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きまぐれな日々

バンクーバー五輪は現地時間の28日(日本時間3月1日)に閉幕したが、ネットの世界では冬季五輪の花ともいえる女子フィギュアスケートで日本と韓国のネット住民がヒートアップした。互いに相手国のサイトに攻撃を仕掛け、日本ではネット右翼の総本山ともいえる「2ちゃんねる」が金メダルを獲得したキム・ヨナ選手と韓国への誹謗中傷を行っていたなどとして、韓国版「ネット右翼」の攻撃を受ける羽目になり、3月1日にはつながりにくくなっていたようだ。

スポーツの国際大会に絡んではこういうことはしばしば起きる。サッカーのワールドカップ本大会に日本が初出場したのは1998年だが、本選進出を決めた1997年11月16日のイラン戦、「野人」と呼ばれた岡野雅行のVゴールは今でも鮮明に覚えている。私もにわかサッカーファン、にわかナショナリストと化したものだ。その時の日本でのフィーバーもすごかったが、実はこの試合で敗れたイランにも本戦進出の可能性は残っており、それにはオセアニア代表のオーストラリアに勝てば良かった。そしてこの決戦はホームアンドアウェーで行われ、まずイランで行われた第1戦がドロー。そして、オーストラリアのメルボルンで行われた第2戦は、オーストラリアが2点を先制しながら追いつかれてまさかのドローとなり、その場合アウェーの試合でのゴールが多かった方がW杯本戦に進出するという「アウェイゴールルール」によってイランがW杯出場権を獲得、オーストラリアはオセアニア予選を通じて一度も負けていないのにW杯本戦に進出できないという悲劇的な結果になったのである。

いわば、1993年の「ドーハの悲劇」をホームでやってしまったようなものだ。この試合結果に怒り狂ったオーストラリアのサッカーファンは、当時まだ普及率の低かったインターネットで暴れまくり、政治的及び人種差別的な書き込みを撒き散らしたことが、日本にも伝わってきた。1997年というと、私も自宅でインターネットを始めた年(職場では1990年から使っていた)だったので、フレームが生じやすいネットの特質を改めて認識したものだ(fj.のニュースグループでしょっちゅう議論がフレームアップしていたのを見ていたから、驚きはしなかったが)。

ネットでスポーツの国際試合について書くことは、そういう効果を持っていることを知ってか知らずか、城内実衆院議員が自らのブログでバンクーバー五輪女子フィギュアスケートの優勝者、キム・ヨナ選手を称える記事を上げたのは、2月27日のことだった。
http://www.m-kiuchi.com/2010/02/27/asadamaoganbare/

これを読んで私は吹き出した。なぜかというと、このエントリで、城内実はこともあろうに女子フィギュアの試合でキム・ヨナ選手が日本の浅田真央選手に大差をつけて圧勝したことで、片山さつき候補(前自民党衆院議員)と斉木武志候補(比例で復活当選して現民主党衆院議員)にダブルスコアをつけて圧勝した昨年の総選挙を思い出したらしく、

 だんとつの圧勝というのもあれこれ文句のつけようんがないから気持ちがいいものだ。私の選挙もこれからもそうでありたい。

などと書いていたからだ。つまり、4年間五輪が開催されるカナダで修行して努力を重ね、ルール改正に合わせて高得点の得られる演技を見せたキム選手に、城内実は深く感情移入していたように見えた。スポーツで頂点を極める争いを演じたキム選手と浅田選手のレベルはもっとずっと高いと思うのに、城内実はそれを凡人のレベルにまで引きずり下ろして矮小化し、結果的に両選手を貶めているのではないか。そう私には思えたが、とはいえ、城内実に(この件に関しては)悪気がないことくらいはわかった。

このエントリがアップされた翌日に読んだ私は、裏ブログ『kojitakenの日記』に城内実をからかうエントリを上げたが、なんて恥ずかしい記事を書くんだ、とは思ったものの、この時点ではまさか城内ブログが「炎上」する騒ぎになるとは思いもしなかった。

城内ブログはなぜ炎上したのか。それが今回のエントリのテーマである。

スポーツの国際大会、特に五輪やサッカーのワールドカップは、人々のナショナリズムをかき立てるものだ、ということはもちろんあるだろう。城内実ブログにコメントした人たちの中にも、キム・ヨナ選手や韓国を誹謗中傷しているようにしか見えないものも多かった。

しかし、火に油を注いだのはブログ管理人である城内実その人だった。城内実は、コメント欄の29番にこんなコメントを書いている。

城内 実 2010/02/28 0:52:40

私は前回の選挙でどんなに闇の世界で徹底的にやられようが、748票差で負ければ負けなのです。負ければどこかのとんちんかんな極左レイシストのように「ばーかざまあみろ。おまえはおしまいだ。」とレッテルをはられるのです。

わずかの差で選挙に負けて「自民党の某勢力が暴力団にカネばらまいたといううわさがあるとか、メディアを買収したみたいだとか、トヨタ自動車の奥田経団連会長に圧力をかけたからずるい」とか言ってもしょうがないのです。負けは負け。次回に臥薪嘗胆するしかないのです。

 日本選手に不利なルールだからといかいうお方たち、各国ともメダル獲得で必死なのです。日本がもっとしたたかになるか、どうぞどうぞメダルをとってくださいと譲るしかないではないですか。城内実


こんなコメントを見ていると、城内実が五輪の競技と自分の選挙を重ね合わせている確信がますます強まるのだが、それにも増して城内実が選挙における当選と五輪における金メダルを等価なものとして認識していることが容易に読み取れる。つまり、城内実にとっては、「銀メダル」は選挙での落選に等しいのである。

それが証拠に、女子フィギュアについて書いた2日後の3月1日、五輪の最終盤に行われた女子スピードスケートの追い抜き(パシュート)で、日本チームがドイツに0.02秒差で敗れたものの銀メダルを獲得した時には、城内実はこんな記事をブログに上げた。
http://www.m-kiuchi.com/2010/03/01/olimpicgames/

 私の外務省のドイツ語の先輩が、「ドイツ人と日本人の金メダルへの執念の差を見たような気がする。」と指摘されておられたが、全く同感である。つめの甘さやちょっとしたミスは命とりである。

 私の前回選挙のように浅田真央選手が4年後のオリンピックで金メダルをとること、そしてわずか0.02秒差で金メダルをのがした日本勢が次回に0.02秒差であろうと金メダルをとることを期待している。

 オリンピックのルールがどうのこうのと言う前に、勝たなければしょうがないのである。水面下で国際オリンピック協会に日本人に不利なルール変更については適時適切に申し入れすると同時に、日本選手が精神面でも強くなって欲しいと思った次第である。


キム・ヨナ選手と城内議員ご自身を重ね合わせた前のエントリでは、呆れながらも腹が立つところまでは行かなかったが、この記事には腹が立った。パシュートのドイツチームには長距離に強い選手が多いから、日本チームはいかに序盤で差をつけてそれを守り切るかが勝負の鍵を握るとテレビ中継で言っていたし、実際その通りの展開になり、下馬評では3位くらいかと言われていた日本チームにとってはあわや金メダルというところまでいったのは大健闘だったのだ。しかし、城内実にとっては「日本チームが最後の最後に僅差で逆転負けした」意味しかなかった。もちろん、城内実の脳裏をよぎったのは、2005年の「郵政総選挙」において、猛烈な小泉改革ブーム、郵政民営化ブームが巻き起こり、その影響を受けて城内実自身が静岡7区で自民党公認の片山さつき候補に748票差で敗れたことだった。この選挙では、小泉フィーバーは選挙戦終盤で異様な盛り上がりを見せ、片山さつきの当選も最終盤での大逆転劇といえた。こんないきさつがあったから、城内実は、浅田真央選手もパシュートの日本チームも、次の五輪では「私の選挙のように」金メダルを獲れ(銀メダル=城内実にとっては「落選」と同義=の屈辱を晴らせ)、などと恥知らずなことを平然と書くのである。いったい、カネとコネがものをいう政治の世界で、元警察庁長官の倅が県内だけで8人も当選者が出る衆院の小選挙区で当選することと、実力だけがすべてのスポーツで、世界一を競って銀メダルを取ることのどちらが困難だろうか。城内実にはその程度の想像力さえ持ち合わせがないようだ。

しかも、こうしたおバカな記事を書いている合間にも、城内実はブログのコメント欄に自ら登場し、ブログへの批判者を煽りまくった。同じエントリの84番のコメントは下記の通りである。

城内 実 2010/03/2 1:34:22

みなさまのコメントありがとうございます。
いやあ驚きました。
本当にインターネットの世界の誹謗中傷はこわいですね。
人権擁護法案(インターネット規制法案)の是非について真剣に再考してみたいと思いました。城内実


人権擁護法案云々については、理解できない読者の方もおられると思うが、城内実は右翼の立場からこれに反対してきて、そのことでネット右翼の心をつかんできた政治家である。つまり城内は、「そんなに俺の記事を批判するんだったら、お前らが反対している人権擁護法案賛成に回って、インターネットを規制してやるぞ」と言ってネット右翼を脅しにかかったというわけだ。

ブログのコメント欄では、この84番のコメントは本当に城内先生が書いたのか、と訝る声も多かった。しかし、紛れもなくこれが本物であることを示したのが、翌3月2日の城内ブログのエントリだった。
http://www.m-kiuchi.com/2010/03/02/monbukaakuiinnkai/

 今回大勢のみなさまからコメントをいただきました。ありがとうございます。参考にさせていただきました。

 しかしまあなんという言葉尻をとらえての罵詈雑言のオンパレード。人のブログのコメント欄に書きたいほうだい。いやあ驚いた。

 いつから日本人はこれほど礼儀知らずになったのだろうか。人を批判するならコメント欄には実名で書いて欲しいものです。昔の日本であったら、近所のおじさんから、「こら、ふざけるな。卑怯者名をなのれ。」と一喝されるでしょうね。

 本当にインターネットの世界の誹謗中傷や某勢力の工作はこわいですね(真実がどうか分かりませんがある方から連絡があり某極左レイシストなどが2ちゃんねるなどに城内実へのいやがらせで一般のネット右翼をはじめとするインターネットユーザーに対して工作をしたとのこと。)。

 私が命がけで反対した左派勢力推進の人権擁護法案(インターネット規制法案)の是非について真剣に再考してみたいと思った次第です。私は今回のことで多少不快に感じたくらいですが、インターネットであることないこと誹謗中傷されて真剣に悩まれている方の人権は守るべきだと思いました。

 反日日本人の分断工作にのっかる人も結構いるのですね。まあしかたありませんが・・・・。


結局このエントリが再び「炎上」し、3月2日には再び城内ブログにアクセスしづらくなる状態が続いた。2ちゃんねらーたちも城内のおバカなエントリを嘲笑した。2ちゃんねるの書き込みを抜粋したブログ記事のURLを下記に示す。
http://news020.blog13.fc2.com/blog-entry-299.html

この中には、城内ブログにコメントしている人たちの中には、城内実が民主党議員だと思い込んでいる人がいることを示した『kojitakenの日記』のエントリにリンクを張った書き込みも紹介されている(おかげでこのエントリの存在を知ることができたのだが)。城内実が平沼一派の極右議員だということを知らずに、キム・ヨナ選手を称えたという理由で「キムチ実」などと揶揄した「嫌韓厨」のコメンテーターもひどいが、彼らがつけた火に油を注いで自らのブログを炎上させた城内実には、ただただ呆れるばかりだった。そして、上記リンク先からもわかる通り、ネットの議論にはつきものの誹謗中傷はともかく、「某勢力(某極左レイシスト?)の工作」だとか「反日日本人の分断」などと書き、果てには「人権擁護法案の賛成側に回るぞ」とほのめかしてネット右翼を脅しにかかったつもりの、あまりに馬鹿げたというか子供じみた記事に、本当にこれが国会議員センセの書いたブログなのかと呆気にとられたし、これを読んで城内実への信頼が音を立てて崩れたという支持者も少なくなかったのではないだろうか。あまりに無邪気なネット右翼そのものの文章だが、これを書いたのが城内実自身であることは紛れもない現実なのだ。蛇足ながら、もしかしたら城内実の書く「極左レイシスト」は、ブログのアクセス解析を見ながら、「2ちゃんねる」経由のアクセスがあまりに少ないのに拍子抜けしているのではないかと想像する。でも、考えてみたらそんなことは当たり前で、城内実が「極左レイシストが工作した」と妄想している頃には、「2ちゃんねる」は韓国版ネット右翼の攻撃(?)を受けてつながりにくくなっていたのだ。「極左レイシスト」は、「なんで日に数千件のアクセスしかなくて、影響力なんてたかがしれている俺をそんなに過大評価してるんだろう、城内実はアホちゃうか」と苦笑しているのではないか。あくまで想像だけど(笑)。

冗談はともかく、コメント欄における読者からの激しい反発も、キム・ヨナや韓国を感情的に叩く者が多かった2月27日付エントリへのコメントとは様相が変わってきて、城内実を批判するコメントの方が「反日日本人である極左レイシストの分断工作にみんなが引っかかった」などと書いた城内実よりはるかに説得力のあるものになっていた。さすがに、これはまずいと思ったのか、城内実は昨日になって「謝罪」のエントリを上げた。
http://www.m-kiuchi.com/2010/03/04/oshirase220304/

この程度の「謝罪」に納得した読者もいれば、離れたまま戻ってこない支持者もいるだろう。何しろここには書ききれないが、城内実は怪しげな情報提供者のしゃべったことを真に受けて「小沢幹事長(ozawakannjicyou)は逮捕される可能性が強い」とほのめかして、小沢一郎が不起訴になったあとに読者から批判を受けて言い訳を強いられたり、トヨタのリコール問題について、「まさか郵政民営化を強引に推し進めた天罰が下ったということではあるまい」と書いて、それを同じ右派のブログに批判されるとコメント欄でブチ切れたり、自らの後援者を名指しで批判してブログのコメント欄で乱闘を繰り広げるなど、ブログを毎日読んでいたら、コメディアンとしては抜群の才能を感じさせるものの、とてもではないけど政治はこの人には任せられないと思わせるパフォーマンス、いやドタバタ劇を連日のように演じているのである。

これが、ネットにおける支持者拡大に血道を上げた政治家の現在の姿である。4年前、反小泉のブログ運動に自らを売り込んだ時の城内実のブログ記事はなかなかに格調高くて、ブログ運動の主宰者が騙されたのも無理からぬところと思わせるものだったが、その3年後に国籍法改正に反対した時のブログ記事は、同じ著者の手になるものとは思えないひどさだった(下記URL)。
http://www.m-kiuchi.com/2008/11/11/bakawashinanakyanaoranai/

何より城内実という政治家の体質を象徴しているのは、このパーマリンク中の "bakawashinanakyanaoranai" という文字列だ。そして、リアルの世界では民主党議員だと思われていたり、国会議員であることさえろくに知られていないこの政治家が、ネットでは「右」も「左」もなく結構な支持者を獲得していた。

この「城内実現象」を、もうそろそろ「右」も「左」もなく総括すべき時がきているのではないか。それを行わなければ「右」も「左」もネットにおける言論を前に進めることはできないのではないか。そう私は思う。
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