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きまぐれな日々

旧日本軍による性暴力をめぐるNHKの番組が放送直前に改変されたとして、取材を受けた市民団体がNHKなどに損害賠償を求めた訴訟で、最高裁は12日、200万円の支払いをNHK側に命じた二審・東京高裁判決を破棄、市民団体の請求をすべて退ける判決を言い渡し、市民団体側の逆転敗訴が確定した。
http://www.asahi.com/national/update/0612/TKY200806120208.html

やはり最高裁、予想通りやってくれたなという感想だ。番組を改変する圧力をかけたとされる安倍晋三と中川昭一、それにNHK上層部は、この判決に大いに満足しているだろう。

最高裁判決の2日前、「放送と人権等権利に関する委員会」が二審の判決についてのNHKニュースについて、「公平・公正を欠き、放送倫理違反があった」との見解を発表したばかりだった。
http://www.asahi.com/national/update/0610/TKY200806100169.html

BRCは、高裁判決についてNHKが自分たちの解釈だけを伝え、「(番組編集への)介入が疑われた2人の政治家のコメントだけを放送した」点を、放送倫理違反と認定した。

上記朝日新聞の記事は、なぜか政治家の実名を出していないが、前述のようにもちろん安倍晋三と中川昭一である。この2人による番組改変の圧力があったことを最初に報じたのは朝日新聞であり、魚住昭が月刊「現代」でこの報道に間違いがなかったことを検証した。それにもかかわらずマスコミは、当事者の朝日新聞社を含めてこの2人を不問に付し、朝日は安倍と中川(昭)に屈服してしまった。以後、朝日の報道はすっかり腰が引けてしまい、この記事でも安倍と中川の実名さえ出せないていたらくだ。

最高裁判決について論じた13日付の朝日新聞社説も、目を覆いたくなるものだった。
http://www.asahi.com/paper/editorial20080613.html#Edit1

この点(注:安倍晋三の発言を受けてNHKが番組を改変した件)について最高裁判決は具体的に触れていない。期待権を認めないという結論を出した以上、改変理由を判断する必要はないということだろう。

(朝日新聞 2008年6月13日付社説より)


こんな他人事みたいな書き方をして、悔しくないのか、いや恥ずかしくないのか。かろうじて安倍晋三の名前を社説に明記したくらいで意地を見せたつもりでいるのか。

朝日に限らず、主要紙の社説は、編集の自由が認められた意義ばかり強調して、安倍晋三や中川昭一の発言を受けてNHKが番組を改変したことをことさらに軽視している。読売・日経・産経の保守系3紙は言うに及ばず(この3紙は安倍の名前さえ出していない)、毎日新聞社説も朝日の社説と五十歩百歩だ。朝日同様、安倍の名前は出しているが、

NHKが政治家の意向をそんたくして番組内容を変えることもあるのではないかと疑われてもやむを得ない。

などと、いかにも腰の引けた表現だ。

今回も、いちばんまともだったのは東京新聞(中日新聞)の社説だ。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2008061302000113.html

 さらに重大なのはNHK幹部の政治との関係である。完成していた番組の内容を現場の抵抗を押し切って強引に変えたのは、安倍晋三内閣官房副長官(当時)など政治家の発言に配慮したからであると高裁判決が認定し、最高裁も覆してはいない。

 番組改変問題の本質はここだ。市民団体に対し訴訟で強く主張した「編集の自由」を、政治家の前では主張しなかったのである。

 最高裁も編集権の重要性を言いながら、高裁判決が「編集権の乱用または逸脱」と戒めた政治家への弱腰には触れていない。「NHK同様、政治家に遠慮した」と勘ぐられてもしかたあるまい。

 NHKは、予算案承認の権限を握る国会議員、特に与党議員に毅然(きぜん)たる姿勢をとってこなかった。加えて、古森重隆経営委員長は特定政治家のパーティーで挨拶(あいさつ)するなど、政治との間に緊張感を維持すべき報道機関の責任者としての自覚がまったくない。

 「報道の自由」の裏表使い分けをやめなければNHKに対する国民の信頼は回復しないだろう。

(東京新聞 2008年6月13日付社説より)


このくらいは書いてもらわなければ、ジャーナリズムの名が泣く。朝日や毎日の論説の劣化ぶりを見ていると、今後右翼政治家がますます増長して、「報道の自由」の名のもとにマスメディアをプロパガンダに悪用するようになるのではないかと恐れる。

ところで、NHKに番組改変の圧力をかけた安倍と中川(昭)は、このところ当ブログが標的にしている平沼赳夫と親しい政治家だ。その平沼が結成を考えている新党に、いの一番に参加すると予想されているのが城内実である。城内については、その歴史認識を指摘した下記のようなブログ記事もある。
http://d.hatena.ne.jp/hagakurekakugo/20071202/p1

おそらく城内も、今回の最高裁判決に、安倍晋三や中川昭一同様、高笑いしていることだろう。そもそも城内はもと安倍晋三の腹心といわれた政治家だ。

城内を支持しているブロガーらは、今回の最高裁判決はスルーするのか? かつて、「木村剛さんも共謀罪反対」などと、言論の自由のためなら新自由主義者も容認する記事を書いた人間が、同様にクリティカルな性格を持つ今回の最高裁判決に沈黙するのは、ダブルスタンダードではないのか? そういうのを「知的不誠実」というのではないのか?

いわゆる「リベ平」ブログは、どこまで覚悟を持って記事を書いているのか、はなはだ疑問に感じる今日この頃である。


[参考記事]

「きまぐれな日々」より
「安倍晋三らの圧力によるNHK番組改変問題関連資料」
(2007年2月3日、東京高裁の二審判決直後の記事)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-244.html


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