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きまぐれな日々

一昨日のエントリではテレビ朝日の報道番組2本を紹介したが、昨日(10日)はNHKの日だった。午後8時から教育テレビで 「福祉ネットワーク・作家雨宮処凛と考える 就職氷河世代のうつ」 を見たあと、午後10時からは総合テレビで、昨年7月と12月に放送されて評判をとった「ワーキングプア」のアンコール放送を見た。

私が雨宮処凛(かりん)の名を知ったのは遅くて、今年6月に朝日新聞社発行の論壇誌「論座」(7月号)を読んだ時である。1975年生まれで1995年の地下鉄サリン事件当時フリーターをしていた雨宮は、「サリン事件という無差別テロを決行したオウムに、私ははっきり言って熱狂していた」という。ちなみに同じ頃、私はおそらくは過労に起因する大病を得て病院に入院していた。地下鉄サリン事件の2か月前には、阪神大震災が起きていた。

その後小林よしのりの「ゴーマニズム宣言」にはまって右翼活動にのめり込んだ雨宮は、1998年に出版された同じ小林の 『戦争論』 に心酔した。しかし、その後1年も経たずに右翼活動に「冷めて」しまい、今ではプレカリアートの問題に取り組んで、左派系と言ってよいスタンスで言論活動をしている。

「論座」の今年7月号では、その雨宮が、かつて心酔した小林よしのりとも対談している。小林は右翼とはいえ反新自由主義の「反米右翼」であり、雨宮のようなスタンスの左派とは相性が良く、対談では意気投合していることはいうまでもない。

それにしても、昨日アンコール放送されたNHKの「ワーキングプア」を見たり、雨宮の著書 『生きさせろ!』 を読んだりしていると、現在のこの国のすさまじいばかりの「格差社会」、否、「階級社会」の現実に慄然とさせられる。

そんなことを考えながら、新聞記事のスクラップを眺めていたら、昨年7月23日付日本経済新聞の読書面に載った記事が目についた。法政大学の小池和男教授の「成果主義に「長い目」必要」という記事で、ネット検索では引っかからないので簡単に紹介すると、世間一般ではアメリカの会社では個人の働きぶりによって収入に大きな差が生じると思われているが、実際には必ずしもそうではなく、アメリカの課長級の報酬は査定つきの定期昇給で上がっていき、前年より基本給が下がることはめったにない、課長級と部長級の報酬の差も日本と同程度の差しかない、アメリカ企業の給与に占める「業績給」の割合は、日本企業のボーナスと同等かそれより少ないのに、日本では「成果主義」の名のもとに基本給の減給まで導入された、などと指摘されている。

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要は、90年代に各企業が競って導入した「成果主義」の人事処遇制度は、本家のアメリカ顔負けの過激な新自由主義的制度だったということだ。正社員だって全然楽ではなく、正社員の座を守るために法外な長時間のサービス残業を強いられる例は山ほどある。しかし、新自由主義者による「自己責任」のプロパガンダによって、正社員たちの自分たちより「下」の階層の人たちに向ける目はまことに冷淡なものだ。

よく、エピゴーネン(亜流、追随者)は本家本元より過激なことが多いといわれるが、新自由主義に関して、日本にはお手本のイギリスやアメリカ以上に過激な新自由主義者が多いこともその一例に数え上げられるべきかもしれない。

NHKの「ワーキングプア」は第3回(12月16日)の放送で、イギリスやアメリカの「先進」新自由主義国家の貧困対策を紹介するという。本家本元のイギリスやアメリカでも新自由主義への見直しが行われているということだ。放送を楽しみに待ちたいと思う。それなのに、日本ではコイズミや竹中平蔵の「日本はまだまだカイカクが足りない」などという寝言がいまだにまかり通っている。政府は、防衛費の無駄遣いには頬かむりしながら、社会保障費の減額にばかり熱心で、いくつかのブログに取り上げられた毎日新聞の記事に報じられているように、厚生労働省の検討会は、生活保護基準(生活保護費の水準)引き下げを容認する報告書をまとめた。私はたまたまこの日の毎日新聞を買っていたのだが、毎日新聞には比較的記者の自由裁量が大きいためムラが大きいが、キラリと光る記事は他紙より多いように感じる。

それにしても、厚顔無恥なまでの新自由主義者たちのやりたい放題がまかり通る社会になってしまった。いまや、日本は世界一苛酷な新自由主義国ではないか、と書こうとして、中国がいまや世界一過激な新自由主義国になり、すさまじい貧富の差が現出しているという指摘を思い出した。だが少なくとも、日本が世界でも有数の過激な新自由主義国であることは疑いないように私には思える。


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