きまぐれな日々

テレビ朝日の『サンデープロジェクト』が昨日(28日)に終了した。1989年4月の番組開始以来21年続いたそうだが、同じテレビ朝日の『朝まで生テレビ』はそれ以前から放送されており、そちらはまだ田原総一朗司会のまま番組を続けるそうだ。1988年の大晦日から1989年の元旦にかけて(つまり昭和天皇存命時の最後の年末年始に)『朝生』で天皇制の議論をしていたことは覚えている。

私が田原総一朗の名前を知ったのはその10年ほど前の1978年頃だが、田原を知った最初の頃から、政治的スタンスのよく分からない人だなと思っていた。ただ、先の戦争を美化する人でないことは、2002年の夏に『サンプロ』で先の戦争についての討論が行われた時(同年8月18日放送)に、高市早苗を「無知で下品」となじって泣かせたことや、一昨年に映画『靖国 YASUKUNI』上映中止の圧力をかけた(と私はみなした)稲田朋美を欠席裁判で厳しく批判した(稲田は番組からの出演要請に応じなかったそうだ)ことなどから了解している。前者は、既に小泉純一郎政権べったりの田原の姿勢にうんざりしていた頃の放送だったので、意外の感があった。この件に関する高市早苗の反論コメント(下記URL)をお読みいただければ、当時田原がいかなる発言をしたかがおわかりになると思う。もちろん私は高市の主張を是とするものでは断じてなく、単に当事者の言い分を紹介するものである。
http://sanae.gr.jp/column_details155.html

脱線するが、その後高市は2003年の衆院選奈良1区で民主党の馬淵澄夫に惨敗し、比例復活もかなわず落選したが(もちろん私は快哉を叫んだ)、2005年の郵政総選挙では、郵政民営化法案に反対した滝実に対する刺客という口実のもと、強敵・馬淵のいる奈良1区から逃げ出して奈良2区に鞍替えして、滝を破って当選した。この選挙では、自民党公認を得られなかった滝は、新党日本に参加して比例復活で当選し、その後同党を離党して昨年の衆院解散後に民主党に入党し、昨年の総選挙では滝と高市の再戦となった。この経緯から想像がつくように、滝もまた現改革クラブ参院議員の荒井広幸と行動をともにしたり、元自民党衆院議員の戸井田徹と共著を出したことのある極右政治家であり、高市を落選に追い込む力はなく、選挙区では滝が当選したが、高市に易々と比例復活を許した。

もう一人、田原にコテンパンに批判された自民党議員である稲田朋美については、一昨年の映画『靖国 YASUKUNI』の騒ぎがあった頃に連日のようにブログで取り上げて批判したため、現在でも「稲田朋美」を検索語にしてGoogle検索をかけると、2008年3月30日付の当ブログ記事「極左と紙一重の極右・稲田朋美を衆議院選挙で落選させよう」が上位に表示されるが、サンプロで田原総一朗が稲田朋美を欠席裁判した翌日の2008年4月7日にも、「映画『靖国』と稲田朋美、日本会議、そしてネット右翼」と題した記事を公開した。これは、当ブログが『サンデープロジェクト』を高く評価した唯一のエントリのはずだ。

それ以降、サンプロにゲスト出演した人の発言に共感することはあっても、司会の田原総一朗に共感することはほとんどなかった。番組でも紹介されていた、昨日付の朝日新聞に掲載された田原総一朗へのインタビューで、田原こそ権力者ではないかというインタビュアーの刀根館正明・朝日新聞編集委員の質問に、田原は「政治家は権力を持っているが私は何も持っていない」と答えているが、そんなことはない。今でも苦い思いが忘れられないのは、小泉純一郎内閣の支持率が急降下して、森内閣同様小泉も短命に終わるだろうなと期待し始めた2002年春に、田原が『それでも、小泉純一郎を支持します』と題した本を幻冬舎から出版したことだ。この本が書店に平積みされているのを見て、私は嫌な予感がした。

小泉政権発足当時には小泉・竹中の構造改革路線を支持していた榊原英資が、一転して竹中を「ドライバー」にたとえて、小泉政権批判を始めたのがこの2002年だが、田原総一朗の影響力は榊原英資の比ではなかった。一本調子で落ち込んでいくものと期待していた小泉内閣の支持率は、同年9月の北朝鮮訪問で拉致被害者の5人を連れ帰ったことで大きく再上昇し、以後高止まりすることになった。小泉内閣の高支持率維持には、岸井成格や久米宏、さらには久米の跡を継いだ古舘伊知郎ら以上に、田原総一朗の影響が大きかったと私は見ている。小泉・竹中構造改革を批判する立場に転じた榊原英資は、それ以前と比べて目立って番組への出演頻度が減った。

総理大臣を3人(海部俊樹、宮沢喜一、橋本龍太郎)も退陣に追い込んだと語る田原総一朗だが、これはすべて1990年代のことであり、2000年から2008年まで政権を牛耳った清和会内閣に対してはほぼ全面支援を貫いた。それどころか、2004年には菅直人民主党代表を年金未納問題で退任に追い込みながら、その直後に田原総一朗自身の年金未納が発覚したのに、田原は退任しなかった。この当時、菅直人やその後継代表に名前の挙がった小沢一郎に対して、田原総一朗は「世代交代」して退くべきだと言っていたが、菅直人や小沢一郎より年上である田原の発言に対し、今だったら「お前が言うな」のタグをつけたところだ。本当は、菅直人を民主党代表辞任に追い込んだと同じ年金未納が発覚した時点で田原が番組を退くなり、テレビ朝日が田原を降板させるなどして、それこそ「世代交代」させるべきだったのだが、そうはならなかった。政治家であれば選挙で有権者が退場させることができるが、それのできないテレビの有名キャスターは、いくら本人が否定しようが絶大な権力を持つ人間である。田原総一朗の退陣は遅すぎた。菅直人が田原によって民主党代表の座を追われてから、もう6年にもなるのである。

遅きに失した田原総一朗の退場だが、その最終回は、与野党8党の党首(民主党のみ菅直人財務相)による討論だった。議題は最初が郵政見直しの件で、次いで税制改革の件だった。普天間基地移設の問題は取り上げられなかった。与野党党首による討論という触れ込みだったが、最初の郵政見直しの件で、菅直人財務相と亀井静香郵政改革相の口論となり、与野党ではなく与党内の論戦で盛り上がった。討論を通して終始影が薄かったのは野党・自民党の谷垣禎一総裁だった。同じ野党でも共産党の志位和夫委員長は要所で発言して存在感を見せたが、谷垣総裁は全く精彩を欠いた。これでは、参院選でも自民党は苦しいだろう。

今回の討論でもっとも私の注意をひいたのが税制改革に関する議論だった。田原は先週の番組でも用いたフリップで、日本の消費税率がいかに低いかを強調し、消費税率引き上げの言質を与野党から引き出そうとしていた。もちろん、自民党の谷垣総裁は消費税率の引き上げを主張し、自民党の主張に理解を示すかのような中途半端な発言をした菅財務相に対し、「4年間消費税率を引き上げないと選挙前に公約したことを懺悔せよ」などと迫っていた。

しかし、3月26日に行われた税調専門家委員会の資料を見ると、対国民所得比の個人所得課税の比率が、日本は他国より際立って低いことが示されている(下記URLのpdfファイル17頁)。
http://www.cao.go.jp/zei-cho/senmon/pdf/sen2kai1.pdf

この資料を見ると、日本の対国民所得比個人所得課税の比率は、スウェーデンと比較すると3分の1であることはもちろん、アメリカと比較してさえ半分強しかない。法人所得課税の比率はスウェーデンやアメリカよりやや低い程度で、ドイツよりは高く、マスコミや財界が言うほど企業が税金を搾り取られているとはいえない。問題の消費課税の比率は、英独仏の半分程度で、スウェーデンの4割強だが、アメリカより高い。この資料は、外国についてはOECDの資料、日本については2010年度の当初予算ベースに基づいていると記されているが、この数字を見る限り、税調の専門家委員会が「まず所得税の検討から始める」との方針を打ち出した理由がよくわかる。つまり、日本は金持ちが応分の負担をしておらず、だから税収が伸びないのである。それは、分離課税だらけの税制によるところが大きい。

専門家委員会の委員長を務める神野直彦教授は、日本がアメリカのような「小さな政府」の新自由主義路線をとるのであれば直接税中心の課税として、「大きな政府」の福祉国家路線を選択する場合に限って消費税率を引き上げるという思想を持っていると私は理解している。もちろん、「大きな政府」を目指す場合でも、まずなすべきことは対国民所得比個人所得課税の比率の引き上げであることはいうまでもない。逆進性を持った消費税の増税をもって財政再建を行うことは逆分配につながりかねないので好ましくない。

ところが、自民党は「小さな政府」を掲げているにもかかわらず、消費税率の引き上げを主張している。これでは筋が全く通らない。しかし、菅財務相はそんな自民党の主張に理解を示すような発言をするのだ。これには、「何を言ってるんだ」と切れそうになった。社民党の福島瑞穂党首も、税収を増やすことは言いたがらない。マスコミが「菅財務相が消費税の議論開始を言明した」と報じた時には、福島党首が「まずムダの削減をすべきだ」などと、まるで新自由主義者のような発言をしていたことは、2月17日付エントリ「福島瑞穂と菅直人に「喝」! 税制改革をもっとPRせんかい」で批判した通りである。

その時にも亀井静香の対応をほめたが、昨日の党首級討論でも、亀井静香だけが「税制全体の見直し」という政府税調の示している軸を決してぶれさせなかった。亀井静香は、財源のない政治はあり得ない、所得税や法人税など税制全体を見直すのだとはっきり述べ、田原総一朗から「そんなことは聞いてない。消費税をどうするのかと聞いてるんだ」という突っ込まれても、「消費税は4年間上げないと言ってる」と、2月16日に記者に質問された時と同じように田原を一蹴した。亀井静香は、相手が下っ端の記者だろうが田原総一朗だろうが言うことを変えない。

亀井静香は積極財政論者としても知られ、昨日のサンプロでも繰り返し積極財政を主張していたが、不況期には財政出動を行い、経済が上向いてきたところで税収増の方策を講じるのがまともな行き方であることは当然だ。それも、他国と比較してもっとも課税負担率の少ない個人所得課税から見直していくのが当たり前のやり方であり、この筋道にもっとも忠実な発言をしていたのが亀井静香だった。神野直彦教授は、民主党や社民党に影響を与えているとされる学者のはずだが、菅直人や福島瑞穂よりもよほど亀井静香の方が神野教授の考え方に近いようにさえ見えた。民主党はもちろんのこと、社民党までもが福祉国家への道筋を明確に示せない現状には頭痛がしてくる。

所得税増税なんかをしたら金持ちが逃げ出さないかだって? 逃げ出すはずないじゃん、世界に冠たる個人所得課税比率の低い日本から。負担が増えたところで他国並みになるだけなんだから。いや、逃げ出したい人には勝手に逃げ出してもらえばよい。だって、そういう人たちは、応分の分担をして日本社会の役に立つのが嫌だというのだから、売国奴以外の何者でもない。そんな人たちに逃げ出されたところで、日本にとって痛くもかゆくもないのである。


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共同通信が配信し、地方紙各紙に掲載されている辺見庸の「水の透視画法」というコラムは、ネットでは公開されていないようだが、最新のコラム「ニセの諸相 アカシアと民主党」(2010年3月下旬頃掲載。掲載日は新聞により異なる)で辺見は民主党政権を批判している。

辺見はまず、普天間基地の問題で、民主党が2008年に改定した「沖縄ビジョン」で、「地位協定の抜本的な見直し」や「普天問基地返還アクション・プログラムの策定」を掲げながら、それを実現させようとしないことを批判し、それに続いて、高校の授業料無償化について朝鮮学校は当面その対象外とするという最近の方針を、「北朝鮮当局のありようと在日コリアンの教育をどうやら意図的に混同しており、初歩的合理性にも最低限の道義にも欠ける」と厳しく批判している。辺見は、「大金持ちのトッブがかかげた『友愛』がいかに安っぽいフェイクであるかの証明になりかねない」と書いているのだが、私見ではこれは辺見庸にしては遠慮を感じさせる文章であって、「証明になっている」と言い切って良いのではないかと思う。

高校無償化からの朝鮮学校除外の件は、当ブログでも3月1日付で触れたのを皮切りに、3月12日付3月15日付で連続して取り上げた。この件の言い出しっぺは、何度も書くように中井洽国家公安委員長(拉致問題担当相)であるが、軽く退けるべきだった中井の主張に、鳩山由紀夫首相が理解を示してしまい、結局朝鮮学校は無償化の対象除外とされて、国連の人種差別撤廃委員会が今月16日(日本時間17日)に公表した、日本の人権状況についての見解をまとめた報告書の中で、「懸念」を表明される事態を引き起こした(下記URLの朝日新聞記事を参照)。
http://www.asahi.com/international/update/0317/TKY201003170003.html

この件について、私は中井洽は大臣更迭に相当すると考えているが、マスコミは中井の更迭を求める論調はとらず、世論からも中井を批判する声が大きく盛り上がることはなく、これに私は失望した。

ところが、その中井洽にスキャンダルが持ち上がった。中井が、家族や事務所関係者ではない女性に、議員宿舎のカードキーを貸与している可能性があり、女性が一人で自由に宿舎に出入りしていると、25日発売の『週刊新潮』が報じたのだ(下記URLの産経新聞記事参照)。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100324/crm1003241951016-n1.htm

中井は、『週刊新潮』の記事の内容が明らかになった24日、記者団に「何も問題ない。規則なんかない。カードキーを4枚もらい、(女性に)1枚渡しただけ。飲み食いは全部、自分の金だし、わたしは独身だ」と弁明した(下記URLの産経新聞記事参照)。つまり中井は、家族や事務所関係者ではない女性に、議員宿舎のカードキーを貸与しているという『週刊新潮』の報道内容を認めたのだ。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100325/crm1003250811002-n1.htm

実にルーズな男であり、こんな人間に国家公安委員長が務まるはずがない。これで、中井更迭の口実、もとい理由がまた一つ生じたわけだが、このスキャンダルには、高校無償化から朝鮮学校を除外した件には全く触れようとしなかった、小沢信者のブロガーも反応した。昨年、自民党の鴻池祥肇元官房副長官(参院議員)が、「合鍵を人妻に渡して夜な夜な招き入れていた」ことが発覚し、官房副長官辞任に追い込まれたのだが(表現はスポーツ報知記事による)、自民党の鴻池を厳しく追及したのに、中井はウヤムヤにして良いはずがないというのである。正論だ(笑)。何より問題なのは、『スポーツ報知』も指摘する、国家公安委員長としての危機管理の甘さだ。私は北朝鮮が韓国で行われるスポーツ大会などによく「美女軍団」を送り込んでいたことを思い出した。

だが、民主党が野党だった頃に幹事長として鴻池官房副長官の辞任を求めた鳩山首相は、中井を見苦しく庇っており、ネットでは野党時代と対応が違うとして笑いものになっている。小沢信者ブロガーの教祖的存在である植草一秀も、朝鮮学校の無償化対象除外の件に続いて、今回のスキャンダルも無視する構えだ。植草のブログが中井洽に言及したことは過去一度しかなく、それは今年2月3日付エントリだが、そこで植草はなんと、副島隆彦(通称ソエジー)が中井洽を絶賛した気持ち悪い文章を引用しているのである。こんな植草を教祖に持ち上げていたのが、日本の「ブログ左翼」だったかと思うと情けなくなる。植草一秀もまた、「安っぽいフェイク」というべき存在だ。しかし今や、植草の信者たちも教祖の意向に背いて中井洽を批判するようになった。

私は何も、中井洽が30歳以上も年下の女性とつき合っていることを責めるつもりは毛頭ない。しかし、国家公安委員長が家族や事務所関係者ではない女性に、議員宿舎のカードキーを貸していたことは、危機管理上大問題だ。高校無償化の朝鮮学校対象除外の件は、拉致問題などをめぐって相当数の日本国民の北朝鮮に対する悪感情を中井洽が悪用したものだったために、中井批判の世論が盛り上がらなかったのだろうが、今回の件は世論の反発を招き、30%すれすれに落ち込んでいた鳩山内閣支持率をさらに下げ、20%台に突入することは間違いないだろう。

鳩山首相が下すべき判断は、中井洽国家公安委員長の更迭以外にはない。


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前々回前回のエントリで、鳩山政権を批判するスタンスを明確にした当ブログだが、これは、民主党の中でも最も反動的な勢力である旧民社党系の政治勢力が、現在鳩山政権において主導権を握っているためである。野党に転落した自民党や新自由主義政党である「みんなの党」など、民主党以下の政党であることはわかり切っているから、はなから相手にもしていない。

これまで、民主党政権をマンセーしてきた「政治ブログ」を指導してきた人たちも、プリズムを透過した光のようなスペクトル分布を見せるようになっている。たとえば、植草一秀はあくまでも鳩山由紀夫への忠誠を誓う姿勢を崩さないが、天木直人は鳩山由紀夫への「決別」を宣言した。『きっこのブログ』は「一応は支持している」とは書いているものの政権批判を強めている。『きっこのブログ』が非難する鳩山内閣の「自衛隊イラク派遣は合憲」との閣議決定には、閣僚である福島瑞穂も関与しているから(もちろん民主党中道左派の菅直人も関与しているが)、社民党だけが批判を免れるわけにもいかない。巷では社民党の辻元清美は遠くない未来に社民党を捨てて民主党入りするに違いないなどと噂されている(阿部知子は比例復活の当選だから党籍変更はできない)。

指導者たちがこうだから、彼らのフォロワーたちも右往左往しており、あくまで植草一秀に忠誠を誓う者、「三種の神器」(小沢一郎、鳩山由紀夫、植草一秀)のうち鳩山由紀夫だけを見捨てる者、ブログの更新を止めてしまった者や、更新はするものの政治に関する記事を書かなくなった者など、散り散りばらばらになりつつある。熱心に城内実を支持していた者は、現在彼が情熱を燃やしている政界再編を宣伝するのだろうか。

私の政治的立場は、1977年に故江田三郎を支持した頃から基本的に変わっておらず、漸進的に社民主義的な福祉国家を目指すというものであって、だから現在の民社国連立政権のうち左側を占める部分に親和的なのだが、現在の政権はそれら(民主党中道左派の菅グループや同左派の横路グループ及び社民党)と、歴史的経緯から鳩山由紀夫を支持してきた、民主党内最右派(極右)の旧民社系が手を組んだ形となっており、その間に位置する民主党内右派及び同中道右派には反執行部が多い。だから、左派の力が弱ると、いきなり旧民社系の影響力が強まって、政権が急に右旋回するのだ。もちろん、右旋回した鳩山政権など支持できない。ただ、党内力学のねじれで生じた混乱だから、何も衆院を解散する必要などはないと考えており、2002年末に鳩山由紀夫代表(当時)の拙劣な党運営が招いた民主党の支持率急落を、後任代表の菅直人が立て直したように、総理大臣を鳩山由紀夫から菅直人に交代するのが良いと思う。もちろん、その際には小沢一郎も民主党幹事長を辞任すべきだろう。

ひところは朝日・毎日を含む新聞が、民社国政権を「右」から批判する構図が広く見られたが、現在は旧民社系に引っ張られて急激に右旋回した鳩山政権に対し、マスコミの方はさほどぶれていないので(残念ながら、小泉政権時代以来、朝日も毎日も基本的には新自由主義志向の親米保守的な立場なのだが)、結果的に新聞の政権批判にも見るべき記事が出てきた。

前回のエントリで紹介した、「取り調べの全面可視化」に関する朝日新聞の記事もそうだが、同じ朝日新聞の21日付1面から2面にかけて掲載された「エコウォーズ」シリーズの記事でも、「地球温暖化対策基本法案」において明記された排出量取引制度の手法について、「総量規制を基本」としつつも「原単位の制度も今後検討する」という文言が、民主党政権の支持基盤である「連合」内の産別労組の働きかけが功を奏した形で導入されたことを指摘している。

この件に関しては、前々回のエントリで紹介した飯田哲也氏のコラムにも触れられているが、飯田氏は

単位当たりですから「作れば作るほどCO2を増やしてもよい」という歯止めを外す「欠陥制度」となるのです。

と指摘している。

この件に関して、内閣が揉めたことを朝日新聞は伝えている。以下引用する。

 法案づくりが山場を迎えた9日の副大臣級検討チームの議論は紛糾した。福山哲郎外務副大臣が「『原単位』にすると前政権と変わらない」と総量規制を唱えると、別の政府高官が「連合と2回協議を行った。連合は強い関心を示している」とクギを刺した。経済官庁の副大臣も「連合もパートナー。むげにはできない」と続けた。

 11日の閣僚委員会の議論も白熱した。ある閣僚が「総量規制にすると、生産量が制限されて売れないことになる」。これに岡田克也外相が「その場合は排出権を買えばいい」と反論。最後は鳩山由紀夫首相が引き取った。

 自民党政権下では、業界団体による負担軽減の働きかけが目立ったが、民主党政権下では鉄鋼業界の労組など「基幹労連」や電力業界の労組の「電力総連」の動きが活発だ。連合の中核的な存在だ。

(朝日新聞 2010年3月21日付紙面より)


記事はさらに、昨年11月中旬に電力総連が関係の深い国会議員でつくる「明日の環境とエネルギーを考える会」を開催し、それに33人が参加したが、この会の講演者は経団連のシンクタンク「21世紀政策研究所」の研究主幹であることや、日本鉄鋼連盟や電気事業連合会(電事連)など37の業界団体が今年2月26日付の日経新聞に出した意見広告に基幹労連の内藤純朗委員長が登場し、「温室効果ガス25%削減」の2020年中期目標への反対を訴えていることなどの「労使一体の働きかけ」を指摘している。

このように突っ込んだ記事を書く朝日新聞が、なぜ福山哲郎や岡田克也など、外務省側に立って主張する(つまり温室効果ガス削減を推進したい側の)政治家の実名は出すのに、産業界や御用労組の代弁者である政治家たちの実名を隠すのかは理解できないが、ネット検索をかけてみると、共同通信配信の記事は結構実名を出していることがわかる。経団連とつるんでいる御用労組労組を代弁している大臣は、もちろん旧民社系の直嶋正行経産相であり、環境相の小沢鋭仁(日本新党からさきがけを経由して民主党入りした鳩山首相の側近)も直嶋経産相に加担している。そして、福山哲郎と激論を交わした「経済官庁の副大臣」は増子輝彦という自民党から新進党を経て民主党入りした人物と思われる。さらに、「政府高官」とは政治記事用語で官房副長官を指すから、松野頼久または松井孝治ということになるが、両氏とも鳩山首相の側近である。つまり、旧民社系の直嶋正行経産相と鳩山首相側近の政治家たちが温暖化対策基本法を骨抜きにしてきたわけだ。共同通信配信の東奥日報記事によると、鳩山首相は、4日の参院予算委員会で、「基本法案がぼこぼこにされそうになっている」と表現したとのことだが、記事にもあるように、その背景には、一部産業界や支持母体の連合が強力に働き掛け、主要な対策が当初案から弱められつつある状況があったのであり、その働きかけに応じたのが旧民社系や鳩山首相側近の議員たちだった。

一部の小沢・鳩山信者たちに目の敵にされている岡田克也外相は、確かに普天間基地問題への対応などはひどいものだが、この件に関しては旧民社系や鳩山首相側近による法案の骨抜きに抵抗している。また、「温室効果ガス25%削減」は原発を増設するための陰謀だとする「地球温暖化陰謀論」も、やはり一部の小沢・鳩山信者らによってもまことしやかにささやかれているが、上記朝日新聞の記事からも明らかなように、原発増設で利益を得る電事連や電力総連は「温室効果ガス25%削減」に反対している。「地球温暖化陰謀論」は全くのナンセンスである。

鳩山政権の支持率急落は、民主党内の反執行部勢力が足を引っ張っているわけでも何でもなく、戦犯の最たるものは旧民社系と鳩山首相側近たちである。生方幸夫氏の副幹事長辞任に見られる執行部の過剰反応は、「仮想敵」を作ってそれへの敵対心を煽ることで結束を強めようとしているようにも見え、前述の植草一秀のブログ記事などはその要求に応える内容だが、そんなものに踊らされるほど有権者は愚かではない。

一昨日(21日)のテレビの政治番組では、大塚耕平内閣府副大臣が、法人税増税と消費税増税の大アピールをしていた。当ブログにも、ざまあみやがれ、やっぱり民主党政権は消費税増税路線まっしぐらではないかと勝ち誇ったコメントをしてくる人間もいる。そういう人たちには、2月24日に行われた第1回税制調査会専門家委員会議事録や、委員会のあとに行われた記者会見録を見よと言いたい。

私はむしろ、上記の資料とテレビにおける数々の大塚発言(それは、ほとんど放言といって良いものだった)の間に、あまりに大きなギャップがあることに唖然とするものだ。大塚耕平は民主党内では無派閥の人物のようだが、元日銀マンであり、社民的な政策を推進する人物であるとは思えない。そして、今回の大塚発言を聞いて、私はマスコミや財界に対して大塚が媚を売っていると感じた。

少し前に鳩山首相が「法人税減税が筋だ」と述べた時、「官僚の作文では『社会保険料の事業主拠出を合わせれば(日本は)突出していないとの指摘もある』が、やはり高い」とも言っていたことも同様で、この鳩山発言も「官僚批判」のポーズをとってマスコミや財界に迎合した発言だと思うが、鳩山由紀夫は、自らが代表を務める政党が「政治主導」で取りまとめたはずの税制改正大綱に「官僚の作文」というレッテルを貼って否定したも同然なのである。

こんな男に総理大臣を任せられないのは当然だ。鳩山由紀夫は直ちに首相を退任し、菅直人を後継の首相にすべきである。菅首相だとマスコミの政権攻撃はさらに激しさを増すだろうし、菅直人は6年前の「未納三兄弟」発言など、時に隙を見せる政治家でもあるだけに、鳩山由紀夫が「君臨すれども統治せず」のお飾りでいるなら、鳩山由紀夫を首相に据えた方がスムーズにいくかもしれないと思っていたのだが、鳩山の側近や鳩山自身が好き勝手をやり始めた現状は到底容認できない。鳩山由紀夫には一日も早い総理大臣辞任を求める。


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私自身がブログの記事を書くのにもいまいち力が入らない状態なのに言えた筋合いではないかもしれないが、最近ネットにおける政治談義がやけに低調だ。1月の「小沢一郎 vs. 検察」では大きく盛り上がったが、小沢一郎の不起訴が報じられたあと、鳩山政権内で民社協会系政治家の力が強まって、次々ととんでもないことをやらかしているのに、かつて反安倍晋三や反自民で拳を振り上げていた人間たちは口をつぐんでいる。その間に、日本の政治はもう溶けてしまいそうになっている。

鳩山邦夫が自民党に離党届を出した件は、鳩山が名前を挙げた与謝野馨や舛添要一らの反応も悪く、マスメディアからも冷ややかに扱われており、鳩山に好感触を示したのは平沼赳夫(笑)だけだった。私は昨年、『kojitakenの日記』に、「鳩山邦夫 裏切りの人生」と題したエントリを公開して、当たりをとった。今回の鳩山邦夫の離党で思い出したのはこのエントリのことだが、どうしても思い出せなかったのは、その時に鳩山邦夫が何をやったのかということだった。ネット検索をかけてみてようやく思い出したのだが、鳩山邦夫は「かんぽの宿」の件か何かで麻生首相(当時)と対立して、総務相の職を解かれたのだった。この時、鳩山由紀夫民主党代表(現首相)が実弟の鳩山邦夫について肯定的なコメントをしたか何かで、ネットの民主党支持者たちの多くが鳩山邦夫を歓迎する声を挙げたことに、私は強い不快感を持ち、徹底的な鳩山邦夫批判を行ったのだった。だいたい鳩山邦夫はタカ派の自民党議員(当時)であって、選挙区(福岡6区)には鳩山邦夫の対抗馬である民主党候補・古賀一成氏(衆議院議員)がいたにもかかわらず、鳩山邦夫に対して歓呼の声を挙げる民主党支持者たちをも私は批判した。なんだかんだ言って、民主党支持者の多くも世襲政治家が大好きなんだなと悟った苦い思いだけは今も忘れられないが、鳩山邦夫の空疎な「かんぽの宿」騒ぎなんかすっかり忘れていた。郵政民営化の是非論も、鳩山邦夫にとっては政治利用のための道具であることはあまりに明白だった。今も鳩山邦夫の離党騒動をはやし立てる民主党支持者は多いが、私は鳩山邦夫という人間は、自民党よりもむしろ民主党、特に民主党左派に大きなダメージをもたらす可能性のある政治家であると考えている。その理由については、書くのも面倒だからいちいち書かないけれど、鳩山邦夫がその「裏切りの人生」において何をやってきたかを思い起こしてみれば、私が上記の結論に達した理由は容易にご想像いただけるだろう。

一方、民主党でも小沢一郎幹事長を批判した生方幸夫副幹事長が更迭された。この件では、生方氏がこれまで小沢一郎と親密とされていた横路グループの議員であることに注目したい。前原・野田系の議員ではなく、横路グループの議員から小沢批判の声があがったことは、小沢一郎の幹事長職辞任はそう遠い未来ではないと予感させるものだ。

で、鳩山政権だが、これがもうしっちゃかめっちゃかの状態であり、このていたらくで支持率が30%台から40%台もあるのは、政権交代のご祝儀がまだ残っているからだとしか私には思えない。自民党政権でこれほど失政を重ねていたら、支持率は間違いなく一桁を記録していたことだろう。それほどまでにも鳩山政権のていたらくはひどく、鳩山首相が法人税は減税が筋だとほざくわ、原発推進を打ち出すわ、高校無償化の対象から朝鮮学校を除外するわ、普天間基地は結局沖縄の県内移設、しかも現行案以下のひどい案を提示する動きを見せるわ、などなど、「自公政権でさえやらなかった」と形容されてばかりいる悪政のオンパレードである。

ブログにおける「政治談義」の世界において気づくのは、「小沢・鳩山マンセー」の元有名エコノミスト・植草一秀の人気が急激に凋落していることである。植草ブログ自体はアクセス数を公開していないが、植草を支持しているブログを見てみると、かつてあれほど多かった植草ブログ経由のアクセスが激減していることが観察される。おそらく、全盛期(昨年3月の「西松事件」直後の頃がピークだった)のおよそ3分の1から4分の1くらいにまで減少しているのではないか。鳩山政権のあのていたらくでは、それを必死にマンセーする植草一秀が信用を失うのも止むを得ないだろう。植草は民主党と公明党の連立を肯定するような記事も書いたが、これも植草信者の半数を占める(と私は見ている)もともと社民党に近かった左派からは無視されている。植草信者の残り半数は、平沼赳夫や城内実を支持ないし容認するような極右またはそれに容認的な人たちだが、今後植草はこの人たちを主な拠り所にして、これまでのしがらみを断ち切れない左派を利用する形で生き残りを図るのではないか。そして、植草のニーズと鳩山邦夫のニーズが不気味にシンクロしていることも指摘しておきたい。

鳩山民社国政権の迷走の話題に戻ると、上記以外で私が注目しているのは、先月当ブログでキャンペーンを張った「取り調べの全面可視化」(この「全面」というところが特に重要)への動きである。

一昨日(17日)、民主党は今国会での「可視化法案の見送り」を決めたと一部で報道されたが、ネットでもほとんど注目されず、鳩山・小沢マンセーの「政治ブログ」はもちろん取り上げなかった。私が知ったのは、『kojitakenの日記』に書いた通り、「平成海援隊Discussion BBS政治議論室」という掲示板を通してだった。マスメディアの報道を見ると、時事通信

 法務省は17日、犯罪取り調べの録音・録画(可視化)のための刑事訴訟法改正案について、今国会への提出を見送る方針を民主党に伝えた。

などと書いている。「法務省が民主党に伝えた」ってそりゃ一体何事だ、「政治主導」のはずじゃなかったのかと思ったことはいうまでもない。

この件は、asahi.netも報じているが、今朝の朝日新聞本紙には延与光貞、五十嵐透両記者の署名の入った、さらに詳しい記事が出ている。以下の当エントリの記述は、その朝日新聞記事からの引用を主に、一部私の主観を交えたものである。

取り調べの全面可視化実現をめぐっては、千葉景子法相が就任直後に早期の実現を表明し、一気に気運が高まったものの、同法相が昨年10月(政権発足の翌月)に「捜査に与える影響や問題点を議論する」と述べて党内勉強会を設置してからかげりが見えた。そして、高校無償化の対象から朝鮮学校を除外した件で悪名を高めた中井洽国家公安委員長が、賛否両論の論者を加えた研究会を今年2月から始めた。要するに、中井は「取り調べの全面可視化」にも急ブレーキをかけたのである。

朝日新聞の記事は、さらに「取り調べの全面可視化を実現する議員連盟」の辻恵事務局長(生方幸夫氏の後任として民主党副幹事長に就任すると伝えられた)が「官僚案丸のみだ」と憤っていることを紹介しながら、勉強会の立ち上げも法務省の筋書き通りであり、当初「人権派」大臣との対立を警戒していた官僚から、今では「できるだけ長く続けてほしい」との声が上がり始めていると、皮肉に書いている。

「小沢一郎 vs. 検察」の対立が盛り上がった頃には一時100人以上にメンバーが膨らんだという議連も、小沢一郎の不起訴が決まると会合に参加しなくなる議員が増え、今月上旬に開かれた会合には議員は30人弱しか集まらなかったとのことだ。記事は、「このまま、はいそうですかと言えるはずがない。次の手を考えないと」という議連幹部の言葉で締めくくられているが、民主党がマニフェストに掲げた「取り調べの全面可視化」に、本当に熱心に取り組んでいる議員の数は、せいぜい「30人弱」ということなのだろう。そういう人たちが、「必要な法案の国会提出は早くても2012年」という法務省が示したスケジュールに屈従しそうな千葉法相らに対して「マニフェスト違反だ」、「検討が必要というなら欠陥法案に賛成したことになる(注:2008年と09年の二度、参院で全面可視化法案が可決された)」、「検討するテーマが取り調べる側の理屈ばかりだ。冤罪防止策なのに、捜査側の意見ばかり聞いてどうするのか」などと声を上げている。その通りだと私も思う。なお、ネット右翼が大嫌いな韓国の状況についても、朝日新聞の記事は伝えていて、韓国では捜査当局が率先して可視化を進めているのだそうだ。

当初から難航が予想されていた普天間基地の問題とは異なり、取り調べの全面可視化には、党内の異論はほとんどなく(当ブログ2月5日付エントリ「『取り調べの全面可視化』に反対する衆院議員の名前を晒す」参照)、早期の実現が予想されたが、「人権派大臣」として期待された千葉法相があっさり法務官僚の軍門に下ってしまった。そして、党の取り組みが足踏みしている陰に、小沢一郎と検察の取り引きがあったのではないかと疑っているのは、私だけではないだろう。

前記の「平成海援隊Discussion BBS政治議論室」にも、下記のようなコメントが投稿されている。

(前略)野党時代2度議員立法で提出しました。
阻害要因は何なのでしょうか。菅家さん他冤罪や異様な捜査が明らかになった以上、むしろ加速すべきことです。

となるとわたしがここで再三疑念を言及した「幹事長と検察の手打ち」という儀式の結果、いよいよ疑いは高まるのであります。

まあ、民主党のマニフェストや三党連立合意など方向性や政策はおおむね支持するのですが、鳩山内閣はそれを実行する意欲に欠けるもしくは能力に欠けるのではないかと考えます。

トップ下の攻撃的MFがセンターバック付近でウロウロしているような感じです。
腹が減って動けないのか、下痢でもしているのか、風邪でも引いているのか、もう単にスタミナ切れでゲームに出る資格がないのか、それは不明でありますが。

(浮舟亭田中屋さんのコメントより)


「取り調べの可視化法案」さえも足踏みさせてしまう民主党に、存在価値など何もない。


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その報道に接した時、「ああ、この人はもうダメだな」と思った。そればかりか、4年近くもブログで政治について書き続けてきた緊張の糸が切れそうになった。残っている気力でこうして記事を書いているが、どの程度力が入っているか、自分でも心許ない。

鳩山由紀夫首相が12日の参院予算委員会で、舛添要一(自民)の質問に対し、「世界との比較で日本は法人税が高くて消費税が極めて低いのは事実だ。法人税率を国際的な流れにふさわしく、減税の方向に導いていくのが筋だと考えている」と答弁した件だ(朝日新聞より引用。下記URL参照)。
http://www.asahi.com/politics/update/0312/TKY201003120175.html

これは、財界とマスコミが待望していた答弁だったから、各紙とも一斉にうれしそうにこの答弁を報じたが、私は、せっかく政権交代して、菅直人財務相や税調の専門家委員会(神野直彦委員長)が「高額所得への課税や法人税課税を含む税制全体の改革」(村野瀬玲奈さんによる)を打ち出しているのに、なぜ鳩山首相はちゃぶ台をひっくり返すような真似をするのかと呆れるとともに、肩の力が抜けていくのを感じた。法人税減税なんかしたら、消費税率を引き上げない限り、民主党が公約したマニフェストを実現することなどできないではないか。そんなことは小学生にだってわかることだ。ところが、鳩山首相は場の空気に流されてあっさり法人税減税を口にしてしまった。これには、菅財務相や神野直彦教授も頭痛がしただろう。

この件に限らず、普天間基地問題で迷走したり、原子力発電の推進を打ち出したり、高校無償化から朝鮮学校を対象外とするなど、最近の鳩山政権は、およそ支持できない動きばかりしていたが、この法人税減税発言は、私にとっては衝撃が大きかった。この一件で、私は鳩山由紀夫首相を見限った。この人には総理大臣は務まらない。本エントリ以降、当ブログは鳩山首相の辞任を求める立場に立って記事を公開する。

本エントリは当初、この税制の話をメインにするつもりだったが、後回しにして、原発の話と高校無償化の朝鮮学校除外の話をする。前者に関する興味深い記事を見つけたことと、後者は前回のエントリでも取り上げたが、その後騒ぎが拡大したからだ。

まず原発の話だが、鳩山政権が公約した温室効果ガス削減中期目標(2020年に90年比25%削減)が原発増設の話にすり替えられつつある件について、中期目標の設定値を評価していた飯田哲也氏はどう考えているのだろうと思ってネットで記事を探してみたら、元プロサッカー選手・中田英寿氏のオフィシャルホームページ "nakata.net" の中にコラムを見つけた(下記URL)。
http://nakata.net/jp/column/environment00007.htm

これは、地球温暖化対策の礎となるべき「温暖化対策基本法」が、官僚や産業界の巻き返しによって「マニフェスト違反」となる骨抜きがされようとしていることを警告した記事だ。その中で飯田氏は、原発による温暖化対策について、「原発推進という『むだ骨』」という見出しをつけて下記のように書いている。

 電力会社だけでなく政治家や官僚、御用学者の多くは「原発が温暖化対策の切り札」という「神話」を信じ込んでいるからですが、明らかに事実に反しています。これは、原発そのものが持つ本質的な問題点?安全性、核廃棄物、核拡散など?を無視しているだけではありません。この先、地球温暖化対策に間に合わせようと原発を作ろうにも、10?20年という時間がかかるため、とても間に合わないのです。しかも日本の原発の大半は古くなってきており、10年もすれば次々に閉鎖されてゆきます。
 これまでも日本の温暖化対策は、原発に過剰に頼った計画を作り、その原発が地震やトラブル隠しで止まり、足りない電気を石炭で補ってきた結果、 CO2削減どころか9%(2007年)も増やしてきたのです。このままでは、歴史と事実に学ばない愚か者です。

("nakata.net" 掲載 飯田哲也の「あしたの社会のつくり方」第4回 危うし「温暖化対策基本法」より)


しかも、そればかりか「温暖化対策基本法」には自民党政権時代の法律「環境基本法」にもなかった悪質な条項が書き込まれると飯田氏は指摘する。

(5) 経済優先主義という大公害時代の「亡霊」
 現段階の草案を見ると、すべての条文に渡って「経済との調和を図りつつ」という文言が入っています。一見もっともに見えますが、これを「霞ヶ関文学」として読み解くと「経済に影響しそうな規制はすべて禁止」となります。
 じつはこれは「経済調和条項」と呼ばれ、すべての環境規制を骨抜きにして大公害時代を招き寄せた悪名高いものです。自民党時代に作られた環境基本法でさえ入っていない「過去の亡霊」のような規定なのです。

(前掲コラムより)


2000年頃に、経済産業省の官僚と政治家の綱引きの結果、官僚が勝って「フィードインタリフ」が潰され、その結果日本の環境産業がドイツに大きく遅れをとることになった経緯については、飯田氏が『日経エコロミー』に書いていたと記憶するが、新政権になっても官僚と政治家との駆け引きにおいて官僚が勝利しつつあるようだ。各省庁の代弁者となっていく政治家を、飯田氏は、捕虜が犯人と過ごすうちに愛着を感じる「ストックホルム症候群」になぞらえている。そして、飯田氏自身、

政権発足直後に「25%削減」を実現するためのタスクフォース委員に任命されましたが、委員構成が各省益や旧政権の代弁者が入り交じっていたため、マニフェスト実現のための建設的な議論ができず、一字一句を巡るバトルの場となってしまいました。

とのことだ。

経済産業大臣の責任は重いと思うが、経産相はなんと旧民社系の直嶋正行氏。私は、経産相のポストに旧民社系の人物が就いた時から嫌な予感はしていたが、それが現実になったと感じる。鳩山由紀夫の最大の弱点は、歴史的経緯によって旧民社系労組に支えられた政治家であることで、「友愛」も民社党の故春日一幸氏が愛用していたフレーズだった。政権発足当初は小沢一郎の制御が利いていたが、政治とカネの問題で小沢一郎の影響力が弱まるや、鳩山由紀夫の取り巻きである旧民社系が幅を利かせて暴走を始めたのである。温室効果ガスの削減目標について、経団連だけではなく電力会社や電気会社の御用組合も、自民党でさえ言い出さなかった「90年比4%贈」という噴飯ものの目標値を主張していた。しばしば、エピゴーネン(追随者)は本家本元より過激になる傾向があるが、旧民社系労組と経団連の関係についてもそれはいえて、旧民社系労組の代弁者である旧民社系議員の言いなりになるから、鳩山政権が時に極右方向に暴走し、自公政権よりひどいタカ派的様相を見せるのである。

その最たる例が、高校無償化から朝鮮学校を除外した件であることはいうまでもない。高校無償化自体は評価されるべき政策だが、そこにおそるべきレイシズムを紛れ込ませようとした政治家が、やはり旧民社系の中井洽である。この件は、結局政府がとりあえず朝鮮学校を対象から除外し、第三者機関に朝鮮学校の教育内容を検証させるとという馬鹿げた決着のつけ方をしたが、案の定人種差別撤廃委員会から、高校無償化の対象から朝鮮学校を除外するのは、日本が1995年に締結した人種差別撤廃条約違反に当たるとして、15日にも日本政府に対し、改善を勧告する見通しになったと報じられた(下記URLの毎日新聞記事を参照)。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100313k0000m010140000c.html

国辱ものだと私は思うのだが、中井洽は鳩山首相が3月2日の国会での答弁で朝鮮学校の生徒との面会を検討する考えを示したことが不満らしく、「あの人は超のんきというか、人柄が良すぎるところがある」と首相批判の暴言を吐いた(下記URLの毎日新聞記事を参照)。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100314k0000m010056000c.html

これは、一昨年に中山成彬が麻生内閣の国交相就任早々にやらかした「成田反対はゴネ得」、「日本は単一民族」、「日教組を解体へ」などの一連の失言に匹敵する閣内不一致の問題発言であり、中井は自らを更迭するチャンスを鳩山首相に与えたようなものだと思うが、残念ながらそういう方向には事態は推移しないだろう。まずマスコミが動いていない。朝日新聞には中井の鳩山首相批判は全然掲載されておらず、橋下徹が朝鮮学校に大阪府独自の補助金を出す条件として、教室に掲げられた北朝鮮指導者の肖像画を外すことなどを求めたことに対し、中井が「あんな甘いこと言っていたら違うな」と述べたという記事(下記URL)を社会面に小さく掲載しただけだった。
http://www.asahi.com/politics/update/0313/NGY201003130007.html

そして、中井に関する続報は何も載せていない。この流れでは、鳩山首相が中井を罷免する展開は全く期待できない。そもそも、拉致問題担当大臣を中井にやらせていること自体、鳩山首相が拉致問題を進展させるつもりがないことを示している。そして何より、子どもに罪はないし、朝鮮学校が拉致の犯罪を犯したわけではないのである。中井ひとり制御できない鳩山首相は、やはり支持できない。

以下の追記の部分に、3月3日付エントリで紹介したメールを下さったShuueiさんからいただいた、「すべての高校を無償化に」と題した長文のコメントを紹介する。なお、同じ文章が、『反戦塾』にも紹介されているので、そちらもご参照いただきたい。
今年に入ってから鳩山政権の右傾化がひどい。普天間基地移設問題の件はいまさらいうまでもないが、高校無償化から朝鮮学校を除外すべきだと中井洽拉致問題担当相が言い出し、鳩山由紀夫首相がそれに同調する構えを見せた。その後、昨日未明に産経新聞が「朝鮮学校、一転無償化へ」と報じたが、今朝の朝日新聞は「朝鮮学校、無償化除外へ」と報じた。もし朝日新聞が書く通りの朝鮮学校の無償化除外となるなら、鳩山政権において、中井洽ら極右系の旧民社系が小沢一郎や菅直人らよりも現在政権主流派内で幅を利かせていることを意味する。

なにしろ、普天間基地の問題では、朝日、毎日、共同通信を含めて、全マスコミが「右側」から、と言って悪ければ親米保守の側から鳩山政権に圧力をかける論調を展開しているが、朝鮮学校の無償化対象除外の件になると、産経系列を除くすべてのマスコミが無償化除外はおかしいと主張しているのだ。一方、自民系無所属の城内実衆院議員は、10日の衆院文部科学委員会で、「限度を超えた民族教育に国税を投入するのはいかがなものかと思う」と述べて、事実上朝鮮学校の無償化除外を求めた。政権交代前、ネットではこの城内実を「左側」から応援するのが何年もの長きにわたって流行になっており、私はブログを開設した最初の年である2006年11月以来、一貫してこれを批判してきた。この批判が正しかったことが証明された形だが、城内実応援の旗振り役をつとめてきた人間は恥知らずにも口をつぐんでいる。だが、もしほとんどの大マスメディアさえ批判しているけれども城内実の主張には沿っている右翼的な政策を、政権交代のなった民社国政権が行うことになった場合、旗振りした人間及びそれを黙認した者たちの責任は重く、いつまでも沈黙を続けることは許されない。

政権側がこのていたらくだが、野党・自民党とみんなの党はさらにひどい。両党は10日、教員が違法な政治活動をした場合、3年以下の懲役か100万円以下の罰金を科せられるようにする教育公務員特例法の改正案を衆院に提出した(朝日新聞より引用)。

朝日新聞によると、自民党とみんなの党がこの法案を提出したのは、

北海道教職員組合(北教組)が民主党の小林千代美衆院議員陣営に違法な選挙資金を提供したとされる事件を受けてのことで、自民党の義家弘介参院議員は記者会見で「法律違反の行為を断れる根拠をつくってほしい、という声は教員からもきている」と語った。

とのことである。北教組の事件を政治利用していると言わざるを得ない。北教組の事件に関しては、北海道の中学校教師の方(Shuueiさん)からのメールを3月3日付エントリで紹介したが、そのコメント欄でも議論が展開されているので、それを以下に紹介する。

管理人さんお久しぶりです。私と同じ道民の方のご意見を紹介して下さることを嬉しく思います。

私は、小林議員の問題と石川議員の問題は全く異質な問題だと考えています。

石川議員は、小沢氏の秘書時代における虚偽記載についての違法行為です。

小林議員は、公職選挙法上の違法行為であり、議員の資質を問われる問題であると考えています。

政治的にも道義的にも小林議員が重いと思いますし、議員辞職もやむを得ないと 考えています。

公務員の政治活動の制限は、最高裁判所の判例によっても、 合憲とされている以上、自治労や日教組が自粛するのが当然だと思います。

労働問題に絞るならば、非正規の公務員の待遇を自分達の待遇を削ってでも、格差を是正をする提案を自治体にする姿勢が必要ではないでしょうか…

2010.03.08 20:52 葉隠


>公務員の政治活動の制限は、最高裁判所の判例によっても、 合憲

がーん、知りませんでした。
(何と言う訴訟でしょうか、自分でも調べますが手元に六法がないので・・・)

それにしても、全米の公務員労組が大統領選の候補者支援を公然とやる時代に、日本ではそんな状況だったのか・・・

なんか、日本って、自身無くしちゃいますね・・・北朝鮮かよ、トホホ。

>非正規の公務員の待遇を自分達の待遇を削ってでも、格差を是正をする提案を自治体にする姿勢が必要では

あ、それは下策です。
ダメダメ。

所得格差の是正は下にあわせてはいけません。
あくまで上に近づくものでなければ有害です。
特に公務員の場合、国費負担分はその地域への一方的な流入だし、公務員の消費はその地域の誰かの所得です。
公務員の給料が高いと地味との民間にとって有利です。下がると民間は不利になります。
所得格差の是正は、所得総額と流動性が増大するものでなければ、町の誰かが殺されるので絶対にダメ。

地域経済のダウンサイジングを促す提案はすべて却下されなければなりません。

臨時採用の公務員の待遇についてはこう要求しなければなりません。

1、さっさと正規に採用しろ
2、良い給料をもらえ
3、ついでに地元で金を使え

・・・実は、ついでのはずの3が重要です。

日本は財政は危機でも何でもありませんから、赤字国債でも何でも発行して兎に角金を使わせれば良いのです。
仮に政府の累積債務が1000兆円を突破しても何の問題も起こりません。

2010.03.09 20:22 sonic


小林議員の件は、検察の「狙い撃ち」のターゲットにされた印象は否定できませんが、違反行為があったことは確かなようです。組合の特定政党支持の強要も問題でしょう。

困ったことにこれに便乗して、今月初めの衆院予算委員会で自民党が、教育公務員特例法第18条2項の削除を求めるという憲法違反のとんでもなく筋違いの主張をしています。これは、教員の政治活動に国家公務員と同様に刑事罰を適用できるようにすることを意味します。教育公務員特例法第18条は、「公立学校の教育公務員の政治的行為の制限については、当分の間、地方公務員法第36条の規定にかかわらず、国家公務員の例による」となっているのですが、2項で「違反した者の処罰については国家公務員法第110条第1項の例による趣旨を含むものと解してはならない」と定めていることで、教員が違反した場合は「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」が課せられた国家公務員と違い、行政処分に限ることになっているのです。
しかも、この自民党の主張に対して鳩山首相は「もっともな部分はある」「文相に検討をさせる」とか答えているんですから。

そもそもsonicさんもお嘆きのように、多くの先進国では、公務員の地位を利用したり、公務に関連することでなければ、公務員であれ勤務外の政治活動の自由は基本的に認められているんですね。刑事罰を課す国は極めてまれで、国連の自由権規約委員会からも廃止を勧告されています。

2010.03.10 02:22 ぽむ


↑のコメントで書いたことですが。
自民党が動き出しました。
教員の政治活動に罰則 自民、法案を決定
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100310-00000528-san-pol

更に
教員の政治活動罰則検討…衆院予算委で首相表明
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100301-OYT1T01172.htm

教員の罰則強化、議論は容認=輿石氏
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100306-00000095-jij-pol

今回の事件は、労組が法で禁止されている政治家個人への団体献金を行ったことが問題となっているのです。政治資金規正法違反の疑いで捜査が入ったのですから。これに便乗して、教員の政治活動への規制強化を図るなどというのは、とんでもないこじつけ。一般国民がいだく公務員や日教組への反発も利用しようとの意図も感じられます。
くりかえしますが、多くの先進国では、公務員も政治活動の自由は基本的に認められており、日本のように刑事罰を課す国は主要国では皆無なんです。「日本の常識は世界の非常識」というわけです。
それにしても、「検察の暴走」や「国策捜査」にあれだけ騒ぎ立てる「左派ブロガー」さんたちって、与野党一緒になっての基本的人権の侵害・締め付け強化に結びつく動きにはさっぱり無頓着なようですね。

2010.03.11 01:38 ぽむ


ぽむさんご指摘ありがとうございます。 私は海外の事例は、不勉強で知りませんでした。

ただ、私が前回の提案をしたのは、日本は根強い官尊民卑国家であるからです。
(北教組問題では)北教組に貯まる主任制度反対によってプールされた公金の使われ方は、大変不明朗であるとされています。

勤務時間外の政治活動の制限は論外ですが、特定の政党を支持することを現場の先生方に求める組合の体質は批判しなければなりません。

教育問題に絞るなら、『日の丸・君が問題』で裁判を起こす暇があるなら、不登校や学力低下の問題に本気で取り組めと言いたいですね。

民間教育に携わった私としては、公教育を担う方々の奮起を期待します。

2010.03.11 15:33 葉隠


いうまでもなく輿石東は日教組出身の政治家だが、その弱腰ぶりは驚くべきほどで、自民党とみんなの党がトンデモ法案を出して攻勢をかけている。3月3日付エントリでも書いたように、日本の公務員の労働基本権が奪われている件も、高校で習うような話なのに、全然マスコミの議題に上がらない。鳩山首相は昨年秋に公務員の労働基本権回復を口にしたのだが、そうした「なすべき改革」を行うどころか、極右政党と化した自民党とみんなの党に押しまくられているのだからお話にならない。

こんなことになるのも、小沢一郎の権勢が、ちょっと考えられないほど衰えているのが影響しているように思う。というのは、労組政治家に転向したといわれる小沢一郎だが、特に岩手県教職員組合(岩教組)から支援を受けていると以前聞いたことがあるのだ。輿石東と近いことからも納得できる話だが、自民党とみんなの党の日教組狙い撃ちは、小沢一郎狙い撃ちでもあるように思える。

それに、小沢一郎云々以前に、ただでさえ公務員が労働基本権を制限されている現状において、あらゆる教育活動を「違法な政治活動」の名のもとに恣意的に弾圧することが可能な教育公務員特例法の改正案を自民党とみんなの党が提出したのに、その恐るべき極右的内容を批判する声が極めて小さいことは大問題だ。ま、「リベラル・左派」か「リベラル・平和」か知らないけれども、城内実を容認するような人たちでは無理もないかもしれないが。

今日は、本当は『文藝春秋』4月号に掲載された与謝野馨の「論文」を批判するエントリにするつもりで準備していたのだが、それは次回以降に回す。少しだけ書いておくと、これは予想通り「右」からの改革を唱えたもので、「論文」中にナベツネや中曽根康弘が出てくるなど、与謝野が中曽根?ナベツネラインと直結していることは明白である。全くどいつもこいつも、一億総極右化しているのではないかと思えるほどの醜態である。岡田克也外相が、核密約を含む日米の密約についての報告書を公開したことで、政権交代を評価する声もあるが、私が感じるのはむしろ政治の極端な右翼化だ。

なぜこれほどまでに急激な右翼化の機運が生じたかと考えると、かつて安倍晋三のような極右政治家が総理大臣をやっていた頃は、野党だった民主党は安倍政権に反対するために、本来右派的な議員も「左」側から反対意見を述べたのに対し、政権交代後は「左」側から政権を批判する政党は共産党しか存在しないためだろう。

自民党やみんなの党は政権を「右」側から批判する勢力であって、政権へのブレーキ役は社民党と国民新党(但し後者は経済政策に限る)、それに小沢一郎が果たしてきたのだが、その小沢一郎の権勢が異様なほど衰えているので、右傾化に歯止めがかからなくなっていると私は見ている。かくして、政権交代で右派政権が倒れることによって、かえって右翼化が進むというパラドックスが生じた。かつて日本における右派政治家の代名詞だった小沢一郎に辛うじて歯止めをかけられていたという状態自体が情けない限りだったのだが、その歯止めさえ失いつつある今、日本の政治と社会の将来に対しては悲観的な展望しか持ち得ない今日この頃である。


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ブログに書くタイミングを逸していたのだが、先月21日に投開票が行われた長崎県知事選で、自公が支援した中村法道候補(前副知事)が、民社国三党が支援した橋本剛候補(元農水省官僚)を破って当選した。中村氏の当選後、「諫早湾開門に反対を表明した候補者」と報じられていたので、あれっ、そんなこと争点になってたっけ、と思って調べてみたら、何のことはない、元農水省官僚の橋本候補も、やや曖昧な表現ながら開門に反対の意思表示をしていた。

元農水省官僚で、諫早湾開門にも反対の候補となれば、これは魅力薄だ。しかも、選挙運動で「利益誘導」をしきりに匂わせていたという。これでは自民党候補と何も変わらず、この人と自公候補の事実上の一騎打ちだったら、それは自公候補が勝っても仕方がない。そう思った。

本エントリの記事を書くためにネットで調べてみたところ、民主党長崎県連は「開門調査」に反対しており、昨年夏の総選挙において長崎2区で初当選した福田衣里子議員も「即時開門」には反対の立場をとっていたことを知った。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1194191152/170

なんだ、自民党と民主党といったって、しょせんは利権の奪い合いをする二大政党であって、政治に関して現在報じられているさまざまな事象のうちには、利権の移転という観点から見た時に腑に落ちるものが多いなと思える。

たとえば、エネルギー政策における原発への傾斜がそうだ。環境大臣の小沢鋭仁は、就任当初から「地球温暖化対策」を口実にした原発推進論者であることを表明していたが、資源エネルギー庁は、原子力発電所の現在の新設計画(14基)がすべて実現しても、2030年以降の20年間にさらに20基の新設が必要という試算をがまとめた(毎日新聞記事=下記URL=による)。
http://mainichi.jp/select/science/news/20100306dde035040022000c.html

「これはひどい」としかいいようのない試算である。『広島瀬戸内新聞ニュース』は、さっそくこれを取り上げて批判している(下記URL)。
http://hiroseto.exblog.jp/12267047

はっきり申し上げて、まず「原発新増設ありき」の作文としか言いようがありません。

例えば、遠くの原発ではなく、地域の発電所から電気を供給するようになれば、送電のロスも削減できます。
地域の雇用も増えます。

「電気の地産地消」などということは、資源エネルギー庁のお役人は全く考えないのでしょうか?

こんなものを、政権のエネルギー政策としてそのまま実施してはいけないと思います。


官僚がこんな馬鹿げた試算を出すから、「地球温暖化陰謀論」なんかが大手を振ってまかり通るのである。温暖化対策の問題と原子力発電の是非を問う問題をリンクさせて論じなければならないと主張する識者も少なからずいるのだが、その声はいっこうに広まらない。環境・エネルギー問題は、当ブログでもたまに取り上げるが、それらのエントリはブログの中でも特にアクセス数の少ない不人気エントリになる。つまり読者の関心も低い。

しかし、鳩山民社国政権が本気で日本の政治・経済・社会を立て直すつもりがあるのであれば、こんな試算を政策に反映させてはならない。

まず第一に、いうまでもなく地震国日本でこれ以上原発を増設することの安全性の問題がある。第二に、原発は高コストのエネルギーだということで、それなのになぜ原発建設が推進されてきたかというと、それが自民党政権の定めた国策だったからだ。そこには、当然ながら政官業の癒着構造がある。具体的に書くと、「官」の中心は経済産業省であり、「業」は電力会社や大手電気会社である。それを、一方で事業仕分けなどをやっている政権が見直さないどころか、さらなる原発増設に踏み切ろうとするとはとんでもない話である。地域ごとの大きな電力会社が発電、送電、配電のすべての事業を独占している現在のシステムは、大昔から問題視されているにも関わらず、今まで手つかずだった。規制緩和、規制緩和と叫び続けた自民党政権は、なぜか電力の自由化には手をつけなかった。そして、今また官僚や電力会社は、民主党の政治家たちに対して、「お前らも利権にありつけよ、おいしいぞ」と誘いをかけている。

鳩山政権は、こんな馬鹿げた官僚どもの試算など退けて、民主党のマニフェストにも謳った自然エネルギー(再生可能エネルギー)の開発に注力すべきなのだ。地産地消の自然エネルギーの意義については、『広島瀬戸内新聞ニュース』が指摘する通りである。

普天間基地移設問題に絡んでも、利権の匂いがぷんぷん漂う。1月24日に投開票が行われた名護市長選で、辺野古への移設に反対した稲嶺進氏(民主、共産、社民、国民新、沖縄社会大衆、そうぞう推薦)が当選した時には、これで辺野古沖現行案は消えたと思われたが、選挙の直後から平野博文官房長官が「選挙結果を斟酌(しんしゃく)しなければならないという理由はない」などという不遜な言葉を吐いて雲行きが怪しくなり、先月には国民新党の下地幹雄が「辺野古陸上案」を突然持ち出すなど、予期に反して県内移設への圧力が一気に強まった。これに関しても、下地幹雄が官業側に利権をちらつかされて寝返ったことが容易に推測される。

先週末にブログ『世に倦む日日』が、「普天間移設は、亀井静香がキーパーソンであり、現在は亀井静香が県内移設を容認しているから平野博文を止められずにいるが、亀井静香を説得して県内移設反対に転換させれば県内移設は阻止できる」という趣旨の主張をしていた(同ブログは一定期間が経過すると記事は有料購読読者しか読めなくなるので、現在はリンク先から亀井静香に関する記述を参照することはできない)。

これを読んで、そういえば脱ダム問題でも亀井静香は劇的な方針転換をしたことが、天野礼子氏の著書『ダムと日本』(岩波新書、2001年)に書かれていたのを思い出した。

それで、天野さんはどうやって亀井静香を動かしたのだろうと思って同書をパラパラめくってみると、天野さんは従来の自然保護運動は公害時代からの「アカ攻撃」にやられてきたと考え、名環境庁(現環境省)長官といわれた故鯨岡兵輔氏(1915-2003)と故三木武夫元首相夫人の三木睦子氏に働きかけ、鯨岡氏を中心として自民党から共産党までの超党派で「長良川河口堰問題を語る議員の会」(田英夫=社民連=事務局長)を成立させ、建設省(現国土交通省)と相対していたことを確認した(前掲書88頁)。その活動に、建設大臣時代の亀井静香が目を止めたのだった(同138-139頁)。

つまり、天野さんは周到な活動をしていたわけだが、そこまでせずとも、2008年の「麻生邸リアリティーツアー不当逮捕」の際にも、フリーター労組側の意見を聞いた亀井静香が、これはやりすぎだ、と判断して、当時の警視総監に抗議した例がある事例を、やはり『広島瀬戸内新聞ニュース』が紹介している(下記URL)。
http://hiroseto.exblog.jp/12261890

そういう機動力のある動きができるのは、亀井静香というキャラクターによるところが大きく、天野さんの本を読み返していると、頼りにしていた村山富市元首相(社会党=現社民党)や故野坂浩賢元建設相(1924-2004)らには散々に裏切られたことや、同じ現国民新党の政治家でも、綿貫民輔国民新党前代表(昨年の総選挙で落選して政界引退)が国土庁(現国土交通省)長官時代に天野さんが働きかけた時は、長良川河口堰建設反対の意見に耳を傾けるような反応を示したのに、翌年河口堰の建設が始まったばかりか、綿貫氏自身が建設大臣に就任したという例もある(前掲書139頁)。そうした人たちと対比しながら、天野さんは亀井静香について、「こいつは(失礼)、男だ」と感じたと述べている(前掲書139頁)。

他の事例(亀井静香の死刑制度への反対論やJALキャビンアテンダントの待遇問題)を考え合わせても、普天間基地の県内移設に反対する人々は、単独で意見を発信するだけではなくて、力を合わせて亀井静香国民新党代表に働きかけるのが上策ではないかと思う。『なごなぐ雑記』の宮城康博さん、いかがでしょうか?
バンクーバー五輪は現地時間の28日(日本時間3月1日)に閉幕したが、ネットの世界では冬季五輪の花ともいえる女子フィギュアスケートで日本と韓国のネット住民がヒートアップした。互いに相手国のサイトに攻撃を仕掛け、日本ではネット右翼の総本山ともいえる「2ちゃんねる」が金メダルを獲得したキム・ヨナ選手と韓国への誹謗中傷を行っていたなどとして、韓国版「ネット右翼」の攻撃を受ける羽目になり、3月1日にはつながりにくくなっていたようだ。

スポーツの国際大会に絡んではこういうことはしばしば起きる。サッカーのワールドカップ本大会に日本が初出場したのは1998年だが、本選進出を決めた1997年11月16日のイラン戦、「野人」と呼ばれた岡野雅行のVゴールは今でも鮮明に覚えている。私もにわかサッカーファン、にわかナショナリストと化したものだ。その時の日本でのフィーバーもすごかったが、実はこの試合で敗れたイランにも本戦進出の可能性は残っており、それにはオセアニア代表のオーストラリアに勝てば良かった。そしてこの決戦はホームアンドアウェーで行われ、まずイランで行われた第1戦がドロー。そして、オーストラリアのメルボルンで行われた第2戦は、オーストラリアが2点を先制しながら追いつかれてまさかのドローとなり、その場合アウェーの試合でのゴールが多かった方がW杯本戦に進出するという「アウェイゴールルール」によってイランがW杯出場権を獲得、オーストラリアはオセアニア予選を通じて一度も負けていないのにW杯本戦に進出できないという悲劇的な結果になったのである。

いわば、1993年の「ドーハの悲劇」をホームでやってしまったようなものだ。この試合結果に怒り狂ったオーストラリアのサッカーファンは、当時まだ普及率の低かったインターネットで暴れまくり、政治的及び人種差別的な書き込みを撒き散らしたことが、日本にも伝わってきた。1997年というと、私も自宅でインターネットを始めた年(職場では1990年から使っていた)だったので、フレームが生じやすいネットの特質を改めて認識したものだ(fj.のニュースグループでしょっちゅう議論がフレームアップしていたのを見ていたから、驚きはしなかったが)。

ネットでスポーツの国際試合について書くことは、そういう効果を持っていることを知ってか知らずか、城内実衆院議員が自らのブログでバンクーバー五輪女子フィギュアスケートの優勝者、キム・ヨナ選手を称える記事を上げたのは、2月27日のことだった。
http://www.m-kiuchi.com/2010/02/27/asadamaoganbare/

これを読んで私は吹き出した。なぜかというと、このエントリで、城内実はこともあろうに女子フィギュアの試合でキム・ヨナ選手が日本の浅田真央選手に大差をつけて圧勝したことで、片山さつき候補(前自民党衆院議員)と斉木武志候補(比例で復活当選して現民主党衆院議員)にダブルスコアをつけて圧勝した昨年の総選挙を思い出したらしく、

 だんとつの圧勝というのもあれこれ文句のつけようんがないから気持ちがいいものだ。私の選挙もこれからもそうでありたい。

などと書いていたからだ。つまり、4年間五輪が開催されるカナダで修行して努力を重ね、ルール改正に合わせて高得点の得られる演技を見せたキム選手に、城内実は深く感情移入していたように見えた。スポーツで頂点を極める争いを演じたキム選手と浅田選手のレベルはもっとずっと高いと思うのに、城内実はそれを凡人のレベルにまで引きずり下ろして矮小化し、結果的に両選手を貶めているのではないか。そう私には思えたが、とはいえ、城内実に(この件に関しては)悪気がないことくらいはわかった。

このエントリがアップされた翌日に読んだ私は、裏ブログ『kojitakenの日記』に城内実をからかうエントリを上げたが、なんて恥ずかしい記事を書くんだ、とは思ったものの、この時点ではまさか城内ブログが「炎上」する騒ぎになるとは思いもしなかった。

城内ブログはなぜ炎上したのか。それが今回のエントリのテーマである。

スポーツの国際大会、特に五輪やサッカーのワールドカップは、人々のナショナリズムをかき立てるものだ、ということはもちろんあるだろう。城内実ブログにコメントした人たちの中にも、キム・ヨナ選手や韓国を誹謗中傷しているようにしか見えないものも多かった。

しかし、火に油を注いだのはブログ管理人である城内実その人だった。城内実は、コメント欄の29番にこんなコメントを書いている。

城内 実 2010/02/28 0:52:40

私は前回の選挙でどんなに闇の世界で徹底的にやられようが、748票差で負ければ負けなのです。負ければどこかのとんちんかんな極左レイシストのように「ばーかざまあみろ。おまえはおしまいだ。」とレッテルをはられるのです。

わずかの差で選挙に負けて「自民党の某勢力が暴力団にカネばらまいたといううわさがあるとか、メディアを買収したみたいだとか、トヨタ自動車の奥田経団連会長に圧力をかけたからずるい」とか言ってもしょうがないのです。負けは負け。次回に臥薪嘗胆するしかないのです。

 日本選手に不利なルールだからといかいうお方たち、各国ともメダル獲得で必死なのです。日本がもっとしたたかになるか、どうぞどうぞメダルをとってくださいと譲るしかないではないですか。城内実


こんなコメントを見ていると、城内実が五輪の競技と自分の選挙を重ね合わせている確信がますます強まるのだが、それにも増して城内実が選挙における当選と五輪における金メダルを等価なものとして認識していることが容易に読み取れる。つまり、城内実にとっては、「銀メダル」は選挙での落選に等しいのである。

それが証拠に、女子フィギュアについて書いた2日後の3月1日、五輪の最終盤に行われた女子スピードスケートの追い抜き(パシュート)で、日本チームがドイツに0.02秒差で敗れたものの銀メダルを獲得した時には、城内実はこんな記事をブログに上げた。
http://www.m-kiuchi.com/2010/03/01/olimpicgames/

 私の外務省のドイツ語の先輩が、「ドイツ人と日本人の金メダルへの執念の差を見たような気がする。」と指摘されておられたが、全く同感である。つめの甘さやちょっとしたミスは命とりである。

 私の前回選挙のように浅田真央選手が4年後のオリンピックで金メダルをとること、そしてわずか0.02秒差で金メダルをのがした日本勢が次回に0.02秒差であろうと金メダルをとることを期待している。

 オリンピックのルールがどうのこうのと言う前に、勝たなければしょうがないのである。水面下で国際オリンピック協会に日本人に不利なルール変更については適時適切に申し入れすると同時に、日本選手が精神面でも強くなって欲しいと思った次第である。


キム・ヨナ選手と城内議員ご自身を重ね合わせた前のエントリでは、呆れながらも腹が立つところまでは行かなかったが、この記事には腹が立った。パシュートのドイツチームには長距離に強い選手が多いから、日本チームはいかに序盤で差をつけてそれを守り切るかが勝負の鍵を握るとテレビ中継で言っていたし、実際その通りの展開になり、下馬評では3位くらいかと言われていた日本チームにとってはあわや金メダルというところまでいったのは大健闘だったのだ。しかし、城内実にとっては「日本チームが最後の最後に僅差で逆転負けした」意味しかなかった。もちろん、城内実の脳裏をよぎったのは、2005年の「郵政総選挙」において、猛烈な小泉改革ブーム、郵政民営化ブームが巻き起こり、その影響を受けて城内実自身が静岡7区で自民党公認の片山さつき候補に748票差で敗れたことだった。この選挙では、小泉フィーバーは選挙戦終盤で異様な盛り上がりを見せ、片山さつきの当選も最終盤での大逆転劇といえた。こんないきさつがあったから、城内実は、浅田真央選手もパシュートの日本チームも、次の五輪では「私の選挙のように」金メダルを獲れ(銀メダル=城内実にとっては「落選」と同義=の屈辱を晴らせ)、などと恥知らずなことを平然と書くのである。いったい、カネとコネがものをいう政治の世界で、元警察庁長官の倅が県内だけで8人も当選者が出る衆院の小選挙区で当選することと、実力だけがすべてのスポーツで、世界一を競って銀メダルを取ることのどちらが困難だろうか。城内実にはその程度の想像力さえ持ち合わせがないようだ。

しかも、こうしたおバカな記事を書いている合間にも、城内実はブログのコメント欄に自ら登場し、ブログへの批判者を煽りまくった。同じエントリの84番のコメントは下記の通りである。

城内 実 2010/03/2 1:34:22

みなさまのコメントありがとうございます。
いやあ驚きました。
本当にインターネットの世界の誹謗中傷はこわいですね。
人権擁護法案(インターネット規制法案)の是非について真剣に再考してみたいと思いました。城内実


人権擁護法案云々については、理解できない読者の方もおられると思うが、城内実は右翼の立場からこれに反対してきて、そのことでネット右翼の心をつかんできた政治家である。つまり城内は、「そんなに俺の記事を批判するんだったら、お前らが反対している人権擁護法案賛成に回って、インターネットを規制してやるぞ」と言ってネット右翼を脅しにかかったというわけだ。

ブログのコメント欄では、この84番のコメントは本当に城内先生が書いたのか、と訝る声も多かった。しかし、紛れもなくこれが本物であることを示したのが、翌3月2日の城内ブログのエントリだった。
http://www.m-kiuchi.com/2010/03/02/monbukaakuiinnkai/

 今回大勢のみなさまからコメントをいただきました。ありがとうございます。参考にさせていただきました。

 しかしまあなんという言葉尻をとらえての罵詈雑言のオンパレード。人のブログのコメント欄に書きたいほうだい。いやあ驚いた。

 いつから日本人はこれほど礼儀知らずになったのだろうか。人を批判するならコメント欄には実名で書いて欲しいものです。昔の日本であったら、近所のおじさんから、「こら、ふざけるな。卑怯者名をなのれ。」と一喝されるでしょうね。

 本当にインターネットの世界の誹謗中傷や某勢力の工作はこわいですね(真実がどうか分かりませんがある方から連絡があり某極左レイシストなどが2ちゃんねるなどに城内実へのいやがらせで一般のネット右翼をはじめとするインターネットユーザーに対して工作をしたとのこと。)。

 私が命がけで反対した左派勢力推進の人権擁護法案(インターネット規制法案)の是非について真剣に再考してみたいと思った次第です。私は今回のことで多少不快に感じたくらいですが、インターネットであることないこと誹謗中傷されて真剣に悩まれている方の人権は守るべきだと思いました。

 反日日本人の分断工作にのっかる人も結構いるのですね。まあしかたありませんが・・・・。


結局このエントリが再び「炎上」し、3月2日には再び城内ブログにアクセスしづらくなる状態が続いた。2ちゃんねらーたちも城内のおバカなエントリを嘲笑した。2ちゃんねるの書き込みを抜粋したブログ記事のURLを下記に示す。
http://news020.blog13.fc2.com/blog-entry-299.html

この中には、城内ブログにコメントしている人たちの中には、城内実が民主党議員だと思い込んでいる人がいることを示した『kojitakenの日記』のエントリにリンクを張った書き込みも紹介されている(おかげでこのエントリの存在を知ることができたのだが)。城内実が平沼一派の極右議員だということを知らずに、キム・ヨナ選手を称えたという理由で「キムチ実」などと揶揄した「嫌韓厨」のコメンテーターもひどいが、彼らがつけた火に油を注いで自らのブログを炎上させた城内実には、ただただ呆れるばかりだった。そして、上記リンク先からもわかる通り、ネットの議論にはつきものの誹謗中傷はともかく、「某勢力(某極左レイシスト?)の工作」だとか「反日日本人の分断」などと書き、果てには「人権擁護法案の賛成側に回るぞ」とほのめかしてネット右翼を脅しにかかったつもりの、あまりに馬鹿げたというか子供じみた記事に、本当にこれが国会議員センセの書いたブログなのかと呆気にとられたし、これを読んで城内実への信頼が音を立てて崩れたという支持者も少なくなかったのではないだろうか。あまりに無邪気なネット右翼そのものの文章だが、これを書いたのが城内実自身であることは紛れもない現実なのだ。蛇足ながら、もしかしたら城内実の書く「極左レイシスト」は、ブログのアクセス解析を見ながら、「2ちゃんねる」経由のアクセスがあまりに少ないのに拍子抜けしているのではないかと想像する。でも、考えてみたらそんなことは当たり前で、城内実が「極左レイシストが工作した」と妄想している頃には、「2ちゃんねる」は韓国版ネット右翼の攻撃(?)を受けてつながりにくくなっていたのだ。「極左レイシスト」は、「なんで日に数千件のアクセスしかなくて、影響力なんてたかがしれている俺をそんなに過大評価してるんだろう、城内実はアホちゃうか」と苦笑しているのではないか。あくまで想像だけど(笑)。

冗談はともかく、コメント欄における読者からの激しい反発も、キム・ヨナや韓国を感情的に叩く者が多かった2月27日付エントリへのコメントとは様相が変わってきて、城内実を批判するコメントの方が「反日日本人である極左レイシストの分断工作にみんなが引っかかった」などと書いた城内実よりはるかに説得力のあるものになっていた。さすがに、これはまずいと思ったのか、城内実は昨日になって「謝罪」のエントリを上げた。
http://www.m-kiuchi.com/2010/03/04/oshirase220304/

この程度の「謝罪」に納得した読者もいれば、離れたまま戻ってこない支持者もいるだろう。何しろここには書ききれないが、城内実は怪しげな情報提供者のしゃべったことを真に受けて「小沢幹事長(ozawakannjicyou)は逮捕される可能性が強い」とほのめかして、小沢一郎が不起訴になったあとに読者から批判を受けて言い訳を強いられたり、トヨタのリコール問題について、「まさか郵政民営化を強引に推し進めた天罰が下ったということではあるまい」と書いて、それを同じ右派のブログに批判されるとコメント欄でブチ切れたり、自らの後援者を名指しで批判してブログのコメント欄で乱闘を繰り広げるなど、ブログを毎日読んでいたら、コメディアンとしては抜群の才能を感じさせるものの、とてもではないけど政治はこの人には任せられないと思わせるパフォーマンス、いやドタバタ劇を連日のように演じているのである。

これが、ネットにおける支持者拡大に血道を上げた政治家の現在の姿である。4年前、反小泉のブログ運動に自らを売り込んだ時の城内実のブログ記事はなかなかに格調高くて、ブログ運動の主宰者が騙されたのも無理からぬところと思わせるものだったが、その3年後に国籍法改正に反対した時のブログ記事は、同じ著者の手になるものとは思えないひどさだった(下記URL)。
http://www.m-kiuchi.com/2008/11/11/bakawashinanakyanaoranai/

何より城内実という政治家の体質を象徴しているのは、このパーマリンク中の "bakawashinanakyanaoranai" という文字列だ。そして、リアルの世界では民主党議員だと思われていたり、国会議員であることさえろくに知られていないこの政治家が、ネットでは「右」も「左」もなく結構な支持者を獲得していた。

この「城内実現象」を、もうそろそろ「右」も「左」もなく総括すべき時がきているのではないか。それを行わなければ「右」も「左」もネットにおける言論を前に進めることはできないのではないか。そう私は思う。
普段はブログを更新しない水曜日だが、先週末に北海道で中学校の教師を勤めておられる、Shuueiさんと仰る方から、民主党の小林千代美衆院議員(北海道5区選出)が、北海道教職員組合(北教組)から総額1600万円の違法な選挙資金を受け取ったとされる事件に関してメールを戴いたので、その内容を下記に紹介する。

 初めまして。いつも、ブログを楽しく拝見させていただいています。
 私は北海道で教鞭を執っているものです。
 2月15日、北海道選出の民主党所属小林議員に対する違法献金疑惑で札幌地検の強制捜査がありました。北海道教職員組合から「1600万円」の不正な献金があったとするものです。これは、明らかに小林議員をターゲットにしたものであり、また北教組つぶしといえるものでしょう。違法献金という報道がまかり通っていますが、石川議員の不当逮捕と同様、記載上の形式犯だと私は思っています。小林議員の個人口座に「1600万円」が振り込まれていたことは政治資金規正法上違法になるのかもしれませんが、まさに検察の狙い打ちでしょう。

 08年12月、中山前国交相らは自民党有志による「日教組問題究明議連」(会長・森山真弓元文相・79人)を作りました。「民主党で教育政策を担当しているのは日教組出身の人たち。そういう政党に国は任せられないと強く訴えることが、自民党の勝利に結びつく」こういう露骨に党派的なプロパガンダに乗るのは一部の右派的勢力くらいでしょうが、今回の「1600万円」攻撃は自民党文教族の一連の流れにそうものといえます。

 しかし、今回の「1600万円」事件は検察批判で終わってはならないと思います。今の日本が抱える本質的な問題は何なのか、それを考える契機にしていかなければならないと考えています。

 今、日本の組合の組織率の低下は周知のことです。日教組も20%そこそこと聞いています。強いと言われる北海道も30数%とつい先日の北海道新聞に載っていました。産経新聞が「組合天国」などと報じる学校などこの日本のどこにあるのでしょうか。私は日教組に加入していますが、現在の教職員組合にはその組織率の示すとおり、原則的な運動さえ展開できるような力はなくなっていると感じています。「1600万円」事件が報道されて憤慨するどころか、失笑する者や北教組を非難する者も私の周りにいます。また、日教組攻撃などどこ吹く風の教員も多いと思います。

 しかし教職員組合のことより切実な問題は、この日本の生活の問題です。年間所得が200万円にも満たない人がどれほど多いことか。私は中学一年生のクラスを受け持っていますが、その中に生活保護を受けている家庭が数件あります。そしてそれ以上に多いのが「就学援助」を受けている、準要保護と言われる家庭です。母子家庭や父子家庭、あるいは父親が失業中、病気療養中と実態は様ざまですが、その中に、現在働いているものの2年前に乳ガンの摘出手術を受けたという母子家庭もありました。そのお母さんの年間収入は、140万円です。今中学1年生の娘が高校卒業まで、これから5年もあります。大学まで進めば、9年です。そのお母さんはPTA活動にも参加してくださる気丈な方ですが、将来への不安は他人には言い尽くせないものがあるでしょう。生活保護と就学援助を受けている家庭は、私のクラスの約3分の1にも上ります。格差社会といわれるその現実はすぐそこにあります。

 ところが、正社員として働けるだけでも幸せ、というふうによく言われないでしょうか。民間は苦しい、残業手当なんてもらえなくても働き口があるだけでも恵まれている方だ、組合に加入しているような正社員は労働貴族、などといった言説が当然のように語られます。そして公務員バッシングが公然とマスコミに踊ります。給料が高すぎる、仕事をさぼっている、サービスが悪い…公務員が何か犯罪でも犯せば格好の餌食となります。全体の奉仕者としての職務はもちろん全うしなければなりませんが、私たちも法の下で平等と定められた労働者です。行き過ぎた公務員バッシングには、労働基本権を剥奪されている不当な状況を正しく把握できないほどの思考停止状態、ヒステリックな感情の噴出を感じます。

 バブル崩壊後も貿易収支は黒字を続け、昨年も世界第2位のGDPの国なのに、なぜ、これほど貧困を抱えた人が多くなってしまったのでしょうか。その問題を私たちはどのように解決していけばいいのでしょうか。しかしそう考えるのでなく、日本の景気は悪い、就職口はない、給料は上がらない、恵まれている公務員はしっかり働かなければならない、そんなふうに感情がねじ曲がっていくのはなぜなのでしょうか。現実の問題に対して、真正面から立ち向かっていくような思考を停止させる、ねじ曲がった感情のうねりの中に多くの人が陥ってしまっているように思います。

 08年の献金額は自民党に26億9900万円、民主党には1億900万円と経団連は発表しました。しかしその一方で、その日の食べるものにも窮している家庭が多くあります。「1600万円」事件から日教組のゴシップや検察のあり方など様々なことが連日報道されました。北教組の違法行為は司法のしかるべき判断がなされるべきです。しかし、26億9900万円もの自民党への献金がありながら、小林議員の1600万円をめぐって「重大な子供たちへの背信行為」、「(北教組は)組合活動を具現化するために議席を買っている」などとマスコミを賑わすのは、貧富の格差が広がっていることに目を向けず、生活に不安や不満を持っている人たちが公務員バッシングに走るのと同じ構図ではないでしょうか。今回の事件には、金持ち日本になぜ貧困があふれているのかという切実な問題、そしてその問題を隠してしまう文化装置としてのマスコミの問題など、多くの日本人がはまってしまっている陥穽が露見していると考えています。

 突然このような長文のメールを差し上げたことをお許しください。貴ブログの文章に度々うならされている私です。この「1600万円」事件について、感想などお聞きできたら幸いです。

(Shuueiさんより戴いたメール)


このメールを戴いたのは2月27日で、その2日後の3月1日に、政治資金規正法違反(企業・団体献金の禁止)の疑いで、北教組幹部ら4人を逮捕した。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/218261.html

Shuueiさんからいただいたメールに、私は下記のように回答した(北教組の4人の逮捕前)。

はじめまして、古寺 多見(kojitaken)です。小生が運営するブログ『きまぐれな日々』へのメールどうもありがとうございました。

小林議員の選挙運動に関して、北教組が家宅捜査を受けた件については、軽々しくは判断できませんが、イデオロギー的な捜査ではないかという匂いは感じます。

自民党のタカ派議員たちによる日教組批判には、国民の大多数は関心はないと思いますが、Shuueiさまが例を挙げられた国民生活の問題は本当に深刻ですね。中央のマスコミはそれをほとんど理解していないか、マスコミ人自身が特権階級であるために見て見ぬふりをしているのではないかと思います。

マスコミのみならず、世に蔓延している公務員叩きや派遣労働者叩きに関しては、かつて大阪府で橋下徹知事が計画していた府立高校の非正規職員346人の首切りに反対運動を行っていた方のブログ記事とコメントをブログで紹介した時、読者から記事を非難する「はてなブックマーク」が大量につけられたことがあって、呆れたことがあります。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-740.html

公務員の労働基本権が奪われている件も、高校で習うような話なのに、全然マスコミの議題に上がりませんね。鳩山首相は昨年秋に公務員の労働基本権回復を口にしたと思うのですが。

(ブログ管理人からShuueiさんへの返信メールより)


こう書いた上で、Shuueiさんにブログへの転載許可を求めたところ、快諾を戴いたので、ここに公開する次第である。

ところで、この件に関しては、黒川滋さんのブログ『きょうも歩く』の2月15日付に、「特高の息子を落選させると官憲がやってくる」という刺激的なタイトルの記事が出ているので、興味のある方はご参照いただきたい。黒川さんは、

政治資金規正法で絶対安全なところにいるのは家産から政治資金をつぎ込める二世三世の政治家だけになってきている。

と指摘している。この記事についた「はてなブックマーク」を見ると、「陰謀論だ」などとして記事に否定的なコメントが多いが、検察の捜査にイデオロギーに由来する一定の傾向があることは否定できないと私は思う。

もちろん個々の事件に対しては、公正に捜査が行われるべきだし、Shuueiさんも書かれている通り、北教組に違法行為があれば、それに対して司法のしかるべき判断がなされるべきだろう。しかし、そこだけに焦点を当てて、現在の日本が抱える大きな問題点から目をそらしてはならないと私も思う。格差社会は新自由主義の招いたものであり、デヴィッド・ハーヴェイの仮説によれば、新自由主義とは逆再分配を行って階級を固定するためのプロジェクトである(これも仮説に過ぎないのだが、仮説が誤りであることを示すエビデンスはいっこうに示されない)。それを意識しながら今回の事件を考え、深刻な国民生活の問題にも思いを致すべきだと思う。
2010.03.03 08:12 | コメント特集 | トラックバック(-) | コメント(26) | このエントリーを含むはてなブックマーク
鳩山由紀夫・民社国連立政権の支持率が目に見えて落ちてきた。2週間ほど前に鳩山首相は「これからは民主党らしさを出していく」と言ったが、果たして「民主党らしさ」とは何かと考えても、なかなか出てこない。

民主党が野党で、かつブログなどと言うものを始める前の頃には、「民主党も自民党と似たようなものだけど、政官業癒着構造と距離を置く潔さがあるところが違うくらいかな」という印象を持っていた。あと、小沢一郎が代表に就任する前には、各議員が思い思いの主張をする百花斉放の党風があった。もっともこの点に関しては、小泉純一郎が総理総裁になる前の自民党にも、いや「郵政総選挙」で圧勝する前なら小泉時代の自民党にだって似たような気風はあった。そして、そのあとやっと思い出したのが、情報公開や取り調べの全面可視化、それに最近では企業・団体献金全面禁止などの主張だった。

イデオロギーの絡んだ問題では、左は社民党や旧社会党の流れをくむ民主党最左派、右は自民党より右寄りで悪名の高い旧民社党までが一緒になった政権だから、なかなかコンセンサスが得られないのはわかり切っていたが、情報公開や取り調べの全面可視化くらいはもっと積極的に進めてくれるかと思っていた。しかし、もともと現政権に過大な期待はかけていなかったつもりの私でさえ失望するくらいのていたらくだから、政権交代に大きな期待をかけていた人たちの失望が大きいことは想像に難くない。

現在の状況についてなされている分析は、大ざっぱに言って、都市部を中心として、民主党に「古い自民党」からの脱皮を求め、かつて2001?05年の選挙では自民党に投票し、07年参院選や09年衆院選では民主党に投票した人たちが、新自由主義政党である「みんなの党」に流れる一方で、都市部・地方を問わず、「国民の生活が第一」というスローガンを信じて民主党に投票した人たちの一部が共産党に流れ、新政権に失望した多くの人たちが棄権に回るだろう、いったん自民党を見限って民主党に鞍替えした地方の人が自民党支持に戻ることはないだろう、だいたいこんなところだと思う。

共産党やその支持者が政権を批判することは大いに結構だし、その大部分は正論だと私も思う。一方、「政権交代」に大きな期待を寄せて民主党に投票したことを後悔している人たちに対しては、少し注文がある。それは、いったんは支持した民社国連立政権を、少しでも自らが期待するような方向に動かすことをトライしてみてはどうかということだ。

先月、当ブログはそれを試みた。だから、「取り調べの全面可視化」に反対している衆議院議員(安倍晋三や城内実をはじめとする「政治思想右派」が多い)を可視化したし(2月5日付)、マスコミが「消費税論議を始める」と連呼した税制改革についても、「議論を本格化させるのは『消費税』ではなく税制全体の見直し」であることを指摘した。特に、2月5日付エントリ「『取り調べの全面可視化』に反対する衆院議員の名前を晒す」は、私の狙い通り、2月度において最多のアクセスを記録したエントリになった。

だが、所詮は「蟷螂の斧」。民社国政権の動きは鈍い。昨日(2月28日付)の『西日本新聞』社説でも、「取り調べ録画 法案化なぜ急がないのか」と催促されている。この社説では千葉景子法相と中井洽国家公安委員長が批判されており、特に中井洽に対しては、

 とりわけ中井氏は慎重だ。全面可視化について「自白に頼る捜査をそのままにして導入すれば検挙水準を落とす」と指摘し、司法取引など「新たな捜査手法」導入との同時実施を主張している。

 「自白頼り」の捜査は、もちろん改めるべきだ。しかし、可視化の導入は、検挙水準を高める捜査手法の検討とは次元が異なる問題だ。それを同列で論じる中井氏の姿勢には違和感を覚える。

と手厳しく批判している。ところが、この中井洽は、上述の「『取り調べの全面可視化』に反対する衆院議員」には名前が出てこない。つまり、党の公約だから、新聞社のアンケートには「賛成」と答えながら、本音はそうではないということだ。民主党にはこういう議員が大勢いるから困ったものである。なお、中井は旧民社系だが、自由党経由の議員であり、小沢一郎と行動を共にした時期が長い「小沢側近」と見られているとのことだ。

中井は、高校無償化法案から朝鮮学校を除外すべきだとも主張している。思想が全くはっきりしない鳩山首相はこれに同調したが、国連人権差別撤廃委員会が行なっている対日審査会合でこの問題が取り上げられ、北朝鮮との外交関係を理由に差別的措置がとられようとしている、という問題認識が委員から指摘された。

かつて安倍晋三が北朝鮮に対する強硬姿勢を打ち出して自らの人気を浮揚させたことがあったが、鳩山政権はまさか安倍晋三に倣おうというのだろうか。民主党の中でも、自民党の平均的議員よりはるかに右寄りであり、思想的に安倍晋三に近い中井洽を拉致問題担当大臣にしている鳩山首相のセンスは理解できない。鳩山政権の目指す方向性が全くわからないのである。

たとえば福田康夫元首相は、安倍晋三の対北強硬姿勢を改め、アジア重視の一環として日朝関係改善を目指しており、それを政権浮揚につなげようとしていたふしがあった。一昨年9月1日に福田康夫が突如辞意を表明したのは、「福田では参院選に勝てない」と考えていた公明党が自民党に圧力をかけたためだとされている。実際、麻生太郎が総理大臣に就任した直後に衆議院を解散していれば、政権交代が起きなかった可能性もあったが、小心な麻生は週刊誌や自民党独自調査による衆院選情勢予測が必ずしも良くなかったために解散を先送りし、そのあげくに先送りできなくなった任期満了直前の解散に追い込まれて大敗を喫した。時の流れを読めなかった麻生だが、小心なポピュリストでもある彼は、対北朝鮮政策でも、強硬姿勢を好む国民世論に阿って、安倍時代の強硬姿勢に戻してしまった。そして、鳩山現首相が拉致担当大臣に中井洽を据えた時、安倍晋三は小躍りしたといわれている。麻生にせよ鳩山にせよ、対北強硬姿勢をとることが政権浮揚につながるとでも勘違いしていそうなところがなんともイタい。安倍の思想信条及びキャラクターからしたら対北強硬姿勢は安倍の内面と一致しており当然だが、麻生の「国士気取り」は内面から出たものではなく人気をとろうとしてのものだと私は考えているし、鳩山に至っては人に気に入られるためなら何でもやる、究極の八方美人にしか見えない。

現在の民社国連立政権では、左派(菅直人系や旧社会党系及び社民党など)の力が、おそらく黒幕格の小沢一郎が「政治と金」の問題で痛めつけられた影響もあって弱っており、相対的に旧民社系に代表される右派の力が強まっている。歴史的経緯からいうと、鳩山由紀夫は旧民社系に支えられてきた政治家だが、トロイカの菅直人は市民運動出身、小沢一郎はもともとは政治思想も経済政策もゴリゴリの右派だったが、これも歴史的経緯によって民主党入りと同時に労組政治家に転向した人間だ。つまり、トロイカの他の二人からは鳩山由紀夫を左に引っ張る力が働く。それが弱っているのが現状ではないかと私は思うのだ。

旧民社系というのは、七奉行よりもっと右の人たちであって、代表格が平野博文官房長官であることはいうまでもない。七奉行には枝野幸男ら民主党の中間派や外交・安全保障ではタカ派の前原誠司、それにより右寄りの野田佳彦らがいるが、党内の中道右派として比較的まとまった位置を占めている。それに対し、旧民社系はいわば極右であり、現在の政権は民主党内でも左派と極右が支える形になっている。だから鳩山首相が股裂きされるような形になって、何事も決められない印象を与えるのである。特に、鳩山首相が当座の仕事のやりやすさだけを優先して官房長官に平野博文を据えた人事は致命的だった。この人事が報じられた頃から、多くの人が鳩山首相に警鐘を鳴らし、平野博文の更迭を求めてきたが、鳩山首相がそんな草の根の声に耳を傾けるはずはなく、いまや政権が大きく傾いている。

マスコミの狙いは何かというと、朝日新聞などの立場だと現在のトロイカ主導の体制をひっくり返して、七奉行らが主導する政権へと移行させることだし、読売や産経だと自民党政権に戻すために政権を弱めることだ。その場合、旧民社系のような極右のはね上がりは若干減るかもしれないが、根幹となる政策、たとえば雇用や景気に関わる政策や税制改革などは、自公政権時代の新自由主義政策に近いものになる。それでは、それこそ政権交代の意味が全くなくなると思うのだ。

だから、総選挙で民主党に投票した人間であれば(私自身は選挙区では民主党候補、比例区では共産党に投票したのだが)、小沢一郎の「政治と金」の問題や、中井洽や平野博文などの極右政治家のはね上がりを叩くと同時に、現政権の政策をあるべき方向に向かわせるために役立つ情報の発信もしてほしいと思う今日この頃である。
2010.03.01 08:28 | 民主党 | トラックバック(-) | コメント(13) | このエントリーを含むはてなブックマーク