実は、数日前から「コイズミカイカク」の総括について書こうとしてまたも機を逸しつつあるのだが、昨日もまた大阪で個室ビデオ店が放火される事件があり、15人が死亡した。この事件は、小沢一郎の代表質問や、「解散より景気」と言う麻生太郎の指示を受けて、財務省が2次補正の検討に着手したというニュースを新聞の1面トップから追いやった。
私は、この種の事件が起きるたびに、希望の持てない格差社会が引き起こした事件だと思う。「秋葉原事件」が起きた時、「岡山のプラットホーム突き落としも、秋葉原の通り魔殺人事件も、極言すれば、みなコイズミを支持した人たちが引き起こしたようなものだ」と極論を書いて、記事につけられた「はてなブックマーク」で、「テサロニケ大先生かと思った」と皮肉られたが、私の意見は変わらない。神野直彦の『財政のしくみがわかる本』(岩波ジュニア新書、2007年)からの孫引きだが、日本は、「2000年に出た報告でも、「悪平等といわれるほど平等な社会だといわれてきた」(同書172-173頁)社会だったのに、「2006年7月、OECD(経済協力開発機構)は日本に対して「日本は異様な格差社会になっている」という経済審査報告書を提出」したのである(同書180頁)。日本社会にこの急激な変化が起きた間、政権を担っていたのは誰か。小泉純一郎である。コイズミは、日本に社会不安を引き起こしたのである。
神野直彦は、以下のように書いている。
説得力のある主張である。日本の現状は、格差社会に陥って、社会のさまざまなところに亀裂が走っています。そうした社会の亀裂は、かならず抵抗運動や逸脱行動をともないますが、日本では組織的な抵抗運動はおこらず、逸脱行動がおこっているのです。そのため、毎日のように社会的な病理現象が発生するのです。
このことは、社会的な危機や経済的な危機を解消して、社会を一つのものとしてまとめていくことが使命である財政が、日本の場合は有効に機能していないからだ、といっていいと思います。日本では政府が財政責任を放棄してしまっているのです。
(神野直彦 『財政のしくみがわかる本』(岩波ジュニア新書、2007年) 182-183頁)
朝日新聞の報道によると、大阪の個室ビデオ放火事件の容疑者である46歳の男性は、かつて「子ども思いの優しいお父さん」と周囲にみられていたが、会社をリストラされてから人が変わってしまった。2006年に一人暮らしになったあとは、近所の人に手話を教え、福祉関係の仕事をしていると言っていたそうだが、まもなく体調を崩して長期入院した。そして、「生きるのが嫌に」なって犯行に及んだ。同じ朝日新聞の記事は、事件の被害者の中に、事業に失敗して巨額の借金を抱えながら、介護福祉士を目指して勉強を続けていた50代の元会社経営者がいたと伝えている。その人が、同じような境遇にある人間によって殺されるという痛ましさ。こういうニュースに接して冷静でいられる人など、誰もいないだろう。
NHKの朝のニュースでは、ビデオ店の初期消火の遅れなどが報じられているが、そんなことより、こういう事件を引き起こした真犯人は誰かということを追及してほしいものだ。
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