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きまぐれな日々

 昨日(8/28)まで20日連続でブログを更新しなかった。2006年4月の開設以来最長だ。『kojitakenの日記』も土日は3週連続で休んだ。

 その間、夏休みで出かけていたり仕事が忙しかったり等の理由はあったが、歳をとって疲れやすくなっているところに、この夏はとりわけ東日本で多湿がひどかった(西日本では高温がひどかったようだ)こと、そして何よりも先月末の東京都知事選以降、政治のニュースがどうしようもないほどろくでもなかったことが大きい。

 昨日の昼間、テレビ朝日で『TVタックル』をやっていたが、日曜日は10時前にTBSの『サンデーモーニング』が終わると同時にテレビのスイッチを切る習慣(サンモニ終了直後に出る、次の番組の予告がうるさくてたまらなく不快なので、それを避けるために始めた習慣だ)がついていたので、それ以降の番組を見ることがなくなっていたのだが、昨日はたまたま正午を過ぎて、テレビをつけてテレビ朝日(同局に関しては、以前は日曜の10時から田原総一朗が司会をやっていた『サンデープロジェクト』を悪態をつきながら見ていた)にチャンネルを合わせると、ビートたけしと阿川佐和子が司会をする『TVタックル』に遭遇した次第。

 この番組は、かつては月曜日の夜にやっていた。大阪の読売テレビが日曜昼にやっている極右番組(かつてはやしきたかじんの名前を冠していた)ほど露骨ではないものの、相当程度右に寄った番組だった。それがある時期から政治の話題から離れるようになり、放送時間帯も深夜に追いやられていたが、今年春からはその時間帯に橋下徹が司会を務めるとんでもない番組が進出してきた。『TVタックル』はどうやらそのタイミングで日曜昼に放送時間帯が移動したらしく、出演者も片山さつきだの田嶋陽子(!)だのといった、政治で飯を食う連中が出ていた。それに加えて昨日は、都知事選で小池百合子を応援した自民党衆院議員(比例東京ブロック)の若狭勝や東京都議のおときた(音喜多)駿(右翼系無所属)は出ていた。この2人の名前からわかるように、話題は「小池百合子 vs. 都議会自民」。

 それだけでアホらしくなって番組で出演者が何を言っていたのかは見ないままに再びテレビを消したのだが、この「小池 vs.都議会自民のドン」の「対立構図」とやらが今現在のマスメディアが「売れ線」と見ていることは間違いない。たとえば、中身までは立ち読みもしていないが、見出しを見る限り『週刊文春』もその線に沿って編集されている。

 これを、「週刊文春は保守系メディアだから鳥越俊太郎のスキャンダルは取り上げるけれども小池百合子のスキャンダルには見て見ぬ振りをするのだ」などといった被害妄想でとらえてはいけない。文春だって数か月前には小池を「自民党が『身体検査』をしたところ『真っ黒』だった」と書いたことがある。

 そうではなく、「小池 vs. 都議会自民のドン」で記事を書いた方が売れると文春の編集部が判断したからそういう記事になっているだけの話だ。そうした趣向は、何も保守的な有権者に限った都知事選で話ではなく、「左翼」や「リベラル」の少なからぬ割合の人間が小池百合子に投票したという厳然たる事実がある。

 小池に投票しないまでも、増田寛也が当選するよりは小池で良かったと言わんばかりの記事を書く「リベラル」のブログもある(いつものあそこですけど)。最近になって、都知事時代の石原慎太郎の腹心だった浜渦武生が小池百合子と手を握って「都議会自民のドン」(内田茂)に復讐しようとしている、などという地方政界のゴシップ記事に接して「ドロドロして来た小池都政」などと気を揉むナイーブさはまことに救いがたい。そもそも、石原慎太郎の後継者だった猪瀬直樹が「都議会自民のドン」を批判する意見発信を都知事選前から行っていたことを考えれば驚くほうがおかしい。確かに石原慎太郎自身は小池を「厚化粧」などと罵倒して増田寛也を応援したが、それは慎太郎の倅であり、かつ小池百合子と仲の悪いあの無能な石原伸晃が増田寛也を推薦したから(要するに単なる「親バカ」)に過ぎない。

 都知事選や都政をめぐって「リベラル」が小池百合子に親和的な態度をとった悪影響は、至るところに噴出していると見るべきであろう。

 そんなことにかまけている間にも、前述の『TVタックル』にも出しゃばっていた片山さつきが、NHKが番組で取り上げた貧困女子高生に「“貧乏人は贅沢するな”攻撃」(by リテラ)を仕掛けたり、安倍政権が「共謀罪」を要件を変えて新設する法案を国会に提出しようとするなどの動きが報じられるなど、ろくでもない動きが目白押しだ。

 そんな最中に、マスメディアが「売れ線」と見て熱中する「小池百合子 vs. 都議会自民のドン」という、私から見ると空虚としか思えない対立構図をいつまでも追いかけて、小池がかつての石原慎太郎の腹心と結託するのではないかとやきもきしたり、この記事ではここまで取り上げなかったが、未だに都知事選で共産党が鳥越俊太郎を推して宇都宮健児の「梯子を外した」ことをネチネチと非難し続けたり、などといった「リベラル」や「左派」を見ていると、お前らいったいいつまでも何やってるんだ、と呆れ返る今日この頃なのである。
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 朝日新聞(8/8)の一面トップは現在行われているリオデジャネイロ五輪で水泳・男子400メートル個人メドレーで萩野公介が金メダルを獲ったニュースだった。

 4年に一度行われる五輪には、快哉を重ねる毎にというか私自身が歳をとるほどにというか、さっぱり興味がわかなくなってきている。特に、次回の東京五輪に対しては、東京というか日本でもう五輪なんかやってくれるなとずっと思ってきたから、その直前の大会である今回の五輪は見る気にもならない。

 このところ『kojitakenの日記』にはずっと都知事選に圧勝した小池百合子及び小池に異様に甘い日本の「リベラル」たちに悪態をつく記事ばかり書いてきた。

 今回は、それとは少し離れて、これまで気になっていながらまとまった書く機会がなくここまできた、稲田朋美の防衛大臣就任について書く。

 まさか安倍晋三が稲田朋美を防衛大臣にするとは思わなかった。仮に安倍晋三がどこかの国に自衛隊を派遣することになった時、ワシントンポストに「戦中日本の行いを軽視し、極右思想(far-right views)で知られる女性」と評された札付きの極右人士が防衛大臣でいて大丈夫なのか、と思う人は少なくないのではないか。

 女性の防衛大臣は第1次安倍改造内閣における小池百合子以来であって、その小池もまた極右だった。

 だが、小池の任期は長く続かなかった。第1次安倍改造内閣発足からさほど間を置かずして、安倍晋三が政権を投げ出したからだ。

 今回は独裁権力を恣にしている安倍晋三が政権を再び投げ出すことはまず考えられないが、稲田朋美が防衛大臣でいられる時期はそう長くはないかもしれない。それは安倍晋三がいつ衆議院を解散するかにかかっている。

 違憲の疑いが濃厚な「7条解散」だが、もうすっかり総理大臣の伝家の宝刀とみなす慣例が続いているから、現在の安倍晋三の最大の関心事は、いつこの「切り札」を切るかということに尽きるといえる。

 私は安倍晋三とは基本的に日本国民の生活には何の関心もなく、母方の祖父・岸信介がなしとげることのできなかった「憲法改正」を自らの手で行うことを唯一の目的とする政治家であるとみなしている。例の安倍政権の経済政策も、安倍にとっては改憲のための手段に過ぎない。

 だが、安倍は明文改憲を行う前に9条の解釈改憲をやってしまった。アメリカにせっつかれて自衛隊を海外に派遣するケースもそのうち出てくるかもしれない。

 とはいえ、アメリカも秋に大統領選挙を控えている。ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプの戦いは、少し前までは勝負にならずクリントンの圧勝だろうと思われていたが、アメリカでも「クリントンが大統領になるくらいならトランプの方がマシだ」という、小池百合子に投票した日本の一部「リベラル」にも似たバーニー・サンダース支持者のような人間が少なからずいるせいもあって、クリントンとトランプのどちらが勝つかは全く予断を許さない情勢になっている。アメリカがいつ自衛隊を自らの戦争に巻き込もうとするかはわからないが、しばらくはその機会はないと安倍晋三はみているのではないか。

 つまり、安倍晋三はそう長く稲田朋美を防衛大臣にとどめておくつもりはないかもしれない。今回の防衛大臣抜擢は、安倍がお気に入りである稲田の経歴にハクをつけるための人事であるように思われる。

 いつもの安倍晋三の行動パターンからいえば、汚れ役には安倍自身の思想信条とは比較的距離のある人物にやらせることが多い。想像したくもないが、第4次安倍内閣が発足する時には、そういう人物を改めて防衛大臣に据えるのではないか。そして稲田朋美には、大臣としては比較的重んじられない防衛大臣よりも、もっとランクが上とされているポストを割り振るのではないかと私は邪推する。

 今年衆参同日選挙を見送ったのだから、しばらくは衆議院の解散はないというのが普通の味方だろうが、参院選の直後に行われた東京都知事選は、「野党共闘」に亀裂を入れる結果に終わった。野党統一候補の鳥越俊太郎の得票は、小池百合子の半分にも満たない大惨敗だった。

 「野党共闘」は今後どうなるかわからない。民進党次期代表就任確実と見られる蓮舫は、党内右派にも左派にもいい顔をしようとしているように見受けられ、その蓮舫が現実に代表になった時、「野党共闘」をどうするのかは不透明になっている。

 一部からは、民進党は何も共産党から票を流してもらわなくとも、おおさか維新の会から票を流してもらえば良いのだから、「野党共闘」を続ける理由など何もないという声もある。

 確かに民進党にとってはその通りかもしれないが、お維にとっては違う。お維は、主に大阪や兵庫において、一時は民主党(当時)に流れながら、民主党に飽き足らなくなったり民主党政権に失望した人たちの心をつかんで成長した政党だ。民主党を叩くことによって大阪の人たちの拍手喝采を受けるというのがお維の行動パターンになっている。

 そんなお維にとって、民進党に票を流す行為は、それまでのお維の行動に矛盾するものであり、そんなことをしたら支持者が怒り狂って票を大量に失ってしまう。民進党に票を流すことはお維にとって自殺行為に当たるから、そんなことは絶対にできないのだ。

 だから民進党はお維とは組めない。しかし民進党自身、単独では議席の獲得が難しくなっている、だから共産党、社民党、生活の党と山本太郎となかまたちの3党と組んで「野党共闘」を続けるしか選択肢はない。特に民進党代表なんかになった日には、そういう政治の現実に制約されて、代表のとり得る選択肢はごく限られてしまう。

 もちろんこの状態には、民進右派はフラストレーションを溜め込んでいる。私は、「野党共闘」の解消よりも民進党の分裂の方が起きる確率が高いと考えている。これは、自らも野田佳彦という右派政治家の派閥に属していながら今後民進党をまとめていかなければならない立場の蓮舫にとっては不都合な事態だ。右派グループに出て行かれてしまっては、「民進党を分裂させた政治家」という負の実績が残るだけになってしまう。

 蓮舫が民進党内のあらゆるグループにいい顔をしようとするのは、上記の党内事情によるものであろう。仮に私が蓮舫の立場にいたとしても、同じ行動をとるのではないかと思われる。だからといって蓮舫が私の好まない政治家であることには変わりはないが、ここで言いたいのは、蓮舫の行動には合理性があるということだ。

 いずれにせよ、安倍晋三は蓮舫が代表になったあと、民進党が「野党共闘」をどうするかを見極めつつ、仮に「野党共闘」の継続の方向が固まった場合は、野党統一候補の選定などの準備が整い切らないうちに早めに解散カードを切るものと思われる。

 これが普通の政治家であれば、衆参同日選挙を見送ったなら年内解散はないと考えられるが、あいにく安倍晋三は全く普通ではない異常な政治家である。だから、いついかなる時に解散カードを切ってくるかは全くわからない。常に警戒を怠ってはならないだろう。
 昨日(7/31)投開票の東京都知事選は、「有力3候補の激戦」どころか、極右・新自由主義者である小池百合子の圧勝に終わった。小池は300万票近い票を得て、得票率でも44.5%のぶっちぎりだった。自公の推薦を受けた増田寛也は小池の6割強の180万票弱と大きく引き離され、民進・共産・社民・生活の野党4党の推薦を受けた鳥越俊太郎に至っては、小池の半分にも満たない130万台半ばの票しか得られず惨敗した。

 東京都知事選は、大阪府知事選や大阪市長選、名古屋市長選などともに、毎回ろくでもない結果に終わる「鬼門」ともいうべき選挙だが、今回は特に反自公の野党陣営に大きな課題を残した。

 その課題は、第一に野党共闘」の候補である鳥越俊太郎が政策と「絶対に勝つ」という執念の両面で物足りない候補だったこと。第二に鳥越氏を連合が推さず、民進党右派も応援に消極的だったこと。第三に、当初立候補を予定していた宇都宮健児を下りてもらって鳥越俊太郎を「野党共闘」の統一候補として一本化する際に大きなしこりを残したこと。

 第一の点に関して、鳥越氏は安保法案反対のアピールなどは別として、毎日新聞やサンデー毎日の記者・サンデー毎日編集長時代を通じて、あまり印象に残る仕事が思い浮かばないことが当初からずっと気になっていた。「文春砲」とやらがブチ上げたスキャンダルよりも、それをもっとも懸念した。印象の乏しい鳥越氏の仕事の中でまず思い浮かぶのが、サンデー毎日編集長時代の1989年に同誌が取り上げた宇野宗佑首相(当時)の女性問題のスキャンダルだったことは何とも皮肉だ。

 1989年当時、消費税導入をもくろんだ自民党は参院選を控えてたいへんな逆風を受けていたが、宇野首相のスキャンダルは自民の劣勢に追い討ちをかけたものだった。逆に、安倍晋三という極右政治家を総理総裁に戴く今の自民党は強い順風を背に受けていて、「野党共闘」がやっと統一候補を出してきても、今回のように文春砲で簡単に蹴散らせることができる。

 正直言って、私は鳥越氏が宇野宗佑のスキャンダルを大々的に書き立てた1989年当時から、ああいうことを問題にし過ぎるのはどうかと思っていた。今だったら、最近再評価が進んでいる(私はその再評価はやや過剰だと思う)田中角栄なんか総理大臣になれはしないだろう。金脈人脈の問題以前に女性スキャンダルで潰されるに決まっている。

 今回、私が鳥越氏のスキャンダルに関心が至って薄かったことは上記の理由による。週刊文春は立ち読みもしなかったものだから、前回の記事では鳥越氏のスキャンダルが「半世紀前」のものだという一部ネットの風評を鵜呑みにしてしまい、誤りを書いてしまった。これについては、鍵コメを含めてお二方から指摘があったが、感謝したい。お礼を申し上げる。

 「野党共闘」の側からすれば、参院選で1人区11勝21敗という、大手マスメディアの世論調査に即していえば「上限」の議席数を獲得し、得票も民進と共産がそれぞれ単独候補を立てた直近の選挙における両党の得票合計を上回る票を統一候補が得たから、そのことによってやっとこさ都知事選でも統一候補を立てる目処が立ったが、そこから都知事選の告示まではほとんど日がなかった。そんな状況で、民進党と共産党がともに推せる候補としてなんとか選んだのが鳥越俊太郎だったというのが実情だろう。

 鳥越俊太郎の側からすると、「火中の栗を拾う」意識でもあったのかもしれない。いずれにせよ、今回は統一候補を立てるだけで精いっぱいだったという印象だ。もちろん、今回の候補者の選定には問題があるし、今回のようなやり方では勝ち目がないことは選挙結果に示された通りだ。次からは入念な準備が必要であることは間違いない。だが、「入念な準備」も何も、民進党右派にして民進党東京都連会長の松原仁が、参院選の選挙戦中に都知事選で増田寛也を推す可能性を言及するなどのありさまだった。参院選の一人区が11勝21敗ではなく例えば7勝25敗だったなら、民進党代表の岡田克也や幹事長の枝野幸男は、自公と相乗りして増田寛也を推したい松原仁ら右派の声を抑えることができなかった可能性が高い。

 事実、松原は都知事選の結果を受けて直ちに岡田克也を批判するコメントを出している。産経が報じる松原のコメントを見ると、「4党の結集が実現されれば、当初から勝利することができるだろうと思っていた。十分結集できなかったことが大変残念だ」などと、自らは自公に相乗りしようとしたことを棚に上げて白々しいことを言うその舌の根も乾かぬうちに

敗北の責任は(略)「岡田氏にあるとは明快には申し上げないが、少なくとも都連とは違う流れで(野党統一候補が)決まった」と述べ、岡田氏に責任の一端があることを示唆した。

などという恥ずべきコメントを発した。

 この松原のコメントを見ると、ああ、だから岡田克也は都知事選投開票日の前日に、9月の代表選に出馬しないと言明したのだな、と納得できる。民進党中間派の岡田克也は、松原仁・長島昭久・細野豪志・馬淵澄夫ら右派の推す候補を代表にしたくないのだ。だからフライングして都知事選の投開票日前日に先手を打った。鳥越俊太郎はそれ以前に決定的なダメージを受けていたので、岡田克也の辞意表明が選挙結果に与えた影響は無視できるほど小さいだろう。それよりも、連合が自主投票するなど、「野党共闘」の「右側」が機能しなかった影響が大きかった。

 以上、いつの間にか「第二の問題点」に話が移っていたが、以上を「野党共闘」の「右側」の問題とすると、宇都宮健児支持層の投票行動の問題は「野党共闘」の「左側」の問題ということになる。より深刻だと私が思うのはこちらだ。

 今秋大統領選挙を迎えるアメリカで、民主党のバーニー・サンダースの支持者の中に「ヒラリー・クリントンなんかには投票しない。ヒラリーとトランプとの二者択一ならトランプを選ぶ」と公言する人たちが少なくないことが話題になっている。おかげで少し前まではクリントンの楽勝とみられていた大統領選挙の行方は全くわからなくなっており、トランプが大統領に選ばれる可能性は無視できないほど大きくなってきた。日本でもこの件に関して、クリントンよりもトランプを待望する声が一部「リベラル」の間からも上がっている。

 「鳥越に投票するくらいなら小池に投票する」とネットで公言していた者については、私も鳥越俊太郎の野党統一候補擁立決定及び宇都宮健児の立候補取り下げの直後から、実例をいくつも目にしてきた。

 一口で「宇都宮支持層」といっても内訳は実に多様で、2012年と14年の都知事選で熱心に宇都宮市を支援してきた人たちもいるけれども、14年の都知事選では細川護煕を応援していた「小沢信者」もおり(その代表格が天木直人)、かと思えばTwitterで反小沢一郎に血道を上げる人たちの存在も確認している。

 小沢一郎が実権を握る「生活の党と山本太郎となかまたち」が鳥越俊太郎を推しているのに宇都宮氏の支持層に小池百合子への投票を焚きつけた天木直人らの行動は、「大嫌いな共産党と小沢氏を追い落とした岡田・枝野の民進党が『野合』した野党統一候補の鳥越なんか我慢ならない」というルサンチマンにもとづく醜悪この上ないものだったし、一部の「反小沢」が宇都宮氏に肩入れしたのは、単純に小沢一郎や山本太郎らが鳥越陣営にいたからだろう。

 そして、「鳥越ではなく小池」に投票した宇都宮支持層の多くは、テレビのワイドショーの煽動に乗る人たちだったと思う。それでなくても日本には、都市部・地方を問わず「バスに取り残されるな」式の思考様式、昔本多勝一が「メダカ民族」と評した行動様式をとる人たちが実に多い。田舎では地縁が強いからそれは有力者の意見に付き従う行動様式として表れる。参院選の1人区で、特に東北で自民党が苦戦した理由は、安倍政権の政策、特に農業関係の政策が、地域の有力者たちの心を離反させたことに原因があると見るべきだろう。

 一方、地縁の弱い都市部では、マスメディア、とりわけテレビの影響力が圧倒的に大きい。舛添要一が都知事の座を追われたのも、ワイドショーにこれでもかこれでもかと叩かれたせいだし、鳥越俊太郎が惨敗したのも同じ理由による。今回の小池百合子の得票が、得票数だけを見れば2003年の東京都知事選で石原慎太郎が得た300万強の票に迫るものだった(但し、投票率が全然違うので得票率では2003年の石原の方がずっと多かった)ことは、テレビのワイドショーがもたらすバンドワゴン効果がいかに強烈かを示すものだろう。

 しかしそんなのはわかり切ったことだ。私が本当に問題だと思うのは、自陣の支持者にそのような行動に走らせてしまった宇都宮選対の責任だ。この宇都宮選対は、2014年の都知事選で澤藤統一郎弁護士の告発と強い批判を受けた。それに理があると考えた私は、前回の都知事選では白票を投じたのだった。政策面等からいえば前回は候補者の名前を書くなら宇都宮健児しかなかったが、その選対の体質(及びそれに易々と乗っかってしまう宇都宮氏自身の問題)を忌避して白票を投じた。

 今回、宇都宮氏支持層の一部を小池支持に走らせた原因に、宇都宮陣営内に民主主義が欠落していたからではないかと思われる。だから陣営や支持者たちの間でろくろく議論が行われることもなく、支持層の一部が天木直人のような悪質な煽動者の煽動に易々と乗ってしまった。そして、陣営の指導者たちもそのような動きの危険性を察知するのが著しく遅れた。その動きは、告示前からすでに見られたというのに。つまり、宇都宮選対の指導者たちの資質こそ、今回の都知事選においてもっとも厳しく批判される必要がある、というのが私の結論だ。

 こうして問題ずくめの東京都知事選は、最悪の結果を迎えてしまったのだった。