きまぐれな日々

名護市長選での稲嶺進氏の勝利は、本当に良かった。中央の政治のイシューを名護市長選にリンクさせてはなるまいと、ブログでは取り上げてこなかったが、選挙結果に本当にホッとしたというのは、前のエントリの冒頭でも書いたことだが、やっと胸のつかえが少しだけ下りた。この件では、右派マスコミが「日米同盟を損なうな」とヒステリックに声を張り上げていたばかりではなく、ネットにおいて一部の民主党支持者から崇め奉られている植草一秀氏も、昨年10月27日付の氏のブログ記事で、

 普天間飛行場の返還を確実にするためには、県外への移設を確定する時間的余裕はないと考えられる。嘉手納基地への統合かキャンプシュワブへの移設を軸に着地点を見出す必要があると考えられる。

などと書いていた。そんな状況下で、民主党沖縄県連は推薦したとはいえ、民主党中央は名護市長選にはいたって消極的だった。

似た例としては一昨年2月の岩国市長選があって、その時にも民主党執行部は不熱心だった。前年の参院選で安倍晋三率いる自民党を圧倒した民主党が本腰を入れれば簡単に勝てそうに思われたのだが、民主党中央の支援の鈍さもあってそうはならず、井原勝介は福田良彦に敗れた。この岩国市長選における苦戦は、市長選に立候補した福田良彦の辞職に伴って行われた同年4月の衆院山口2区の補選にまで尾を引き、この補選の序盤戦では、なんと自民党の山本繁太郎(ノーパンしゃぶしゃぶの常連だった元国交省官僚)が、比例区から鞍替えして議員辞職してまで立候補した民主党の平岡秀夫をリードしているとも報じられた。そのタイミングで後期高齢者医療制度が実施されて自民党に突如逆風が吹き始め、終わってみれば平岡秀夫の圧勝だったのだが、あれは後期高齢者医療制度が「神風」になったんだよなあと思ったものだ。小泉純一郎の時限爆弾によって山本繁太郎がやられ、そのおかげで平岡秀夫は助かったように見えた。いや、選挙戦序盤に流れた山本有利という情報が怪しかっただけなのかもしれないけれど、岩国市長選の後遺症がなかったとはいえないのではないだろうか。その意味からいうと、民主党執行部や岡田克也は本音では歓迎していないかもしれないけれど、稲嶺進の勝利は大きかった。

以上のように、民主党というのは自らの党勢を弱めたいのかと思われる動きをすることがよくあるのだが、それにしても一連の平野博文官房長官の発言は度を過ぎている。普天間基地移設問題に関して、名護市長選で示された民意を「斟酌する必要はない」とか、移設先の地元自治体の合意が得られない場合は、法的決着を図ることもあり得る」などと言いたい放題だ。

平野博文は、旧民社党系の松下労組出身議員で、鳩山由紀夫首相が平野を官房長官に任命した時、直ちにこれを批判する声が、左派ネットワーカーの間から起きた。以前から民主党を批判していた人たちに加えて、総選挙の前には民主党を熱心に応援していた人たちの間からも批判の声が上がったのだが、こうした批判の声を、「どんな政府が出来たら満足なのだろう?」などと冷笑したブログがあった。これを見てみると、政権発足早々、記者クラブ問題で早くも見切りをつけたかのように、平野博文や鳩山由紀夫を叩く者たちが出てきた、あいつらは自ら少数派の道を選んだのだ、などと得意げに書いて、当時80%あった内閣支持率をバックに多数派気分を満喫していた全体主義者の愚かしいコメントが確認できる。私は最近よく思うのだが、「政権交代」の旗を振っていた者の何割かは、このような全体主義者たちではなかっただろうか。上記のおバカなコメンテーターは、自らブログも運営していて、現在そこでは数か月前に平野博文をマンセーしていたことなどほおかむりして平野を非難しているのだが、おあいにくさま、私は当該ブロガーが過去に書いたことをしっかり覚えている。馬齢を重ねたくはないものだ。

ネット全盛の時代になって、良くなったことと悪くなったことの両方があると思うが、私見では良くなったことの最たるものは検索機能の充実と過去の情報の蓄積だと思う。たとえば、最近東京地検特捜部を擁護している元東京地検特捜部長の宗像紀夫が、昨年4月1日の朝日新聞に掲載されたインタビューでは東京地検を批判していたことは、ネットで調べればすぐにわかることだし、私のようにブログを運営していれば、アクセス解析によって、どのような検索語でブログを訪問してくださる方が多いかがわかり、おかげで過去の宗像紀夫の発言を容易に見つけることができた。つまり、簡単に「過去を水に流す」ことはできなくなってきている。城内実や平沼赳夫がレイシスト発言を発するたびに、彼らの過去の言動を蒸し返すブロガーだっているわけである。こんな時代に、うっかり平野博文なんかを支持してしまった人間が、そのことについてあとから批判されるのは当然だろう。

ところで、この平野だが、誰かに似ているなあという気が前々からしてたのに、誰に似ているのか思い当たらなかった。しかし、ついに昨日、それがわかった。田母神である。田母神俊雄と平野博文は似ている。なるほど、卑しい人間は同じような風貌になっていくんだなと、妙に感心した。

ただ、あんな発言を連発すれば国民の多くから嫌われることは、平野だって百も承知のはずなのに、なぜあえて嫌われ役を買って出るのかというと、やはり鳩山政権が国民や連立のパートナーの不興を買う政策をとる時、少しでも鳩山首相を矢面に立たすまいとしている面は、必ずやあるだろう。これも多くの人が指摘していることだ。事態が現在のように推移すると、米軍基地の県外移設を民主党が曲がりなりにも捨てていないのは、小沢一郎の意向が反映されているのではないかと想像せざるを得ない。

谷垣禎一総裁ら自民党の面々が、民主党内では言いたいこともいえない、自由にものが言える自民党とは大違いだと言っている。郵政総選挙のあと、自民党では言いたいことも言えなくなってしまって、自民党議員がみな小泉の顔色をうかがっていたことをよーく覚えている私は、谷垣らの妄言を鼻で笑うだけなのだが、自民党が自分たちのことを棚に上げているのはみっともないとはいえ、かつて百花斉放の党風だった民主党で小沢一郎への批判の声を上げづらい空気ができていることは確かだ。それはそれで問題ではあるが、仮に小沢一郎がにらみをきかしていなかったら民主党政権がどういう方向に走るかは見えているように思うのである。平野博文のはね上がりぶりは問題だが、そもそも平野を任命したのは鳩山由紀夫である。平野の暴言問題は鳩山由紀夫自身の問題だととらえなければならない。

小沢一郎がにらみをきかしていれば、普天間基地移設問題でアメリカや右派勢力などの圧力に屈せず解決に至ることができるのかといわれれば、これまた疑問ではあるのだが、少なくとも小沢が手を離せば鳩山由紀夫たちは右派勢力の喜ぶ方向へと簡単になびくとともに、政権の支持率は急落し、夏の参議院選挙では民主党の惨敗が待っているだろう。それでなくとも、鳩山政権からはスピード感が全く感じられず、何もできない政権なのではないかという前々から鳩山内閣に対して持っていた疑問は、確信に変わりつつある。

月曜日のテレビ朝日『報道ステーション』で古舘伊知郎が沖縄から中継していたが、立派なハコモノとは対照的な名護の商店街の様子が映され、基地問題について住民にインタビューしても答えづらい空気があることを伝えていた。それにもかかわらず稲嶺進が勝ったことは本当に大きいと思う。『報ステ』には感心しないことの方が多いのだが、それでも名護市長選のタイミングでキャスターが沖縄に飛ぶだけまだましかもしれないと思った。あの映像を見ていると、沖縄に米軍基地があることは、もちろんアメリカにとっても日本政府が多額の金を出してくれるメリットがあるのだろうが、それ以上に「基地利権」にかかわる者たちが大勢いて、彼らが既得権益に固執していることが問題の本質ではないかと思える。日米同盟がどうのというのは見え透いた口実に過ぎない。そもそも、「日米同盟」という言葉を、リベラル・左派までが無批判に用いる現状はどう考えてもおかしい。

本当に「事業仕分け」をするのであれば、こういうところから削減していかなければならないと思うのだが、それができないのが鳩山政権なのか。革命的な政権だなどと書いて政権支持を煽る者自身が、かつて早く嘉手納基地への統合かキャンプシュワブへの移設を決めろと平然と書いていたことには呆れるほかないけれど、教祖さまの教えには逆らえない、というか逆らったが最後、村八分が待っているブログ村の住民たちにはそんな勇気はなく、勇気のない人間には何も変えられないのである。こう書いても、「またあいつは教祖さまだの信者だのと書いてやがる」などと陰口を叩くのがせいぜいなのだろうが、たとえば平沼赳夫や城内実の動き一つとっても、事実は彼らの妄想に基づく願望とは全く異なる方向に向かって動いている。そういえば、城内実が「9条護憲派」だ、などというたわごとはいつの間にか聞かれなくなった。誤りを犯した者はそのことについて総括すべきなのではないか。「右も左もない」と言っていた「下翼」もまた、日本の戦争責任を総括できなかった右翼や、社会主義者を総括できなかった左翼と同じ穴の狢ではないかと思える今日この頃である。


↓ランキング参戦中です。クリックお願いします。
FC2ブログランキング

関連記事
スポンサーサイト

もともと日本の防衛さえしっかりしていれば在日米軍は必要なかったはずです
軍事資金が世界有数だと言っても、北朝鮮の動向すらまともに把握できない、ミサイル防衛システムのようなカネが掛かる割に役に立たないものにカネを掛けようとしているのが実態なわけで
あるいは自衛隊=弱いように見せかけて在日米軍を正当化していたのか

もともと他国の軍隊なわけですので最終的には撤退して貰うしかありません

いずれにしても自律せずに相互依存を強めると基地問題にしても思いやり予算にしてもこういう形で問題が出てくるといういい例でしょう


まあ北朝鮮や中国が日本に攻撃してくる可能性は低いとは思いますが、防衛そのものは必要でしょう
日本海側に住んでいる者としては北朝鮮とか中国の艦船とか不審船に領海侵犯されて気持ちいいわけがありませんので

特に中国は、水の汚染や枯渇、エネルギー問題で今後は強硬な態度に出てくるかも分かりません
実際に現在進行形で軍拡しています
なぜか左派とか反戦な人たちは批判しませんがもうダルフール問題やチベット弾圧という形でエラーを起こしていますし

やはり、他国とは一定の線引きをして、うまく距離を取りつつ、摂取行為をされないように気を付けた上で付き合うときには誠意ある態度でというのが一番でしょう
もちろん、このことと人種差別や排外主義は次元が違います

2010.01.29 10:05 URL | マケイン #- [ 編集 ]

「kojitakenの日記」より
>対馬
たしかに韓国政府が公式に対馬の領有権を主張しているわけではないので、韓国が乗っ取るということはないです
それに日本に移住したり土地を買ったりするのも個人の自由ですし、他人がとやかく言う問題ではありません
ただ、オージータウンにしても対馬にしても集団で土地を手に入れるような事態が起きれば、これは何事だと思うのは素朴な生活感情としては当然だとも思います

2010.01.30 13:44 URL | マケイン #- [ 編集 ]

 日本の近隣には、日本に対して好意的ではない強いナショナリズムとそれなりの拡張意欲を持つ国が複数存在することと、そのうち2~3は核を保有し、1~2は通常兵力でも日本の軍事力を上回ること、こういうシビアな現実はしっかり認識しておくべきでしょう。
 国家間の敵意が増大するときは相互作用で増大しますが、片方が一方的に敵意を消滅させガードを下げても、相手も直ぐに敵意を下げるわけでもなく、一方のガードが下がったのを好機と、相手が版図を拡大したことも近年でも多いわけです。これもシビアな現実です。
 したがって、長期的には近隣諸国間で互いに敵意を下げるべく粘り強く交渉努力することは必要ですが、短期的には常に防衛警戒を怠らないことも必要です。外国人参政権問題も同じです。
 冒頭で述べたように、日本の防衛は日本一国では無理ですから、端的にいえば、アメリカにつくか、中国に従うかの選択になります。現状ではまだ、経済レベルでも価値観や生活様式でも、アメリカにつく方を多くの国民が選択するでしょう。
 こういう認識の上で、日本のコスト・ベネフィットを最大にすべく、アメリカと交渉する訳です。
 日本としては、与那国島や尖閣列島(本当は竹島と北方4島と東シナ海ガス田も入れたいところですが)も含めた領土・領海・領空の安全確保を保障してもらい、代償としてアメリカー中東間の中継基地と思いやり予算と自衛隊の協力を提供する、これが現状です。
 与那国島は安全不安から自衛隊の駐留を求めていますから、普天間の海兵隊には与那国島へ行ってもらうのが一番よいでしょう。台湾に近すぎるとアメリカや台湾は反対するでしょうが、日米安保の日本にとっての第一の目的は、日本の安全ですから、日本としては与那国島で押すべきでしょう。他に代案もないでしょうから。

2010.01.30 16:13 URL | トホホ #/Amn5WiM [ 編集 ]

あーーーー
なるほど、似てる似てる。平野と田母神!
週刊文春の顔面相似形に応募しようかな?

2010.02.01 20:35 URL | 謎のカスパール・ハウザー #- [ 編集 ]













管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://caprice.blog63.fc2.com/tb.php/1039-c66847a3