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きまぐれな日々

はじめに、反応が遅くなってしまって申し訳ないが、前回の記事「ナベツネは単なるワンマンマン、橋下徹の方が1万倍危険だ」に、ブログ『【堺からのアピール】教育基本条例案を撤回せよ』を運営されている「堺からのアピール」事務局・前田純一さんから下記のコメントをいただいている。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1246.html#comment14056

橋下が渡邊への反論に逡巡した後の呟きの弱さを鋭くついて、巷のどっちもどっちを批判されて、私も目を開かされました。多くの方々にも読んでいただきたく、弊blogに貴blog名、URL明記で全文を転載させていただくことはできないでしょうか? ぜひよろしくご検討頂ければ幸甚です。もしご承諾頂けるようでしたら、誠に厚かましいお願いですが、メールでご一報頂けると嬉しいです。


コメントどうもありがとうございます。過分なご評価をいただき恐縮です。せっかくコメントをいただきながら、返答が遅れた上、メールでの回答でなくて申し訳ありませんが、この記事に限らず、当ブログの記事は引用元(ブログ名またはURLの少なくとも一方)さえ明記していただければ転載は自由です。TBまたはコメントをいただければ助かりますが、必要条件ではありません(TBは送ろうとしても通らないことがしばしばありますし)。また、まことに勝手ながら当方のPC環境の都合上、電子メールのやり取りはあまり行っておりませんので、この点につきましてはご了承ください。mixiのメッセージであれば迅速なやり取りが可能かと思います。橋下徹に "No" を突きつける、『堺からのアピール』様の今後のご健闘を期待し、応援いたします。

さて、前回に引き続いて今回も橋下批判をメインに据えた記事を書く。まず現在橋下が「ウリ」の一つにしている「脱原発」関連の話題から。

原発再稼働の件で、民主党は執行部(主流派)が原発再稼働に前のめりで、消費税増税などでは執行部との対決姿勢を鮮明にする小沢一郎も、24日にTBS系で放送された『報道特集』のインタビューで原発再稼働を事実上認める発言を行なった。『kojitakenの日記』の昨日(25日)付エントリ「小沢一郎、またも橋下徹を称賛」のコメント欄でpuyonyanさんに教えていただいたのだが、下記のようなTweetが流れている。
https://twitter.com/#!/torrecolombaia/status/183497105409708032

小沢一郎氏が今日のTBSで「必要最低限の原発はすぐには止められないと思います」と発言。これはどう贔屓目に見ても原発再稼働容認発言ですが、小沢氏支持者の貴方は小沢事務所に抗議するつもりはありますか?真面目に聞いてみたくなりました。

2012年3月24日 - 19:14 webから


同じインタビューで、小沢は例によって橋下徹に「共感する」だの「民主党のお株を奪われた」だのとゴマをすっているのだが、その橋下が原発再稼働に前のめりの民主党「野ダメ」(野田佳彦)政権に対して「原発を焦点にして解散総選挙を行なえ」と挑発しているのに対し、小沢は消費税についてはしきりに野田政権を牽制するのに原発再稼働については何も言わない。これでは民主党全体が原発推進ないし維持政党であるとしか言いようがない。思い出してみれば、「原発」が争点の一つになると思われた昨年の民主党政権は、小沢派がゴリゴリの原発推進派である海江田万里を推したために、同様に原発推進派である野田佳彦との対決となって「原発」が争点から外れてしまった。野田ら執行部ともども、小沢一郎の罪はきわめて重い。

そんな「ダメ小沢」にも助けられて橋下徹の人気がますます高まってしまう。これは、民主党からも自民党からも、河野太郎のようなごく一部の例外を除いて「脱原発」派の政治家が全然現れないせいでもあり、「保守で『脱原発』」というおいしいスタンスを橋下や「みんなの党」が占めるという構図になっている。前回にも書いたように、橋下の「掌返し」はまさにこの男の十八番だから、「脱原発」も怪しげなポピュリスト頼り、この男の気まぐれによって一瞬にして吹き飛びかねないという情けないありさまになっている。

原発についてはこのくらいにして、後半では橋下の経済政策をめぐる議論の話をしたい。前回の記事のコメント欄に杉山真大さんから下記のご意見をいただいている。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1246.html#comment14049

(前略)suterakuso氏に
>>どうやら左翼の人たちにも資産課税や相続税があまり人気がなさそうなのは、橋下氏の逆で、どこまでも優しく、情があるから、なかなか思い切ったことができないのかな?と感じます。

資産課税や相続税の増税は、寧ろ左派や革新側が主張してきたことですよ。そうじゃないと出自の時点で「機会不平等」になるのですから。
というのか、こうしたのに激しく反発するのはどちらかというと「リベサヨ」なんじゃないかと。政府が検討している相続税の増税案でさえ大概のマイホーム家族には関係無いのに、週刊誌の煽り的な報道に載せられて「自分の稼いだ財産を分捕られる!」って脊髄反射しているのでは。


この記事を書いている時点で、「資産課税」という検索語でGoogle検索を行なうと、筆頭に引っかかるのは当ブログの記事だ。だから橋下が「資産課税」を言い出した時、この言葉を検索語とした当ブログへのアクセス数が増えた。

私は所得税の累進性再強化や分離課税の廃止などを主張しているけれども、所得格差の他にというよりそれ以上に、資産格差の問題がどうしようもなく大きいことは否定できないと思う。バブル期の地価高騰は記憶に新しいが、それ以前に70年代前半、田中角栄の日本列島改造論の時代にもすさまじい地価高騰があった。これらの時代にうまく土地転がしなどをやった人間などが「土豪」となって、「頑張ったものが報われる」レベルをはるかに超えた不当なアドバンテージを得た。その結果、「出自の時点で『機会不平等』になる」現状が生み出された。この格差は絶対に解消する必要があると私は考えている。だから、「資産課税」や「相続税増税」の文字を見ただけで激しく反発する左派、というのは「リベサヨ」と言われても仕方ないだろう。但し、橋下ら「維新の会」の主張は税金のかけ方がいささか極端であり、課税は「土豪」を主たるターゲットにしたものにとどめるべきだろう。

それ以上に問題なのは、橋下の場合、一方で格差解消にもつながることを言いながら、他方で格差拡大を推進することをやろうとすることだ。3月5日付の記事「謀略を平然と仕掛ける究極の新自由主義者・橋下徹の恐怖」でも言及した「所得税の累進税率を止めてフラットタックスを導入する」税制もその一つだ。橋下のこの主張は、ベーシックインカムと合わせると、ミルトン・フリードマンの「負の所得税」のようなものを実施しようとするものだ。大前研一の影響も受けているに違いない。所得税の累進制をなくす一方で資産課税や相続税は思いっきり重くするというのは橋下の経歴を考えれば理解できる。橋下は苛酷きわまりない逆境から這い上がった人間であり、社会に対する復讐という動機が強く考えられる。だから、万人はみな俺のように野獣のごとく戦え。橋下はそう言っているのである。

橋下は「選挙では国民に大きな方向性を示して訴える。ある種の白紙委任なんですよ」(2月12日付の朝日新聞のインタビュー)と語っている。そんな橋下を支持すると、結局どの格差を解消し、どの格差を拡大するかは、橋下という独裁者の裁量に委ねられることになる。だからこそ橋下は危険なのである。

もしこの世の人間がすべて橋下徹みたいだったら、凄惨な世界になるだろうなと思う。そのうち殺人だって合法化されるのではなかろうか。「殺された人間は自己責任」というわけだ。いや実際つい数年前の日本にもそういう極論がまかり通っていた時代があった。小泉純一郎政権の特に中期、2003年や2004年頃である。あの頃、「自己責任」という言葉がネットでもブームになった。それからもう8年ほどにもなるから、その後「自己責任論」が批判を浴び、格差や貧困に焦点を当てたNHKの番組「ワーキングプア」(2006~07年)が反響を呼び、その流れを取り入れた小沢一郎が「国民の生活が第一。」というスローガンで民主党を躍進させた。

だがそれは一過性の流行に過ぎなかった。小沢一郎は現在では「民主党は橋下市長にお株を奪われた」と繰り返し橋下を称賛しているが、橋下の政策のどこに「生活第一」の思想などあるのだろうか。小沢一郎は今から20年前には新自由主義を高らかに掲げる「新保守」の政治家として、「古い自民党」が支配する政治を打破すると言っていた。小沢のようなその時々のトレンドに乗ってコロコロと主張を変える無節操な政治家や、それを支持してきた国民が橋下のようなモンスターを生み出す一因になった。

それ以上に罪深いのはテレビである。橋下は暴力団とのつながりの深い島田紳助にすり寄り、右翼番組を制作する読売テレビ、辛坊治郎、やしきたかじんらにすり寄って、番組では核武装論を公言したり光市母子殺害事件の弁護団懲戒請求を煽るなどして大衆的人気をかち得た。いわばテレビが生み出したモンスターである。辺見庸は橋下を「テレビがひり出した糞」と評したが、これ以上的確な橋下の形容はあるまい。

その「糞」を崇め奉る多くの日本人。「橋下信者」の広がりは「小沢信者」どころではない。国民の多数がカルト宗教にかぶれているといえる現状に背筋が凍る日々が続いている。
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昨日(3月18日)最終回を迎えたTBS系のテレビドラマ『運命の人』は、山崎豊子の同名の小説を映像化したものだが、今から40年前の1972年に起きた「外務省機密漏洩事件」、通称「西山事件」を題材にとった異色の作品だった。視聴者からは「日曜夜のドラマとしては重い」との意見が多く、平均視聴率は約12%とふるわなかったが、東京(中日)新聞の社説や1面掲載コラムで言及されたり、国会で岡田克也が西山太吉氏に謝罪したり、「野ダメ」こと野田佳彦首相も遺憾の意を表するなど、一定の反響はあった。

手前味噌になるが、筆者が運営しているもう一つのブログ『kojitakenの日記』で、しばしばドラマの題材である「西山事件」を取り上げたところ、6週続けて日曜日と翌日の月曜日のアクセス数が1万件を超えた。特に3月4日には日曜日の21時台と22時台の2時間だけでアクセス数が1万件を超え、「不人気ドラマ」とはいえテレビの影響力の凄まじさに改めて舌を巻いた。

ところで、このドラマに登場した「読日新聞」記者の山辺一雄というキャラクターは、読売新聞会長・主筆の渡邉恒雄(ナベツネ)をモデルとしている。ドラマでは山辺が主人公の毎朝新聞記者・弓成亮太(西山太吉氏がモデル)を救うべく活躍したが、誇張されており「山辺一雄」は過度に美化されていた。最初のうちは山辺が自由党(自民党がモデル)の大物政治家・田淵角造(田中角栄がモデル)にたかるなど悪役として描かれ、ナベツネが週刊誌に「怒りの寄稿」をしたとしてスポーツ紙などの話題になったが、ナベツネの「寄稿」が載った週刊誌というのが『サンデー毎日』(2012年2月19日号)であることや、その「寄稿」が載った次の週あたりからナベツネ、もとい山辺が一転して「善玉」として異様なまでに美化されて描かれていたこと、そしてナベツネが「寄稿」した頃にはドラマの収録は最終回を除いて既に終わっていたことを考え合わせると、ナベツネと『サンデー毎日』の共謀による手の込んだ「番宣」ではなかったかと私は疑っている。とはいえ、ナベツネが西山元記者の弁護に骨を折ったことは歴史的事実ではある。

そのナベツネが大阪市長の橋下徹を月刊誌『文藝春秋』4月号でナベツネが痛烈に批判した件が話題になっている。「日本をギリシアにせぬために 大新聞『船中八策』競作」という問題含みのタイトルのついた特集に、ナベツネは「日本を蝕む大衆迎合政治」と題した文章を寄稿している。

ナベツネの主張だが、読売新聞の社説などから想像がつくように消費税増税を強く求め、「野ダメ」(野田佳彦)内閣を支持しているが、それに加えて、相続税を免除する代わりに利子をゼロもしくはマイナスにする「無利子非課税国際」の導入を提唱しているあたりは目を引く。ナベツネは、この政策は亀井静香(国民新党)、海江田万里(民主党)、田中康夫(新党日本)らも賛同していると書いて威張っているが、これらの政治家は消費税増税には賛成していないのではないか。

で、ナベツネの橋下批判だが、「橋下徹はヒトラーになるのか」との見出しがついている。

橋下の「船中八策」に掲げられた個々の政策については、ナベツネはTPP推進や改憲の発議要件緩和には賛成だが地方分権や教育改革には反対と是々非々の態度をとっている。だが、ナベツネの「寄稿」の核心は下記の部分だ。以下『文藝春秋』より引用する。

 だが、私が橋下氏についてもっとも危惧するのは個々の政策よりも、下記のような発言だ。

「選挙では国民に大きな方向性を示して訴える。ある種の白紙委任なんですよ」(「朝日新聞」2月12日付)

 この発言から、私が想起するのは、アドルフ・ヒトラーである。第一次世界大戦の敗戦により、莫大な賠償金を課せられ、国民の間に既成政党への不満と閉塞感が渦巻いていたドイツに、忽然と登場したヒトラーは、首相になった途端「全権委任法」を成立させ、これがファシズムの元凶となった。橋下氏の「白紙委任」という言葉が失言ではないのだとすれば、これは非常に危険な兆候だと思う。この点は、はっきりと彼に説明を請うべきだろう。

 橋下氏を見ていると、もともとがテレビ番組で名前を売った人だけに、テレビの使い方が非常に巧みで、テレビで編集しやすい印象的なワンフレーズで「抵抗勢力」を攻撃する手法は、小泉純一郎元首相を彷彿とさせる。

 現在の日本の政治におけるパワーの源泉となっているのは間違いなくテレビ、それからツイッターやフェイスブックという電子メディアである。これらに共通するのは、いずれも情報が断片的かつ瞬間的であるということだ。

 いわゆるワンフレーズポリティクスにはうってつけの環境だが、同時に非常に危険な状態でもある。その瞬間、瞬間で大衆の心を捉えるワンフレーズを言えば、すべてのメディアがそれで塗りつぶされ、次の瞬間には忘れ去られて、個々の出来事の体系的な意味づけはなされない。

 国民が堕落しきった古代ローマ社会の世相を指す「パンとサーカス」という言葉があるが、残念ながら、今の日本の世相にも通じるものがある。本を読まなくなった若者は携帯端末の中に世界のすべてがあるかのように満足しきっている。

(渡邉恒雄「日本を蝕む大衆迎合政治」(『文藝春秋』2012年4月号)100-101頁)


ナベツネの寄稿の他の部分には賛同できないところが多いけれども、上記引用部分にはほぼ賛同できる。

ところで、『文藝春秋』4月号は今月10日に発売されたのだが、しばらくの間、橋下はナベツネによる自身への批判に反応しなかった。ところが、ネットで「ナベツネの橋下批判を橋下はスルーしている。チキンめ」と揶揄されるや(私もその一人である)、ようやく重い腰を上げてTwitterで反撃したのだった(下記URL)。
https://twitter.com/#!/t_ishin/status/181244848760823808

僕なんかね、制度で雁字搦めに縛られ、維新の会以外の多数会派とメディアの厳しいチェックも受けて、独裁なんてやりようがないですよ。所詮、ローカルの大阪市役所の所長ですしね。それに比べれば、渡辺氏の方が読売新聞社だけでなく政界も財界も野球界も牛耳る堂々たる独裁じゃないですかね!
(橋下徹のTwitter)


ナベツネの文章と橋下のTwitterを読み比べてみれば一目瞭然だが、全然反論になっていない。ナベツネは橋下の発言を捉えてヒトラーが成立させた法律との共通点を具体的に指摘しているが、橋下はナベツネが「独裁者だ」とただ叫んでいるだけで、具体性が何もない。

このナベツネと橋下のやりとりに関して、「お前が言うな」とか「両方独裁者でどっちもどっち」と評する声もあるけれども、とんでもない間違いである。上記引用部分に関してははっきりナベツネに理があり、橋下には理など全くない。

もっといえば、ナベツネはいしいひさいちの漫画で戯画化された「ワンマンマン」ではあるが、ファシストではない。それに対して橋下は正真正銘のファシストである。両者が同じに見える人ははっきり言ってどうかしていると思う。ナベツネと橋下のどちらが危険かといえば、橋下の方が1万倍危険だろう。石原慎太郎と比較しても橋下の方が100倍危険だと私は考えている。橋下のような人間に平然とすり寄る小沢一郎のごとき愚昧な政治家は、存在価値がもはや限りなくゼロに近づいたと言っても決して過言ではない。

橋下のふざけた態度の例が、痛烈な橋下批判で評判の秋原葉月さんのブログ『Afternoon Cafe』の最新エントリ「チキンその2・責任転嫁」に紹介されているので、以下に引用、紹介する。

1. 労組思想調査
橋下氏は「特別顧問は自分の身代り、顧問への協力拒否は僕への拒否だ」と市幹部に徹底。アンケートの全権限全責任は自分にあると明言し、自筆の署名まで入れておきながら

「アンケートは野村氏の判断です」

えっ・・・?


2. 9条改正
瓦礫を受け入れないのは憲法9条のせい、9条については日本人全体で決めるときに来ている。9条を国民投票に、とさんざん改憲を煽っている橋下氏。
9条改正の是非を船中八策に盛り込むかどうかと聞かれると

「 国に関わる問題であり、一政治集団が、ああだこうだと決めるわけではなく、国民に決めてもらう領域だ」

えっ・・・?

これ、
「9条改正は国民が選択した国民の意思なんだからね。維新の怪の責任じゃなくて国民の責任だから」
って逃げてますよね?


3. 口パク監視を責められるべきは誰?
君が代強制の張本人であり、歌わなかった教師を罵倒し放題の橋下氏。
口パク監視をしたオトモダチの中原校長を
「校長が教員の口元監視を式に影響しない方法で数秒確認し、後から本人が斉唱していなかったことを認めた一名のみを教育委員会に報告した。どこに非難される点があるのか。」
と庇い、

「非難されるとしたら君が代の起立斉唱を定めた条例とそれを命じた教育委員会だろう。批判の矛先を誤ってはならない。」http://goo.gl/2WuCu

ええっ・・・?
その条例ごり押ししたのはだれなのよ!?教育委員会に忖度させたのはだれなのよ!?

(『Afternoon Cafe』2012年3月18日付記事「チキンその2・責任転嫁」より)


似たような例はもっともっとある。沖縄の米軍基地移設問題に関して、関空を候補地として挙げておきながら、本当に待望論が聞こえてくるや神戸空港に押しつけて「知らぬ顔の半兵衛」を決め込んだ件だ。無責任と非難されようが橋下には何もこたえない。なぜなら、その時には次に大衆の気を引くネタに飛びついて刺激的なことを言い、人々はそれに気を取られて橋下が「無責任」さを指摘された件など頭からすっ飛んでしまうからだ。かくして権力者が何をやらかしても不問に付される。これほど危険なことがあるだろうか。

橋下なら、同じようなことを「脱原発」でもやるかもしれない。ギリギリまで人気取りのために「脱原発」を引っ張っておいて、いきなり手を離して知らん顔をするのである。その時、飯田哲也氏らは果たしてどんな反応をするだろうか。

「橋下の(米軍基地問題や)原発問題に関する姿勢は評価できる。だから脱原発で頑張る橋下市長を応援しよう」とか、「橋下市長は石原慎太郎や『日本会議』系の政治家と違って、根っからの『超保守』じゃない」とか、「小沢派が橋下市長と組めばアブナさは100分の1に減じられる」などなど、極楽トンボとしか言いようのない「リベラル派」ないし「左派」が少なくないことに私は危機感を募らせている。

一体何言ってんだ、橋下徹ほど危険な政治家は他にいないじゃないかと声を大にして言いたい。
昨日(3月11日)で東日本大震災と東電原発事故からまる1年が経過した。

昨日は日曜日だったが、大震災は金曜日の午後2時46分に起きた。だから先週の後半はあの日のことが思い出されてならなかった。

1周年が日曜日と重なったことでテレビは朝から特番を組んだし、脱原発デモも行なわれたが、私はテレビの特番は少ししか見なかったし、過去2度参加した脱原発デモにも出なかった。前者は昨年の大津波の様子はもう見たくなかったし、復興や東電原発事故に関する「エラい人」のコメントを聞きたくもなかった。後者は、特に3月11日という日に「脱原発デモ」に参加する必然性を感じなかった。もとより私は東電原発事故が起きる以前から「反原発派」だし、事故発生直後から東電を大々的に非難し、その時点においては「今はそんなことを言う時じゃない」と非難されたが、事故が起きたタイミングで批判せずしていったいいつ批判するんだと思ったものだ。その意見は今も変わらないし、事故についても一般に言われる「福島原発事故」という呼称ではなく、ましてや「フクイチ」なる符丁めいた略称でもなく、「東電原発事故」と表記することにしている。東京電力が引き起こした犯罪だという意味を込めているのである。

だが、その一方で火山学者・早川由紀夫の福島県民に対する暴言を批判できない一部の「脱原発」派に対して「何のための『脱原発』か」と感じるようになってきている。

何かが似ている。そう、「政権交代」を求めた当時の世論と同じだ。「手段」であるはずの政権交代が「目的」と化し、当時の野党第一党の指導者・小沢一郎を信奉する「小沢信者」と呼ばれる人たちが出現した。

現在、早川由紀夫を支持する人間と「小沢信者」はかなりの程度オーバーラップする。誤解を恐れずにいえば、「脱原発」運動は、彼らを十分に批判できていないという一点においてだけでも、かなりの程度危機的な状況にある。

それを尻目に、野田(「野ダメ」)政権やマスコミは「原発再稼働」に向けて必死だ。昨日(3月12日)の東京新聞記事(下記URL)から引用する。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012031202000027.html

「原発再稼働 先頭に立つ」 首相、自ら地元説得意向

 野田佳彦首相は十一日、東日本大震災から一年を受けて首相官邸で記者会見し、定期検査中の原発再稼働に関する地元への対応について「政府を挙げて説明し、理解を得る。私も先頭に立たなければならない」と述べ、再稼働を妥当と判断した場合、自ら地元の説得に乗り出す意向を表明した。

 首相は、再稼働を判断する手順について、まずは自身と藤村修官房長官、枝野幸男経済産業相、細野豪志原発事故担当相の四人が国の原子力安全委員会による安全評価(ストレステスト)の一次評価の妥当性を確認すると説明。「(原発再稼働の)安全性と地元の理解をどう進めるかを確認する」と述べた。

 政府は首相らが一次評価の妥当性を確認した後、地元の同意を得る方針を藤村氏が明らかにしている。関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)については、原子力安全委による一次評価の審査が大詰めを迎えている。

(東京新聞 2012年3月12日 朝刊)


最近の野田首相は、原発再稼働と消費税増税しか頭にないように見える。この2件さえ実現できればいつ辞任しても悔いはないとばかり思いつめているようにも見える。当然次の総選挙では民主党は壊滅的打撃を受けると思われるが、どうせ政界再編があるからそんなことはどうでも良いと思っているに違いない。「どうせ政界再編を仕掛けるから」と考えているのは小沢一郎も同様だろう。野田の場合は自民党との合流、小沢一郎の場合は野田首相や谷垣自民党総裁らに不満を抱く勢力との糾合をもくろんでいるものと思われるが、いずれも新自由主義勢力であり、私のとうてい支持できるところではない。

少し脱線するが、それならお前はどういう政権を望むのかと聞かれた場合は、「政治改革」によって保守二大政党制をでっち上げられてしまった現状、望ましい政権など思い浮かばないけれど、あえて挙げれば加藤紘一あたりを首班とする内閣を「つなぎ」で作ることだろうか。民主党や自民党の政治家の大半が新自由主義派になってしまった現状、他に思い浮かばない。加藤紘一には支持できない点が多々あるのだが、それでも「他の保守政治家たちよりはまだマシ」と言わざるを得ないのだ。同じ「保守本流」のはずの谷垣禎一さえ、「新保守」から強い悪影響を受けている。ましてや新自由主義色の強い「野ダメ」だの小沢一郎だのは論外だ。後者が橋下徹にすり寄る姿は「醜悪」の一語に尽きる。

話を民主党政権の「原発再稼働」路線に戻すと、実は原発再稼働とは民主党と国民新党の連立与党の政治家たちが菅直人政権時代からやりたくてやりたくてたまらなかったことだ。10日付毎日新聞記事(下記URL)を以下引用する。
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20120310ddm002040056000c.html

東日本大震災:議事概要公表 閣僚次々「原発再稼働を」 菅前首相方針よそに--昨年7月

 政府は9日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の対応に関し、原子力災害対策本部や緊急災害対策本部など7会議の議事概要などを順次公表した。政府は緊迫した状況で多忙だったことなどを理由に、震災関連15会議のうち10会議で議事録を作成していなかったが、未作成への批判を受け、会議出席者のメモや聞き取りをもとに概要を作成した。電力需給に関する検討会合の議事概要からは、菅直人首相(当時)の「脱原発依存」方針をよそに、複数の閣僚が原発再稼働を次々に訴えるさまが明らかになった。

 関西電力管内の10%節電要請を決めた昨年7月20日の会合では、大畠章宏国土交通相(当時)が「原発が(定期検査入りで)次々と停止していく状況だ。政治の責任としてこれでよいのか」と指摘。「このままでは電力会社も弱っていく。つらいとは思うが、政府としての方針を示すべきだ」と、原発再稼働を暗に求めた。

 自見庄三郎金融担当相(同)は「どうすれば原発が再稼働できるのか。ビシビシと道筋をつけていただきたい。泥をかぶってでもやる話だ」と力説。九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働を菅首相に止められた海江田万里経済産業相(同)は、自見氏の発言を受け「ありがたいお言葉」と述べた。菅氏はこの会合には出席していなかった。(以下略)

(毎日新聞 2012年3月10日 東京朝刊)


日立製作所出身のエンジニアで原子炉の設計にも携わっていたという大畠章宏。2006年に当時の民主党代表・小沢一郎に民主党の原発政策の転換を働きかけた人間だ。小沢はこの時には大畠の意見を入れなかったが、翌年民主党の政策をそれまでの「慎重な原発推進」から「積極的な原発推進」へと転換させた。自見庄三郎は金融担当相として証券優遇税制の延長に関して財務相の野田佳彦と渡り合い、優遇税制の延長を勝ち取った男。要するに新自由主義者だ。そして、海江田万里は言わずと知れた大の原発推進派。昨年菅直人に泣かされ、民主党代表選では小沢一郎に担がれた。大畠章宏、自見庄三郎、海江田万里、ついでに小沢一郎といった「原発推進派」の名前をよく覚えておきたいものだ。

野田佳彦が原発再稼働に執念を燃やすのにはこういう流れもある。そもそも野田政権の成り立ち自体、「前原誠司の民主党代表・総理大臣は断じて容認できないけれども、野田佳彦ならどうに容認してやる」との小沢一郎の意向がある程度反映されていた。ある「小沢信者」は昨秋の野田政権成立を「菅、岡田、仙谷が閣外に去った『秋風爽やか内閣』だ、きっと『国民の生活が第一』の政治をやってくれるに違いない」と絶賛していた。しかし現実には野田佳彦も小沢一郎も「同じ穴の狢」だった。私は菅直人については、東電原発時の対応で東電の撤退を阻止したこと、「脱原発」を打ち出そうとしたこと(すぐに「脱原発依存」へと後退した)、海江田万里と経産省がたくらんだ玄海原発再稼働を阻止したこと、以上3件の原発関連のアクションを除いては全く評価できない総理大臣だったと思っているが、それらの件が気に入らなくてたまらない大新聞の「政治部脳」の記者たちによって民間事故調の報告書がずいぶんねじ曲げて報じられたようだ。特に読売と朝日がひどかったと聞くが、読売はともかく「脱原発」が社論のはずの朝日の政治部記者たちは一体何をやっているのだろうか。

原発問題に関しては政治は「再稼働」へと一直線だが、震災からの復興に関しても政治の無作為が目立った一年だった。その最悪の例は、またしても東日本大震災発生と同時に「雲隠れ」していた小沢一郎だが、論外な小沢はさておくにしても、こういう大災害の時こそ税金を投入して当然なのに、それを渋った「財政再建厨」の責任はきわめて重いと言わざるを得ない。そしてこの流れの果てに「自己責任」「なんでも(トンデモ)民営化」「しばき主義」の橋下徹が大人気を博するというお寒い現状が生じている。

東日本大震災と東電原発事故から1年が経ち、日本は復活するどころかますますひどい泥沼にはまっているように見える今日この頃、気分は暗く沈む一方である。
私は見ていないのだが、昨日(3/4)、大阪市長の橋下徹がフジテレビの『報道2001』に出演し、所得税の累進税率を止めてフラットタックスを導入するなどと言っていたそうだ。民主党の古川元久と自民党の林芳正も番組に出演して3人で合意していたという。

少し前に、橋下が「船中八策」にベーシックインカムを盛り込んだことが話題になったが、「ベーシックインカム」プラス「フラットタックス」と聞いてピンとくるものがあった。やはり橋下(のブレーン)はミルトン・フリードマンの「負の所得税」を念頭に置いていたのだ。

実は私は昨年フリードマンの『資本主義と自由』を買い込んだが、まだ読んでいない。ある時、『kojitakenの日記』のコメント欄だったかで、あのノビー(池田信夫)が原作を書いた漫画「もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら」という本の書評を書いてほしいとのリクエストをいただいたので、そうか、フリードマンの本とノビー原作の漫画を並行して読む手があるかもしれないと思って酔狂にもこれを買ったが、こちらもどうしても読む気がしなくて全然読んでいない。

だが、今パラパラと頁をめくってみると、巻末にノビーが書いた解説の最後の項目が「負の所得税」となっているので、ここから引用する。

 フリードマンの考えていた税制改革はきわめてラディカルで、公的年金の他に法人税も廃止し、所得税の累進課税も止めて税率を一律にし、所得分配を負の所得税に一本化するというものだ。

 生活保護は、所得のない人には支給されるが、少しでも所得があると支給されない。日本のように生活保護の支給額が最低賃金より高いと、働かない方が得になってしまう。このようなモラルハザードを防ぐために、所得税の給付という形で所得を再分配することが合理的だ。

(池田信夫原作「もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら」(日経BP社, 2011年)226頁)


ベーシックインカム及び「負の所得税」については、『投資十八番』というブログの記事「『負の所得税』と『ベーシックインカム』の違い」にグラフ付きで解説されている。
http://stockkabusiki.blog90.fc2.com/blog-entry-928.html

以下再びノビーの解説から引用する。

 このしくみは、アメリカではEITC(勤労所得税額控除)として導入され、日本でも民主党が「給付つき税額控除」としてマニフェストで提案した。しかしフリードマンの提案とこれが異なるのは、彼はすべての社会福祉制度を廃止して、所得再分配を税に一本化するよう提案した点である。

 年金のように所得に関係なく年齢によって再分配する制度は不公正であり、農業補助金のように職業で再分配するのも、地方交付税のように地域で再分配するのもおかしい。貧しい人の生活を支えるという目的のためには、社会福祉はすべて所得を基準として税でやればよく、厚生労働省は廃止してもいい。

(池田信夫原作「もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら」(日経BP社, 2011年)227頁)



ここで、前々回のエントリで紹介した橋下のTwitter(下記URL)を思い出してほしい。
https://twitter.com/#!/t_ishin/status/170265966062739458

ベーシックインカムは不可能な制度だと言われています。だけど研究の一考はある。これは単純なばらまきではありません。福祉国家を歩みつつある日本。複雑怪奇な補助・助成制度。これによって行政組織は肥大化。色んな中間団体が存在し、天下りもごろごろ。これをバサーット整理する。


橋下がいったい何を狙っているかは明らかだろう。橋下が言っているのは、フリードマンやノビーに通じる、究極の新自由主義政策である。

このフリードマン、ノビー、橋下の系譜と比較すれば、安倍内閣や福田内閣で経済財政諮問会議議員を務めた八代尚宏などかわいいものだ。八代は累進課税による景気の自動安定化装置に任せて、不況時の財政出動などしなくて良いと言っている。つまり、累進課税自体は肯定しているのだ。最近のネットの俗流新自由主義者にはこの手の主張はウケが悪いらしく、ついこの間も『kojitakenの日記』のコメント欄で、彼らを「所得税信者」などと批判する「ティーパーティー支持者」に絡まれた。その名も「革命烈士」(笑)という。

いや、ネットだけではなくリアルの政界でも、名古屋市長の河村たかしなどは同様の傾向を持つ。さらにいえば、『日本改造計画』時代の小沢一郎もそうだ。一昨年頃から小沢は配下の者を河村たかしの選挙に協力させるなど、『日本改造計画』時代の思想に回帰するかのように見える。今の小沢が「経済左派」だなどと考えるのはよほどおめでたい人間だけである。

とはいえ、小沢一郎や、ましてや河村たかしでは、仮に政権をとったとしても本当に思い切った新自由主義政策はとれないだろう。現在小沢が好き勝手言っていられるのは与党内野党の立場にいるからである。しかし橋下なら何をやらかしても不思議ではない。またそんな橋下に多くの日本人が拍手喝采するだろうとの悪い予感を持っている。

橋下一派の恐ろしさは、平然と謀略を仕掛けることである。

たとえば、2月6日にテレビ朝日が「スクープ」としてこんな報道をしていた。もとのURLは下記だが、現在ではリンク切れになっている。
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/220206010.html

 スクープです。大阪市交通局の労働組合が、去年の大阪市長選挙で、現職市長の支援に協力しなければ不利益があると、職員を脅すように指示していた疑いが独自の取材で明らかになりました。

 大阪市交通局の労働組合は、去年11月の市長選で、勤務時間中に現職の平松氏支援のための「知人紹介カード」を集めていたことが発覚し、橋下市長に謝罪しています。
 さらに今回、ANNが独自に入手した紹介カードの回収リストには、「非協力的な組合員がいた場合は、今後、不利益になることを本人に伝える」との指示が書き込まれていました。

 内部告発者:「正直、恐怖を覚えた。(人を脅す)やくざと言っていいくらいの団体だと思う」

 内部告発を受けた維新の会の市議が、6日朝、事実確認のため交通局に出向きました。

 大阪維新の会の市議:「はっきりとした恫喝(どうかつ)ですよね」
 大阪市交通局・総務課長:「(リストを)ざっと見る限り、(交通局に)在籍している職員。
 職員コードもほぼ間違いない」

 リストには交通局職員の3割にあたる1867人が並び、政治活動が制限されている管理職もいます。総務部しか知らないはずの非組合員のコード番号も記され、組織ぐるみの疑いが強まっています。

(ANNニュース 2012年2月6日11時49分)


だが、これは虚報だった可能性が極めて濃厚だ。3月2日付の毎日新聞(大阪)の記事(下記URL)を紹介する。
http://mainichi.jp/kansai/archive/news/2012/03/02/20120302ddn041010016000c.html

大阪市交通局:市長選リスト「捏造」 労組が刑事告発へ

 大阪市交通局職員でつくる「大阪交通労働組合」が昨年11月の市長選の際、平松邦夫前市長の推薦人紹介カードの配布リストを作成したとされた問題で、同組合は、リストは捏造(ねつぞう)だとして容疑者不詳のまま文書偽造と同行使の容疑で刑事告発する方針を固めた。2日にも大阪地検に告発状を出す。組合はリスト中の文体が通常使用しているものとは異なることなどから偽物だと主張していた。

 リストの存在は、橋下徹市長が代表を務める大阪維新の会の杉村幸太郎市議(33)=平野区選出、1期目=が市議会で指摘。同市議によると、市交通局職員から告発があり、同局内で廃棄されたものとして持ち込まれた。

 「知人・友人紹介カード配布回収リスト」の表題で、交通局職員約1800人の名前、職員コードなどを記載。カード配布・回収時の注意事項として「非協力的な組合員がいた場合は、今後不利益になることを本人に伝え、それでも協力しない場合は各組合の執行委員まで連絡してください」と記されていた。

 同組合は、組合側が知り得ない職員コードや配布対象外である非組合員の管理職氏名などが記載されていることも偽造と判断した理由に挙げている。組合問題を調査している市特別顧問の野村修也弁護士も1日、「現段階では組合が作成したとは信じがたい。何の目的で誰が作ったか調査する」と述べた。【原田啓之】

(毎日新聞 2012年3月2日 大阪朝刊)


これに対し、橋下一派はどう動いたか。昨日のMBS(毎日放送)のニュース(下記URL)より。
http://www.mbs.jp/news/kansaiflash_GE120303112200545640.shtml

■大阪市交通局職員リスト問題 維新の会も刑事告発する方針固める

 去年の大阪市長選挙を巡り、前市長への支援を求める職員リストが見つかった問題で、大阪維新の会の市議団は「市の内部データの流出があった」として、刑事告発する方針を固めました。

 リストは維新の会の市議が入手したもので、交通局職員およそ1800人の名前に加え、組合側が平松前市長への支援を強要するような内容も書かれていました。

 組合側は2日「リストはねつ造されたもの」だとして刑事告発しましたが、維新の会側も市の内部情報を何者かが流出させたとして、地方公務員法違反で来週中にも大阪地検に刑事告発する方針を固めました。

「維新の会も冷静にリストを取り扱っているのでは」(大阪維新の会代表・橋下徹 大阪市長)

 維新の会幹部は「市の内部調査の結果を待っていたが、組合側が告発した以上、維新の会の考えも示し、捜査機関で真実を解明して欲しい」としています。

(MBSニュース 03/03 13:34)


この件に関して、今や代表的な橋下批判ブログとして有名な『Afternoon Cafe』を運営している秋原葉月さんから『kojitakenの日記』に下記のコメントをいただいた。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20120303/1330741752#c1330823984

akiharahaduki 2012/03/04 10:19
なんと維新の怪も刑事告発するそうです。
「こんなガセネタつかませやがって、犠牲者は俺達だ!」ということらしいです。
普通内部告発があったらソレが本当かどうかを確かめるのが市の仕事でしょう、ソレをやらないで「投稿したヤツは誰だ!市を騙しやがって告発してやる!」ってもう何にたとえていいかわかりませんorz


この件に端的に見られるような陰険さはたとえば小沢一郎にはない。小沢の場合は、ひたすら「剛腕」でゴリ押しする。それ故に反発を招く。橋下の場合は策を弄する。

橋下には「思想調査」の件もある。当記事の前半で見たように、経済政策は極端な新自由主義で、対立する勢力に対しては謀略を仕掛け、職員の思想調査をする橋下の恐ろしさは、上記小沢一郎や橋下と同じ極右政治家である石原慎太郎の比ではない。そんな男が「改憲」を口にする。それでも人々は橋下に歓声をあげる。

なんとも恐ろしい時代になってしまったものだ。背筋が凍る。