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きまぐれな日々

 8月に入った。例年政治のニュースも夏休みに入り、原爆忌(6日, 9日)と終戦記念日(15日)がクローズアップされる月だが、遅れてきた「冷戦思考」の政治家ともいえる安倍晋三にとっては、これからが勝負どころであろう。もちろん安倍が狙っているのは政権の長期化であり、9月には確実に行われる内閣改造と、安倍が「切り札」と考えているらしい北朝鮮訪問、それに衆議院解散という本物の切り札の3点を巡って、これから政局が賑やかになる。今月は、それらを前にした「嵐の前の静けさ」の月になろうか。

 最近感じるのは、ようやく潮目が変わり、「安倍晋三独裁」にかげりが見られることだ。その主な理由は日本経済の変調である。集団的自衛権の政府解釈変更の強引さもあげられるかもしれないが、残念ながら外交・安全保障のタカ派姿勢は大きく内閣支持率を押し下げるには至らないのが最近の「民意」だ。経済の状況の方が影響は大きい。第1次安倍内閣があっけなくぽしゃったのは、経済問題そっちのけで改憲一本槍に走っていたところに「消えた年金」問題の直撃を受けたためだった。

 これに対し、第2次安倍内閣の支持率がこれまで好調を保っていたのは(デフレをこよなく愛する一部の「リベラル」や「左派」にはご不満かもしれないが)例の安倍の名を冠した経済政策のうち、金融緩和とリフレの効果が出て雇用が改善されたためだった。それが、ここにきての変調をきたしつつあるのは、1つには消費税率の引き上げの悪影響があるだろう。これは昨年秋に安倍晋三自身が決断したことだったから、安倍の責任は免れないのである。

 これに加えて、いつまで経っても悪いニュースが出てくる東電原発事故の影響が、原発再稼働を急ぐ安倍政権にボディーブローのように効いている。さらに、人々の強い関心を集めた理研の「STAP細胞」など実は存在せず、小保方晴子による悪質極まりない研究不正であった(さらに大科学者・笹井芳樹が研究不正に加担した)ことがほぼ確実になりながら、文科相の下村博文が妙に小保方晴子氏を庇い立てるという愚行を見て、政権に不信感を抱いた人も少なくなかろう。

 安倍政権の経済政策では、「成長戦略」がガンであろう。「成長分野」を国が支援するという発想は、新自由主義的政策を指向する方向性、私のように福祉国家的政策を指向する方向性のいずれとも相容れない。両派はともに、「成長分野は市場が決めるもの」と考えるのである。新自由主義派はその上で「小さな政府」を求めるし、福祉国家指向派は、政府の支出は市場原理と相容れない福祉や社会保障に使われるべきだと考える。安倍政権の経済政策はそのいずれでもない。政府が「成長戦略」を決めるという、傲慢な思想に基づいている。

 例の「STAP細胞」の件についていえば、理研CDBへの多額の税金投入や、提携する企業などはおそらく既に内定しており、そのように惰性で進んでいる計画を(官僚が)止めたくないことが、一見理解不能な下村博文の小保方晴子擁護の背景にあるのではないか。

 現在の安倍政権のように、政府が「成長分野」を決めるのは、戦後の復興期のような開発独裁的あるいは旧ソ連のような統制経済的な思想によるものであろう。いずれも岸信介的な方向性といえる。原発再稼働へ前のめりの姿勢や、武器輸出三原則撤廃による軍需産業への肩入れなどに、安倍政権の性格がよく表れている。

 反面、安倍政権は労働政策においては新自由主義的性格を露骨に示す。派遣労働の規制緩和や残業時間の撤廃等の政策がそれだ。だが、これこそせっかく上がった平均賃金を思いっ切り引き下げる方向へと圧力をかける「トンデモ政策」である。

 いくら富裕層に金が回ったところで、トリクル効果など起きないことは既に明らかだ。だから、今後安倍政権の経済政策に明るい展望はない。

 ただ、北朝鮮訪問の「サプライズ」がもしあれば、政権の支持率が上向いたところで安倍晋三が解散に打って出る可能性がある。その場合、自民党の圧勝と第3次安倍内閣の発足はほぼ不可避であるとともに、日本が破局を迎える可能性がきわめて高くなる。

 この事態だけは何としても避けたいところである。
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