きまぐれな日々

順調に滑り出したかに見える鳩山由紀夫内閣だが、ここにきて壁に当たっているかのようだ。鳩山内閣に対する批判は、もっともだと思えるものと、批判の方がおかしいと思うものの両方がある。沖縄の米軍基地問題は前者だし、「バラマキ」や脱ダム政策への批判は後者である。そして、その中間にあるテーマがたくさんある。たとえば、環境・エネルギー政策に関しては、「温室効果ガス25%削減」の中期目標自体は評価できるが、そのために原発フル活用を明言した小沢鋭仁環境相(鳩山首相の側近)は全く評価できない。また、昨日テレビ朝日『サンデープロジェクト』で、小泉内閣で郵政民営化を推進してきた竹中平蔵と、その竹中を「ペーパードライバー」と批判し、郵政民営化に対しても「反対」を明言している榊原英資の間に挟まれて、郵政民営化自体への賛否をはっきりさせない大塚耕平内閣府副大臣は、竹中や田原総一朗、星浩、財部誠一ら郵政民営化推進派だけではなく、榊原英資からも「あなたは郵政民営化には賛成なのか反対なのか」と詰問されて答えに窮するていたらくだった。

そして、なんといっても一番いけないのは、マスコミやそれに影響された世論の「財政再建」の声に押されて、というより意地の悪い言い方をするとそれを口実にして、鳩山首相が「赤字国債発行への批判が強まれば公約の見送りもあり得る」などと言い出していることだ。マスコミは、明らかに小泉内閣初期と同じ緊縮財政路線へと鳩山内閣を導こうとしており、これは小泉内閣初期の頃、「改革競争」を小泉に呼びかけた鳩山首相の本音とも合うので、鳩山首相にとっては実は願ってもない追い風なのであるが、国民生活にとってはとんでもない逆風なのである。

この件については、前のエントリの内容と重複するので、今回はあまり深入りしない。新政権に対して同情できるのは、新政権は「計画経済」の矛盾と、OECD調査で世界ワースト4位(下にはアメリカ、トルコ、メキシコの3か国しかない)にまで悪化した貧困率という、互いに方向性の異なる2つの課題をともに解決しなければならない難題を抱えていることだ。

前者を象徴するのがダム問題である。昨日の『サンデープロジェクト』後半でも、大滝ダム建設に伴う白屋地区の地滑りをはじめとした数件の問題が取り上げられていた。大滝ダムの白屋地区地滑り問題については、意外にもWikipediaの記述がよくまとまっており、番組では、Wikipediaが「地滑りの危険性は1974年頃には既に一部から問題提起されていたといわれる」と書いている原資料が映し出された。ネットにこの資料について指摘したサイトはないかと思って調べてみたら、元京都大学防災研究所の奥西一夫氏が作成した、下記URLのpdf資料が見つかった。奥西氏は、前記サンプロの映像にも登場していた。
http://hb4.seikyou.ne.jp/home/Kazuo.Okunishi/dam-test/opinion-02.pdf

以下、リンク先から引用する。

住民からの依頼で学術調査を行った吉岡金市・和田一雄の両氏は「奈良県川上村大滝ダムに関する調査研究」(1974)と題する報告書で,これまでの斜面変状の経過に鑑み,白屋地区の斜面がダム湛水によって地すべりを起こすことを予告している。ただし,実際に起きた地すべりは当時最も懸念された30m 級深度のものではなく,70m 級深度のものであった。

(奥西一夫 「ダム建設をひとまず中止すべきいくつかの理由」 より)


さらに奥西氏は、予見できたはずの地滑りを「予見できなかった」と強弁する事業者側の言い分を批判し、下記のように書いている。

事業者は蜂の巣のように高い密度でボーリングを掘削して地盤の状況を調査し,30m 級深度の地すべりを想定した地すべり対策工事を実施し,「万全の対策を講じている」とまで言明していたのである。地すべりを予見せずに地すべり対策工事をできないということは土木関係者の間では常識である。すなわち,上記事業者側の主張は二枚舌であると言わねばならない。

地すべりが発生する前にも,地すべりが発生した後でも,このように不可解な言動がおこなわれたのはなぜであろうか。わたしはこれを,自らの過ちを認めれば失脚して再び回復できないという上級官僚の恐怖心が,過ちを糊塗して問題をごまかしつつ,前へ前へと物事を進行させて行く原動力になっているのではないかと考える。「公共事業は一旦決めたら後戻りできない」とよく言われるのも多くはこのような原因によっているのかも知れない。論語に「過則勿憚改」(過ちては改むるに憚ることなかれ)という警句があり,しばしば引用されるのであるが,これまでの日本社会が過ちを悔い改めた人に対して極めて非寛容であったこともこのような恐怖心をあおり立て,誤った政策や事業が止めどもなく継続されるという結果を生んでいるのかも知れない。しかし,これからの日本は,いつまでもそのような欠陥社会であり続けるとは思いたくない。ここから我々が学ぶべきことは,おかしいと思ったら引き返す勇気を持つことである。

(奥西一夫 「ダム建設をひとまず中止すべきいくつかの理由」 より)


私は、財政出動による景気対策は絶対に必要だと考える人間であるが、それが住民に不利益を与えるばかりで、肥え太るのは土建業者をはじめとした「政官業癒着構造」の関係者だけであっては本末転倒である。つまり、民主党政権の「脱ダム」政策自体は正しいと考える。その代わりに「グリーンニューディール政策を行え」と言っているわけであり、これについても民主党は衆議院選挙の際にマニフェストで公約している。しかし、新自由主義志向の強い民主党右派は、自らの属する政党が掲げた公約自体を理解していないように見える。

サンプロでは、日本では必要なダムは既に造られつくしており、不必要なダムだけが残っているとも指摘されていた。実は、同様の自然破壊を、日本よりはるかに大きな規模で実施してきたのが、共産党一党独裁時代のソ連だった。ソ連共産党は、「科学が自然を凌駕する」という、科学万能主義に基づいた政策によってアラル海を干上がらせてしまったのだが、下記ブログ記事で生々しい画像を見ることができる。
http://labaq.com/archives/51268855.html

日本で今なお不必要なダムが造られようとしている誤りは、まさに旧ソ連がやったことと、規模こそ違え同質のものといえる。行き過ぎた計画経済を改めなければならないというのは、まさにこういうことであり、その意味からすると、これまで新自由主義政策を推進してきた自民党や、新自由主義を支持してきたマスコミが、民主党政権の「脱ダム」政策を批判するのは、摩訶不思議としか言いようがない。

こういう矛盾を解決する一方で、グリーンニューディールなどによって新たな雇用を創出することや、格差や貧困問題の解決が民主党政権には求められているわけで、こちらの課題になると、「ムダを省く」だけの新自由主義的な発想では絶対に問題を解決できないのである。

行き過ぎた計画経済も、行き過ぎた市場原理主義もともに批判するというのは、何のことはない、「修正資本主義」とか「社会民主主義」などと呼ばれる政策をとれ、という意味である。かつて日本経済が絶頂に至った過程においては、保守本流(間違っても「真正保守(笑)」と混同してはならない)が推進してきた修正資本主義政策がうまく機能していたと思うし(もちろん政官業癒着や公害などさまざまな問題を抱えてはいたけれど)、現在でもその路線に若干の修正を加えながら(たとえば、不要なダム建設の代わりに自然エネルギー開発を推進するなどして)進むべきだと思うのだが、なぜかマスコミにしても政治家にしてもネット言論にしても、極端な主張(特に新自由主義寄りの主張)に走りがちなのが残念なところである。政治思想と経済政策でともに極右に走った自民党政権が倒れ、とはいっても左翼政党でもない民主党を中心とした連立政権が生まれたわけだから、何より要求されるのが、かつて保守本流の政治家たちが持っていたようなバランス感覚を取り戻すことだと思うが、なかなかその要求に応えられずにいるのが今の政権の姿であるように、私には見える。


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わたしも昨日のあのTV放送を観ていましたが、金融副大臣の腰抜け発言振りには、失望しました。竹中や田原や財部、星ごときにおちょくられて、自民党よりも民主党の方に少しは期待していた国民は非常に悲しむと思いました。もっとしっかりとした理念を持った、気骨のある人が副大臣をやるべきです。

2009.10.26 07:46 URL | ・ #sSHoJftA [ 編集 ]

>かつて日本経済が絶頂に至った過程においては、保守本流(間違っても「真正保守(笑)」と混同してはならない)が推進してきた修正資本主義政策がうまく機能していたと思うし

先進国へと向かう過程では、国家主導型の経済はうまくいきますね。社会資本が不足しているので公共事業が必要で、それにより新たな需要と投資を呼び込み教科書どおりの経済発展が見込めます。東南アジア、中国の経済発展もこのパタンです(ミャンマーは外資を呼び込めなくて気の毒です)。

問題は日本です。勉強不足でグリーンニューディールがどのくらいのインパクトがあるか知りません。もちろん景気刺激、競争力向上に結びつけばバンバンザイです。しかし政府主導の事業は、経営責任がない、コスト意識がない、官僚の天下り先として濫用される、といった弊害がつきまとうので不安が尽きません。税収が見込めない中、貴重な税金が無駄に使われることを懸念します。税金は降ってはきませんから。

政府の事業は常に郵貯の悪夢を思い出させます。表に出されない巨額の損失。可能な限り民間に移せるものは民間に移すべきというのが私の意見です。民間に移した上で、政府がチェックする。そして官民の交流を禁止する。それが一番と思っています。もちろん民間に移すべきでない事業があることは否定しません。

2009.10.27 11:03 URL | TY #- [ 編集 ]

産経新聞記事
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091027/plc0910271145012-n1.htm
故中川昭一氏に旭日大綬章 政府が閣議決定
2009.10.27 11:41

 政府は27日午前の閣議で、4日に死亡しているのが発見された中川昭一元財務相(56)に正三位旭日大綬章を贈ることを決めた。

ーーーーーーーーーーー

時事通信記事
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009102700373
故中川元財務相に旭日大綬章=政府

 政府は27日午前の閣議で、故中川昭一元財務・金融相を正三位に叙するとともに、旭日大綬章を贈ることを決めた。 
 中川氏はローマでの「もうろう会見」で財務・金融相を更迭され、先の衆院選で落選。4日に自宅で死亡しているのが見つかった。(2009/10/27-13:00)

2009.10.27 23:13 URL | おめでたい #L52t0waA [ 編集 ]

TYさん、

> 可能な限り民間に移せるものは民間に移すべきというのが私の意見です。

問題は、現在、民間の力だけで日本の雇用問題が解決できるかというところにあるのです。

いまや、日本では働きたくとも仕事のない人たちが大勢いるだけではなく、働いている人たちの中にも、「本当だったらこんな仕事はしたくないんだけど、なにせ仕事がないからなあ」と思いながら、食うため、あるいは家族を食わせるために仕方なく不本意な仕事に甘んじている人たちがたくさんいます。もちろん、そういう人はいかなる時代にもいるのですが、今ほどそういう人々が大勢いる時代は、少なくとも高度成長期以後にはなかったでしょう。

私は、東京に本社を持つ大企業に勤めていた経験もありますから、都市部のサラリーマンの心理と論理もわかる一方で、地方の惨状もこの目で見てきました。現状が、民間企業の努力くらいでは十分な雇用が確保できようはずもないことは、私にとっては自明なことです。だから、政府が雇用を創出しなければどうしようもないところまで、この日本という国は追い込まれているのだと力説している次第です。

朱の盤さんにも同じことを感じるのですが、やはり首都圏しか知らない人には地方の惨状など思いもよらないのかなあ、と諦め気味に思う今日この頃です。

2009.10.27 23:49 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

>首都圏しか知らない人には地方の惨状など

私は世代間の生きてきた社会の差だと思っています。
高校を卒業をする時にはもはやバブルは弾け、国の援助も雀の涙、地縁血縁共同体による互助もなく、大企業に入るなぞ届かぬ夢よ、独力で生きることをほぼ余儀なくされた我々世代の惨状、それにより培われた乾いた社会的俯瞰というものは、kojitakenさん方、社会民主主義なんて過去の遺物(我々世代にとっては)にすがろうと思う方々には決してわかりませんでしょう。

ただまあ、人間同士なんて、そんなよくわからないことだらけです。
今日 私の履いてるパンツが何日目のものか、なんてことは気にしないでもわからないでも、政治談義はできます。
お互いの無理解の理由を言い始めたらきりがありませんし、それ自体が論議の終焉です。

お互いの出自を明らかにすることで進む議論もありますが、ネットではそれも限界があります。
限られた手段で何が出来るか、それが重要です。

2009.10.28 08:41 URL | 朱の盤 #XQYq98OQ [ 編集 ]

朱の盤さん、

ならばお聞きしますが、なぜ民間は十分な雇用を作り出せていないのですか。もっと規制緩和を進めて、「官から民へ」の流れを加速させれば、十分な雇用が確保できるのですか。

竹中平蔵に言わせれば、日本経済が良くならないのは、改革が不十分だからということになりますが、朱の盤さんの論理を突き詰めれば、竹中平蔵と同じ主張になるんじゃありませんか?

2009.10.28 08:51 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

ならば私も問いましょう。
官僚主導であった「修正資本主義」やら「社会民主主義」やらが罷り通っていた日本社会。そこでバブル崩壊を引き起こし、多くの日本人の未来を暗くさせた、一番の責任は、どういう方々にあったとkojitakenさんはお考えですか。

中曽根元総理以降に台頭してきた新自由主義に因るものだ、とは私は考えません。
戦後からの復興、高度経済成長を高スピードで行うために地方から根こそぎ若者など働き手を都市部や工業界にかき集め、地方地域の共同体の構築・維持など欠片も考えなかった、富豪の官僚による大企業のための行政そのものが、バブル経済を作り破綻させ、(私利私欲に走る)新自由主義を生み出した。
そのように私は思います。

新自由主義は、官僚主導の「修正資本主義」なり「社会民主主義」なりが、地方や地域に対して飽くなき欲望を煽り、共同体の土地や歴史性を貪っていった末に生まれた、鬼子です。

恥を知りなさい、と私は言いたい。

戦争の焼け野原からこの国は復興した。
多くの起業家も官僚も、名も無き民も頑張ったでしょう。
敗戦し貧乏そのもののこの国が、イエローモンキーとゲップ混じりに言われながらもここまで踏ん張って立ち直れた。
それは戦争で多くの若者が取られても、地方地域の共同体が、田舎のじいちゃんばあちゃんが、“帰る家”=「心の支えとなる共同体」をじっと我慢して支えてきたからではありませんか。
その地方地域の共同体に対して、官僚主導型経済の下、どういう行政が取られてきたのか。
私は、許すことができない。

金をちらつかせ分断し、金をちらつかされ分断され、地方地域は何を得、何を失い統治されてきたか。
その歴史を忘れてはなりません。

「分断し、統治せよ」
良いでしょう。分断されましょう。
ただし、官の物差しでなく、民の物差しで。
新自由主義による改革とは、新たな尺度を「民によって」作り、それぞれに合う尺に直していくことです。
その意味で、まさしく私は改革の促進を望み、鳩山内閣の(官僚機構に対する)より先鋭的な改革を期待します。

雇用に対しては、長期においての共同体の構築に目を置いた地域や労働者への対策込みで行えなければ、国や地方地域を徒に疲弊させると思います。
八ッ場ダムや派遣労働者制度のように。
今が歴史上のどんな流れ上のどういう分岐点なのか。
重要な点です

2009.10.28 22:02 URL | 朱の盤 #XQYq98OQ [ 編集 ]

朱の盤さん、

問いに対して答えずに別の問いで応じるのは、無礼極まりない態度です。まず私の問いに答えてください。

議論はそれからです。議論のルールくらいきっちり守ってください。

2009.10.28 22:25 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]

やはりと言うべきか小沢一郎は何も変わっていなかった。細川内閣を潰したことから反省をしていない。というより自分のせいでつぶれたと思ってはいないのではないだろうか。
ようやく政権交代がなされてスタートダッシュが大事なのにも関らず強権を発動している。

そもそも民主党が支持を得たのは政策ではない。子供手当も高速道路も農業保障も支持を得ているわけではない。民主党が支持を得たのは無駄排除とそのための政治主導に期待したからだ。ところがそれらが小沢によって潰されかけている。無駄排除では小沢の鶴の一声で作業チームから新人議員が引き抜かれ結果として縮小された。これでは殆ど成果を上げられないだろう。小沢の頭の中では無駄排除は財務官僚に任せておけばいいということだろう。

また郵政人事でも渡り人事を認めてしまった。どんなに強弁しても国民にはこの人事は渡り以外の何者にもめないだろう。問題は本人がどうとかいう問題ではなく国民に民主党政権が渡りを認めたというように映ることであり、その結果として政治主導は出来ないと映ることだ。たぶん次の世論調査では支持率は大幅に減るだろう。

結局のところ小沢の頭の中には選挙のことしかないのだろう。政策はないのであろう。だが昨今の選挙は風が最大のポイントだ。どぶ板の効果はもちろんがあるがそれは風によっては吹き飛ばされるものだ。その風をつかむためには政策や運営が重要であるにもかかわらず小沢はそれらに背を向けている。

つまり小沢は今回の選挙で民主党が最も妥当したかった政策をないがしろにして選挙しか考えていない自民党を最もよく体現した人物ということだろう。そんな小沢が民主党をリードしているようでは民主党政権の将来も厳しいといわざるを得ない。

2009.10.28 23:05 URL | 変わっていなかった小沢一郎 #- [ 編集 ]

ケータイから失礼します。

>変わっていなかった小沢一郎


はいはい、コピペ乙。

批判くらいは自分の言葉で語ろうね。

2009.10.29 09:34 URL | てあとる☆北極の支配人 #DdiHOXp. [ 編集 ]

>kojitakenさん

失礼しました。
「雇用に対してどうか」という問いに対しておざなりになりました。
(竹中平蔵と同じ主張かどうかは、前レスで十分かと思うのですが、どうでしょう?)

雇用に対して。

もし国が全体主義的に雇用をバーンと打ち出すのを期待するのであれば、
徴兵・徴農・徴介護
あたりの選択肢3つを用意して、ほぼ強制的に人員を徴収されることも可と考えなければなりません。
そういったことをkojitakenさんはお望みでしょうか?(また問いかけになって申し訳ない)

現在は、労働者のモチベーション自体が下がっている状況です。
それを盛り上げるための福祉第一の政治、そして数多の共同体構築の市民・企業活動の活発化。
これが十全に行われるべきが現在の第一で、雇用ばかりを焦っても仕方がないのでは?と思います。

疲弊した人にまず与えるべきは、暖かい食事と毛布、そして居場所(何らかの共同体)です。
疲れきって未来にも絶望しているところにクワを持たせて働きに出しても、クワ放り出して労働放棄するか、畑荒らして逃げちゃうだけかと思います。
強制徴収による国策的労働なら、鉄柵つけて逃げ出させないようなこともやれるかわかりませんが。

その辺りの人の機微をとらえた対策が取れないから、雇用がうまくいかないんだと思いますね。
んで、そういうのは「官」の頭でっかちだとますます大雑把で粗雑だったりしますから、いよいよ絶望的になるんじゃないかと思います。

「民間に金がないからそういうことをする余裕が無いんだ!」という批判も見当外れで、ちょっとした気遣いと工夫の問題なんだと思います。
(それに思い当たれないぐらい、共同体構築がおざなりにされてきた悪い風潮があったということでもあります)

若い人間は基本的に共同体が散々破壊され尽くした社会に生きてきた人が多くて、自分で「俺、何かに属するとか基本的にダメだわ」と最初から諦めてる人も多いんです。
でも携帯電話とかメールとかネットとかでの「つながり」に飢えている人も多いんです。
その辺りをどう企業が考え、雇用に結びつけるか。
企業側もまだまだ流れを読みきれていない状況なんだと思います。

現在は社会構築そのものの変革途中です。
そういった視点もなく「雇用を!雇用を!」と焦っても、決して良い結果にはならないと思います。

2009.10.29 14:35 URL | 朱の盤 #XQYq98OQ [ 編集 ]

何回か前のエントリで、KOjitakenさんは、「新政権が国民のための政治を行うかどうかは国民次第」というようなことを書かれていましたね。
民主党の性格から考えてその通りだと思います。
そして、反新自由主義に立つ者からすると懸念せざるをえないのが、自公政権に反対してきた人たちの間ですら「小さな政府」に親和性を示す人が少なくないという事実です。

先日の総選挙で、小泉構造改革批判と反新自由主義を明確に打ち出していた社民・共産・国民新が苦戦した一方、構造改革のもっとも忠実な継承者といえる「みんなの党」が順調に得票数を伸ばした事は見過ごせないと思います。
これについて「狂童日報」というブログの以下に紹介するエントリが的確な分析をしています。

「みんなの党」について
http://d.hatena.ne.jp/qushanxin/20090926

以下一部引用
─────────────────────────
 私は選挙の前は、「医療崩壊」や貧困の問題による「構造改革」への逆風で、社会的弱者への分配を重視する共産・社民・国民新の支持がある程度は伸びるものと考えていた。ところが、小泉構造改革を真正面から否定する国民新党や社民党は今回の選挙で勢力的にはむしろ後退してしまったし、共産党もそれほど伸びなかった。少数政党では、最も再分配に関心の薄いはずのみんなの党だけが、なぜか「政権交代」に埋没せず「一人勝ち」したのである。

 最初この理由がどうも不可解だったのだが、私は日本の世論が弱者への再分配強化に傾いていると勘違いしていた。実のところは、そうではなかったのである。つまり国民は、苦しんでいる目の前の弱者を救うべきだという素朴な訴えではなく、まず既得権に安住している人間を懲らしめるべきだという、「不幸の平等化」の声のほうを支持したのである。そもそも民主党のマニフェストにしても、内容的には連立を組んでいる社民・国民新よりもみんなの党にずっと近いし、絶叫していたスローガンの大半も同じ「脱官僚」であった。
─────────────────────────

「変わっていなかった小沢一郎」さんの小沢氏批判はよくわからないのですが、小沢氏が最近主張している
1.官僚による国会答弁を法律で禁止する
2.議員立法を民主党内の決まりで禁止し、法案提出を内閣に一本化する。
には、反対です。
特に、1の「官僚による国会答弁を法律で禁止する」は氏の年来の主張で、一見いかにも「政治主導」で良い事のように思えますが、実は解釈改憲にも深く関わってくることなのです。
湾岸戦争のとき、当時自民党幹事長だった小沢氏は自衛隊派遣に積極的だったのですが、当時の内閣法制局長官は憲法上問題であるとし、その結果、内閣不一致となり自衛隊派遣は廃案となったのです。
官僚答弁が禁止ということになれば、官僚である法制局長官の国会答弁はできなくなります。これは、自衛隊の海外派兵をめぐって憲法解釈が国会で審議されるときに、そこから法律の専門家を閉め出すことを意味します。
社民党の福島党首が反発するのは当然でしょう。それいう事情も知らずに、単純に「脱官僚政治を着実に進める小沢さんはさすがだ。社民党はしっかりと小沢一郎の政治感覚を勉強してもらいたい」などと一部「リベラル・護憲派」ブロガーが社民党を批判していたのには唖然としてしまいました。

2009.10.29 15:08 URL | ぽむ #mQop/nM. [ 編集 ]

私は管理人さん同様、日本は福祉国家に移行した方が良いと思う立場です。

ただ、新自由主義で 尊重される『自助努力』という一見正しいと思われる言葉の裏側を考えなければいけないと思うのです。

(新自由主義が流行した)アメリカやイギリスなどのアングロサクソン系の国は、過去に多数の植民地を有し、他国の占領された経験がありません。

『自分が何とか頑張れば成功できる社会』というのはそれだけ平和が確保されていることが前提になるのではないでしょうか。

日本の戦後復興でいうなら、9条と日米安保条約。明治における一早い近代化の成功でいうなら、日英 同盟という条件下で行われています。


福祉国家である北欧諸国は、過去に占領された経験を持ち、 『軍備よりも国民に対する福祉や安心感を増やす方が国家が安定する』という哲学を政策に一貫して反映させてていると感じます。

2009.10.30 00:24 URL | 葉隠 #CRmGiUQU [ 編集 ]

朱の盤さん、

> 竹中平蔵と同じ主張かどうかは、前レスで十分かと思うのですが、どうでしょう?

いいえ。私には読み取れません。

> もし国が全体主義的に雇用をバーンと打ち出すのを期待するのであれば、徴兵・徴農・徴介護あたりの選択肢3つを用意して、ほぼ強制的に人員を徴収されることも可と考えなければなりません。

なぜそのように断定されるのか説明してください。私には、朱の盤さんがそのように断定された理由がさっぱりわかりません。なぜ、そんな馬鹿げたことを考えなければならないのでしょうか。

> そういったことをkojitakenさんはお望みでしょうか?(また問いかけになって申し訳ない)

前提が理解できない以上、お答えしようがありません。

2009.10.31 00:00 URL | kojitaken #e51DOZcs [ 編集 ]













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