きまぐれな日々

 昨日(2日)投開票された東京都議選は、都民ファーストの会(以下都ファ)が50人の公認候補中49人が当選する圧勝で、開票後追加公認した無所属の6人と合わせて55議席と圧勝した。

 自民党は23議席で、最後に当確が出た候補が落選していたら、公明党の議席(23議席)をも下回る第3党に転落するところだった。同党は前回(2013年)の都議選で59議席を獲得したが、半分以下に激減した。

 公明党は前回と同じ23人の候補者全員を当選させた。

 共産党は苦戦を予想されていたが、予想を上回る自民党への逆風が幸いし、都ファの候補がトップ当選した選挙区で下位当選を自民党候補と競り合って勝つ選挙区が多くあったため、前回の17議席を2議席上回る19議席を獲得した。

 共産党と対照的に惨敗したのが、昨年いち早く党代表の蓮舫が小池百合子にすり寄りながら小池に「振られた」民進党と、都ファと選挙協力した生活者ネットだった。民進は選挙前の7議席からは2議席減だが、前回の15議席の実に3分の1に過ぎない5議席だった。また生活者ネットも同じく前回(3議席)の3分の1の1議席だった。

 こうなるだろうとは思っていた。それを確信したのは、リテラが投票日前日(7月1日)になって「小池知事と都民ファーストでいいのか? 仕切っているのは国民主権否定を公言する極右、安倍政権に全面協力の密約も」という長いタイトルの記事(下記URL)を公開したのを知った時だ。
http://lite-ra.com/2017/07/post-3286.html

 リテラのライターは素人の市井のブロガーと違って、マスコミ各社の記者たちとも接触があるから、期日前投票の出口調査の結果も漏れ伝わっていたに違いない。そして、それは予想を超える都ファへのバンドワゴン現象を示すものだったであろうことは、選挙結果から間違いない。

 自民党にはすさまじい逆風が吹いているのに、それが「野党共闘」4党(うち自由党は都議選で公認候補を出さなかった)の支持につながっていないことを知ったリテラは、慌てて投票日前日に都ファの右翼性をアピールする記事を公開した。しかし、そのタイミングはあまりにも遅く、完全に「焼け石に水」だった。

 伝え聞くところでは、共産党も「赤旗」も都ファや小池百合子への批判は手ぬるかったとのことだが、それでも選挙戦後半には都ファ批判を強めていた。しかし民進党は、選挙戦終盤戦になってようやく蓮舫が都ファ批判をくりだしたものの遅すぎた。

 最初から小池百合子と手を結んだ生活者ネットは論外だ。この政治団体の主義主張は右派議員の多い民進よりむしろ社民に近いが、小池百合子は生活者ネットなら有権者の忌避感はほとんどあるまいと計算して、ともにすり寄ってきた民進と生活者ネットに対して違う対応をした。私が小池の立場であっても同じ対応をしたに違いないと思う。しかし、自己と民進党を過大評価していた蓮舫は無謀にも小池にすり寄り、予想通り拒絶された。

 選挙結果は民進と生活者ネットに有権者が鉄槌を降す結果となったといえる。たとえば定員6の杉並区では、当選者は得票数順に都ファ、都ファ、共産、公明、自民、自民で、落選者の上位3人がネット、民進、民進だった。

 いわゆる「リベラル」のうち、新自由主義志向の強い者は都ファに流れ、新自由主義を嫌う向きは共産党に流れた。当然の結果であり、私の選挙区は杉並区ではないが、前回(2013年)に続いて共産党候補に投票した。杉並区民であってもそうしたに違いない。小池と手を結んだ政治勢力や、党首が小池にすり寄った政党の候補になんか間違っても投票する気にはならない。

 なお、今回の都議選で民進党に投票した人たちには、新自由主義には容認的であるものの都ファ及び小池百合子の右翼性を敬遠した人たちと、新自由主義も右翼性も嫌いだけれど共産党も嫌いという人たちがいたように思う。前者の代表が私が日頃からウォッチしている某ブログであって、リテラに都ファ批判の記事が公開された同じ日に、民進党支持を表明したブログ記事を公開したが、それ以前には都議選をメインにした記事を公開していなかった。そして選挙後には、予想通り自民の大敗を手放しで喜ぶ記事を公開した。

 一方、後者の人たちの行動はどうしても私には解せないところだ。彼らの多くは、本心では小池百合子や都ファを快く思っていないことは明らかなのに、他の反自民野党の支持者や私のような反自民の支持政党なしの人間による蓮舫批判を激しく忌み嫌って、強烈な蓮舫擁護の論陣を張るのである。本当は彼らこそ率先して蓮舫を批判しなければならないはずだし、小沢一郎が代表になって党内の締めつけを強めて(たとえば2008年の民主党代表選には、小沢一郎が対立候補の立候補潰し工作を執拗に行って=同じ行動を安倍晋三も2015年の自民党総裁選でとった)、党内に「執行部独裁」体質を定着させる以前には、党内で活発な意見交換が行われる党風を持った政党だった。当時の民主党の主義主張はよく言われるように新自由主義的だったが、百家争鳴とか多事争論などの言葉で表されるような気風は確かにあったのだ。

 しかし、今では自由党に分かれた小沢一郎の支持者、いわゆる「小沢信者」だけではなく、「反小沢」側に立っていた者も、自分たちへの批判を許さない「民進党信者」と化している。そんな支持者が目立つような政党から民進ならぬ民心が離反していくのは当然のことだ。

 今回の都議選の結果は、直ちに政界再編に結びつくだろう。既に若狭勝、長島昭久、渡辺喜美といった暑苦しい面々が騒ぎ始めている一方、都議選で都ファと結んだ公明党は、国政では安倍政権との緊密な連携を表明している。しかしそうは問屋が卸さない。

 ほんの少し前まで「安倍一強」と言われていたのが、突如として民意のすさまじい鉄槌を受け、内閣支持率はJNNの調査(下記URL)で2か月連続の暴落を記録した。
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3094937.html

 都議選のあった週に世論調査をしていたとは意表を突かれたが、この調査によると安倍内閣の支持率は2か月で実に20ポイント落ちた。ついこの間まで、安倍晋三は国会答弁で「民進党の政党支持率は何パーセントなんだ。安倍内閣の支持率は50%ある」と豪語していたが、あっという間の急落だ。「レギュラー8本をなめんなよ」と豪語した長谷川豊があっという間にレギュラー番組を全て失ったことを思い出させる。安倍晋三は昨夜は記者会見もせずに逃亡した。

 こんな情勢下では、小池百合子も当然これまでの戦略を変更するほかない。仮に今回の都議選で都ファと自民が拮抗する結果だったら、小池は安倍からの政権禅譲を狙って駆け引きを行っただろうが、ここまで安倍政権の人気が暴落すると、安倍と手を組むことは小池百合子自身の人気の暴落に直結する。都議選の戦略において民進党を忌避したのと同じ理由が安倍政権に対しても適用される。なぜなら、今回都ファの得票を押し上げたのは、安倍政権に対する批判票だから、安倍と組むことは次期総理を狙う小池には絶対にできない選択肢になってしまったのだ。

 それならどうするか。いうまでもなく「新・新進党」の立ち上げだ。既に若狭だの長島だの渡辺だのの魑魅魍魎が蠢いているのは前述の通りだが、都議選後直ちに読売系のスポーツ報知は

民進党の国会議員5人以上が小池氏支持のため離党する方針を固めたことも判明。今後、都民Fの国政進出も現実味を帯びてきた。

と書いた(下記URL)。
http://www.hochi.co.jp/topics/20170703-OHT1T50083.html

 こうなっては、野党の右翼的再編はもはや避けがたいだろう。簡単に言えば、民進党から出るであろう大量の離党者は、次の選挙では「新・新進党」(おそらく党名は「国民ファーストの会」にでもなるに違いない)から出馬する。維新から少し距離を置いている名古屋の「減税日本」もこれに合流する。仮に小沢一郎が政界引退を決意するのであれば、自由党も加わる可能性がある(但し自由党には、社民党及び民進党リベラル派と合流する選択肢もある。小沢が政界を引退しない場合はこちらになるだろう)。

 何しろ若狭だの長島だの渡辺だの民進党離党者だのには新党結成を求める理由がある。それは、東京都議選の結果から明らかなように、安倍政権は人心を失っているのに、民進党や共産党では政権の受け皿にはなれないため、「死に体」の安倍政権が続くのだ、だから人心を失った安倍政権に代わる政権の受け皿が必要だ、というロジックだ。

 TBS以外の内閣支持率の世論調査がどうなるかにもよるが、「政界の右翼的再編」はもはや不可避だろう。安倍晋三に冷や飯を食わされ続けた石破茂あたりも、かつての盟友・小池百合子一派との合流に走る可能性がある。

 ようやく安倍晋三の邪悪極まりない政権の終わりが見えてきたが、その代わりにもう一人の極右にして新自由主義者、しかも1年前の都知事選前に「身体検査の結果は真っ黒」と週刊誌に書かれたモンスター・小池百合子の脅威がますます強まった。

 一難去ってまた一難。「崩壊の時代」は崩壊の度合いを強めながらまだまだ続く。
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