北陸や近畿を中心に、集中豪雨の被害が出ている。
28日付の読売新聞によると、金沢市中心部を流れる浅野川は数か所ではんらん。市は午前8時50分、2万739世帯の5万453人を対象に避難指示を出し、小学校や公民館など計39か所に避難所を開設した。
気象庁によると、1時間50ミリ以上の雨は1976?87年の年平均162回から、98?2007年は238回に増加。名古屋市内の4割近くが浸水し、死傷者51人を出した東海豪雨(00年9月)、2300棟以上が浸水した首都圏豪雨(05年9月)なども起きた。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080728-OYT1T00299.htm
26日付エントリでも触れたように、四国でも2004年に台風の相次ぐ来襲によって大きな被害が出た。翌2005年には一転して渇水に見舞われたが、集中豪雨によって、一夜にして高知県の早明浦(さめうら)ダムの貯水率が、0%から100%に回復したことがあった。この時も、山間部を中心に豪雨による被害が出たが、もしかしたら上記読売新聞の記事に出ている首都圏豪雨と同じ時だったかもしれない。
昨日は、神戸を襲った集中豪雨によって都賀(とか)川を鉄砲水が襲い、女性と子供の4人が死亡する痛ましい事故も起きた。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080728-OYT1T00463.htm
このところ、気候が荒々しくなったのを感じる。
もっとも、神戸近辺は昔から水害が多く、芦屋川や住吉川などの天井川がしばしば氾濫した。昭和13年(1938年)の阪神大水害が有名だが、昭和42年(1967年)にも水害で大きな被害が出た。もっぱら水害対策を考慮して設計された神戸の建築は耐震性に難があり、それが1995年の阪神大震災で大きな被害につながったという指摘がなされたこともある。それはともかく、度重なる河川の氾濫への対策として、神戸の川の多くは護岸工事によって川底と両護岸の三面がコンクリートで固められている。上記読売新聞の記事は、護岸工事の影響で雨が一気に流れ下りて、鉄砲水となったとみられると報じている。
水害なんか昔からあった。それはそうだ。だが、最初にリンクを張った読売新聞の記事が報じるように、短時間に集中豪雨が起きる頻度が増えている。そして、それは地球温暖化の影響だと指摘する専門家が多いのである。
いま、「地球温暖化論のまやかし」を主張する本が売れている。大手の新聞社や出版社が発行している雑誌などでも取り上げられ、当ブログ7月3日付のエントリ「北朝鮮問題、環境問題、それにブログ言論の乱れなど...」でもご紹介したように、6月26日付朝日新聞の「論壇時評」でもこれへの言及があった。もちろん、朝日の論壇時評では、地球温暖化に対する懐疑論も一つの仮説に過ぎない、と冷静な批評がなされている。
しかし全然冷静でないのがブログ論壇だ。これには二つの流れがあり、一つは超有名ブロガーである池田信夫氏によるものだ。
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/f660cfa25cd1fa208644f5c92c2f46ef
ここでは、新自由主義者として知られる池田氏の主張がトンデモのかたまりであることを指摘した痛快なブログ記事を紹介したい。「シートン俗物記」の「自滅した池田信夫 追加」というエントリだ(下記URL)。
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20080626/1214469992
ところが奇怪なことに、同じ主張に一部の左翼ブログが熱中している。その理由が、私にはどうしてもわからなかったのだが、一つには「ユダヤ陰謀論」で悪名高い「独立党」(極左陰謀論者の結社)が、「世に言う地球温暖化問題は、原発産業をも独占する、ユダヤ権力によるただのプロパガンダである可能性が極めて高い」と主張しているせいもあるかもしれない。
http://dokuritsut.exblog.jp/d2008-01-18
もっとも、上記ブログの管理人は、「独立党」党首のリチャード・コシミズ(本名・輿水正)と衝突し、現在は独立党を脱退したらしい。
http://dokuritsut.exblog.jp/8187559/
http://dokuritsut.exblog.jp/8187591/
http://dokuritsut.exblog.jp/8187596/
なんのことはない、カルト集団の自滅だ(笑)。
ま、独立党がどうなろうと知ったことではないのだが、地球温暖化のまやかし論に戻ると、多くの論者が依拠しているのが、中部大学教授・武田邦彦氏の著作らしい。
実際、先週末に大阪の大きな本屋に行った時、新書の売り上げ第一位が武田氏の新刊だったのにはため息が出た。本のタイトルは覚えていないし、そんなものを宣伝したくないからネット検索してリンクを張ったりなどしないが、日本では「地球温暖化まやかし論」が一種のブームになっていることは間違いない。学界の主流と日本の大衆のトレンドが大きく食い違うのだ。そして、権威や権力は嫌いだ、という人たちは後者へと流れていく。ポピュリズムである。
左翼ブログ論壇の場合、「地球温暖化論を唱えるのは、原子力発電を推進する勢力の陰謀だ」とする「地球温暖化陰謀論」が支持を集めている。これに影響されたブロガーの中には、太陽光発電の開発促進や普及を訴える朝日新聞のまっとうそのものの社説に対して、「原発のことに何も触れないというのは片手落ち」とか、「原発の危険性に触れずに突き進むなど許されませんよ」などと因縁をつける人までいて、これにはブッ飛んでしまった。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20080728/1217252064
どうして太陽光発電について論じる際に、必ず原発の危険性について言及しなければならないのだろうか? 「地球温暖化陰謀論」が頭にこびりついていない限り、こんな馬鹿げた主張が出てくるはずがない。
ところで、武田邦彦氏の経歴を見ると、面白いことがわかる。
武田氏は、1986年に旭化成工業ウラン濃縮研究所長に就任し、1990年には日本原子力学界特賞を受けているのだ。ってことは、武田氏こそ原子力関係者じゃん。
その武田氏が主張する「地球温暖化まやかし論」は、米ブッシュ政権や日本の自公政権、それに経団連にとってとても都合の良い論議だ。それが証拠に、新自由主義者として有名な池田信夫氏が熱心に信奉している。
「リベラル・左派」を標榜するブログがこんなものに乗っかってしまってよいのか、とヒジョーに強い疑問を感じる今日この頃なのである。
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28日付の読売新聞によると、金沢市中心部を流れる浅野川は数か所ではんらん。市は午前8時50分、2万739世帯の5万453人を対象に避難指示を出し、小学校や公民館など計39か所に避難所を開設した。
気象庁によると、1時間50ミリ以上の雨は1976?87年の年平均162回から、98?2007年は238回に増加。名古屋市内の4割近くが浸水し、死傷者51人を出した東海豪雨(00年9月)、2300棟以上が浸水した首都圏豪雨(05年9月)なども起きた。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080728-OYT1T00299.htm
26日付エントリでも触れたように、四国でも2004年に台風の相次ぐ来襲によって大きな被害が出た。翌2005年には一転して渇水に見舞われたが、集中豪雨によって、一夜にして高知県の早明浦(さめうら)ダムの貯水率が、0%から100%に回復したことがあった。この時も、山間部を中心に豪雨による被害が出たが、もしかしたら上記読売新聞の記事に出ている首都圏豪雨と同じ時だったかもしれない。
昨日は、神戸を襲った集中豪雨によって都賀(とか)川を鉄砲水が襲い、女性と子供の4人が死亡する痛ましい事故も起きた。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080728-OYT1T00463.htm
このところ、気候が荒々しくなったのを感じる。
もっとも、神戸近辺は昔から水害が多く、芦屋川や住吉川などの天井川がしばしば氾濫した。昭和13年(1938年)の阪神大水害が有名だが、昭和42年(1967年)にも水害で大きな被害が出た。もっぱら水害対策を考慮して設計された神戸の建築は耐震性に難があり、それが1995年の阪神大震災で大きな被害につながったという指摘がなされたこともある。それはともかく、度重なる河川の氾濫への対策として、神戸の川の多くは護岸工事によって川底と両護岸の三面がコンクリートで固められている。上記読売新聞の記事は、護岸工事の影響で雨が一気に流れ下りて、鉄砲水となったとみられると報じている。
水害なんか昔からあった。それはそうだ。だが、最初にリンクを張った読売新聞の記事が報じるように、短時間に集中豪雨が起きる頻度が増えている。そして、それは地球温暖化の影響だと指摘する専門家が多いのである。
いま、「地球温暖化論のまやかし」を主張する本が売れている。大手の新聞社や出版社が発行している雑誌などでも取り上げられ、当ブログ7月3日付のエントリ「北朝鮮問題、環境問題、それにブログ言論の乱れなど...」でもご紹介したように、6月26日付朝日新聞の「論壇時評」でもこれへの言及があった。もちろん、朝日の論壇時評では、地球温暖化に対する懐疑論も一つの仮説に過ぎない、と冷静な批評がなされている。
しかし全然冷静でないのがブログ論壇だ。これには二つの流れがあり、一つは超有名ブロガーである池田信夫氏によるものだ。
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/f660cfa25cd1fa208644f5c92c2f46ef
ここでは、新自由主義者として知られる池田氏の主張がトンデモのかたまりであることを指摘した痛快なブログ記事を紹介したい。「シートン俗物記」の「自滅した池田信夫 追加」というエントリだ(下記URL)。
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20080626/1214469992
ところが奇怪なことに、同じ主張に一部の左翼ブログが熱中している。その理由が、私にはどうしてもわからなかったのだが、一つには「ユダヤ陰謀論」で悪名高い「独立党」(極左陰謀論者の結社)が、「世に言う地球温暖化問題は、原発産業をも独占する、ユダヤ権力によるただのプロパガンダである可能性が極めて高い」と主張しているせいもあるかもしれない。
http://dokuritsut.exblog.jp/d2008-01-18
もっとも、上記ブログの管理人は、「独立党」党首のリチャード・コシミズ(本名・輿水正)と衝突し、現在は独立党を脱退したらしい。
http://dokuritsut.exblog.jp/8187559/
http://dokuritsut.exblog.jp/8187591/
http://dokuritsut.exblog.jp/8187596/
なんのことはない、カルト集団の自滅だ(笑)。
ま、独立党がどうなろうと知ったことではないのだが、地球温暖化のまやかし論に戻ると、多くの論者が依拠しているのが、中部大学教授・武田邦彦氏の著作らしい。
実際、先週末に大阪の大きな本屋に行った時、新書の売り上げ第一位が武田氏の新刊だったのにはため息が出た。本のタイトルは覚えていないし、そんなものを宣伝したくないからネット検索してリンクを張ったりなどしないが、日本では「地球温暖化まやかし論」が一種のブームになっていることは間違いない。学界の主流と日本の大衆のトレンドが大きく食い違うのだ。そして、権威や権力は嫌いだ、という人たちは後者へと流れていく。ポピュリズムである。
左翼ブログ論壇の場合、「地球温暖化論を唱えるのは、原子力発電を推進する勢力の陰謀だ」とする「地球温暖化陰謀論」が支持を集めている。これに影響されたブロガーの中には、太陽光発電の開発促進や普及を訴える朝日新聞のまっとうそのものの社説に対して、「原発のことに何も触れないというのは片手落ち」とか、「原発の危険性に触れずに突き進むなど許されませんよ」などと因縁をつける人までいて、これにはブッ飛んでしまった。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20080728/1217252064
どうして太陽光発電について論じる際に、必ず原発の危険性について言及しなければならないのだろうか? 「地球温暖化陰謀論」が頭にこびりついていない限り、こんな馬鹿げた主張が出てくるはずがない。
ところで、武田邦彦氏の経歴を見ると、面白いことがわかる。
武田氏は、1986年に旭化成工業ウラン濃縮研究所長に就任し、1990年には日本原子力学界特賞を受けているのだ。ってことは、武田氏こそ原子力関係者じゃん。
その武田氏が主張する「地球温暖化まやかし論」は、米ブッシュ政権や日本の自公政権、それに経団連にとってとても都合の良い論議だ。それが証拠に、新自由主義者として有名な池田信夫氏が熱心に信奉している。
「リベラル・左派」を標榜するブログがこんなものに乗っかってしまってよいのか、とヒジョーに強い疑問を感じる今日この頃なのである。
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