は7月29日午前3時22分)、テレビ局が安倍の統一協会祝電事件を報じていないことに言及しています。
また、「きっこの日記」6月21日付の「猿と犬との監獄ロック」でも書かれていたイラクでの航空自衛隊の活動拡大についても、27日付の日記で再度言及がありますが、その検証記事として、「カナダde日本語」6月24日付「イラクの陸上自衛隊撤退と航空自衛隊拡張」があります。美爾依さんにはいつも弊ブログのナベツネシリーズを紹介していただいているので、返礼としてここに紹介します。
それにしてもBSE牛の件に関する小泉内閣の対応には、いつものことながら呆れます。香川県の某スーパーは、前回の輸入最下位の際、北海道の某スーパーとともに、真っ先に米国産牛肉を販売して、全国に恥をさらしたんですけど、今回はどうするんでしょうね。「ダイエー」は四国から撤退してしまったしなあ...
ちなみに安倍晋三は、2001年9月11日のNYテロの際、「アメリカが言ってるなら聞くまでもない、聞いちゃ失礼に当たる」と言っていたほどの対米隷属主義者だから、小泉以上にアメリカの言いなりになることは目に見えています。
http://homepage.mac.com/hirumas/RIN/head70.html
(2006.07.29 05:56更新)
「きっこの日記」が更新され、7月27日付の記事「輸入再開は輸入最下位」がアップされましたが(更新日時は7月29日午前3時22分)、テレビ局が安倍の統一協会祝電事件を報じていないことに言及しています。
また、「きっこの日記」6月21日付の「猿と犬との監獄ロック」でも書かれていたイラクでの航空自衛隊の活動拡大についても、27日付の日記で再度言及がありますが、その検証記事として、「カナダde日本語」6月24日付「イラクの陸上自衛隊撤退と航空自衛隊拡張」があります。美爾依さんにはいつも弊ブログのナベツネシリーズを紹介していただいているので、返礼としてここに紹介します。
それにしてもBSE牛の件に関する小泉内閣の対応には、いつものことながら呆れます。香川県の某スーパーは、前回の輸入最下位の際、北海道の某スーパーとともに、真っ先に米国産牛肉を販売して、全国に恥をさらしたんですけど、今回はどうするんでしょうね。「ダイエー」は四国から撤退してしまったしなあ...
ちなみに安倍晋三は、2001年9月11日のNYテロの際、「アメリカが言ってるなら聞くまでもない、聞いちゃ失礼に当たる」と言っていたほどの対米隷属主義者だから、小泉以上にアメリカの言いなりになることは目に見えています。
http://homepage.mac.com/hirumas/RIN/head70.html
(2006.07.29 05:56更新)
- 関連記事
-
- 安倍のもう一人の祖父は「平和主義者」だった (2006/07/30)
- 「差別用語なんて存在しません」 (2006/07/28)
- 書きたいことは山ほどあるけど... (2006/07/22)
スポンサーサイト
トラックバックURL↓
http://caprice.blog63.fc2.com/tb.php/104-4cf48de3