きまぐれな日々

 安倍内閣の支持率がついに大きく下落した。「共謀罪」法案の強行採決による成立により6月16日に国会が事実上閉会した(実際の閉会は日曜日の昨日・18日)後の週末にマスメディア各社が一斉に行った世論調査で、社によって異なるが下げ幅が大きいところでは10ポイントを超える内閣支持率下落を記録した。

 私の知る限り最も低い数字を叩き出したのが毎日新聞の調査で、支持率は36%、不支持率は44%だった。ただ、安保法案審議で安倍政権が批判を浴びた2015年7月に記録した支持率32%よりはまだ高い。

 他では日本テレビ系のNNNの世論調査で、内閣支持率が40%をわずかに切る39.8%だった(前月より6.3ポイント低下)。但し40%を0.2ポイント下回っただけであり、当然だが誤差範囲でしかない。「約40%」と表現すべきところではある。とはいえ、菅野完がつぶやいた通り「ざまぁ」とは正直言って私も思う。ただ、プロ野球の読売軍が交流戦の最終戦でロッテに勝ち、前日までの最下位から順位を2つ上げて10位で交流戦を終えやがったことには怒り心頭だが(11位はロッテ、最下位球団の名前は書きたくない)。

 その読売(新聞)の調査による安倍内閣支持率は、前回より12ポイント下落の49%だった。下げ幅は毎日より大きいが、元が高すぎた。読売は、

最低を記録した安全保障関連法成立直後(15年9月調査)の41%は上回った。

と書いて火消しに懸命だ。

 火消しといえば、30年前に「ピッチャー、カトリ」、「鹿取られる」など「上司(王監督)に過労を強いられる」という意味の流行語を呼んだ鹿取義隆が読売軍のGMに就任したらしい。しかし、今回の安倍内閣支持率下落の要因の一つは、読売新聞が前川喜平・文科省前事務次官に対する「ネガティブな印象操作」を狙って仕掛けた謀略報道だった。前川氏が「出会い系バー」に通っていたのは事実だったが、どこをどう洗っても前川氏が買春を行った事実をつかめなかったことから、読売の報道の謀略性が大きく注目され、読売の信用は地に堕ちるとともにプロ野球の読売軍は13連敗を喫し、安倍内閣の支持率は大きく下落した。

 ここまでの記事で、プロ野球(の読売軍)のこと(悪口)ばかり書きやがってうざい、と思われる読者も少なくないだろうが、私が指摘したいのは、今回読売が前川喜平に仕掛けた謀略報道は、プロ野球について読売が日常茶飯事として行ってきた謀略報道の延長線上にあるものだという事実だ。古くは1970年頃の「球界黒い霧」事件では、九州の人気球団だった西鉄ライオンズ(西日本鉄道に加え、九州での拡販を狙う読売のライバルだった西日本新聞との資本関係もあった)の追い落としを狙いつつ読売球団への波及を避け、1978年の「江川事件」では読売球団の利益を最大限に追及して、プロ野球協約の抜け穴を突いた「空白の一日」作戦を編み出した。また1979年に大洋ホエールズの遠藤一彦投手が読売軍から4勝を挙げると、同選手のスキャンダル報道を書き立てた一方、1986年に読売軍の吉村禎章選手が酒気帯び運転をしたあげくに人身事故を起こすと、警察にこの事故をもみ消させた(1987年にスポーツライターの玉木正之がこの件を月刊『現代』で暴露した)。

 読売というのは昔から自社の利益源であるプロ野球に関してこんな報道ばかりしていたのだ。その読売はまた、社のトップが社を私物化することでも悪名高い新聞社でもあった。潰れそうになっていた読売を大新聞社に仕立て上げた元警察官僚の正力松太郎が社を私物化した元凶であり、その悪しき伝統は務台光雄(1896-1991)を経てナベツネこと渡邉恒雄(1925-)に引き継がれている。事にナベツネは、1979年に論説委員長に就任して以来、一貫して「政権と一体になった新聞」のあり方を追及してきた。そのナベツネの理念と読売が昔からプロ野球をめぐって行ってきた謀略報道が合体したのが、今回の前川氏に対する謀略報道だったと私は位置づけている。そして、「読売悪」のエッセンスともいえるこの謀略報道が安倍内閣の支持率低下に与えた影響は小さくなかったと思うのだ。

 読売絡みではないが、元TBS記者・山口敬之の準強姦罪もみ消し工作は、「安倍政権の読売化」を思わせる一件だった。読売が政権と一体になると、「政権の読売化」も起きたというわけだ。このもみ消し工作から私が直ちに思い出したのは、前述の吉村禎章の酒気帯び人身事故を読売が警察にもみ消させた一件だ(読売は正力松太郎が警察官僚だった関係から、昔から警察への影響力が強いようだ)。もちろん山口の準強姦罪もみ消し工作自体にまでは読売は関与していないだろうが、手口があまりにも「読売的」であり過ぎるのである。

 前川前事務次官の謀略報道に関しては、官邸は読売だけではなく、1972年の外務省機密漏洩事件(通称「西山事件」)で当時の毎日新聞記者・西山太吉を追い落とした実績のある『週刊新潮』にも働きかけたが、同誌は読売が先に動いていたことを知るや、一転して読売の謀略報道を書き立てて読売を笑いものにする記事を載せた。これは、記者クラブ制度その他によって大新聞の記者よりも下の「階級」に位置づけられている週刊誌の記者が意地を見せたものだと私は解している。同様の件はさらに続き、内閣官房長官・菅義偉に食い下がった東京新聞社会部記者・望月衣塑子記者のスキャンダル暴露を官邸が週刊新潮にそそのかしたが、週刊新潮はなんとこの官邸が望月記者に対して謀略を仕掛けようとしていた事実を自誌に書き立て、安倍政権への悪印象をさらに強めた。この暴露も、「読売化した(安倍)政権」に対する意趣返しの一環であろうと私は解している。

 このように、今回の安倍内閣支持率の下落に読売が大きくかかわった。これを端的に表現したTwitterを紹介する(下記URL)。
https://twitter.com/geso0602/status/876465154518470656

読売さんは今回の支持率急落にとっても貢献したよね(棒


 読売と安倍晋三が同時に大きなダメージを受けるとは、「1粒で2度おいしい」○○○(若い人は知らないかも)みたいだな、と思ったが、冷静に見れば「共謀罪」法案は成立してしまったし、安倍内閣支持率はまだまだ高い。これまで引き合いに出さなかった朝日新聞の世論調査では41%(前月より6ポイント減)もある。

 加えて来月早々には都議選もある。ここでは、せっかくの安倍政権や自民党の支持率低下が、安倍に代わる独裁者候補である都知事・小池百合子の私党たる「都民ファーストの会」の躍進につながってしまう新たな脅威がある。既に昨日のTBSテレビ『サンデーモーニング』でリベラル派のはずの田中優子が小池百合子におべっかを使っていたシーンを見せつけられ愕然とした。「リベラル」文化人がこのていたらくだから、民進党が下記の読売(!)の記事(下記URL)に書かれたような愚劣なことをやらかすのも道理だろう。
http://www.yomiuri.co.jp/election/local/20170617-OYT1T50057.html

民進都連、離党組推薦へ…都民ファ推薦の3人
2017年06月17日 15時13分

 民進党東京都連が、同党を離党して東京都議選(7月2日投開票)に無所属で出馬する元公認候補3人に対し、推薦を出す方針を固めたことがわかった。

 複数の党関係者が明らかにした。3人は、小池百合子知事が率いる地域政党「都民ファーストの会」から推薦を受けており、党内から反発の声が出る可能性がある。

 都連が推薦を検討しているのは、定数2の選挙区から無所属で出馬を予定している現職3人。いずれも5月15日に同党の公認を取り消され、6月12日に離党が認められた。都連はこの他、元公認候補ら4人も、地元の同党区議や市議レベルで応援することを検討している。

 相次ぐ離党で、同党の現職都議は現在8人。都議選ではさらに議席を減らすことも予想され、都連では、離党した無所属候補が当選した場合を見据え、都議選後の連携を視野にてこ入れを図ることにした。

 ただ、ある民進党公認候補は、「党を見捨てた候補に対して、推薦を出す義理はない。一体何を考えているのか」と憤った。

(YOMIURI ONLINEより)


 これは「ある民進党公認候補」の怒りももっともだろう。この民進党による「都民ファーストの会」の候補推薦の話は、前々から朝日新聞なども書いてきたから知っており、それがついに現実になったということだ。この方針を仕掛けているのはもちろん党代表の蓮舫や幹事長の野田佳彦らであるが、蓮舫や野田は自党の公認候補よりも小池百合子へのお追従ばかりしか頭にないようで、私はこうした蓮舫や野田のあり方には反吐が出そうなほどむかつく。なるほど、安倍内閣の支持率が、ここまでひどい「敵失」があるまで全く下がらなかったわけだ。今回の支持率低下は、野球にたとえれば20点リードされた9回裏に7,8点を返した程度の意味しかない。敗戦にもっとも多くの責任を負うべきは野党第一党の投手、もとい党首(党代表)である蓮舫や、幹事長の野田であることはいうまでもない。

 また、さらにいけないと思うのは、「民進党信者」の域に達したと私が認定している民進党支持者たちが、蓮舫や野田をいっこうに(内部から)批判することなく、民進党を批判する他の野党の支持者や私のような無党派の反自民・反安倍の人間にばかり楯突いてくることだ。

 彼らの多くは護憲派であり、安倍政権の打倒を願っているはずなのに、改憲勢力の最たる存在である小池百合子とその私党にばかり揉み手をする蓮舫や野田をいっこうに批判しない。これは、民進党支持者たちの間でも民主主義が機能していないことを示すものにほかならない。

 せっかくの安倍内閣支持率低下の喜びも、2週間後には都議選で自民と都ファの合計議席がめちゃくちゃ増えるであろう痛恨の都議選の記事を間違いなく書くであろうことを想像すると、めでたさも中くらいにさえ届かない「ほんのちょっとのめでたさ」でしかないと思う今日この頃なのである。
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