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きまぐれな日々

最近、情報のキャッチアップが遅れ気味なのだが、朝日新聞社の論壇雑誌『論座』が休刊の方向で検討中なのだという。
http://www.cyzo.com/2008/06/post_606.html

上記『サイゾー』の見出しは、「リベラルはもう受けない!?」などとなっているが、『論座』がそもそもリベラルといえるかどうか私は疑問に思っている。別に薬師寺克行編集長が改憲派だと明言しているから、というわけではなく、方向性がはっきりしない雑誌だという印象があった。

その『論座』がここ数年で注目されたことというと、一昨年2月号に掲載された、靖国神社問題に関する読売新聞の渡邉恒雄会長・主筆と朝日新聞の若宮啓文論説主幹(当時)との対談記事と、昨年1月号に掲載されて一大センセーションを巻き起こした赤木智弘の「「丸山真男」をひっぱたきたい:31歳フリーター。 希望は、戦争。」だろう。

ナベツネと若宮氏の対談に先立って、読売新聞は靖国神社への総理大臣の公式参拝に対する社論を、それまでの肯定的な立場から否定的な立場へと転換した。そのことからも話題になった対談で、普段発行部数の少ない『論座』はこの号はよく売れて購入できなかった。しかし、のち朝日新聞社からこの時の対談をまとめた本が出版され、これを購入して読んだ。当ブログは、一昨年7月19日付のエントリ「ナベツネと靖国と安倍晋三と(その2)」でこの本を紹介したが、その翌日、日経新聞が「富田メモ」をスクープしたのにはビックル一気飲みだった。私は、あの日経のスクープにもナベツネが一枚噛んでいたのではないかと今でも思っている。

「「丸山真男」をひっぱたきたい」の載った号も買えなかった、というか、これが話題になっていると知ったのはしばらく遅れてからだった。その後、この論文をフォローした特集の載った号などは購入したのだが。

赤木智弘を発掘した『論座』の休刊がささやかれる中、かもがわ出版から「超左翼マガジン」と銘打った『ロスジェネ』が創刊され、「右と左は手を結べるか」と題した特集を組んでいる。

私はこれを知ったのもずいぶん遅く、東京に出張した時に書店で目にしてはじめて知った。私の住む地方都市では見かけたことがなかったので、急ぎ購入した次第だ。

当ブログは最近、「極右とリベラル・左派の提携」を批判する論陣を張っている。だから、この特集は見逃せなかった。雑誌には赤木智弘と浅尾大輔の対談が出ていたり、元反米右翼で現在では「左翼」と目されている雨宮処凛の記事も出ている。

だが、私はまだそれらを読んでいない。このエントリを書き上げたあと読み始めると思うが、それまでに独断と偏見を書いておくことにする。

かつては自民党を左から割った新自由クラブと社会党を右から割った社会民主連合(当初は社会市民連合)が国会で共同会派を組むなど、右と左のうち「真ん中に近い勢力」が手を組むのが当たり前だった。世間一般からは評判の悪い1994年の「自社さ」政権もその試みだった。

しかし、この「真ん中」たちはいかんせん、格差拡大や貧困に鈍感なのだ。それは、一昨年の総裁選で安倍晋三や麻生太郎と自民党総裁選を争った谷垣禎一が、今熱心な消費税増税論者であることに象徴される。猛烈な勢いで貧困に直面する国民が増えている現在、消費税増税を唱えるなど愚の骨頂。国民生活は徹底的に破壊されてしまう。だが、ことに自民党の「リベラル」たちはいたって鈍感だ。

むしろ、過激な新自由主義をとって企業減税を行ない、消費税は当面上げないとする「上げ潮派」の方がさしあたっては害が少ないくらいだ。ただし、新自由主義は基本的に産業、特に製造業にダメージを与えるものなので、彼らの期待したほどの税収は上がらず、それでも彼らはドグマに従って法人税や所得税の増税は行わない。だから、いずれ必ず消費税の大増税がある。「増税派」との違いは、消費税増税の時期が早いか遅いかだけである。

そんなワケで、自民党で「リベラル」とされる谷垣らにしても、中川秀直ら新自由主義勢力にしても、ともにその経済政策はろくなものではない。それに対して、自民党から弾き出された民族主義的右派の人たち(平沼赳夫や城内実ら)は、郵政解散・総選挙後は「反米」に傾いており、それが従来からの「反中」「反韓」「反北朝鮮」と相俟っているのだが、その経済政策は比較的「弱者救済」に傾いている。城内実が特に顕著な例だが、彼のオフィシャルページを見ると、市場原理主義に反対し、社会保障の充実を訴え、食料自給率の向上を求めている。まことにもっともな主張で、社民党の政治家かと見紛うばかりだ。その城内は、外交・安全保障問題に関しては強烈なタカ派で、歴史認識について問題大ありの発言をしており、下記ブログ記事でも痛烈に批判されている。
http://d.hatena.ne.jp/hagakurekakugo/20071202/p1

だが、現在の日本のひどい状況は、それこそ「国民の生活が第一」であって、いくら外交・安全保障政策がマイルドなハト派でも、国民生活を顧慮しない谷垣禎一のような政治家は支持されなくて当たり前なのだ。「左」側はともかく、「右」側のリベラルは、お公家様の宏池会系政治家がその中心にいるせいか、格差・貧困問題に対して鈍感すぎる。だから、平沼赳夫一派のような「極右」が増長するのだ。

平沼ら「極右」は、「反米」「反中」「反韓」「反北朝鮮」を唱えて日本を孤立化させ、それはおのずと軍事力を強化せざるを得ない方向へと向かって、結局彼らの政策によっては、城内実の唱えるような社会保障の充実などできっこないと私は考えているのだが、「保守リベラル」が格差問題に鈍感すぎる現状はいかんともしがたい。

「保守リベラル」の方々には、「一刻も早く目を覚まして現実を直視せよ」と言いたい。


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