昨日(7月27日)のテレビ朝日「サンデープロジェクト」に竹中平蔵が出ていた。田原総一朗とタッグを組んで、いまやすっかり劣勢に立たされた新自由主義の布教活動をしていたが、田原が、「自民党の中ではコイズミ・竹中のカイカクが行き過ぎた。カイカクを見直さなければ総選挙では勝てない、という声の大合唱ですよ」と言うのに対し、竹中は「自民党も民主党もバラマキをやれ、と言ってるわけですよ」と言っていた。
しかし、竹中の口からは、傾いた日本経済の建て直しについて視聴者を説得する具体的な方法論は、ついに出てこなかった。この番組を見て竹中に説得された人はそう多くなかったのではないか。カイカクの呪文は、いまやすっかり力を失った。
番組に出ていた岸井成格は、カイカク教の布教に大きく寄与した新自由主義者だが、次の総選挙での自民党の勝ちはない、と断言していた。
この場合、勝敗ラインをどこに置くかで議論は分かれる。2005年の総選挙での議席数を自公与党が獲得するのは、誰が考えても不可能だ。それでは、2003年の総選挙との比較はどうか。この時は、自民党が237議席、民主党が177議席を獲得した。日本テレビなどの出口調査では、両党の議席差が20議席を切る、と報じられたが、いざ開票が進むと、自民党はそこまで落ち込まなかった。しかし自民党は10議席を減らし、一方民主党は40議席を増やして躍進した。自民党は、コクミンテキニンキが高いはずの安倍晋三を幹事長に据えて必勝を期したが、予期せぬ敗北を喫したのだった。
この5年前の総選挙での獲得議席あたりが、次の総選挙の勝敗ラインとされるのだろうか。当時と比較して現在は、格差の拡大がさらに大きく進み、コイズミ・竹中の新自由主義政策批判も、ようやくマスコミ等でも聞かれるようになった。03年には、自民党と民主党は、どちらが「真のカイカク者」であるかを競っていたのだ。今でも、「偽装CHANGEか真正CHANGEか」という言い方をする人もいるが、私は「偽装か真正か」というより、「新自由主義指向か福祉国家指向か」、つまりベクトルの向きが180度異なる対立軸を鮮明に示すべきだと思う。果たして民主党にそこまでできるか。
それはともかく、普通に考えればこの237議席を自民党が確保するのはほとんど不可能だ。現実問題としては、次の総選挙で自民党の議席数が民主党を上回れば、自民党が健闘したことになるのではないだろうか。
私の現状認識はそんなところだ。もはや、自公与党を倒すためならなりふり構わず、極右とでも連携するという段階ではない。次の政権は民主党を中心とした現在の野党の連立政権となることを前提として、次期政権がどういう政策をとるべきかを議論すべきではなかろうか。少なくとも、民主党を批判しただけで、自公政権の味方であるかのような言い方で民主党や小沢一郎への批判を封じようとする風潮には、私は強く反発する。
消費税の問題にしても、民主党が本当に選挙で勝ったあとも消費税率の引き上げを打ち出さず、その代わりに税制を抜本的に見直すかどうか、私は疑わしいと思っている。民主党や社民党のブレーンである神野直彦氏は税制の抜本的見直しを主張し、社民党はほぼその線に沿った経済政策を立てていると思うが、民主党には新自由主義勢力もまだまだ根強いし、日本は他国と比較して財界の政界への影響力が格段に強い。どこまで経団連の圧力に対して民主党が突っ張れるか、常に監視する必要がある。
民主党の鳩山由紀夫幹事長が言っていたが、来年の7月には東京都議選があり、これを重視する公明党は、この前後に総選挙をやってほしくないのだそうだ。だとすると、解散総選挙は今年の年末か来年早々になるというのが鳩山氏の読みだ。小沢一郎代表は、相変わらず「論戦で解散総選挙に追い込む」と言っているが、論戦も何も、その時期がくれば福田首相も解散総選挙をせざるを得なくなる。そして、総選挙後に民意に反した政界再編成が行われる恐れはかなり大きいと思うのだが、お上に弱い日本人はそれを受け入れ、日本の国力はさらに低下していくのではないかと悲観的になってしまう今日この頃なのである。
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しかし、竹中の口からは、傾いた日本経済の建て直しについて視聴者を説得する具体的な方法論は、ついに出てこなかった。この番組を見て竹中に説得された人はそう多くなかったのではないか。カイカクの呪文は、いまやすっかり力を失った。
番組に出ていた岸井成格は、カイカク教の布教に大きく寄与した新自由主義者だが、次の総選挙での自民党の勝ちはない、と断言していた。
この場合、勝敗ラインをどこに置くかで議論は分かれる。2005年の総選挙での議席数を自公与党が獲得するのは、誰が考えても不可能だ。それでは、2003年の総選挙との比較はどうか。この時は、自民党が237議席、民主党が177議席を獲得した。日本テレビなどの出口調査では、両党の議席差が20議席を切る、と報じられたが、いざ開票が進むと、自民党はそこまで落ち込まなかった。しかし自民党は10議席を減らし、一方民主党は40議席を増やして躍進した。自民党は、コクミンテキニンキが高いはずの安倍晋三を幹事長に据えて必勝を期したが、予期せぬ敗北を喫したのだった。
この5年前の総選挙での獲得議席あたりが、次の総選挙の勝敗ラインとされるのだろうか。当時と比較して現在は、格差の拡大がさらに大きく進み、コイズミ・竹中の新自由主義政策批判も、ようやくマスコミ等でも聞かれるようになった。03年には、自民党と民主党は、どちらが「真のカイカク者」であるかを競っていたのだ。今でも、「偽装CHANGEか真正CHANGEか」という言い方をする人もいるが、私は「偽装か真正か」というより、「新自由主義指向か福祉国家指向か」、つまりベクトルの向きが180度異なる対立軸を鮮明に示すべきだと思う。果たして民主党にそこまでできるか。
それはともかく、普通に考えればこの237議席を自民党が確保するのはほとんど不可能だ。現実問題としては、次の総選挙で自民党の議席数が民主党を上回れば、自民党が健闘したことになるのではないだろうか。
私の現状認識はそんなところだ。もはや、自公与党を倒すためならなりふり構わず、極右とでも連携するという段階ではない。次の政権は民主党を中心とした現在の野党の連立政権となることを前提として、次期政権がどういう政策をとるべきかを議論すべきではなかろうか。少なくとも、民主党を批判しただけで、自公政権の味方であるかのような言い方で民主党や小沢一郎への批判を封じようとする風潮には、私は強く反発する。
消費税の問題にしても、民主党が本当に選挙で勝ったあとも消費税率の引き上げを打ち出さず、その代わりに税制を抜本的に見直すかどうか、私は疑わしいと思っている。民主党や社民党のブレーンである神野直彦氏は税制の抜本的見直しを主張し、社民党はほぼその線に沿った経済政策を立てていると思うが、民主党には新自由主義勢力もまだまだ根強いし、日本は他国と比較して財界の政界への影響力が格段に強い。どこまで経団連の圧力に対して民主党が突っ張れるか、常に監視する必要がある。
民主党の鳩山由紀夫幹事長が言っていたが、来年の7月には東京都議選があり、これを重視する公明党は、この前後に総選挙をやってほしくないのだそうだ。だとすると、解散総選挙は今年の年末か来年早々になるというのが鳩山氏の読みだ。小沢一郎代表は、相変わらず「論戦で解散総選挙に追い込む」と言っているが、論戦も何も、その時期がくれば福田首相も解散総選挙をせざるを得なくなる。そして、総選挙後に民意に反した政界再編成が行われる恐れはかなり大きいと思うのだが、お上に弱い日本人はそれを受け入れ、日本の国力はさらに低下していくのではないかと悲観的になってしまう今日この頃なのである。
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