永田元議員の「偽メール事件」当時はまだブログを開設していなかったが、昨年7月14日、永田について触れた記事「東大卒官僚あがり政治家の目を覆う劣化ぶり」を公開した。この記事に「永田寿康」というタグをつけたが、同じタグをつけた他の2つのエントリと一緒にネット検索で引っかかるようだ。
http://caprice.blog63.fc2.com/?tag=%b1%ca%c5%c4%bc%f7%b9%af
なぜ今月、それも特に7月18日に検索語「永田寿康」経由のアクセスが急増したかというと、この日、永田元議員が「国政報告会で創価学会の名誉を傷つけた」として千葉区検に略式起訴されたからだ。
以下、これを報じる毎日新聞記事より。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080719ddm041040167000c.html
名誉棄損:永田元衆院議員を略式起訴??千葉区検
千葉区検は18日、民主党の永田寿康元衆院議員(38)が議員在職中の05年8月に開いた国政報告会で「創価学会が不正な選挙活動をした」などと虚偽の発言をしたとして名誉棄損罪で略式起訴し、罰金30万円を請求した。
起訴状によると、永田元議員は05年8月28日、千葉県習志野市で開かれた自身の選挙区である党県第2区総支部の国政報告会で「過去3回の東京都議選で創価学会は都外の学会員の住民票を都内に不正に移し、公明党候補を当選させ、都から宗教団体の認可をもらおうとした」などと発言し、同学会の名誉を傷つけた。千葉県警が任意で事情聴取し、6月4日に書類送検していた。【寺田剛】
毎日新聞 2008年7月19日 東京朝刊
この起訴について、JanJanのさとうしゅういち記者は、
と批判している(下記URL参照)。誰であれ、どの団体であれ、公に政治活動をすればそのことに対して批判なり論評を、他勢力や有権者から受けるのは当然のことです。その程度の覚悟もなくて政治をやるなと申し上げたい。この程度のことで、永田さんが起訴されるような状況が、さらにエスカレートすれば、うかうか政治活動ができないではないですか?今度は政策論争すら難しくなりかねません。
http://www.news.janjan.jp/government/0807/0807192392/1.php
私は、これなど創価学会と公明党の強権的体質がむき出しになった象徴的な一件で、今後の新政権の枠組には断じて公明党を入れるべきではないと考える。以前にも書いたが、公明党と組むと必ず組織が腐る。社公合意(1980年)の社会党しかり、新進党しかり、そして現在の自民党しかり。
『サンデー毎日』(8月10日号)が、「公明党は総選挙で与党が敗北したら連立を解消して、民主党と組む」として自民党を脅していると報じている。消費税増税派の与謝野馨が急に消費税増税に不熱心になったのはそのせいだろうと同誌は読んでいる。
一方で、自公では過半数を取れるか怪しく、仮に過半数を確保できても参院の少数与党が続くことに頭を痛める自民党の中には、相変わらず民主党との大連立を模索する動きがあると読む人もいる。
これらはいずれもありうる話だ。公明党も自民党も、なんとしてでも権力にしがみつきたい。両者とも民主党に接近しようとするのは当然の成り行きだろう。
しかし、自民党と公明党には、コイズミ、安倍、福田と7年半も続いて、日本の社会をぶっ壊した新自由主義政治の責任をとってもらわなければならない。戦犯を政権に残して、日本の再建などできるはずがない。民主党は現与党の一部と組もうなどとせず、社民党や国民新党との連立の構想をあくまで守ってほしい。場合によっては、「民共合作」もありだろう。現在、格差や貧困の問題にもっとも熱心に取り組んでいるのは共産党であり、それと比較すると社民党は硬直した「9条命」の旧来左翼が多く、支持率急増がいわれる共産党と比較して党勢が伸び悩んでいる。
一番いけないのは、民主党が極右と組むことである。ここでは、当ブログがしつこくしつこく書く、平沼赳夫一派を念頭においている。
今後、アメリカは間違いなく極東から手を引く。極東に力を割く余裕はアメリカにはもはやないからだ。同じ「従米」といってもコイズミと安倍晋三には大きな違いがあって、コイズミはアメリカの望む「グローバリズム」を日本に導入しようとしたが、安倍はアメリカに寄生して日本を軍事大国にしたがった。アメリカにとってはコイズミは望ましかったが、安倍は疎ましかったのだ。だから安倍は、従軍慰安婦問題でアメリカに揚げ足をとられ、ブッシュに謝罪させられる羽目に陥ったあげく、参院選前に松岡元農水相の自殺と「消えた年金」問題のダブルパンチを食らって選挙に惨敗し、政権の座を追われた。
コイズミによって自民党をたたき出された平沼一派は、だから自民党を離れたあとは急速に反米色を強めている。そして、今後安倍晋三が政界の表舞台に復帰することがあるとしたら、安倍は「反米右翼」政治家に変貌しているのではないかと当ブログは予想している。
新自由主義への批判が、反米の風潮につながるのは当然ではある。中曽根康弘以来の新自由主義政策は、イギリスやアメリカのやりかたに倣ったものだったし、90年代以降、アメリカが日本にグローバリズムを押しつけ、経済戦争で優位に立ったことは確かだと私も思う。
しかし一面、コイズミを熱狂的に支持したのはほかならぬ日本人自身なのだ。日本人は、水から、いや自らの手で郵政選挙でコイズミ自民党を選び取り、自国をぶっ壊したのだ。アメリカ憎しに走るより、まず自らを省みなければならない。
「反米右翼」のもっとも危険な点は、彼らが同時に「反中」「反韓」「反北朝鮮」も唱えていることだ。「反米」とか「反中」などというより、「排外主義」なのだ。排外主義では国際政治でつま弾きにされるだけだ。それこそ、「いつか来た道」ではないか。
もう一つ、どういうわけか「反米右翼」は陰謀論や疑似科学との親和性がやたらと高い。極右ブログの中には、独立党やリチャード・コシミズのブログにリンクを張っているところもある。そして、これは別のブログだが、「右も左もない、オレは下や」と言いながら、平沼赳夫の一の子分である城内実を応援している。私の目には、これは欺瞞そのものの態度に映る。
とにかく、当ブログは新自由主義に反対でさえあればどんな勢力もウェルカム、という態度はとらず、「排外主義」勢力に対しては断固として批判的なスタンスをとることを宣言しておく。以前から当ブログ管理人を苛立たせていた「ねこ」なる人物のコメントも、一昨日のエントリにいただいたものから承認しないことにした。当ブログ管理人の権限によって、排外主義的な主張に対する言論弾圧を実施する次第なので、今後「ねこ」氏には当ブログにコメントをされないようお願いする。この警告にもかかわらずコメントした場合、アクセス制限をかけるのでご承知おき願いたい。
「反貧困」と「平和外交」の二本柱で一致した勢力によって次期政権が形成されるべきだと当ブログは考える。宗教政党や「排外主義」勢力は、次期政権から締め出されなければならない。
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最初は、さとうしゅういちさんのブログ 『広島瀬戸内新聞ニュース』 から、「参院選「自民党KO負け」1周年---「自分はどうしたいか」押し出し、汗を流そう!」という長いタイトルの記事(下記URL)。
http://hiroseto.exblog.jp/8386125/
さとうさんは私よりはるかに若く、雨宮処凛や赤木智弘と同世代とのことだが、ブログのほかJanJanで健筆をふるわれる一方、リアルの政治にもかかわりを持たれている方で、その精力的な活動ぶりに対し、日ごろから尊敬の念を抱いている。
さとうさんは、野党の政治家に対して、
と訴え、野党の支持者に対しては、野党が政権をとるとして、何をしたいのか?そこをはっきりさせ、汗を流すことです。
と訴える。わたしたちは、自民批判だけでは済まされず、もはや新しい時代を切り開く旗を掲げなければいけない。
そして、大衆運動はいまこそ、正しい提言を政治家に行い、野党を励ましていかねばならないのです。
という主張には、日ごろから民主党と極右勢力の提携に否定的な当ブログは心から同意するし、世界情勢では、やはりアメリカの勢力の後退は覆いがたい。そういうなかで、アメリカへの従属からの脱却は当然です。しかし、勢い余って排外主義になってもいけないのです。
という主張には拍手喝采した。エネルギーと食料。これが人々の不安要因の一つです。
金融問題、外交政策、地域経済活性化とつながってきます。これらを統合的にしたビジョンを示さねばなりません。
例えばドイツのように地域の人々が生産したクリーンなエネルギーを電力会社が買取り、環境と地域経済活性化を両立させるような道を希望の光として示さねばなりません。道路や原発からクリーンエネルギーが地域活性化の目玉になるのです。
もう一つの重要な問題は、まさに貧困問題です。
これも労働政策と社会保障政策、地域経済政策が切り離せません。
社会全体でセーフティーネットを整備しなければ、大手企業正社員などとそれ以外で格差がひろがります。
そして、上記を満たすような政治改革・行財政改革を構想せねばなりません。これらは自民党には絶対できません。
本当の意味での国民主権にするための改革が必要です。
地域のお金が地域の人々に帰るような、財政システム、行政改革が必要です。
そのためにはどうすればよいか?
東京のコンサルタントやゼネコンが儲かる政治から、地元の人が教育や福祉へのサービスに従事するような政治にすればよいのです。
エネルギーと食糧の問題、それと貧困問題と取り組め、という主張は、以前から反新自由主義を掲げ、最近、遅まきながら環境・エネルギー問題を取り上げ始めた当ブログ管理人としては、わが意を得たり、の思いだ。特に、「道路や原発からクリーンエネルギーが地域活性化の目玉になるのです」というくだりは、スローガンに使えそうだ。
を野党連合のスローガンにすれば、サヨクブログの間で「地球温暖化陰謀論」のような妄論が流行することもなくなるだろう(笑)。クリーンエネルギーの技術開発や普及は、市場任せでは進まず、公的資金の投入が必要だ。いままで道路や原発の建設に使われてきた税金の使い道を、クリーンエネルギーに振り向ける。これは、確かに利権まみれの自民党には絶対にできない政治だ。道路・原発からクリーンエネルギーへ
さとうさんは、「?.政治改革???クリーンな政治で市民のための改革を 総選挙への政策提言(2)」と題したエントリ(下記URL)
http://hiroseto.exblog.jp/8320713/
で、選挙制度の改革も提言されている。
という主張だ。当ブログは昨年、小選挙区比例代表併用制に改めるべきだ、と主張したことがあるが、それよりさとうさんの言われる中選挙区比例代表制の方がなお良い。衆議院の 小選挙区比例代表並立制を改め、中選挙区比例代表併用制に改めることを提案します。 中選挙区は、都道府県か、旧藩程度の範囲に設定し地域代表を選び、比例代表で国全体の代表を選びます。
しかし、現在民主党は、さとうさんの提言とは逆に、小選挙区制の比重をさらに高める政策を打ち出している。私はこれには絶対反対で、民主党がこの政策を取り下げない限り民主党を支持しないし、選挙においては比例区では「民主党」とは書かない。昨年の参院選でも、選挙区では民主党候補に投票したが、比例区は民主党には入れなかった。
ともすれば新自由主義に引っ張られがちな民主党を暴走させないためには、社民党や国民新党の勢力が絶対に必要なのだ。小政党取り潰しの方向性を持つ比例区削減を民主党にさせない圧力を、野党支持者はかけ続ける必要がある。日本に二大政党制を根づかせる必要など何もない。
さて、環境・エネルギー問題については、多くの方から参考になるコメントいただいた。ご紹介いただいた資料の大部分は未読なので、参照させていただきたいと思う。コメントいただいた皆さまには心から感謝の意を表明したい。
ここでは、『フンニャロメ日記』に公開された、「日経新聞論説による温暖化懐疑論批判と安田至による検証」という力のこもったエントリ(下記URL)を紹介したい。
http://funnyarome.blog82.fc2.com/blog-entry-215.html
日経新聞に塩谷喜雄論説委員が書いた「反論まで周回遅れ 温暖化巡る日本社会の不思議」という記事と、これについて安井至・東京大学名誉教授が書いた「IPCCは温暖化を断言したのか」という記事を紹介した長文のエントリで、読み応えがある。池田信夫氏に対する批判も痛快だが、
というくだりには思わず手を叩いた。安井は現在のような温暖化懐疑論が勢いを得たのは武田邦彦の『偽善エコロジー』がバカ売れしたせいで、この手の本がどんどん出るようになったためだとしている。つまり、ひとつヒットが出ると二匹目、三匹目のドジョウを狙う軽薄なマスコミが今日の温暖懐疑論ないしは陰謀論を醸成したというわけだ。
とのことだが、これこそ産業界が大々的に「地球温暖化否定論」や「地球温暖化陰謀論」を広めたい動機だ。それを、よりにもよって「リベラル・左派」を標榜するブログが大々的に宣伝する愚かさ。なんたる喜劇だろうか。安井はさらに日本産業界の問題点も挙げている。現状で利益を上げているのだから、今さら温暖化対策などしたくないという心理。
‥‥そんなワケで、今後も当ブログは「地球温暖化陰謀論」と闘い続けるつもりの今日この頃なのである。
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28日付の読売新聞によると、金沢市中心部を流れる浅野川は数か所ではんらん。市は午前8時50分、2万739世帯の5万453人を対象に避難指示を出し、小学校や公民館など計39か所に避難所を開設した。
気象庁によると、1時間50ミリ以上の雨は1976?87年の年平均162回から、98?2007年は238回に増加。名古屋市内の4割近くが浸水し、死傷者51人を出した東海豪雨(00年9月)、2300棟以上が浸水した首都圏豪雨(05年9月)なども起きた。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080728-OYT1T00299.htm
26日付エントリでも触れたように、四国でも2004年に台風の相次ぐ来襲によって大きな被害が出た。翌2005年には一転して渇水に見舞われたが、集中豪雨によって、一夜にして高知県の早明浦(さめうら)ダムの貯水率が、0%から100%に回復したことがあった。この時も、山間部を中心に豪雨による被害が出たが、もしかしたら上記読売新聞の記事に出ている首都圏豪雨と同じ時だったかもしれない。
昨日は、神戸を襲った集中豪雨によって都賀(とか)川を鉄砲水が襲い、女性と子供の4人が死亡する痛ましい事故も起きた。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080728-OYT1T00463.htm
このところ、気候が荒々しくなったのを感じる。
もっとも、神戸近辺は昔から水害が多く、芦屋川や住吉川などの天井川がしばしば氾濫した。昭和13年(1938年)の阪神大水害が有名だが、昭和42年(1967年)にも水害で大きな被害が出た。もっぱら水害対策を考慮して設計された神戸の建築は耐震性に難があり、それが1995年の阪神大震災で大きな被害につながったという指摘がなされたこともある。それはともかく、度重なる河川の氾濫への対策として、神戸の川の多くは護岸工事によって川底と両護岸の三面がコンクリートで固められている。上記読売新聞の記事は、護岸工事の影響で雨が一気に流れ下りて、鉄砲水となったとみられると報じている。
水害なんか昔からあった。それはそうだ。だが、最初にリンクを張った読売新聞の記事が報じるように、短時間に集中豪雨が起きる頻度が増えている。そして、それは地球温暖化の影響だと指摘する専門家が多いのである。
いま、「地球温暖化論のまやかし」を主張する本が売れている。大手の新聞社や出版社が発行している雑誌などでも取り上げられ、当ブログ7月3日付のエントリ「北朝鮮問題、環境問題、それにブログ言論の乱れなど...」でもご紹介したように、6月26日付朝日新聞の「論壇時評」でもこれへの言及があった。もちろん、朝日の論壇時評では、地球温暖化に対する懐疑論も一つの仮説に過ぎない、と冷静な批評がなされている。
しかし全然冷静でないのがブログ論壇だ。これには二つの流れがあり、一つは超有名ブロガーである池田信夫氏によるものだ。
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/f660cfa25cd1fa208644f5c92c2f46ef
ここでは、新自由主義者として知られる池田氏の主張がトンデモのかたまりであることを指摘した痛快なブログ記事を紹介したい。「シートン俗物記」の「自滅した池田信夫 追加」というエントリだ(下記URL)。
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20080626/1214469992
ところが奇怪なことに、同じ主張に一部の左翼ブログが熱中している。その理由が、私にはどうしてもわからなかったのだが、一つには「ユダヤ陰謀論」で悪名高い「独立党」(極左陰謀論者の結社)が、「世に言う地球温暖化問題は、原発産業をも独占する、ユダヤ権力によるただのプロパガンダである可能性が極めて高い」と主張しているせいもあるかもしれない。
http://dokuritsut.exblog.jp/d2008-01-18
もっとも、上記ブログの管理人は、「独立党」党首のリチャード・コシミズ(本名・輿水正)と衝突し、現在は独立党を脱退したらしい。
http://dokuritsut.exblog.jp/8187559/
http://dokuritsut.exblog.jp/8187591/
http://dokuritsut.exblog.jp/8187596/
なんのことはない、カルト集団の自滅だ(笑)。
ま、独立党がどうなろうと知ったことではないのだが、地球温暖化のまやかし論に戻ると、多くの論者が依拠しているのが、中部大学教授・武田邦彦氏の著作らしい。
実際、先週末に大阪の大きな本屋に行った時、新書の売り上げ第一位が武田氏の新刊だったのにはため息が出た。本のタイトルは覚えていないし、そんなものを宣伝したくないからネット検索してリンクを張ったりなどしないが、日本では「地球温暖化まやかし論」が一種のブームになっていることは間違いない。学界の主流と日本の大衆のトレンドが大きく食い違うのだ。そして、権威や権力は嫌いだ、という人たちは後者へと流れていく。ポピュリズムである。
左翼ブログ論壇の場合、「地球温暖化論を唱えるのは、原子力発電を推進する勢力の陰謀だ」とする「地球温暖化陰謀論」が支持を集めている。これに影響されたブロガーの中には、太陽光発電の開発促進や普及を訴える朝日新聞のまっとうそのものの社説に対して、「原発のことに何も触れないというのは片手落ち」とか、「原発の危険性に触れずに突き進むなど許されませんよ」などと因縁をつける人までいて、これにはブッ飛んでしまった。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20080728/1217252064
どうして太陽光発電について論じる際に、必ず原発の危険性について言及しなければならないのだろうか? 「地球温暖化陰謀論」が頭にこびりついていない限り、こんな馬鹿げた主張が出てくるはずがない。
ところで、武田邦彦氏の経歴を見ると、面白いことがわかる。
武田氏は、1986年に旭化成工業ウラン濃縮研究所長に就任し、1990年には日本原子力学界特賞を受けているのだ。ってことは、武田氏こそ原子力関係者じゃん。
その武田氏が主張する「地球温暖化まやかし論」は、米ブッシュ政権や日本の自公政権、それに経団連にとってとても都合の良い論議だ。それが証拠に、新自由主義者として有名な池田信夫氏が熱心に信奉している。
「リベラル・左派」を標榜するブログがこんなものに乗っかってしまってよいのか、とヒジョーに強い疑問を感じる今日この頃なのである。
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しかし、竹中の口からは、傾いた日本経済の建て直しについて視聴者を説得する具体的な方法論は、ついに出てこなかった。この番組を見て竹中に説得された人はそう多くなかったのではないか。カイカクの呪文は、いまやすっかり力を失った。
番組に出ていた岸井成格は、カイカク教の布教に大きく寄与した新自由主義者だが、次の総選挙での自民党の勝ちはない、と断言していた。
この場合、勝敗ラインをどこに置くかで議論は分かれる。2005年の総選挙での議席数を自公与党が獲得するのは、誰が考えても不可能だ。それでは、2003年の総選挙との比較はどうか。この時は、自民党が237議席、民主党が177議席を獲得した。日本テレビなどの出口調査では、両党の議席差が20議席を切る、と報じられたが、いざ開票が進むと、自民党はそこまで落ち込まなかった。しかし自民党は10議席を減らし、一方民主党は40議席を増やして躍進した。自民党は、コクミンテキニンキが高いはずの安倍晋三を幹事長に据えて必勝を期したが、予期せぬ敗北を喫したのだった。
この5年前の総選挙での獲得議席あたりが、次の総選挙の勝敗ラインとされるのだろうか。当時と比較して現在は、格差の拡大がさらに大きく進み、コイズミ・竹中の新自由主義政策批判も、ようやくマスコミ等でも聞かれるようになった。03年には、自民党と民主党は、どちらが「真のカイカク者」であるかを競っていたのだ。今でも、「偽装CHANGEか真正CHANGEか」という言い方をする人もいるが、私は「偽装か真正か」というより、「新自由主義指向か福祉国家指向か」、つまりベクトルの向きが180度異なる対立軸を鮮明に示すべきだと思う。果たして民主党にそこまでできるか。
それはともかく、普通に考えればこの237議席を自民党が確保するのはほとんど不可能だ。現実問題としては、次の総選挙で自民党の議席数が民主党を上回れば、自民党が健闘したことになるのではないだろうか。
私の現状認識はそんなところだ。もはや、自公与党を倒すためならなりふり構わず、極右とでも連携するという段階ではない。次の政権は民主党を中心とした現在の野党の連立政権となることを前提として、次期政権がどういう政策をとるべきかを議論すべきではなかろうか。少なくとも、民主党を批判しただけで、自公政権の味方であるかのような言い方で民主党や小沢一郎への批判を封じようとする風潮には、私は強く反発する。
消費税の問題にしても、民主党が本当に選挙で勝ったあとも消費税率の引き上げを打ち出さず、その代わりに税制を抜本的に見直すかどうか、私は疑わしいと思っている。民主党や社民党のブレーンである神野直彦氏は税制の抜本的見直しを主張し、社民党はほぼその線に沿った経済政策を立てていると思うが、民主党には新自由主義勢力もまだまだ根強いし、日本は他国と比較して財界の政界への影響力が格段に強い。どこまで経団連の圧力に対して民主党が突っ張れるか、常に監視する必要がある。
民主党の鳩山由紀夫幹事長が言っていたが、来年の7月には東京都議選があり、これを重視する公明党は、この前後に総選挙をやってほしくないのだそうだ。だとすると、解散総選挙は今年の年末か来年早々になるというのが鳩山氏の読みだ。小沢一郎代表は、相変わらず「論戦で解散総選挙に追い込む」と言っているが、論戦も何も、その時期がくれば福田首相も解散総選挙をせざるを得なくなる。そして、総選挙後に民意に反した政界再編成が行われる恐れはかなり大きいと思うのだが、お上に弱い日本人はそれを受け入れ、日本の国力はさらに低下していくのではないかと悲観的になってしまう今日この頃なのである。
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本書第6章の「エネルギー産業革命へ」は、この本の中でも特に読者の皆さまにご紹介したいと思った部分だ。
著者はまず、安倍晋三政権(当時)の政策を、「周回遅れの新自由主義」として厳しく批判する。その冒頭部分を以下に引用する。
再生可能エネルギーへ向かう世界の流れは急だ。それは地球温暖化をはじめ、化石燃料依存のさまざまな負の外部性を抑えていくと同時に、長い期間をかけてエネルギー転換に伴う投資や需要、そして雇用を創出していく面を持っている。それゆえに、この動きを「エネルギー環境革命」と呼ぶ。
この国の長期停滞状況を打ち破るには、ある種のイノベーションが必要なことは、安倍政権ならずとも容易に想像できるはずだ。ところが、安倍政権の政策はひたすら法人税を中心とする減税政策によって企業の成長を促す一方、ひたすら「小さな政府」を目指して社会保障や教育を含む歳出削減政策を走るしかないという。市場に任せれば、新機軸の産業が生まれるというわけだ。
しかし、この分野は市場任せでは目標を達成できない。公正な新しい経済(ニューエコノミー)を築く国家の主なツールは、税金、支出、そして規制である。ところが、政権交代がほとんどない日本では、長年にわたって公的部門が利益政治による腐敗に深く侵されているために、民営化や規制緩和で問題が解決できるような新自由主義的言説が横行している。
(金子勝、アンドリュー・デウィット著 『環境エネルギー革命』 (アスペクト、2007年) p.202-203)
わが国は、いまだにコイズミ?安倍の確信犯的新自由主義政治が総括されておらず、そのために現福田政権もコイズミ?安倍の政策を基本的に踏襲している。一方野党第一党の民主党も、無駄をなくすことしか言わず、昨年の参院選の公約で掲げた「国民の生活が第一」というスローガンが色あせている。
著者らは、税制の改正が必要だと主張している。それには、地方分権化に伴う国から地方への税源移譲や、法人税減税・金持ち減税の見直しも必要だが、新エネルギー政策のために新しい税金の創設が必要だと主張している。
主にヨーロッパで、交通渋滞や大気汚染を制御に対する税金が、「賢い税金」と呼ばれて評価されている。これによって、負の外部性を緩和し、正の外部性を刺激することを目的としている。
渋滞税は、以前からシンガポールで導入されていたが、2003年にロンドンが導入し、渋滞の緩和に成功した。ニューヨークでも導入が検討されているが、市民の反対が強いようだ。どんな税金でも最初は抵抗が強いのは当然だろう。ロンドンでも最初は反対が多かった。著者は、「こうした政策の導入にはリーダーシップが問われる。次の選挙のあとを見据え、政治的なリスクを負い、より公正で効率的な未来へと国を導いていく意思のある政治家がなせることなのだ」と書いている。
環境税は、スウェーデン、オランダ、ドイツ、イギリスなどでは既に導入されており、これらの国はいずれも温室効果ガス排出量削減を実現しているが、日本では経団連の反対が強い。政党では、社民党が環境税(炭素税)の増税を公約している。「ポラリス?ある日本共産党支部のブログ」によると、共産党も導入を検討するとしているようだが、社民党ほど積極的ではないように見える。いずれにしても、社共両党が前向きであることからもわかるように、環境税は福祉国家指向、社会民主主義指向の税制といえると思う。課税には何でもかんでも反対lというのは、26日のエントリでも述べたように、サッチャーの好んだ新自由主義的な行き方だ(注)。
アメリカは、中央(ブッシュ政権)はどうしようもないが、地方で低炭素化への動きが活発だ。カリフォルニア州知事のシュワルツェネッガーのほか、「全米でもっとも左寄りの都市」といわれるサンフランシスコは特に環境問題に積極的で、欧州諸国のデンマーク、アイルランドやフランスの環境大臣がサンフランシスコを視察に訪れるほどだ。こんな状況なのに、日本のネット左翼が馬鹿げた「地球温暖化陰謀論」を声高に叫ぶさまを見ていると、非常に強い危機感を抱く。いいかげんに「反知性(反知識人主義)」的な姿勢から脱却できないものか。
ところで、環境問題への取り組みは、負の外部性と闘おうとする欲求だけではなく、地域経済の発展という目的も存在する。新たな雇用が創出されれば、貧困対策にもなるではないか。当ブログの読者の間でも、環境エネルギー問題は関心は高いとはいえず、このテーマを取り上げるとブログへのアクセス数ががくっと下がるが、どんなに不人気でも力を入れて論じなければならないテーマだと私は考えている。
現在、再生可能エネルギー技術で世界をリードしているのはヨーロッパである。ドイツやデンマーク、スウェーデンなどの評判はよくきかれるところだ。日本政府は、遅まきながら「福田ビジョン」なる提言を打ち出し、その行動計画をメディアが報じているが、「福田ビジョン」には相変わらず原子力のPRばかり書いてあるようで、日本政府は政策を大きく転換するつもりはないと見るしかない。
http://www.news.janjan.jp/government/0806/0805318404/1.php
このままでは、日本は世界の流れからどんどん取り残されていき、たそがれの後進国になってしまうだろう。
書いているうち熱くなって本の紹介からずいぶん離れてしまった。元に戻すと、終章「長期停滞を脱する道」で、著者はあらためて新自由主義を批判し、都市政策、教育政策そして新エネルギー政策の分野における、中長期的視野に立った政府の戦略的行動が求められると主張している。そのためには、「小さな政府」ではダメだというわけだ。
そして著者は、サッチャーの影響を受けた「教育カイカク」にかまける安倍晋三を強く批判しているが、さいわい安倍政権は倒れ、後任の福田首相は馬鹿げた国家主義指向の「教育カイカク」にはいたって冷淡だ。ところが、この問題に執念を燃やす平沼赳夫は、自公政権の終わりを見越して民主党にラブコールを送っているし、反自公を掲げるブロガーの中には積極的に平沼一派を応援する人たちさえいる。この人たちには、また日本を逆コースに進ませるつもりなのかと言いたい。
著者は、「われわれが目指さなければいけないのは、新しい産業と社会のあり方の転換である。そして、それは「長い革命」の始まりを意味するのだ」という文章で、本を締めくくっている。私自身、これまで環境・エネルギー問題への関心が高かったとはいえず、汗顔の至りなのだが、今後もこの問題について学びながら、折に触れ駄文を公開していきたいと考えている。
(注) 但し、現在消費税増税を自民党や経団連が狙い、朝日・読売・日経新聞が後押しして民主党にも消費税増税に踏み切れと圧力をかけているが、これには当ブログも反対だ。これだけ格差が拡大し、貧困に面する国民が急増している現段階で消費税増税なんかをやったら、それこそ国民生活が破壊されてしまう。
(この項おわり)
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地球温暖化を扱った第3章に続き、第4章「日米蜜月がもたらしたもの」は、地球温暖化問題に消極的で、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)を攻撃する米ブッシュ政権に、小泉純一郎首相(当時。以下「コイズミ」と呼称)がいかに協力的だったかを指摘している。環境問題をめぐるヨーロッパとアメリカの対立に対し、コイズミは明らかに米国寄りのスタンスをとった。
ブッシュ政権が「地球温暖化」という言い方自体を嫌ったため、アメリカではこの問題は「気候変動」と称される。そして、許しがたいことにブッシュ政権は科学者たちの研究に介入、妨害を繰り返してきた。気候変動に関する議論を鎮圧しようとするブッシュ政権の試みについて、NASAの科学者ジェームズ・ハンセンは2004年10月26日、アイオワ大学の講演で、「政府で3年以上働いているが、これほど科学者から一般聴衆への情報の流れが審査され制御されたことはいまだかつてない」と語った。
アメリカ以外でも、サウジアラビアや中国、ロシアなどは地球温暖化論議を嫌っていて、昨年のIPCC報告書から「二酸化炭素の排出レベルが気温上昇やその影響にどう関係するかを示す表」を削除させたといくつかのメディアは報じた。
四周を海に囲まれ、食料自給率の低い日本は、本来環境問題に敏感でなければならないのに、コイズミが極端にアメリカ追従の政策をとったことによって、日本は海外メディアから批判的に見られ、世界における政治的・経済的地位を失っていった。しかし、御用メディアと化した日本のマスコミはコイズミを批判するどころか礼賛した。その結果、安倍晋三内閣という史上最低最悪の政権が生まれ、日本の国益をさらに大きく損ねることになった。
著者は、昨年のハイリゲンダム・サミットで安倍晋三が持ち出した「美しい星50」というキモチワルイ名前の提案を、「基準年のないCO2削減目標であり、かつ具体性のない自発的アプローチにすぎない」、「明らかにドイツサミットにおけるメルケル独首相の提案を妨害すし骨抜きにする提案であり、イラクに次ぐブッシュの後方支援の提案に他ならない」と酷評している。そんな提案を、いまだに田原総一朗は絶賛しているのだから、呆れた御用ジャーナリストというほかない。
ブッシュ政権は、「地球温暖化」を「気候変動」と言い換えようとしているが、著名な環境保護主義者ジェレミー・レゲットは、地球温暖化を「地球の過熱、気候の混乱、もしくは気候の崩壊と表現すべき」と主張している。そういえば、4年前の2004年、四国は次々と台風の来襲を受け、多くの死者を出したほか、高松市でも高潮によって2万戸以上が浸水した。この年の夏から秋にかけては、熱帯かと思うような荒々しい天気が続き、ひどい異常気象の連続に参ったものだ。
さて、本の第5章は「環境問題のコストは本当に高いのか?」と題されている。この問いに対し、著者らは「環境保護が経済利益をもたらす」と答えている。実は、私が最近環境エネルギー問題に関心を持つようになったのは、多くの文献が、環境エネルギー技術が経済成長につながると指摘していることによるところが大きい。特に、ドイツや北欧諸国の例がよく言及される。北欧諸国は、社会民主主義をとり、過酷な新自由主義に苦しむ日本国民が最近羨望のまなざしを向けていることはいうまでもない。社会保障と経済成長を両立させているといわれる北欧諸国の成功の秘訣はどこにあるのか。私も興味津々である。
環境問題のコストについては、著者は、昨年のIPCCの報告書が、気候変動の対策コストがさほど高くないことを示し、問題に決着をつけたとしている。そして特筆すべきは、最近、アメリカの高級紙が次々と地球温暖化問題に目を向けるようになったことだ。ところが、日本ではビジネスマンに信頼されているらしい日経新聞が、IPCCに対する懐疑論を紙面に掲載するなどした。
脱線するが、2000年に「巨人(プロ野球・読売ジャイアンツ)が優勝したら景気が良くなる」というナベツネ(渡邉恒雄・読売新聞会長)の妄言を、日経新聞がさも事実であるかのように紙面に載せたことがあるが、この年巨人が優勝した直後にITバブルが崩壊した。巨人が優勝したら景気が急に悪化したのである。これを見て私は日経をあざ笑い、この新聞をイエローペーパーとみなすことにした。私は90年代末から一時この新聞を購読していたのだが、この件がきっかけになったわけではないが、高いだけで中身の薄いこの新聞に見切りをつけて購読をやめた。
ま、日本の低劣なマスコミのことなどどうでも良い。アメリカに話を戻すと、変化し始めたのはアメリカのメディアだけではなく政治家も同じで、民主党の大統領候補バラク・オバマだけではなく、共和党のマケインも温暖化対策に積極的だ。もっとも、マケインの場合は原発推進派らしいから、例の地球温暖化陰謀論が当てはまる数少ない例外に当たるかもしれない。
著者は、「気候変動の科学において、唯一目立った分裂があるのは米国の共和党内部だけのようだ」と皮肉たっぷりに書いている。アメリカの高級紙の論調や民主党の政治家などが、地球温暖化問題への関心を高めている一方で、共和党だけは温暖化議論の正当性を認める議員が2006年には23%、2007年にはさらに減って13%になったという。日本のネット右翼や地球温暖化陰謀論を唱える一部ネット左翼は、米共和党の政治家たちと親和性が高いようだ(笑)。
だが、米共和党でも、カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガーのように、西部の4州(ニューメキシコ、オレゴン、ワシントン、アリゾナ)を結集して炭酸ガス排出取引の仕組みを作った人もいる。そして、著者はブッシュまでもが(!)環境派に変わりつつあると指摘している。ブッシュは、政策的には利権の絡みから地球温暖化問題にはきわめて消極的なのだが、私生活ではテキサス州クロフォードにあるブッシュの牧場には地熱ポンプがあり、9万5千リットルの地価貯水池で雨水を集めているそうだ。
いずれにしても、アメリカの環境エネルギー政策は、2009年1月の新大統領就任とともに、劇的に転回されるはずだ。特に、バラク・オバマが大統領になったら、その政策転換はより極端なものになるだろう。ヨーロッパでは、日本会議(平沼赳夫や安倍晋三を擁する日本最大の右翼団体)やネット右翼から目の敵にされているスウェーデンが代替エネルギーにおいて世界のリーダーになっており、最近ではイギリスの台頭もめざましいそうだ。1973年にはスウェーデンはエネルギーの石油依存度は日本と同じ77%だったが、今では大差がついた。また、イギリスはいまや保守党が炭素税の導入を提案している。かつて、新自由主義の先駆者であるマーガレット・サッチャーは、極端な課税反対主義をとっていたが、いまやかつての政策を180度転換しているのだ。しかし日本は、特に安倍晋三や平沼赳夫などに顕著なのだが、大昔のサッチャーカイカクを取り入れようとするアナクロぶりだ。日本のネット左翼の間にも、民主党が社民党と接近するより、平沼一派と接近するのを望む人も多いようだが、たぶんサッチャリズムと親和性の高い人たちなのだろうと想像している(笑)。
第5章の最後で著者は、「それでも原子力頼みの日本」というサブタイトルで、相も変わらず口を開くと原子力しか言わない日本の政策を厳しく批判している。日本のメーカーは、太陽電池生産のシェアを大きく落としており、いまや太陽エネルギー部門は、「技術はヨーロッパにあり、需要はアジアにある」といわれる状況だという。
それなのに、日本はいまだに原子力発電に固執しているのだ。著者は、「原子力発電のロビイストは、研究開発の予算の大部分を確保しており、特に永田町の政治家とつながっているようだ」と書き、それに対し、オクスフォード・リサーチ・グループが「原子力は非常に危険である」うえ、「二酸化炭素排出量の削減に貢献するには不十分だし、貢献できたとしてもそのプロセスは遅い」と指摘していることを対置して紹介している。
私も、原子力発電の推進など百害あって一利なし、現在ある原発はもうどうしようもないけれど、今後新規の原発の建設はすべて中止すべきだと考えている。だが、原発の弊害が明らかだからといって、「地球温暖化論は原発推進論者の陰謀だ」とする「地球温暖化陰謀論」には全く与することができない。そんなことを言う人は、それこそブッシュ政権か福田政権、あるいは経団連あたりに買収でもされているのではないかと、陰謀論的に勘繰りたくなってしまうほどだ(笑)。
今回は新自由主義や税制について論じた第6章の紹介まで行き着かなかった。最終回となる次回で紹介したいと思う。
(続きはこちらへ)
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第1章「石油時代の終わり」のリードの文章のあとに、各国の石油依存度、輸入依存度、中東依存度を示す表が出ている。日本は石油依存度が50%、輸入依存度が100%、中東依存度が89%で、どの項目をとってもアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアの他の先進国より依存度が高い。とりわけ中東依存度の高さは群を抜いており、それだけ日本のエネルギー源が高いリスクを抱えていることを示す。
第2章「石油に浮かぶ島」で、日本が1970年代の石油ショックのあと、いったんはエネルギー調達先を多様化させ、石油への依存度を低下させたことになっているが、実は中東依存度は1976年の79.5%から87年には67.9%まで下げながら、その後「市場に任せておけ」という新自由主義政策をとったために再び中東依存度が上昇し(というのは中東の石油が安価だった時代が長く続いたため)、2005年には89.1%まで上がってしまったことを指摘している。これを、中東依存度が24%に過ぎないのに、リスク回避のために中東依存度を下げようとしているアメリカと比較して、日本政府の無策を嘆いている。ってことは、日本はアメリカよりもっと過激な新自由主義国家だということなのだろうか!?
しかも、コイズミと安倍晋三は、イラク戦争に参加し、それが誤りだったと世界のほとんどの国が認識するようになってからも、アメリカを支持し続けた。わざわざエネルギー調達のリスクを高める政策をとってまでブッシュに尻尾を振ったコイズミや安倍こそ、国賊の名にふさわしいだろう。
第3章「地球温暖化?より大きな負の外部性」で、地球温暖化問題が論じられている。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次報告書が2007年に発表されたが、人間の活動によって気候変動が引き起こされていることが科学的に証明できると断言し、化石燃料の消費によって気候変動を起こす温室効果ガス(特に二酸化炭素)が生産されていることは明らかだとした。
報告書は、今世紀中に平均気温が1.1?6.4度上昇し、海面が18?59センチ上昇すると予想しているが、それでも報告書の予想は楽観的に過ぎると見られているのだという。
その理由の一つに、地球温暖化の議論を嫌う米ブッシュ政権が、IPCCにしばしば横ヤリを入れてきたことがあげられる。たとえば、ブッシュ政権は石油会社エクソン・モービルの要請を受けて、IPCC議長だったロバート・ワトソンを議長の座から追う工作をした(2002年解任)。ワトソンは、フロンガスの規制を唱え、オゾンホールの拡大を食い止めるのに貢献した学者である。著者は、これは陰謀論などではなく、米民主党による調査で暴露された事実だとしている。
ちなみに日本と違って、こうした米民主党による暴露は、実行能力のある野党と、政権党を制するための制度化された手段が存在する価値を証明している。政府内の競争と政権党の定期的な交代は、政府の人間に責任を問うための強力で貴重な動機と手段を与える。それは、有力な利益団体から資金が流入している場合は特に不可欠になってくる。
(金子勝、アンドリュー・デウィット著 『環境エネルギー革命』 (アスペクト、2007年) p.120)
この本が書かれたのは昨年の参院選の直前だが、思い出してみると日本の民主党は、選挙で勝ったら国政調査権を発動すると声高に叫んでいた。参院選は民主党の圧勝だったが、国政調査権はその後どうなったのだろうか?
なお、フロンガス規制の件では、1970年代に世界のフロンガスの4分の1を生産していた米デュポンが、1975年に大々的な反フロンガス規制のキャンペーンに乗り出した。彼らは、フロンガスによるオゾンホール拡大には科学的な根拠がない、対策にはコストがかかるなどと主張していたが、実際にフロンガスの使用禁止によってオゾンホールの拡大は食い止められたし、対策にかかるコストも、規制に反対した勢力が主張したよりもはるかに少なく、むしろさらなる損害の拡大を食い止めたと著者は指摘している。
地球温暖化を食い止められると主張する人たちは、フロンガス規制が成功した例をあげて楽観的な展望を示すが、著者らはもう少し悲観的だ。
しかし、事はそう簡単ではない。それは、石油時代の外部性やリスクがこれまでと違って長期にわたるという特質を持つようになり、消費者にせよ供給者にせよ、目先の利益を最大化しようとする者たちにはそれが見えにくいからである。そして、その政治プロセスでは当面の利益を失う政界、経済界がいつでも妨害する側に立つ潜在的可能性を秘めている。
それは、主流の政治経済学的アプローチを無効にしてしまう。新古典派経済学だろうがゲーム理論アプローチだろうが、時間のタームのないアプローチの想定範囲を超えているからだ。時間を超えて全体の利益を考慮に入れる時、モラルハザードを引き起こすのは消費者側ではなく供給者側であり、しかも短期的に供給者側が自己利益の最大化を追求すれば、長期的な結果として社会全体に破滅的損失をもたらしてしまうものなのだ。
(金子勝、アンドリュー・デウィット著 『環境エネルギー革命』 (アスペクト、2007年) p.126-127)
ブッシュ政権は、ワトソンだけではなく、さまざまな国際機関の気に入らない人物をその役職から外そうとしてきた。著者は、
と指摘する。ネオコンたちは、自分たちに従順なグローバル社会を築きたいと考えており、その一方で米国は、主要な世界的機関、特に国連や国際法廷、各種の軍縮協定や京都議定書への関与を弱めていった。
結局、ワトソンの後任のIPCC議長には、インド人のラジェンドラ・パチャウリが就任した。著者は、大気科学を学んだことがないIPCC議長は彼が初めてだった、と皮肉り、先年死去した著名な経営学者・P.F.ドラッカーの言葉を引きながら、下記のように第3章を締めくくっている。
リーダーシップはどんな組織にも必要不可欠だということがわかる。また、あるリーダーの更迭が賛否両論を起こせば、その組織とその組織が属するコミュニティに強力なメッセージを送ってしまうことになるのは常識だろう。リーダーシップが弱まれば、組織も弱くなる。皮肉を込めて言えば、世界がもっとも急を要する危機に直面している時、中心的な国際機関のリーダーシップを弱めるというのはなんと素晴らしい戦略であろうか。
(金子勝、アンドリュー・デウィット著 『環境エネルギー革命』 (アスペクト、2007年) p.129)
ここまでで本の紹介は約半分終わった。このシリーズはあと2回かかると思う。
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http://www.asahi.com/national/update/0724/TKY200807230362.html
未明からテレビがずっとこのニュースを報じ続けている。被災地では大雨が降っているそうだ。被災された方々には、心からお見舞い申し上げます。
この問題は、科学技術的な観点と社会科学的な観点の両方が要求されるので、たいへん知的好奇心をそそられるが、上記のようにうかつにもこれまで関心が低かったので、現在の私の知識レベルは低い。徐々に勉強しながら駄文を公開していくのは、ある意味恥ずかしい話なのだが、当ブログの新たなチャレンジとしてやっていきたいと思うので、どしどし批判なり激励なりのコメントをいただければ幸いである。
先週末には、本屋に行ってまず技術系でそんなに難しくない専門書を、と思って書棚を見ていたのだが、いまいちピンとくる本がなく、その代わりに金子勝とアンドリュー・デウィットの共著になる 『環境エネルギー革命』 (アスペクト、2007年)という本が目に止まり、これを購入した。
![]() | 環境エネルギー革命 (2007/07/13) 金子 勝/アンドリュー デヴィット 商品詳細を見る |
金子勝は、テレビでもおなじみの経済学者(慶応大学教授)で、新自由主義に対して一貫して批判的なことで知られる。また、アンドリュー・デウィットは1959年カナダ生まれ、ブリティッシュ・コロンビア大学で政治学博士を取得したが、現在は立教大学で経済学を教えている。金子勝とはしばしば共著を出版しているようだ。
この本は、学術書ではなく一般向けの本だが、一気に読ませる面白さがあり、たいへん興味深く読んだ。これから何回かに分けて紹介していきたい。
初回の本エントリは、手抜きしてちょっと前に「kojitakenの日記」に書いた文章を、一部手直しして再録する。序章、第1?6章、終章の8章からなるこの本の序章について書いた文章だ。
この本は、参議院選挙で自民党が大敗する直前の昨年6月に書かれており、そのため、冒頭に当時首相だった安倍晋三に対する辛辣な批判が出てくるので、大の安倍嫌いである私としてはすんなり入っていけた。
序章で、早くも注目すべき記述に行き当たった。環境エネルギー政策に関する対抗軸は、従来の「大きな政府」対「小さな政府」(新自由主義)や、「第三の道」対「小さな政府」では理解されず、代替エネルギーの開発には補助金だけではなく国家主導のあらゆる政策が動員されている(政府介入的)一方で、代替エネルギーの売買を促進するための規制緩和政策も用いられており、環境税が導入される一方で、排出権取引のような市場原理も、時には肯定される。
確かにこの点は、以前飯田哲也氏の論考をいくつか読んだ時に気づいたことで、福祉国家対新自由主義という対立軸では説明できないな、と思っていたところだ。
実際、この本によるとイデオロギー的な色分けは困難らしく、イギリスの保守党は若いリーダーを押し立てて環境政策を前面に押し出す一方、フランス社会党の大統領候補だったロワイヤルは元環境大臣だった。カナダの中道左派政党で、2006年に下野した自由党は、温暖化対策を重視した元環境大臣のステファン・ディオンが党首に選ばれたそうだ(2006年12月)。
蛇足だが、ネット検索したら「日本deカナダ史」というブログが見つかったが、結構面白そうだ。ブログのタイトルからしてウケたが、「日本でカナダ情報を発信するdescriptiveな元記者のブログ」という副題にさらにウケた(「カナダde日本語」からもリンクが張られていますね)。そういえば、本エントリで紹介している本の著者、デウィット教授は日本で経済学を教えているカナダ人だ。
本論に戻ると、世界では右も左も実のある温暖化対策に目を向けているのに、日本のネット右翼は原子力発電推進の金切り声を上げ、一方ネット左翼は「地球温暖化論は原子力推進派の陰謀だ」と得意の陰謀論をぶち上げる。反知性(反知識人主義)同士の不毛な争いには、心胆を寒からしめるものがある。
金子とデウィットは、日本政府は、環境エネルギー技術において、日本はEUの20年先を行っていると錯覚しているが、実際には風力、地熱、波力、太陽光などの再生可能エネルギーの分野では、既にEUに追い越されていることをわかっていないようだ、と批判する。
思考停止の右翼が原発にこだわるのを批判しようとするあまり、「リベラル・左派」が「地球温暖化陰謀論」なんかにのめり込んでいるようでは、日本の環境エネルギー技術および政策のお先は真っ暗だ。くだらない陰謀論にかまけるのはたいがいにしろ、と言いたくなる。
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朝日新聞の方は、前論説主幹の若宮啓文氏が書いた「風考計」というコラムで、せっかく韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領と福田康夫首相が日韓関係改善に動き始めた時に、何たることだと慨嘆している。米国産牛肉をめぐって米韓関係がぎくしゃくしていることも引き合いに出して、「ほくそ笑んでいるのは北朝鮮の金正日総書記に違いない」などと書いている。そこには、「同じ自由主義陣営がなぜ仲間割れするんだ」というニュアンスがあり、かつて1979年に中国が「懲罰」と称してベトナムに侵攻した際に、同じ朝日新聞が「社会主義国同士がなぜ」と見出しを打ったときの裏返しのような違和感を覚えるのだが(しかもこの時、中国はポル・ポトのカンボジアに肩入れしていたのだった)、右翼はそんな若宮氏に対しても、「竹島問題で韓国に媚びを売る国賊」などと言うのだから、彼らとの距離は果てしなく大きい。
ところで、このコラムの中で若宮氏は、
と指摘している。古来の文書は島の名称からして入り乱れ、歴史も法的解釈もややこしいとのことで、若宮氏は3年前、同じコラムに「いっそのこと島を韓国に譲って『友情島』にしてもらう」との「夢想」をコラムに書いて、「国賊」との非難を浴びた。今回は、「島の所属も昔はあいまいで、さして大きな問題ではなかった」として、「大事なのはむしろ昔のあいまいさを思い、未来に向けて柔軟な発想をすることではないか」と書いている。それこそあいまいな表現だが、言いたいことはわからないでもない。竹島が「我が国固有の領土」かどうかは日韓の相違だけではなく、実は日本の中にも長い論争がある。政府見解を否定する研究者も少なくないのだ。
いまは島根大の内藤正中名誉教授らがそうだ。明治政府は竹島を韓国領だと見ていながら、軍事的な思惑などで1905年に島根県に編入した。そんな見方を著書や論文で展開している。
若宮氏は、コラムの最後でも「北の高笑いは聞きたくない」と書いて、日韓とも歩み寄れと主張しているのだが、何かというと北朝鮮を引き合いに出す書き方はちょっとどうかなあという気がしなくもない。
四国新聞の方は、元日本経済新聞記者で早稲田大学大学院教授の田勢康弘氏のコラム「愛しき日本」でこの問題を取り上げている。こちらはネットで全文を読める(下記URL)。
http://www.shikoku-np.co.jp/feature/tase_column/20080721.htm
このコラムの終わりのほうで、田勢氏は竹島問題を取り上げているので、その部分を紹介する。
G8が終わったら、こんどは日本と韓国の間のもっともやっかいな問題である領土問題が再燃した。日本は「竹島」といい、韓国は「独島[ドクト]」。「独」という文字にナショナリズムが詰まっているように見える。たがいに自国の領土だと主張し譲らない。というよりは譲れない、というべきだろう。
地球上のあらゆる領土問題はよく似ている。自国に有利な史料を根拠に主張しあっても解決は難しい。昔なら戦争で決着もしただろうが、いまはどちらかが譲らない限り政治決着しかない。最近、決着した中国とロシアの領土問題のようにまん中に線を引き、面積を半分ずつするという方式は、参考にすべき知恵だ。
地球上の土地はもともとだれのものでもない。日比谷公園ほどの面積の岩だけの島の帰属をめぐって、国と国とが抜き差しならないような関係になるなど、愚かなことではないか。外交より国内事情を優先させるやり方は一時のうさは晴らせても根本的な解決にはまったく役に立たない。韓国の李明博政権は窮地に立たされており、ナショナリズムを刺激しながら国民の目を外に向けようとしている。米国ばかりではなく、対外関係はにわかに悪化している。その流れの中にわが国も入っていると考えれば、あわてることはない。こういうときには「反応しない」という選択こそ「智徳」というものではないだろうか。
(四国新聞 2008年7月21日掲載 田勢康弘「愛しき日本」より)
コラムの筆者・田勢氏は新自由主義者の範疇に入る人だが、経済問題以外ではリベラルといってよく、私は月一回「四国新聞」に載る田勢氏のコラムを楽しみにしている。ここで紹介した竹島問題に対する態度も、なかなかクールで好ましいと思う。
このコラムの最初のほうで田勢氏は福沢諭吉の「文明論之概略」から、「文明とは人の安楽と品位との進歩を云うなり。又この人の安楽と品位とを得せしむるものは人の智徳なるが故に、文明とは結局、人の智徳の進歩と云て可なり」という部分を引用し、
と書いている。いずれにしろ洞爺湖G8の百三十三年前に福沢は文明の本質について「結局、人の智徳の進歩」と指摘している。G8の議論と結論を見て、文明というものは科学技術のように時間がたてば進歩するというものではないのだな、と雨に煙る山の緑を見つめながら考えた。豊かになるということは、その過程でエネルギーの消費が増える。また温暖化ガスの排出量も増える。一方で地球の人口が六十億人を超えたいま、すべての資源が不足することは、相当前からだれもがわかっていたこと。そのわかっていたことに手が打てない。利害が対立し、己の利だけを得ようとして地球全体を傷めてしまう。
「己の利だけを得ようとして地球全体を傷めてしまう」を地で行ったのがブッシュであり、それに盲目的に追随したバカがコイズミと安倍晋三だったのだが、環境問題については次回のエントリで述べることにしたい。
竹島問題に関しては、福田首相も韓国を刺激したくないようで、それがまたネット右翼や産経新聞、それに安倍晋三らにとっては面白くないのだろうと思うが、日本を危うくするのは後者の人たちだと当ブログは考えている。
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他ブログ経由のアクセス数だが、上半期のトップ3は下記のようになっている。
1. 「カナダde日本語」 7419件
2. 「反戦な家づくり」 4098件
3. 「たんぽぽのなみだ?運営日誌」 3154件
この3つのブログ経由のアクセス数推移を月別に見ると、下図のようになっている(グラフをクリックすると画像が拡大表示されます)。

「カナダde日本語」は、以前きっこさんが書いていたように、自分の言葉で文章をつづっていく感性のみずみずしさが何よりの魅力だ。4月に同ブログ経由のアクセスが多かったのは、映画『靖国 YASUKUNI』をめぐる圧力騒ぎや、衆院の山口2区補選でこの界隈が盛り上がった影響だと思う。
その「水伝騒動」というとなんといっても「たんぽぽの日記?運営日誌」だが、同ブログは1月に訪問元ブログ別訪問回数ランキング1位になり、2月と3月には減ったが、4月から再び同ブログ経由のアクセス数が増え、現在はコンスタントに多い。これは、いうまでもなく「水伝騒動」の第1幕と、4月に騒動が再燃して以来、役者が入れ替わり立ち代り現れては去っていく騒動の第2幕以降に対応しており、現在はこの揉め事が常態化している影響だろうと思う。当ブログは、この騒動には、右派・左派を問わずブログ論壇に広く見られるポピュリズムや反知性(というより反知識人主義)を批判する観点でかかわっている。陰謀論や擬似科学に対する批判もその一環だ。左右を問わず見られるこの「反知識人主義」は、ヨーロッパの教養主義に対するアメリカの反発をルーツにしている。つまり、右や左のポピュリストたちは、激烈な反米的主張をしながら、そのアメリカが深く侵された「反知識人主義」の罠に自らもはまっているのである。この「反知識人主義」の権化みたいな男が、ジョージ・ブッシュであることはいうまでもない。
‥‥そんなワケで、当ブログは「水伝騒動」に関しては断固たんぽぽさん支持だし、この騒動自体はもう決着のついた話だと考えているが、その根っこにあるポピュリズムや反知識人主義に対する批判は、今後も継続していくつもりだ。
さて、最後は今年上半期の当ブログ人気エントリのランキングだ。トップ10を下記に示す。
1. 電波芸者・勝谷誠彦の生態 (2006年7月29日) 4384件
2. 山本繁太郎とノーパンしゃぶしゃぶと耐震強度偽装と (3月12日) 4185件
3. 「水からの伝言」をめぐるトラブルの総括 (1月15日) 3304件
4. 極左と紙一重の極右・稲田朋美を衆議院選挙で落選させよう (3月30日) 2856件
5. 大阪府民は「極右ポピュリスト」橋下徹を打倒せよ (2007年12月13日) 2534件
6. チベット騒乱の報道を受けて、中国について思うこと (3月18日) 2457件
7. 稲田朋美の恫喝に屈して、映画「靖国」上映を全館が中止 (4月1日) 2449件
8. ネット右翼の妄言を黙認する右派言論の偽善には反吐が出る (5月17日) 2432件
9. 安倍晋三や稲田朋美にチベット騒乱に口出しする資格はない (3月20日) 2353件
10. 映画「靖国」と稲田朋美、日本会議、そしてネット右翼 (4月7日) 2229件
1位の勝谷誠彦批判エントリは、公開から間もなく2年になるが、今もコンスタントにアクセスをいただく記事で、累計アクセス数(2007年4月から集計)では、当ブログとして唯一1万件を超えている。
2位以下では、映画「靖国」と稲田朋美に関するエントリが4件トップ10に入っている。この件が今年上半期の「きまぐれな日々」のアクセス数を押し上げ、なんとか昨年のアクセス数の平均程度に到達することができた。これも当ブログにアクセスしてくださる読者の皆さまのおかげであり、厚くお礼を申し上げたい。
今後の日本は、スタグフレーションで国民の暮らしがますます苦しくなる一方、解散しようにもできない状態になった自公政権と、それを攻め切れない民主党など野党を中心に、政治はますます混迷を深めるだろうと想像される。解散権を持っているのは総理大臣だとされているから(「7条解散」には違憲説もあるが)、現状で福田首相が衆院を解散するという虫のいい期待はできない。しかし、解散権という伝家の宝刀は、任期満了が近づくに従ってその威力は低下していく。これまでで唯一、任期満了選挙となった1976年の衆議院選挙では、自民党は惨敗している。だから、福田首相は(次の首相は、かもしれないが)来年9月までのどこかで解散するだろう。昨年の参院選の日程を安倍晋三が猛暑の時期に当たるようにあとにずらしたが、自公政権は来年の盆休みの時期に投票日を設定するような無茶をやる可能性だってある。いずれにしても早期の解散はないと考えるべきだ。この時期は、やみくもに「解散総選挙」を連呼するのではなく、地道な建設的議論が求められるのではないかと思う。
いずれにしても、フラストレーションのたまる日々はしばらく続きそうだ。
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その上半期(1月?6月)のアクセスデータをまとめたので、三連休でもともと多くのアクセスを見込めない今日と明日の2回に分けて公開することにする。
今年上半期のアクセス数は下記の通り。
FC2カウンター(トータルアクセス数): 539,273件
FC2旧アクセス解析(ユニークアクセス数): 349,698件
FC2旧アクセス解析(トータルアクセス数): 490,612件
FC2新アクセス解析(ユニークアクセス数): 286,121件
FC2新アクセス解析(トータルアクセス数): 526,126件
はてなカウンタ(ユニークアクセス数): 390,013件
はてなカウンタ(トータルアクセス数): 491,805件
昨年の年間アクセス数の約半分だが、昨年は上半期より参院選や安倍内閣退陣のあった下半期の方がアクセスがかなり多かったから、その頃よりはかなりアクセス数は少なくなっている。

(グラフをクリックすると画像が拡大表示されます)。
初回訪問客のうち、かなりの割合を占めると思われるのが検索エンジン経由のアクセスである。当ブログには上半期に104,694件の検索エンジン経由アクセスをいただいた(新FC2アクセス解析)。

(グラフをクリックすると画像が拡大表示されます)。
特に4月にGoogle経由のアクセスが増えているが、これには理由がある。

(グラフをクリックすると画像が拡大表示されます)。
なお、検索語別ランキングは下記のようになっている。新FC2アクセス解析によるが、1月度のデータは既にサーバーから消去されていたので、下記は今年2月度から6月度までの集計である。
1. 稲田朋美 5202件
2. きまぐれな日々 4889件
3. 勝谷誠彦 2649件
4. 山本繁太郎 2455件
5. 綿井健陽 1660件
6. 福田内閣 支持率 1399件
7. 橋下徹 1396件
8. 気まぐれな日々 941件
9. 加藤千洋 889件
10. 工藤会 827件
11. 田中森一 757件
12. 星浩 603件
13. 大村秀章 487件
14. きまぐれな 383件
15. 永田寿康 381件
16, 宮崎緑 324件
17. 有村治子 315件
18. 八代尚宏 306件
19. 原弘産 292件
20. 小川彩佳 285件
今日はここまで。次のエントリでは他ブログ経由アクセスの内訳や、アクセス数の多かったエントリ等の情報を公開する。
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ブログは3日間とも更新できると思うが、いつもとちょっと違う趣向の記事にしたいと考えている。初日の今日は、ここしばらくたまっていたものをぶちまけるエントリにしたい。
数日前から気になっているのが、7月14日のエントリ「「貧困大国ニッポン」 (『文藝春秋』8月号の湯浅誠論文) より」で、Black Joker氏とasdnof氏の間でかわされている論争だ。
もともとのきっかけは、7月12日のエントリ「『論座』休刊説と『ロスジェネ』創刊 ? 鈍感な「保守リベラル」」にいただいたasdnof氏のコメントだった。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-678.html#comment3671
よくわらからないのですが。
> 猛烈な勢いで貧困に直面する国民が増えている現在
どこにそんなデータがあるのですか?
高齢化社会なのでフローでは当然そうですが、キャッシュで貧困がみとめられるデータはないと思いますが。
> 新自由主義は基本的に産業、特に製造業にダメージを与えるものなので
どういう論理で?
最も規制から自由だった、つまりもっとも市場原理にさらされた製造業のみが世界で戦えているのですが?
経済学の常識中の常識とあまりにかけ離れているようなので伺わせてください。
2008.07.12 14:59 URL | asdnof
最初これを読んだ時およびこのコメント欄でのasdnof氏とのやりとりを通じて、氏は典型的な新自由主義者だと私は思った。
それで、7月14日のエントリで、私は、
新自由主義者は、今の日本社会で格差が拡大しているデータがあるのか、それを示せとか、加藤智大が起こした「秋葉原事件」を新自由主義(コイズミカイカク)と結びつけるのは良くない、などと言うのだが、そんなことを言う人たちは、自分がいかに恵まれた立場にいるかを自覚していないのだ。
と書いた。ここで私は2人の論者を念頭に置いていたが、そのうちの前者は、いうまでもなくasdnof氏である。
ところが、ここでのコメント欄におけるasdof氏とBlack Joker氏との論争中、asdnof氏は下記のようなコメントを書いた。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-680.html#comment3690
たびたびですいませんが。
先にネオリベとレッテル張りする方が多いのですが、リベラル・左翼、ロスジェネの立場で書いていることを前提としてください。
赤木氏の主張は、
1) 経営者層
2) 労働者層
という古典的な左派フレームワークに
3) 非正規雇用者層
というレイヤを追加することで、2),3)の格差を論じたものだと思います。肌で実感されるのは2),3)の格差の話だと思いますが、「2)は恵まれていないから問題ではない」「近寄るのが気持ち悪い」というのが、ロスジェネ以外の左派思想でしょうか?
2)の既得権益は堅持し、かつ平等を謳う事が、リベラル・左翼としては理解不能なのですが。
2008.07.14 23:24 URL | asdnof
と書いた。これを読んで、私は初めてasdnof氏が赤木智弘氏に影響を受けた主張をしているのだと気づいた。それくらい、そこに至るまでのasdnof氏の主張は、新自由主義者のそれとそっくりだったのである。
それまでにも私はしばしば、赤木智弘氏の言論に不用意に近づいて、安易に共感を表明することに対して、軽率さや危うさを感じていたが、その実例を自ら管理するブログのコメント欄で目にすることになるとは予想しておらず、これはちょっとしたショックだった。
赤木智弘氏の理想は福祉国家のはずだ。彼がどこかでそれをはっきり書いているのを見たことがある。
ところが、赤木氏の文章を字面だけしか読み取れないasdnof氏のような人は、新自由主義者を利するような主張に走って、よりマイルドな方法論で福祉国家を目指す行き方を攻撃する。それは、最終目標である福祉国家に至る道筋において、現時点でより過酷な境遇に晒されている人の方が、受ける痛みはずっと多いから、そんなやり方ではたまったものではない、どうせそんな社会では生き延びられないから、周りを巻き込んで一度戦争でもしてぶっ壊してしまえ、という主張だ。asdnof氏とは別人だが、この主旨の主張をコメントではっきり書いた人もいた。
その痛ましさに私などは暗い気持ちになるのだが、そんなところに、本当に「下」かどうか疑わしいブロガーが、「赤木智弘さんは面白い人ですよ」なんて言い出すから、その言論に対する無自覚さに私は唖然とするのだ。そんな人は、赤木氏の言論に煽動された人たちが、先の戦争の時と同じように、日本の社会を一度大クラッシュさせる方向性をあと押しすることに協力しているも同然だと思う。大クラッシュが起きた時、いかにおおぜいの人が犠牲になるか。具体的にどのような事象が生じるか。そこまでの想像力を働かさずして、安易に「赤木智弘さんは面白い人だ」などと口にすべきでない。
みんなで楽しく談笑しながら権力者の悪口を言っていれば日本の政治、日本の社会が良くなるのなら、こんなうまい話はない。しかし、現実はそんな生易しいものじゃない。権力はそんなにお人よしじゃない。水からの主張が批判を受けたら、「自分がやられたらいやだと思うことをやるな」などと、一対一の友人関係と公共の場で政治的言説を世に問うことを混同した泣き言を言う姿勢や、そのナイーブな心性を、私は批判してやまないのである。
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野茂英雄が現役引退を表明した。
私は、1990年以来の「NOMOマニア」だ。新日鉄堺時代から応援していたファンには負けるが、大半の野茂ファンよりファン歴は古いだろう。野茂が入団した近鉄バファローズは、1988年と89年の両年、西武ライオンズと激烈な優勝争いを展開した。1988年、1敗どころか1引き分けでもすれば西武の優勝が決定するという「全勝マジック」が出た状態で近鉄は勝ち続け、最終戦に持ち込んだが、よりにもよって引き分けで優勝を逃した。同点ホームランを打たれたエース・阿波野秀幸は泣きながらグラウンドを引き揚げた。そして、翌1989年には、西武の優勝が決定しようかというダブルヘッダーで近鉄の主砲・ブライアントが4打数連続で本塁打を放って西武を粉砕、マジックナンバーを「1」とした近鉄は、前年の無念を晴らすかのように再び阿波野をリリーフに送って9年ぶりのリーグ優勝を遂げたのだった。勢いに乗った近鉄は、日本シリーズでも巨人に3連勝したが、「巨人はロッテより弱い」と言って巨人をバカにした加藤哲郎の発言が巨人の選手たちを怒らせ、第4戦から4連敗した近鉄は初の日本一を逃した。そして、2004年にオリックスと合併した近鉄は、ついに日本一になることなく球団史に幕を下ろしたのだった(今のオリックスバファローズの存続球団は旧オリックスブルーウェーブであって、旧近鉄バファローズではないはずだ)。
そんな球団にくじで引き当てられてドラフト1位で入団したのが野茂英雄だった。
近鉄バファローズ同様、野茂も浮き沈みの激しい選手で、開幕からしばらくはノーコンがたたってなかなか勝利投手になれなかった。二桁三振を奪いながら、二桁与四球でためた走者をタイムリーヒットで返されて敗戦投手になったりしていた。
翌日、職場で「二桁三振をとりながら、二桁四球を出して打たれ、負け投手になるなんて、野茂は本当に怪物なんだろうか」と言ったら、職場の先輩が「プロらしい選手だ」と感想を漏らした。そして野茂は初勝利を挙げた試合でいきなり当時の日本タイ記録となる1試合17奪三振を記録し、アナウンサーに「野茂はやはり怪物でした」と言わせた。
人のできないことをやる男。野茂は真のパイオニアだった。日本で最後のシーズンとなった1994年の開幕戦(対西武)では、4回までに11三振を奪ってノーヒットに抑え、三振の記録とノーヒットノーランを同時に達成するのではないかと思わせた。結局5回以降奪三振のペースは落ちたが、8回までノーヒット。0対0で迎えた9回表に3点の援護をもらって、さあ大記録と思ったところで清原和博に打たれた。しかも、鈴木監督がリリーフに送った赤堀も打たれて、近鉄は試合にも敗れてしまった。
この試合に象徴されるように、野茂の野球人生は山あり谷ありだった。1995年に渡米した時には、「出る杭は打たれる」の諺通り、野茂はマスコミや近鉄の鈴木監督(当時)から大バッシングを浴びた。野茂は、日本プロ野球にデビューした時と同じように、初勝利までしばらく時間がかかったが、ひとたび初勝利を挙げるとメジャーリーガーたちから三振の山を築き、オールスター戦で先発するまでに至り、日米に多数の「NOMOマニア」を生んだ。前年のストライキで人気を落としたMLB(メジャーリーグベースボール)の救世主とまで言われ、数ヶ月前に野茂をバッシングしていたマスコミは、掌を返すように野茂をほめあげた。そんな中、鈴木監督だけは苦虫を噛み潰していた。
野茂は1996年にノーヒット・ノーランを記録したが、98年には故障が元になった不振を理由にドジャースを放出され、移籍先のメッツでも良い働きはできなかったため、翌99年はマイナーからのスタートとなった。しかし、ミルウォーキー・ブリュワーズで復活し、地元で大人気を博した。野茂はデトロイトを経て2001年にはボストン・レッドソックス入りし、ここでもノーヒット・ノーランを記録。2002年には古巣ドジャースに戻って、翌03年にかけてエースとして活躍した。2002年には大投手ランディ・ジョンソンと投げ合って、自ら決勝二塁打を放って勝ち、2003年の開幕戦でも再び対戦したジョンソンに投げ勝って完封勝利を飾った。同年には、ジョンソンとともにアリゾナ・ダイヤモンドバックスの二枚看板といわれたカート・シリングとの息詰まる投手戦を制したこともある。しかし、この年のオフの手術からなかなか回復せず、翌年の不調で再びドジャースを解雇され、2005年にタンパベイ・デビルレイズで日米通算200勝を挙げたのだった。
それでも2003年オフの手術の影響からか、野茂は本格的な復活には至らず、05年途中にタンパベイを解雇されると、以後今年に入ってメジャーのマウンドに復帰するまでに1000日を要した。その間ベネズエラで投げたりもした。やっとこさメジャーのマウンドに戻った野茂だったが、全盛期からはほど遠い投球で、登板しては打ち込まれ、カンザスシティ・ロイヤルズからの解雇もやむなしだった。
野茂は2003年に「NOMOベースボールクラブ」を立ち上げ、野球部の廃部が相次ぐ日本のアマチュア野球界の再活性化にも心を砕いた。
誰もが予想できないことをやり遂げる男だった。そして、何よりもリスペクトに値するのは、得意の絶頂にあっても驕らず、失意のどん底にあっても悪びれないその生き方だ。「自己責任」とは名ばかりで、階級の固定化を狙いとしている新自由主義の世界と違って、真に「自己責任」が求められる世界で生きた男のすがすがしさが、そこにはある。
野茂英雄の引退によって、一つの時代が終わった。
※野茂英雄公式ウェブサイト
http://ballplayers.jp/nomo/
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私はこの記事を読んでいないし(当地ではまだ読めない)、『週刊新潮』のことだからいい加減な飛ばし記事なのかもしれないが、自民党政権がいよいよ終わりに近づいてきたことだけは間違いなさそうである。
しかし、本当だったらとっくの昔に歴史的役割を終えていたはずの自民党政権を延命させてきたのは、コイズミの「カイカク詐欺」もさることながら、創価学会?公明党が選挙で自民党候補の票を上積みしてきたことは絶対に見逃せない。それも、70年代頃の公明党の主張とは正反対の、政治思想的には安倍晋三に代表される国家主義、経済思想的にはコイズミ?竹中平蔵に代表される新自由主義を前面に打ち出した、自民党政権史上でももっとも酷薄なコイズミ?安倍時代を支えた公明党の悪行は、どんなに非難しても非難しつくせるものではない。
かてて加えて、政教分離が全くなされていない創価学会?公明党の内部には、批判者を許さず、「水伝騒動」の「共感強要派」どころではないすさまじい同調圧力があり、ひとたび裏切り者とみなされたが最後、生命の安全さえおびやかされる目に遭うという(注)。
たとえばさる6月25日に、元公明党委員長・矢野絢也氏が東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見を行い、5月12日に創価学会と同会幹部7人に対して民事訴訟を提起した経緯について説明した。
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080626/26778
『オーマイニュース』に掲載された上記URLの記事には、「創価学会は「反社会的」「人権蹂躙」団体だ」というタイトルがついているが、この記事で取り上げられた矢野絢也氏は、『文藝春秋』8月号に「創価学会が脅えた私の「極秘メモ」」と題した記事を発表した。
私はこの記事を読んだが、ナベツネ(渡邉恒雄)がよく描く、戦後間もない頃に「極左冒険主義」をとった頃の共産党かと思わせる、おそるべき内容だった。
矢野氏は、一時政治評論家としてしばしばテレビで姿を見かけたが、最近とんとご無沙汰だ。その理由は創価学会に脅迫されていたからだった。1993?94年に『文藝春秋』に発表した矢野氏の手記が、12年後の2005年になって学会ににらまれ、矢野氏は創価学会の青年部によって「査問会」同然の吊るし上げを食った上、その翌日に矢野氏の自宅を訪れた3人の元公明党議員によって機密事項が多数記された手帳を持ち去られたという。
この件をめぐっては、3人の元公明党議員が、矢野氏およびこの件を報じた『週刊現代』と出版元の講談社を名誉毀損で提訴したが、矢野氏のほうも手帳の返還を求めて提訴を行った(いずれも2005年)。
一度は創価学会に謝罪し、マスコミでの政治評論活動をやめた矢野氏も、創価学会との闘いを始めたのである。
矢野氏は書く。
なぜ、私がそこまで謝罪したり、大切な手帳を無理矢理にであれ持ち去られたりしたのか。不思議に思われる方もいるかもしれない。私は過去にもおいて、創価学会、公明党による造反者、敵対者への誹謗中傷がいかに執拗かつ激しいものであったかを身をもって体験しているのだ。とりわけ、私の前任公明党委員長だった竹入義勝氏、元創価学会顧問弁護士の山崎正友氏、日蓮正宗前管長の日顕師、元公明党都議会議員の藤原行正氏への攻撃はすさまじく、『聖教新聞』などで連載記事、特集記事を組んでは批判を継続し、およそ宗教団体、宗教人の発言とは思えないような口汚い誹謗中傷を掲載していた。
この四人に対しては、学会の会合においても誹謗中傷は日常的であった。呼び捨てにし、指名を書いた紙を仏壇に置き、彼らを悪、学会を正義としてあたかも呪い殺さんばかりの祈りをするように会員に指導していた。また、会合における会場の出入り口の床に、彼らの名前を書いた紙を置いて土足で踏みにじらせるなど、常識では考えられないやり方で、会員の憎悪心を掻きたてていた。これは私が直接目撃したことである。このような人身攻撃は、それに連鎖、連動する学会離れ、造反を未然に防ぐための見せしめであった、といえよう。
(『文藝春秋』 2008年8月号掲載 矢野絢也 「創価学会が震えた私の「極秘メモ」」より)
なんともすさまじい話だが、ことに日蓮正宗の日顕師に対する攻撃は昔から有名だから、ご存知の方も多いと思う。竹入氏らを口汚く罵っている例もネット検索すれば見つかるが、あえて紹介はしない。ただ、それらを見ていると、創価学会が統一協会や日本会議、それに「独立党」などとなんら変わらないカルト集団であることが確信できると思う。
これらの勢力は、政権交代が近いと見ると、民主党にすり寄るし、民主党のほうもいまいち自らの力に自信を持ちきれないのか、各勢力に色よい反応を示したりする。2003年の総選挙や2004年の参院選で民主党が党勢を伸ばしたとき、菅直人らが公明党に誘いをかけるようなコメントをするのを見て、おいおい、ちょっと待てよと焦ったことを思い出した。ましてや、小沢一郎はかつて公明党を吸収して新進党を結成したことがある。
しかし、歴史的に見ると公明党と組んだ勢力はすべて没落していっている。1980年の社公合意で、それまでの全野党共闘路線から公明党重視に舵を切った社会党、前記の新進党、それに現在の自民党などである。組織内に言論の自由のない宗教政党と組むことは、言論の自由の確保が何より大事なはずの政党にとっては自殺行為だ。
そう、創価学会と公明党の間に政教分離は果たされておらず、竹入義勝氏や矢野絢也氏はそれを明言したために創価学会?公明党ににらまれ、激しい個人攻撃を受けることになった。
政権をとるためにどんなに数合わせしたくなっても、カルトとだけは手を結んではならない。
(注) 当エントリで紹介した矢野氏の記事によると、学会首脳が第三者を使って藤原行正氏の暗殺を計画しているとして、藤井富雄都議会幹事長が矢野氏の自宅を訪れて、暗殺計画の「取りやめ」を要請したとのこと。矢野氏は、暗殺依頼の真偽については記述を保留している。
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それもそうだろうな、と思う。ブログをやっていてさまざまな話題を取り上げていると、話題によってアクセス数やコメント・トラックバック、それに「拍手」や「はてなブックマーク」の数が変わる。
環境問題を取り上げたエントリは概ね反応が少なかった。読者の関心が低いことがうかがわれる。だから、福田内閣の支持率がサミット前後でほとんど変わらなかったことには、さもありなんという感じだ。
このように、「最後の自民党政権」ともいわれる福田内閣の支持率は低空飛行を続けているのだが、それにもかかわらず、「リベ平(リベラル・平和系)ブログに風が吹いていない」という声が聞かれる。多くのブログでは、アクセス数が減少傾向にあるようだ。
当ブログも例外ではない。5月と6月はいずれも前の月よりアクセス数が減少したが、2か月連続で前月よりアクセス数が減ったのはブログ開設以来初めてだ。しかも、7月に入ってもアクセス数減少傾向は続いており、3か月連続の減少になる可能性もある。
4月から5月にかけては、映画『靖国 YASUKUNI』に稲田朋美が圧力をかけた件があり、一般公開が憲法記念日にずれ込み、大きな話題となった。実は当ブログ管理人は連休を利用して上京し、一般公開初日にこの映画を見たのだった(映画評は5月19日付と5月20日付で公開)。
4月末には衆院の山口2区補選があり、当初民主党の平岡秀夫の苦戦がいわれていたが、4月15日から運用が開始された後期高齢者医療制度が自民党を直撃し、補選は平岡氏の圧勝に終わった。
この頃が、リベラル・左派系ブログに追い風が吹いていた時期だ。その後はむしろ逆風が吹いている。
アメリカが北朝鮮のテロ支援国家指定解除を打ち出すと、これに反発する右翼の声が目立つようになり、リベラル・左派系とされる人たちの中にもこれに同調する人たちが少なくない。加藤紘一の発言が袋叩きにされ、加藤が釈明を余儀なくされたりもした。
民主党の支持率も、じわじわと下がっている。暫定税率の問題も、ブログでは不人気な話題だった。もともと当ブログは民主党がこの問題にご執心だったことを好まず、あまりこの件を取り上げなかったが、たまに取り上げても反応は鈍かった。この問題を熱心に扱っていたブロガーも、この件はあまりアクセスを集めないと言っていた。
ブログにアクセスを集めたのは、先にも書いたが後期高齢者医療制度であり、映画『靖国』問題だった。国民は、経済政策においては社会保障の充実を求め、政治思想的にも平和を求める傾向が強まってきているように思う。つまり、本来なら「リベラル・左派」にもっと風が吹いてもおかしくない状況なのだ。
しかし、現状は必ずしもそうではない。それは、野党第一党である民主党が徐々に右を向き始めていることと関係はないのか。そんな疑念が頭をもたげる。
たとえば、『日本がアブナイ!』は、加藤紘一が民主党の政策を批判するコメントを発したことを残念がっているが、民主党は自民党のリベラル勢力よりも、極右の平沼赳夫一派の方に色よい反応を示したりしている。
これは、小沢一郎の指向性と関係すると思われ、私にとっては面白くない話だが、どういうわけかリベラル・平和系とされるブログで、もちろん共産党系や社民党系は別だが、これを問題視するブログは驚くほど少ない。前記『日本がアブナイ!』が平沼赳夫を「安倍っち仲間」と揶揄しているのが目立つほか、『「猫の教室」 平和のために小さな声を集めよう』 や 『フンニャロメ日記』 が平沼一派に対してネガティブなスタンスをとるが、「左右共闘」を是とするブログの方が主流だ。
そして、「左右共闘」を容認するブログに共通する傾向として、陰謀論や疑似科学に親和性が高いことがあげられる。特にひどいのがそういった左派系ブログと提携している右派民族主義系ブログで、そのうちの代表的なものを見ると、陰謀論で有名なベンジャミン・フルフォードや、「ユダヤ陰謀論」を公言するレイシストであるリチャード・コシミズ、それに城内実のオフィシャルページへのリンクが張られている。
リチャード・コシミズというと「ユダヤ陰謀論」を教義、もとい党是とする「独立党」の党首だが、現在同党はひどい内紛を起こしており、当ブログにTBいただいた『たんぽぽのなみだ?運営日誌』がこれを取り上げている。この記事を読むと、コシミズなる人間がまともな神経を持っているとは思えず、こんなカルト集団のブログにリンクを張るようでは、かつて統一協会系の大会に祝電を送った安倍晋三を笑えない、というより安倍と親密な平沼赳夫一派と親和性が高いのもわかろうというものだ。
私には、『日本がアブナイ!』のような感覚が健全で、某『神○の○』のような感覚は異常としか思えないのだが、著名な学者や元外交官がそちらになびけば、それに簡単につき従ってしまうブログ言論は、それこそ「アブナイ!」としか言いようがない。
頭が痛いことに、これから国政にかかわろうという人たちや、これまで国政について報道してきたジャーナリストまで、そんな傾向に流されているように見える。彼らに影響力を持っている人たちには、何とかしてよ、とお願いしたいところなのだが、なかなかそうもいかないのだろうか。
頭痛の種が尽きない今日この頃だ。
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『文芸春秋』 8月号に掲載された、湯浅誠が書いた「貧困大国ニッポン ?ホワイトカラーも没落する」を読んだ。読んで、反新自由主義の論壇の中心テーマが、「年次改革要望書」あたりであった時期はとうに過ぎ、格差と貧困の拡大を一刻も早く止めなければならない段階に達したことを痛感した。
幸運なことに、私自身は読みたい雑誌や書籍を買うことも、ほぼ毎日ブログを更新することもできる恵まれた立場にいる。しかしそれでも一昨年より昨年、昨年より今年と、年々生きづらさを感じるようになっているし、雨宮処凛が『生きさせろ!』 (太田出版、2007年)で描いたワーキング・プアの悲劇の一つとそっくり同じ事件が、私の身近なところで起きたりもした。
すさまじい勢いで格差が拡大し、貧困に面する人たちが急増しているというのは、それこそ皮膚感覚で知るところだ。
新自由主義者は、今の日本社会で格差が拡大しているデータがあるのか、それを示せとか、加藤智大が起こした「秋葉原事件」を新自由主義(コイズミカイカク)と結びつけるのは良くない、などと言うのだが、そんなことを言う人たちは、自分がいかに恵まれた立場にいるかを自覚していないのだ。
例の「水伝騒動」も、ブログ言論に蔓延するポピュリズムや陰謀論、疑似科学などの対決という意味では、絶対になされなければならなかったバトルだったと思うが、格差や貧困の問題を盾にとって、互いに争うべきではない人間同士が争うことになってしまうと、百害あって一利なしだ。「水伝騒動」第一幕においては何の意味も持たなかったどころか欺瞞でさえあった「真の敵を見失うな」という言説が、ここにきてリアリティを持つようになった。
また、「水伝騒動」第四幕(現在の段階)で展開されそうになったあるバトルの構図は、一昨日のエントリで取り上げた、かもがわ出版の新雑誌『ロスジェネ』における赤木智弘と浅尾大輔の討論の構図とも重なり合う。
当ブログは、「ひっぱたく相手が違うんじゃないか」という浅尾大輔の立場を支持するが、「リベラル・左派」の人たちの中には、安易に赤木智弘の言説にコミットする人間も少なからず存在する。私には、赤木の主張は安易なエピゴーネンを受けつけない厳しさを持っていて、下手に接近したら大怪我をするとしか思えない。へらへら笑って揉み手をせんばかりに赤木智弘に接近して共感を表明する一部のブロガー(=ブログを書く余裕を持っている人間)の神経が、私には理解できない。
湯浅誠は、「勝ち組などどこにもいない」と書く(『文藝春秋』 2008年8月号96?98頁)。大企業などで働く収穫的正規労働者は勝ち組か、というとそうではない。東京都の調査では、正社員の平均年収は530万円で、契約社員と比べて200万円近くも高いが、湯浅は「正社員=勝ち組」という構図は大嘘だと考えていると書く。
と湯浅は書くが、その通りだと私も思う。普通に働いていてはこなせないほどのノルマを課せられ、長時間のサービス残業を余儀なくされる。そこに、処遇に不満を持つ非正規社員とともに働くというストレスも加わるのだ。
その結果として、ホワイトカラーのうつ病や過労死、自殺などによる労災認定は、過去最高数を記録している。しかも非正規労働者の低賃金に引っ張られて、正社員の給与も抑えられている。これでも彼らが勝ち組だといえるだろうか。
(『文藝春秋』 2008年8月号掲載 湯浅誠「貧困大国ニッポン」より)
湯浅は、小泉改革と安倍晋三の「再チャレンジ」を厳しく批判している。当ブログでも再三書いていることだが、日本がかつて「福祉国家」であったことは一度もない。国の貧弱な社会保障を補ってきたのが企業、家族や地域社会だったが、「コイズミカイカク」はそれらを破壊してしまったのだ。
小泉政権による構造改革は、もともと薄い社会保障費をさらに薄く削ぎ落とすものだった。これでは貧困が蔓延しないはずがない。2002年度に3千億円が削減され、その後も毎年2千百億円ずつが抑制されていった。そして2006年の「骨太の方針」で「5年で1兆1千億円削減」が決定された。今なお「セーフティネット撤去工事」は進行中である。
(『文藝春秋』 2008年8月号掲載 湯浅誠「貧困大国ニッポン」より)
今なお「セーフティネット撤去工事」は進行中である、というのは本当にその通りで、自民党の政治家たちはそれを公言している。嘘だと思うなら、NHKの『日曜討論』などが社会保障問題を取り上げる時に、自民党の政治家が何を言っているかを注意して聞くが良い。福田首相が多少「カイカク」色を薄めようとしたところでその影響はほとんどなく、現政権もその前の安倍政権も、まぎれもなく「コイズミカイカク」路線をひた走ってきた。
湯浅誠は、どういった福祉予算が具体的に削られたかについて書いているので、『文藝春秋』を直接ご参照いただきたい。
コイズミのあとを受けた安倍内閣は「再チャレンジ支援総合プログラム」を打ち出したが、この冒頭には、「達成すべきもの自体を直接付与するような施策も考えられるが、再チャレンジ支援策としては位置づけないこととする」と書かれており、要は金銭付与による直接的な支援は何もしませんよ、と最初から宣言している。
だから安倍晋三にはコイズミカイカクへの歯止めなど全くかけられなかった。というより、無邪気な安倍は、新保守主義と新自由主義の幸福な結婚を夢見ていたフシさえある。
安倍自民党の参院選惨敗を受けて成立した福田康夫内閣は、外交・安全保障政策、経済政策でともにマイルドな方向に舵を切りたいと思っているのは感じられるのだが、ネオリベに染め上げられた自民党がそれを許さない。
これ以上の貧困の進行を一刻も早く止めることは、今の日本における最大の課題だと私は考えるのだが、残念ながら現在の自公政権にはそれはできない。「コイズミカイカク」に縛られすぎているからだ。
最後に、湯浅の論文の結びの章「「気づけない貧困」が足元に」から一部を抜粋、引用して本エントリを締めくくりたい。
まだ私たちの生活相談には姿をあらわしていないが、いま確実に存在し、将来浮上していくだろう新しい貧困層がある。それは、「気付けない貧困」者たちだ。その層は、上場企業をも含む企業の正規社員やホワイトカラー層にも及んでいると推測される。
(中略)
これまで政府や経済界は、目先の利益のために、長期に渡って日本社会からセーフティネットを削減し続けてきた。それはもはや限界に達し、貧困ラインはいよいよホワイトカラー、中流層に迫りつつある。繰り返すが、「貧困」は単なる経済問題ではない。日本社会そのものが崩壊の危機に瀕しているのである。
(『文藝春秋』 2008年8月号掲載 湯浅誠「貧困大国ニッポン」より)
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東日本ルートが今日出発式とのことで、西日本はどうなのだろうと思ってネット検索したら、日本共産党の福津市議会議員・松尾ひとみさんのブログ記事(下記URL)が引っかかり、それで知った次第だ。
http://hitomi3.blog65.fc2.com/blog-entry-1052.html
ルートは、下記のポスターに記されている。

(↑クリックすると画像が拡大します)
下記のようなスケジュールが組まれているのでお知らせする。
- 7/12? 福岡
- 7/16? 熊本
- 7/20? 長崎
- 7/24? 佐賀
- 7/29? 鹿児島
- 8/3? 沖縄
- 8/9? 宮崎
- 8/13? 大分
- 8/18? 愛媛
- 8/22? 高知
- 8/26? 徳島
- 8/30? 香川
- 9/4? 岡山
- 9/8? 広島
- 9/12? 山口
- 9/16? 島根
- 9/20? 鳥取
- 9/25? 兵庫
- 9/29? 京都
- 10/3? 滋賀
- 10/7? 奈良
- 10/11? 和歌山
- 10/15? 大阪
- 10/19? 東京(東日本ルートと合流)
(東日本のほうのスケジュールも、画像から読み取れますので、東日本在住のブロガーの方、どなたか表にしていただくと助かります)
[追記]
東日本ルートのスケジュールは、ooaminosoraさんのブログ 『フンニャロメ日記』 が表にして下さいました。東日本在住の方は、同ブログのエントリ「「反‐貧困全国2008キャラバン」東日本ルート」(下記URL)をご参照ください。
http://funnyarome.blog82.fc2.com/blog-entry-199.html
以下は、貧困関係の雑誌記事、書籍の情報。いずれも当ブログ管理人が昨日購入したもの。
『文藝春秋』の8月号に、湯浅誠さんの「貧困大国ニッポン ?ホワイトカラーも没落する」が掲載されている。
また、昨年12月にNHKテレビで放送され、大きな反響を呼んだ『ワーキングプアIII』が書籍化された。
![]() | ワーキングプア解決への道 (2008/07) NHKスペシャル「ワーキングプア」取材班 商品詳細を見る |
当ブログでは、番組評を昨年12月17日に公開した。
「「ワーキングプアIII」(NHK)とその関連の話題」
(2007年12月17日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-528.html
この本は、番組を見逃した方には特にオススメだし、見た方も本を読むと番組の記憶が鮮やかによみがえってくることと思う。
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http://www.cyzo.com/2008/06/post_606.html
上記『サイゾー』の見出しは、「リベラルはもう受けない!?」などとなっているが、『論座』がそもそもリベラルといえるかどうか私は疑問に思っている。別に薬師寺克行編集長が改憲派だと明言しているから、というわけではなく、方向性がはっきりしない雑誌だという印象があった。
その『論座』がここ数年で注目されたことというと、一昨年2月号に掲載された、靖国神社問題に関する読売新聞の渡邉恒雄会長・主筆と朝日新聞の若宮啓文論説主幹(当時)との対談記事と、昨年1月号に掲載されて一大センセーションを巻き起こした赤木智弘の「「丸山真男」をひっぱたきたい:31歳フリーター。 希望は、戦争。」だろう。
ナベツネと若宮氏の対談に先立って、読売新聞は靖国神社への総理大臣の公式参拝に対する社論を、それまでの肯定的な立場から否定的な立場へと転換した。そのことからも話題になった対談で、普段発行部数の少ない『論座』はこの号はよく売れて購入できなかった。しかし、のち朝日新聞社からこの時の対談をまとめた本が出版され、これを購入して読んだ。当ブログは、一昨年7月19日付のエントリ「ナベツネと靖国と安倍晋三と(その2)」でこの本を紹介したが、その翌日、日経新聞が「富田メモ」をスクープしたのにはビックル一気飲みだった。私は、あの日経のスクープにもナベツネが一枚噛んでいたのではないかと今でも思っている。
「「丸山真男」をひっぱたきたい」の載った号も買えなかった、というか、これが話題になっていると知ったのはしばらく遅れてからだった。その後、この論文をフォローした特集の載った号などは購入したのだが。
赤木智弘を発掘した『論座』の休刊がささやかれる中、かもがわ出版から「超左翼マガジン」と銘打った『ロスジェネ』が創刊され、「右と左は手を結べるか」と題した特集を組んでいる。
私はこれを知ったのもずいぶん遅く、東京に出張した時に書店で目にしてはじめて知った。私の住む地方都市では見かけたことがなかったので、急ぎ購入した次第だ。
当ブログは最近、「極右とリベラル・左派の提携」を批判する論陣を張っている。だから、この特集は見逃せなかった。雑誌には赤木智弘と浅尾大輔の対談が出ていたり、元反米右翼で現在では「左翼」と目されている雨宮処凛の記事も出ている。
だが、私はまだそれらを読んでいない。このエントリを書き上げたあと読み始めると思うが、それまでに独断と偏見を書いておくことにする。
かつては自民党を左から割った新自由クラブと社会党を右から割った社会民主連合(当初は社会市民連合)が国会で共同会派を組むなど、右と左のうち「真ん中に近い勢力」が手を組むのが当たり前だった。世間一般からは評判の悪い1994年の「自社さ」政権もその試みだった。
しかし、この「真ん中」たちはいかんせん、格差拡大や貧困に鈍感なのだ。それは、一昨年の総裁選で安倍晋三や麻生太郎と自民党総裁選を争った谷垣禎一が、今熱心な消費税増税論者であることに象徴される。猛烈な勢いで貧困に直面する国民が増えている現在、消費税増税を唱えるなど愚の骨頂。国民生活は徹底的に破壊されてしまう。だが、ことに自民党の「リベラル」たちはいたって鈍感だ。
むしろ、過激な新自由主義をとって企業減税を行ない、消費税は当面上げないとする「上げ潮派」の方がさしあたっては害が少ないくらいだ。ただし、新自由主義は基本的に産業、特に製造業にダメージを与えるものなので、彼らの期待したほどの税収は上がらず、それでも彼らはドグマに従って法人税や所得税の増税は行わない。だから、いずれ必ず消費税の大増税がある。「増税派」との違いは、消費税増税の時期が早いか遅いかだけである。
そんなワケで、自民党で「リベラル」とされる谷垣らにしても、中川秀直ら新自由主義勢力にしても、ともにその経済政策はろくなものではない。それに対して、自民党から弾き出された民族主義的右派の人たち(平沼赳夫や城内実ら)は、郵政解散・総選挙後は「反米」に傾いており、それが従来からの「反中」「反韓」「反北朝鮮」と相俟っているのだが、その経済政策は比較的「弱者救済」に傾いている。城内実が特に顕著な例だが、彼のオフィシャルページを見ると、市場原理主義に反対し、社会保障の充実を訴え、食料自給率の向上を求めている。まことにもっともな主張で、社民党の政治家かと見紛うばかりだ。その城内は、外交・安全保障問題に関しては強烈なタカ派で、歴史認識について問題大ありの発言をしており、下記ブログ記事でも痛烈に批判されている。
http://d.hatena.ne.jp/hagakurekakugo/20071202/p1
だが、現在の日本のひどい状況は、それこそ「国民の生活が第一」であって、いくら外交・安全保障政策がマイルドなハト派でも、国民生活を顧慮しない谷垣禎一のような政治家は支持されなくて当たり前なのだ。「左」側はともかく、「右」側のリベラルは、お公家様の宏池会系政治家がその中心にいるせいか、格差・貧困問題に対して鈍感すぎる。だから、平沼赳夫一派のような「極右」が増長するのだ。
平沼ら「極右」は、「反米」「反中」「反韓」「反北朝鮮」を唱えて日本を孤立化させ、それはおのずと軍事力を強化せざるを得ない方向へと向かって、結局彼らの政策によっては、城内実の唱えるような社会保障の充実などできっこないと私は考えているのだが、「保守リベラル」が格差問題に鈍感すぎる現状はいかんともしがたい。
「保守リベラル」の方々には、「一刻も早く目を覚まして現実を直視せよ」と言いたい。
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日本で行われるサミットを報道する時、日本のマスコミが普段の政権批判の姿勢を棚に上げてサミットに出席する総理大臣を持ち上げる報道をするのは今に始まった話ではなく、日本で最初に開催された1979年(東京サミット、大平正芳首相が議長)の頃からの伝統だ。東京サミットを前にした朝日新聞の見開きの特集記事で、「大平さん がんばれ」だったか「頑張れ大平さん」だったか、そんな大見出しが踊っていた記憶がある。
で、今回もマスコミはサミットの成果を強調する。そして、日本が高度の環境技術を有しており、世界から期待されていると伝える(たとえば下記URLの毎日新聞記事)。
http://mainichi.jp/select/biz/news/20080710k0000m020124000c.html
しかし、昨日のエントリで紹介した飯田哲也氏が『日経エコロミー』に公開した論考の数々を読むと、日本が環境エネルギー工学の先進国だなんて、とんでもない思い違いではないかと思えてくるのである。
たとえば、4月16日付の「世界は「ルック・ドイツ」(上)」を読むと、飯田さんは
と主張している。ドイツは、1997年の京都会議の時点で世界最大の風力発電国になったのをはじめ、太陽光やバイオマスなどの風力以外の自然エネルギーの普及も図っている。日本では、先週のテレビ朝日『サンデープロジェクト』もそうだったが、ドイツの大幅な二酸化炭素削減は、京都議定書が1990年を基準年としており、旧西ドイツが経済発展の遅れていた東ドイツを併合したための棚ボタ効果のおかげだ、などとマスコミが宣伝しているが、飯田さんによると自然エネルギー導入の寄与度が圧倒的に大きいとのことだ。経産省と環境省はともに英国政府と密接にやっているが、英国の環境エネルギー政策は必ずしも十分な成果があがっておらず、太陽光や風力、バイオマス、太陽熱などはそれほど普及していない。
製造業を基盤とする経済大国として、日本はドイツを参考にすべきだ。
ドイツは自然エネルギー導入の資金はどう調達しているのか。以下『日経エコロミー』の記事から引用する。
■自然エネルギーの導入資金、地域住民が拠出
――ドイツは自然エネルギー導入の資金はどう調達しているのか。
ドイツでは、自然エネルギー事業の90%以上が地域によるオーナーシップだ。たとえばドイツの養豚農家が風車を作り始め、いまや35基のオーナーで年商5億円を計上している例もある。ところが日本で同じ100億円規模の風力発電のウィンドファームを建設しても、地域には、固定資産税と地代が1億円くらいしか落ちないだろう。この違いは大きい。
なおかつ、その建設資金は一般の人がエコファンドを通して出資することができる。最近売り出したファンドは、5%複利で20年間元本保証。20年後に2.5倍になって戻ってくる。
そのお金はまっすぐ太陽光とか風力に向かい、20年間に渡って、クリーンなエネルギーを生み出し続ける、真のエコファンドといえる。日本のエコファンドは、様々な企業の株や債権を買い集めるだけで、お金の働きとして本当にエコかどうかわからない。
ドイツでは年度末の12月に1年間貯金して年金代わりにエコファンドに投資する。こうしたエネルギー自給向上→CO2削減→産業形成→雇用創出→地域活性化→マネーのグリーン化という、自然エネルギーを巡る好循環が広がっている。そういう世界がわずか10年余りで出現したのだ。
さらに、これに税金は1円も使われてない。電気料金で全員が平等に負担する仕組みで、1カ月1世帯1.7ユーロ、250円くらいの負担ですむ。購買力平価で200円くらい。1世帯3人としても1人100円未満で実現できてそれだけのメリットがある。
私はドイツと同じ法整備を10年前に目指した。超党派議員270人の議員立法として、自民党以外の政調を通ったが、自民党だけが反対して成立しないまま廃案になった。
今日のように、時代の後押しがあれば、日本でも実現するのではないか。
(『日経エコロミー』 2008年4月16日付 飯田哲也氏へのインタビュー記事より)
赤字ボールドはブログ管理人による。自民党を批判するのであればこういう視点から環境エネルギー技術に消極的な同党や日本の経済界を批判すべきなのではないか。一個の仮説に過ぎない「地球温暖化陰謀論」を無批判に受け入れる反知性的な姿勢からは、何も生まれないと思う。
さらに飯田さんは、「日本の環境エネルギー政策は世界標準の「三周遅れ」」とまで批判する。この記事からも引用する。
――何がだめなのか。
エネルギー政策の無策に尽きる。
気候変動では鉄、エネルギー政策では電力産業が抵抗勢力になっている。さらにいうと、経産省が既得権益を擁護するスタンスになっていることも問題だ。
その背景の1つは、10年前からの電力自由化をめぐるバトルがある。経産省の改革派は電力自由化によって市場メカニズムを機能させようとしたが、現状の独占体制を維持したい電力業界に敗れた。電力自由化を表明した現職の通産大臣が2名も選挙で落選し、電力業界の力を見せ付けた形となった。2004年に、電力市場の自由化と原子力政策の合理化を巡って最後のバトルがあったが、その両方で経産省は敗れた。それ以来、こうした状態が続いている。
さらに経産省は、改革派であれ、既得権益派であれ、反京都議定書というイデオロギーは共通なので、環境省とは、ずっと対立が続いている。とくに現状は、既得権益のエージェントが、政府を二分しているのだ。
■日本が省エネ大国、実はウソ?
――そのような状況で日本は温暖化対策が主要議題の洞爺湖サミットを乗り切れるのか。
無理でしょう。日本から出てくるのは既得権益を代弁する「セクター別アプローチ」や原子力・省エネだけ。既得権益を脅かす新エネはない。
なお、省エネはもちろん重要なのだが、タテマエ社会の日本でよくあるように、真面目に取り組むつもりなのではなく、厳しい義務を避けるための方便でしかない。実際に、日本は省エネ先進国と声高に自慢しているが、実態はまったく違い、日本が省エネ大国というのはフィクションだ。
(『日経エコロミー』 2008年4月23日付 飯田哲也氏へのインタビュー記事より)
飯田さんは、世界各国のエネルギー消費量を購買力平価で比較すると、日本はアメリカよりは良いがEUと同じくらい、さらに部門別で見ると、産業部門の比較では、日本はEUよりも悪く、米国と変わらないくらい。日本は民生部門、とりわけ家庭部門のエネルギー消費量の少なさと交通部門の少なさが、産業部門のエネルギー消費量を打ち消して、エネルギー消費全体では、一見、省エネに見えるだけだ、と指摘する。
もと原子力技術者として出発しながら、現在では「脱原発」の立場に立つ飯田さんは、日本の原子力政策も痛烈に批判する。
原子力政策も実態とまったく乖離している。原子力に携わっている人たちのアタマの中には依然として鉄腕アトムがいる(笑)。自分たちは、ハイテクで優秀な技術者が管理していると思いこんでいるが、夢を見ているだけ現実が目に入らず、足元が崩れ始めているのに気づいていない。六カ所再処理、柏崎刈羽地震の影響と対応、耐震設計、活断層調査、あるいはJCO臨界事故、もんじゅ事故、トラブル隠し事件など、すべてに渡ってそうだ。
(『日経エコロミー』 2008年4月23日付 飯田哲也氏へのインタビュー記事より)
まことにお寒い限りだが、政府の環境・エネルギー政策を批判する側が、「地球温暖化陰謀論」しか持ち出せないようでは、議論にもならない不毛な状態が延々と続き、政府の政策を変えさせることなど全くできないだろう。「リベラル・左派」を標榜する政治ブログが、いつまでもそんな状態にとどまることは、決して望ましいこととは私には思えない。
もっと地に足がついた環境・エネルギー政策批判が望まれる。
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20年ほど前、まだ公明党が連立政権に加わるずっと以前には、しばしば『潮』を立ち読みすることがあったが、公明党が右傾化するにつれ、立ち読みはしなくなったし、公明党が自民党と組むようになってからは、『潮』なんざ手にとることさえなくなっていた。だから、この雑誌を購入するのは今回が初めてである。
特集は、下記の5本の記事からなる。
- 特別インタビュー 世界が注目するフィンランド流「人づくり」(ヨルマ・ユリーン/駐日フィンランド大使)
- 社会全体で支えあう安心の社会保障 (橘木俊詔)
- 「自ら学ぶ」子どもを育てる教育で学力世界一へ (福田誠治)
- スウェーデンのエコライフは日本の“未来予想図” (飯田哲也)
- “不戦”を貫くスウェーデンの平和外交 (池上雅子)
冒頭の駐日フィンランド大使へのインタビューでは、いきなり、フィンランドの成功の秘訣は規制緩和にあったとか、フィンランドにおける郵政民営化に言及されていたりして、フィンランドは新自由主義国かと錯覚させられる。さすがは創価学会系の雑誌だと妙な感心をしたのだが、実際にはフィンランドはスウェーデンやデンマーク、ノルウェーと比較すると国民の税負担は少ないものの日本よりはずっと多い一方で、社会保障は充実しており、福祉国家といえる。また、下記のブログ記事
などを読むと、同国の郵政民営化によって著しくサービスが低下したことがうかがわれる。フィンランドにおいても、郵政民営化は成功したとは言いかねるようである。『旅する物理屋』より 「フィンランドの郵便事情 suomin posti」 (2005年9月7日)
http://suomi.blog6.fc2.com/blog-entry-176.html
『潮』の特集で2番目に掲載された橘木俊詔氏の記事を読むと、
と書かれている。北欧でも七割の税金と社会保障料を取られることに不満を言う人は絶対にいます。だから政権が社民党から保守党に移ることもある。
しかし、政権が移っても、どの国よりも福祉のサービスは充実していなければならないという信念がある。
(中略)保守党でも他の国よりも高い社会保障は認めているわけです。社民党は更なる福祉の充実を目指す、という立場になるのです。
(月刊『潮』 2008年8月号掲載 橘木俊詔 「社会全体で支えあう安心の社会保障」より)
さて、この『潮』の北欧特集でもっとも私の心をとらえたのは、NPO法人環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也(いいだ・てつなり)氏が書いた「スウェーデンのエコライフは日本の "未来予想図"」という記事だった。
飯田氏は1959年山口県生まれ。京都大学工学部と東京大学大学院先端科学技術研究センターで原子核工学を学び、原子力の研究開発に携わっていたが、80年代末にスウェーデンのエネルギー政策に関心を持つようになった。スウェーデンは、かつては原子力発電を推進していたが、1980年に国民投票で「脱原発」を決めた国だ。飯田さんによると、
とのことだ。(スウェーデンでは原発推進派と反対派の間で)政治的に対立はあってもそこに悪意がないので、議論によって痛みを分かちあいながら誰が見ても納得できる方向を導き出せる。そこが表面上はともかく一枚皮を剥けば依然として推進派と反対派が二項対立している日本と大きく異なります。そこがスウェーデンが成熟した社会といわれるところであり、根本的な信頼感がある国民性と言ってもいいでしょう。
(月刊『潮』 2008年8月号掲載 飯田哲也 「スウェーデンのエコライフは日本の "未来予想図"」より)
スウェーデンはバイオマス(生物性エネルギー資源。主に木くず)エネルギーが人びとの暮らしを支えているが、コージェネレーションを通して作られた電気は欧州全域の電気市場に売ることができ、発電した後に出る熱は地域暖房用に流す。飯田さんは、
と書いている。この地域のバイオマスエネルギーを支える社会システムは日本より10年から30年くらい進んでいるので、いわば手軽なタイムマシーンで近未来に行ったよう。
スウェーデンでは子育てや何かの事情で一度職を退いた女性が社会復帰する際、大学のマスターコースで最新の知識を身につけて管理職に迎えられるケースがごく普通に見受けられるそうだ。飯田さんは、これからは21世紀型の知識社会でなければ立ち行かなくなると思っている、豊かな暮らしとは、お金ではなく生活の質の高さだ、と書く。
日本はどうかというと、すぐに思い浮かべるのは何かというとスウェーデンを目の敵にする日本会議系の極右イデオローグたちだ。彼らにとって北欧、特にスウェーデンはよほど面白くない存在なのだろう。そして、そんな極右勢力とリベラル・左派が手を組もうなどという奇妙な動きがある。
リベラル・左派の間で最近はやり始めているのが「地球温暖化陰謀論」である。仮説を疑うのはもちろんリーズナブルな姿勢だが、それが行き過ぎて、「9・11陰謀論」と同様に、「地球温暖化仮説は明らかな誤り」というドグマ(教義)と化す傾向が顕著だ。これは「反知性」以外のなにものでもない。政権に反対する側が「反知性」に走ってくれれば、権力側にとっては願ったり適ったりだろう。そんな人間を操ることなど、権力にとっては赤子の手をひねるようなものであり、現に「地球温暖化陰謀論」は、経団連にとってはとても都合の良い議論だ。
飯田さんは、
と結んでいる。私もスウェーデンを訪れてみたくなった。機会があったら、スウェーデンを訪れてみてください。わずかな時間でも、成熟した社会、二十一世紀型の知識社会を、肌で感じることができると思います。
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今年3月のマレーシア総選挙で、与党連合「国民戦線」は何とか政権を維持したものの、勝敗ラインとしていた定数の3分の2を割り込む歴史的な敗北を喫した。これに関して、アブドラ首相は「われわれはインターネットでの戦いに敗北した」と述べたというのである。
マレーシアの主要紙とテレビは、一部の中国語紙を除いて与党所有か国営で、政府与党によりコントロールが可能とのことで、それに不満をもったジャーナリストが社を辞めてブログを立ち上げ、新聞で報道できなかった記事を次々と報じて注目を集めた。
インターネットを使いこなしたのが野党陣営だったという。野党・人民正義党のティアン・チュア議員は「我々にはカネもテレビも新聞もない。公約をホームページやメールで訴えるしかなかった。後は彼らがネットで広めてくれた」と語る。
総選挙では、ネットやブログを「落書き」などと馬鹿にする発言を繰り返したザイヌディン情報相が落選する一方、野党陣営では著名ブロガーの新人が当選したりした。選挙結果を受けて政府や既存メディアも姿勢を改め、新たに就任したアフマド情報相は「ブログなどのメディアは国づくりでも一定の役割を果たす」と述べ、ブロガーらとの対話の場を設ける考えを示した。
記事にはマハティール前首相へのインタビューも出ているが、首相退任後、現政府がマハティール氏の発言を報道しないよう支持したことに不満を抱いた同氏は、今年5月にブログ(http://test.chedet.com/che_det/)を立ち上げ、訪問客は300万人を超えたという。マハティール氏は、首相在任時に新聞やテレビの報道を厳しく統制したが、ネット上で検閲をしないと表明したとのことだ。つまり、既存メディアを厳しく規制する一方、ネットには縛りをかけず、それが現在の状況につながったのだろう。
ひるがえって日本はどうかというと、既存メディアは政府によって厳しく統制されているわけではないが、言論に自己規制がかかっていると思う。小泉内閣の高支持率を支えたのは、「コイズミカイカク」を基本的に支持するマスメディアだった。
それに対するカウンターとしてブログが立ち上がり、大きく盛り上がるかに見えたが、次第にタコツボ化していっているのが現状ではないかと思う。狭いコミュニティ内でしか通用しない言説がまかり通っていて、それが外部からの支持がなかなか得られない原因だろう。特にたちが悪いのが陰謀論と擬似科学であって、それさえ克服できないようでは「政治ブログ」に未来はないと思う今日この頃である。
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だから、今日は新規エントリの公開をやめようかと思ったが、ふと創価学会系月刊誌『潮』の広告が目に止まったので、簡単な記事を書くことにした。
ウェブページの表示はまだ7月号のままだが、新聞に掲載されているのは8月号の広告で、「環境・教育・福祉の先進国「北欧」に学べ」と銘打った特集が組まれている。その中には橘木俊詔氏による「社会全体で支えあう安心の「社会保障」に学ぶ」と題する記事もあるし、計5本の記事が掲載されているようだ。近いうちにウェブページも更新されてタイトルが確認できるようになるだろう。
「やはりkojitakenはソーカルトだったw」などといわれるかもしれないが、一度目を通しておきたいと思った。これを書いている現段階では、まだ目にしていない。
創価学会系の雑誌がこういう特集を組むことと、コイズミ?安倍政権が進め、福田政権も踏襲している新自由主義政策を公明党が連立与党として支えていることは真っ向から矛盾する。そして、公明党のもともとの支持層が新自由主義に親和的であるとは到底思えない。すさまじい勢いで進む格差の拡大、貧困に直面する人の増加が創価学会員と無縁であるはずもない。
公明党は、いずれ「反貧困」、すなわち反新自由主義の方向へと舵を切らざるを得なくなる。その時、公明党なしでは選挙を戦えなくなった自民党がどうするかというと、私の予想では、自民党も生き残りを賭けて、かつて新自由主義的「カイカク」を連呼したことを頬かむりして方向転換をするのではないかと思うのである。
つまり、先の戦争を大々的に煽った政治家や言論人たちと同じように、新自由主義「カイカク」を煽ってきた同じ人間が「反貧困」を口にし、社会保障の充実を口にし始めるのではないかということだ。だが、彼らは同時に自分たちの既得権も守りたいから、逆進性の強い消費税の大増税を打ち出すだろう。つまり、マッチポンプの政策をとることになる。それでは意味がなく、日本社会の再建が遅れてしまう。
いまのうちに、新自由主義者たちが犯してきた誤りを調べ上げておき、今後政策を転換する際には、過去に誤りを犯した者を政界から追放するくらいの責任追及をしなければならないのではないか。日本は過去の戦争責任の追及をあいまいにしてしまったが、同じ失敗を繰り返してはならないと思う。
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下記URLの記事をそのまま転載していますが、できましたら転載元(下記URL)を直接ご参照ください。
http://hiroseto.exblog.jp/8238205
-------- (転載開始) --------
みんなで「生きにくさ」を考えよう!
8・31雨宮処凛さんが広島にやってくる!
(転載大歓迎)
みなさん。希望を持って暮らせていますか?安心して働いておられますか?
今の時代、そのどちらも難しいのではないでしょうか?
派遣やパート・アルバイトのみなさん、将来に大変不安を感じておられると思います。
正社員の皆さん、最近仕事はきつくないですか?
若い皆さん。自分たちは、お父さんお母さんや周囲の期待にこたえられず、悩んでいませんか?ご年配の皆さん。病気になったときに不安はありませんか?ご家族や自分の介護などの不安はありませんか?
どれにも当てはまらないという方は、少ないと思います。
でも、一人で悩んでいても、なかなか問題は解決しません。ひとりではどんな有能な人でもなかなかいい知恵が出てこなかったりします。一人では行動に移ろうとしても度胸がいるかもしれません。
でも、みんなで話し合い、考えたらいい知恵が出てくるかもしれません。助け合って行動に移せるかもしれません。東京などでは、給料を払ってもらえなくて困っている若者が、みんなで話し合い、みんなで社長さんに掛け合って給料を払ってもらった、という例もおおくあります。
作家の雨宮処凛さんは、とくに若者の生きづらさの問題に向き合ってこられました。雨宮さんをお呼びして、みんなで話し合いましょう。
とき 2008年8月31日(日) 16時開場・16時半スタート(20時終了)
(その後、交流会あります。ぜひご参加ください)。
ところ 広島市西区民文化センター(スタジオ 150人収容)
参加費:500円
形式:主催者と雨宮さんの対談の後、自由討論形式にします。
ご協力くださる方募集中!
さて、イベントを開催するには、いろいろな面で力が必要です。みなさまのご協力をお待ちしております。
呼びかけ人:伊達純 猪原薫 山田忠文 増田千代子 さとうしゅういち
連絡先 雨宮処凛さん講演会IN広島実行委員会
さとう hiroseto@f2.dion.ne.jp 09031714437 伊達 jundandy@yahoo.co.jp FAX0829?56?1799
賛同カンパ:団体2000円、個人1000円。
ご協力いただける方は、申込書をFAXかメールでお送りの上、以下の郵便貯金口座にお送りください。
郵便口座名 社会市民連合 記号 15530 番号 24218141
8月31日・雨宮処凛さん講演会IN広島に賛同します
お名前(団体名) (肩書き)
連絡先(電話またはメールアドレス、住所)
チラシなどへのお名前の公表の可否 可 否
-------- (転載終了) --------
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これは、2ちゃんねる掲示板で発掘されたのが一昨年6月3日、『薫のハムニダ日記』が『世界日報』韓国語版記事を訳したエントリを公開したのが6月5日だった。翌6日、『きっこの日記』が取り上げてネットで広く知られるようになり、一週間後の13日には『しんぶん赤旗』が報じ、翌週の19日には大手マスコミが一斉に小さく(笑)報じた。
この経緯は、一昨年6月23日の当ブログ記事「電通と暴力団とカルトが作ったものじゃない」でまとめたことがある(下記URL)。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-75.html
「2ちゃんねる」の書き込みから、大手マスコミの報道まで16日。異様なタイムラグの長さであり、これはこの件が「タブー」とまではいわないまでも大手マスコミがあまり取り上げたがらない自民党の政治家と統一協会の関係にかかわるものだったからだろう。フリージャーナリストの有田芳生がなぜか安倍晋三をかばうコメントをして回っていて、それがこの件を報じた『週刊朝日』、『サンデー毎日』、『アサヒ芸能』に揃って掲載されたりもした。その有田も、最近の『酔醒漫録』のエントリ「山拓V安倍の茶番劇はもういい」では、
と書いており、いまや完全に安倍を見放している。威勢のいい台詞を語るだけで何らの成果もあげずにプッツン退場した無責任な安倍ちゃんには、もはや拉致問題など語って欲しくはない。
ただ、「ポスト小泉」を決める自民党総裁選を控えた当時は、安倍晋三を批判する言論はなかなかマスコミに載らなかった。『週刊現代』や『週刊ポスト』でさえ、しばらく安倍批判記事がほとんど載らない時期があったほどだ。
だから、当時は「本当のことはマスコミではわからず、ブログを読まなければダメだ」と言う人が続出して、それで私などもいい気になっていたこともあるのだが、それでも当時の当ブログが主にやったことは、なかなかネットでは参照されない雑誌記事の紹介だった。一次情報源を持たないブログがやることは、世に氾濫している情報の重みづけを変えて、真に有用な情報だと考えるものを選び、それに管理人の視点による解釈を加えて再発信していくことだと当時から考えていた。前記『薫のハムニダ日記』による、日本にいてはなかなかわからない韓国のメディア情報の紹介は、ブログというメディアの特質を活かした、きわめて貴重な実践だと思う。私は、心あるジャーナリストたちへのリスペクトは忘れたことがないし、「マスゴミ」なる用語は過去に使用していないはずだ(ブログ内検索では見つからなかった。当エントリ公開後は当エントリのみが検索されると思う)。
何が言いたいかというと、「ネットでなければ本当のことはわからない」と言いながら、疑似科学や陰謀論を垂れ流しているブログがあまりに多く、ブログ言論に普遍性を持たせたいと思う私がよしとする方向からどんどん逸脱してしまっているということだ。現状では、むしろ「ネットだけを見ていたのでは本当のことはわからない」といえる。
私は以前からずっと、「情報源をネットだけに頼るブログはダメだ」と言い続けており、それについて某ブログと意見が対立していたのだが、例の「水からの伝言」騒動は、私にいわせれば、その対立構造がそのまま「共感派」(むしろ「共感強要派」と読んだ方が実態に即していると思う)とそれに対する反対派(決まった名前はないが、私は「私闘論理派」と呼んでいる)の対立構造に引き継がれている。共感はもちろん大事だが、そこにとどまってしまって、知ることや考えることをおろそかにしてしまってはならない。「いいじゃないか、にんげんだもの」という言い方をされると、背筋がぞわーっと気持ち悪くなってしまう。スローガンの連呼は、やっぱり思考停止だ。
このところ、ようやく疑似科学や陰謀論の落とし穴に気づくブロガーの方が増えてきたようだ。一方で、相も変わらず対米隷従反対、○○は××の陰謀だ、と騒いでいるだけのブログもある。そのようなブログを読んでいると、コイズミのポピュリズムを批判していたりする。しかし、私にはかかるブログもコイズミと同じポピュリズムにはまり込んでいるように見える。いや、コイズミは意図してやっていたが、陰謀論的思考からポピュリズムにはまってしまうブログにはその自覚さえないように見えるところがイタい。そもそも現在は、アメリカの方から日本に対米隷従の姿勢を改めろと促している段階にきていると私には思える。新自由主義は、いまやアメリカの圧力などではなく、日本国内の勢力によって自律的に運動が行われていると考えるべきだ。それなのに、ことさらにアメリカの圧力を持ち出す姿勢は、この国をナショナリズムの方向に引っ張っていこうというたくらみがあるからではないのか。そのせいかどうか、右派民族主義勢力と陰謀論者や疑似科学愛好者は、やたらと親和性が高い。
こういうたくらみに騙されないためには、何をしていけば良いのか。今後の当ブログの大きなテーマになりそうだ。
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http://ameblo.jp/dewisukarno/day-20080701.html
(注:現在は「きっこの日記」の記事は削除されています)
きっこさんは、「デヴィ夫人の考え方とは根本的に違う部分も多い」と断った上でこの記事を紹介している。私もまた、北朝鮮はいまなお犯罪的な性格の強い国家だと考えている人間だ。だが、それにもかかわらず、北朝鮮に対して湧き上がった国民の悪感情に乗じて人気を高めた安倍晋三を許すことができない。
いまでもおかしいと思うのは、拉致被害者を一時帰国のあと北朝鮮に帰すという約束を破ったことだ。これを主導したのは安倍であり、当時国民は安倍を支持し、安倍への批判が許されないおかしな雰囲気ができたのだが、国家間の約束は約束だ。約束が破られれば北朝鮮政府が怒るのは当たり前であり、対北交渉はもつれる。そして、それこそが安倍晋三の狙いだったのである。つまり、日本国民の北朝鮮に対する悪感情を、日本を「戦争のできる美しい国」にしようとする安倍の野望に利用しようとしたのだ。そのためには、日朝国交正常化交渉など進んでもらっては安倍にとっては困る。だから安倍はひたすら対北強硬論を唱え続けてきたのだ。
しかし、安倍の頼ったアメリカが方向転換してしまった。北朝鮮のテロ支援国家指定解除は、見直されなんかしない。アメリカは拉致問題なんか全く顧慮していない。極東のことは極東でなんとかしろ。但し、戦争は望まない。いまや極東は世界の工場だから、戦争なんかになったらアメリカが困る。それが、アメリカのスタンスだ。そして、それはアメリカの都合からきた政策とはいえ、世界平和にとっても、日本の国民生活にとっても、決して悪い方向ではない。
だから、自民党政府であっても対北朝鮮政策は必ず転換されなければならないし、彼らにも理性はあるからそうするはずだと私は考えている。もちろんそれは、民主党など野党が政権をとった場合も同じことだ。自民党から弾き出された平沼一派などは、自民党を見限って民主党とくっつき、自らのタカ派政策を行わせようなどとバカなことを考えているのだと思うが、そんなものが現実になる可能性はほとんどない。
とにかく、北朝鮮問題で政府を「右」から責める右翼に同調すべきではないと思う。今の自公政府で問題なのは、それよりも経済政策だ。日曜日(6月29日)のNHK「日曜討論」でも、額賀福志郎財務大臣が消費税増税と所得税・法人税の減税を主張していた。額賀というと、小泉内閣の防衛庁長官だった一昨年、ミサイルに対する敵基地攻撃論を唱えた右派だ。津島派の人間で、この派閥はもともとそれほどタカ派指向ではなかったのだが、額賀は顔にはっきり表れているように軽薄な人間で、新保守主義と新自由主義の機運の高まりに乗って、次々と馬鹿げたことを言うのである。昨年の総裁選レースから早々と下りざるを得なくなったドタバタ劇は見苦しいの一語で、こんな人物が津島派の有力者だというのだから、自民党の人材払底は深刻だ。
しかし、とにもかくにも額賀は福田内閣の財務大臣なのだ。その政策は冷酷非情、コイズミ?安倍の流れをしっかりと引き継いだ「国民皆殺し政策」というしかない。こう書くと、「勝ち組」のつもりでいる人たちは、俺たちは痛くも痒くもない、かえって好ましいと思うのかもしれないが、「負け組」が食い尽くされ、斃れてしまったあとは、搾取の対象を失った「勝ち組」の食い合いになり、その大部分が「負け組」に転落し、日本は焦土と化すのだ。いまや、新自由主義政策を一刻も早く止めなければならない段階だ。
「日曜討論」では、額賀の主張に対し、東京大学の神野直彦教授が、社会保障の財源を消費税に限るような議論はおかしい、税制を抜本的に見直すべきだと主張していた。明言はしなかったが、所得税の累進制再強化や法人税増税を念頭においておられるとテレビを見ていた私は解釈した。
私が注目しているのは、そのような政策を民主党が打ち出せるかということだ。いまのところ民主党は「無駄を省く」ことしか言っていない。確かに、長年の一党独裁政治による政官業の癒着構造はひどくて、相当のムダはあるだろう。しかし、削られに削られつつある社会保障を充実させるには、誰が見たって「無駄を省く」だけでは財源が不足で、増税が必要になる。そして、私はずっと先の段階では消費税増税も必要だろうと思うが、格差が拡大し、貧困に直面している国民がものすごい勢いで増えている今は、消費税増税なんかやってはダメで、税制の一部を新自由主義改革前に戻すことは絶対にやられなければならないと考えている。民主党は、その議論から逃げている。現状では、自民党政府みたいにおおっぴらに「国民皆殺し政策」をぬけぬけと主張しないだけマシな程度に過ぎない。
ところで、「日曜討論」で神野教授は「環境税」の創設について言及していた。この「環境税」というのは、温室効果ガス排出削減を狙いとして、一部ヨーロッパの国で導入されている税だが、日本では産業界が強く反対している。北海道洞爺湖で開催されるサミットを前に、環境問題に注目が集まっているので、軽く触れておきたい。
朝日新聞の「論壇時評」(6月26日)は温暖化論議について取り上げているが、これは主張の分かれるテーマだ。
「論壇時評」では、温暖化対策を温室効果ガスの削減だけに絞って、他の気候影響因子を扱わない現行の仕組みでは、効果が不十分だとする論文(伊藤公紀=『論座』7月号)、30年後に気温が0.9度上がっても環境危機にはならないとする論文(武田邦彦=『中央公論』7月号)、二酸化炭素の増加は温暖化の原因ではなく結果で、根本要因は「『宇宙線の照射量が支配する雲量』によって、ほぼ解決」済み、むしろ今後は地球寒冷化が予想されるとする書籍(丸山茂徳=講談社刊『「地球温暖化」論に騙されるな!』)などが紹介されているが、「論壇時評」の執筆者・松原隆一郎氏は、それに続いて下記のように書いている。
とはいえこうしたIPCC(注:気候変動に関する政府間パネル)への批判もまた、一個の仮説である。では何故、特定の危機解決策に膨大な資源が投じられるのか。「予防原則」がその理由であろう。因果関係が確証されなくとも結果が取り返しのつかないものと予測されるならば、事前に手を打つべしとする考え方である。
(朝日新聞 2008年6月26日付 「論壇時評」より)
松原氏は、「仮説が決定的に反証された際は、いかなる政治的・経済的なしがらみがあろうとも速やかに解体すべきである」と主張しており、これには私も賛成だ。だが、現状は温室効果ガスによる温暖化説がもっとも有力な仮説とされている段階で、「地球温暖化論は誤りだと証明された」とは到底いえないと思う。陰謀論は耳に心地よく、そちらに流れがちな心理は理解できるが、それは決して科学的な態度とはいえないだろう。「論壇時評」における松原隆一郎氏のような態度が、まっとうな考え方だと思う。環境税の導入についても、今後大いに議論されるべきだろう。
当ブログは、ネット言論が右派、左派を問わず現実離れしており、最近その傾向がますます激しくなってきていることを憂慮している。右翼の「維新政党・新風」は国民からほとんど支持されていないが、「9条ネット」だって国民にほとんど支持されていない点では「新風」と何ら変わらない。
そして、最近「アルバイシンの丘」の記事「そりゃあないぜ天木さん」(下記URL)が指摘するように、天木直人氏までもが、ブッシュ大統領の弾劾決議案を誤訳してまで「9・11陰謀論」に加担しようとしている。
http://papillon99.exblog.jp/8406106/
私は以前には天木直人を買っていたのだが、昨年6月に悪名高い「独立党」のリチャード・コシミズの講演会にゲストとして招かれ、意気投合したことを昨年秋頃に知って、天木氏に疑問を持つようになった。ちなみに、「独立党」は現在内紛を起こしているらしく、「独立党のブログ」は近日中に閉鎖予定とのことだ(笑)。独立党によると、北朝鮮はユダヤと手を結んでいるらしいから、当然彼らも日朝国交正常化交渉など反対なのだろう。
とにかく、ブログ言論界にはありとあらゆる魑魅魍魎が跳梁跋扈している。そのことを顧慮せず、ただ「みんな仲良くしましょう」というだけの物言いとか、批判を勝手に「いじめ」に置き換えて、批判者に対して罵倒の限りを尽くすような、ネットでしか通用しない言説にはいい加減うんざりしてきた。
ちょっとブログの運営についても悩むことが多くなってきた今日この頃なのである。
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アメリカによる北朝鮮のテロ支援国家指定解除なんて、前々から予想されていたし、何も突然決まったわけでもないのに、産経新聞や読売新聞ばかりか、経済紙の日経新聞や左派的とされる朝日新聞に至るまでアメリカ批判の大合唱になったことには、あきれ返ってしまった。
一方、再三指摘するように、自民党の政治家たちは、安倍晋三のような一部の例外的極右を除いてすでに対北朝鮮の政策を転換している。先日、安倍晋三と山崎拓が見苦しい言い争いをしていたが、理は明らかに山崎拓の側にある。そして、そんなことはマスコミ各社は十分承知のはずだ。近い将来、彼らも社論を大きく転換させることになるだろう。それがミエミエなのに、各社はアメリカを批判し、テロ国家指定解除までの45日間にアメリカがこれを撤回することを期待する、などと書く。6月29日に放送されたテレビ朝日「サンデープロジェクト」で司会の田原総一朗は、「そんなのあり得ない」と一笑に付した。
6月28日付エントリで、私は『世界』7月号に掲載された田原の文章を紹介したが、その冒頭に、昨年秋に北朝鮮を訪問した田原が朝日新聞に書いた文章が引用されている。
"北朝鮮をめぐる世界情勢が大きく変わりつつある中で、日本との関係だけが凍りついて、置き去りにされているという感じが強い"
(『世界』 2008年7月号掲載 田原総一朗「水面下の交渉は始まっている」より)
私は何も、拉致問題をなおざりにせよと言っているのではない。拉致問題は北朝鮮の国家による犯罪だ。だが、北朝鮮はすでに2002年の日朝首謀会談の席上で小泉首相(当時)に拉致問題について謝罪している。もちろん未解決の部分は多いが、北朝鮮が拉致を認めるや、日本で「反北朝鮮」の世論が高まり、安倍晋三がそれに乗じて対北強硬路線を唱え、それが国民の支持を得た。そして、安倍政権が成立した2006年には、北朝鮮のミサイル発射と核実験、それに安倍政権が発動した制裁措置によって、日朝間の緊張関係が一気に高まった。しかし、安倍内閣の強硬外交は何の成果もあげることができず、完全に行き詰まったのである。福田内閣は、いまやはっきりと対北政策の方向転換をしようとしている。それを、「対米隷属のあらわれだ」と評するむきもあるが、田原の言うように、世界情勢全体が大きく変わっているのである。アメリカは国内の金融バブル崩壊と、手を引くわけには行かない中東を抱えている。共和党政権はもちろん、オバマも明確にイスラエルに傾斜した発言をしており、中東への介入は今後も続くが、アメリカにはもはや極東に過大なコストをかける余力はない。だから、安倍のように日米同盟を利用して軍拡をたくらむような政治家は、アメリカにとってもいい迷惑なのである。
それに、日本はなんといっても過去の植民地支配を清算しなければならない。拉致問題だけ声高に叫んで、従軍慰安婦が存在したことも認めない、そんな身勝手な行き方は、国際社会では通用しない。昨年、従軍慰安婦の件で安倍がブッシュに謝罪させられたことを思い出す必要がある。
不思議なことに、安倍政権の頃は私が書いているような意見は、リベラル・左派のブログではごく当たり前だったのだが、外交的にはハト派色を見せる福田政権に代わって、なぜかブログ言論においては左派と極右が手を結ぼうとする動きが強まり、安倍や平沼赳夫のような極右に対する批判が弱まっている。これは、私には全く理解できないことだ。
ためしに、『世界』7月号に掲載された共同提言「対北政策の転換を」を読んでみると良い。提言者は、石坂浩一、川崎哲、姜尚中、木宮正史、小森陽一、清水澄子、田中宏、高崎宗司、水野直樹、山口二郎、山室英男、和田春樹の12氏である。
この提言は5章、14ページにわたるものだが、最後の「まとめ」から一部引用する。
日朝国交正常化は日本と北朝鮮の関係を正常化するものである。その意味では日本がアジア諸国との間で二国間の過去の関係を清算することを長くつづけてきた努力の最後をなすものである。しかし、いまや日朝国交正常化は核ミサイル問題の解決を課題にふくむことによって、東北アジア六ヵ国の共通の関心事になっている。アメリカ、韓国、中国、ロシアがその成功をのぞんでいる。
(中略)
いまではすべての国が六者協議の前進を願い、日本が拉致問題ばかりに目を奪われた外交から脱して、日朝交渉を軌道に戻すことを願っている。米韓中露の指導者は日本国の代表者に拉致問題解決への協力を求められるたびに、表面的には共感する姿勢を示しながら、それは日本が自分で交渉して解決するしかないと嘆息しているだろう。
いまは、むしろ日米間の乖離を露出して解決を妨げないようにするためにも、米朝交渉の後追いをする受動的な外交姿勢を改める必要がある。日朝国交正常化に積極的になることが、歴史認識をめぐってなお問題を抱えている日韓両国民の未来に向けた協力をも可能にするのである。
日本は日朝国交正常化交渉を真剣に進めることを通じて、核・ミサイル問題の解決に貢献し、六者協議の中でイニシアティヴを発揮することができる。そうなれば、遠からず、広島で六者協議の会合を開くことも可能になるだろう。北朝鮮の代表に広島の原爆資料館を見てもらうことは意義深いことである。
六者協議の二〇〇五年九月一七日共同声明は、北朝鮮の核問題の解決の先には、東北アジア六ヵ国の安全保障協力のしくみを考えることを明記している。朝鮮半島の平和と協力は東北アジアの平和と協力の軸であり、カナメである。日朝国交正常化は、まさに日本がこの地域の未来の構築に積極的に、主体的に、戦略的に関与していく大きなステップを踏み出すことなのである。(後略)
(『世界』 2008年7月号掲載 「<共同提言> 対北政策の転換を」より)
以上は、決して「進歩的文化人」の理想論などではない。同じ『世界』7月号に掲載された、自民党衆議院国家基本政策委員会委員長である衛藤征士郎へのインタビューで、衛藤は、自民党の「朝鮮半島問題小委員会」設立の目的および意思は、ずばり日朝国交正常化にあると明言している。さらに、
と語っている。そして、衛藤は、戦前の日本が行った侵略行為に十分な注意を払いつつ交渉を進めると明言しているのだ。戦前の砲艦外交ならいざ知らず、二一世紀の今日にあって、外交とか外交交渉というものはすべて「対話」です。だから、圧力や制裁を、わざわざ目の前に品揃えをして見せる必要はない。拉致問題にしろ、核の問題にしろ、あるいはミサイルの問題にしろ、いかにわれわれが成果を手中におさめることができるか、それが外交なのです。
衛藤は福田康夫首相と親しい。衛藤の発言は、福田首相の意向に沿ったものだろう。今後、日本の対北朝鮮政策は、劇的に転換されるはずだ。拉致問題でも大きな進展があるかもしれない。
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