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きまぐれな日々

昨日は情報量不足のエントリだったにもかかわらず、今年3番目となる多数のアクセスをいただき、読者の皆さまには感謝する次第だ。6月度累計でも、西松事件が騒がれた今年3月度に次いで、過去2番目に多い月間アクセス数となる見込みである。

だが、テレビが政局の話題で大騒ぎすればするほど、気が滅入ってしまう。先週金曜日のエントリにいただいたコメントで観潮楼さんが指摘した通り、今回の東国原・橋下騒動の本質は「争点から『脱改革・反貧困』を露骨に外す」ことにある。騒げば騒ぐほど彼らの狙いにはまってしまう。なんでこんなひどい政治になってしまったのかと思う時、「90年代の政治改革の失敗」という言葉が頭に浮かぶが、朝日新聞の一色清も星浩も、「政権交代のできる態勢ができたのは良かったのだが」という言い方しかしない。ブログで選挙制度をめぐって自民党と民主党が定数削減を競う動きを批判しても、結構コメントはいただくけれども、他のブログを見渡しても、共産党支持ブログ以外でこの件を積極的に取り上げようとするところは数えるほどしかない。政権交代が実現したって、カイカクが続いて格差拡大がますます進んでしまっては意味がないのである。ましてや、自民党内の麻生降ろしなど、本当にどうでも良い。昨日は塩崎恭久がテレビに露出していたが、愛媛1区の状況は必ずしも塩崎にとって芳しくないことを思い出した。自民党の党内政局は、自民党の政治家にとって売名の絶好のチャンスであり、それにブログまでもが手を貸してやることは何もない。

気の滅入る「政権交代」前夜とはいえ、それでも期待があるとすれば政権交代による「情報公開」の前進だろうか。1960年の日米安全保障条約改定時の核持ち込み密約について、村田良平・元外務事務次官が新聞各社の取材に対しその存在を認めたが、河村建夫官房長官は相変わらず密約の存在を否定する。記者団に質問を受けた河村氏は、「政府見解だからしょうがない。文書そのものがないことになっている。ないものは出せない」と投げやりに答えた。言外に「これは建前ですよ。皆さんおわかりでしょ。私の職務権限では『ある』とは言えないんですよ」と匂わせている、というより露骨に言っている。政権交代が目前になると官房長官の態度もこうなるんだな、と思わせる。民主党の岡田克也幹事長は、以前から「沖縄密約に限らず、政権交代をしたら情報公開を徹底する」と明言しているし、毎日新聞社説は「日本の安全保障政策の根幹にかかわる問題をいつまでも隠し続けているのは外交に対する国民の信頼を得るうえで大きなマイナスである」、朝日新聞社説も「国民に信頼される外交を育むためにも、もうほおかむりは許されない」と書くが(読売新聞は取り上げていないw)、それでも政府は認めない。この情報公開くらいは、政権交代が起きたら実行され、過去に岸信介や佐藤栄作らが行った犯罪的な密約が明らかにされて安倍晋三がダメージを受けることだろう。

政権交代が起きれば実現できることと、自民党と民主党の間の政権交代では永遠に実現できないことがある。後者を改めるためには、選挙制度を比例代表重視に改変するしかないと思うが、民主党支持ブログがこの件について議論さえしない現状では、みすみす民主党を「第二自民党」にしてしまうだけだろう。


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金曜日のエントリ「やはり東国原英夫らの妄動は「新自由主義の逆襲」だった」は、当ブログとしては5月以降では一番の人気エントリになったが、土日は外出して日常生活から離れており、政治番組も一切見なかった。

その前、金曜日のテレビ朝日「放送ステーション」では、時々同番組に出演する寺島実郎が、東国原と橋下の妄動を厳しく批判した。寺島氏は、4年前の「郵政総選挙」同様のワンフレーズ選挙にするな、「地方分権」のワンフレーズで、さまざまな国政の課題をそっちのけにしてしまうと、日本の行く末を誤りかねない、と強い調子で語り、前日(木曜日)に東国原と橋下を手放しで賛美した古舘伊知郎は憮然とした表情を見せた(ざまあみろ)。4年前の「郵政総選挙」の時とは違い、権力側の妄動に反撃する姿勢を見せる知識人がいることに救いを感じた。

東国原がアドバルーンをぶち上げた直後には、「次の総理大臣は誰が良いか」とのテレビ局の街頭インタビューで東国原が鳩山由紀夫と麻生太郎を大きく抑えたが、これもわずか数日で勢いがしぼんだ。古賀誠が東国原を訪れて衆院選出馬を要請したのが6月23日で、前記の街頭インタビューはその日に行われたものだが、その2日後にフジテレビが首都圏で行った調査では、「次の総理大臣」の人気調査で東国原は鳩山由紀夫(15.0%)はおろか、舛添要一(8.4%)や岡田克也(7.8%)より下の4位(7.6%)だった。5位はコイズミ(5.8%)で、麻生太郎はやっとこさ6番目だ(4.6%)。売名パフォーマンスで売った鳩山邦夫は3.0%しかなく、橋下徹に至ってはわずか0.8%だった。もちろん大阪でインタビューすれば橋下はもっと多いのだろうが、全国区での人気はまだ知れている。ただ、橋下の場合はひとたび口を開けば勢いで人を引っ張る能力を持っていることは、山口県光市母子殺害事件の弁護団の懲戒請求をテレビで煽った時の実績から明らかだから、強い警戒を要すると思う。橋下がアジった番組は、首都圏では放送されていないやしきたかじん司会の極右番組で、読売テレビ(大阪)が製作して首都圏以外の日本の大部分で放送されている。庶民の町と言われて人々の反骨精神が旺盛で、かつては自民党の支持率も低かった大阪から、こうした極右のうねりが生じていることは、まことに嘆かわしい限りだ。

その橋下にも、古賀誠から衆院選出馬の要請があったことが報じられている(産経新聞記事参照)。東国原と違ってここで大はしゃぎしなかったのが橋下のしたたかなところだ。東国原は、自民党の「カイカク勢力」に決起を呼びかけるなど、舞い上がった言動をとり、「なんで自民党にすり寄るんだ、みっともない」という印象を視聴者(笑)に与えたことがマイナス材料となった。「郵政総選挙」でコイズミを応援した伊藤洋一が東国原には最初から冷淡だったことは6月25日付エントリ「静岡県知事選・東京都議選で苦戦の自民党と、東国原の野望」で書いた通りだが、それだけに古舘のはしゃぎぶりには狼狽した。だが、情勢は東国原や古舘が望むような方向には必ずしも進んでいないようだ。日曜日の「サンデープロジェクト」は、私は見ていないが、聞くところによると、出演者はみな東国原らの妄動には冷淡だったそうだ。

そして、昨日の日曜日に投開票が行われた横須賀市長選では、コイズミや公明党、それに自民・民主の一部や連合などが応援した現職の蒲谷亮一市長が無所属の前市議・吉田雄人氏に敗北した。既に元首相・安倍晋三の地元下関市でも安倍系列の候補者が完敗しているが、その波は「カイカク」の本丸・コイズミの地元にも及んだということだろう。そんなコイズミ系列の蒲谷市長を、連合や(一部とはいえ)民主党も応援していたことは、70年代末からずっと続く地方自治体での共産党を除く「オール与党」体質が今も続いていることを示すが、民主・社民両党や連合などは、こんな時代錯誤から一刻も早く脱却してもらいたい。いくら「自公民相乗り」だろうが、「現職」というだけで住民の反感を買って敗れるのが最近の地方選挙の特徴だ。下関で安倍系列、横須賀でコイズミ系列が敗れたのは、「現職」が忌避されたためだろう。もっとも下関の場合は現職の江島潔が出馬せず、後継候補が敗れたのだが、江島が出馬しなかったのは、立候補しても勝てないと判断したからだと言われている。

東国原人気がいまいち盛り上がらないのも、東国原が「自民党のカイカク派」なんかに決起を呼びかけたりしたからだろう。なんだ、東国原は自民党とつるんでいるのかという印象を視聴者に与えると、それだけで人気はしぼんでしまう。橋下徹はそんなことは百も承知しているから、自民党からアプローチを受けていながら、民主党に色目を使うなどの手練手管を使う。それにまんまと引っかかる鳩山由紀夫や菅直人も情けないが、日曜日のフジテレビの番組では、民主党の岡田克也幹事長が「東国原がやっていることは、郵政総選挙におけるコイズミの『刺客作戦』と同じだ」と批判したそうだ。鳩山由紀夫が「反自民」で岡田克也が「親自民」だなんて言ってたのは誰だ、と嫌味の一つも言いたくなる。

電波芸者たちの話題の的は、麻生首相がいつ解散するか、そのことばかりだが、私はもういい加減にこの話題には食傷しており、そんなことはどうでも良いと思えてきた。ブログへのアクセス解析を見ていても、土曜日には「棚橋泰文」を検索語にしたブログへの来訪が少しあったが、この売名屋が「麻生降ろし」の声をあげていたであろうことは、アクセス解析を見て見当がついたし、実際その通りだった。

政策そっちのけで、対民主党及び自民党内の謀略合戦ばかりが繰り広げられている現在の醜態こそ、「郵政総選挙」で有権者が自民党に圧倒的な多数を与えたことの結果だ。ありもしない「カイカクの断行」なんかに期待してコイズミに騙されたから、こんなことになった。麻生首相がいつ解散しようが遠くない先に必ず行われる総選挙では、今度こそ騙されないようにしたいものである。

[追記]
読売新聞で読んだのですが、フジテレビで東国原を批判した岡田克也も、他の番組では橋下に容認的な発言をしていたそうです。これでは鳩山由紀夫や菅直人ともどもダメですね。


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やはり東国原と橋下はつるんでいた。言いだしっぺは、元巨人の桑田真澄に似たいやらしい風貌の横浜市長・中田宏だったらしい。以下、日経新聞の記事を引用する。

橋下大阪知事、中田横浜市長らが政治グループ立ち上げ

 大阪府の橋下徹知事は24日夜に東京都内で横浜市の中田宏市長らと会談し、地方分権の推進を目指す自治体首長らで政治グループを結成することを正式に決めた。次期衆院選の各政党のマニフェスト(政権公約)を精査し、グループとして支持政党を表明したい考えだ。

 関係者によると、会談には中田市長のほか、松山市の中村時広市長と神奈川県開成町の露木順一町長が参加。「20人程度の首長が賛同している」(知事側近)としており、今後、ほかの首長にも参加を呼び掛ける。

 一方、横浜市の中田宏市長は25日、橋下徹大阪府知事らと共同で地方分権の推進などを目指す自治体首長の政治グループについて「各党の公約やマニフェスト、実行力を検討したり、(自分たちで)出したりする」と説明した。ただ次期衆院選に向けた支持政党の表明は「誤解を生む」として否定的な考えを示した。

(NIKKEI NET, 2009年6月25日 11:04)


テレビ報道は、「地方分権」グループ結成などと橋下らを持ち上げていた。特に、4年前の郵政総選挙を前にしたテレビ討論で、郵政民営化に反対する共産党議員の発言を大声でさえぎり、郵政民営化に賛成する立場から自分の意見を述べる「異様な司会ぶり」を見せた古舘伊知郎(2005年9月3日付「しんぶん赤旗」参照)は、手放しで橋下らを賛美していた。それだけでテレビを見るのが苦痛になった。

東国原は自民党にアプローチしているが、橋下は民主党に色目を使って揺さぶりをかけている。「報道ステーション」が言うには、「首相周辺」は、東国原は買っているが橋下を警戒しており、「橋下や中田宏が支持政党を表明するらしいが、そんなことを許しても良いのか」と言っていたとのことだ。やはり橋下徹は東国原英夫とは違ってしたたかである。

橋下らの言う「地方分権」の主張はたいしたものではなく、自民党にも民主党にものめる程度のものだとテレビのコメンテーターは言う。そして、大阪で橋下が行っていることは福祉の切り捨てであり、職員とサービスを削って府の資産を売却した結果達成した「黒字化」など、橋下自身が認めるとおり「ほめられた話ではない」。だが、この件で橋下には「ろくでもないことをやっている自覚がある」とブログで叩いたところ、橋下信者たちから猛烈なバッシングを受けた。橋下信者いわく、論理のすり替えだと言うのだが、「職員とサービスの削減」が「ろくでもないこと」でなくて何なのか、と言いたい。当ブログは、小沢一郎を批判した時にもバッシングを受けた経験があるが、橋下を批判するたびに受けるバッシングの強さは小沢を批判した時の比ではなく、橋下信者のパワーもさることながら、その数の多さには呆れるばかりだ。橋下でほめられるのは、世襲政治家ではないことくらいだと私は思う。

だが、世間一般の評価はそうではなく、橋下は大阪府民以外からも熱狂的な支持を受けている。だから、もし橋下が自民党支持をはっきり打ち出したら、「政権交代」など吹っ飛んでしまうだろう。昨日も書いた通り、橋下が自民党を支持する大義名分も思いつかないのだが、ニュースでは「グループ結成」などと言っているから、彼らは別に自民党でなくて新党でも構わないのだろう。そして、東国原は自民党のカイカク派に決起を呼びかけた。
http://mainichi.jp/select/today/news/20090625k0000e010057000c.html

東国原知事:「自民党改革派決起を」首長グループには期待

 次期衆院選に出馬の意欲を見せている宮崎県の東国原英夫知事は25日、県庁で記者団に対し「自民党の改革派にぜひ、決起していただきたい」と述べた。また、大阪府の橋下徹知事らが地方分権のために首長グループを結成する動きには「橋下知事とは意思疎通はできている。理念・信条は同じだ」と期待感を示した。

 知事によると、現在は自民党の返事を待っている状態だといい「これは地方の反乱。地方対国の戦いである。国民に関心を持ってもらいたい」と話した。

 県庁に寄せられる意見で出馬に反対が約8割と圧倒的なことには「実態を反映していないのではないか。組織票も考えられる」と述べた。

 知事は、自民党の古賀誠選対委員長が要請した立候補の条件に、▽自らを総裁選の候補とする▽全国知事会の要望を次期衆院選の党政権公約に盛り込むことを求めている。【石田宗久】

(毎日新聞 2009年6月25日 13時41分 更新:6月25日 15時8分)


思い出されるのが昨年旗揚げした「せんたく」(「地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合」)だ。北川正恭や東国原らが発起人になって発足したこの「せんたく」を、当ブログは昨年1月22日付エントリ「民主党の気の緩みと新自由主義勢力の猛反撃」で、下記のように批判した。

それにしても、ここにきての新自由主義勢力の巻き返しはすさまじい。北川正恭、東国原英夫らが発起人となって発足した「せんたく」(「地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合」)もその一環だと私は見ている。北川自身、90年代前半の「政治改革」の局面における新自由主義のプレーヤーだったし、徴兵制などの極右的発言を繰り返している東国原や、東京都知事選で石原慎太郎と相互応援した神奈川県知事の松沢成文が加わっていることから、この連合は新自由主義と新保守主義、それに東国原に象徴されるポピュリズムが合体した性格を持つと私は考えている。これは、地域・生活者起点どころか国民生活の破壊につながるものだ。こんな勢力の台頭を許してはならない。

(当ブログ2008年1月22日付 「民主党の気の緩みと新自由主義勢力の猛反撃」より)


今回の東国原らの動きは、まさにこの「新自由主義と新保守主義、それに東国原に象徴されるポピュリズムが合体した性格」を持つ運動である。それを、古舘伊知郎が手放しで賛美する。コイズミ劇場の悪夢が脳裏をよぎる。それなのに、鳩山由紀夫はのんきに「東国原の考えは民主党と同じ」などと言う。それどころか、読売新聞の報道によると、鳩山や菅直人は橋下らとの連携に意欲を示したという。かつて2001年に鳩山がコイズミに「共闘」を呼びかけ、カイカク競争をやったことが思い出される。せめて小沢一郎だったら鳩山のような間抜けなリアクションはしなかったのではあるまいか。

それにしても呆れるのは自民党の「カイカク派」に決起を呼びかける東国原の発言で、カイカク派というと中川秀直だの小池百合子だのの不愉快な顔しか思い浮かばないし(コイズミは引退するから除外)、場合によっては鵺(ぬえ)のような安倍晋三もその中に加わるかもしれない。だが、ほかならぬこいつらが新自由主義政策を進めて地方の経済と生活を破壊したから、地方は疲弊して、自民党の党勢も衰退したのである。「地域主権」を旗印にする人間が、なぜそんな奴等に決起を呼びかけるのだろうか? 東国原の言う「地域主権」など単なる方便に過ぎず、その真の狙いは新自由主義の逆襲だとしか私には思えない。

これまで解散について聞かれても何も語らなかった麻生太郎首相が、昨日突然、解散について「そう遠くない日だと思う」と言い出したが、これはカイカク派の逆襲を封じる狙いがあるものと思われる。麻生は、民主党を利するような解散はやるつもりはなかったが、「カイカク派」に寝首をかかれる危機が迫れば話は別だ。一刻も早く「バカヤロー」と叫んで衆議院を解散してもらいたい。さもなくば、麻生よりずっと悪質な国民の敵である「カイカク派」にしてやられてしまうだろう。

[追記]
観潮楼さんのコメントにある、「争点から『脱改革・反貧困』を露骨に外すのが狙い」という指摘が、今回の東国原・橋下騒動の本質を突いていると思います。


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東国原騒動を取り上げた昨日のエントリは、ユニークアクセス数で鳩山由紀夫が民主党代表に選ばれた直後(5月18日)以来、トータルアクセス数では小沢一郎が民主党代表を辞任した翌日(5月12日)以来のアクセス数を記録した。ワイドショーも大騒ぎした東国原騒動に興味をひかれた方が多かったようだ。

なんでも、騒動勃発の翌日にテレビ局が街頭で「総理大臣にふさわしいのは誰か」と聞いたところ、東国原は、2位の鳩山由紀夫や3位の麻生太郎を大きく引き離して1位だったそうだ。なぜ東国原を支持するかというと、「何かやってくれそうだから」と、選挙民が有名人を選ぶ時の典型的な回答が返ってきた。鳩山由紀夫や麻生太郎は何もやってくれそうにないらしい(笑)。

だが、そんな鳩山由紀夫や民主党でも、麻生太郎や自民党と比較すると「何かやってくれそうだ」と思われているようだ。今週号(7月5日号)の「サンデー毎日」は、電話調査の結果、民主党の分裂選挙になった静岡県知事選で、民主党推薦の川勝平太氏が、自民党推薦の坂本由紀子氏をわずかに抑えてリードしていると伝えている。この選挙では、民主党の元参院議員・海野徹氏と共産党推薦の平野定義氏も立候補しているが、川勝・坂本両氏に遠く及ばない情勢だ。

さらに同誌は、東京都議選でも与党の過半数割れを予想している。当ブログは、2か月前に同誌に載った予想を、間の悪いことに月曜日(22日)付エントリ「東京都議選と大型補正予算と麻生太郎と」で紹介したが、2か月前には民主党が議席を伸ばすものの自民党が第一党確保という予想だったのに、最新号では自民党39議席(5月3日号では45議席)、民主党48議席(同42議席)、公明党23議席(同23議席)、共産党12議席(同12議席)、生活者ネット2議席(同3議席)、諸派・無所属3議席(同2議席)となっており、微妙な情勢ながら自公が過半数割れするとの予想に変わった。麻生太郎首相が必死に都議選の応援に駆け回る気持ちもわかろうというものだが、応援先でも得意の言い間違いをするありさまで、逆効果かもしれない。なんでも、「惜敗を期して」と言ったそうだが、まさにその「惜敗」の予想が出ているというわけだ。

8月2日か9日の衆院選投票にするためには、天皇の外遊日程を考慮すると、7月2日までに衆議院を解散しなければならないそうで、優柔不断の麻生が静岡県知事選や東京都議選を前に決断を下せるとはとても思えない。だが、ここで決断しないと麻生は実質的に解散権を失う。東国原英夫は、自民党が窮地に陥っているのを見て、売名の絶好のチャンスだと思って攻勢に出ているが、果たしてどうなるか。4年前の「郵政総選挙」の時にコイズミを応援していた伊藤洋一は、「東国原さんはなぜ自民党にすり寄るのか。東国原さんも自民党もみっともない」とコメントしていた。テレビに応援されない東国原で「コイズミ劇場」の再来を起こすのは難しいだろう。ただ、警戒すべきは橋下徹であって、橋下が自民党を応援すれば情勢は一変する。とはいえ橋下が自民党を応援する大義名分が思い浮かばない。自民党が東国原の言う、「全国知事会がまとめた地方分権のマニフェストを一言一句、自民党のマニフェストに盛り込む」という条件を呑んで、自民党がカイカク者づらするのだろうか?

東国原にしても、自民党総裁選には国会議員でなければ立候補できないから、自らの野心のためには、まず衆院選に立候補しなければならない。しかし、衆院選で与党が過半数を確保すれば、これほど「政権交代」が必至といわれている状態で踏みとどまることになるから、普通に考えれば総裁選は麻生太郎の再選となる。そうなれば地方分権のマニフェストなど反故にされ、東国原は使い捨てだ。そう考えたら、知事会が自民党支持を打ち出すとは思えないのだが。

一方、民主党の対応も感心しない。東国原を牽制する記者会見を行った鳩山由紀夫代表は、東国原の考えは民主党に近いが、知事の職を全うすべきだと考えるから民主党から東国原に働きかけはしないと言っていた。東国原の考えというのは地方分権を指すのだろうが、東国原の思想はそれだけではない。東国原は、「徴兵制があってしかるべきだ」とか、「徴農制が必要だ」(同様の発言は稲田朋美も行った)などと発言した極右(極左とも紙一重かもしれない)である。そんな東国原と民主党の「考えが近い」などと言うのは、いくら鳩山が民主党の中でももっとも「右」に位置する政治家の一人だとはいっても、ちょっと軽率に過ぎる。世襲議員でもある鳩山に長く代表を務めさせるのは考えものであり、民主党は来年(2010年)の代表選を国会議員だけではなく党員、サポーターを入れた投票で行い、世襲政治を一掃してほしいものだと思う。しかし、実際にそうなるとはあまり思えない。権力者は、そうそう簡単に引き下がってはくれない。

テレビ朝日の「やじうまプラス」では、東国原騒動に延々と時間を割き、与謝野馨と渡辺喜美の迂回献金問題も少ししか取り上げなかった。まさに西松事件における小沢一郎と同じ手口で献金を受けていた与謝野や渡辺を易々と逃げ切らせてはならないだろう。番組では、東京・池袋で59歳の会社員が「介護に疲れた」と、73歳の妻を絞殺した事件を取り上げていて、江川紹子が「こういう事件が起きても、ベタ記事だったり載せない新聞社もある。10年前だったらもっと大きく取り上げられていたのに、こういう事件が増えて、それが当たり前になってしまったから新聞の扱いも小さくなった」と言っていた。画面には毎日新聞に掲載された記事が映し出されていたが、社会面の漫画のすぐ下に載った2段か3段の記事で、確かに扱いは大きくなかった。しかし、この番組自体に占めるこの事件の扱いも、新聞同様ごく小さなものだった。

東国原が延命させようとしている自民党、なかんずく「コイズミカイカク」が何をしてきたか。きたる総選挙は、その審判を下す選挙にしなければならない。自民党は東国原を利用して争点隠しを図り、東国原は自民党の窮状につけ込んで野心を達成しようと動く。東国原や自民党に騙されるようではどうしようもないと思うが、またまた国民は騙されてしまうのだろうか。


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当ブログでは、月々のアクセスデータを集めて解析し、ブログ運営に役立てている。以前はデータの一部を公開していたが、記事にするのが面倒なのと、読者のニーズがない(アクセス解析のエントリはアクセス数が極端に下がる)ことから、現在は取りやめている。

アクセス解析をしていて最近気づいたことは、ブログに「民主党」を含む検索語で来訪される方が、「自民党」を含む検索語で来訪される方の数を逆転したことだ。西松事件で小沢一郎の秘書が逮捕された3月はまだ「自民党」の方が多かったが、4月に逆転し、それが今も続いている。

0905_検索語_民主党vs自民党


先月は、民主党小沢一郎代表の辞任表明、代表選、鳩山由紀夫新代表の選出と、民主党に関するニュースが多く、当ブログでも批判を含めて民主党を取り上げる機会が多かった影響もあるだろう。しかし、それが一段落した今月になってもペースは全然落ちていない。しばしば民主党を批判する当ブログでさえそうなのだから、熱烈に民主党を応援するブログはもっとすごいだろう。

今月10日に発売された「文藝春秋」7月号には、鳩山由紀夫の「わが政権構想 猛獣小沢をこう使う」という手記(「構成・角谷浩一(政治ジャーナリスト)とある)や、長妻昭、馬淵澄夫、細野豪志、福山哲郎4議員による「民主「四天王」直撃 鳩山政権で大丈夫?」という鼎談記事(司会・田崎史郎)が掲載されており、こういう記事も「政権交代」に心をとらえられ始めた人々の興味を引くのだろう。鳩山代表の手記には結構突っ込みどころがあるし、「四天王」(うち長妻昭と福山哲郎は小沢一郎に怒鳴り上げられた議員)の鼎談もそれなりに面白いので、機会があればブログで取り上げたいと思う。

民主党の攻勢の前にすっかり影が薄くなったのは自民党である。こうなってしまうと、自民党が橋下徹や東国原英夫らの人気にすがるのではないかとは、以前からずっと言われていたことだし、東国原は以前一度国政に転進しようとして宮崎県民の猛反発を招き、不承不承取り止めたことがあった。

昨日(23日)は「沖縄慰霊の日」で、自民党選対委員長で九州(福岡7区)選出の古賀誠は、例年沖縄全戦没者追悼式に出席してきたのだが、古賀はそれを取り止めて宮崎まで東国原英夫に会いに行き、衆院選への出馬を要請した。これに対し、東国原は「私を次の自民党総裁候補として、衆院選を戦うお覚悟があるのか」などと、逆に条件を突きつけ、結論は出なかった(下記URLの毎日新聞記事参照)。
http://mainichi.jp/select/today/news/20090624k0000m010023000c.html

東国原の盟友である大阪府知事の橋下徹は、東国原が「次期総裁候補なら」との条件を付けたことについて「本当に言ったんですか? しゃれとしか思えない」と笑い飛ばした(下記URLの毎日新聞記事参照)。
http://mainichi.jp/select/today/news/20090624k0000m010081000c.html

このニュースは、昨夜のテレビ朝日「報道ステーション」のトップで取り上げられたほか、今朝の「スポーツニッポン」、「スポーツ報知」の一面トップを飾った。しかし一般紙の扱いは冷淡で(当たり前だ)、たとえば毎日新聞の一面トップは与謝野馨と渡辺喜美が商品先物取引会社からダミー団体を通じて迂回献金を受けていたという記事だった(下記URL)。
http://mainichi.jp/select/today/news/20090624k0000m040158000c.html

日本経済にとっては「疫病神」としか思えない緊縮財政論者の与謝野馨や、パフォーマンス先行の新自由主義者・渡辺喜美らが小沢一郎と同じようなことをやっていたというスクープだが、与謝野も渡辺も(私はどちらも大嫌いだが)、総選挙後は民主党との連携も噂されている政治家だから、民主党支持者の中には複雑な心境の方もおられるだろう(笑)。

それにしても不愉快なのは、バカバカしい自民党の東国原への出馬要請に大騒ぎするかたわらで、テレビ報道が社会保障費2200億円削減を「来年度は」取り止めたことを猛批判したことだ。いや、テレビ報道だけではなく、朝日新聞も「骨太の方針―負担先送りが招いた混迷」と題した社説でこれを批判し、政府に歳出構造の大胆な見直しや消費税増税を迫っている。朝日は明記こそしていないものの、同紙の主張する「歳出構造の大胆な見直し」が社会保障費削減を含むものであることは容易に読み取れる。少しはマシなのが読売新聞で、朝日同様消費税増税を主張しているとはいえ、「社会保障費抑制撤回は当然だ」と書いている。毎日新聞はなぜかこの件を取り上げず、「西川社長続投 ますます納得いかない」と題した社説を掲載した。社内にカイカク派と懐疑派の双方がいると見られる毎日新聞は、社会保障費削減の件から逃げて他紙の論調をうかがおうとしているのではないかと私などは勘繰るが、毎日新聞以外の新聞こそ「日本郵政の社長人事問題から逃げている」と主張する向きもあるかもしれない(笑)。それにしても、朝日新聞はもはや「経済極右」と言っても良いくらいだろう。だが、「リベラル・市民系」とされるブログで、朝日のネオリベぶりを批判しているところはそんなに多くない。「敵(ネット右翼)の敵は味方」の論理で、朝日に甘くなってしまうのだろうか?

バカバカしい東国原騒ぎや、懸念していた通り歳出削減と消費税大増税を叫ぶ朝日新聞の社説などを見ていると、こうしてブログを書いてあがいても、無駄に終わってしまうのではないかと思えてならず、ちょっとブログを書くモチベーションが下がってしまう今日この頃である。


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「痛みを伴うカイカク」を日本国民が熱狂的に支持したのは8年前、2001年のことだった。あの年の参院選で、自民党の候補は「私たちこそ改革者だ」と絶叫し、有権者は彼らに大量得票を与えた。しかし、彼らの多くは6年後の参院選で地位を失った。コイズミが後継に指名したも同然の安倍晋三率いる自民党に対し、有権者はカイカクの痛みに「ノー」の審判を下した形だ。

昨日のエントリでは、それにもかかわらず都市部の有権者は「カイカク」に幻想を持っていたらしいことを書いたが、それは都市部が地方と比較してカイカクの痛みが相対的に少なかっただけのことだ。カイカクの見直しは時代の要請である。その「カイカクの痛み」の象徴ともいえるのが、コイズミ退陣の直前に策定された「骨太の方針06」(私は「骨粗鬆症の方針」と呼んでいる)に盛り込まれた、社会保障費の自然増分から2200億円を削減するという目標だ。その目標が、2010年度当初予算の大枠となる概算要求基準(シーリング)から削除される見通しとなった。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090623k0000m010071000c.html

リンクを張った毎日新聞の記事にあるように、与謝野馨財務・金融・経済財政担当相が明言したものだが、あの貧乏神のような超緊縮財政論者の与謝野がこれを言わざるを得ない状況になった。竹中平蔵あたりがまた週末の読売テレビ(大阪)の番組あたりで「カイカクの後退」を責めるのではないだろうか。

記事を書く前にコンビニで見た限りでは、このニュースは日経が一面トップで取り上げていたが、一般紙の扱いは小さく、朝日新聞には4面に2段の記事が出ているだけだ。2009年度当初予算で実際に削減したのは230億円にとどまっていたから、ニュースバリューが低いと判断したのだろうか。

その朝日の記事には、厚労族の尾辻秀久参院議員会長が「2200億円抑制しないと明記すべきだ」と抵抗した、などと書かれているが、厚労「族」だとか「抵抗」だとか、いかにもコイズミカイカク路線を熱烈に支持する朝日新聞らしい表現だ。毎日新聞(朝日や日経ほどではないがカイカク寄り)は、尾辻氏が10日の党政調全体会議で、社会保障費抑制路線の撤回を求め、党政調幹部を怒鳴り上げたとか、政調会長代理の園田博之が、財源論があいまいな民主党との差別化を図る観点から「一つの基準を捨てることは党にとって大きなマイナスだ」と理解を求めた、などと報じている。

園田の寝言には呆れてものも言えないが、尾辻氏は湯浅誠の『反貧困』(岩波新書、2008年)にも好意的に取り上げられている議員である。NHKニュースでは「『小さな政府』を掲げてきたコイズミカイカクの路線を転換しようとしている」などと、解説委員が不満そうにしゃべっている。もっとも、政府は「骨太の方針06」に書かれた方針自体は撤回せず(つまり2011年度以降のことは何も言っていない)、「カイカク派」にもいい顔をするそうだから、やはり自民党は2005年の「郵政総選挙」をもたらしたコイズミカイカク路線に今でも強く束縛されているというほかない。

今朝の社説では主要紙のどこもこの件を取り上げていないが、今日(23日)に閣議決定されるらしいから、明日の社説では取り上げられるのだろうか。まさかいかなネオリベ朝日といえど、この期に及んでまだ「改革はどうした」とは書かないと思いたい。


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朝日新聞の調査によると、全国の主要100社の社長アンケートで、景気が「悪化」または「緩やかに下降」しているとした回答が、昨年の98社から40社に減ったが、59社が「足踏み状態」にあるとしており、「拡大」との回答はわずか1社だった。個々の質問に対する回答を見ても、2009年度の実質経済成長率の予測は「-4.0%?-3.5%」との回答がもっとも多いし、従業員数には過剰感がある(特に製造業)とか、ボーナスは減るなどの回答が多い。

これが地域経済となるとさらに悪く、同じ朝日新聞が47都道府県の企業経営者らを対象に行った地域経済アンケートによると、景気の現状認識は「悪化」が51%で、「緩やかに下降」などを含めて71%が景気が後退していると回答した。

麻生太郎首相は、4-6月度のGDP速報値が発表される8月以降の総選挙なら、景気対策の成果をアピールできると考えているとも言われているが、GDPの数字はボーナスが減ったり職を失ったりする国民には実感を伴うものにはならない。それ以前に、静岡県知事選や東京都議選で自民党が敗北すると、「麻生降ろし」が起きるなどという話があり、そのせいで麻生首相は必死で都議選の候補のところを回っているのだという。過去、これほど自民党の総裁が都議選に入れ込んだ例はないなどとテレビでもコメンテーターに馬鹿にされるありさまで、国民からすれば国民生活を顧慮だにせず自分の地位を守ることに汲々としているように見える。あれほど総理大臣の座を熱望していた麻生は、いったい何のために総理大臣になったのかさっぱりわからないのである。

ここ最近では麻生内閣の支持率がもっとも高かった4月下旬に発売された「サンデー毎日」の5月3日号に掲載された都議選の議席数予想では、自民党が45議席プラスマイナス3、民主党が42議席プラスマイナス3、以下公明党23議席、共産党12議席、生活者ネット3議席、諸派・無所属2議席で、合計で与党68議席、野党59議席となり、与党が過半数を確保すると書かれている。現有議席は自民48議席、民主34議席だから、民主党が党勢を伸ばすのは間違いないものの与党の過半数割れまで持っていくのはかなりハードルが高そうだ。

この選挙で与党が過半数割れすると東京都知事・石原慎太郎の都政運営が苦しくなるのだが、民主党の鳩山由紀夫代表は勝敗ラインを第一党を自民・民主のどちらがとるかに置く発言をしている。これだと民主党にとってのハードルは下がり、「サンデー毎日」の予想の誤差範囲内で民主党の「勝利」(自民党の「敗北」)が可能になる。鳩山代表も与野党逆転までは難しいと見ているのかもしれないが、麻生首相からすれば第一党から転落ともなれば「麻生降ろし」の風が強まるのは必至だから、なりふり構わず都議選に入れ込んでいるものだろう。

そんな麻生首相の頼みの綱は、14兆円の大型補正予算なのだが、これが「旧来自民党のやり方」と見なされて、かえって都市部の支持を失うという分析がなされている。東京大学の菅原琢准教授がJANJANに掲載した「大型補正予算で自民党は浮上することができるか??誤解される自民党の選挙結果」がそれだ。菅原准教授は、小泉政権以降、自民党が都市部で支持を伸ばしており、それは小泉退陣後(安倍政権以降)も継続していることを、参院選の自民党例区得票率のデータに基づいて示している。そして、次のように指摘する。

 ただしこの支持は、決して旧来の自民党政治的なものに向けられたものではないということに留意する必要があるだろう。つまり、自民党が「古い」自民党に戻ったと感じられたときには、これらの新しい支持層は溶け出す。郵政造反組の復党問題が、安倍内閣の支持率だけでなく、自民党の支持率も大きく下落させたことが、その典型である。あるいは、西松事件が民主党の支持率に一時的に与えた影響も、同じ類型に入れることができるかもしれない。
(菅原琢「大型補正予算で自民党は浮上することができるか??誤解される自民党の選挙結果」より)


さらに菅原准教授は、麻生政権の大型補正予算が選挙で自民党の票を押し上げる効果を疑問視する。

麻生政権が懸命にやっていることは、まさしく旧来型の自民党政治である。このような政策で恩恵を受け、評価するのは旧来の自民党支持層であるが、最近の選挙で農村部の得票が大幅に減ったことはない。したがって、農村部や旧来の支持層周辺で自民党は大幅に得票を伸ばすことは難しいだろう。得票を固めて惨敗を避けるという方策としては正しいだろうが、過半数を獲得するための戦略としては見当違いと言ってよいだろう。自民党が過半数を獲得するためには都市部の新しい自民党に好意的な層の離反を防ぎ、上積みする必要があるが、このような不健全な財政政策は彼らが最も嫌うことの一つであり、つまり全く逆の「対策」を麻生政権は採用しているのである。
(菅原琢「大型補正予算で自民党は浮上することができるか??誤解される自民党の選挙結果」より)


つまり、麻生政権の旧来自民党的政治では衆院選には勝てないというのである。ネットでは、「Munchener Brucke」がしばしば同様の主張をしていることを思い出した。これでいうと、参院選前には「国民の生活が第一」をスローガンにして農村部の票を固め、衆院選前にはやや「カイカク」色を強めて新自由主義寄りに軌道修正している民主党の行き方は、選挙戦略としては理にかなっており、自民党はその逆をやっているといえるかもしれない。

だがこのことは、衆院選の結果政権交代が起きても、「カイカク」(新自由主義)の方向性はある程度かかなりの程度保たれることを意味する。民主党にも厳しい監視が必要だと当ブログが考える次第である。

[追記]
今週号の「サンデー毎日」(7/5号)にも都議選の予想記事が出ているようですが、当ブログ管理人は明日にならなければ読めません。ちょっと間の抜けたエントリになってしまいましたが、このあたり、地方在住者のハンデといえるかもしれません(笑)。


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5日前の日曜日に放送されたテレビ朝日の「サンデープロジェクト」で、臓器移植法改正案をめぐる討論が、それぞれの案を提案した人たちによって行われた。なかなか良い討論だったと思うのだが、この日の「サンプロ」を指して、日本郵政の社長人事問題、というより鳩山邦夫総務相が更迭された問題から「サンプロ」は逃げた、といきり立つ向きがあった。自民党の内紛をことさらに騒ぎ立てることは、きたる総選挙において自民党の得票を増やすだけではないかと私は思うのだが、いまテレビ番組が政治に絡む問題を取り上げる際にもっとも視聴率が取れるのもこの件らしくて、別にサンプロが取り上げなくたってニュース番組からワイドショーに至るまで日本郵政の社長人事や鳩山邦夫の話題で持ち切りである。そんな中で、「予定を変更して鳩山総務相の辞任問題を討論します」などという馬鹿げたことをやらずに、予定通り臓器移植法案についての討論を放送したサンプロは、この番組にしては珍しく見識を見せたと私は思う。

「きっこのブログ」を見ると、臓器移植法案について、

自民党議員の9割が事前に勉強や議論をせずに採決に臨んでいたことが分かった

と書かれている。4年前の「郵政総選挙」でコイズミに煽られた有権者に選ばれて、「濡れ手に粟」で地位を得たバブル議員(粟ならぬ泡?)の多くは、次の総選挙で落選するわけだから、皆さん椅子取りゲームに必死で臓器移植法案どころではないのだろう。もっともハードルを下げる「脳死を人の死」とするA案が衆議院で採決された時、自民党議員は大部分が賛成の白票を投じたが、麻生太郎首相は反対の青票を投じた。公明党は賛否が割れたが、太田昭宏代表は青票を投じた。民主党も賛否が割れたが、小沢一郎、菅直人、岡田克也ら幹部の多くが白票を投じたのに対し、鳩山由紀夫代表は青票を投じた。社民党は全員が青票を投じ、共産党は「議論が尽くされていない」として採決を棄権した。

ところで、勉強不足の自民党議員を批判する「きっこのブログ」も、死刑制度に関しては過激な厳罰主義の主張をしていることはよく知られている。鳩山邦夫の更迭問題に話を戻すと、鳩山を英雄視する風潮に私が違和感を感じる最大の理由は、鳩山が「ベルトコンベアとは言わないが」などと言いつつ、機械的に死刑を執行できるようにすべきだ、と主張したことにある。これに関して朝日新聞が鳩山を「死に神」呼ばわりし、私はそれを当然だと思ったが、鳩山邦夫は机を叩いて猛然と朝日を非難する記者会見を行い、臓器移植法案のA案に反対票を投じた鳩山由紀夫も、邦夫をかばうコメントを発した。朝日新聞は遺憾の意を表したんだっけ? 私は死神という表現は当を得ており、朝日が謝る必要など何一つないと思った。そんな死神を英雄視する風潮は、私には我慢ならない。ましてや鳩山邦夫は自民党を離党するつもりはない、と明言しており、ふだん民主党を熱狂的に支持している人たちが、鳩山邦夫を英雄視して、まるで福岡6区から立候補予定の民主党・古賀一成議員の選挙妨害をするかのような倒錯ぶりを示すのを見ていると、本当にいやになる。古賀氏は民主党内では、鳩山由紀夫系の「政権交代を実現する会」と菅直人系の「国のかたち研究会」に属しており、鳩山邦夫をことさらに英雄視することは、鳩山由紀夫に弓を引くも同然であることを指摘しておきたい。

死刑問題についていうと、一昨日(17日)の朝日新聞に、辺見庸の「犬と日常と絞首刑」という長文のエッセイが掲載された。これは、ネットでは配信されていないようだ。辺見庸の文章を評論するなどという行為は私にはできないのだが、少しだけ文章を紹介すると、辺見は「罰金刑や自由刑などよりはるかな昔から、おそらくは有史以前の原始共同体の起源とともに、死刑が地球のいたるところですでに法以前の自然の掟として存在していたらしい」と指摘し、「日本や中国や北朝鮮やイランなどの死刑制度」には、そうした「永きにわたる人類史的知恵と根拠がある」のか、それとも「日本や中国や北朝鮮やイランなどの死刑制度は、原始共同体と本質的には大差ない野蛮性をあらわに残すもの」で、「早急になんとしても克服しなければならない」のかと皮肉に問うている(カギ括弧内が辺見庸の文章からの引用)。

辺見は、「あげく、「犯人を極刑に!」という世間の声がマスコミ(とくにテレビ)報道と相乗しつつ勢いをいやまし、考える個人はそれに怖れをなして口をつぐむかちぢこまってしまうのである。ときには凶悪事件被告人の弁護側まで、世間から ”公共敵” 呼ばわりされたりもするのだから、まるで悪しき社会主義なみである」とも書いている。ここで辺見が山口県光市母子殺害事件を念頭に置いていることは明らかであり、この件に関して橋下徹がテレビで弁護団の懲戒請求を煽ったことや、「きっこのブログ」を含むいくつかの反政府系有名ブログも「犯人を極刑に!」と絶叫し、弁護団を非難していたことが思い出される。その橋下徹は、地方分権政策を判断材料に次期衆院選での政党支持を表明すると宣言しているが、昨日(17日)、民主党大阪府連主催のシンポジウムに出席し、終了後、「本気で国の形を変えようとされていると感じた。これで霞が関の現状維持はないだろう」と民主党を評価するコメントを残した。(共同通信報道による。朝日新聞によると、橋下は総選挙での支持政党については「自民、公明からも民主を上回る案が出てくると信じている」と述べ、態度を明確にしなかったとのこと)。自公の人脈と見られている橋下だが、抜け目なく民主党政権成立後に向けての布石も打っている。いま明確に自公支持ないし民主党支持のどちらも打ち出していないのは、それだけ自分を高く売ろうという橋下の計算であり、おそらく総選挙で自公と民主党のいずれが勝とうとも、橋下は国政への影響力を間違いなく強めていくことだろう。そして、それは間違いなく民主党政権を「右」や「新自由主義側」に引っ張る力となる。昨年の大阪府知事選の頃は、まさかここまで橋下が手強いとは思いもしなかった。

結局、臓器移植法案の論議よりも日本郵政の社長人事や鳩山邦夫の更迭をテレビで取り上げろと煽り立てることは、橋下のような極右ポピュリストをますます増長させることにしかつながらないのである。視聴者が西川善文と鳩山邦夫のバトルを楽しむのも、4年前の郵政総選挙における「刺客対抵抗勢力」と同様のバトルを期待しているからであって、要は「コイズミ劇場」の延長戦が見たいのだ。それを煽るようなことをコイズミ・竹中のカイカクを批判する側がやってどうすると言いたい。

むしろ、日本郵政の社長人事や「死神」の更迭問題ばかりにかまけずに、もっと臓器移植法案をめぐる議論にも注目せよと主張するのが、知識人のあるべき姿なのではないだろうか。


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「国民の生活が第一」というのは、実に良いキャッチフレーズだと思った。社民党や共産党がまだ生存権そっちのけで9条改憲阻止ばかり言っていた頃、2007年の参院選が行われたのはそういう時期だったと思うが(それは安倍晋三があまりにひどい改憲志向むき出し一本槍の政治をしていたから無理からぬ面もあったのだが)、生活に苦しむ人々の心をとらえたのは「国民の生活が第一」の標語であり、だから参院選は民主党の「一人勝ち」になった。

しかし、参院選に勝った民主党の小沢一郎代表(当時)がやろうとしたのは、自民党との大連立だった。これは党内の反発にあって実現しなかったが、参院選後からここまで、民主党がどこまでスローガン通りの方向性を持って行動してきたのかと考えると、決して合格点はつけられないと思う。

そして、「国民の生活が第一」というスローガンに代わって、いつしか「官僚支配の政治の打破」ばかりが叫ばれるようになった。「(豪腕の)小沢一郎でなきゃ官僚支配を打ち破れない」というのが一部の人たちの決まり文句になった(「小沢でなきゃ対米隷従から脱却できない」というのもあったが)。

長年の自民党政治によって、政官業の癒着構造は強固なものになっており、政権交代によって癒着構造を壊すというのは良い。しかし、それが単純な「官僚叩き」に還元されてしまうのはおかしいのではないか。ずっとそう思っていた。先日読み終えた松原隆一郎著『経済学の名著30』(ちくま新書、2009年)に、

新自由主義の立場からすれば、官僚は私利のため国民に無駄を強いている。

という一節があり(注1)、これだと思った。そういえば、官僚叩きは明白な新自由主義者である渡辺喜美の十八番である。同じ本で新自由主義の理論的支柱となっているミルトン・フリードマンの『資本主義と自由』を取り上げた章には、次のような記述がある。

 世評ますます高まる本書(『資本主義と自由』)を、どう評価すべきだろうか。日本で社会保険庁が年金にかんして行った杜撰な扱いを見れば、また予算を摑んで離さず無駄な道路を造り続ける道路族を思えば、官僚や政治家は税を国民の要望とは異なる使い方をするという本書の主張には、頷かざるを得ない。ただ、それはそうだとしても、だからといって市場を生かすということと「小さな政府」とが同一の立場であるとはいえない。なぜといって、たとえば証券市場を健全に運営するためには、証券法の取り締まりに人員が必要になるからだ。市場を透明にするにはルールの監督が必須であるから、必然的にある程度まで「大きな政府」にせざるを得ないのである。それを避けようとするなら、「一罰百戒」で一部の違法行為者だけを逮捕するしかない(注2)。しかしそれでは、フリードマンも強調する「法のもとの平等」ではなくなってしまう。
(松原隆一郎『経済学の名著30』(ちくま新書、2009年) 253?254頁)


つまり、単純な「官僚叩き」は「小さな政府」を志向する新自由主義の道なのである。

「国営マンガ喫茶」だか「アニメの殿堂」だかの無駄を削って社会保障の財源を確保するとか、そういう主張なら良いだろう。だが、それが単純な官僚叩きに堕しかねないところに落とし穴がある。一昨年の参院選を前にした頃、「小沢一郎は『小沢自治労』だ」と罵倒していた屋山太郎は、今では渡辺喜美一派に参加しているが、最近その屋山が民主党にすり寄っているのも、鳩山由紀夫らが強調する「官僚支配の打破」が単純な官僚叩きに堕して新自由主義の道を進む可能性があると見て取ったからではないかと私は想像している。

民主党を応援するブログの論調も最近少し変で、代表格のブログが政府の補正予算案を「バラマキ、官僚焼け太りの14兆円の補正予算」などというフレーズを用いて批判していたりする。この論法は、前記の「単純な官僚叩き」のほか、「バラマキ」という言葉を安易に用いているという問題点がある。昨年来の未曾有の経済危機にあって積極財政政策を行うのは当たり前であって、批判するなら金の使い方にある。たとえば「ETCで地方の交通道路1000円」なる麻生政権の「世紀の愚策」は、フェリー会社の経営を圧迫し、地方の高速道路の渋滞を招いて地球温暖化を加速するなどの副作用の方が効果よりはるかに大きいから批判されるべきなのであって、積極財政それ自体を「バラマキ」と批判するのは誤りである。第一その論法だと、2001年の政権発足当初、極端な緊縮財政路線をとって株価を7千円台(2003年4月)にまで下げたコイズミ・竹中の誤りを民主党政権も繰り返せと言っているようなものではないだろうか。

だが、こうしたおかしな論法を批判する声は、民主党支持のブログからは一向に上がらず、地味な保守系のブログが指摘していたりする程度だ。そして、私がこんなことを書くと、また「隠れ自公」などと誹謗されることになる。私はもう3年以上もブログをやっているから、誹謗されてもなんとも思わないけれども、異論が袋叩きにされる気風は、新規の参入者の心理的障壁を高くするだけだろう。およそ「リベラル」の人間のやることとは思われない。おかしいと思っている人は大勢いいるんじゃないか、それが「声なき声」なんじゃないかと私は思っている。「王様は裸」なのである。

(注1) 同書236頁、ガルブレイス『ゆたかな社会』を紹介した章。

(注2) 引用書に、「証券取引委員会ではなく特捜部が出動したライブドア事件および村上ファンド事件を想起されたい。アメリカではこうした事態を避けるべく、日本の何倍かの人員が証券取引委に割かれている。」との注釈がついている。


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かつて、「東京に三代住むと白痴になる」と放言して批判を浴びたのは、香川県西部の農家に生まれた保守本流の元総理大臣、大平正芳(1910-1980)である。当ブログはこの言葉を、一昨年の参院選直前に、当時総理大臣だった安倍晋三を批判したエントリ「能力なき安倍晋三は政権を去れ」(2007年7月10日付)で引用した。

安倍は参院選で「歴史的惨敗」を喫しながら政権に固執したが、結局体調を崩したこともあって一昨年9月に政権を投げ出した。だが、その後も福田康夫、麻生太郎と総理大臣の息子や孫が政権の座についた。野党第一党の民主党も、先月「鳩山一郎の孫」である鳩山由紀夫が代表に返り咲いた。

その鳩山由紀夫の弟・鳩山邦夫は、総選挙での劣勢を伝えられていたため、「かんぽの宿」売却問題や日本郵政の社長人事問題を利用して、徹底的な売名パフォーマンスを繰り広げた。首相の麻生太郎は、盟友だった鳩山邦夫の処分決定が遅れて指導力のなさを露呈し、大きく支持率を下げた。そうなると、いよいよ鳩山由紀夫が総選挙勝利後総理大臣に就任する公算が大きいかと思われた。

しかし、その鳩山由紀夫がとんでもない失言をやらかしてしまった。毎日新聞が報じている。
http://mainichi.jp/select/today/news/20090617k0000m010105000c.html

鳩山代表:「連立解消」発言に社民、国民新が反発

2009年6月16日 21時26分 更新:6月16日 23時6分

 民主党の鳩山由紀夫代表がFMラジオ番組で、政権交代後の話として、来年の参院選後に社民、国民新両党との連立政権を解消し、単独政権を目指す姿勢を示した発言に16日、両党が反発した。国民新党は同日予定していた次期衆院選の民主党候補予定者約60人への推薦発表を見送った。

 鳩山氏の発言は連立について「参院選で民主党が単独過半数を取れば消えていくと思う」というもの。

 社民党の日森文尋国対委員長は野党国対委員長会談で「(社民党は)さしみのつまじゃない。党首が言うべき発言ではない」と山岡賢次民主党国対委員長に抗議した。

 国民新党の亀井静香代表代行は鳩山氏ら民主党幹部などとの会談で「1年後の離婚を前提に結婚するわけがない」と推薦見送りを通告した。

 鳩山氏は16日の記者会見で「言葉足らずの中で誤解を与えた。本意を理解していただくべく努力する」と語った。【田中成之】


鳩山由紀夫は、麻生太郎内閣の支持率急落を伝える報道に舞い上がって、つい軽口を叩いてしまったとしか思えない。政権交代を狙う党首とは信じられないほどの軽さである。いくら、「担ぐみこしは軽くてパーがいい」という小沢一郎の勝手な都合で選ばれた党首とはいえ、この軽率さでは、民主党は勝てる選挙も勝てなくなってしまうし、それより何より、ともすれば新自由主義への回帰を見せがちな民主党のブレーキ役を国民新党と社民党に期待している私としては絶対に見逃せない発言だ。ただちに民主党候補予定者の推薦見送りを民主党に通告した国民新党の亀井静香はさすがだと思うが、社民党の反応はいまいち鈍い。ここですかさず民主党が持ち出そうとしている衆議院の比例区定数削減問題を蒸し返して、今回の鳩山発言の撤回と合わせて、この2件で民主党が誠意を見せない限り連立は組まないと強硬な姿勢で臨むべきである。

それにしても、安倍晋三だけではなく、麻生太郎、鳩山邦夫、鳩山由紀夫ら「総理大臣の孫」たちはなぜかくも揃いも揃ってわがままで、かつ発言が軽いのだろうか。やはり讃岐の農家で苦労した大平正芳の言葉は正しかったのではないかとつい思ってしまう。

ところで、あまり民主党や鳩山由紀夫の悪口ばかりではなんなので、私が鳩山由紀夫に唯一期待していることを挙げておこう。それは、彼が工学部出身(東大工学部計数工学科)であることだ。同じ東大でも、弟の鳩山邦夫は法学部出身で、だから政界入りも邦夫の方がずっと早かったし、そのせいか腐敗ぶりも邦夫の方がひどい(笑)。実は鳩山由紀夫が理系であることなどすっかり忘れていたのだが、先日の温室ガス削減中間目標で、麻生太郎首相が1990年比8%削減を打ち出した時、90年比25%削減を公約に掲げる民主党の鳩山代表は、「技術立国日本がそんな低い目標で良いのか」とこれを批判したのだ。その口調から、ああ、そういえばこの人は工学部出身だったなと思い出した次第だ。私はこれを、NHKかテレビ朝日のどちらか忘れたが、テレビのニュース番組で見た。ニュースでは、それに続いて共産党の志位和夫委員長もこの中間目標を批判していたが、面白いことに志位氏もまた東大工学部(物理工学科)卒である。両党の大物ではほかに、民主党の菅直人代表代行が東工大理学部、共産党の不破哲三前委員長が東大理学部をそれぞれ卒業している。

政党の性格からいうと、大まかに言って民主党はやせ細った中間層を再建することを狙っており、2006年に小沢一郎が打ち出した「国民の生活が第一」というスローガンも、その観点でとらえる必要があろうかと思う。小沢一郎が方向転換する以前の民主党は、コイズミ自民党と「カイカクを競う」新自由主義的方向性をとってきたが、格差が拡大して中間層がやせ細ってしまい、カイカク競争に敗れて郵政総選挙で惨敗を喫した民主党にとっては、「国民生活第一」を掲げるほか党再建への道がなかったというのが本当のところだろう。だが、政治は結果がすべてだから、方便による方向転換であってもかまわないのである。もちろん、今でもカイカク競争を指向する政治家は民主党には結構いる。鳩山由紀夫はどうかというと、彼はそんなに強い政治的信念は持っていないと思う。ただ一つだけ期待するのが、彼の工学部的感覚である。

一方の共産党は、いうまでもなく弱者のための政党である。民主党対共産党の対立の構図は、私にはかつての自民党対社会党の対立の構図を思い出させる。自民党は、社会党の主張を取り入れた修正資本主義の政策をとることによって、長く政権の座を守ったし、国民にもある程度の福利厚生がもたらされた。その自民党は中曽根康弘内閣(1982?87年)以降、徐々に国民政党としての性格を薄めて、財界や富裕層だけのための新自由主義政党に変質していき、一気にそれに純化しようとしたのが小泉純一郎内閣(2001?06年)だった。その結果、格差社会が出現し、政官業癒着構造による政治の腐敗が悪化した。だから自民党はもう歴史的役割を終えた政党として退場してもらうしかないのである。今自民党にいる一部の者たち、たとえば中川秀直らが新自由主義政党を、安倍晋三らが極右政党をそれぞれ結成して(平沼一派は後者に合流)、細々と右側の野党として生き延びてもらえばよい。そして、保守政党である民主党を左から厳しくチェックする役割は、主に共産党に果たしてもらわなければならない(社民党と国民新党は、連立政権内で民主党がネオリベに回帰するのを阻む役割である)。そのためには、民主党が進めようとしている比例区定数削減は、なんとしても阻止しなければならない。

その一方で、グリーンニューディールに関しては、ともに工学部出身者を党首にいただく民主党と共産党は手を組めるのではないかと思うのである。ここでいうグリーンニューディールの肝は、原子力発電ではなく、自然エネルギー(再生可能エネルギー)である(注)。ここに技術立国・日本の活路を見出そうとする選択肢は、もっと真剣に論じられるべきだろう。ここでも自民党は論外であり、自民党が今国会に提出を予定している「低炭素社会づくり推進基本法案」(仮称)の党内手続きの過程で自動車業界の要望を受け入れ、原案にあった自動車に温室効果ガス排出基準を設ける文言を全面削除したことを、「しんぶん赤旗」が報じている。

マスコミ界で面白いのは、読売新聞と産経新聞が自民党や経団連の意に沿って、温室ガス削減に積極的な目標を打ち出すことにいたって否定的であるのに対し、日本経済新聞が毎日新聞と並んでもっとも積極的なことだ。朝日新聞と東京新聞はその中間だが、日経・毎日寄りである。この分析は、毎日新聞の「社説ウォッチング」による。この日経の論調について、さる保守系の有名ブログは、「日経にも経済がわかっていない記者がいる」と冷淡に切り捨てていたが、果たしてそうだろうか。技術立国とうたわれた日本の競争力を確保するには、この分野への注力が不可欠なのではないだろうか。何より、アメリカがその方向へと舵を切っている。自民党や経団連、読売・産経両紙などは、今支配層にとって楽な選択肢を安易に選んでいるだけのように、私には思われる。それに対して日経は、必ずしも「エコ」の時流に乗ろうとしているにとどまらず、この分野での技術革新が、今後の財界にも利益をもたらすと展望しているのではないか。つまり、経団連は財界の今しか見ていないのに対し、日経は財界の未来を見ているというわけだ。経団連のえらいさんより日経の記者の方が若いことにも注意したい。そして、読売はジジイのナベツネが社論を仕切っているので、未来など見据えるはずもないし、産経は何でもかんでも自民党に尻尾を振るだけの「媚権」の新聞に過ぎない。

残念なのは左右の「地球温暖化陰謀論」(右は池田信夫)にすっかり汚染されてしまったネット言論であって、日曜日にTBSで寺島実郎や金子勝が真剣に語る言葉と比較する時、その貧困さは目を覆うばかりである。いつも書くように、ネットだけ見ていたのでは本当のことはわからないと思う次第である。

(注) 既に北欧では70年代に原発に関する国民的議論がなされ、80年代には原発志向から脱却して自然エネルギーへの注力に舵を切った。


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昨日(15日)、一斉に、マスコミの内閣支持率調査が発表され、いずれも麻生太郎内閣の支持率急落を伝えていた。時間的にはJNN(TBS系)がもっとも早く、7.5ポイント減の24.4%だった。次いで毎日新聞が5ポイント減の19%、共同通信が8.7ポイント減の17.5%、朝日新聞が8ポイント減の19%だった。特に共同通信が報じた、

 次期衆院選比例代表の投票先でも47・8%の民主が、18・7%の自民を圧倒。政党支持率も民主38・5%に対し、自民は19・8%。電話世論調査を開始した宮沢内閣以来、野党時代を除いて最低となった。

という数字は衝撃的で、短期間に自民党が支持を失うなだれ現象が起きたことを意味する。朝日新聞の調査でも比例の投票先は民主43%対自民23%と大差がついた。

今後の懸念材料としては、厚生労働省の局長が逮捕された郵便不正利用の事件に民主党議員が絡んでいると噂される件があるが、毎日新聞読売新聞などの新聞報道を見る限り、無理筋の捜査のような印象を受ける。それでなくとも、自民党政治家の周辺にも捜査が及ぶとの再三の新聞報道にもかかわらず、尾身幸次はおろか二階俊博さえも見逃された西松事件の捜査に、多くの国民は納得していない。麻生内閣の支持率が下がるたびに民主党議員の政治家周辺に検察の捜査の手が入るようでは、まるで大統領のスキャンダルが起きるたびに中東で空爆を行うアメリカみたいだ。

7月12日投票の東京都議選も、自公与党の苦戦が言われていて、この選挙で「自民党敗北」という結果が出ると、麻生太郎首相の責任が問われて総裁選前倒しの動きが自民党に出てくることも予想されているそうで、それを封じるためにも、古賀誠選対委員長は都議選と同日の7月12日投票にするための解散の決断を麻生首相に求めたが、麻生は返事をしなかったという。

私が日々ブログを書いていても、「政権交代」への期待が雪だるま式に膨れ上がっていることを感じる。その期待は民主党執行部に集まり、他の野党はほとんど省みられないばかりか、民主党に近い立場の人が党執行部に注文をつけることさえ許されない雰囲気が生じつつあり、ちょうど4年前の「郵政総選挙」の裏返しみたいな空気がある。ひとたびこのような状態になると、流れを変えることはなかなか難しい。麻生には、「こんなはずはない。俺は人気者だ。必ず巻き返せる」といった根拠のない自惚れがあるのだろうと想像するが、そんなものは幻想であって、選挙は遅らせば遅らせるほど自民党が不利になるので、古賀誠の進言を受け入れた方が自民党のダメージはまだしも小さいだろうと私は思う。しかし、麻生が腹をくくれるかどうかは全くわからない。だが、昨日テレビで電波芸者の誰かが言っていたように、8月中旬以降の投票日となると、仮に形式的に麻生首相が解散権を行使したとしても、実質的には任期満了選挙であり、「追い込まれ解散」になる。麻生のプライドを満足させるためには投票日は8月9日以前でなければならず、かつ「8月9日投票日」は少し前に朝日新聞が報じており、麻生は朝日に曽我豪編集委員というお友達がいるにもかかわらず、朝日新聞の書いた通りには行動しないという習性があるらしいから(右翼受けでも狙っているのだろうか?)、投票日は8月2日以前になり、そうなれば解散まではもうそんなに時間がない。政局的には、麻生がどんな大義名分を口実に解散をするかどうかが焦点になるだろう。

ところで、当ブログはしばらく前から、もう民主党を事実上の政権与党とみなして注文をつけるスタンスをとっている。議員定数削減案などもその一例で、憲法改正が前提となる自民党の一部議員による一院化案などは論外であって歯牙にもかけていない。民主党の比例区を狙い撃ちした議員削減案には、共産党などが反対しているが、共産党に注文したいのは、この削減案でやはり不利益を蒙る公明党と積極的に連携を図り、マスコミにアピールするくらいの行動力を発揮できないかということだ。創共協定以来の公明・共産の共闘ともなれば、マスコミも大騒ぎし、社民党も共闘の輪に加わるだろう。共産党が自分たちだけいい子になって正論を唱えているだけでは、いつまで経っても政治は良くならないのである。公明党の方は、与党内では自民党の定数削減案(50減)に猛反発し、自民党はマニフェストに削減の時期を盛り込めるか怪しいと先日報じられていた。当然、民主党の比例区削減にも公明党は反対のはずだ。公明党の方からも、共産党に歩み寄るべきだ。与党、野党を問わず、政治家たちが勇気を失っているように思えてならない。仏教界では、天台宗(総本山・比叡山延暦寺)の座主が、1200年の歴史で初めて真言宗総本山のある高野山を公式訪問したとのニュースがあった(毎日新聞記事参照)。100年に一度といわれる経済危機の時代なのだから、政治家ももっと大胆になるべきだ。

民主党に関しては、2006年に小沢一郎が言い出した「国民の生活が第一」のスローガンは、引き続きポスターに記載されているが、その文字は小さくなって、代わって「政権交代」という大文字がポスターに踊っている。政権交代は良いのだが、その中身が問題であり、民主党はいつの間にか反貧困の取り組みも、菅直人が好んで口にしていた「政官業癒着構造の打破」もあまり言わなくなり、代わって「官僚支配からの脱却」ばかり言うようになった。既に、小沢代表時代の末期に、「小沢一郎でなきゃ官僚支配を脱却できない」と主張する支持者が目立ったが、主張が単なる「官僚叩き」に堕せば、それは「小さな政府」を唱える新自由主義者の主張と何ら変わらない。この例に限らず、政権が近づくにつれ、民主党が徐々に新自由主義の方向に回帰する傾向が見えるようになった。今日のエントリはこのくらいにしておくが、有権者受けだけを狙った「官僚叩き」の不毛については、日を改めて論じることにしたい。


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実に嫌な感じである。普段ブログを休む土曜日に公開した前のエントリは、土曜日なのに平日を上回るアクセス数を記録した。おそらく「反自公」ブログとしては少数派の鳩山邦夫批判エントリであるが、ブログ管理人としてはこんなエントリなんか別にアクセス数が多くなくても構わないのだが、個別エントリへのアクセス数としては、木曜日の温室ガス削減中期目標に関するエントリの倍以上を記録した。それだけ、このドタバタ劇への読者の関心が強いのだろう。もちろん、該エントリへの反発や戸惑いも多く、いつものようにcubeさんからご批判のコメントをいただいたほか、和久希世さんのブログ「春 夏 秋 冬」からいただいたTBには、

鳩山邦夫元総務相のことを裏切り者だと言っておられるブログがあることを知り、ちょっと戸惑っています。

と書かれていた。

素朴な庶民感情としては、和久さん(以前はわこさんと名乗られていたと思う)の心情もわかる。だが、この件はちょっときな臭すぎるのである。何より気になるのがナベツネの暗躍である。

「かんぽの宿」売却問題以来、朝日、日経、読売の「あらたにす三社連合」は鳩山邦夫批判の立場で論陣を張ってきており、これは、これらの新聞社がコイズミ・竹中の郵政民営化路線に賛成するスタンスを守ってきたことを意味すると思うが、その中で読売が突如社論を転換し、西川善文・日本郵政社長の退陣を求めた。

毎日新聞は、13日の記事で読売新聞の主筆にして会長である渡邉恒雄(ナベツネ)と鳩山邦夫の生々しい会話を報じている。以下引用する。

(前略)鳩山氏は5月27日には、鳩山氏と懇意な渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長兼主筆から西室泰三東京証券取引所会長でめどがついたとの連絡を受け、西川氏の交代に自信を示した。

 鳩山氏のボルテージは6月に入って急激に上がっていく。

 6月3日夕。鳩山氏は渡辺氏と東京都内で極秘に会談した。関係者によると渡辺氏は「鳩山さん、あなたは英雄だ。西川は悪者だ」と激励。さらに「あなたを切って西川を残す。これがどういうことか。簡単に分かる話なのに、麻生(首相)も与謝野(馨財務・金融・経済財政担当相)も分かっていない」と語った。渡辺氏の一言一言が鳩山氏を鼓舞したのは間違いない。(後略)

(毎日新聞 2009年6月13日 2時30分(最終更新 6月13日 10時49分))


そして、当の読売新聞は、同じ13日にこんな記事を書いていた。

首相、当初は「西川交代」…竹中・小泉コンビが封じ込め

 麻生首相は当初、日本郵政の西川善文社長を交代させる意向だった。

 今年2月、首相官邸の執務室。首相は鳩山邦夫総務相と会い、日本郵政の6月の株主総会で西川社長を含む取締役を一新するよう指示した。「ポスト西川」の候補として、NTTの和田紀夫会長、生田正治・元日本郵政公社総裁、西室泰三・東京証券取引所会長らの名を記したリストも手渡し、水面下の調整をゆだねた。

 首相の意を受けた鳩山氏は5月に入り、日本郵政の取締役人事を決める指名委員会の一部委員に「首相は西川氏を代えるつもりだ」と伝え、「西川辞任」に向けた多数派工作を始めた。

 しかし、直後から巻き返しにあう。

 指名委員会は、委員長を務める牛尾治朗・ウシオ電機会長を始め、郵政民営化など、小泉元首相が進めた構造改革に積極的な財界人が名を連ねる。そうした委員を通じて鳩山氏の動きを察知したのは、構造改革の旗振り役だった竹中平蔵・元総務相だった。

 竹中氏は小泉氏に相談した。小泉氏は2005年、竹中氏を通じて西川氏と知り合い、社長就任を要請した経緯がある。すぐに指名委の委員を「西川続投」で説得して回り、首相や鳩山氏の動きを封じ込めた。

 結局、指名委は5月18日、西川氏を続投させる方針を決めた。

(2009年6月13日01時49分 読売新聞)


タイトルに「竹中・小泉コンビが封じ込め」とあることから、これはもうナベツネがコイズミ・竹中に露骨な宣戦布告をしたと解釈するしかない。

ナベツネが勝ったら構造改革路線が転換されるだろうから万々歳じゃないか、などと考える人はいるだろうか? 仮にいたとしたら相当おめでたいというほかない。ナベツネといえば反射的に思い出されるのが一昨年秋の「大連立」騒動である。そのナベツネが鳩山邦夫を口説いた。これが何を意味するかというと、鳩山邦夫およびその同調者と鳩山由紀夫・小沢一郎ら民主党主流派を軸にした大連立をナベツネは狙っているということである。

しかも、忘れてはならないのが鳩山邦夫の前歴であり、当ブログの裏ブログ「kojitakenの日記」に上げたエントリ「鳩山邦夫 裏切りの人生」にも書いたように、武村正義・村山富市両氏を排除し、菅直人の刺客として自民党から立候補したことのある鳩山邦夫は、大の「リベラル・左派嫌い」であり、民主党左派にとっての天敵なのである。従って、この「大連立」からは民主党左派が弾き出される可能性がかなり強い。ナベツネは盟友・中曽根康弘ともども「憲法改正」を生涯最後の仕事にしようと執念を燃やしており、そのためには護憲派を抱える民主党左派は邪魔に違いないから、兄・由紀夫以上に病的な左派嫌いである鳩山邦夫を利用して、民主党左派を排除してもらおうと考えてもちっとも不思議はないどころか、むしろその方が自然だ。民主党左派を弾き出してしまえば、自民党議員たちの民主党アレルギーはほとんどなくなるだろうから、晴れて大連立政権が成立し、憲法改正へ一直線という運びだ。こうなった場合、「反自公」や「政権交代」を掲げて小沢一郎や鳩山由紀夫を支持し、今回の日本郵政の社長人事をめぐって鳩山邦夫を支持していた人たちはどう思うのだろうか。あまりにミエミエのナベツネの大連立狙いに、私はもううんざりなのだが、無邪気に小沢一郎や鳩山兄弟を支持する人たちは、何の警戒感も抱かないのだろうか。

過去にナベツネや小沢一郎や鳩山邦夫が何をやってきたか。それを思い出す時、「大連立」のどす黒いたくらみの予感を振り払うことは、私にはできない。


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普段ブログを休む土曜日だが、特別版のエントリを公開する。

昨日、鳩山邦夫総務相が辞任した。いや、「辞任」と書いているのは朝日新聞だけで、他紙は「更迭」と書いている。「自エンド」界隈では鳩山邦夫を持ち上げるブログが多くて私はうんざりだ。むろん、私も郵政民営化は見直すべきだと考えているが、それは「郵政総選挙」で大量の議席を獲得した自公政府ではなく、次期総選挙を経て成立するであろう現野党の連立政権によってなされるべきものである。

そのあたりを的確に指摘しているのが、民主党員のさとうしゅういち氏や民主党支持の元新聞記者・宮崎信行氏である。

さとうさんは、次のように書いている。

 結果として、鳩山大臣を麻生さんが「斬る」結果になったのは、わたしにとっては「想定内」です。

 麻生さんは小泉政治の存続を求める声に屈した形ですが、麻生さんの権力基盤は、2005年9月11日の「郵政選挙」(9・11総選挙)で小泉純一郎さんが、「郵政民営化」をメインとしたネオコンないしネオリベラルなマニフェストにより獲得した衆議院での圧倒的な与党の議席です。

 筋から言っても、麻生さんは、もし、鳩山邦夫さんをかばう路線をとるなら、解散総選挙を実施し、小泉政治を放棄するマニフェストを掲げて勝利した後でなければ、難しかったでしょう。もちろん、ここまで事態を引き伸ばした麻生太郎総理の威信は、低下することは避けられないでしょう。

(『広島瀬戸内新聞ニュース』?「鳩山邦夫さんへの過剰な期待は禁物」より)


さとうさんは鳩山邦夫を「裏切り三昧で信用できない人」、「信念などあまりなく、その場その場で、受けそうな行動を派手にぶちあげる」などと評しているが、私も裏ブログ『kojitakenの日記』に「鳩山邦夫 裏切りの人生」と題したエントリを公開し、裏ブログ久々の人気エントリになった。

宮崎信行さんはさらに辛辣で、「鳩山切りで“静脈瘤破裂”の危機回避 住友を甘く見たパフォーマンス大臣去る」と題したエントリは読ませる。宮崎さんのブログは、一時小沢一郎信者らの嫌がらせに遭ったあとの最近のエントリの方が、以前よりも精彩を放っているように思える。

まず、次期衆院選の福岡6区の自民党および民主党による情勢調査で、鳩山邦夫が民主党の古賀一成に大きくリードされていることを指摘し、続いて次のように書く。

 そうして迎えた2009年1月からの通常国会。TV入りの審議中継では、官僚の答弁書には目もくれずに、自分の言葉で5分以上の時間を使って、とうとうと答弁する姿が目立ちました。閣僚としてTVを使ったパフォーマンスで起死回生を狙ったのは想像に難くありません。

 鳩山総務相は西川善文・日本郵政社長との対立を演出し、茶の間の喝采を浴びましたが、これはあまりにも甘い。

 日本の国家予算は年100兆円ですが、日本郵政グループの資産は300兆円を超えます。300兆円が国から民間にスピンオフしたのが小泉自民党による郵政民営化です。この流れを逆にしようしたのです。これを人間に例えると、血液の循環を逆にしようという話です。心臓から静脈に血を流すとどうなるか?直接的な表現で申し訳ないのですが、あっという間に静脈瘤ができて、破裂するでしょう。すなわち自民党は即死です。

 郵政民営化見直しは政権交代による国民新党、民主党、社民党の連立政権でなければできるわけがないのです。

 住友、小泉、経団連を敵に回して、味方はテレビカメラだけ。この状態で鳩山邦夫さんが勝てるわけがありません。私が麻生首相だったら、なりたくありませんが仮に麻生首相になったと仮定すれば、更迭は当然です。閣内不一致の場合は辞めるのが首相でなく閣僚であるのは自明の理。

 住友を甘く見た当選10回のパフォーマンス大臣。民主党を離党して出馬した1999年東京都知事選惨敗の窮地を救ってくれ、福岡に選挙区を与えてくれた自民党への恩を仇で返したお坊ちゃん政治家。選挙区で名刺を配らず、東京の飲食店で初めて会う店員に名刺と称してお札を配る(この行為は選挙区外なので、公選法違反ではない)。地元回りを怠ったツケは、政治家として取り返しのつかない大失態へとつながりました。

(「国会傍聴記by下町の太陽・宮崎信行」?「鳩山切りで“静脈瘤破裂”の危機回避 住友を甘く見たパフォーマンス大臣去る」より)


確かに「1999年東京都知事選惨敗の窮地を救ってくれ、福岡に選挙区を与えてくれた自民党への恩を仇で返した」という見方も成り立つだろう。裏切りの常習犯である鳩山邦夫にとってはなんてことない行動なのだろうが。

私が情けないと思うのは、多くの「政権交代ブロガー」だとか、いつの間にかリベラルでもなんでもなくなっている某掲示板(日に2万件以上のアクセスがあるあそこのこと)の投稿者たちが、単なるパフォーマンスに過ぎない鳩山邦夫の行動を歓迎していることだ。民主党との距離が近い人ほど冷徹に鳩山邦夫を批判していることに、彼らは目を向けるべきだろう。何より、今回の件は自民党政府の内紛に過ぎない。政権政党内の内紛があたかも国民の関心事であるかのように解散総選挙になだれ込むのは、自民党お得意の手法である。2005年の郵政総選挙は記憶に新しいところだが、過去にはもっとひどい例がある。それは、1979年から翌1980年にかけてのことだ。1979年10月の総選挙で自民党が敗北したあと、自民党内で「40日抗争」が起き、第2次大平正芳内閣は苦難のスタートとなった。福田(赳夫)派、三木派、中曽根派は反主流派となって大平首相を攻撃、5月に野党が提出した内閣不信任案の議決に欠席し、不信任案が可決されて、前年の総選挙からわずか半年あまりで再び解散総選挙になってしまったのである。この時は、たまたま参議院選挙の時期と重なっていて、史上初の衆参同日選挙になった。この選挙で、大平首相は公示日の遊説で気分が悪くなって入院し、選挙戦さなかの1980年6月12日、心筋梗塞で死去した。明らかに、自民党内の激しい抗争が大平首相を殺したようなものだった。ところが、大平首相の死を契機に、自民党の候補者が「弔い合戦」なる意味不明のスローガンを掲げて攻勢に出て、自民党は衆参両院の選挙に圧勝したのである。

このように、党内抗争を選挙のエネルギーに転じて得票に結びつけるのが自民党の十八番(おはこ)である。どの政党にも十八番があり、たとえば民主党にとっては年金問題がそれだ。2004年と2007年の参院選は、いずれも年金問題が争点になって民主党が勝った。一方、党内抗争を票に結びつける十八番に持ち込んで自民党が圧勝したのが「郵政総選挙」なのだ。そこには、筋が通っているも通っていないもない。自分たちが大平首相を殺しておきながら、平然と「弔い合戦だ」などと口にできる厚顔無恥さを彼らは持っており、そうでなければ政治家など務まらないに違いない。大平正芳の命日である6月12日に、鳩山邦夫が総務相を更迭されたのは象徴的だ。

当ブログは、前から書くように、次期政権は民主党、社民党、国民新党の3党連立の枠組であるべきだと考えており、民主党に対しては是々非々の立場を貫く。西松事件の捜査に疑義を呈すれば、右から「小沢支持の陰謀論者」と批判され、民主党を批判すると「隠れ自公」と誹謗される。だが、現野党の連立政権に政権を交代すべき、と考えているのであるから、少数政党を圧殺するような民主党の比例区定数削減案には断固として反対するし、連立政権の政策の中ですぐれていると考える環境・エネルギー政策に焦点を当てたりもする。だが、主流の反自公ブログや掲示板の話題といえば、自民党の土俵である日本郵政の社長人事だとか、もはや鳩山由紀夫執行部もあまり触れなくなった西松事件についての第三者委員会の報告書の話ばかりではないか。いったい何を考えているのかと頭痛がしてくる。某BBSでは、民主党自らが西松事件を総選挙の争点にせよなどという、正気を疑うような投稿さえあった。そんな中で、当ブログ6月5日付エントリ「「政権交代」への流れは止まりそうにはないけれど‥‥」にコメントを下さったukihunetei_tanakayaさんの、「鳩山邦夫打倒が結論」という投稿には、大いに共感した。以下に紹介させていただく。

鳩山邦夫打倒が結論
投稿者---ukihunetei_tanakaya(2009/06/13 08:04:29)

本BBSに結集するヤトウズ民主党応援団の皆さん

・自民党内の政局プロレスに過ぎない今回のお祭り騒動には冷静に対処しましょう
・鳩山邦夫の選挙区事情から派生したパフォーマンスには飽き飽きしていました
・彼こそ民主党を脱党し、自民党に寝返り、麻生太郎の最大の支援者となり、菅代行の選挙区に刺客として現れた、民主党の敵ですよ

・評価すべきことは何もありません。選挙のためのメディアを使った売名が今回の祭の本質です
・その選挙区で民主党候補をきっちり当選させる、このことに尽きます

・郵政に潜む巨大な闇の構造は、政権交代後に全貌解明の作業が始まるまで明らかになることはないでしょう
・ヤトウズ民主党派は、目くそひとつ分も鳩山邦夫を評価してはいけません


胸のすく投稿である。何より鳩山邦夫は自民党の議員であり、鳩山邦夫にエールを送る民主党支持者は、福岡6区の票を固めてきた古賀一成氏の身にもなってやれ、と言いたい。

同様のことが静岡7区についてもいえる。他区の民主党公認候補予定者までもが、静岡7区から無所属で立候補を予定している城内実を「気配りの人」などと持ち上げていたのをどこかで見たことがあるが、なぜ同じ民主党から立候補を予定している斉木武志氏への配慮を見せられないかと疑問に思ったものだ。

とにかく、再び「郵政民営化」を選挙の争点にされてはたまらない。城内実にとってはおそらくその方が好都合だろうが、国民の多くは、日に日に苦しくなる生活を良くする政治を願っている。「郵政民営化」のピンポイントではなく、コイズミらが進めた「構造カイカク」(新自由主義)全体の総括、安倍晋三らが進めた戦前回帰の是非などを、総合的に問う選挙にしなければならないと思うのである。


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温室ガス削減の中期目標を取り上げた昨日のエントリは、やはり不人気だった。ブログへのアクセスは、トップページ(http://caprice.blog63.fc2.com/)への訪問が多く、これは普段と変わらないのだが、個別エントリのURL(昨日のエントリだとhttp://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-926.html)へのアクセス数が普段のおよそ半分だった。これは、昨日のエントリに限ったことではなく、環境・エネルギー問題を取り上げた時はいつもそうだ。おそらく、読者の関心が非常に薄いのだろう。先月来日したノーベル賞学者のポール・クルーグマン教授は、「環境関連主導の回復となりそうだ。実際に芽吹くにはもうしばらく時間がかかるが、それが回復につながる可能性が高いと思う」と述べており、テレビでも報道された。これが世界の常識なのだが、日本は世界からすっかり取り残されている。そういえば当ブログも「環境関連事業で雇用創出なんてできっこない」という冷淡なコメントをいただいたことがある。

環境・エネルギー問題には数々の「常識のウソ」がある。たとえば、昨日のエントリに対して、資本主義者さんから下記のコメントをいただいた。

日本と諸外国を同一に考えるのはおかしいでしょう。日本はエネルギー効率世界一です。実にアメリカの2倍、中国の7倍、欧州の1.4倍効率がいいのです。あまり大きな目標を立てると経済に打撃があるとも考えられる一方、新たなビジネスチャンスと見て新規起業で活性化もするでしょうし何とも言えません。ただ、1990年を起点にするべきです。2005年だと京都議定書はなんだったんだ?ということになってしまいます。不参加だったアメリカには2005年の方が好都合なんでしょうが。

2009.06.11 12:20 資本主義者


資本主義者さんのコメントを取り上げたことには他意はなく、これが一般的なとらえ方だと思うのだが、これも「常識のウソ」の一つである。それを解説したのが、ちゃこさんのコメントだ。

日本のエネルギー効率が世界一というのは見せかけです。
確かに、GDP当りのエネルギー消費量や1人あたりのエネルギー消費量は日本は先進国の中では少ないです。しかし、それは家庭と運輸部門でのエネルギー消費が少ないから全体として少ないように見えるのです。
特に太平洋ベルト地帯など人口集中地帯は温暖な地域なので、暖房エネルギー消費が欧州に比べて極端に少ないこと。また狭い地域に人口が密集しているために輸送エネルギーが少なくてすむ。こういった理由で日本のエネルギー効率は比較的高いとされているのです。
他方で、製造業など産業のエネルギー効率(鉱工業生産指数当たりのエネルギー消費量)について、日本は1990年を境に悪化し続けています。つまりこの20年間産業はずっとエネルギー効率が下がっているのです。また、日本は無駄な公共事業が多いため、これにかかるエネルギー消費量も他国に比べると多いといわれています。

2009.06.11 14:24 ちゃこ


この指摘は、当ブログで取り上げたことがあるかどうかは忘れたが、環境問題について調べていれば行き当たる事柄である。ちゃこさんの指摘される「無駄な公共事業」のほか、麻生政権が実施した「ETCを装着すれば地方の高速道路1000円」なる政策も、地球を温暖化させるわフェリー会社の経営を圧迫するわで、「世紀の大愚策」としかいいようがない。

恥さらしの麻生太郎を首相にいただく日本は、地球温暖化問題に取り組む環境保護団体の国際連合組織から10日、小さな温室効果ガス削減目標を決めたとして、地球温暖化対策に後ろ向きな行動を取った国に贈る「今日の化石賞」の特別賞に選出されてしまった。これは、共同通信が報じているので、地方紙には載っているのだろうが、今朝の朝日新聞(大阪本社発行統合版)の紙面を隅々まで見渡しても、どこにも出ていない(昨日報じていました。追記参照)。実は私がこの件を知ったのは、「きっこのブログ」経由であり、そこには「読売や産経が絶対に報じないこの記事」と書かれているが、本当に読売や産経はおろか、朝日も、おそらく毎日も報じていない[註]らしいことには驚き呆れる。きっこさんは、「全国紙読売や産経はこの件をスルーする」という情報を入手したのではないかと私は推測している。なお、この「化石賞」は昨年も「福田ビジョン」が受賞しており、それに関しては昨日のエントリでも紹介した飯田哲也氏が昨年6月19日付コラム「「福田ビジョン」をどう読むか――洞爺湖サミットの「舵取り」と日本の針路を見通す」に詳しく書いている。飯田氏は、福田ビジョンを「自然エネルギー促進に踏み込んだ」と評価しながらも(麻生太郎よりははるかにマシだ)、「福田ビジョンに中期目標がなく、緊急性を欠いていること、代わりに数字遊びをしていることが指摘されている。その通りだと思う」としている。

こうした環境問題を真剣に取り上げない日本のマスコミは腐っているといいたいところだが、残念ながら「ブログ論壇」も同様だ。相も変わらず日本郵政の社長人事と民主党が外部に委託した「第三者委員会」の報告書の話ばかりで、前者はまるで自民党のコマーシャルだし、後者については今朝の朝日新聞の社説「民主党―自浄力が問われ続ける」が民主党・検察・報道の三者の問題点に触れた適切なまとめになっていて、それ以上の論評は不要だろう。

とはいえ、当ブログのスタンスにも異論はあるだろう。日本郵政の社長人事の件について、昨日のエントリで「どうでもよい」と書いたところ、cubeさんから下記のご批判をいただいた。

 郵政民営化問題はどうでもいいことではないでしょう。
 西川社長を支えているのは、ご存じの通り、奥田や牛尾、丹羽といった経団連の面々です。さらには、ゴールドマンサックス、メリルリンチなど、米国大資本。それらが手兵の小泉や竹中、マスコミを使って無理筋を通そうとしているのです。
 CO2削減目標と言っても、それこそ米国が本気で電気自動車普及をすれば、すぐに日米ともに達成できるでしょう。米国が主な消費地のトヨタも、ハイブリッドどころか、電気自動車に今日からすぐシフトです。電気自動車は、ハイブリッドよりはるかにエネルギー効率がいいらしいですよ。
 しかしそこに立ちはだかるのは石油利権です。
 結局、新技術も大切ですが、それより利権・策略・政治力・軍事力が世界を動かしているのです。そういったドロドロした欲が障害になっているのは郵政問題も、地球温暖化問題も同じだと思いますね。
 ちなみに私も、温暖化陰謀論を棄てきれませんが、エネルギー節約や大気汚染削減に役立つなら、CO2削減を追究するのは悪いこととは思いません。ただ、排出権取引には大反対ですが。

2009.06.11 13:17 cube


ちょっと脱線するが、「CO2削減目標と言っても、それこそ米国が本気で電気自動車普及をすれば、すぐに日米ともに達成できるでしょう」という楽観的な見通しには、大きな落とし穴がある。電気自動車の普及のためには、リチウムイオン電池の技術開発が不可欠なのだが、この技術には安全性の確保が難しいという大きな問題があるのだ。数年前からしばしば話題になっているノートパソコンや携帯電話の電池の爆発や発火の事故を思い出していただきたいが、自動車に用いられる電池のエネルギーは、携帯電話やパソコンの比ではなく、万一爆発が起きた場合は大きな死亡事故になる恐れが大きい。この分野もまた、環境問題同様、市場原理だけに任せていたのでは将来への大きな禍根になる。安全性をおろそかにして利潤追求に走られたのでは、何が起きても不思議はないからである。なお、リチウムイオン電池の安全性の技術でも日本は世界をリードしている。

話を元に戻すと、cubeさんのコメントに対して、sweden1901さんから反論のコメントが寄せられた。

飯田哲也氏のコラム、拝読しました。
経産省がなぜ、これまで無視してきたFITを突然導入しようとしているのか、その背景がよく理解できました。
経産省の省益、そして財界とのしがらみを最大限考慮したやり方なのでしょう。

自民党政権のままでは、世界との差が広がる一方だと思います。洞爺湖サミットで福田首相は、彼なりに頑張ったのだと思いますが、「サミットに名を残すためなら何でもよかった」程度の意気込みしか感じられませんでした。
そんな付け焼き刃的な取り組みでは、結局飯田氏のコラムにあるように、簡単に枠組みが崩壊してしまうような政策しか打ち出せません。
民主党など野党は、経産省の方針転換をうまく利用して、世界の潮流に少しでも早く追いつけるように努力を続けないといけないのでしょう。

>世の民主党支持ブログも、もっとこういった点を積極的にアピールすればよいのにと思うが、一部ブログに引っ張られてか、もう国民からは見放されている自民党内の、日本郵政の社長人事をめぐるどうでもよい内紛のことばかり書いている。

とおっしゃるkojitakenさんに対して、

>郵政民営化問題はどうでもいいことではないでしょう。
とお書きになっているcubeさんへ。

私は次のように感じました。

郵政民営化の負の側面が露呈した以上、かんぽの宿を大安売りを主導した西川社長が辞めることは当然で議論の余地はありません。西川社長続投に反対を唱えている鳩山総務相は、小泉・竹中カイカク路線からの決別をしたい麻生首相の意向を汲んでいることも当然のことです。

麻生首相は、解散・総選挙を一番「自分に」都合の良いタイミングで行うために、ある次点(たとえば6/29の日本郵政の株主総会)で、
・「西川社長の辞任を求め、鳩山総務相の留任を決定」して内閣支持率アップを図り解散。
あるいは、
・「西川社長の辞任を求め、内閣改造を行い、結果として鳩山総務相をやめさせる形で両者相討ちの形で決着」して、支持率アップと自民党内の小泉シンパの顔を立てる形を取った上で解散。
というようなことを考えているのでしょう。

どちらにしても、郵政民営化の是非をめぐる自民党内の動きに注目を集めさせ、野党のメディア露出を相対的に抑えることで、衆院選勝利を目指しているのだろうから、そんな姑息な戦略に乗せられるのはやめよう、
ということをkojitakenさんはおっしゃっているのではないかと感じました。(的外れでしたら済みません)

私もまったく同感です。
西川社長を辞めさせられなかったら、完全に自民党への逆風が強まります。
もし辞めさせられたとしても、それが当然なのですから、麻生首相のリーダーシップがもてはやされることはあり得ません。(マスコミはやりかねませんが)
ですから私もkojitakenさんと同様、この件は「どうでもよい内紛」と認識しています。

ここまで書いて、たまたま城内実氏のblogを読んでみたら、案の定、この件で麻生首相がいずれ下す結論が世論の支持を得るだろうというような予想を書いていて、笑ってしまいました。
それにしても彼のblogにはまだあの醜悪で唾棄すべきエントリーが削除されずに残してあることがわかりビックリしました。あういうことを書いてblogで公開するような人間についてコメントするのもバカバカしいですが、次期総選挙で当選して欲しくない候補者の筆頭です。

2009.06.12 00:12 sweden1901


sweden1901さんのご推察通り、「郵政民営化の是非をめぐる自民党内の動きに注目を集めさせ、野党のメディア露出を相対的に抑えることで、衆院選勝利を目指しているのだろうから、そんな姑息な戦略に乗せられるのはやめよう」というのが私の言いたかったことなのだが、昨日のエントリでは反論を呼び込みたかったこともあって、あえて刺激的な書き方をした次第だ。cubeさんには申し訳ないことをしてしまったかもしれないが、ご了承をお願いしたい。

なお、sweden1901さんのコメントの末尾にある、城内実の醜悪なエントリとは、昨年の国籍法改正をめぐるもので、当ブログは何度もこの件を蒸し返しているが、改めてもう一度リンクを張っておく。
http://www.m-kiuchi.com/2008/11/11/bakawashinanakyanaoranai/

URLの、"bakawashinanakyanaoranai"という文字列がとても素敵である。このエントリは「はてなブックマーク」でも大人気だった。

最近台頭してきたさるブログの管理人様からも、今後、城内実や橋下徹が台頭してきそうだとして、当ブログと共闘したいと仰る非公開コメントをいただいた。今後自民党が没落し、それに代わって右翼ポピュリストである城内実や橋下徹が民主主義の敵として大きな存在になるだろうと私も予想している。鍵コメなのでブログ名は公開しないが、素晴らしい調査能力の高さを私も評価しており、むしろこちらから共闘を申し出たいほどの心強いブログだ。今後ともよろしくお願いしたいと思う今日この頃である。

[註] Google検索では「今日の化石賞」に関する記事は共同通信の記事しか見当たらず、各紙のウェブページからも見つかりませんでした。もし全国紙読売新聞か産経新聞に報道されていれば当ブログまでお知らせいただければ幸いです。

[追記] 朝日新聞は昨日(6/11)の2面、毎日新聞は昨日の3面で「特別化石賞」受賞をそれぞれ報じていました。朝日は長い2面の記事の中のわずか3行で触れていただけでしたが、毎日は大きな写真入りで見出しつきの7行の記事でした。これらが判明したので、当エントリのタイトルを変更しました。朝日も毎日もボンに派遣された特派員は結構頑張って記事を書いているのに、経済部が経団連の意向を汲んだ反動的な記事を垂れ流している印象を受けます。


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今朝の朝日新聞(大阪本社発行統合版)の1面トップに、「温室ガス 05年比15%減 中期目標 首相、上積み決定」という見出しが躍っている。おそらくどの新聞も同様の見出しを一面トップに掲げていることだろう。

どういうわけか「自エンド」界隈では、日本郵政の社長人事をめぐってもうすぐ自滅する自民党の内紛の記事ばかりが目立ち、環境・エネルギー問題は不人気どころか、筋の悪い「地球温暖化陰謀論」なるトンデモを掲げて池田信夫(笑)と共闘しているありさまだが、「大津留公彦のブログ2」「8%削減を15%と言う方法」と題したエントリで中期目標の件を取り上げている。その冒頭部分を引用する。

8%削減を15%と言う方法があった。
今日発表された政府の環境に関する2020年までの中期目標の数値の基準年がこれまでの1990年から2005年に変更された。
欧州の基準年は1990年だがアメリカは2005年でアメリカに合わせた格好となる。
日本は地球温暖化をどんどん進めている国なので基準年をどんどん後ろにずらせば改善率はどんどん高くなる。
この2005年基準の数値は当初14%と予定されていたが今の20倍にする予定の太陽光発電(前倒しして年内に電力会社の買い取り価格を二倍化する)による削減分で1%上積みし15%とした模様。
(「大津留公彦のブログ2」 2008年6月10日付 「8%削減を15%と言う方法」より)


大津留さんが指摘する通り、この「2005年基準」はアメリカに歩調を合わせたもので、相変わらずの対米従属ぶりだが、対米従属ならまだましで、日本の環境・エネルギー政策はアメリカよりはるかに悪く、報道で知られているように、オバマ大統領はグリーンニューディール政策に熱心だし、それどころか悪名高いブッシュ前大統領でさえ、任期後半には就任当初とはスタンスを変え、環境・エネルギー政策に目を向け始めていた。これに関しては、以前のエントリで紹介したことのある金子勝とアンドリュー・デウィットの共著『環境・エネルギー革命』(アスペクト、2007年)が詳しい。

前記「大津留公彦のブログ2」にも、下記の佐和隆光・立命館大教授のコメントが紹介されている。

20年に人口が90年比33.4%増になるアメリカの中期目標は「1人当たりの温室効果ガス排出量を90年比25%削減することを意味する。人口が横ばいの日本の90年比25%削減の目標と同等だ」


ところが、朝日新聞の報道ぶりはどうだろう。昨夜のテレビでは、民主党の鳩山由紀夫代表と共産党の志位和夫委員長がともに麻生首相が打ち出した中期目標を厳しく批判するコメントを発していたが、それは紙面には掲載されておらず、わずかに2面の下の方に、下記のような記述がある。

 今秋までに実施される衆院選で政権交代があれば、日本のスタンスは大きく変わりかねない。民主党は90年比で25%削減を主張しているためだ。党地球温暖化対策本部の福山哲郎事務総長は10日、政府の目標を「国際社会を失望させる。この数字では、温暖化対策と経済成長の両立の政治的意志を国際社会に伝えられない」と厳しく批判した。
(朝日新聞 2009年6月11日付2面より)


共産党や他の野党のコメントは、全く掲載されていない。その一方で、「政策面」と銘打たれた7面には、「家庭にしわ寄せ」という大見出しで、2020年に温室効果ガスを90年比8%減にすると、現在の削減努力を続けるだけのケースと比べて家庭の可処分所得が年間4万3千円減り、逆に光熱費は年間3万6千円増え、実質的な負担増は月当たりで6千円以上になると書かれているが、これは記事にも明記されているように、政府の試算をそのまま紙面に載せたものだ。この面の記事は、経団連の意向に沿ったものに近いが、その中に、

 ただ、今回の中期目標の前提は多くが家庭の負担増で、特に産業界に厳しいわけではない。

とさりげなく指摘していたりする。実際、太陽光発電のほか、リチウムイオン電池の技術においては日本は世界をリードしており、その技術を適用できる電気自動車に関連する業界には、商機を期待するむきもある。しかし、電力や鉄鋼業界にとっては大きな不利益になるので、これらの業界、労組や経団連、それに彼らと結託した経済産業省が温室ガス削減政策に強硬に抵抗しているのが実情なのである。

この腐れ朝日の報道と比較すると、「日経エコロミー」というサイトを開設している日経のほうがまだましで、当ブログは特に飯田哲也氏のコラム「飯田哲也のエネルギー・フロネシスを求めて」を推薦する。最新の6月1日付「自然エネルギー普及のカギ、「FIT」制度への改善提言」では、当ブログ5月22日付エントリ「エネルギー政策を骨抜きにする経産省と、無策の麻生首相」でも紹介した、週刊「エコノミスト」5月26日号掲載の飯田氏の記事とほぼ同内容のコラムを読むことができる。

最後に、私が最も注目しているのは民主党の政策で、朝日の記事にもあるように、民主党は「温暖化対策と経済成長の両立の政治的意志を国際社会に伝え」るべく、90年比温室ガスの25%削減を主張している。これは、経団連とは真っ向から対立する政策である。政権交代が起きたって、どうせ民主党も自民党同様の、経団連に支配された政治を行うに決まっているとする見方もあるが、本当にそうかどうか、環境・エネルギー政策の進め方は絶好の監視材料になるだろう。世の民主党支持ブログも、もっとこういった点を積極的にアピールすればよいのにと思うが、一部ブログに引っ張られてか、もう国民からは見放されている自民党内の、日本郵政の社長人事をめぐるどうでもよい内紛のことばかり書いている。郵政民営化を「唯一の争点」に誘導されてしまった4年前の「郵政総選挙」において、郵政民営化をめぐる自民党の「カイカク派」と「抵抗勢力」の争い、ことに「刺客作戦」にばかり人々の関心が集まり、民主党以下の野党が関心の埒外に去って、自民党圧勝の選挙結果になったことを彼らは忘れたのだろうか。彼らは、「官僚支配からの脱却」などのお題目は熱心に唱えるが、その具体的な内容は何一つ書かない。官僚支配の悪弊を指摘するための恰好の具体例の一つが環境・エネルギー政策であり、それは上記の飯田哲也氏のコラムを読めばよく理解できるし、理論武装もできることを指摘しておきたい。


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天安門事件20周年も秋葉原事件1周年も触れないまま、選挙制度改悪の動きを批判するエントリばかり上げている。アクセス数だけを重視するブログ運営をするなら、この件は、環境・エネルギー問題や世襲制限批判に次いで不人気なのだが、止めるわけには絶対にいかない。民主主義の根幹に関わる問題だと思うからだ。

だが、本論に入る前に、このところ常軌を逸してきた自民党の妄動を批判しておくことにする。これも、書く機を逃しそうになっていたが、絶対に見逃してはならない件だ。

6月7日付の読売新聞記事から引用すると、

 麻生首相は7日、東京都議選(7月12日)の立候補予定者の応援で訪れた武蔵野市のJR吉祥寺駅前で街頭演説し、弾道ミサイルの発射準備を進める北朝鮮に関し、「戦うべき時は戦わねばならない。その覚悟を持たなければ、国の安全なんて守れるはずがない」と述べ、制裁強化などで圧力を強める姿勢を強調した。
(2009年6月7日19時31分 読売新聞)

とのことである。

自民党は、これまでも困った時には北朝鮮を政権浮揚のために利用してきたが、ここにきてのこの麻生発言は、いよいよ自民党が頼れるものは北朝鮮しかなくなったという印象だ。それにしても、民主党との戦い(総選挙)から逃げている麻生首相が、北朝鮮と戦う覚悟を国民に強要するとは呆れる。こんなのを、「選挙に勝てる」ことを理由にして総裁に選んだ自民党には、下野してもらうしかない。

ところで、その自民党には「衆参両院を統合し『一院制の新国会』を創設する議員連盟」(衛藤征士郎会長)というのがあり、この議連が9日の役員会で、2019年に衆参両院を対等に統合した「新国会」を発足させるとの決議案を決めたとのことだ(朝日新聞記事より)。

同議連は決議案を党改革実行本部の武部勤本部長に提出し、次期総選挙の公約に盛り込むよう求めたが、その内容は、

(1)国会の定数を現在の衆参両院(衆院480、参院242)から約3割減の500人(2)選挙区は原則、大選挙区制で、人口25万人に1人の議員選出を目安に各都道府県に定数を割り振る――としている。
(2009年6月9日21時14分 朝日新聞)

とのことだ。これを実現するためには憲法改正が必要で、そのための原動力にしたいという意図がミエミエだし、うるさい参議院を廃止してしまえというのも論外だが、以前の中選挙区制よりさらに区割りの大きな「大選挙区制」を打ち出しているのは、自民党の党勢が衰退した今となっては、その方が自民党に有利だという党利党略からきているものだろう。公明党への配慮もあるかもしれない。だが、もちろんこんな案は認めるわけにはいかない。

一方、民主党も9日午前の常任幹事会で、定数削減を含めた参院の選挙制度のあり方を議論する「参議院選挙制度等改革検討委員会」の設置を決めた(産経新聞記事より)。座長は岡田克也幹事長、座長代理に輿石東参院議員会長が就き、5人程度で議論するとのことだが、わずか5人の意見で選挙制度をゆがめてしまおうなどというのは、とんでもない話である。産経新聞によると、

現在の党勢の原動力でもある参院第一党の立場を揺るがしかねないとの懸念から党内の参院側に慎重論もあることからとりまとめは難航しそうだ。
(2009年6月9日12時36分 産経新聞)

とのことだが、当然だろう。産経の記事は触れていないが、昨日のエントリでも触れたように、社民党の反対もある。

ところで、比例区を狙い撃ちにした民主党の議員定数削減案については、共産党支持ブログの主張が活発で、友さん運営の「大脇劇場」からはエールもいただいている。いただいたエールに対する反応が遅れてしまったが、ここにお礼を申し上げる。

また、当ブログにも民主党右派に近いと思われるcubeさんから、下記のコメントをいただいた。

私は民主党が平沼や鳩山弟や橋下と握手することは、まだ「合従連衡」の内であり、現実的対応として許されると思います。
しかし比例定数削減はよくないですね。私が民主党にメールしたら、

今回ご指摘の「参議院の議員定数削減」は、民主党としての方針ではございません、各議員により、それぞれ考えはあるのでしょうが。民主党は行政改革などを顧みて、議員数も削減すべきとの施策を主張し、衆議院議員の定数を400人に減らすための法律案(公選法改正案)を2004年の第159回通常国会に提出いたしました。
有権者のみなさんのお考えを鏡のように反映させようとすれば「比例代表選挙」ですが小党分立状況になりますし、政権交代をやりやすくするならば「小選挙区選挙」となり大政党に集約されていきます。選挙制度は、各党ばかりでなく政治家個人間でも、「最良」の制度は異なるものだと思います。

などというあいまいな返事をいただきました。
福島さんは、「連立しないかもしれない」ではなく、「しません」とはっきり言うべきですね。この社民党の対応は正しい。
2009.06.09 10:25 cube


当ブログは、共産党とも意見が合わないないところがあるし、それ以上に「平沼や鳩山弟や橋下と握手する」ことを容認するcubeさんの意見とも合わないのだが、比例区定数削減反対については三者の意見が一致する。民主党に抗議のメールを送られたcubeさんには敬意を表したい。

それにしても、「民主党としての方針ではない、各議員により、それぞれ考えはある」と言いながら、岡田克也や輿石東ら5人だけで比例区定数を削減してしまおうという民主党執行部のゴリ押しは断じて許されるものではない。党代表の鳩山由紀夫は強烈な比例区定数削減論者であり、鳩山代表の意向も民主党の動きに反映していると考えて間違いあるまい。

民主党内からも異論は出ている。「JANJAN」で、民主党員のさとうしゅういち記者が伝えるところによると、6月6日午後6時に広島県福山市を訪れた民主党鳩山代表の遊説会場は、超満員で人があふれてしまい、その人気は「小泉旋風を髣髴(ほうふつ)とさせる」ものだったそうだが、さとう記者は「議員定数の削減を今やるのはまずいのではないか」という質問をしたかったが果たせなかったとのことだ。だが、民主党内からの異論をネットで発信している。さとう記者は「広島瀬戸内新聞ニュース」で、反対の理由を、

選挙協力にも悪影響が出るし、官僚をうまく押さえ込んで使いこなすには、議員は当面減らさないほうがいいのではないか?むしろ立法は強化すべき。

と書いている。

しかし、「反自公」を唱えるネットの主流になっているブログや掲示板では、民主党の定数削減案への反対の声はいたって弱い。彼らの司令塔的存在である植草一秀氏のブログは、さすがに「総選挙の争点と国会議員定数削減論への反対論」と題するエントリで、さる掲示板に「風太」さん(当ブログのコメント常連の方でもある)が投稿された記事を引用する形で、定数削減に反対の意見を表明している。そのこと自体は評価できるが、定数削減を強硬に主張する鳩山代表や岡田幹事長ら民主党執行部に苦言を呈する文言が見当たらないのが画竜点睛(がりょうてんせい)を欠く。オピニオン・リーダーの腰が引けているとフォロワーたちが感じたら、彼らは民主党執行部に物申す姿勢を全く見せなくなるので、植草氏には率先垂範をお願いしたいと思う。植草氏がブログからリンクを張った憲法学者の上脇博之教授(神戸学院大学)のブログ記事には、「しんぶん赤旗」の記事からの引用や、同紙にインタビューを受けた時の上脇教授のコメントも掲載されており、この件に関しては植草氏は共産党と同意見だと考えて差し支えないと思うのだが、そのことや民主党執行部への批判の文言を表に出さないあたりに物足りなさを覚えるというか政治的意図を感じる。だが、留保はつけるけれども国会議員定数削減反対論に関しては、当ブログも植草氏の意見に賛成である。

ちょっと今日の記事は長くなり過ぎたが、物言えば唇寒しであってはならないと考え、長文をつづった次第である。ここまで読んでくださった読者の方々には、お礼を申し上げたい。


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先日、反小沢一郎の巨魁として小沢・鳩山支持者から不評を買っている仙谷由人がいる徳島県で、民主党のポスターを見た。「政権交代」という大きな文字と、1区仙谷由人、2区高井美穂、3区仁木博文の顔写真が出ている。近くに張られていた鳩山由紀夫のポスターには、「みんなで政権交代」の文字が躍っている。

どうやら「政権交代」という言葉が人々の心をとらえ始めたようで、麻生内閣および自民党の支持率は再び落ち始めており、その動きには加速がついて、なだれ現象が起きるきざしさえある。千葉市長選は、民主党が推薦する熊谷俊人氏が、自公推薦の林孝二郎氏や共産党公認の結城房江氏を抑えてリードしていると報じられている。さらに衝撃的なのは7月12日投票の東京都議選に関する東京新聞の報道で、これによると、現段階での有権者の投票意向が、民主32.5%、自民20.3%となっていて、民主党が躍進した前回(2005年)の同時期と比較しても民主党が11.1ポイントも上昇しており、自公与党の苦戦は避けられない情勢だ。

先週発売された「週刊文春」の6月11日号には、宮川隆義の衆院選予想が出ていて、これは3か月に一度くらいの頻度で誌面に載るものだが、昨年秋や今年初めのような民主党圧勝の予想にはなっておらず、民主党は231議席で、社民8議席、国民新2議席、新党大地2議席などを合わせて過半数を確保するが、誤差範囲が大きく、政権交代が成らない可能性もあるというものだ。共産党は13議席、新党日本および幸福実現党(笑)は議席を獲得できず、諸派、無所属は平沼赳夫一派や渡辺喜美一派、山梨の長崎幸太郎氏や高知の橋本大二郎氏らが計9議席を獲得するとしている。記事は、渡辺喜美一派(「日本の夜明け」)が自公と組む可能性は皆無で、麻生太郎首相は平沼赳夫グループを頼りにしているが、平沼グループの議席が5議席を超えることはなく、かつ平沼グループが自民党に合流するための条件は、自民党が安倍晋三を総裁に起用することだから、この条件は麻生首相には呑めないとしている。さらに、総選挙後に行われる自民党総裁選で、津島派には舛添要一を総裁候補に推す動きがあるが、そうなれば鳩山邦夫が党を割って、兄・鳩山由紀夫の民主党に協力する「裏連立」もあり得るとする。私は全然知らなかったのだが、鳩山一郎元首相が創立した「友愛会」には、海部俊樹や森喜朗のほか、現職の議員が多数いるそうだ。「今度の選挙は鳩山兄弟と渡辺喜美が主役になる」というのが宮川氏の見立てである。

ちょっと前に「週刊ポスト」も鳩山兄弟の連立説を書いていた。当ブログは昨日のエントリ「迷走目立つ自民党 & 鳩山邦夫は民主党の分裂要因になる」で、民主党立党時に、鳩山邦夫が武村正義氏(さきがけ)や元首相の村山富市氏(社民党)を「裏切り者」呼ばわりし、決して民主党には合流させないと強硬だったとして鳩山邦夫を批判したが、これに対して陰謀論好きで城内実支持者の「散策」氏から異論のコメントをいただいた。散策氏によると、「噂の眞相」1996年12月特集2には、「民主党の仕掛人政界フィクサー稼業・高野孟の”正体” 」という記事があって、武村氏や村山氏の排除は、高野孟の筋書きだったのではないかという。 しかし、当ブログのソースは、休刊した朝日新聞の月刊誌「論座」に掲載され、その後朝日新聞出版から単行本になった菅直人のインタビュー記事である。聞き手は五百旗頭真、伊藤元重、薬師寺克行の3氏であり、私は「論座」連載時に読んだほか、おとといの日曜日に単行本を立ち読みした。鳩山邦夫が武村、村山両氏を「裏切り者」呼ばわりしたというくだりは、菅直人ではなくインタビュアーの発言だったと思うが、菅直人はそれを否定していない。ただ、自民党出身者の多かった「さきがけ」には社民党への拒絶反応が強かったことを述べていた。社会民主連合出身である菅直人にはそのような拒絶反応はなく、菅直人がいたから今のような民主党ができたと考えてよさそうだ。それに対して、鳩山邦夫は民主党から左派をはじき出そうとする方向性を持っていると考えて間違いないだろう。

それにしても、極右の平沼赳夫一派とはくっつかないにしても、新自由主義勢力である渡辺喜美一派との連携を模索したり、あろうことか橋下徹の支持を取りつけようと自民党と懸命に争う民主党を見ると、いったい何のための政権交代なのかと思ってしまう。

社民党の福島瑞穂党首は、ようやく昨日(8日)、次期衆院選後に民主党中心の連立政権ができる場合は、衆参両院の比例代表定数の維持を連立参加の条件にする考えを表明した。公明党が自民党に同様の圧力をかけて、自民党のマニフェストへの削減数明記が難しくなっていることを考えると、社民党の反応は遅すぎるとは思うが、当然の対応である。民主党の新自由主義化に対しては、社民党は保守の国民新党と組んで民主党に抵抗しているが、議員定数削減の動きに対しても、今後とも民主党の暴走を阻止するべくプレッシャーをかけ続けてほしいと思う。


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ここにきて自民党および麻生太郎の迷走が再び目立つようになってきた。このところ、麻生首相や自民党のイメージを下げているのは、厚生労働省の分割を麻生が口にしながらすぐ取り下げたことや、国会議員の世襲制限が党内から、議員定数の削減が党内および公明党からそれぞれ反発を受けてまとまらないこと、それに日本郵政の社長人事をめぐる日本郵政の西川善文社長と鳩山邦夫総務相のバトルに麻生が身動きできずにいることなどだ。

国会議員の世襲制限については、そもそも世襲議員が党を牛耳っている自民党にそんなことができるはずもないという当たり前の話だが、菅義偉はなお世襲制限にこだわっている。菅は安倍晋三の側近として知られるが、ボンボンの安倍とは対照的な苦労人で、高校を出ていったん集団就職で上京したあと、働きながら大学に入って卒業した経歴を持つ。2000年の「加藤の乱」では不信任案に欠席した。当時は加藤派で、現在は古賀派に籍を置く。そんな菅が、なぜ安倍晋三の側近になったのかよくわからないが、菅は本気で世襲制限を唱えていると考えて間違いないだろう。だから、党内のあつれきも強くなる。それでも、民主党ほどには踏み込めない。

議員定数削減については、もともとが自民党が、憲法改正や、野党に過半数を握られている参議院廃止を狙って民主党の議員定数削減案に悪乗りしたものであって、党内はもちろん公明党の強い反発を食って、マニフェストには削減数も盛り込めないと見られている。これはまあ正常な復元力が働いていると考えるべきだろう。むしろ、民主党がなお定数削減をマニフェストに盛り込もうとしている方が問題だ。これに関して、社民党の反発があまり強くないように見えることが解せない。社民党は、民主党に吸収合併されてもかまわないと考えているのだろうか。国民新党がそう考えるのは、保守政党同士ということでまだわかるのだが、社民党が民主党に呑み込まれて民主党が社民的な性格を強めるかというと、決してそんなことにはならないと私は思う。

なお、このところ当ブログでは選挙制度に関するエントリをあげてきたが、読者の方には当ブログが「中選挙区制復活を主張している」と誤読される方がおられるようだ。当ブログが最初に衆議院の選挙制度について取り上げたのは、2007年6月26日付エントリ「「タレント候補」の集票力の低下」だが、そこで書いたように、当ブログは「小選挙区比例代表併用制」の採用を主張している。この制度は、実質的に比例代表制である。中選挙区制については、現行の小選挙区比例代表並立制よりはましだと言っているに過ぎない。比例区のあり方を(現行制度のまま)見直せというのなら話は簡単で、せめて「政治改革」の初めの頃の議論並みに、小選挙区と比例区の定数を同数に戻せというだけだ。

現行の選挙制度は政権交代を起こしやすくする制度だという、「政治改革」の頃の議論に刷り込まれた読者はずいぶん多いようで、2000年と2003年の総選挙では民主党が小選挙区制の恩恵を受けたと仰る。しかし、初めて小選挙区制が導入された1996年の総選挙では、中選挙区制のままであれば新進党と民主党の連立政権が(連立を組もうとすれば)成立したという試算がある。2000年の総選挙では自民党は小選挙区で41%の得票率で59%の議席を、2003年には44%の得票率で56%の議席を、そして2005年には49%の得票率で76%の議席を得た。一方民主党は2000年に28%の得票率で27%の議席、2003年には37%の得票率で35%の議席、2005年には36%の得票率で17%の議席だった。このことは、政党がある程度大きければ、第二党は第三党以下より小選挙区制の恩恵を受けるが、それでもこの制度では第一党が圧倒的に有利であることを示す。そして、少しでも第一党と第二党の得票率の差が開くと、それはとんでもない議席数の差に拡大されることを冷徹に示したのが前回の「郵政総選挙」だった。「自民党ほど小選挙区制の恩恵を浴した政党はない」というのが真実なのだ。それでも民主党が比例区の定数削減にこだわるのは、今後の国政選挙では民主党が得票率で1位になると考えているからだろう。党利党略以外のなにものでもない。

日本郵政の社長人事をめぐる各紙の報道については、毎日新聞が「社説ウォッチング」でまとめている。これによると、麻生の統治能力欠如を問題にしているのは主に毎日新聞で、日経や朝日は鳩山邦夫の暴走を批判し、西川善文続投の方向で麻生が指導力を発揮するよう求めているという。ところが、記事には書かれていないけれども注目されるのが、従来日経や朝日と同じ方向性をとっていた読売が、突如として西川善文の経営責任を問う方向に社論を転換したことだ。これにより、「ネオリベ・あらたにす連合」の一角が崩れた。当ブログの邪推(笑)によると、これはナベツネが提案した厚生労働省の分割案を麻生が反故にしたことに対する意趣返しで、読売が(というよりナベツネが)麻生を見放したのではないかと思うのである。

この件に関しては、政局に持ち込もうとする鳩山邦夫のぎらつきぶりに辟易するので、当ブログはあまり熱くなれない。「敵の敵は味方」という思考は私は好まないのである。私がこだわっているのは、かつての民主党結党時に、鳩山兄弟が「排除の論理」を言って、さきがけの武村正義氏や社民党の村山富市氏の合流を拒んだこと(特に弟の鳩山邦夫が彼らを「裏切り者」呼ばわりし、決して民主党には合流させないと強硬だったこと)や、その後1999年に民主党を離党して東京都知事選で石原慎太郎と争った時に民主党の支援を受けて選挙戦を戦いながら、その後あろうことか自民党に復党し(いったいどちらが「裏切り者」なんだろうか)、2003年の総選挙では菅直人と同じ選挙区に「刺客」として立候補したこと(選挙区では落選したが比例区で復活当選)、それに「ベルトコンベヤー」式に死刑執行を(大量に、事務的に)行えと主張したことなどであり、要するに鳩山邦夫というのは自民党の政治家の中でも私が特に嫌っている人間の一人なのである。こんな人物にエールを送るつもりは私にはさらさらないし、万一鳩山邦夫が民主党に合流した場合を想定した時、菅直人について「あのような人物を一国の総理にするわけにはいかない」と言った鳩山邦夫の発言を思い出さないわけにはいかないのである。

なんだかんだ言って小沢一郎の最大の功績は、民主党を割らなかったことだった(「改革クラブ」を結成した極右議員を除く)。しかし、万万一鳩山邦夫が民主党に合流した場合、この男は最悪の民主党分裂要因になるだろう。それなのに、兄の鳩山由紀夫は邦夫にエールを送った。一方、岡田克也は冷たく鳩山邦夫を批判した。両者を比較した時、鳩山由紀夫の言動は軽率であるとしか私には思えないのである。


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ブログを始めて4年目になるが、これほど自分の意見が通りにくいことは初めてのように思う。だが、ブログを始める以前、掲示板投稿者だった頃の自分を思い出すと、同様の時期が一度だけあった。それは2005年の郵政解散・総選挙の時で、それまで過激なコイズミ批判をしても常に賛否両論だったのに、あの時期に限って、何を書いてもコイズミ信者からの激しい反論を食って、しかもその数が圧倒的多数だったのに辟易したものだ。当時、共産党や「サンデー毎日」が、「具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターを支持する『B層』に『徹底フォーカス』したラーニングプロモーションを行う」と堂々と書かれた「スリード」社の資料の存在を暴いた時、これで自民党の勝利はなくなったと狂喜乱舞した私が掲示板にそのことを書いたら、「私たちはバカだというのか」と、激しい反発を招いて袋叩きにされた思い出がある。結局総選挙は自民党の圧勝に終わり、これは掲示板なんかにとどまっていてはいけない、と思ったことが、私がブログを始めたきっかけの一つになった。

現在は、あの時以来の雰囲気だ。ただ、熱狂の対象が「構造改革」から「政権交代」へと変わっている。コイズミ信者はすっかり影を潜め、代わって、政権交代至上主義者というべきか、小沢一郎・鳩山由紀夫心酔者というべきか、民主党執行部を熱狂的に支持する人たちが、「右」も「左」も弾き飛ばす勢いである。ネット右翼は、相変わらず改憲論者の鳩山由紀夫でさえ、「祖父(鳩山一郎)譲りの親ロシア」だとか「親韓親中」などと批判しているありさまで論外だが、反自公勢力の中では、「右」から順番に、小沢一郎・鳩山由紀夫(民主党保守派)に心酔する主流派、民主党中間派の岡田克也を支持する勢力、民主党と社民党・国民新党・新党日本の連立の枠組みを重視する勢力(民主党でいえば左派に近く、社民党との親和性も強い)、それに「自民・民主の二大政党自体が似た者同士」として批判する主に共産党支持の勢力に大きく4分されるように思える。当ブログは、4派のうち3番目の勢力に近い。ネットでもっとも大きな声を上げ、支持も得ているのは1番目の主流派である。彼らは、それより(私の把握では)「左」に位置する3派を、いずれも激しく攻撃する。彼らによれば、共産党は自公の補完勢力である一方、岡田克也は自公の「犬」なのだという。その中間に位置する当ブログも、「隠れ自民(自公)」だとして非難の対象になった。

これは、何もブログだけの話ではない。一線を退いた保守本流の政治家・白川勝彦氏のサイトの掲示板を源流とする「平成海援隊 Discussion BBS政治議論室」という掲示板のアクセス数がしばらく前から急増し、現在、1日あたり2万件を大きく超えている。これまでの累積アクセス数では当ブログの方が多いが、当ブログは1日のアクセス数が、ブログを更新している平日でさえ4千件台だから、いずれ「平成海援隊BBS」に逆転されるだろう。だが、その中身たるや小沢一郎・鳩山由紀夫の民主党執行部マンセーそのものなのである。中には、そうした主流派に違和感を持ち、第三極を求める人もいて、それさえ私から見れば「保守三大政党」論にしか見えないのだが、そういう人が投げかける「議員定数削減への懐疑論」に対して、掲示板投稿者の多くはいたって否定的で、民主党の鳩山由紀夫や岡田克也らが唱える議員削減案に賛成している。これには大いに失望させられた。また、彼らの多くが極右の城内実に親和的なのも気になるところだ。

いくら特定の政党や政治家を支持していたって、人間の考え方は一人一人みな違うのだから、いろんな議題に対して談論風発の気風がもっとあっても良いと思うのだが、掲示板の雰囲気は必ずしもそうではない。政権交代至上主義になっていて、何のための政権交代なのかが忘れられているように思えてならない。

もちろん、ネットの議論とリアルの世論は違うが、アクセス数を操作して過大に見せかけてランキング上位に居座るネット右翼のブログとは違って、上記掲示板や最近民主党(小沢一郎・鳩山由紀夫)応援で急成長したブログのアクセス数は掛け値なしに日に数万件あり、それは「右」の自公政権支持者や「左」の前記3派支持者を圧倒している印象を受ける。もちろん、全国民から見るとそんなに大きな比率でもないのだろうが、そこは小選挙区制の選挙。前回の「郵政総選挙」では、小選挙区での自民党の得票は、前々回(2003年)の選挙より5ポイント程度増えただけだったが(比例区は16ポイント増)、小選挙区の議席は前々回の168議席から一気に227議席まで増やした(民主党は前々回105議席、前回52議席)。ちょっとした支持率の変化で獲得議席数は劇的に変わる。現在は、「政権交代」という言葉に期待を寄せる有権者が多く、前回総選挙のことを思い出すと、この流れは選挙が近づけば近づくほど加速するだろうから、今度の総選挙は民主党の大勝になる可能性が強まってきたように思う。もちろん、6月19日には西松事件の初公判もあるが、小沢一郎は代表代行にとどまっているとはいえ代表の座を降りているし、麻生太郎は「国民の最大の関心事」などと言うけれども、国民にとってもっとも関心があるのは暮らしのことだし、西松事件は大久保秘書の逮捕から3か月になる。公判が、3月の時のような民主党の支持率急落、自民党の支持率急伸につながるとは考えにくい。

ことわっておくが、私も政権交代は起こさなければならないと考えている。だが、それは目的ではなく手段に過ぎない。同じところもあれば違うところもある自民党と民主党だが、とにかく一度政権を交代させなければ何も始まらない。しかし、民主党も経団連や御用労組の縛りが大きい政党だから、新政権の政策も国民の過大な期待を満足させるものにはならず、必ず批判を浴びるようになる。その際、期待が過度に大きければ失望もまた大きくなり、自民、民主のどちらにも満足できない世論は、過激で排外主義的な議論になびきやすくなることを私は心配する。その点でも、前記「平成海援隊」の掲示板投稿者たちが、現在の段階で既に城内実に親和的なのが気になるところだ。誰も「国籍法改正」をめぐる城内実の妄論には言及しない。

当ブログにも、昨日のエントリ「戦前にも失敗していた「二大政党制」」に、

あんたのような完璧主義者の非現実的な発言は結果的に自民党を延命させ、民主党や他野党の足を引っ張ってるという事に早く気付くべきだ。

などというコメントを寄せた者がいるが(比例区の定数削減の件では、明らかに民主党が「他野党」の足を引っ張っている)、民主党主流派への同調を強要するような空気が間違いなくあり、それは時が経てば別の方向に暴走する危惧を、私は持っているのである。


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鳩山邦夫が日本郵政の西川善文社長の更迭を求めて進退を賭けると発言している件について、熱く論じる人たちもいるが、兄貴との合流をにらんだパフォーマンスであることはミエミエなので、私としてはあまり熱くもなれない。政権交代後の民主党に、どこまで看板通りの「国民の生活が第一」の政治ができるか、党内民主主義さえどこまで確保されているかわからないこのところの状態を見ていると、大きな期待はできないようにも思う。

先日の大阪府松原市の市長選挙で自民・民主・公明が推薦する澤井宏文氏が共産党推薦の梅木佳章氏に勝ったが、敗れた梅木氏が44.21%の得票を集めて善戦した。この選挙結果からわかることは、民意は現在の自民党政治には強い不満を持っているが、民主党への支持もさほど広がっていないということだ。そんな状態で、今年の衆議院選挙で政権交代が起き、民主党が中心になる連立政権ができたとしよう。新政権は、発足当初には高い支持率を記録するだろうが、間もなく支持率は低下し、やっぱり民主党でもダメじゃないかという声が高まることが予想される。その場合でも、これまで長きにわたって国民の利益に反する政治を行ってきた自民党が見直されるとは考えられない。そこで、自民・民主以外の勢力を求めようにも、議席がほとんどなくどうしようもない。かくして、民意を反映しない自民党と民主党の政権交代が続き、国民の政治離れが加速する。これが、「二大政党制」の現実だと私は思う。

90年代の「政治改革」は、イギリスやアメリカ流の二大政党制を目指すものではあったけれど、だいぶ前にTBSの「サンデーモーニング」だったと思うが、アメリカでの世論調査によると、二大政党以外の第三極の政党を求める声が多いことを伝えていた。日本でも戦前の1927年(昭和2年)、与党・政友会に対抗する政党を作ろうと、民政党が結成された。この民政党結成に際しては、政友会を離れて加わった政治家も多く、自民党と社会党の出身者がほぼ半々でスタートした1998年の民主党を思い出させる。体質的にもよりタカ派的で官僚との結びつきも強く、利益誘導型政治を行ってきた政友会に対し、民政党の方がハト派的だったが、民政党も政友会と共通する性格も持っていた。この点も、党内に右翼や新自由主義者を多く抱える民主党と似ている。そして、民政党の浜口雄幸内閣は、コイズミにも比較されるポピュリズム政治を行い、人気は高かったが成功したとはいえなかった。国民の政治不信は高まり、極右が台頭してテロ事件が発生した。5・15事件で政友会の犬養毅首相が暗殺されると、軍人首班の内閣が成立し、政党政治は終焉した。その後の1940年に大政翼賛会が発足し、二大政党制は失敗に終わったのである。

一度戦前に失敗した二大政党制を、イギリスやアメリカに倣ってもう一度試そうとしたこと自体、決して賢くない選択だったと私は思っている。しかし、1990年代のマスコミは、政治改革に積極的な政治家に「改革派」、消極的な政治家に「守旧派」というレッテルを張った。その急先鋒だったのが田原総一朗である。あの頃私は、「サンデープロジェクト」を見ながら、毎週毎週よくもまああんな空疎なパフォーマンスができるなあと呆れていたし、当時非常に多忙だったため、政治への関心も薄れていた。私は自民党には過去一度も投票したことはなく、私の投票した候補者はたいてい落選していたが、1993年の総選挙で自民党が善戦した結果には、当然だと思った。この選挙の前に、小沢一郎らが離党して新党を結成していたため、解散時点で自民党は既に過半数割れしていたが、「守旧派」たちは勢力を守って下野したのである。明らかに、民意は必ずしも「政治改革」を支持してはいなかった。もちろん私は自民党嫌いだったから、非自民連立政権に一定の期待はしたが、小沢一郎が消費税の大幅増税を狙ったり、連立政権から社会党とさきがけを追い出そうとしたことにすっかり嫌気がさし、1994年の自社さ連立政権成立をむしろ歓迎したくらいだった。

朝日新聞は、「年金・定数削減…鳩山民主、マニフェスト見直し始動」と題する記事で、

 国会の定数削減も現実味が問われる。衆院では比例区80減を掲げるが比例区に頼る他党の反発が必至で時期に踏み込んでいない。参院もマニフェストに削減を明記する方針だが、3日の参院議員総会では反対の声があがり、人数までは明記できそうにない。

と伝えているが、そもそも定数削減が本当に必要なのかという点に加えて、中選挙区制のままだったらとっくに政権交代していたはずが、ここまで自民党政権を延命させた小選挙区制を中心とした選挙制度はこのままで良いのかという議論がなされなければならないと思う。

小選挙区制は、政治から民意(比較少数ではあっても、決して無視できない)を排除する最悪の選挙制度であり、これを廃止することが政治を国民の手に取り戻すために必要不可欠であると当ブログは主張する。


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国会の55日間会期延長が本決まりし、8月以降の総選挙投票日が濃厚になった。また、衆議院議員の任期が昨日で残り100日となったせいか、自民党議員たちのドタバタ劇が始まった。

町村派の山本拓(福井2区)が、総選挙前の総裁選求める署名集めを開始し、その背後にはカイカク派の領袖・中川秀直がいると噂され、各派閥は署名に応じないよう求める通達を出したという。
http://www.asahi.com/politics/update/0603/TKY200906020416.html

山本拓らの行動に激怒した一人が安倍晋三だそうで、山本拓の妻である高市早苗が慌てて安倍に謝罪に赴き、山本拓に署名運動をやめさせると説得すると安倍に言ったが、山本拓は署名運動は続けると意気軒昂らしい。最近の安倍の増長ぶりがうかがわれる。

その一方では、古賀誠選対委員長が、麻生首相の解散判断がずれ込んだ場合は10月総選挙もありうるとの認識を示した。
http://www.asahi.com/politics/update/0602/TKY200906020299.html

また、菅義偉が旗を振っていた国会議員の世襲制限は結局先送りになった。神奈川11区の小泉進次郎が制限の該当者になるが、この選挙区に自民党が小泉進次郎の対立候補を出すことは事実上不可能であり、ここで対立候補を出さなければミエミエの「世襲隠し」の批判を浴びると判断して先送りしたものらしい。考えてみれば当たり前の話で、自民党内にゴロゴロしている世襲議員たちが、自分自身を否定するような挙に出るはずがない。

世襲議員といえば、民主党は自民党よりずっと少ないのだが、どういうわけか鳩山由紀夫代表と小沢一郎代表代行の、事実上民主党の最高権力者二人が、ともに世襲議員である。総選挙が終わったら、政権政党になるかもしれない民主党にも、総選挙以降、世襲対非世襲の緊張が高まる可能性があると私は予想している。鳩山由紀夫と小沢一郎以外の民主党の有力議員は、多くが非世襲であり、先月の代表選では菅直人のほか、これまで小沢一郎寄りと見られていた旧社会党系の鉢呂吉雄や細川律夫らが岡田克也支持に回った。鳩山を支持した主力は、一昨年の参院選で初当選した「小沢チルドレン」であり、彼らが鳩山支持に回った裏には、輿石東の強烈な締めつけがあったらしい。いかにも経世会流の小沢一郎らしいやり方だが、数は膨れ上がったものの、鳩山を支持した議員に実力者は少ない。特に若手には大した議員がおらず、稲田朋美や城内実に近い主張を持つ極右の松原仁や、電波芸者の原口一博が目立つようではどうしようもない。一部で、テレビの討論番組に出演する民主党議員は、代表選で岡田克也を支持した議員ばかりだといきり立つむきもあるが、それもそのはず、鳩山由紀夫を支持した議員には人材が乏しいのである。

このような状態で私が懸念するのは、大連立の脅威である。「カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの虚業日記」は、

「大連立」とは政党政治を独裁政治に変えることを意味する。ところで「大連立」はナベツネがずっと言い続けてきたことだ。小沢一郎は「大連立」に秋波を送り続けていたように感じる。鳩山由紀夫も「大連立」を否定しないように思う。

と書くが、私も同感である。ネットではあまり言われないが、自民党には鳩山由紀夫の弟・鳩山邦夫がいる。「週刊ポスト」の今週号にも、総選挙の結果、自民党と民主党の議席数が伯仲したら、小沢一郎が鳩山邦夫を引き抜いて、鳩山邦夫(由紀夫でなく)を首班にした内閣を樹立しようとするのではないかと書かれていたが、あり得ない話ではない。

こんなことになるのも、自民党と民主党の政策に大きな違いがなく、大連立がいつでも可能だからである。一昨年の参院選当時は、過激な新自由主義路線をとっていた安倍自民党と、「国民の生活が第一」をスローガンにした小沢民主党の開きは大きかったが、新自由主義がトレンドでなくなったと見るや、自民党は「脱カイカク」に舵を切った。とはいえ大連立には民主党左派からの反発があるだろうが、執行部は選挙さえ終わってしまえば左派の切り捨てなど平気でやらかすだろう。その場合、小沢一郎が労組政治家に転向していることがネックになるが、小沢が次回総選挙が最後の立候補と腹をくくってしまえば、あとは野となれ山となれの左派切り捨ては可能だ。

カマヤンは、前記のエントリで、

日本政治の次の争点は「大連立=政党政治の死」VS「多党制」にあるように思う

と指摘しており、他のエントリでは、日本における国会議員数は人口比で先進12か国中、少ない方から2番目であることを示した「しんぶん赤旗」の記事を紹介している。それにもかかわらず、今朝(3日)のテレビ朝日「やじうまプラス」では大谷昭宏やメインキャスターのアナウンサーが「国会議員の数が外国に比べて多すぎる」などとデマを流していたが、なんのことはない、アメリカの国会議員の数が極端に少なすぎるだけの話なのだ。アメリカの属国たる日本は、もっと国会議員の数を削れ。これが、自民党や民主党の世襲議員たちやマスコミの主張の正体なのである。党首討論はイギリス議会からパクっておきながら、人口当たりの議員数では日本の4倍もいるイギリスにならわず、ご主人さまのアメリカにならえというのだから、ご都合主義もここにきわまれりである。

マスコミでもネットでも、自民党支持者も民主党支持者も、主流の人たちは国会議員定数削減に反対する意見を黙殺しているが、定数削減に反対するとともに、小選挙区制を生み出した90年代の政治改革は失敗だったと表明する論者も次第に増えてきている。一時期、反自公ブロガーによく引用されたが、今では「転向した」「自公の味方になった」などと罵倒されている森田実もその一人である(引用先にある「併用制」は「並立制」の誤りと思われる)。森田実は、

自民・民主の議席数が拮抗した場合はどちらも過半数をもつことはできない。したがって、連立政権にならざるを得ない。自民党と民主党のどちらかが政権の軸となるが、少数党を加えても安定政権ができないときは、大連立へ動くことは十分にあり得るのである。いったん大連立政権ができてしまえば、小選挙区制は無意味なものになる。

と書いている。小沢・鳩山支持者は森田実を「政権側に転向した」と非難するが、他のエントリではかつて「反党分子」として共産党を除名され、マスコミで活躍していたことにも不破哲三委員長(当時)へのインタビューを拒否された森田実が、不破氏の新著『マルクスは生きている』を絶賛し、自身マルクスを再評価する本を書こうかとまで思っていたが、不破氏の本を読んで断念したと書いているのを読むことができる。そんな森田氏が、自公政権側に転向したとは信じられず、むしろ「国民の生活が第一」路線から離れていきかねない民主党に強い懸念を示しているように、私には思えるのである。


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岡山県の宇野港(玉野市)と香川県の高松港を結ぶ宇高連絡船が、「地方の高速道路1000円」の料金割引により瀬戸大橋利用が増え、存続の危機にあるというニュースに接したのは4月のことだった(下記URLの毎日新聞記事参照)。
http://mainichi.jp/photo/archive/news/2009/04/19/20090419k0000e040018000c.html

この区間を運航するフェリー3社のうち津国汽船(玉野市)は4月1日に撤退、他の2社も「歴史ある航路を残したいが、収支を見極めて」と先行きは不透明で、地元自治体は国へ支援を求めているという。

この件をブログで取り上げようと思っているうちに時間が過ぎていって今に至ったのだが、昨日(1日)の日本経済新聞の社会面が、「1000円高速」がフェリーを次々に廃業や減便に追い込んでいると報じていた。日経はいつもウェブ版では記事のサマリーしか載せないが、広島?愛媛を結ぶ呉・松山フェリーが6月末で廃業する件のほか、紙面には日本全国各地の主な長距離フェリー会社の減便や値下げの状況が出ている。

苦戦しているのはフェリーだけではない。前記日経記事によると、

高速バスも苦戦しており、九州の約80社でつくる九州バス協会が5月27日、利用者減に加え、渋滞が増えて運行に支障が出ているとして、お盆などの高速道の割引拡充に反対する要望書を国交省に提出した。

とのことである(より詳細な記事は、西日本新聞の記事を参照されたい)。

さらに、環境面への悪影響も懸念されている。以下、やはり同じ日経記事から引用する。

国立環境研究所(茨城県つくば市)の松橋啓介・主任研究員は「一般的な自家用車のCO2排出量は1人あたり鉄道の約9倍」と指摘。世界各国が温暖化防止に力を入れるなか「移動手段が車にシフトし、CO2削減の流れに逆行する」と話している。
(日本経済新聞 2009年6月1日付紙面より)


温暖化の件については、割高な高速道路料金が一般道の渋滞を引き起こしているという現状もあり、5月25日付エントリ「クルーグマン教授の政策採点 & 経団連が日本を滅ぼす」にも書いたように、民主党の主張する高速道路無料化によって一般道の交通量の一部が高速道路に移行すれば渋滞が解消・緩和されることから、CO2の発生が抑制できるという試算もされているのだが、現在の「1000円高速」の悪いところは、全国一律ではなく、地方に偏った値下げであることであり、これによって地方の高速道路で渋滞が生じてしまったわけだ。自公与党が、選挙の票欲しさに場当たり的に行った今回の「1000円高速」は、公共交通網の衰退と環境悪化を同時にもたらす、最悪の政策といえると思う。

民主党の高速道路無料化政策にしても、仮に一般道の渋滞緩和効果によって環境悪化にはつながらないとしても(それもどこまで本当かわからないが)、公共交通網の衰退を加速させることは否定できない。時あたかも改正道路交通法施行令が6月1日から施行され、75歳以上の運転免許更新時に認知機能検査が義務づけられたことが報じられているが、昨日(1日)朝のNHKニュースで、愛媛県の東予地方の人がインタビューに答えて、以前から高齢者の運転免許返納運動を行っているが、公共交通網が衰退しきっているために、車がなければ生活できない高齢者が多く、そういうお年寄りには無理に運転免許の返納を勧められないと言っているのを聞いた。実際、当該の地域を少しでも歩いてみればわかるが、町は過疎化し、飲食店などが廃業した空き家が目立つにもかかわらず、国道の交通量は決して少なくなく、それなのにバスのダイヤはごくまばらという状態である。ヨーロッパはおろか、あのアメリカでさえ鉄道が見直されているとは昨今よく報じられていることだが、自民党も民主党もその流れに逆行する政策しか打ち出さない。こんなていたらくで、京都議定書は設定した目標が厳しすぎたなどと泣き言を言っても世界に通用しないのは当たり前である。

お年寄りや車を持てない若者でも暮らしやすく、環境へのダメージも提言する社会にするために二大政党が政策を競うのであれば良いが、現実はそれに真っ向から反する。見え隠れするのは経団連の影である。政権交代が起きて、民主党が中心になる政権ができたとしても、経団連の影響からどこまで脱することができるか、そこが問われるだろう。

[参考記事]
景気対策、逆に「エコ破産」「公共交通衰退」を加速?
(JanJanニュース、2009年6月1日)


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今日から6月。当ブログが政治の話題を中心に書くようになったのが、3年前の6月上旬、当時コイズミ内閣の官房長官を務めていた安倍晋三が統一協会系の大会に祝電を送ったのがネットのスクープで発覚したのがきっかけだった。安倍晋三は、当時も今も変わらず、現存の政治家の中では一番嫌いな人間なので、この一件をきっかけに、安倍晋三の首相就任を阻止したいと思った。

それから3年。その間、安倍晋三は総理大臣になったが、1年後の参院選に「歴史的惨敗」を喫して退陣、あとに続く福田康夫内閣は民主党代表だった小沢一郎と大連立でいったんは合意したが、世論の反発を受けて挫折すると、1年後には安倍に続いて政権を投げ出した。そして、「選挙に勝つため」に登場したはずの麻生太郎は、思わぬ不人気に遭って解散を先送りし、西松事件や補正予算を利用して、いったんは10%前後まで落ち込んだ内閣支持率の浮揚に必死だ。なんとかもっとも自分の都合の良い時期の解散を狙っているのだろうが、麻生は既にチャンスを二度逸した。内閣発足直後の「ご祝儀相場」で内閣支持率が40%を超えていた頃と、西松事件が起きてから小沢一郎が民主党代表を辞任するまでの間だ。おそらく麻生には、「こんなはずはない、俺はもっと人気者のはずだ」という強烈なうぬぼれがあり、自民党が独自に行っている衆議院選挙の情勢分析に満足できず、むざむざ解散のチャンスを逃したものだろう。自民党内でも、麻生太郎のわがままぶりに舌打ちしている人は多いに違いない。

麻生太郎は、単にわがままであるばかりではなく、実に軽薄だ。政権浮揚につながりそうな政策を打診されると、すぐにそれに飛びついて、党内から批判を浴びるとすぐに取り下げる。最近では、ナベツネ(渡邉恒雄・読売新聞会長)の肝煎りといわれる厚生労働省の分割案が好例で、顔を潰されたナベツネは何をたくらむかわかったものではない。ナベツネをも恐れぬ麻生は、いい度胸をしていると思う。

まことしやかな週刊誌の予想によると、鳩山由紀夫が小沢一郎に代わって民主党代表になったことで、衆議院選挙は民主党の辛勝になりそうだという(先週号の「週刊ポスト」)。民主党代表が小沢一郎のままなら自民党が勝ち、岡田克也なら民主党の完勝になるが、鳩山由紀夫ならその中間になり、議席数は伯仲するが、当選の見込まれる自民系無所属の平沼赳夫や中村喜四郎らを加えても自公与党は民主党、社民党、国民新党、新党日本の4党連合に及ばないのだという。もっともらしいことを書くものだと思うが、週刊誌の予想が当たらないことは、4年前の「郵政総選挙」でいやというほど思い知っている。あの時は解散直後には自民党敗北、民主党勝利が予想されていたし、私もそうなるだろうと思った。その流れを変えたというか、コイズミが最初からたくらんでいたのが「刺客作戦」だった。あれほど小選挙区制の特性を活かした作戦はなかった。この一例を見ただけでも、90年代の「政治カイカク」の目玉だった選挙制度カイカクの誤りは明白だと思う。だが、第一党が視野に入った民主党は、その誤りを認めるどころか、さらなる比例区定数削減を訴えるありさまだ。現段階では民主党は自民党と比較して、小選挙区より比例区に強みがあるにもかかわらず。これこそ、「自民党(自公)政権を延命させる」主張なのではないか? なぜこれに対する批判の声が高まらないのだろうか?

政府によるネット言論の制限が取り沙汰されるが、日本には権力による言論弾圧など不必要なのではなかろうか。なぜなら、勝手に自主規制してくれるから。連日自公政権打倒を叫び、民主党は国民の味方で自公政権は大企業やアメリカの味方だと連呼して急成長した有名人のブログは、なぜか選挙制度のことを全然書かないし、そのフォロワーたちもみな右に倣えだ。この「右に倣え」がくせものである。自民・民主が競う比例代表の定数削減は、ますます政治を民意が反映されないものにする方向性を持っているが、それに反対する意見をブログで公開するのは、共産党支持のブロガーが中心で、中には民主党員の方や、当ブログ管理人のような無党派で反自公の者もいるけれども、たいていの「リベラル・市民派ブロガー」は、民主党執行部の主張には何も反対しない。こんな状態だったら権力による言論弾圧も何も必要ないのである。ほっといても、勝手に権力にとって好ましい形(単純小選挙区制)に向かって行ってくれるのだから。

先週号の「サンデー毎日」には中曽根康弘のインタビューが出ていて、自民党はマニフェストに大連立をにおわせる文言を入れよ、大連立政権で憲法改正を目指せと言っていた。自民党では、よりにもよって麻生太郎を総理大臣にしてしまったキングメーカー・森喜朗の影響力が低下し、前記「週刊ポスト」によると、安倍晋三は自民党が総選挙で負けたら潔く下野し、安倍自身を新総裁にして自民党は巻き返しを図るべきだなどと考えているのだという。選挙制度一つとってさえ、国民の意見を反映させるような方向性を持った言論が、マスコミからもネットからもほとんど上がって来ない現状では、いつまで経っても安倍晋三に代表される無能な世襲政治家たちが政治を壟断する時代が延々と続き、日本は没落の一途をたどってしまうのではないか。そんな暗い予想に傾きつつある。


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