日経の次は朝日新聞とテレビ朝日だった。
東京や大阪は違うかもしれないが、香川県に配達された朝日新聞の一面トップの見出しは、こうだ。
『真珠湾「東条元首相の判断」 45年9月米紙向け 天皇回答文発見 宮内庁に控え資料』
(2006年7月26日付 朝日新聞大阪本社発行14版▲ 一面トップ)
以下は、朝日新聞のサイト asahi.comから。朝刊が出てから、ずいぶん時間が経過したのち、サイトに掲載された。
昭和天皇が海外記者と会見 宮内庁で文書控え見つかる
(asahi.com 2006年7月26日 11時05分)
そして、記事にも書かれているように、この件は今日のテレビ朝日「報道ステーション」で「スクープ」として取り上げられた。このニュースが報じられている間、テレビの画面右上には、
『スクープ!昭和天皇が"戦争放棄"最初に表明』
と表示されていた。
でも、この「スクープ」に引っかかりを感じたのは、私ばかりではないだろう。
この間の日経のスクープも、安倍晋三の著書「美しい国へ」の出版日と同日だったことから、いろいろと憶測がなされた。
実は、日経のスクープを知って私が最初に思ったのは、「これってあの人の差し金ではないか」ということだ。だが、報じたのがあの人の新聞ではなくて日経だったから、思い過ごしだろうと思い返した。
日経の記事については、ネットでは2ちゃんねるを中心に捏造説が根強くある(ブログでは こことかここなど)一方、既存メディアでは産経新聞でさえ偽造説に反応せず、ネットウヨを失望させている状態だ。
私は、「富田メモ」は本物だと思うが、この時期にこのスクープが出てきたことに対しては、正直言って政治的意図を感じていた。
それは、今日の朝日新聞とテレビ朝日の「スクープ」を知って、確信に変わった。これは、周到に用意されたメディア横断キャンペーンとでも称するべきものだ。
日経や朝日グループによる、昭和天皇をめぐるスクープは、どう考えても、上記小泉や安倍の意図を挫くべく、この時期に照準を合わせてリリースされたものだ。未確認情報だが、日経のスクープは、過去数ヶ月にわたって綿密な検証を経て、満を持して発表されたものだとの指摘がある。ネットウヨの騒ぎに、産経新聞でさえ反応しなかったのは、決して理由のないことではあるまい。
今日の朝日グループの「スクープ」にしても、朝日新聞の一面記事に「報道ステーション」で特集される、という記述があることからも想像がつくように、日経の報道が一段落する頃合を見計らって、新聞と系列テレビ局がタイアップして発表したものであろう。個人的には、日経のスクープについても思うことだが、昭和天皇を神格化するような意図が若干感じられるのが気になる。
ともかくもこれは、メディア横断のキャンペーンであり、電通のイメージ戦略に対するカウンターパンチである。そして、こんなこと、複数のメディアを操ることができる人間として私が想像できるのは、ただ一人。
そう、渡邉恒雄である。なぜ読売ではなく、日経や朝日なのか。その理由も想像がつく。読売新聞は真打ちなのだ。現在、読売新聞がやっている戦争責任追及のキャンペーンは、今年の8月15日に完結する。他紙に靖国や昭和天皇のキャンペーンを張らせて、最後は自分のところの記事で締めくくる。そういうつもりなのだろう。
渡邉恒雄は、こう語っている。
『このシリーズ(筆者注:「戦争責任を明らかにする」という読売新聞の特集記事)は1年間やりますよ。1年間やって、2006年8月15日をめどに、軍、政府首脳らの責任の軽重度を記事にするつもりだ』
(渡辺恒雄vs.若宮啓文『「靖国」と小泉首相』=朝日新聞社、2006年=より)
それにしても、ナベツネというのはスケールの大きい男である。
PS
このシリーズは、思いがけず「その3」に続いて「その4」も「特別版」みたいになってしまいました。本編は、「その5」として、明日アップする予定です。
- 関連記事
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- ナベツネと靖国と安倍晋三と(その5) (2006/07/27)
- メディア横断キャンペーンの仕掛け人は、やはりあの人? (2006/07/26)
- 新聞の社説でお茶を濁します (2006/07/25)
こんにちは。
「AbEndが総裁選まで」って本当なのですか?
って事はこれ自体が総裁選以降消滅するのでしょうか?
私の勘違いならいいのですが。
2006.07.27 16:17 URL | どーも #YhxRTNrk [ 編集 ]
AbEndもデマを流されるくらいには注目されるようになったってことでしょうか。
総裁選までで終わるはずがないでしょうが。
アブノーマルな安倍晋三が異常終了する(政治生命を絶たれる)まで続きます。
総裁選でそうなれば万々歳ですけど、その場合でも、安倍晋三的なものを終わりにするまで続きます。
2006.07.27 17:03 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]
>AbEndもデマを流されるくらいには注目されるようになったってことでしょうか。
きっとその通りだと思います(笑)。
先日のクリップについて、お答えありがとうございました。私も休みの日にもうちょっと詳しく調べてみて、AbEndの輪がもっと広がるなら、やってみてもいいかなと思っています。
日本は確かに小泉政権になってからというもの、大きく右翼化しているようですね。20年前なら辞任に追い込まれていたであろう、敵地攻撃論なども全く問題にされていないくらいですから。
安倍をも恐れないナベツネに期待します。
2006.07.28 12:29 URL | 美爾依 #- [ 編集 ]
kojitakenさん
美爾依 さん
レスありがとうございます。
継続されるとの事ですので安心しました。
やっぱり「壺カルト」の安倍が失脚するまで頑張りましょう!!
確か統一の宣教師(指導員)を「アベル」って言うそうですが、「安倍ル」
アラカルトならぬ「アベカルト」
親父ギャグ、失礼しました。
2006.07.29 18:31 URL | どーも #z8Ev11P6 [ 編集 ]
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