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きまぐれな日々

またくだらない「水伝」騒動の一時再燃にかまけてしまった。

かたやブログ閉鎖、かたやエントリ非公開で、大きく燃え広がることはなさそうだし、何のことを書いているかわからない読者の方も多いと思うが、興味のある方は、「玄倉川の岸辺」の下記3つのエントリをご参照いただきたい。

1月に騒動が起きた時の資料集。
"左のほうの「水からの伝言」騒動を観察する" (1月19日)
http://blog.goo.ne.jp/kurokuragawa/e/4fb1e9846b89e08efee584b28e02aa14

同時期の、本質を突いた批評。
"「水からの伝言」とカードの城" (1月23日)
http://blog.goo.ne.jp/kurokuragawa/e/7957449b130ac5b9d28bf7afe3d80357

最近、一時再燃した騒ぎに関する論証は下記。
"幻の謝罪要求" (4月19日)
http://blog.goo.ne.jp/kurokuragawa/e/90d7eb67f42721f0c34fbea8aa259509

この件についてはこれ以上の延焼もないだろうけれど、ひとこと言っておきたいのは、最初に騒動が起きた時に「同じ政権批判側のブログ間にこのような対立が起きるのは遺憾」などといって、仲介に立とうとした立場は大いに欺瞞的だったということだ。この程度の論争で思い切った主張を「自粛」してしまう姿勢は、それこそ「リベラル」の名が泣こうというものだ。

当ブログの4月7日付エントリ "映画「靖国」と稲田朋美、日本会議、そしてネット右翼" のコメント欄では、主に右派の人同士の論争が展開された。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-609.html#comment_head

当ブログ管理人は、コメント欄での論争には基本的に参加しない方針なので、論争が進むに任せておいたが、右派の人たちがガンガン主張をぶつけ合っているのに、リベラルや左派が「けんかをやめて?♪」なんて言って傷を舐め合っているようでは、右派との議論に勝てるはずがなかろう。

     ◆       ◆       ◆

さてさて、そうこう言っている間に、市民団体などが国に派遣差し止めなどを求めた訴訟の控訴審判決が17日に名古屋高裁であり、判決は原告の請求を棄却して国の勝訴となったが、「航空自衛隊による多国籍軍の空輸活動は憲法9条に違反している」との判断を示して注目された(下記URLは毎日新聞記事)。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080417k0000e040072000c.html

記事によると、全国で行われている同種の訴訟で空自の活動の一部を違憲と認定したのは初めてとのことで、原告団は「控訴は棄却されたが、違憲の司法判断が示された」として上告しない方針で、勝訴した国は上告できないため判決が確定するそうだ。

なんとも皮肉な判決確定となったが、今朝のTBSテレビ「サンデーモーニング」で寺島実郎が言っていたように、こういう判決が地裁ではなく高裁で出たところに意外感がある。

寺島も触れていたが、昔は、「長沼ナイキ基地訴訟」などで自衛隊そのものを「違憲」とする判決が地裁で出て、それが高裁で覆されたりした。同訴訟の札幌高裁判決で示された「統治行為論」は、「国家統治の基本に関する高度な政治性を有する国家の行為については、法律上の争訟として裁判所による法律判断が可能であっても、高度の政治性を有するがゆえに司法審査の対象から除外すべきとする理論」(Wikipediaによる)であって、1977年にこの判決が出て以来、裁判所が自衛隊やその行為について踏み込んだ判断を下すことが極端に少なくなった。

読売新聞も、以前は裁判所の違憲立法審査権を重視し、「統治行為論」をとらない立場だったが、1979年に渡邉恒雄(ナベツネ)が論説委員長に就任してから社論を転換し、「統治行為論」をとるようになった(当ブログ2006年7月27日付エントリ "ナベツネと靖国と安倍晋三と(その5)" 参照)。

こうして、自民党政府の「なし崩し改憲」を黙認する空気が次第にできてきて、昔を知っている私などからしたら当たり前の判決が、地裁ではなく高裁で初めて出た、などと聞くと、日本の社会はそこまで事なかれ主義に侵されてしまっているのか、と改めて愕然とする。寺島実郎の言を待つまでもなく、昔だったら、地裁でもっと積極的な憲法判断が出ていたはずだ。

毎日新聞が、この判決をめぐる各紙の社説を比較した記事を掲載した(下記URL)。
http://mainichi.jp/select/opinion/watching/news/20080420ddm004070073000c.html

ここで毎日は、自社がもっとも積極的に判決を評価する論陣を張ったと言っているのだが、裏を返せば、本来この種の問題にもっとも積極的だった朝日新聞の姿勢が、このところ腰が引けてきた例がまた一つ増えたともいえる。30年前は、読売が今の毎日くらいのスタンスで、朝日はもっとずっと強硬だった。

後期高齢者医療制度を強行採決で成立させたのがコイズミ政権時代なら、イラクへの自衛隊派遣を強行したのもコイズミだ。2003年12月、コイズミはあろうことか日本国憲法の前文の一部を読み上げて、イラク派兵の根拠だと強弁した。だが、イラクには大量破壊兵器は見つからず、空自の空輸活動が憲法違反だとする判決が下っても、コイズミは何も語らない。

TBSの「サンデーモーニング」で江川紹子が言っていたように、コイズミには説明責任がある。後期高齢者医療制度に関しても説明責任がある。「なんとか風が吹き始めた」などと言って、小池百合子や前原誠司らと勉強会を開く前に、コイズミはイラクや医療制度について、国民に説明をしなければならないし、マスコミもそれをコイズミに強く要求しなければならない。そうであって初めてジャーナリズムの名に値するのではないのか。


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