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きまぐれな日々

右翼雑誌『正論』の12月号を買った。この雑誌を買ったのは、多分初めてである。ついに「自公工作員・古寺多見」が本性をあらわしたのかもしれない(笑)。

なぜ買う気になったかというと、「鳩山総理よ、その「友愛」が日本を衰亡させる」と題した特集が組まれており、東京大学名誉教授・虫明功臣氏の「八ッ場ダムは本当に無駄なのか」およびアラスカ大学国際北極圏研究センター名誉教授・赤祖父俊一氏の「地球温暖化の原因は炭酸ガスにあらず」という注目すべき2本の記事が出ていたからである。虫明氏は水文・水資源工学が専門。水文(すいもん)とは耳慣れない単語だが、Wikipediaによると、「地球上の水循環を対象とする地球科学の一分野であり、主として、陸地における水をその循環過程より、地域的な水のあり方・分布・移動・水収支等に主眼をおいて研究する科学」とのことである。従って、ダムの専門家ではない。また、赤祖父氏は長年アラスカ大学で地球物理学教授を務めた人だが、気候学の専門家ではない。

いうまでもなく『正論』は民主党政権の脱ダム政策にも、温室効果ガス25%削減の政策にも反対であり、その理論的よりどころとして両氏の記事を掲載したものであろう。敵の論拠を知っておくのも良いかと思い、購入したしだいである。

もちろん『正論』のことだから、アレな人たちの文章がたくさん載っている。安倍晋三による中川昭一への追悼文なども載っているが、なんといっても「巻頭言」として平沼赳夫が「保守再興へわが闘争は続く」と題した文章を寄稿しているのを見てぶっ飛んだ。平沼はついに「わが闘争」という言葉を堂々と使うに至ったのか、と感心したのである。

いきなりのサブタイトルが「左翼的政策を隠した民主党」である。衆院選前に、平沼一派と民主党の連携を夢想していた人に見せたいサブタイトルであり、文章だ。以下引用する。

■左翼的政策を隠した民主党

 わが国の根幹をズタズタにする革命が静かに進行している。政権を奪取した民主党がこのまま四年間政権の座に居座りやりたい放題にやれば、わが国は日本という名のまったく別の国になり果ててしまうだろう。

(『正論』 2009年12月号掲載 平沼赳夫 「保守再興へわが闘争は続く」より)


この書き出しに続いて、平沼は、まず八ッ場ダム建設中止を批判し、さらには民主党が永住外国人への地方参政権付与や選択的夫婦別姓の早期実現を図り、恒久平和調査局や靖国神社に代わる国立追悼施設の創設を企てているなどとして、「こうした政策が実現されれば、日本の根幹が完全に破壊されるのは火を見るより明らかである」といきり立っている。

さらに平沼は、自民党も槍玉に挙げる。森喜朗や小泉純一郎だけではなく、「HANAの会」(別名「AHA?Nの会」=故中川(酒)命名)の仲間であるはずの麻生太郎も「首相在任中は靖国神社参拝を避けて通った。いとも簡単に「村山談話」を踏襲した」、「懸賞論文に「村山談話」を否定する論文を応募した田母神俊雄航空幕僚長を、論文の内容をしっかり検証することなく、本人に申し開きの機会すら与えないまま解任した」とけちょんけちょんにけなしている。もし麻生太郎ではなく平沼が総理大臣だったら、どれほど中国や韓国ばかりではなく、アメリカとも摩擦を起こしただろうかと思うと、かつて総理大臣候補とも言われたことのある平沼が総理大臣をやらずに済んで本当に良かったと思う。麻生太郎もろくでもない総理大臣だったが、それでも平沼赳夫よりはよほどましだろう。

平沼は、自民党総裁選についても、谷垣禎一、河野太郎、西村康稔の三氏が、誰一人として「自民党が結党以来掲げてきた党則である自主憲法制定を声高らかに唱えることなく、安全保障についても言及しなかった」とおかんむりだ。

そして、ここからがお笑いなのだが、自民党総裁選前に自民党の衆参の議員が平沼の事務所を頻繁に訪れ、「自民党に復党してくれ、総裁選挙に出てくれ」と平沼を口説いたのだそうだ。しかし平沼は、自身の信念からこれを断り、たまたまその場に居合わせた城内実は、「平沼さんに頼むのならば、まず自民党本部にある小泉純一郎の額を外してから来い」と言い放ったとのことだ。これほどボスの平沼赳夫に忠実な城内実が、こともあろうに「9条護憲派」だなんて誰が言ったんだろう、と思い返すと、なんだか笑えてくる。

そんな平沼にとって何よりショックだったのが、中川昭一の死だった。そして、また「内緒話」だとして、総選挙前に中川昭一が平沼の事務所を数回訪れて、「私は自民党にこだわっていません」と言ったと書いている。私はこれを読んで「死人に口なし」だよ、ひどいなあと思った。故人について軽々しくこんなことが書ける平沼って、実に軽薄な人間ではなかろうか。まるで最晩年に中川昭一が自民党を見限ろうとしてたみたいじゃん。死者を自派の宣伝に利用するのかよ、お前は、と思って呆れてしまった。そんな平沼が、中川の死亡のニュースでローマの「泥酔会見」ばかり流していたと憤る。「お前が言うな」としか思えない。

平沼の文章の中でもっとも噴飯ものなのは、下記の部分だ。

いま私が目指しているのは、自民党と民主党の一部の真正保守政治家と手を携えて第三の流れを作っていくことだ。平沼グループと中川氏が遺した真・保守政策研究会のメンバーを核に真正保守勢力を立ち上げて、来年の参議院選挙を戦いたいと考えている。

(『正論』 2009年12月号掲載 平沼赳夫 「保守再興へわが闘争は続く」より)


平沼がこの手のことを言うのはもう見飽きた。平沼は何年も前から、新党を結成するぞ、結成するぞと言い続けてきたが、結局平沼一派は3人しか衆院選の当選者を出せず、政党の要件を満たしていないのが現実なのだ。

平沼は、期待を寄せている政治家として、自民党では古屋圭司と稲田朋美、参院の衛藤晟一(安倍晋三が強引に自民党に復党させた)、西田昌司、藤井孝男、民主党では松原仁、長島昭久、野田佳彦、渡辺周、笠浩史の名前を挙げているが、彼らの中に平沼一派に参加する政治家などいるだろうか。

平沼は、

従来のやり方に加えてインターネットというツールを利用しながら、一人でもお送り会社を増やしていくつもりだ。

と書いているが、弟子の城内実からやり方を教わると良い。そして、去年大評判をとった城内実の伝説のエントリ "bakawashinanakyanaoranai" を凌ぐ、ぶっ飛んだ主張を是非世に問うてもらいたいものである。

[追記]
国民新党と新党日本の合併構想があり、亀井静香は平沼赳夫にも合流を求めているらしい。亀井静香の悪いところが出た。やつらが与党入りするなら、私はもちろん連立政権不支持に回る。
http://www.asahi.com/politics/update/1116/TKY200911150333.html


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なんだか平沼グループは国民新党と合併するみたいですね。新党日本と一緒に。
んで、社民党の数を越すと。
何考えてるんだか。
合併を中心になって進めているのは亀井静香だそうです。

2009.11.16 08:27 URL | 朱の盤 #XQYq98OQ [ 編集 ]

国民新党が平沼グループにも呼びかけているとか。連立政権を見限る材料をひとつ、又ひとつと作ってくれますね。最大のものは官房機密費をめぐるいきさつですが。

2009.11.16 09:35 URL | jsds001 #wm5n2XIM [ 編集 ]

おざわ氏
「何だ亀井の無原則は!
佐藤優あたりのカメレオン体質と同穴じゃないか。
え?俺様の純化路線もそうじゃないかだと?
うーん、当たらずとも遠からずということにしておくw」

2009.11.16 10:13 URL | 観潮楼 #- [ 編集 ]

 今のところ亀井氏のフライングで、康夫氏にその気はないでしょうが、平沼Gには渡りに船でしょう。AHAN友達も一人欠け、残りも野党では兵糧援助も期待できませんから。
 民主党に擦り寄るのは露骨な敵前逃亡だけど、国民新なら新保守とか適当な言い訳もできると、胸算用の自民党員も多いんじゃないですか?
 「保守」政治家なんて政権に近いからこそ人がチヤホヤしてくれるわけで、野党が続けばタダの頑迷爺さん扱いですからね。

2009.11.16 16:29 URL | トホホ #/Amn5WiM [ 編集 ]

自民が衆院選で大敗して平沼の「できることなら自民に復党したい」という未練もなくなったのなら、郵政造反組で右派の同志でもある平沼と国民新党が接近するのは時間の問題だったのでしょう。

2009.11.16 17:21 URL | Black Joker #RtNpiJ3M [ 編集 ]

【最終的に小沢一郎はデーモン化して日本そのものを解体しようとする。平沼程度の器では相手にもならない】

参議院選挙で単独過半数を確保すれば、もう自民党の政権復活はなくなるでしょう。
その後、小沢さんが手を染めるのは地方制度改革です。
もうすぐ平沼さんの頭にある日本は、観念的にも制度的にも解体されてしまいます。

小沢一郎の心は、2002年以降、蝦夷の怨霊に取り憑かれています。もはや平沼さんが知っている日本人ではなくなっている。そもそも日本人と言うのは平沼さんが知っているようなものではない。右翼政治家がもっている、ちっぽけな日本人観・日本観では、この国やこの国に生きる人々の姿を正しく捉えることは出来ない。
これを認めないと、平沼さんも亀井さんも小沢一郎を測り損ねて、右往左往することになると思います。

2009.11.16 20:23 URL | sonic #GCA3nAmE [ 編集 ]

ちょっと質問なんですが、ブログ主様は積極財政賛成派なのですよね?
それなら財政再建まっしぐらな民主党に批判的なのは分かるのですが、積極財政賛成派な国民新党や平沼Gにも批判的なのでしょうか?
国民新党も平沼Gも問題のある政党ですが、(まあ、問題のない政党というものを見たことありませんが)少なくとも経済政策に関しては似たような主張のはずですが、どうお考えですか?
また、自民でもかなり積極財政的な政治を行っていた麻生も駄目だとすると、ブログ主様としてはどの政治家や政党に今期待してるんでしょうか?

2009.11.17 02:23 URL | 午前 #buI3a3AE [ 編集 ]

午前さん、

まるで積極財政が国民新党や平沼一派の専売特許みたいな認識をされているようですが、そもそも平沼一派は「郵政民営化反対」以外の経済思想を持っていません。国民新党は間違いなく積極財政派ですが。平沼は、かつてイギリスに教育改革の状況を視察しに行きましたが、要するに教育に市場原理を導入しようというサッチャリズムに倣おうとしたわけです。つまり新自由主義に対する批判など平沼は持っておらず、平沼の興味は国家主義的な極右政治思想にしかありません。嘘だと思うなら、時々平沼が右翼論壇誌に発表している文章を、図書館にでも行ってご覧ください。

そもそも、不況時に積極財政をとれというのは、多くの経済学者が言っている、いわば経済学の常識で、民主党左派や社民党のブレーンといわれている神野直彦氏も主張しています。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20091114/1258154001
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20091114/1258162091

最近では、新自由主義志向の経済学者である野口悠紀雄氏も、財政出動の必要性を訴えています。そんな中でエキセントリックな緊縮財政を志向する藤井財務相やそのバックにいる財務省がおかしいだけです(もちろん鳩山首相の責任も重いですが)。

社民主義志向であれば「サービスの大きな政府」は当たり前であって、社民党や共産党はそれにあたりますし、民主党左派も本来そうでなければならないはずです(なぜか彼らは不徹底ですけど)。

積極財政を標榜するなら国民新党しか選択肢がないわけではありません。ましてや、経済思想など何も持っていない平沼一派を、「積極財政派」とみなして支持するのは愚の骨頂です。

2009.11.17 07:17 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

平沼赳夫も亀井静香も新憲法制定議員同盟の会員で同じ穴の貉です。
民主党にも新憲法制定議員同盟の会員が多数存在し、鳩山や藤井も同団体の会員です。

新憲法制定議員同盟 役員名簿
http://www.kyodo-center.jp/ugoki/kiji/sinkenpou-yakuin.htm
新憲法制定議員同盟 会員名簿
http://www.kyodo-center.jp/ugoki/kiji/sinkenpou-kaiin.htm

2009.11.18 01:04 URL | nekonekoneko #/8nqih4Y [ 編集 ]

>新憲法制定議員同盟

面子を見る限りではダメダメな人たちっぽいですね。

2009.11.18 09:07 URL | sonic #GCA3nAmE [ 編集 ]

平沼の未練は完全になくなった訳ではないのでしょうか。とりあえず今のところ新党の話は流れそうな感じですね。
国民新党としては、参院選でも後退してみんなの党に勢力逆転されたら「民みん連立」でお払い箱にされる恐れもあるでしょうから、それだけは避けたいと必死なんでしょうけど、平沼が「国民新党が民主と手を切るなら合流承諾する」なら、同床異夢というかどうにもならないですね。
もしも、民主が社民と連立してるのが平沼の気に入らないのだとしたら、国民新党としては社民外しを狙う必要がありそうですね。

2009.11.19 19:25 URL | Black Joker #RtNpiJ3M [ 編集 ]

平沼氏の動きは理解に苦しみますね…
彼は、新党待望論が出ている時に全く動かなかった訳です。 政治的センスは皆無ですね…

みんな党や平沼グループは相手にしてはいけません。特にみんなの党は、国家公務員を削減することが行政改革だと勘違いしています。

本質は、いかに官僚に本来の仕事(政策立案)をさせるかです。
中央に人が多いなら、都道府県に飛ばして、高い能力を生かして貰えば良い話です。

2009.11.19 22:43 URL | 葉隠 #5iFjgEJk [ 編集 ]

中川昭一氏が「自民党にこだわらない」と言ったと平沼氏が書いたことが、死人に口なし軽薄だと批判するのはよくわかりません。
中川氏は平沼氏と懇意にしていたわけですし、自民党内は別に保守派ではないですから。

2009.12.05 22:46 URL | chiba #ODF0Rvlo [ 編集 ]

chibaさん

中川氏が本当にそういっていたのかなんて誰にももうわからなくなっていますよね。
存命中にそのような発言でもなさっておられたのでしょうか?
当に「死人に口なし」ではないですか。
軽薄のそしりを受けてもしょうがないと思いますし、平沼氏の言う「侍の精神」からしてもこの発言はいかがなものかと思いますよ。

2009.12.05 23:17 URL | nao #- [ 編集 ]













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