きまぐれな日々

 この記事は5日(日)のTBSテレビ『サンデーモーニング』の冒頭で森友学園(アッキード)事件を扱い終わったあと、退屈な小池百合子vs.石原慎太郎の八百長バトルの話に移ったタイミングに書き始めている。6日朝は時間が取れないので、予約投稿したものだ。従って最新の情報は反映されていないことをおことわりしておく。

 先々週末の2月24日(金)、安倍昭恵の瑞穂の國記念小學院名誉校長「辞任」、安倍晋三の蓮池泰典(康博)に関する「しつこかった」発言を機に、政権・大阪府側が「全てを籠池のせいにする」方針を決めて以来、テレビ報道がまるで「解禁」されたかのように積極的になった。その結果、おぞましいまでの極右教育を幼稚園児に施していた異様さや、自分たちの子どもさえまともに育てることができなかった籠池夫妻の「人格破綻」ぶりは広く世に知られるようになった。

 しかし、それが森友学園への利益供与に動いたと思われる総理大臣の安倍晋三や大阪府知事の松井一郎(松井は2012年、当時自民党内で不遇をかこっていた安倍晋三のスカウトに橋下徹との二人三脚で動いたが失敗した経緯がある)への批判につながるかといえば、そこまでの流れにはまだなっていないと思う。

 3月2日には、国会の質問で山本太郎が今回の件を「アッキード事件」と呼んで安倍晋三の激怒を買った一幕があった。しかし翌3日になると石原慎太郎が記者会見に現れ、小池百合子とのドンパチにまたテレビが騒ぎ始めた。『サンデーモーニング』もこの件に森友学園事件と同じ16分を費やして長々と報じた。森友学園事件もここままテレビが作る「森友学園気持ち悪い、安倍さんかわいそう」の印象操作の意図(TBSやテレビ朝日はさほどでもないが、NHKなんかは露骨にそれを狙っている)を伴った映像を視聴者が消費して終わりになるのか。これからが正念場だと思う。

 ところで今回の事件だが、「アッキード事件」とのあだ名とは裏腹に、ロッキード事件との性格の違いが際立っているように思う。この事件を贈収賄や利権の構造などの観点から見ると、利益供与を受けた森友学園の財務状況は火の車のようでもあるし、一体誰が得をするんだろうかと思ってしまう。物証こそ挙がっていないものの、状況証拠から言って安倍晋三が直接関与していたであろうことには疑いがないように思われるが、おそらく多くの人が思っていたであろうのと同様、私も正直言って、まさかこんな事件に安倍晋三が直接関与していようとは、と驚いた。

 それからしばらく経って、一昨日(4日)朝起きた時に突然気づいたのだが、この事件に安倍晋三やら松井一郎やらが関わった動機は、利権云々ではなく政治思想なのだ。そんな当たり前のことにやっと気づいた。そしてネット検索をかけ、そのことをずばり言い表したTwitterをみつけた(下記URL)。
https://twitter.com/etude_op25no1/status/837268328976543745

Fryderyk‏
@etude_op25no1

ロッキード事件はどんなに巨大でも所詮賄賂でしたが、アッキード事件は、国が国民の財産をゴロツキ極右学園にただで分け与えたうえ、首相周辺が率先して国ぐるみで日本の教育をおかしな方向に持っていこうとした点ではるかに悪質です。

Fryderykさんが追加

青木正雄 @ouendan10
@chidaisan @Jun_Sky_0610 ロッキード事件よりひどいです。


3:48 - 2017年3月2日


 そうなんだよな。本当にその通りだと思う。なお、上記のTweetは山本太郎の「アッキード事件」発言に言及した下記Tweet(下記URL)を受けて発信されたもの。
https://twitter.com/chidaisan/status/837129498038411265

ちだい
@chidaisan

今回の森友学園の問題は、安倍昭恵の関わりが深すぎて、巷ではロッキード事件をパロって「アッキード事件」と小さく呼ばれていたんだけど、とうとう山本太郎が安倍首相に向かって「アッキード事件と呼ばれていますよ!」と伝え、安倍晋三閣下が壮大に逆上してしまったため、メジャーワードになった。

18:36 - 2017年3月1日


 この事件に関する、毎日新聞3月3日付の社説(下記URL)の主張は正論そのものだ。もちろん、産経が出している雑誌名のような、文字通り括弧付きの『正論』ではない。
http://mainichi.jp/articles/20170303/ddm/005/070/098000c

 「森友学園 教育機関と言えるのか」と題されたこの社説を本当は全部引用したいくらいだが、ここでは特に注目すべき部分を抜粋する。

(前略)学園が運営する幼稚園の運動会で「安倍(晋三)首相がんばれ。安保法制、国会通過よかったです」などと園児に選手宣誓をさせていた。この映像を見て異様さを感じた人は少なくないはずだ。

 教育基本法は思想が偏らないよう教育の政治的中立を求めている。園児にこうした宣誓をさせることが法を逸脱しているのは明らかだ。

 政治について理解する力が身についていない幼児に、大人の思想を押しつけるのは教育ではなく、まさに洗脳である。

 子供の健全な成長に影響を及ぼしかねない深刻な事態だと受け止めなければならない。

(中略)

 強引に戦前回帰を進めようとする籠池(かごいけ)泰典理事長らの姿勢は時代錯誤と言わざるを得ない。


 教育以前の問題も相次いでいる。職員に「犬臭い」と非難されるなどの嫌がらせを受けたとして元園児の保護者が損害賠償訴訟を起こした。「よこしまな考え方を持った在日韓国人や支那人」という差別表現のある文書を保護者に配り、府が事情を聴いたことも明らかになっている。(後略)

(毎日新聞 2017年3月3日付社説「森友学園 教育機関と言えるのか」より)


 森友学園事件は、多くの方が指摘されている通り、本質的には「日本会議事件」であろう。その方が「アッキード事件」よりもずっと核心を突いている。しかし、「日本会議事件」の呼称を用いての追及では国民の共感は得られまいから、「森友学園事件、通称アッキード事件」で良かろうと思う。なお、当ブログなどが2006〜07年に用いていた「AbEnd(=abe + end、安倍晋三の終了と異常終了との掛詞)」の造語を、11年後の今年に独自に思いついて「アベンドスキャンダル」という言葉を使っているブログがある。私は個人的経緯もあって"AbEnd"の造語を使うつもりはもうないが、当該ブログには注目し応援もしている。当該ブログ名は『51%の真実』というが、その3月5日付エントリ「なぜアッキードではなくアベンドスキャンダルなのか? ~森友学園問題の本質~」は、この記事とほぼ同主旨の内容だ。当該記事に引用されている日刊ゲンダイの記事(当該ブログ主も私と同様、日刊ゲンダイはお好きでないらしいが)を受けての

 ”森友学園問題”は、これまでの事件とは異なり、単純な”贈収賄”で行われた問題では無いのだ。安倍首相を含む日本会議メンバーが絡み、自分達の目指す国造りの為と称し、信条という形のないものに基づく利害が一致して起こった事件なのだ。

という指摘は、まさにこのエントリの主旨そのものだ。"AbEnd"の造語といい、日刊ゲンダイを嫌っていることといい、ブログ記事の主旨といい、ここまで似た考え方の人がいるとはと驚いた。記事の主旨はともかくとして、日刊ゲンダイ嫌いのリベラルはそんなに多くないだろうし、ましてやかつてのブログキャンペーンをご存知ないのに"AbEnd"の造語をを思いつかれるとは、と感心した次第。

 本論に戻って、「日本会議」的な極右たちの中核をなす史観が「皇国史観」でさえないことは、昨年来、昭仁現天皇が示している「生前退位」の意向に対する彼らの反応から明らかだろう。ではどう表現すべきかと考え始めてすぐ思いついたのは、10年ほど前に話題になった『新自由主義』と題した本で著者のデヴィッド・ハーヴェイが新自由主義について表現した「支配階級の権力の回復とその固定のためのプロジェクト」だったか、正確には覚えていないがそんな言葉だった。もっと簡単に言えば、支配階級が日本国民に対して仕掛けた戦争ともいえようか。だからロッキード事件なんかとは比較にならないくらい悪質だと私も思う。もちろん彼らの狙いは、子どものうちから支配階級に従順な国民を作ることだ。彼らの「人間改造」の思想は醜悪極まりない。

 こんな構図だから、財務省の事務次官レースにおいて遅れ気味だと見られていた長州閥の迫田英典が安倍晋三の引きで昇進していくためには、安倍の言うことを聞いて森友学園に利益供与をしなければならなかったのだろう。迫田の動きが野党に漏れたのは、もしかしたら事務次官レースで引き離したと思っていた迫田が安倍の引きで競り合いに加わり、安倍政権が長引けば下手をしたら下手をしかねない状況を快く思わないライバルの財務官僚からのリークでもあったのではなかろうかと適当に想像している。

 なにしろイデオロギーにとらわれた人間は何をやらかすかわからない。櫻井よしこや中西輝政らを筆頭に、逮捕された田母神俊雄や20年前には『探偵!ナイトスクープ』のいじられ役に過ぎなかった「どこがエスタブリッシュメントやねん」の百田尚樹に至るまで、あまたの極右人士がこの「支配階級が国民に仕掛けた戦争」において支配階級側に味方し、自分たちの権力を保ち、さらに強めようと、あるいは百田あたりの場合は支配階級への仲間入りを果たそうとしている。その姿はおぞましいことこの上ない。私が不満なことの一つは、かつて塚本幼稚園の教育講演会で講師として講演した人たちの中でも、とりわけ知名度の高い櫻井よしこから、彼女と森友学園との関係についてのコメントが聞かれないことだ。マスコミの取材を櫻井が拒否しているのかも知れないが、櫻井をはじめとして中西輝政や渡部昇一その他の極右「文化人」たちがどうしてあんな人格破綻者みたいな籠池夫妻を絶賛したのか、そのあたりにマスコミがもっと突っ込みを入れれば、「森友学園気持ち悪い」を「安倍夫妻かわいそう」につなげる馬鹿げた反応を示す人々が減り、「森友学園気持ち悪い」を「関わってた昭恵さんも気持ち悪」、さらには「安倍さんが、あんな考え方だったって全然知らなかった。なんか怖~い。早く首相辞めて欲しいよ」という正常な思考ルートをたどる人々が増えるのではないか。

 先週末にはさっそく「小池百合子vs.石原慎太郎」の八百長バトルを前面に出すことによって話題そらしが図られている感があるし、今週末が東日本大震災6周年に当たることもあって、野党や非翼賛系報道陣の頑張りがどの程度続くかはわからないが(これまでの経験上、私はどうしても悲観論に傾きがちだ)、今後も事態の推移に注目し、適宜声をあげていきたいと思っている。
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