「きっこの日記」経由で、「デヴィの独り言 独断と偏見」の記事「北朝鮮のテロ支援国家指定解除について」を知った(下記URL)。
http://ameblo.jp/dewisukarno/day-20080701.html
(注:現在は「きっこの日記」の記事は削除されています)
きっこさんは、「デヴィ夫人の考え方とは根本的に違う部分も多い」と断った上でこの記事を紹介している。私もまた、北朝鮮はいまなお犯罪的な性格の強い国家だと考えている人間だ。だが、それにもかかわらず、北朝鮮に対して湧き上がった国民の悪感情に乗じて人気を高めた安倍晋三を許すことができない。
いまでもおかしいと思うのは、拉致被害者を一時帰国のあと北朝鮮に帰すという約束を破ったことだ。これを主導したのは安倍であり、当時国民は安倍を支持し、安倍への批判が許されないおかしな雰囲気ができたのだが、国家間の約束は約束だ。約束が破られれば北朝鮮政府が怒るのは当たり前であり、対北交渉はもつれる。そして、それこそが安倍晋三の狙いだったのである。つまり、日本国民の北朝鮮に対する悪感情を、日本を「戦争のできる美しい国」にしようとする安倍の野望に利用しようとしたのだ。そのためには、日朝国交正常化交渉など進んでもらっては安倍にとっては困る。だから安倍はひたすら対北強硬論を唱え続けてきたのだ。
しかし、安倍の頼ったアメリカが方向転換してしまった。北朝鮮のテロ支援国家指定解除は、見直されなんかしない。アメリカは拉致問題なんか全く顧慮していない。極東のことは極東でなんとかしろ。但し、戦争は望まない。いまや極東は世界の工場だから、戦争なんかになったらアメリカが困る。それが、アメリカのスタンスだ。そして、それはアメリカの都合からきた政策とはいえ、世界平和にとっても、日本の国民生活にとっても、決して悪い方向ではない。
だから、自民党政府であっても対北朝鮮政策は必ず転換されなければならないし、彼らにも理性はあるからそうするはずだと私は考えている。もちろんそれは、民主党など野党が政権をとった場合も同じことだ。自民党から弾き出された平沼一派などは、自民党を見限って民主党とくっつき、自らのタカ派政策を行わせようなどとバカなことを考えているのだと思うが、そんなものが現実になる可能性はほとんどない。
とにかく、北朝鮮問題で政府を「右」から責める右翼に同調すべきではないと思う。今の自公政府で問題なのは、それよりも経済政策だ。日曜日(6月29日)のNHK「日曜討論」でも、額賀福志郎財務大臣が消費税増税と所得税・法人税の減税を主張していた。額賀というと、小泉内閣の防衛庁長官だった一昨年、ミサイルに対する敵基地攻撃論を唱えた右派だ。津島派の人間で、この派閥はもともとそれほどタカ派指向ではなかったのだが、額賀は顔にはっきり表れているように軽薄な人間で、新保守主義と新自由主義の機運の高まりに乗って、次々と馬鹿げたことを言うのである。昨年の総裁選レースから早々と下りざるを得なくなったドタバタ劇は見苦しいの一語で、こんな人物が津島派の有力者だというのだから、自民党の人材払底は深刻だ。
しかし、とにもかくにも額賀は福田内閣の財務大臣なのだ。その政策は冷酷非情、コイズミ?安倍の流れをしっかりと引き継いだ「国民皆殺し政策」というしかない。こう書くと、「勝ち組」のつもりでいる人たちは、俺たちは痛くも痒くもない、かえって好ましいと思うのかもしれないが、「負け組」が食い尽くされ、斃れてしまったあとは、搾取の対象を失った「勝ち組」の食い合いになり、その大部分が「負け組」に転落し、日本は焦土と化すのだ。いまや、新自由主義政策を一刻も早く止めなければならない段階だ。
「日曜討論」では、額賀の主張に対し、東京大学の神野直彦教授が、社会保障の財源を消費税に限るような議論はおかしい、税制を抜本的に見直すべきだと主張していた。明言はしなかったが、所得税の累進制再強化や法人税増税を念頭においておられるとテレビを見ていた私は解釈した。
私が注目しているのは、そのような政策を民主党が打ち出せるかということだ。いまのところ民主党は「無駄を省く」ことしか言っていない。確かに、長年の一党独裁政治による政官業の癒着構造はひどくて、相当のムダはあるだろう。しかし、削られに削られつつある社会保障を充実させるには、誰が見たって「無駄を省く」だけでは財源が不足で、増税が必要になる。そして、私はずっと先の段階では消費税増税も必要だろうと思うが、格差が拡大し、貧困に直面している国民がものすごい勢いで増えている今は、消費税増税なんかやってはダメで、税制の一部を新自由主義改革前に戻すことは絶対にやられなければならないと考えている。民主党は、その議論から逃げている。現状では、自民党政府みたいにおおっぴらに「国民皆殺し政策」をぬけぬけと主張しないだけマシな程度に過ぎない。
ところで、「日曜討論」で神野教授は「環境税」の創設について言及していた。この「環境税」というのは、温室効果ガス排出削減を狙いとして、一部ヨーロッパの国で導入されている税だが、日本では産業界が強く反対している。北海道洞爺湖で開催されるサミットを前に、環境問題に注目が集まっているので、軽く触れておきたい。
朝日新聞の「論壇時評」(6月26日)は温暖化論議について取り上げているが、これは主張の分かれるテーマだ。
「論壇時評」では、温暖化対策を温室効果ガスの削減だけに絞って、他の気候影響因子を扱わない現行の仕組みでは、効果が不十分だとする論文(伊藤公紀=『論座』7月号)、30年後に気温が0.9度上がっても環境危機にはならないとする論文(武田邦彦=『中央公論』7月号)、二酸化炭素の増加は温暖化の原因ではなく結果で、根本要因は「『宇宙線の照射量が支配する雲量』によって、ほぼ解決」済み、むしろ今後は地球寒冷化が予想されるとする書籍(丸山茂徳=講談社刊『「地球温暖化」論に騙されるな!』)などが紹介されているが、「論壇時評」の執筆者・松原隆一郎氏は、それに続いて下記のように書いている。
松原氏は、「仮説が決定的に反証された際は、いかなる政治的・経済的なしがらみがあろうとも速やかに解体すべきである」と主張しており、これには私も賛成だ。だが、現状は温室効果ガスによる温暖化説がもっとも有力な仮説とされている段階で、「地球温暖化論は誤りだと証明された」とは到底いえないと思う。陰謀論は耳に心地よく、そちらに流れがちな心理は理解できるが、それは決して科学的な態度とはいえないだろう。「論壇時評」における松原隆一郎氏のような態度が、まっとうな考え方だと思う。環境税の導入についても、今後大いに議論されるべきだろう。
当ブログは、ネット言論が右派、左派を問わず現実離れしており、最近その傾向がますます激しくなってきていることを憂慮している。右翼の「維新政党・新風」は国民からほとんど支持されていないが、「9条ネット」だって国民にほとんど支持されていない点では「新風」と何ら変わらない。
そして、最近「アルバイシンの丘」の記事「そりゃあないぜ天木さん」(下記URL)が指摘するように、天木直人氏までもが、ブッシュ大統領の弾劾決議案を誤訳してまで「9・11陰謀論」に加担しようとしている。
http://papillon99.exblog.jp/8406106/
私は以前には天木直人を買っていたのだが、昨年6月に悪名高い「独立党」のリチャード・コシミズの講演会にゲストとして招かれ、意気投合したことを昨年秋頃に知って、天木氏に疑問を持つようになった。ちなみに、「独立党」は現在内紛を起こしているらしく、「独立党のブログ」は近日中に閉鎖予定とのことだ(笑)。独立党によると、北朝鮮はユダヤと手を結んでいるらしいから、当然彼らも日朝国交正常化交渉など反対なのだろう。
とにかく、ブログ言論界にはありとあらゆる魑魅魍魎が跳梁跋扈している。そのことを顧慮せず、ただ「みんな仲良くしましょう」というだけの物言いとか、批判を勝手に「いじめ」に置き換えて、批判者に対して罵倒の限りを尽くすような、ネットでしか通用しない言説にはいい加減うんざりしてきた。
ちょっとブログの運営についても悩むことが多くなってきた今日この頃なのである。
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http://ameblo.jp/dewisukarno/day-20080701.html
(注:現在は「きっこの日記」の記事は削除されています)
きっこさんは、「デヴィ夫人の考え方とは根本的に違う部分も多い」と断った上でこの記事を紹介している。私もまた、北朝鮮はいまなお犯罪的な性格の強い国家だと考えている人間だ。だが、それにもかかわらず、北朝鮮に対して湧き上がった国民の悪感情に乗じて人気を高めた安倍晋三を許すことができない。
いまでもおかしいと思うのは、拉致被害者を一時帰国のあと北朝鮮に帰すという約束を破ったことだ。これを主導したのは安倍であり、当時国民は安倍を支持し、安倍への批判が許されないおかしな雰囲気ができたのだが、国家間の約束は約束だ。約束が破られれば北朝鮮政府が怒るのは当たり前であり、対北交渉はもつれる。そして、それこそが安倍晋三の狙いだったのである。つまり、日本国民の北朝鮮に対する悪感情を、日本を「戦争のできる美しい国」にしようとする安倍の野望に利用しようとしたのだ。そのためには、日朝国交正常化交渉など進んでもらっては安倍にとっては困る。だから安倍はひたすら対北強硬論を唱え続けてきたのだ。
しかし、安倍の頼ったアメリカが方向転換してしまった。北朝鮮のテロ支援国家指定解除は、見直されなんかしない。アメリカは拉致問題なんか全く顧慮していない。極東のことは極東でなんとかしろ。但し、戦争は望まない。いまや極東は世界の工場だから、戦争なんかになったらアメリカが困る。それが、アメリカのスタンスだ。そして、それはアメリカの都合からきた政策とはいえ、世界平和にとっても、日本の国民生活にとっても、決して悪い方向ではない。
だから、自民党政府であっても対北朝鮮政策は必ず転換されなければならないし、彼らにも理性はあるからそうするはずだと私は考えている。もちろんそれは、民主党など野党が政権をとった場合も同じことだ。自民党から弾き出された平沼一派などは、自民党を見限って民主党とくっつき、自らのタカ派政策を行わせようなどとバカなことを考えているのだと思うが、そんなものが現実になる可能性はほとんどない。
とにかく、北朝鮮問題で政府を「右」から責める右翼に同調すべきではないと思う。今の自公政府で問題なのは、それよりも経済政策だ。日曜日(6月29日)のNHK「日曜討論」でも、額賀福志郎財務大臣が消費税増税と所得税・法人税の減税を主張していた。額賀というと、小泉内閣の防衛庁長官だった一昨年、ミサイルに対する敵基地攻撃論を唱えた右派だ。津島派の人間で、この派閥はもともとそれほどタカ派指向ではなかったのだが、額賀は顔にはっきり表れているように軽薄な人間で、新保守主義と新自由主義の機運の高まりに乗って、次々と馬鹿げたことを言うのである。昨年の総裁選レースから早々と下りざるを得なくなったドタバタ劇は見苦しいの一語で、こんな人物が津島派の有力者だというのだから、自民党の人材払底は深刻だ。
しかし、とにもかくにも額賀は福田内閣の財務大臣なのだ。その政策は冷酷非情、コイズミ?安倍の流れをしっかりと引き継いだ「国民皆殺し政策」というしかない。こう書くと、「勝ち組」のつもりでいる人たちは、俺たちは痛くも痒くもない、かえって好ましいと思うのかもしれないが、「負け組」が食い尽くされ、斃れてしまったあとは、搾取の対象を失った「勝ち組」の食い合いになり、その大部分が「負け組」に転落し、日本は焦土と化すのだ。いまや、新自由主義政策を一刻も早く止めなければならない段階だ。
「日曜討論」では、額賀の主張に対し、東京大学の神野直彦教授が、社会保障の財源を消費税に限るような議論はおかしい、税制を抜本的に見直すべきだと主張していた。明言はしなかったが、所得税の累進制再強化や法人税増税を念頭においておられるとテレビを見ていた私は解釈した。
私が注目しているのは、そのような政策を民主党が打ち出せるかということだ。いまのところ民主党は「無駄を省く」ことしか言っていない。確かに、長年の一党独裁政治による政官業の癒着構造はひどくて、相当のムダはあるだろう。しかし、削られに削られつつある社会保障を充実させるには、誰が見たって「無駄を省く」だけでは財源が不足で、増税が必要になる。そして、私はずっと先の段階では消費税増税も必要だろうと思うが、格差が拡大し、貧困に直面している国民がものすごい勢いで増えている今は、消費税増税なんかやってはダメで、税制の一部を新自由主義改革前に戻すことは絶対にやられなければならないと考えている。民主党は、その議論から逃げている。現状では、自民党政府みたいにおおっぴらに「国民皆殺し政策」をぬけぬけと主張しないだけマシな程度に過ぎない。
ところで、「日曜討論」で神野教授は「環境税」の創設について言及していた。この「環境税」というのは、温室効果ガス排出削減を狙いとして、一部ヨーロッパの国で導入されている税だが、日本では産業界が強く反対している。北海道洞爺湖で開催されるサミットを前に、環境問題に注目が集まっているので、軽く触れておきたい。
朝日新聞の「論壇時評」(6月26日)は温暖化論議について取り上げているが、これは主張の分かれるテーマだ。
「論壇時評」では、温暖化対策を温室効果ガスの削減だけに絞って、他の気候影響因子を扱わない現行の仕組みでは、効果が不十分だとする論文(伊藤公紀=『論座』7月号)、30年後に気温が0.9度上がっても環境危機にはならないとする論文(武田邦彦=『中央公論』7月号)、二酸化炭素の増加は温暖化の原因ではなく結果で、根本要因は「『宇宙線の照射量が支配する雲量』によって、ほぼ解決」済み、むしろ今後は地球寒冷化が予想されるとする書籍(丸山茂徳=講談社刊『「地球温暖化」論に騙されるな!』)などが紹介されているが、「論壇時評」の執筆者・松原隆一郎氏は、それに続いて下記のように書いている。
とはいえこうしたIPCC(注:気候変動に関する政府間パネル)への批判もまた、一個の仮説である。では何故、特定の危機解決策に膨大な資源が投じられるのか。「予防原則」がその理由であろう。因果関係が確証されなくとも結果が取り返しのつかないものと予測されるならば、事前に手を打つべしとする考え方である。
(朝日新聞 2008年6月26日付 「論壇時評」より)
松原氏は、「仮説が決定的に反証された際は、いかなる政治的・経済的なしがらみがあろうとも速やかに解体すべきである」と主張しており、これには私も賛成だ。だが、現状は温室効果ガスによる温暖化説がもっとも有力な仮説とされている段階で、「地球温暖化論は誤りだと証明された」とは到底いえないと思う。陰謀論は耳に心地よく、そちらに流れがちな心理は理解できるが、それは決して科学的な態度とはいえないだろう。「論壇時評」における松原隆一郎氏のような態度が、まっとうな考え方だと思う。環境税の導入についても、今後大いに議論されるべきだろう。
当ブログは、ネット言論が右派、左派を問わず現実離れしており、最近その傾向がますます激しくなってきていることを憂慮している。右翼の「維新政党・新風」は国民からほとんど支持されていないが、「9条ネット」だって国民にほとんど支持されていない点では「新風」と何ら変わらない。
そして、最近「アルバイシンの丘」の記事「そりゃあないぜ天木さん」(下記URL)が指摘するように、天木直人氏までもが、ブッシュ大統領の弾劾決議案を誤訳してまで「9・11陰謀論」に加担しようとしている。
http://papillon99.exblog.jp/8406106/
私は以前には天木直人を買っていたのだが、昨年6月に悪名高い「独立党」のリチャード・コシミズの講演会にゲストとして招かれ、意気投合したことを昨年秋頃に知って、天木氏に疑問を持つようになった。ちなみに、「独立党」は現在内紛を起こしているらしく、「独立党のブログ」は近日中に閉鎖予定とのことだ(笑)。独立党によると、北朝鮮はユダヤと手を結んでいるらしいから、当然彼らも日朝国交正常化交渉など反対なのだろう。
とにかく、ブログ言論界にはありとあらゆる魑魅魍魎が跳梁跋扈している。そのことを顧慮せず、ただ「みんな仲良くしましょう」というだけの物言いとか、批判を勝手に「いじめ」に置き換えて、批判者に対して罵倒の限りを尽くすような、ネットでしか通用しない言説にはいい加減うんざりしてきた。
ちょっとブログの運営についても悩むことが多くなってきた今日この頃なのである。
#この記事は、「トラックバックピープル・自民党」 および 「トラックバックピープル・安倍晋三」 にトラックバックしています。ここにTBされている他の自民党および安倍晋三関係の記事も、どうかご覧下さい。
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