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きまぐれな日々

安倍晋三は11日間の夏休みに入った。8月15日の終戦(敗戦)記念日に安倍が靖国神社を参拝することはまずないだろう。その代わりに稲田朋美だの高市早苗だののおばさま方やらその他の閣僚やら自民党やら維新の怪やら民主党やらの有象無象というか魑魅魍魎というか怪しげな人間どもが靖国神社を参拝するのであろう。

安倍晋三は今年靖国に参拝しなければもう首相在任中の終戦記念日に靖国に参拝できる機会は二度とめぐってこないのではないかと思っている。それは、現在「安倍総理黄金の3年」などと言われている3年間を安倍晋三が大過なく過ごせるとは全く想像できないからだ。

先の参院選の選挙戦のほんの短い間だけでも、安倍内閣はずいぶん支持率を落として、20議席以上獲得できるとみられていた比例代表の議席は18にとどまった。これには安倍晋三のじきじきの要請によってワタミ(渡邉美樹)が参院選比例区の候補に立てられたことと関連づけらるだろう。

今後の安倍政権に黒い影を落とすだろうと私が予想しているのは、労働問題と原発問題である。第2次安倍内閣発足から8か月目に入り、参院選も難なく圧勝で乗り切ったが、経済政策に効果が出るかは未知数だ。

12日に4〜6月期のGDP一時速報値が発表され、年率2.6%の増加で3四半期連続のプラス成長だと言っていたが、速報値は予測を下回り、当日の日経平均株価は下がった。設備投資は依然として6四半期連続のマイナスで、GDPデフレーターも「下げ幅を改善した」というもののマイナスだった。

少し前に、マスコミが消費者物価(コアCPI)が上昇に転じたと喜んでいたが、新聞記事に載っていたグラフを一瞥して、上がったのは主に円安によるエネルギー価格上昇の影響だとわかった。実際、この影響を除いたコアコアCPIと呼ばれる指数で見るとまだまだ下がっている。つまりまだデフレを脱却できていない。エコノミストと呼ばれる人たちは、コアコアCPIも年内には上昇に転じる見通しと言っているが、本当にそうなるかどうかはまだわからない。

国の中央最低賃金審議会は先日(6日)、今年度の地域別最低賃金をまとめ、これによると最低賃金が3年ぶりに2桁引き上げられることになった。結構な話である。しかし、安倍政権成立後、まだ実際に労働者の賃金が上がったといえる状況ではない。実際に賃金が上がるかどうかは来年の春頃にならなければわからないだろう。そしてその時期に待ち構えているのが消費税の増税である。早くも、消費税が増税されれば賃上げはしないぞと労働者を脅している経営者もいる。消費税を予定通り来年4月に引き上げるかどうかは、安倍政権の命運を左右する事項になるだろう。

以上は一般的な話だが、安倍晋三の政策で明らかに誤りなのは、生活保護の水準切り下げなどに典型的に見られる政府支出の切り下げを図っていることだ。私の見るところ、世のリフレ論者を粗っぽく分類すると、金融政策さえしっかりやっておけば財政出動は削減できるとする論者と、金融政策と財政政策の適切な組み合わせが必要だとする論者とがいるが、後者はさらに財政支出においてどの分野に重点を置くかで分かれる。自民党の政策は、公共事業に偏重した形での「金融政策と財政政策の組み合わせ」を目指したものといえるだろう。

私は、自民党の財政政策が「国土強靱化」に偏重して、生活保護の水準切り下げに端的に表れているような福祉・社会保障切り捨てを目指していることが最大の問題だと思う。安倍政権の経済政策に対する批判はこの点に集中させるべきだと以前からずっと主張しているのだが、どういうわけか左翼政党や民主党リベラル派(や生活の党w)はまず安倍政権の金融政策への批判から入りたがる傾向が強く、この点に強い不満を持っている。そこを議論しても「神学論争」にしかならないと思っているからだ。しかし左翼政党や民主党リベラル派や生活の党は、金融緩和やインフレターゲットの批判から入りたがる。これは、安倍政権の「福祉・社会保障切り捨て」批判を自ら論点からそらす愚行だと私は考えている。なお、金融緩和やインフレターゲットを嫌う点では朝日新聞や毎日新聞も同じだが、朝日や毎日は財政再建と消費税増税への指向が強く、「経済極右」とでもいうべき論陣を張っている(呆)。

このような野党やマスコミの愚策やら堕落やらに助けられて、安倍政権の経済政策が世論に「信認」されているかのような様相を呈しているが、私は世評とは大いに違って、安倍政権の最大の泣きどころは経済問題だと考えている。安倍晋三は経済政策でポイントを稼いで、本丸の改憲へと突っ込みたいものとみられるが、経済政策への批判が改憲をも阻むのではないかと予想する次第である。

原発問題でも、参院選後すぐに報道されて今も世論の強い批判を浴びている東電の福島第一原発の汚染水垂れ流しの問題がある。そもそもの最初の東電原発事故が起きた早々に核燃料がメルトスルーしてしまっていて、放射性物質は以後ずっと垂れ流し状態だったのではないかと私は疑っている。

どうみても破綻している原発に惰性で頼ろうとする経産省や経団連などに安倍政権が迎合して、原発再稼働・推進政策を続けようとしていることも、今後政権支持率を下げて政権を不安定にする要因になると見ているが、長くなったのでこの点は尻切れトンボにしてひとまず記事を終わらせることにする。
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