fc2ブログ

きまぐれな日々

昨夜(12月16日)、NHKスペシャル「ワーキングプアIII」が放送されたので、食い入るように見た。同様の方は多くおられたことだろう。

今回は、NHKは他の新自由主義国の状況を取材していた。韓国、アメリカ、それにイギリスである。

番組によると、韓国は、いまやアメリカ、日本に次いで貧困率の高い国とされている。非正規雇用者の比率も韓国では55%と、日本の33%をも上回っており、すさまじい貧富の差が発生している。

これを見て思い出したのが、20年近く前、今のNHKテレビ「生活ほっとモーニング」が「おはようジャーナル」と言っていた頃に、韓国の同種の番組とタイアップして行われた企画だった。この頃、日本では「過労死」が問題になっていたが、韓国も同種の問題を抱えていたのだった。

韓国は大統領選の投票日が目前だが、昨日もテレビ朝日「サンデープロジェクト」が伝えていたように、野党ハンナラ党の李明博(イ・ミョンバク)候補が圧倒的な優勢のようだ。韓国は金大中、盧武鉉と左派政権が10年間続いたが、これらの政権は新自由主義的な経済政策をとった。ことに盧武鉉政権下では貧富の差が拡大し、これによって政権は若年層の支持を失い、政権を明け渡しそうな現在の状況を招いたとされている。李明博は、田中角栄を連想させるたたき上げ型の保守政治家だが、李氏が格差社会を解消する保証は何もないけれど、盧武鉉の後継候補には何も期待できない、というのが韓国の世論のようだ。韓国では、「盧大統領が李明博候補支持宣言をすれば、李候補の独走にブレーキがかかる」という盧武鉉大統領の‘最後の一発’という笑い話も出回っているという(下記URL参照)。
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=93819&servcode=100§code=120

脱線してしまった。話を「ワーキングプアIII」に戻す。番組ではアメリカの例も取り上げ、過去日本円にして年収1千万円を得ていながら、事業がインドに移転したために失業し、ワーキングプアに転落した現在46歳のIT技術者を取り上げていた。これを見て、12月11日の当ブログエントリ 「日本は世界でも有数の過激な新自由主義国ではないのか?」 に寄せられたsonicさんのコメントで紹介されたsonicさんのブログ記事を思い出した。
http://gold.ap.teacup.com/vodka/18.html

「中村修二氏をめぐる思い込みと、不遇なアメリカの技術者たち」
と題されたこの記事(2005年3月28日付)に、下記のような指摘がある。

 現在アメリカ企業はグローバル化を積極的に推し進め、海外に「開発拠点」を移しています。
「製造拠点」ではありません。「開発拠点」です。
 アメリカのソフトウェア技術者の時給は平均で訳120ドルです。それがインドなら18ドルですみます。開発者はアメリカが60ドルなのに対してインドは6ドルです。この賃金差に経営者が飛びつかないはずがありません。
 今年の1月に回覧されてきた日本政策投資銀行の調査によれば、アメリカの大手企業は続々と研究機関や本社機能の一部を海外に移しています。アメリカの調査会社フォレスターリサーチ社によれば、海外移転によってアメリカ国内で失われた雇用は2002年に40万人分でした。2015年には330万人分になると予想されています。それに対してUSベーカリー社は1400万人分と予想しています。
 更に問題なのは、失われる職種です。
 フォレスターリサーチ社の調査では、今後アメリカ企業が海外移転の対象としている職種は第一にIT関連産業、第二にオペレーター業務、第三に金融関連業務でした。中村氏と関わるIT分野は、2015年までに47万人が海外移転されると予想されています。
 日本政策投資銀行の資料によれば、CFOマガジン社の調査で今後海外移転される分野は年収50000ドル以上の賃金を得ていた知的労働/研究開発分野だとのことです。
 つまりこれからのアメリカは、修士以上の能力をもった知的エリートが没落し、大資本家と超低賃金サービス業労働者に二極分解する傾向を強めていくわけです。

(Хуй Войнеと叫ぶBlog 2005年3月28日付記事 「中村修二氏をめぐる思い込みと、不遇なアメリカの技術者たち」 より)


番組で紹介された技術者は、まさにこの犠牲者だ。「アメリカン・ドリームはどこに行ってしまったんだ」という彼の嘆きは痛切だ。

しかしそのアメリカやイギリスといった日本に先駆けて新自由主義をとった国でも、国家や州政府レベルでの貧困対策がなされ始めている。イギリスなどはサッチャーが新自由主義カイカクを始める前は福祉国家だったし、日本に移り住んだイギリス人の話などを聞いても、現在でも福祉は日本よりよほど充実している。そもそも大部分の先進自由主義国は福祉国家となっていたのだが、日本は1973年にようやく「福祉元年」宣言をしながら、その6年後に登場したサッチャーやさらにその翌年に登場したレーガンの影響を受けた中曽根康弘内閣が「民活」(民間活力の活用)路線をとってバブル経済を招いた。その間、福祉は充実されておらず、日本はもともと「小さな政府」だった。軍事費ばかりに金をかけたアメリカともども、日本は資本主義国家として例外的な低福祉国家だったのだ。その日本が新自由主義路線に走ったのは、何度も書くがこれ以上ない愚行だった。

ところで、今回も 「大津留公彦のブログ2」 からトラックバックをいただいている。大津留さんは、いつも番組を見てすぐに記事を書き、TBを送ってくれるのでたいへんありがたい。
http://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/post_7769.html

大津留さんは、「番組で内橋克人さんも感想を語っていたように個人の頑張りで救える事態ではない」と書かれているが、鎌田靖キャスターも、国レベルや社会全体の取り組みは決定的に遅れていると、憤りを込めて語っていた。コイズミ・安倍が行い、福田康夫が継承している新自由主義政策へのプロテストである。

作家の雨宮処凛さんは、ワーキングプアの人たちが抱える不安定感は「愛国」にさらりと絡めとられる、と指摘している(『生きさせろ!』 より)。以下引用する。

 若者の右傾化がいわれて久しい。最近の右傾化の背景には雇用不安があることは指摘され始めてきているが、彼の言葉にはそれが凝縮されている気がするのだ。
 そしてそのひとつ、フリーター的な生き方は、社会との接続感が得られないという問題もある。以前は社会が与えてくれた社会との接続感を、いま、多くの若者が奪われ、浮遊している。社会にほんの少しでも参加しているという意識があまりに希薄な毎日。どことも繋がっている認識がなく、漂っていることに不安を抱えているからこそ、一気に国という共同体と接続できてしまう。私自身もそうだった。靖国神社もそれを増幅する。

(雨宮処凛著 『生きさせろ!』 86-87頁)


こんな風潮に乗って昨年発足した安倍晋三・ネオコン内閣は、経団連や中川秀直らのいいなりになった新自由主義政策が国民にそっぽを向かれ、自滅した。

あとを継いだ福田康夫内閣も、また再燃した年金問題をめぐる舛添要一厚労相、町村信孝官房長官や福田自身の無責任な発言が国民の反発を招き、共同通信調査で内閣支持率は前回比で12ポイントも低い35%に急落した。
http://www.47news.jp/CN/200712/CN2007121601000253.html

安倍内閣も、今年5月末に同様の年金問題直撃による内閣支持率急落に見舞われ、参院選惨敗へとつながった。危機感を強めるであろう福田は、再び大連立工作を進める可能性が高いから、十分監視する必要がある。


#この記事は、「トラックバックピープル・自民党」 および 「トラックバックピープル・安倍晋三」 にトラックバックしています。ここにTBされている他の自民党および安倍晋三関係の記事も、どうかご覧下さい。

↓ランキング参戦中です。クリックお願いします。
FC2ブログランキング

スポンサーサイト