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きまぐれな日々

昨日から風邪を引いて寝込んでおり、残念ながら大晦日の記事は簡単なもので済ませるしかない。

各媒体の発表する「2007年10大ニュース」の1位と2位を争っているのが、参院選の自民党大敗(7月)と安倍晋三の政権放り出し辞任(9月)だ。「KY」(空気読めない)という「ギャル語」も、安倍晋三と結びつけられることによって流行語となった。

安倍政権発足に先立つこと3か月の昨年6月18日に、「カナダde日本語」 の呼びかけで始まった 「AbEndキャンペーン」 は成功裏に終了し、「自Endキャンペーン」 へと引き継がれた。「カナダde日本語」の管理人・美爾依さんは2007年度のアルファブロガーに選出された。

2008年には解散総選挙が予想されるが、それに先立って大がかりな政界再編が行われるだろう。このままでは自民党は「座して死を待つ」ほかない状態だからだ。自民党にも民主党にも旧保守、新自由主義勢力、極右勢力の3派があり、民主党にはそれに加えて社会民主主義勢力を抱えている。私は、きたるべき政界再編を経た総選挙のあと、旧保守と民主党の社会民主主義勢力、それに国民新党と社民党を加えた「反新自由主義・反国家主義」(反コイズミカイカク、反日本会議)の連立政権が発足するのが好ましいと考えている。共産党には「たしかな野党」として引き続き権力を厳しくチェックしていただき、新自由主義勢力、極右勢力および公明党には政権から退いてもらうという図式だ。そういえば、新自由主義勢力と極右勢力の間に反目が目立つようになったのも、今年を特徴づける現象だった。安倍政権は、両者の矛盾に引き裂かれた形となった。

ワーキングプア、プレカリアート、限界集落といった言葉が今年のキーワードとなった。私の身辺でも、ワーキングプアによってもたらされた悲劇が起きるのを目の当たりにした。ようやく新自由主義の弊害がNHKをはじめとするマスコミで語られるようになった。

安倍晋三がぶざまに政権を放り出し、世論の糾弾を浴びた今年は、大いなる変化へ第一歩を踏み出した年といえると思う。「大連立」構想が持ち上がるなど、「三歩進んで二歩下がる」現状ではあるが、来年は反新自由主義、反国家主義の流れはさらに強まるだろう。

最後に、今年一年間 「きまぐれな日々」 をご愛顧いただいた読者の方々に、厚くお礼を申し上げる。

それでは、皆さま、良いお年を。


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いよいよ年の瀬も押し詰まってきた。本年の当ブログのアクセスデータをご紹介したい。

私がブログを始める前、「きっこの日記」アクセス解析について書かれた記事が出たのをきっかけに、私が巡回していたブログにもよくアクセス解析の記事を掲載するのが流行ったことがある。実際ブログを始めてみると、アクセス解析のデータは月ごとに集計されるので、情報公開の意味を込めて、当ブログでは月末にアクセスデータの記事を公開してきた。

しかし、皮肉にもそのアクセス解析結果から、アクセスデータの記事は、ブログの全記事の中でもとりわけ不人気で、アクセス数が少ないことがわかった。一方、アクセスデータの記事を書くのは、他の記事を書くのよりずっと面倒だ。そこで、というわけでもないが、来年はアクセスデータの記事を公開する頻度を、3か月に一度か半年に一度に減らそうと考えている。労多く益少ない作業ではたまったものではないからだ(笑)。

まず、年間アクセス数は下記の通り。

FC2カウンター(トータルアクセス数): 1,057,931件
FC2旧アクセス解析(ユニークアクセス数): 704,535件
FC2旧アクセス解析(トータルアクセス数): 961,992件

FC2カウンタではトータルアクセス数が100万件を超えたが、FC2アクセス解析による集計では惜しくも超えられなかった。両者の平均値をとると 1,009,962件になるから、いちおう「年間100万アクセス達成」と宣言しておきたい。ユニークアクセス数累計でも、区切りの70万件をなんとか超えた。ユニークアクセスのうちおよそ3分の1(34%)にあたる240,232件が初回アクセスで、19%にあたる133,021件が100回以上のアクセスである。但し、100回以上のアクセスの占める割合は月を追って増して行き、11月、12月には全体の28%を占めるようになった。

月別では最多が参院選のあった7月の135,446件(FC2カウンタ計数値)で、安倍内閣が総辞職した9月の126,652件、年金問題や松岡大臣の自殺で反安倍内閣の機運が盛り上がった6月の124,726件と続く。

リンク元では、Google検索(88,515件)とYahoo!検索(52,401件)が多く、ブログでは 「カナダde日本語」、次いで 「反戦な家づくり」 経由がコンスタントに多かったが、4月と6月の二度リンクを張っていただいた 「きっこの日記」 および 「きっこのブログ」 経由のアクセスは、合算すると3万数千件に及び、段違いの影響力を見せつけた。春頃には、ネット右翼系の有名ブログとやり合ったこともあるが、やはり日に数万件のアクセスを誇るはずのそれらのブログ経由のアクセス数は、不思議なことにせいぜい3桁にとどまった。

次に人気エントリだが、これには、4月から始めた「はてな」のアクセス解析が便利だ。6月までのデータは既に消去されているので、ここでは7月以降、2007年下半期の人気エントリを示す。

1位 電波芸者・勝谷誠彦の生態 (2006年7月29日) 4,856件
2位 自民党の「年金問題の切り札」・大村秀章の醜態 (6月17日) 4,541件
3位 言論が一方向に振れる時 ? 山口県光市母子殺人事件をめぐって (8月22日) 3,391件
4位 福田内閣支持率50%超に見る日本人の知性の劣化 (9月27日) 3,045件
5位 日本は世界有数の過激な新自由主義国家ではないのか? (12月11日) 2,821件
6位 指定暴力団工藤会の「おねがい」 (2006年7月14日) 2,791件
7位 大阪府民は「極右ポピュリスト」橋下徹を打倒せよ (12月13日) 2,630件
8位 安倍晋三は「安倍家の面汚し」 (2006年9月8日) 2,312件
9位 参院選の与党惨敗が予想されているが... (6月23日) 1,739件
10位 民主党・小沢代表が辞意を表明 (11月4日) 1,709件

昨年のエントリが3本入っている一方、今月公開したエントリが2本加わっている。今月は、「はてなブックマーク」経由のアクセスがいつもの月より多く、特定のエントリにアクセスが集中しており、上記の2本以外に、下記5本のエントリがアクセス数1,000件を超えている。

21位 ネットに横行する「トンデモ」や「陰謀論」を批判する (12月23日) 1,441件
27位 恥も外聞もなく「橋下弁護士」擁立を模索する呆れた自民党 (12月6日) 1,257件
29位 橋下徹落選論と疑似科学批判が波紋を呼んだクリスマスイブ (12月24日) 1,237件
30位 保水力の落ちた「限界集落」の山林と自民党の地盤 (12月2日) 1,234件
38位 「ワーキングプアIII」(NHK)とその関連の話題 (12月17日) 1,145件

なお、ブログ全体では、45本のエントリが半年でアクセス数1,000件を超えた。但し、「はてなブックマーク」に関しては、裏ブログ 「kojitakenの日記」 の方が、「はてな」に開設している分だけ瞬発力があって、12月23日に公開したエントリ 「橋下徹当選の見込みはほとんどない」 へのアクセス数は、9,000件を超えた。

今年も残すところ今日を入れてあと2日。明日大晦日に、本年最後の記事を公開する予定である。


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※本エントリで捜索への協力をお願いした岩田和輝くんは、2008年1月8日、無事発見、保護されました(=2008.1.9追記)。

ブログ 「大脇道場」 の管理人・友さんから、下記のコメントをいただいた。

障害を持った少年が行方不明で探しています。
そこで、
沢山の訪問者を持つブログにご協力をお願いに回っています。
どうか記事の中で紹介していただけないでしょうか。
よろしくお願いします。捜索願が出ているURLです。
http://ns.mediagate.co.jp/kazukikun/
コメント欄にリンクの貼り方が解らない初心者なので、お手数掛けます。
もしくは私のブログに、リンクは貼り付けています。
これは、ランキングを見て、お願いしています。

どうぞ、力を貸してあげてください。

2007.12.29 00:45 URL | 友さん #- [ 編集 ]

詳細については、下記 「大脇道場」 の記事をご参照いただきたい。
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-244.html

なお、これだけでは何なので、「大脇道場」について僭越ながらご紹介させていただくと、NHKテレビの番組 「ワーキングプアIII」 について、友さんから一度コメントをいただいたことがある。そのコメントと同内容の記事が同ブログにあり、考えさせられるところがあった。今回、友さんのご依頼を承諾してブログで記事にしたのも、この時読んだ記事から、友さんが信頼できる人だと確信できるからだ。

本当は、以前コメントをいただいた時に当ブログで紹介したかったのだが、時間的余裕がなくて断念した。そこで、これを機に紹介したい。内容については、こちらで要約してしまうと読者の方にリンク先に飛んでいただけないので、URLだけ示す。是非リンク先をご参照いただきたいと思う。
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-219.html


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ひさびさに安倍晋三を正面切って批判した一昨日のエントリで、共同通信が発表した10大ニュースについて触れたが、実は、国内ニュースの10位が今年4月の伊藤一長・長崎市長の射殺事件だったことに引っかかっていた。このニュースがこんなに下位で良いのだろうかと思ったのである。

私は、言論の自由を脅かすテロに対しては敏感なほうで、昨年、加藤紘一の実家が放火された時に、これを笑いものにした稲田朋美や、なかなかテロ糾弾のコメントを出さなかった時の首相コイズミおよび官房長官・安倍晋三を厳しく批判した。「稲田朋美」を検索語にしてGoogle検索をかけると、当ブログが上位で表示される。当ブログが稲田について詳しく述べたのは、下記エントリである。
"嘘つきが「教育改革」を進め、テロ肯定者が「伝統と創造の会」を主宰している"
(2006年11月23日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-184.html

伊藤一長・長崎市長の射殺事件の衝撃は、当然ながら加藤紘一邸放火事件よりさらに大きく、4月18日のエントリでは、いち早くテロに対して抗議した加藤紘一のメッセージを紹介するとともに、テロ批判の言葉が口をついて出てこなかった当時の首相・安倍晋三を批判した。

4月19日のエントリでも安倍を批判したが、その頃、伊藤市長を射殺した犯人が属していた「水心会」という山口組系の暴力団が「安晋会」と関係があるのではないかという情報を得た。それを紹介した4月20日のエントリ「きっこの日記」 からリンクを張っていただき、1日のブログのアクセス数が1万件を突破した。これには大いに感激したものだ。それにしても、耐震強度偽装事件、ライブドア事件に絡んだ野口英昭・エイチエス証券副社長の自殺に続いて伊藤一長長崎市長の射殺事件でも「安晋会」の名前が出てくるとは、いったいどういうことなのだろう。言論の自由を脅かすテロと戦うどころか、その逆方向のベクトルを持つ話ではないか。

その4月20日のエントリで紹介した、原田奈翁雄さんの評論を再掲したい。オリジナルは、4月20日付の「四国新聞」に掲載された(他の地方紙にも載っていたかもしれない)。

90年1月、本島市長は右翼の銃撃を受けて重傷を負った。
 事件は大きな衝撃だった。なんとか一命を、と祈った。だが、言論の自由とテロはせめぎ合いである。言論を守るためには、暴力と不断の対決を続けていくしかない。
 それから17年、いくつものテロが重なり、事態はさらに悪化しているといえる。それは、この間、日本国憲法第九条を立法、行政、司法が破り続けてきた事実と並行している。
 被爆の町の首長に対する度重なるテロ。私たちはどこかでいまだに暴力の効用を信じ、認めているのではないだろうか。米国は9・11テロに対して最大の暴力である戦争をもって応え、当時の日本の小泉首相は進んでそれを支持、自衛隊の派遣にまで至ったのである。
 戦争を容認する社会は暴力を容認している。そして、戦争を発動し得る者は政治権力以外には決してない。世界中の政府が交戦権を持つ限り、この地上からテロリズムを絶つことはできない。憲法九条だけが軍備の保有、政府の交戦権を認めず、戦争根絶の具体的な道を明確に示している。

(2007年4月20日付「四国新聞」より)

アメリカの「テロとの戦い」に対する批判は、この文章で十分ではないかと私は思う。今年9月9日のエントリで、私は、9・11の時に「アメリカはテロをやられても仕方のない国だ」という感想を持ったと書いた。なんでアメリカを批判するのに「9・11自作自演説」なんかを持ち出さなければならないのか、それが私には理解できない。それまでにアメリカがやってきた行ないを知っていれば、怪しげな自作自演説なんかを持ち出さなくとも十分アメリカを批判できるはずだ。

あまりにバカバカしいので、9・11の話題に深入りするつもりはないが、ちょっとだけ指摘しておくと、自作自演説を唱えているひとりのコンノケンイチ(今野健一)なる人物は、疑似科学をわめくトンデモの中でも、とりわけ程度が低いことで有名である。また、先日、社説で「9・11自作自演説」を取り上げたという「滋賀報知新聞」はまともな県紙ではない。滋賀には代表的な県紙が存在せず、京都新聞や中日新聞がその代替となっている。

こんな陰謀論なんかにかかわるのは時間のムダとしかいいようがないが、そんな極楽トンボの議論をやっているうちに、パキスタンでベナジル・ブット元首相がテロの銃弾に倒れた。

10月にブット氏が帰国を強行した直後に爆弾テロに狙われて多数の死者が出た。この時、いずれブット氏本人が凶弾に倒れなければよいがと思ったし、姪のファティマ・ブット氏の批判(下記URL)にも説得力を感じた。
http://www.afpbb.com/article/politics/2301938/2269126

だが、これもブット元首相が生きていればこその批判だ。テロは、すべてを無に帰してしまう。実質的にこの惨劇を招いたのは、ブットとムシャラフを連携させようとしていたアメリカだと言っても間違いではないだろう。

年末にはよく衝撃的な指導者の死がある。1989年のルーマニア・チャウシェスク大統領(12月25日)、それに昨年のサダム・フセイン(12月31日)。だが、彼らの場合はまだ独裁者の処刑だった。サダムの場合は、アメリカによる私刑の色が濃かったけれど。

それに対し、今回はテロである。それでなくとも暗い年末の気分を、さらに滅入らせる事件だった。パキスタンは核保有国であるだけに、アメリカによってもたらされた不安定が恨めしい。


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コイズミが国民を煽動した一昨年の「郵政総選挙」の前後で人生が変わった人は多いだろう。政治ブログの多くはこの選挙の直後に立ち上がったし、それより半年ほど遅れた当ブログも、あの選挙がなければ立ち上がることはなかった。

あの選挙戦の期間ほど、政治のことが人々の口に上ったことはなかったと思う。みな熱病に浮かされたように「郵政民営化は必要だ」と叫んでいた。

あの時、政治は娯楽と化した。その流れは今日に至るまで続き、田原総一朗が司会を務めるテレビ朝日の「サンデー・プロジェクト」の視聴率は、いまや巨人戦の視聴率より高い。

政治ブログを運営するブロガーの中にも、「政治ブログは敷居が高い」などと言う人がいるが、私には信じられない。俗悪な政治番組よりもさらに噛み砕いて政治の話題を解説したって何の意味があるのだろうかと思う。マスコミは与党寄りだ、などというのかもしれないが、現在のマスコミが自民党に甘く民主党に厳しいわけでは決してない。マスコミは政府を批判しながらも新自由主義政策の宣伝だけは怠りないとはいえるけれども。

ところで、今日の記事は政治番組ではなく、政治番組に視聴率で抜かれた巨人戦中継の話である。巨人戦の年間平均視聴率は、今年も昨年に続いて10%を割ったらしい(関東地方)。今年は、強力な裏番組が存在するなどの理由で視聴率の見込めない試合の中継数がずいぶん減らされたのに、平均視聴率はほとんど回復しなかった。

巨人戦というコンテンツが視聴者から見放されてきたのは明らかだ。これを、生活が苦しくなってきた国民がプロ野球への関心を失ったと見る人たちがいる。しかし、それは必ずしも正しくない。たとえば、今年53年ぶりの日本一になった中日ドラゴンズの親会社系のスポーツ紙「中日スポーツ」は、ドラゴンズ戦の東海地方における視聴率が2年連続で上昇したことを誇らしげに報じている。
http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/dragons/news/200710/CK2007100502053967.html

また、映画・放送・音楽の業界情報を伝えるという「文化通信.com」によると、ホークス(福岡)、ファイターズ(北海道)などの地域に密着した球団の野球中継は、「地方局の人気ソフトとして定着。「地元球団戦はスポンサーもすぐ付く」(地方局幹部)というように営業的にも優良コンテンツになっている」という(下記URL参照)。
http://www.bunkatsushin.com/modules/bulletin/article.php?storyid=11364

ところが、同じ記事は次のような指摘もしている。

かつての巨人戦に代わって地元球団のナイター中継が毎晩のように盛況かと思われた。ところが、地方局の意欲とは裏腹にさほど中継が増えていないのだ。

○キー局の巨人戦削減で、地元球団中継も削減に

 地方局が地元球団の試合を中継する場合、基本的にキー局が関東で巨人戦を放送している時間帯で行われる。しかし、日本テレビが今季巨人主催試合(全72試合)の中継を40試合に削減したのをはじめ、キー局の巨人戦中継が縮小されたため、地方局は思うように中継出来なくなってしまったのだ。加えて、多くの地方局が、系列キー局との兼ね合い、全国ネットセールスの影響等で、「巨人戦を中継せざるを得ない」という。
 名古屋地区では、3?4月の対巨人を除く中日戦で23試合のうち、わずか9試合しか中継されなかった。ちなみに、その平均視聴率は16・9%の高視聴率となっている。
 かつて「巨人王国」とまで言われた北海道・札幌地区での巨人戦ナイター4月平均は8・5%という結果だ。
 地方局は、地元球団戦ならもっと数字がとれるとの思いがあるだけに、ジレンマを抱えている。

(「文化通信.com」 2007年6月11日付記事より)

つまり、地方局は放送したくもない巨人戦を東京キー局に押しつけられ、迷惑を蒙っているというワケだ。人気が低下しているのは巨人戦であって、プロ野球全体ではない。いや、前記「中日スポーツ」の記事によると、熱狂的なことで知られる関西の阪神戦の視聴率も低下傾向にあるらしいのだが、巨人と阪神以外の地域に密着した球団は、決してテレビ中継の視聴率が下がってなどいないのである。

要するに、見捨てられたのは「プロ野球」ではなく「読売巨人軍」なのだ。巨人の球団経営は、「新自由主義的」の一語に尽きる。金の力にあかして四番打者とエース投手と抑えの切り札をかき集める。それが、ナベツネ(渡邉恒雄)や長嶋茂雄らが目指した巨人の野球だ。そして、新自由主義がワーキングプアや格差拡大の元凶であることが知れ渡ってきた現在、新自由主義色の強い巨人の野球から大衆の心が離れて行ったのである。

私は、阪神や中日の球団経営も新自由主義的だと考えている。現に阪神は巨人やメジャーと福留(元中日)らの争奪戦を展開した。しかし、阪神は争奪戦にことごとく敗れた。また、中日も、日本プロ野球においては、巨人・阪神に次いで新自由主義的な球団だが、金の力では巨人や阪神に勝てないので、チームづくりをそれをカバーしている。中でも荒木・井端の二遊間は、中日ファンでなくても感嘆の声をあげるほかない。阪神の人気低下は巨人ほどではなく、中日戦の視聴率は巨人戦・阪神戦とは逆に上昇しているのも、そこらへんと関係がありそうだ。見放されてきているのはプロ野球全体ではなく、新自由主義的な球団経営やチームづくりをしている巨人や阪神だけなのである。特に阪神の新自由主義的球団経営は、このチームがもともと持っていた魅力を著しく損ねるので、経営陣は方針を改めてほしいと思う。一方、巨人は「江川事件」以来のイメージ通りの球団経営だ。

それにしても、かかる不愉快な巨人戦の中継が視聴者のニーズもない地域に押しつけられ、地域の人たちが本当は見たい地元球団の試合の中継が見られないのは理不尽な話である。


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前々回のエントリ前回のエントリで述べた陰謀論批判について多くのコメントをいただいた。感謝したい。ただ、当ブログ管理人はコメント欄での議論には基本的に加わらない方針だ。コメント欄の議論に費やす時間があるなら、新しいエントリを公開したいと思うからであり、この点についてご了承願いたい。

さて、今年も残すところ今日を入れて6日となった。昨年のクリスマス・イブの記事にも書いたが、ヨーロッパではこれから1月1日までがクリスマス休暇になり、今ごろはあちこちで「メリー・クリスマス」の声があがっていることと思うが、日本ではクリスマスは昨日で終わり、あとは何日か働いたら年末年始の休暇という方が多いだろう。

マスコミは「10大ニュース」を発表する時期で、共同通信と加盟新聞社、ラジオ・テレビ契約社の報道責任者が選んだ2007年の10大ニュースが、24日付の地方紙各紙に掲載された。国内ニュースの1位が参院選における自民党の歴史的惨敗、2位が安倍晋三首相の突然の退陣・福田政権成立、3位が「消えた年金」で社保庁に対する怒り沸騰、4位が防衛装備疑惑で守屋武昌前防衛時間を逮捕、などとなっている。6位の「政治と金」問題が噴出、松岡利勝農相が自殺、というのを合わせて、上位に自民党政府の失態とそれに対する国民の怒りが現れたニュースが集中したのが今年の特徴だ。

2005年の10大ニュースの国内ニュース1位が衆院選における自民党の歴史的圧勝、2006年の10大ニュースの国内ニュース1位が安倍政権発足だったことを思えば、一昨年の誤った国民の選択が、「KY」と揶揄された安倍政権を生んでしまい、これが迷走したあげく自爆したのが今年だったといえる。民意は往々にして大きな誤りを犯すという良い見本である。

赤っ恥をかいて退陣し、引きこもっていて「うつ病」との噂もある安倍晋三だが、私は安倍を「過去の人」などと見くびっていると国民は痛い目にあうと警戒している。中には、「水に落ちた犬を叩くのを潔しとしない」とか、「安倍政権末期には安倍は郵政民営化に歯止めをかけようとしていた」などと言って、妙に安倍に甘い「リベ平」ブログがあって私は頭にきているのだが、安倍は復権への手を次々と打っている。中川昭一と無所属の平沼赳夫が呼びかけた極右議員の勉強会もその一つで、「真・保守政策委員会」なるオタッキーな名前がついた。これには安倍本人は加わっていないが、安倍に近い議員が雁首を揃えており、「AHA?Nの会」(安倍、平沼、麻生、中川昭のイニシャル)との異名をとる。安倍が目指した復古主義的な政策を研究する勉強会であり、城内実がもし議員に返り咲いたら当然これに加わるだろう。

さらに、NHK経営委員会は25日、NHKの次期会長に、アサヒビール相談役の福地茂雄氏(73)を任命した(下記朝日新聞記事を参照)。
http://www.asahi.com/business/update/1225/TKY200712250259.html

既に20日の朝日新聞記事で予想されていた通りの人事である。
http://www.asahi.com/business/update/1220/TKY200712200372.html

25日の朝日新聞の記事にあるように、古森重隆委員長(富士フイルムホールディングス社長)が同氏を推薦し、異例の採決で12人中10人の委員が賛成して決まったものだ。異例というのは、菅原明子、保ゆかりの2委員が反対を表明したのだが、通常は全会一致で決められるためである。12月20日のエントリで指摘したように、NHK経営委員会の委員には、古森委員長以下、竹中平蔵や安倍晋三の息がかかっている人たちが多い。次期会長に選ばれた福地氏も、古森委員長と同じく、安倍晋三や与謝野馨前官房長官を囲む財界人の集まり「四季の会」のメンバーである。今後のNHKでは、昨年から今年にかけて放送されて評判をとった「ワーキングプア」などの良質な番組が制作されなくなり、代わりに新自由主義や復古的国家主義のプロパガンダが垂れ流されることを覚悟した方が良いだろう。安倍晋三は決して野望を捨ててはいない。

一方で防衛疑獄の捜査線上に安倍晋三の名前が浮かんでいるとの情報もある。
http://alcyone.seesaa.net/article/74229385.html

あの日刊ゲンダイでさえ「本当なの?」と書くくらいの情報だから、あまり期待しない方が良いかもしれないとは予め断っておくが、しかし現実に以下のような新聞記事(12月24日)がある。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200712240187.html

防衛族団体に1億円支払いか 山田洋行、受注見返り?

 前防衛次官汚職事件で元専務が逮捕された防衛商社「山田洋行」が、福岡県の旧日本軍毒ガス弾処理事業の下請けなどをした時期に、防衛族議員らが理事を務める社団法人「日米平和・文化交流協会」側に計約一億円を支払っていた疑いが浮上、東京地検特捜部が関係者の事情聴取を進めていることが二十三日、分かった。

 この事業は交流協会が調査業務を行い、神戸製鋼所が受注した。特捜部は既に交流協会事務所や山田洋行本社の担当部署を家宅捜索、一億円が下請け参入などへの見返りだった可能性もあるとみて経緯を調べているもようだ。

 関係者によると、毒ガス弾は福岡県苅田町の苅田港で発見された。処理事業は第一期から第四期まで行われ、発注総額は計約二百十億円。旧防衛庁は二〇〇三年二月、処理に先立つ調査業務の入札を行い、交流協会の前身「日米文化振興会」が約九百万円で落札した。

 振興会が同年三月にまとめた調査報告書を基に、防衛庁は十一月に第一期分の処理事業の入札を実施。神鋼が約二十一億円で落札し、その後も受注を続けた。山田洋行は第一期と第二期の途中まで機器の納入や潜水業者の手配などで下請けに入った。

 山田洋行は下請け参入した時期に、交流協会専務理事の秋山直紀(あきやま・なおき)氏が関係する米国の団体に、業務協力費名目で計六十万ドル(約六千六百万円)を支払い、〇六年度に神鋼と別の取引が成立した際にも、秋山氏側に計三十万ドル(約三千五百万円)を支払った疑いが持たれている。

 神戸製鋼所は「山田洋行が下請けに入ったのは事実だが、外からの圧力や口利きは一切なかった」としている。

(2007年12月24日 中国新聞)


神戸製鋼所といえば、安倍晋三が大学を出て3年間勤めた企業であり、安倍の地元・下関市では神戸製鋼所とその関連企業は「リサイクルプラザ」など下関市内のゴミ処理関係の事業を次々と落札しているし、下関港に大型商業施設「あるかぽーと」を建設するウォーターフロント開発計画の事業主体「下関みなとまち開発」にも出資している(俵義文、魚住昭、佐高信、横田一、週刊金曜日取材班編 『安倍晋三の本性』 より)。果たして、防衛疑獄への安倍晋三の関与はなかったのか。続報に注目したいと思う。

基本的には、現在日本で切実な問題となっている生活問題(生存権問題)をないがしろにしてイデオロギーに走る安倍晋三ら極右政治家は、日本にとって百害あって一利なしだと思うが、私が警戒しているのは、今後彼らが政界再編の過程で民主党に接近することだ。民主党には、平沼赳夫の選挙区に対立候補を立てないなどという馬鹿げた構想があるそうだが、日本に害をもたらす極右勢力との接近だけはやめてほしい。もちろん、片山さつきと城内実の選挙区にも民主党は強力な対立候補を立てるべきだと思う。

その政界再編も絡んで、来年は今年以上の激動の年になりそうだ。


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今晩はクリスマス・イブだが、昨年のように「アヴェ・マリア」が「安倍マリア」に聞こえることもなく、少しだけ昨年よりは気分が晴れる。しかし、国民の生活にさす影は暗さを増す一方だ。

当ブログ管理人も平穏な休日とはいかず、裏ブログ 「kojitakenの日記」 および当ブログが、いずれもお騒がせの材料を提供した形となった。

まず裏ブログ関連の話題からいうと、大阪府知事選に関する 「橋下徹当選の見込みはほとんどない」 という記事に、8千件以上のアクセスが殺到した。今日(12月24日)のブログへのアクセス数は6,735件を数え、過去最多を大幅に更新した。

これは、朝日新聞の記事をもとに、来年1月に行われる大阪府知事選に自民・公明両党の推薦を受けて立候補が予想されているタレント弁護士の橋下徹の落選を予想した記事である。短い記事なので、以下に再掲する。

■橋下徹当選の見込みはほとんどない

朝日新聞より。
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200712210088.html

「財界、熊谷氏支持に傾く」と題されたこの記事を読んでいると、大阪府知事選はもはや勝負あり、お笑い右翼弁護士・橋下徹が当選する可能性はほとんどないように思う。

公明党は推薦に難色を示しており、自民党もまだ推薦を決定していない。右翼的な発言ばかりではなく、公約に福祉切り捨てを盛り込もうとしている非常識な橋下に、さしもの自民党も手を焼いているのではないだろうか。私は最終的に自民党は橋下を推薦しないと予想する。さすがに熊谷氏を推薦する恥知らずな行動は取れないだろうから、自主投票にして不戦敗にするか、他の候補を探すかのどちらかだろうが、いずれにしても自民党の威信は大きく低下し、党の崩壊はさらに進むだろう。また、橋下は出馬表明撤回に追い込まれ、赤っ恥をかく羽目に陥るのではなかろうか。

それにしても、テレビで共演していた勝谷誠彦が橋下を批判したり、やしきたかじんが「出馬を勧めたのではない」と言い出すなど、機を見るに敏なポピュリスト芸能人たちの冷血ぶりには呆れるね。こんなやつらに煽動される視聴者は「B層」の一語に尽きるよ。

[追記]

橋下は高齢者予算を削減する方針を撤回し、自民党の府議団は全会一致で橋下の推薦を決定したそうだが、自民党執行部がこれを認めるかどうか。橋下を推薦した場合、公明党は積極的には動かず、創価票が普段のようには出ないと予想されるので、橋下は熊谷氏に歴史的惨敗を喫し、それが中央の政局に大きな影響を与えることは火を見るより明らかだ。

(「kojitakenの日記」 2007年12月23日 「橋下徹当選の見込みはほとんどない」)


この記事には、30件以上の 「はてなブックマーク」 をいただいているが、つけられたコメントにはネガティブなものが結構多い。

まず、橋下に批判的な立場の人たちからは、楽観的に過ぎる予想だと見られている。
# 2007年12月24日 kyo_ju kyo_ju 某政治評論家ばりの希望的分析に見える。自公は選挙中は言いたいこと言わせて当選後にうまいこと操るハラでは。
# 2007年12月24日 I11 当選する可能性が無い人が当選してしまうのが選挙の怖いところ。橋下ほど小心な男はいない。違法な懲戒請求を扇動したが自分では請求しなかった。当選できる可能性があるからこそ小心者の橋下は出馬した。

「某政治評論家ばりの希望的分析に見える」と言われれば、返す言葉はない。その通りだからだ(笑)。私は、朝日新聞の記事を読んで思ったことをさらっと書いただけだ。まさかこんなに反響を呼ぶとは思わなかった。

大阪人に対して懐疑的なコメントもついている。
# 2007年12月23日 sajiwo 有権者が大阪人っていうのを忘れていませんか。
# 2007年12月23日 kechack 大阪はB層が厚いからなぁ

大阪府民の方々には、この芳しくない下馬評をひっくり返してほしいものだが、B層からとおぼしき、こんなコメントもある。
# 2007年12月23日 proofreading 橋下になんか個人的な恨みでもあるのか?よくわからんが不快だから橋下に投票してやろう。

こんなコメントを見ていると不安を感じなくもない。確かに大阪は、石原慎太郎や丸川珠代を当選させた東京と並んで常識が通用しないところがある。だが、ここは一つ大阪府民の良識に期待したいと思っている。

本家の当ブログでは、リベラル・平和系とされるブログにも蔓延する「トンデモ」(疑似科学)や「陰謀論」を批判した昨日のエントリが議論を呼んだ。この記事は、疑似科学に容認的な人たちが形成するコミュニティに異を唱えるものだったためだろう、一部から強い反発を招いたが、それらに対して当ブログはリンクの解除やトラックバック及びコメントの禁止措置で応じた。かかるコミュニティを形成している人たちの閉鎖性が、かえって一般の人たちを遠ざけたり閉め出したりしているのではないかと当ブログは考えるからであって、そんなのをいちいち相手にしている暇などない。

そもそも、「ケムトレイル」や「HAARP気象兵器説」を喧伝しているブログをもてはやすコミュニティなどには近寄らないのが、一般の人々の健全な感覚だろう。自民党政治を終わらせたり、「野党共闘」を実現させるためにブログが貢献するためには、こうした「トンデモ」や「陰謀論」の誘惑をはねのける姿勢が求められると思う。

最後に、久々にTBをやりとりする機会を得たブログ 「アルバイシンの丘」 から、強く共感した箇所を引用したい。

もし陰謀論をリードする人たちがその陰謀論が持て囃される状況に乗って我々のリーダーのような立場に就く可能性も無きにしも非ずである.それはリーダーとしてふさわしくない人がリーダーにつくことを意味する.これは反戦,平和運動にとって極めて大きなマイナスである.陰謀論に不当な(良い)評価を与えることはこういう危険性を招く.これは一種のポピュリズムであるから,そのようになる恐れは十分にある.

(中略)

何でもユダヤの所為にしたら簡単であるが,小泉のワンフレーズの単純さと五十歩百歩となる.これでは強靭な智の形成はとても覚束ない.世の中の正しい分析のために,簡単には陰謀論を受け付けないようにしよう.

(「アルバイシンの丘」 2007年12月9日 「続・9.11陰謀論の陥穽」 より)

その通り! 当ブログもまた声高らかに叫びたい。「くたばれ、疑似科学」、そして「くたばれ、陰謀論」と。


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ブログ言論の何がいけないといって、それが全世界に向けて発信しているインターネットに乗っているものであるにもかかわらず、妙に閉鎖的で、「トンデモ」や「陰謀論」が横行することだ。これは、ネット右翼系、リベラル・平和系を問わない傾向だ。

本論はリベラル・平和系ブログに横行する陰謀論やトンデモへの批判だが、最初にネット右翼系のトンデモの例を挙げておくと、今夏の参院選にも出馬した某有名ブログの管理人が、「ナノ食品」なる怪しげな商売をやっているとの情報がある。
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20070906

「極右」を自称しながらこんなことをやっている者を叩くのは簡単だが、当ブログは、より性質が悪いのは、「筋の通らない味方」であると考える。

最近、「トラックバックピープル・自民党」や同種のTBPに、疑似科学の範疇に属するエントリが多くトラックバックされ、それが私を苛立たせる。代表的な例が「9・11自作自演説」で、最近はこの説を当然の前提とした議論を展開するブログが続出しているありさまだ。

当ブログにトラックバックいただいた 「たんぽぽのなみだ?運営日誌」 に紹介されている 「アルバイシンの丘」 で展開されている 「9・11自作自演説」 をめぐるコメントツリーはすさまじいものだ。これに当ブログが参戦するつもりはないが(エネルギーを消耗するだけなので)、代わりにいくつかの馬鹿げたトンデモを紹介しておこう。

一つは、ケムトレイルというやつ。いちいち説明するのもバカバカしいので、下記ブログ記事をご参照いただきたい。
http://cp.rdy.jp/2007/02/post_692.html

また、アメリカで行われている高周波活性オーロラ調査プログラム(HAARP)を気象兵器だとか地震兵器だとか騒いでいる人たちもいる。これも、鬱陶しいので 「HAARP 気象兵器」 を検索語にしてネット検索してみてください、というにとどめておく。こんな記事ばかり公開しているブログが「Google八分」に遭っていると騒いでいるが、単にあまりにバカバカしいので、そんなものを検索したり、トンデモ記事を読もうとする人などほとんどいないだけの話である。そんなサイトを相手にしていられるほど権力側もヒマじゃない。

こういう陰謀論大好きのブログを 「気づいて」 くださいとばかりに好意的に紹介していた軽率なブログがあった。管理人に悪意は全くないとは思うが、結果的に世間に害毒を垂れ流していると当ブログは考えるので、影響されかかっている方がおられるなら、再考を促したい。

そういえば、「水からの伝言」 というのも、中学生にも見抜ける程度のどうしようもないトンデモである。

これは、氷の結晶を作る際に「ありがとう」や「平和」など「よい言葉」をかけると美しい雪花状の結晶ができ、「ばかやろう」や「戦争」など「悪い言葉」をかけると汚い結晶ができると主張しする本が、写真つきで出版され、20万部のベストセラーになったというものである。言葉のかけ方は「紙に言葉を書いて、水を入れたビンに貼る(この際、水から「見える」ように文字の書かれた面を内側にして貼る)」あるいは「水のはいったビンに向かって声をかける」などである。また、水を入れたビンに「音楽を聴かせる」と音楽の種類によって結晶形が変わると主張されている。このトンデモを信じかけた方がおられるなら、下記の記事(たいへん良い記事だと思う)をよくお読みいただきたい。
http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/fs/

なお、この件については、水の入ったビンに "Shine!" と書いた紙を貼ったらどうなるか、と指摘した人がいて、これには大笑いしてしまった。英語では「輝け!」という意味だし、2ちゃんねる用語だと「氏ね!」という意味になるからだ(笑)。

以上は主に疑似科学の話で、ことに最後のものは陰謀論とも関係ない単なる笑い話だが、人文・社会科学の領域に属する事項についても、陰謀論やトンデモは後を絶たない、というより自然科学に関係するもののように誰にでも分かるトンデモの否定を行うことが容易ではないので、陰謀論は百花繚乱の観を呈している。

たとえば、アメリカがグローバリズムを日本に押し付けようとしてきたことは紛れもない事実だと思うし、それがアメリカの国益にかなうという動機に発していることも議論の余地はないと思うが、何でもかんでも「アメリカの陰謀」に結びつけてしまうのは危険な傾向だと思う。この傾向は、関岡英之の著書を金科玉条のようにありがたがっている人たちに特に顕著で、「反郵政民営化原理主義」あるいは「反年次改革要望書原理主義」とでも称するべきものであると私は考えている。何度も書くように、そこでは関岡英之の立てた仮説が「ドグマ」(教義)と化してしまっている。関岡の指摘自体は評価に値すると思うのだが、それが教条主義化してしまっているのが残念なところである。竹中平蔵はアメリカのエージェントなんかではなく、単なるアメリカかぶれの四流経済学者であり、われわれはアメリカの脅威におびえるより、竹中ごときにダマされる日本人の民度の低さを、それこそどげんかせんといかんと思う。

いずれにせよ、当ブログは新自由主義とも闘うが、「トンデモ」や「陰謀論」とも闘わなければならないと思う。「トンデモ」や「陰謀論」はポピュリズムに乗りやすい俗論の代表的なものであり、ポピュリズムはファシズムへの道を開くものであると当ブログは考えるからである。

[追記] (2008.2.29)
当エントリにコメントされる方は、下記URLの記事をよくお読みください。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-575.html


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余裕がないので、今日は断片的な記事になるがご容赦願いたい。

韓国大統領選は、下馬評通り野党ハンナラ党の李明博(イ・ミョンバク)氏の圧勝となった。10年ぶりの保守政権への政権交代となったが、指摘されつくしているように、右派思想の勝利ではなく、すさまじい格差拡大を招いてしまった盧武鉉(ノ・ムヒョン)左派政権の経済失政の責任が問われた形だと思う。保守の李明博に格差縮小を期待するのは難しいと思うが、日本の自民党や民主党、国民新党がそうであるように、保守といってもいろいろだから、格差拡大に歯止めをかけるくらいはできるかもしれないと思う。

一方、日本の保守政権は誰もが納得しない薬害肝炎訴訟の和解協議への対応でますます国民の信認を失い、もはや死に体といえるだろう。朝日新聞の世論調査では、福田内閣の支持率は31%にまで落ちた。共同通信35%、毎日新聞33%、朝日新聞31%と、各社が調査するたびに内閣支持率が落ちていく。今自民党が大連立工作に走ることは、民主党を分裂させるどころか自民党自体が分裂するリスクが高まるだけだから、いよいよ手詰まりになってきた。いま自民党には、コイズミチルドレンら新自由主義勢力と、中川昭一、麻生太郎、それに無所属の平沼赳夫ら極右(陰に安倍晋三もいる)がそれぞれ執行部に対する潜在的な抵抗勢力として存在し、しかも新自由主義勢力と極右勢力は互いに犬猿の仲だ。だから、自民党には三分裂する可能性さえある。新自由主義勢力と極右勢力はそれぞれ民主党に接近するだろうが、民主党と体質的にいちばん近いのは福田首相らの執行部を含む旧保守にあたる勢力だから、今後はむしろ民主党が自民党の分裂を誘う揺さぶりを強めるのではないかと思う。コイズミチルドレンら新自由主義勢力と、「AHA?N(アハ?ン)の会」(安倍、平沼、麻生、中川のイニシャルより)という能天気な異名を持つ極右集団を排除した上での自民・民主連立になる可能性もあるかもしれないが、連立に対抗する勢力としては公明党もあるので、政局はなお波乱含みだ。ただ、一つだけいえることは、かつての新自由主義マンセーの雰囲気から一転して、新自由主義的政策が世論の冷たい視線を浴びる傾向が今後さらに強まるだろうということだ。

NHKの会長人選問題については、朝日新聞が「財界人には務まらない」というタイトルの社説で古森重隆・NHK経営委員長の暴走を批判している。
http://www.asahi.com/paper/editorial20071221.html#syasetu2

しかし、その朝日新聞は、社説で自ら認めている通り、9月には古森氏を持ち上げるような社説を書いた。この問題を考える上で必読なのは、「醍醐聡のブログ」 である。管理人の醍醐聡氏は東京大学大学院経済学研究科教授で、「市民の手でNHK会長を」と呼びかけている。
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/post_2493.html

また、朝日新聞が9月に古森重隆を持ち上げる社説を掲載した時には、これを鋭く批判した。
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/nhknhk_bb11.html

「醍醐聡のブログ」は連日精力的に更新されているので、目が離せない。

それにしても、単に福田政権のみならず、自民党政権自体が急速に崩壊へと向かっているようにしか見えない。単に自民党が政権を維持するためだけなら、コイズミの再登場しかないと思えるくらいだ。もちろんこれは国民にとって最悪の選択肢だが、コイズミ自身自らの名声を地に落とす選択は行わないと私はにらんでいる。阿鼻叫喚の中、自民党は内部から崩壊していく。来年の政界がどうなるのか、私には想像もつかない。来年のことをいうと鬼が笑うというが、この情勢だと来年には確実に総選挙がある。今年以上の激動の年になりそうだ。


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今日は、トラックバックいただいた 「カナダde日本語」 の記事 「汚職問題もうやむやな中でイージス艦SM-3迎撃実験に莫大な費用をかける防衛省」 を下敷きにして記事を書いてみたい。

海上自衛隊のイージス艦「こんごう」が米ハワイ沖で海上配備型の迎撃ミサイルSM3の発射実験を初めて行い、迎撃に成功したというニュースは、一昨日(18日)に大きく報道された。

実は私は先日来、元朝日新聞記者の田岡俊次氏が書いた 『北朝鮮・中国はどれだけ恐いか』 (朝日新書、2007年)を読んでいる最中だった。ミサイル防衛(MD)についても書かれているので、この本を題材に記事が書けるな、と思った次第だ。

「カナダde日本語」は石破防衛相をおちょくっているが、前記田岡氏の著書のオビには、「石破茂(元防衛庁長官)が絶賛!」と書かれている。田岡氏は、いわゆる「軍事オタク」で、防衛省や自衛隊に対して強い影響を持っており、関係者の間では「元帥」と呼ばれている。その思想信条は「武装中立」であり、自民党とも社共とも立場を異にする。朝日新聞の入社試験の面接で、「有力な武力を持ち、それによって戦争を回避する自主防衛、武装中立が望ましい」と持論を述べたところ、朝日新聞社の幹部たちは笑ってうなずき、1人は「理論上はその通りでしょうな」と言ったという(前掲書、15頁)。同じ軍事オタクの石破防衛相とはウマが合うのだろう。

その田岡元帥は、北朝鮮の核兵器開発能力を決して見くびってはいない。昨年行われた北朝鮮の核実験については、アメリカが意識的に実験を過小評価する情報を流したというのが田岡氏の分析である。

当然、北朝鮮の核兵器の脅威に備えなければならないというのが田岡氏の主張になるのだが、そのために一番効果が高いのは「地下避難」だという。広島原爆の際、爆心地にありながら地下室にいたため助かった人の例を引きながら、スウェーデン(よく社会民主主義のお手本とされるし、当ブログもその意見に傾きがちである)の防衛政策も、大がかりなシェルターで被害を軽減する方法を選んだことを紹介している。田岡氏によると、地下避難によって人的被害は4分の1に抑えられるという。

それではミサイル防衛はどうかというと、田岡氏はいたって否定的なのだ。技術的な問題点が多く、成功したとされる米海軍のSM3迎撃実験にしても、目標となるミサイルの発射地点や発射時間、飛行方向などのデータが事前に分かっていて、「野球の練習で「センターフライ」と予告して受けさせるような形だから、実戦とは大違い」ということだそうだ。加えて、日米で共同開発中の「SM3ブロック2」は、本来米国に向かう長距離弾道ミサイルに対抗するために大型化し、高い高度での迎撃を目指すものだから、こんな米本土を守るためのミサイル開発に日本が金を出すのはおかしいとしている。集団的自衛権以前に問題があるというのだ。さらに、200基以上あるとされるノドンへの対応は不可能であるともしている。結局、ミサイル防衛は「ないよりまし」か「気休め程度」というのが田岡氏の結論である。

もちろん巨額の費用がかかることも田岡氏は指摘している。当初防衛庁が経費が1兆円以上かかりそうだったために難色を示していたのに、アメリカが執拗に日米共同開発を口説くと、断る勇気がないままズルズル行ってしまったことについて、田岡氏が「まるでセクハラ上司が訪ねてきたのを、断るのも気まずいと思い、お茶だけならと部屋に入れる女性のようだ。断り切れずにズルズルと深みにはまるんじゃないか」と防衛庁高官をからかったところ、このたとえ話が「誘われるままホテルに行こうとしている」と変形されて防衛庁で流布した、防衛官僚たちも内心は(田岡氏と)同じ思いだったか、と笑ったものだったと述懐している。これが、麗々しく「実験成功」と報じられたミサイル防衛の実態なのである。

これだけネガティブなことばかり書いておきながら、田岡氏の結論は「ミサイル防衛は経費が莫大なうえ、完全に日本を守ることはできないが、爆撃機に対する高射砲と同様、ないよりはまし」というものだ。つまり、氏はミサイル防衛を否定する立場には立たない。このあたりが、防衛省や自衛隊に影響力を持ち、石破とも気脈を通じる田岡氏らしいのだが、これだけの材料が提示されれば、普通の感覚なら「ミサイル防衛は防衛費の無駄遣い」ということになるはずだ。少なくとも、当ブログはそう主張する。

この本では、昨年額賀福志郎が唱え、安倍晋三が「議論を深める必要がある」とした「敵基地攻撃論」を、「まったくの机上の空論」であるとして論破したり、やはり昨年中川昭一が唱え、過去(2002年)には安倍晋三も唱えたことのある核武装論を「日米対決を招く」として厳しく批判している。田岡氏にいわせれば、勇ましく敵基地攻撃論や核武装論を唱える政治家や言論人は、「タカ派」ではなく軍事常識に乏しい「バカ派」だそうだ。安倍晋三や中川昭一、額賀福志郎らを「バカ」と評しているも同然のこの田岡氏の本を、石破茂が絶賛していることは注目に値すると思う。

「カナダde日本語」は、防衛費の無駄遣いをやめてワーキングプア対策に回せと主張しているが、これまたもっともな指摘だ。ワーキングプアというと、先日NHKで放送されたシリーズの第3回が評判をとったが、「紙屋研究所」による番組評が大評判で、なんと1000件近い 「はてなブックマーク」 がついている。

これは、脱帽するしかないみごとな番組評で、1000件近い「はてブ」がつくのも納得できる。ちなみに、当ブログの記事では「はてブ」は40件強が最多(「日本は世界有数の過激な新自由主義国家ではないか?」)で、裏ブログ 「kojitakenの日記」 では70件強が最多(「731部隊元隊員が証言 「慰安婦を生体解剖したこともあった」」)である。

話が脱線したが、肝心の「紙屋研究所」の番組評のURLは下記である。まだご存じない方は、是非ご参照いただきたい。
http://www1.odn.ne.jp/kamiya-ta/workingpoor5.html

でも、やっぱりなんといっても称賛に値するのは、かかる番組を制作したNHKであって、視聴率8.1%を記録したこの番組は、確実に世論を「反新自由主義」の方向に導く力を持っている。関西の人には、「たかじんのそこまで言って委員会」などという「TVタックル」の劣化コピーの番組を擁護するのはやめて、NHKの真面目な番組をじっくり見てもらいたいと言いたい。

しかし、NHKのこうした番組を快く思わない竹中平蔵や安倍晋三らは、NHKを自民党の思うがままに操ろうと画策している。ネット検索したら、古森重隆が委員長を務めるNHK経営委員会に竹中や安倍の息がかかっており、これが業務への関与を強めていることを指摘した毎日新聞の記事(11月5日付)を見つけた。リンクが切れているので、当エントリの末尾に収録した。「安倍内閣末期には、郵政民営化を止めようとする動きが見られた」とか何とか言って、安倍晋三を再評価しようとしている「リベ平」ブログがあるが(安倍が城内実と近いからだろうか?)、この毎日新聞の記事をじっくり読んで、安倍が竹中と近い、紛れもない新自由主義者であることをよく再認識してほしい。NHK経営委員会長の古森がNHK会長を外部から招聘しようと暴走しており、一部の委員がこれを強く批判していることが、昨日の新聞に報じられていた。最初読売に出ていたが、より詳しく朝日新聞に報じられているので、こちらをご紹介する。
http://www.asahi.com/culture/tv_radio/TKY200712190291.html

竹中平蔵にしても安倍晋三にしても「過去の人」でもなんでもなく、こうやって取り巻きの古森などを用いてメディアを支配下におさめて巻き返しを図っていることは明らかだ。彼らの策謀が成就する前に、自民党政権を終わらせなければならないと強く思う。
年末はどうしても忙しいので、ブログもふだんのペースでは更新できない。

当ブログは、しばらく前から月曜日を定休日にして、火曜から金曜までは前日夜に作った下書きをもとに、朝早起きして一気に書き上げ、公開してきていた。朝刊の記事が注目を引いたときは、急遽題材を変更することもある。出勤時刻という締め切りがあるので、おかしな箇所がいくつかあったりするが、それは昼休みまたは帰宅後に修正している。また、土日は時間帯には特にこだわらず記事を公開している。

しかし、昨夜は遅くまで仕事だったので、NHKスペシャルの年金特集も見られなかったし、記事の下書きもできなかった。おまけに今朝は早起きできなかったので、朝に記事を公開することができなかった。いつもの週と違って、日曜日に記事を公開せず月曜朝に公開したのだが、これが生活のリズムを乱し、やや疲れが出てしまったせいもある。本当は、日曜日の夜に放送されたNHKスペシャルの「ワーキングプア III」を見終えたらすぐに記事を書いて公開しようと思っていたのだが、番組が終わると同時に緊張感が緩んで睡魔に負けたのである。

そんなこともあって、今日はブログをお休みしようと思っていたのだが、昼ごろ携帯で見た 「きっこの日記」 の 「12月18日」 という日付を見て、今日が特別な日であったことを思い出した。それで、いつもよりちょっと早く帰宅して、ブログの記事を書く次第だ。

2年前の12月18日は日曜日だった。この日は朝からテレビの政治番組が耐震強度偽装問題を取り上げていて、あたかも「きっこの日記」がリアルのジャーナリズム(という表現が妥当かどうかわからないが)をリードしている観があったが、その「きっこの日記」にイーホームズ・藤田社長からのメールが掲載されたのである(2005年12月18日付)。

これを読んだ私は大いに興奮し、「今日はインターネットが社会を動かす力を持つようになった記念すべき日だ、私はそれを目の当たりにしているのだ」と思った。これが私がブログを始めようと思った最初のきっかけだ。もちろん、それ以前からコイズミを倒すためのブロガーズ同盟は知っていたが、私の背中を押したのはこの日の「きっこの日記」だった。

しかし根が怠惰な私が実際にブログを始めるまでにはその後4か月を要し、その間ライブドア事件や偽メール事件が起きた。ことに衝撃的だったのはライブドア事件に絡んだエイチ・エス証券の野口英昭副社長の沖縄での変死(「自殺」とされた)であり、「きっこの日記」はこの件に関しても、「ある往復書簡」 で私に大きな衝撃を与えた(2006年2月8日付)。しかし、民主党の大失策である偽メール事件がライブドア事件への追及の機運を一気にしぼませ、私がブログを始めた昨年4月には、政治をめぐる状況は再び閉塞感に覆われていた。私には、「コイズミカイカク」も許せなかったが、それ以上に戦前体制への回帰指向の強い安倍晋三が許せず、せっかく耐震強度偽装問題やライブドア事件で「安晋会」をめぐる疑惑が噴出しながら、偽メール事件に助けられて安倍が逃げ切ったことに対して強い不満を持っていた。

当時、次期総理大臣の本命と見られていた安倍を打倒する運動をやりたい、ひそかにそう思いながらブログを始めてから2か月近く経った頃、安倍が統一協会に祝電を送っていたことを教えてくれたのは、またしても「きっこの日記」だった(2006年6月6日付)。

さっそく当ブログは同日付でこの件を取り上げた。そこから、「カナダde日本語」 が提唱した 「安倍を異常終了させる」 ための 「AbEndキャンペーン」 に一番乗りで参加するまでは12日しか要していない。そして、「AbEndキャンペーン」がスタートしたのは、「きっこの日記」に決定的な衝撃を受けてからちょうど半年後に当たる昨年6月18日だった。今日は、それからまる一年半に当たる日でもある。

「AbEndキャンペーン」開始から1年あまりが経った今年7月29日に投開票が行われた参院選で自民党は惨敗し、安倍はそれでも居座る「KY」ぶりを見せたものの、2か月後に辞任した。「AbEndキャンペーン」の成功もあって、当ブログの累積アクセス数は10月8日に100万件を突破し、今月14日には120万件に達した。とはいっても1日平均のユニークアクセス数は2千件程度で、「きっこの日記」の数十分の一に過ぎないが、検索エンジンで検索する時、自分のブログが上位にいるのを目撃するのにも慣れてきた。たとえば、先日から「福田内閣支持率」を検索語にGoogle検索すると、なぜか当ブログが上位で引っかかる。

だが、この一年半で、ブログ世界の特殊性も痛感するようになった。政治ブログの数はあまりに少なく、そこでは、世間一般では通用しないような言説がまかり通る。ネットの言論をリアルの世論と同一視して失敗したのが2000年の加藤紘一だったが、今年は安倍自民党が同じ失敗を犯した。年金問題の責任を民主党の菅直人に押し付けようとしたビラを発案したのは自民党の片山さつきだそうだが、これを最初に見たとき、私は「2ちゃんねらーの喜びそうなビラだな」と思ったものだ。菅直人や土井たか子を笑いものにする言論は、確かに2ちゃんねるではウケる。しかし、現実社会では失政の責任を野党幹部に転嫁する言論は、為政者の無責任さを印象づけるだけだ。このビラは自民党の印象を悪化させる逆効果しか持たなかったが、片山さつきらは2ちゃんねるの言論を世論だと錯覚してしまったのではないかと当時想像したものだ。

しかし、権力側のこんな失態をリベラル・左派系ブログも笑ってばかりはいられない。具体的には指摘しないが、「リベ平ブログ」の多くを支配しているのも陰謀論とポピュリズム、それに原理主義である。「9・11」の自作自演説を当然の前提とするブログ、スローガンを連呼するだけのブログ、郵政民営化に反対でさえあれば極右とさえ手を結ぼうとするブログ、こういうブログの数々を見ていると、頭痛がしてくる。

かくいう当ブログも、安易なエントリを上げるようになってきていることを先日痛感した。そろそろブログとのかかわりを軌道修正しなければならない時期にさしかかってきたようにも思う。当ブログは、「ネット言論などというたいそうなものなんかやっているつもりはない」などとうそぶくことはしない。あくまでブログの質の向上と社会への意見の発信を意識している。だが、現状の当ブログはあまりに力不足である。実力を蓄積する時間を割くために、今後は更新の頻度が減るかもしれないが、どうかご容赦いただきたいと思う今日この頃である。


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昨夜(12月16日)、NHKスペシャル「ワーキングプアIII」が放送されたので、食い入るように見た。同様の方は多くおられたことだろう。

今回は、NHKは他の新自由主義国の状況を取材していた。韓国、アメリカ、それにイギリスである。

番組によると、韓国は、いまやアメリカ、日本に次いで貧困率の高い国とされている。非正規雇用者の比率も韓国では55%と、日本の33%をも上回っており、すさまじい貧富の差が発生している。

これを見て思い出したのが、20年近く前、今のNHKテレビ「生活ほっとモーニング」が「おはようジャーナル」と言っていた頃に、韓国の同種の番組とタイアップして行われた企画だった。この頃、日本では「過労死」が問題になっていたが、韓国も同種の問題を抱えていたのだった。

韓国は大統領選の投票日が目前だが、昨日もテレビ朝日「サンデープロジェクト」が伝えていたように、野党ハンナラ党の李明博(イ・ミョンバク)候補が圧倒的な優勢のようだ。韓国は金大中、盧武鉉と左派政権が10年間続いたが、これらの政権は新自由主義的な経済政策をとった。ことに盧武鉉政権下では貧富の差が拡大し、これによって政権は若年層の支持を失い、政権を明け渡しそうな現在の状況を招いたとされている。李明博は、田中角栄を連想させるたたき上げ型の保守政治家だが、李氏が格差社会を解消する保証は何もないけれど、盧武鉉の後継候補には何も期待できない、というのが韓国の世論のようだ。韓国では、「盧大統領が李明博候補支持宣言をすれば、李候補の独走にブレーキがかかる」という盧武鉉大統領の‘最後の一発’という笑い話も出回っているという(下記URL参照)。
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=93819&servcode=100§code=120

脱線してしまった。話を「ワーキングプアIII」に戻す。番組ではアメリカの例も取り上げ、過去日本円にして年収1千万円を得ていながら、事業がインドに移転したために失業し、ワーキングプアに転落した現在46歳のIT技術者を取り上げていた。これを見て、12月11日の当ブログエントリ 「日本は世界でも有数の過激な新自由主義国ではないのか?」 に寄せられたsonicさんのコメントで紹介されたsonicさんのブログ記事を思い出した。
http://gold.ap.teacup.com/vodka/18.html

「中村修二氏をめぐる思い込みと、不遇なアメリカの技術者たち」
と題されたこの記事(2005年3月28日付)に、下記のような指摘がある。

 現在アメリカ企業はグローバル化を積極的に推し進め、海外に「開発拠点」を移しています。
「製造拠点」ではありません。「開発拠点」です。
 アメリカのソフトウェア技術者の時給は平均で訳120ドルです。それがインドなら18ドルですみます。開発者はアメリカが60ドルなのに対してインドは6ドルです。この賃金差に経営者が飛びつかないはずがありません。
 今年の1月に回覧されてきた日本政策投資銀行の調査によれば、アメリカの大手企業は続々と研究機関や本社機能の一部を海外に移しています。アメリカの調査会社フォレスターリサーチ社によれば、海外移転によってアメリカ国内で失われた雇用は2002年に40万人分でした。2015年には330万人分になると予想されています。それに対してUSベーカリー社は1400万人分と予想しています。
 更に問題なのは、失われる職種です。
 フォレスターリサーチ社の調査では、今後アメリカ企業が海外移転の対象としている職種は第一にIT関連産業、第二にオペレーター業務、第三に金融関連業務でした。中村氏と関わるIT分野は、2015年までに47万人が海外移転されると予想されています。
 日本政策投資銀行の資料によれば、CFOマガジン社の調査で今後海外移転される分野は年収50000ドル以上の賃金を得ていた知的労働/研究開発分野だとのことです。
 つまりこれからのアメリカは、修士以上の能力をもった知的エリートが没落し、大資本家と超低賃金サービス業労働者に二極分解する傾向を強めていくわけです。

(Хуй Войнеと叫ぶBlog 2005年3月28日付記事 「中村修二氏をめぐる思い込みと、不遇なアメリカの技術者たち」 より)


番組で紹介された技術者は、まさにこの犠牲者だ。「アメリカン・ドリームはどこに行ってしまったんだ」という彼の嘆きは痛切だ。

しかしそのアメリカやイギリスといった日本に先駆けて新自由主義をとった国でも、国家や州政府レベルでの貧困対策がなされ始めている。イギリスなどはサッチャーが新自由主義カイカクを始める前は福祉国家だったし、日本に移り住んだイギリス人の話などを聞いても、現在でも福祉は日本よりよほど充実している。そもそも大部分の先進自由主義国は福祉国家となっていたのだが、日本は1973年にようやく「福祉元年」宣言をしながら、その6年後に登場したサッチャーやさらにその翌年に登場したレーガンの影響を受けた中曽根康弘内閣が「民活」(民間活力の活用)路線をとってバブル経済を招いた。その間、福祉は充実されておらず、日本はもともと「小さな政府」だった。軍事費ばかりに金をかけたアメリカともども、日本は資本主義国家として例外的な低福祉国家だったのだ。その日本が新自由主義路線に走ったのは、何度も書くがこれ以上ない愚行だった。

ところで、今回も 「大津留公彦のブログ2」 からトラックバックをいただいている。大津留さんは、いつも番組を見てすぐに記事を書き、TBを送ってくれるのでたいへんありがたい。
http://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/post_7769.html

大津留さんは、「番組で内橋克人さんも感想を語っていたように個人の頑張りで救える事態ではない」と書かれているが、鎌田靖キャスターも、国レベルや社会全体の取り組みは決定的に遅れていると、憤りを込めて語っていた。コイズミ・安倍が行い、福田康夫が継承している新自由主義政策へのプロテストである。

作家の雨宮処凛さんは、ワーキングプアの人たちが抱える不安定感は「愛国」にさらりと絡めとられる、と指摘している(『生きさせろ!』 より)。以下引用する。

 若者の右傾化がいわれて久しい。最近の右傾化の背景には雇用不安があることは指摘され始めてきているが、彼の言葉にはそれが凝縮されている気がするのだ。
 そしてそのひとつ、フリーター的な生き方は、社会との接続感が得られないという問題もある。以前は社会が与えてくれた社会との接続感を、いま、多くの若者が奪われ、浮遊している。社会にほんの少しでも参加しているという意識があまりに希薄な毎日。どことも繋がっている認識がなく、漂っていることに不安を抱えているからこそ、一気に国という共同体と接続できてしまう。私自身もそうだった。靖国神社もそれを増幅する。

(雨宮処凛著 『生きさせろ!』 86-87頁)


こんな風潮に乗って昨年発足した安倍晋三・ネオコン内閣は、経団連や中川秀直らのいいなりになった新自由主義政策が国民にそっぽを向かれ、自滅した。

あとを継いだ福田康夫内閣も、また再燃した年金問題をめぐる舛添要一厚労相、町村信孝官房長官や福田自身の無責任な発言が国民の反発を招き、共同通信調査で内閣支持率は前回比で12ポイントも低い35%に急落した。
http://www.47news.jp/CN/200712/CN2007121601000253.html

安倍内閣も、今年5月末に同様の年金問題直撃による内閣支持率急落に見舞われ、参院選惨敗へとつながった。危機感を強めるであろう福田は、再び大連立工作を進める可能性が高いから、十分監視する必要がある。


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今年の流行語 「KY」 の仕掛人が川上和久・明治学院大教授だったことを指摘した昨日のエントリに対し、名無しの方から
「川上氏は、「新しい歴史教科書をつくる会」から分派し、八木秀次が主催する「教科書改善の会」の「公民分野」の編集座長ですよ。
というコメントをいただいた。さらに、これに応じたドンスコイさんから
川上氏は10年位前までは
自衛隊による世論操作を追及したりしてた人なんですが
小泉訪朝後の保守ブームごろから、朝日新聞批判に参入して
いつの間にか八木たちとくっついてるんですよねー
とのコメントもいただいた。

そういえば当ブログは川上教授自身については調べていなかったことを思い出して確認すると、確かに川上氏は「つくる会」の公民分野の編集座長だった。その川上氏が、それ以前には自衛隊による世論調査を追及し、今年は流行語「KY」の仕掛人になったとすると、この川上教授というのは「空気を読みすぎる」人物だということになる。

ちょっと前に、たんぽぽさんに「つくる会」の藤岡信勝の転向について教えていただいた。
http://taraxacum.hp.infoseek.co.jp/teardrops/pseudo/planet.html

ちょっとこれを思い出したのだが、藤岡氏の方がより原理主義的で、川上氏の方がより風見鶏的だといえるかもしれない。ただ、通底する言葉としてまたしても「ポピュリズム」という単語を連想する。

そういえば、「KY」が安倍晋三を貶める流行語だったから当ブログも意識的に無視してきたのだが、「KY」という流行語には、ポピュリズムに流されることをよしとする風潮を煽ることに寄与するという負の側面があることを本当は指摘しておかなければならなかったところだ。これが、安倍の在任中であればそれこそ「KY」なのだろうが(笑)、この一年を振り返る段階の昨日のエントリには少なくとも盛り込まなければならなかった。川上教授について全然調べていなかったことと合わせて、当ブログの昨日のエントリは安易な記事との謗(そし)りを免れないだろう。率直に反省したいと思う。

「空気を読め」というのは、容易に「ポピュリズムに流されろ」に転化しやすい。「ポピュリズム」というのは、もともとは現在の日本で用いられているネガティブな意味の言葉では必ずしもないのだが、ここでは慣例に従って、コイズミや石原慎太郎、東国原英夫らに見られる大衆迎合主義や大衆を煽動するやり方を指す意味で用いる。

その空気が、たまたま今年は安倍晋三のむき出しの改憲志向・戦前回帰に否定的で、かつ格差社会を作った「コイズミカイカク」に懐疑的なものだったから、その空気を読めなかった安倍が「KY」になったのだが、これが右翼言論や新自由主義言論の全盛期だった4?5年前だったら、安倍に反対する方が「KY」になっていただろう。右翼論壇が今でも「記念日」として大事にしている「9・17」 (2002年のコイズミらの北朝鮮訪問)で頭角を現したのが安倍晋三だったことを思い出していただければよいと思う。あの頃には安倍らを批判しにくい空気があり、図に乗った安倍が土井たか子や菅直人を「間抜け」と言ったのに激怒したことが、昨日のことのように思い出される。

このように、流行語に対する批判的な視点も欠かせないのだが、性懲りもなく現在の空気に即して述べると、大阪府知事選への出馬を表明した橋下徹や、橋下支持の方針が伝えられる自民党は「KY」だといえそうだ。出始めたマスコミの調査では橋下への追い風は弱く、終始石原慎太郎が圧倒的な優勢を保ち続けた今年4月の東京都知事選とはずいぶん様相を異にする。伝えられるところによると、橋下は、コイズミ政権時代には「コイズミカイカク」をマンセーし、自己責任論を声高に唱えてきたそうだ。典型的な「強者の論理」に立つ人間といえる。また、橋下が出演しているテレビ番組「たかじんのそこまで言って委員会」は、視聴者に、さらに「下」の階層の人たちに対する嗜虐感を刺激して人気を得ている番組とのことだ。こういう番組が育んだ新自由主義の風に乗って芸能人として台頭したのが橋下徹だった。その橋下や自民党は、いまや急激な空気の変化についていけずに「KY」になっているように思う。橋下が、やしきたかじんに背中を押されて出馬を決意したことを明かした件に対しても、批判が集中している。

大阪府知事選で橋下が敗れれば、自民党には大きなダメージになり、自民党政治の終焉の日はいよいよ目前に迫る。


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今年の「流行語大賞」でもっとも下馬評の高かったのは「KY」(空気読めないの略語)だったが、いざフタをあけてみたら、聞いたこともなかった「どげんかせんといかん」なんかが大賞を獲り、「KY」はトップ10にも入らなかった。

この結果を知った時、多くの方にはその理由が想像がついたと思う。これについて取り上げたブログはあったが、マスコミは黙して語らなかった。

そのタブーを破って記事にしたのが「サンデー毎日」である。大新聞社が発行しているにもかかわらず、マスコミといえるかどうかも怪しい発行部数にまで零落してしまった同誌であるが、注目すべき記事が多く載っているので、私はしばしばこの雑誌を買い求めている。

「サンデー毎日」 12月23日号の記事 "2007年 「KYグランプリ」" の末尾を紹介する。

 ところで、ことほどさように列島を席巻している観のあるKYだが、年末恒例の「ユーキャン新語・流行語大賞」ではノミネートはされたものの、表彰されるトップ10からは落ちてしまった。大賞事務局は選考経緯についてこう説明する。

「審査会でKYに対する評価は非常に高かった。しかし授賞対象者‥‥誰かは想像に任せますが、その扱いが難しかったのです。日常言葉でKYを使う若い女性に授与してもいいですが、それでは皆の意図と違うことになる。もしアベさ‥‥じゃなかった、想像に任せる方が現役であれば、受け取らないとしても賞に推したと思いますが、もう "過去の人" ですからね」

 KYをはやらせた本人なのに、KYすぎて地位を失い、結局消えて (K) ゆく (Y)。因果な話ではある。では、せめて本誌(注:「サンデー毎日」)がKYグランプリを 「想像を任せる方」 に差し上げましょう。

 え、空気読めてない?

(「サンデー毎日」 2007年12月23日号 "2007年 「KYグランプリ」" より)

皮肉たっぷりの記事だが、大賞事務局の説明には全く納得できない。仮に安倍晋三が今も首相を続けていれば、事務局の安倍に対する遠慮の度合いはさらに増し、「サンデー毎日」の取材にも応じなかったに違いない。

そもそも、「KY」が自然発生的に安倍晋三に結びつけられたわけではなく、「KY」を安倍晋三に結びつけた仕掛人がいた。明治学院大学法学部長の川上和久教授がその人である。私が運営する裏ブログ 「kojitakenの日記」 の7月14日の記事 「KYアベシンゾー」 で次のように紹介している。

■ KYアベシンゾー

「KY」というと、産業界では「危険予知活動」を意味する。

ところが今、安倍晋三首相が「KY」といわれているのだそうだ。

「週刊朝日」 7月20日号によると、久間防衛相が原爆投下「しょうがない」発言で辞任した直後、明治学院大の川上和久教授(政治心理学)が、電車の中で女子高生が「あれってヤバくなーい」 「やっぱ、安倍ってKYなんだよー」と言いあっているのを耳にした。川上教授は帰宅後、KYとは何かと娘にたずねたところ、「ああ、『空気、読めない』の頭文字だよ」と言われたそうだ。

女子高生にまで安倍晋三がバカにされる今日この頃なのであった。

(「kojitakenの日記」 2007年7月14日)


つまり初出は「週刊朝日」に掲載された川上教授の発言なのである。
「KY」自体は、今年4月24日に日経BPのサイト「今日のワンポイント情報」で取り上げられている。
http://weblogs.nikkeibp.co.jp/tips/2007/04/post_d237.html

しかし、「KY」と安倍晋三を結びつけたのは川上教授(というより、教授が耳にした女子高生の会話)だった。そして、川上教授ご自身が今年8月2日に 「KYここに極まれり」 というタイトルのネット上の記事(URLは下記)で、「週刊朝日やTBSの「NEWS23」などで、私は安倍首相の「KY」(空気読めない)体質を批判した」と明記している。
http://www.selpro.jp/producer/politics-media/archives/2007/08/ky.php

このTBSの「NEWS23」は、7月13日夜に放送されたものだ。この放送について記述したブログも存在する。「報恩感謝」 というブログの、その名も 「KY」 と題した記事である(下記URL)。
http://blogs.yahoo.co.jp/maruimarui21/50160194.html

7月13日放送の[筑紫哲也のNEWS23を見ていたら、選挙とメディア ?全部みせます各党CM?という特集をやっていた。

その中で面白かったのは「KY]という表現であった。

明治学院大学の川上和久教授が、安倍晋三首相のことを「KY]だと言っていた。

「KY]?

いったい何のことだろう?

現在,お笑い番組で短縮言葉が流行っているようだが,どうやら若い世代を中心とした短縮言葉だという。

空気(KUUKI)読めない(YOMENAI)「空気の読めない」ということを短縮した言葉のようだ。

(「報恩感謝」 2007年7月14日 「KY」 より)


私の知る限り、ブログでこの件を取り上げたのはこれがもっとも早い。実は、この記事を見つけるまでは「kojitakenの日記」が一番早いと思っていたのだが、そうではなかった。ちょっと残念だ(笑)。実際には、掲示板ではもう少し早く取り上げられていた可能性が高いが、掲示板の書き込みはネット検索エンジンにはひっかかりにくい。

このあと、さまざまな人が安倍晋三と「KY」を結びつけて話したり書いたりするようになって、「KYイコール安倍晋三」という等式があっという間に定着した。

こんないきさつだから、流行語大賞の表彰式に安倍晋三を呼べないのであれば、川上和久教授を呼ぶべきだったと思う。もし「KY=安倍晋三」の仕掛人が川上教授だというのを知らなかったとしたら、それは流行語大賞事務局の仕事ぶりがいい加減なものだったと言わざるを得ないし、わかっていても「KY」が指し示す対象である安倍晋三になお遠慮していたのだったら、権力に対して及び腰の姿勢に問題があるとしか言いようがない。そして私は、おそらく後者がことの真相だろうと想像している。


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私は、大阪の生まれである。

大阪には幼い頃にしか住んでいなかった。その後、各地を転々としたが、どこに移り住もうとも、大阪生まれであるという事実は変えられない。大阪というのは不思議な都市で、首都・東京に対抗心を燃やしているにもかかわらず、近くの京都や神戸からも見下されている。京都も神戸もプライドの高い都市で、横浜や千葉・埼玉が東京に頭が上がらないのとは対照的である。私が高校生の頃、「鶴瓶・新野のぬかるみの世界」という日曜夜のラジオ大阪の深夜放送が人気を集めていたが、ある時、放送作家の新野新が「大阪を好きなのは大阪人だけ」と言ったことが印象に残っている。

そんな大阪の府知事選に、橋下(はしもと)徹という男が出馬を表明した。この橋下という男がまた、「大阪の恥」としか言いようのない人物なのだ。

12月6日のエントリ 「恥も外聞もなく「橋下弁護士」擁立を模索する呆れた自民党」 でも書いたように、橋下はテレビで憲法9条の改変どころか徴兵制や核武装論をすべきだと論じ、光市母子殺害事件の弁護団に対して懲戒請求を行うよう視聴者に呼びかけた人物だ。

橋下が出演しているテレビ番組とは、大阪・よみうりテレビの制作で日曜の午後に放送されている 「たかじんのそこまで言って委員会」 という番組で、4年前に大阪ローカルでスタートしたこの番組は、現在では首都圏など関東や東北地方を除く全国にネットされている。当地でも一昨年からネットされるようになったが、私にはこの番組を見る習慣はない。勝谷誠彦、三宅久之、田嶋洋子、宮崎哲弥、金美齢、それに政治家では平沢勝栄、鴻池祥肇、舛添要一、原口一博らという常連出演者の名前を見るだけでも、テレビ朝日の「TVタックル」を過激にしたような極右ポピュリズム番組であることは明らかだから、とてもではないが見る気など起きない。こんな電波芸者どもの馬鹿発言につき合っていられる暇なんかない。

こんな番組を、「首都圏では放送できない、大阪の放送局制作ならではの本音トーク番組」だなどと思い込んでいる馬鹿が関西には結構いるらしく、日曜日の午後としては高い視聴率を得ているのだという。かつて反骨精神旺盛だった関西は、いまでは首都圏以上に極右ポピュリズムに流されやすい地方に転落したのかと思うと、関西出身の人間としては非常に残念だが、橋下の一連の発言はこの番組を通じて発信されているらしい。

中でも上記の光市母子殺害事件の弁護団に対して懲戒請求を呼びかけた件は、「きっこの日記」 (12月12日)からもリンクを張られている江川紹子さんの 「Egawa Shoko Journal」 (9月9日)でも指摘されているように、インターネットを通じて弁護団への懲戒請求書のテンプレートが出回っていることもあって、弁護団に対しては全国で少なくとも3900件の懲戒請求が出された。この件に関して橋下は、同弁護団の今枝仁弁護士ら4弁護人から損害賠償請求の裁判を起こされたのである。橋下はテレビの発言を通じて視聴者やネット右翼を煽ったわけだが、呆れたことに橋下は、懲戒請求をする者の負担については何も説明せず、実際にテレビに煽られて弁護団への懲戒請求を出した人が弁護士会から配達証明郵便で、書類の提出を求められたうえ、調査の過程で必要な時に事情を聞く場合があるという書面を受け取ってびっくりしてしまって「教えて!goo」に相談した例が、江川さんの記事に紹介されている。

さらに、もっとも信じられないのは視聴者を煽った橋下本人が、「時間と労力を費やすのを避けるため」と称して懲戒請求をしていないことだ。呆れ返ってものも言えないとはこのことだ。

この橋下徹という男は、典型的な極右ポピュリストだと思う。ポピュリズムとは、「大衆迎合主義」と訳されることが多いが、正しくは「大衆煽動主義」というべきだという指摘がある。代表的なポピュリズム政治家であるコイズミや石原慎太郎を見ていると、確かに大衆に「迎合」しているというよりは大衆を「煽動」しているというほうが適切であると私も思う。そして、そういう意味でも橋下は典型的なポピュリストだといえるだろう。

しかし、コイズミや石原の場合はまだ実際の政治の場で声を発してきた人物だ。それに対し、橋下は本業は弁護士で、副業の芸能活動で大衆を煽動してきた人物であり、同じポピュリストでもコイズミや石原よりさらに程度の低い人間だといえると思う。こんな人物でも擁立すれば選挙に勝てると考えている自民党は、大阪府民の民度はその程度だと考えて大阪人を馬鹿にしているのであり、さすがの民主党も橋下には相乗りせず、独自候補を擁立しようとしているのは当然だろう。本当は、こんな橋下ごときの馬鹿げた候補者が相手ではあっても、そのポピュリズムの害毒が流れるのを阻止する意味でも、ずっと前から候補者を絞っていた共産党と共闘するくらいの度量を民主党には求めたいところだが、それがないものねだりであることは私も承知している。

それにしても、自分たちの無能を棚に上げて大阪府民をバカにする自民党には呆れたものだ。大阪府民はこれに怒って府知事選では橋下を打倒すべく怒りの一票を投じるべきだろう。


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このところ政治ブログ全般にアクセス数低下が言われていて、当ブログもご多分に漏れずアクセス数が長期低落傾向にあったのだが、昨日はFC2カウンタの計数で3,867件のアクセスをいただいた。

これは、昨日のエントリ 「日本は世界有数の過激な新自由主義国家ではないのか?」 が、30件以上の 「はてなブックマーク」 をいただいたためだ。12月2日のエントリ 「保水力の落ちた「限界集落」の山林と自民党の地盤」 にも十数件の「はてブ」をいただいたが、国民生活や生存権の問題が大きな関心を集めつつあることの証左だと思う。

年金問題もその一つで、これは参院選で自民党を惨敗に追い込んだ問題でもあるのだが、舛添要一厚労相は昨日(11日)記者会見を行い、「宙に浮いた」年金記録約5000万件のうち約4割の1975万件の名寄せ(照合)作業が難航しており、うち945万件については偽名などの記録も含まれていて持ち主を特定して統合することが困難との見通しを明らかにした。

舛添や前首相安倍晋三は来年3月までに問題を解決すると公約していたが、その公約を果たせないことが明らかになった。舛添は厚労相辞任、既に無責任な「政権放り出し」をやった安倍晋三は議員辞職すべきだろう。信じられないことに、舛添は「3月末までにすべてを片づけると言った覚えはない」と開き直り、町村官房長官は政府の公約について「選挙前だから簡単に言っちゃったかな」などと述べた。町村の発言は自民党政府というのは選挙前になると、できもしない空手形の公約を口にすることを自ら認めたようなものだし、舛添の開き直りは、舛添が年金問題のファイターであるかのように持ち上げたマスコミ報道が虚報だったことを露呈した。以下に毎日新聞の記事を引用する。

年金記録:舛添厚労相、開き直り?「ないものはない」

 宙に浮く年金記録約5000万件中、945万件の特定が困難との社会保険庁の調査結果を受け、舛添要一厚生労働相は11日午後、記者会見した。「他の方が大臣になっても結果は同じ。ないものはないんだから」「(参院選で)年金は最大のテーマ。『できないかもしれないけどやってみます』なんて言いませんよ」。開き直りとも取れる発言が続いた。

 「正直いって、ここまでひどいとは想像していませんでした。5合目まで順調だったが、こんなひどい岩山とアイスバーンがあったのかと率直にそういう気がします」。調査結果の感想を問われ、そう語った。

 政府が照合を3月末に完了すると公約し、就任直後に「最後の一人まで探し出す」とした発言との整合性については、「3月末までにすべてを片づけると言った覚えはない。5000万件の名寄せをやらなかったら公約違反」と述べ、矛盾はないと繰り返した。

 照合作業の期限を尋ねられると「エンドレスです。できないこともあります。そうでしょ?」と記者に同意を求め、「やったけどできなかったというんじゃなくて、みんなで努力してやっていくというポジティブな気持ちになっていただくことが必要だと思います」と語った。【野倉恵、清水健二】

(毎日新聞 2007年12月11日)

こんな政府に国民生活を任せられないという国民の気持ちが参院選で自民党を惨敗させたのだが、その代わりを託そうとした民主党の小沢一郎代表は自民党との「大連立」に乗ろうとした。これが国民の大きな失望を招いた。この「大連立」騒動を境に、政治ブログのアクセス数が軒並み大きくダウンした。それには、「反自民」や「野党共闘」と言ったって民主党だって自民党と同じじゃないか、という気分が国民の間に生じたことの反映ではないかと思う。

そうこうしているうちに、国民生活は日に日に悪化する。「ワーキングプア」という言葉がはやったのは昨年夏にNHKスペシャルがこの問題を取り上げて以来だと思うが、誰にとってもひとごとではなくなってきている。しかし、それでも懲りない自民党はまだまだ国民に迎合しようと、大阪府知事選では典型的なポピュリスト・橋下徹を支援するつもりらしい。

橋下は今日(12日)、府知事選への出馬を正式に表明するらしいから、明日のブログでたっぷり叩こうと考えている。


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一昨日のエントリではテレビ朝日の報道番組2本を紹介したが、昨日(10日)はNHKの日だった。午後8時から教育テレビで 「福祉ネットワーク・作家雨宮処凛と考える 就職氷河世代のうつ」 を見たあと、午後10時からは総合テレビで、昨年7月と12月に放送されて評判をとった「ワーキングプア」のアンコール放送を見た。

私が雨宮処凛(かりん)の名を知ったのは遅くて、今年6月に朝日新聞社発行の論壇誌「論座」(7月号)を読んだ時である。1975年生まれで1995年の地下鉄サリン事件当時フリーターをしていた雨宮は、「サリン事件という無差別テロを決行したオウムに、私ははっきり言って熱狂していた」という。ちなみに同じ頃、私はおそらくは過労に起因する大病を得て病院に入院していた。地下鉄サリン事件の2か月前には、阪神大震災が起きていた。

その後小林よしのりの「ゴーマニズム宣言」にはまって右翼活動にのめり込んだ雨宮は、1998年に出版された同じ小林の 『戦争論』 に心酔した。しかし、その後1年も経たずに右翼活動に「冷めて」しまい、今ではプレカリアートの問題に取り組んで、左派系と言ってよいスタンスで言論活動をしている。

「論座」の今年7月号では、その雨宮が、かつて心酔した小林よしのりとも対談している。小林は右翼とはいえ反新自由主義の「反米右翼」であり、雨宮のようなスタンスの左派とは相性が良く、対談では意気投合していることはいうまでもない。

それにしても、昨日アンコール放送されたNHKの「ワーキングプア」を見たり、雨宮の著書 『生きさせろ!』 を読んだりしていると、現在のこの国のすさまじいばかりの「格差社会」、否、「階級社会」の現実に慄然とさせられる。

そんなことを考えながら、新聞記事のスクラップを眺めていたら、昨年7月23日付日本経済新聞の読書面に載った記事が目についた。法政大学の小池和男教授の「成果主義に「長い目」必要」という記事で、ネット検索では引っかからないので簡単に紹介すると、世間一般ではアメリカの会社では個人の働きぶりによって収入に大きな差が生じると思われているが、実際には必ずしもそうではなく、アメリカの課長級の報酬は査定つきの定期昇給で上がっていき、前年より基本給が下がることはめったにない、課長級と部長級の報酬の差も日本と同程度の差しかない、アメリカ企業の給与に占める「業績給」の割合は、日本企業のボーナスと同等かそれより少ないのに、日本では「成果主義」の名のもとに基本給の減給まで導入された、などと指摘されている。

060723_日経_成果主義
(画像をクリックすると拡大表示されます)

要は、90年代に各企業が競って導入した「成果主義」の人事処遇制度は、本家のアメリカ顔負けの過激な新自由主義的制度だったということだ。正社員だって全然楽ではなく、正社員の座を守るために法外な長時間のサービス残業を強いられる例は山ほどある。しかし、新自由主義者による「自己責任」のプロパガンダによって、正社員たちの自分たちより「下」の階層の人たちに向ける目はまことに冷淡なものだ。

よく、エピゴーネン(亜流、追随者)は本家本元より過激なことが多いといわれるが、新自由主義に関して、日本にはお手本のイギリスやアメリカ以上に過激な新自由主義者が多いこともその一例に数え上げられるべきかもしれない。

NHKの「ワーキングプア」は第3回(12月16日)の放送で、イギリスやアメリカの「先進」新自由主義国家の貧困対策を紹介するという。本家本元のイギリスやアメリカでも新自由主義への見直しが行われているということだ。放送を楽しみに待ちたいと思う。それなのに、日本ではコイズミや竹中平蔵の「日本はまだまだカイカクが足りない」などという寝言がいまだにまかり通っている。政府は、防衛費の無駄遣いには頬かむりしながら、社会保障費の減額にばかり熱心で、いくつかのブログに取り上げられた毎日新聞の記事に報じられているように、厚生労働省の検討会は、生活保護基準(生活保護費の水準)引き下げを容認する報告書をまとめた。私はたまたまこの日の毎日新聞を買っていたのだが、毎日新聞には比較的記者の自由裁量が大きいためムラが大きいが、キラリと光る記事は他紙より多いように感じる。

それにしても、厚顔無恥なまでの新自由主義者たちのやりたい放題がまかり通る社会になってしまった。いまや、日本は世界一苛酷な新自由主義国ではないか、と書こうとして、中国がいまや世界一過激な新自由主義国になり、すさまじい貧富の差が現出しているという指摘を思い出した。だが少なくとも、日本が世界でも有数の過激な新自由主義国であることは疑いないように私には思える。


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テレビ朝日の「サンデープロジェクト」で、先週に引き続き「限界集落」の特集が放送された。
これに関しては、先週TBをいただいた 「大津留公彦のブログ2」 から、今回もTBをいただいており、その記事がとてもよくまとまっているので、是非皆さまにも下記URLをクリックしてご参照いただきたい。
http://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/2_3122.html

今回は、都市部でも「限界集落化」が見られる例として、東京の多摩ニュータウンが取り上げられ、大阪の千里ニュータウンも引き合いに出されていた。
そこでネットで調べてみたら、「多摩ニュータウンタイムズ」 の2001年11月1日付の記事で、多摩ニュータウンの衰退が次のように指摘されていた。
http://www.tamatimes.co.jp/article/date/2001/11

三十周年を迎えた多摩、稲城両市

 多摩市も稲城市も今日市政三十周年を迎えた。
 両市の三十年間は多摩ニュータウンの開発に明け暮れしてきたが、これから安定期を迎えようとしている。
 ところが高度成長期をすぎて景気の低迷するなかで税収の落ち込みも激しく、やがて二、三年後には赤字財政になることは火を見るより明らかな状況にある。にもかかわらずその対応に着手した様子は見られない。このままでは市民の負担増は避けられない。そうなれば住民は物言わず他市に出ていってしまうだろう。住民が居なくなる街に将来の希望はない。生活援助を受ける人や老人は残るが税収をもたらす稼ぎ人の若者は出て行き街は衰退していくだろう。
 多摩ニュータウンがいま衰退に向かっていることは住民のだれしもが感じているところである。
 多摩ニュータウンを東西に走る京王相模原線は昨年特急電車を廃止し、もう一つはこの街からデパートが撤退したことである。
 多摩ニュータウンから特急電車が消えたのは、この街が衰退していることを物語っている。百貨店の撤退もただ単に商業施設が無くなったという事だ けの問題ではない。百貨店を取り巻く様々な市民文化が消えてしまったことになる。
 その外にも多くの撤退局面も見受けられる。行政も厳しい社会情勢を住民に知らせ住民を甘えさせてはならない。地域のことや隣近所のことは住民同士お互い助け合って解決し行政ばかりに頼るな。行政も住民への負担を軽減するために最大の力を注ぐべきである。そのために議会は税金の使い道を徹底してチェックし、少しの無駄使いでも見逃してはならない。
 同時に地域の活性化を図る上で現在東京都や都市基盤整備公団の抱えている未利用地活用の如何によってはニュータウン再生の原動力ともなる。関係各市はこの未利用地を施行者が撤退の置き土産として自治体に権限を委譲させるべきである。永い間にわたり維持してきた旧地主から法律によって強制的に買い上げたもので、その目的を達する事の出来なかった用地は地元住民に還元すべきが筋であろう。この事を三十年の節目に当たって要望する。

(「多摩ニュータウンタイムズ」 2001年11月1日付記事)


2001年の時点で京王線の特急が停まらなくなり、デパートが撤退したのだそうだが、この記事が書かれてから6年、ニュータウンの衰退はさらに進んでいるはずだ。「ニュータウン 衰退」を検索語にしてネット検索をかけると、確かに多摩と千里のニュータウンについて書かれたものばかりが引っかかる。商店街にはシャッターが下りた店が多く閑散としている。90年に大店法の運用の規制が緩和されて以来、地方都市でよく見られるようになった光景が、多摩ニュータウンでも見られる。

番組では、「平成の大合併」によって独自の町作りをやめてしまって町が衰退した例なども取り上げられていた。

また、「限界自治体」とされて先週の番組でも取り上げられていた高知県大豊町で、路線バスの廃止に伴ってお年寄りが町の中心に行くのにタクシーを使わざるを得なくなり、このままでは受給されている年金では生活が苦しいと訴えていたのが印象に残った。しかし、路線バスなど公共交通機関の縮小は、何も限界自治体に限った話ではなく、地方都市では普通に見られる現象である。私はかつて関西や関東の大都市圏に長く住んでいたことがあるが、これは都市の住民にはあまり知られていない問題だろう。地方都市においては、「車なしでは生活できない」と言われるのが普通だ。いきおい、高齢者が運転を続けることになり、これによる交通事故も多発している。日本の地方部では、年々お年寄りが生活しにくくなってきているのである。

さて、同じテレビ朝日系で午後2時からは「ザ・スクープ・スペシャル」が放送された。今回は、消えた年金問題と、「きっこの日記」の読者にはおなじみの高知県白バイ隊員事故死事件の「冤罪裁判」が取り上げられた。後者は、当ブログ管理人の地元放送局・瀬戸内海放送(岡山・香川エリアのテレビ朝日系放送局)が精力的に報道していながら、ブログ管理人は「きっこの日記」によってこの件を知ったという体たらくだった。その後、瀬戸内海放送のウェブサイトや同局の夕方のニュースを見るようになったので内容は承知していたが、全国的にはさほど知られていないかもしれないこの件が、全国放送で紹介された意義は大きい。事件や裁判の詳細については、下記リンク先をご参照いただきたい。

「きっこの日記」より

  「またまた警察のデッチアゲ!」 (10月22日)

  「続・またまた警察のデッチアゲ!」 (10月27日)

  「続々・またまた警察のデッチアゲ!」 (10月29日)

  「高知の冤罪事件」 (10月31日)

テレビ朝日ウェブサイトより

  「ザ・スクープ・スペシャル」

番組キャスターの鳥越俊太郎さんは、刑事裁判には「疑わしきは罰せず」という原則があり、バスが停止していたことを指し示す多くの証言などがある以上、被告を有罪にしてはいけないはずだと指摘していたが、その通りだと思う。上記テレビ朝日のサイトに、明日(12月10日)には動画が配信されるとのことだから、番組を見逃した方は、是非テレビ朝日のサイトにアクセスしてご覧いただきたいと思う。


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旧暦の12月8日は、一年の農作業を終える「事納め」の日だが、新暦の12月8日となると、これは太平洋戦争の開戦記念日(1941年)である。日本が行った戦争は、真珠湾攻撃以前はアジアに対する侵略戦争であったが、この日以降の太平洋戦争は帝国主義国家同士の戦争であり、たとえば米国による二発の原爆投下については、厳しくその戦争犯罪を追及すべきであると私は考えている。

その他に、12月8日の大事件というと、1980年のジョン・レノンの暗殺があった。これは、一つの時代の終わりを印象づけるできごとだった。あの1980年という年も、時代の大きな変わり目だった。アメリカ大統領選でレーガンが当選し、ソ連はその前年末に起こしたアフガニスタン侵攻という失策によって国を傾けてしまった。モスクワ五輪も西側諸国にボイコットされた。ウサマ・ビンラディンは対ソ連への抵抗運動を支援したCIAによって育てられたようなものである。日本では大平内閣の不信任案が可決されて衆参同日選挙となったが、選挙期間中に大平首相が急死し、選挙は自民党の圧勝となった。保革伯仲の時代はこの年で終わり、以後現在に至るまでずっと保守の圧倒的優勢が続いている(民主党は旧自民党と旧社会党・社民連がそれぞれ約半数ずつを占めており、保守とも革新ともいえないと思う)。山口百恵が引退して松田聖子がデビューした。王貞治が現役を引退し、長嶋茂雄が巨人軍の監督を解任されて、原辰徳がドラフトで巨人に指名された。ナベツネは、前年に読売新聞の論説委員長に就任し、読売新聞の社論を大きく右に傾け始めた。そんな激動の年の最後に起きた忌まわしい事件が、レノンの暗殺だった。

このように、事納めの事件と事始めの事件が起きる、何か特別な日という印象が12月8日にはある。1991年にロシア、白ロシア、ウクライナ代表者の秘密会談によってソビエト連邦の解体が宣言されたのも12月8日だった。

幸か不幸か、今年の12月8日には大事件は起きていないようだが、水面下では不気味な動きがいろいろある。電子投票法案(11日衆院通過の見通し)やネット情報規制を視野に入れた「情報通信法」制定(2010年の国会に提出の総務省方針)への動きなどだ。前者は、電子投票が米大統領選に導入されてから2度も続いて不透明な選挙となったし、後者のネット情報規制に至っては論外だろう。

もっとも私は、ネット情報の規制に関しては、自民党は既に後手を踏んでおり、「1984年」的な大衆支配を現実のものとする前に、自民党政治が終焉を迎えるだろうと予想している。

自民党といえば、最近中川昭一や無所属の平沼赳夫ら極右議員たちが「勉強会」を立ち上げたが、これが、以前から言われていた「極右新党」の立ち上げにつながるのではないかとの観測も出ているようだ。この勉強会は、安倍晋三内閣が行おうとしていながら参院選の自民党惨敗で頓挫した極右政治の復権を狙う性格があるらしい。勉強会の設立総会の出席者については、毎日新聞の記事に名前が出ていた。

 【本人出席】赤間二郎、江藤拓、奧野信亮、鍵田忠兵衛、小島敏男、清水鴻一郎、島村宜伸、薗浦健太郎、高鳥修一、戸井田徹、中川昭一、中野清、永岡桂子、西本勝子、萩生田光一、平沼赳夫、古屋圭司、馬渡龍治、松本純、水野賢一、武藤容治、山口泰明、山中あき(火ヘンに華)子(以上衆院)浅野勝人、鴻池祥肇、佐藤正久、塚田一郎、中川義雄、中曽根弘文、西田昌司(以上参院)

 【代理出席】井上信治、宇野治、遠藤宣彦、小川友一、近藤基彦、清水清一朗、塩谷立、鈴木馨祐、武田良太、中森福代、中山泰秀、西村明宏、西村康稔、野田聖子、鳩山邦夫、平沢勝栄、二田孝治、古川禎久、牧原秀樹、松浪健太、宮下一郎、村田吉隆、山口俊一(以上衆院)秋元司、荒井広幸、衛藤晟一、岸信夫、末松信介、世耕弘成(以上参院)

衛藤晟一や岸信夫ら安倍晋三に直結する名前も出ている。もし「平沼新党」が発足する場合、安倍晋三や現在浪人中の城内実も参加して、戦後では初となる本格的な極右政党になるのではないかという気がする。郵政民営化撤回のスタンスをとる可能性もあるかもしれない。先月未遂に終わった福田自民党と小沢民主党の「大連立」構想が再燃した場合、極右勢力は徹底的に冷や飯を食わされる可能性が高いから、極右は極右で団結しようとしているのではないかと思う。ようやく、自民党にも分裂の兆しが出てきたというのは、楽観的に過ぎる観測だろうか? そして、新自由主義勢力以上に警戒すべきは、彼ら極右政治家たちであると当ブログは考えている。


PS

「AbEnd」
「自End」 でおなじみの、美爾依さんのブログ 「カナダde日本語」 が、2007年度の 「アルファブロガー・アワード」 でアルファブロガーに選出されました(計15のブログが受賞)。なんと毎日新聞にも出てるじゃん。美爾依さん、おめでとうございます。
2007.12.08 21:30 | 自民党 | トラックバック(-) | コメント(3) | このエントリーを含むはてなブックマーク
今年ももう残すところ今日を含めて25日となった。「2007年の回顧」が新聞などに載り始める時期だ。

今年の日本政治における最大のできごとは、7月の参院選での自民党惨敗と9月の安倍晋三内閣退陣であることは論を待たないだろう。そして、否定されたのはひとり安倍晋三のみならず、コイズミ・安倍の「新自由主義」路線であることは、何度強調しても強調しすぎることはない。

元首相コイズミは、「聖域なき構造カイカク」を唱え、国民に「痛みを耐える」ことを求めた。この「聖域」というのが曲者だったのだが、大衆煽動家として抜群の才能を持つコイズミに国民はころっとダマされてしまい、2001年の参院選と2005年の衆院選で自民党に大量の議席を与えてしまった。

その結果現出したのが「格差社会」だという認識は、昨年あたりから一般的になったと思う。「格差社会」は、よりはっきりと「階級社会」という表現に改めるべきだという指摘があり、私もその通りだと思った。先日、デヴィッド・ハーヴェイの 『新自由主義』 (渡辺治監訳、作品社、2007年)という本を読み、これはたいへん面白かったのだが、マルクス主義経済地理学者のハーヴェイは、新自由主義の「実践」を「富裕階級の権力回復のプロセス」ととらえ、新自由主義は、経済成長ではなく格差の拡大を真の目的としたプロジェクトであるとしている。これは現実をかなりよく説明できる非常に面白い仮説だと思った。私はマルクス主義者ではないし、そもそもマルクスを読んだことさえないが、ソ連・東欧の崩壊によって効力を失ったと思われたマルクスの思想が、新自由主義化の進行によって新たな「階級社会」が現出したことによって、再び水を得た魚のようによみがえったという指摘があって、それにはなるほどとうなずかさせられる。日本にも、国民がコイズミカイカクの「痛みに耐えた」末に、階級社会があからさまな姿で立ち現れたのだ。

自民党の政治家を見よ。コイズミ、安倍晋三、福田康夫。みな世襲議員ではないか。田中角栄が首相をやっていた頃は、総理大臣になるためには主要閣僚ポストのうち2つは経験していなければならないとされていたが、安倍晋三はコイズミの特別な引きによって抜擢された男だったし、福田康夫も主要閣僚ポストなどは経験していない。福田康夫といえばコイズミ内閣の官房長官として人をバカにしたようなシニカルなコメントを発していたというネガティブなイメージしか私にはない。そんな彼らが、「頑張った者が報われる社会を」などと言う。福田康夫はあまり言わないが、安倍晋三はよく言っていた。だが、政治の能力に劣り、単にコイズミに引き立てられただけのアベシンゾーにそんなことを言われても、説得力は皆無だった。

民主党の菅直人代表代行は、「自民党の人たちの顔ぶれを見てごらんなさいよ。世襲議員ばっかりじゃないですか」と言っていたが、その民主党も小沢一郎代表や鳩山由紀夫幹事長は世襲議員である。小沢も鳩山ももとは自民党出身であり、要は自民党自体が世襲議員でなければ出世できない 「階級政党」 に変質してしまったということだ。この自民党が、ハーヴェイの言う「経済成長ではなく格差の拡大を真の目的とした」新自由主義を信奉する政党になったのは必然といえるかもしれない。

この期に及んで、コイズミや竹中平蔵は「まだカイカクが足りない」と絶叫しており、日本経済新聞に代表される御用メディアも同様の論調だが、こんな掛け声にダマされる日本人が減ってきたことは、遅すぎるとはいえ歓迎すべきことだ。コイズミにダマされた結果の2001年参院選の結果は、その改選分に当たる今年の参院選でひっくり返った。6年前が自民党の圧勝だっただけに、今回の自民党惨敗との落差は大きく、どうしようもなくなった福田首相は、ついに対テロ新法を衆議院での再議決で成立させる意向を示した。この期に及んでご主人さまのアメリカに尻尾を振りたいようだ。

少し前まで年内解散・総選挙の可能性が言われていたが、福田首相と民主党・小沢代表の「大連立」協議とその破綻、ならびに民主党がいったんは辞意を表明した小沢代表を慰留したことなどにより、解散・総選挙は遠のいた。

次の選挙までに間がありそうな今のような時期には、政党別支持率では自民党が断然高く、民主党はその半分にも及ばないのが通例だが、現在は小沢代表が失策を演じてダメージを受けたはずの民主党の支持率がなお高く、自民党と拮抗している状態だ。それにもかかわらず福田内閣の支持率がかなりの高水準を維持している(ネットでの支持率は低いが、これは福田内閣のネット右翼受けがきわめて悪いことに起因していると思う)のだが、選挙前になると自民党の支持率が下がり、民主党の支持率が上がるのが普通だから、いま解散風を吹かせても、自民党にとっては自殺行為になる。だから当分は解散総選挙はないと思った方が良い。今年の参院選には「郵政総選挙」の裏返しのような浮わついたムードがあったのは確かだから、ネット言論も現在のポピュリズムに流されやすい状況から、より内実を伴ったものに変えていかなければならないと思う。現状で「ネット発の政治家」を出そうとしても、ポピュリストしか出てこないと思うのだ。ネット言論は、まだまだ成熟にはほど遠い。


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来年1月に行われる大阪府知事選候補として、自民党が橋下(はしもと)徹弁護士に白羽の矢を立て、これに対して橋本弁護士が「出馬の意思はない」とコメントしているという。これは、それでなくても低い自民党のイメージをさらに低下させるニュースだった。

橋下は、大阪弁護士会に所属する弁護士であるが、同時に「タイタン」なる芸能事務所に所属する芸能人でもある。幸か不幸か、私は平日はあまりテレビを見ない人間なので、橋下をテレビで見た記憶は皆無だ。だが、ネット検索で見る限り、橋下は憲法9条の改変はおろか、徴兵制や核武装まで肯定している極右らしい。そして、なんといっても光市母子殺害事件に関して、橋下がテレビで弁護団に懲戒請求を行うよう視聴者に呼びかけたことは見逃せない。

皆さまよくご存知のように、光市母子殺害事件に関しては、テレビは一貫して被告に極刑に処すべきとする大キャンペーンを張っている。ネットでも、大部分の保守系ブログに加え、いくつかのリベラル系有力ブログがこれに同調している。しかし、当ブログが8月22日のエントリで指摘したように、この事件に関しては、死刑制度の是非以前に事実関係がはっきりしないところが多い。冷静な思考力を持った人間であれば、両方の意見を吟味して判断を下すことになると思うが、テレビというマスメディアを利用して一方の意見を煽り立てる橋下のやり方は、大衆から思考を奪おうとするものであって、典型的なポピュリストのやり方だ。ポピュリズムの何が悪いといって、大衆から思考を奪い、異論を許さず言論を一方向に導こうとするところだ。これは、容易にファシズムにつながる。だから、私はこの橋下という男はきわめて危険な体質を持っていると考えており、選挙に勝てる人材だからといって、安易に橋下などを擁立しようとした自民党に、「そこまで堕ちたか」と深く失望した次第だ。当ブログは、「自Endキャンペーン」に参加していて、反自民党の立場に立っているが、たとえ敵でも自民党にはもっとまともな敵であってほしいと思う。

なお、佐藤優によると、ポピュリズムがファシズムに変質するのに必要なのは「やさしさ」であって、やさしくなければファシズムではない、だから(冷酷非情な)コイズミは衆議院の3分の2を占める議席を獲得しながらファシズムを完成させるには至らなかった、と指摘している(『ナショナリズムという迷宮』)。私はなるほどと思ったし、ことさらに「愛」だの「やさしさ」だのを強調するポピュリストには特に警戒しなければならないと考えている。彼らの実体は全体主義者にほかならないというのが私の意見だ。光市母子殺害事件などの問題に関しても、被害者の親族への思いやりを強調して世論を一方向に誘導しようとする行き方には、危うさを強く感じる。

当の橋下は、立候補を辞退したと報じられたものの、朝日新聞の報道には、「橋下弁護士、出馬に慎重姿勢」との見出しがついており、ここからは、なお橋下出馬もありうるとのニュアンスが感じられる。

さらに自民党は、大阪府知事選では民主党と相乗りしようという姿勢を露骨に見せている。もし橋下が自公の候補になれば、ポピュリズム全盛のこの時代にあっては、民主党は誰を立てても勝ち目が薄いと思うが、万々一、「橋下が立候補して民主党が自公に相乗りする」などという形が実現するなら、世も末だろう。そもそも、自民党が政党のプライドをかなぐり捨てて、ポピュリストの擁立や民主党との相乗りを模索するという動機はただ一つ、政権を失いたくないからだ。ひたすら政権を維持するために、マスメディアの寵児にして国民人気の高いタレント弁護士(とは名ばかりのポピュリスト)や先だっての参院選で圧勝した政敵のはずの民主党にすがろうとする。1か月前の「大連立」協議も、その線でとらえるべきだろう。自民党にはもはや恥も外聞もない。民主党の鳩山由紀夫幹事長は、自民党との相乗りをしない方針を明言しているが、与党の候補者が誰にになろうともその言を貫いてほしいものである。


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OECDの国際学力調査の結果が発表された。おそらく今日のインターネットではこの話題を取り上げたブログが多数あるだろう。当ブログでは、9月27日に 「福田内閣支持率50%に見る日本人の知性の劣化」 という挑発的なエントリで 「ゆとり教育」 を批判し、一部で激しい反発を受けた。当時の主張は今も変わっていないから、同じことを繰り返すつもりはない。だが、この調査に見られる理科への関心の薄さは見過ごせない。そう思って記事を書こうとしたら、毎日新聞が社説で取り上げていた。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20071205k0000m070153000c.html
(「追記」参照)

しょうがないから、毎日新聞の社説が触れていない部分を指摘しておきたいと思う。

新自由主義に政策の舵を切った日本で科学技術が衰えるのは当然である。サッチャーのイギリスもレーガンのアメリカも、自国の製造業を衰退させた。新自由主義とは、金融業のような何の付加価値も生み出さない虚業のみを栄えさせ、実体経済を衰退させる悪魔のイデオロギーだと思う。実体経済なしには社会は成り立たないが、新自由主義国家はそれを他国から搾取する。そんな馬鹿げた政策を、よりにもよって「技術立国」とうたわれた日本がとってしまった。これは、世紀の、いやミレニアムの大失政というしかないだろう。OECDの国際学力調査では、イギリスやアメリカの生徒の数学や科学に関する学習到達度は、日本以下の低さだ。日本は、よりにもよってそんな劣等国家を手本にしようとしてしまったのである。

こんな日本で、「30歳くらいでどんな職に」という問いに、科学関連の職業を挙げた生徒が8%しかいないと言われても、そりゃそうだろうよ、としか思えない。毎日新聞の社説は、「ゆとり教育」元凶説に否定的だ。だが、自然科学を学ぶのに必要な基礎知識の量は、人文科学や社会科学を学ぶのに必要なそれより多い。よく、理系の学生が専攻を文系に変更するケースがあるが、その逆は極めて少ない。それだけ理系の学科はハードルが高いということだ。学生が勉学に費やす平均時間も、理系の方が文系よりずっと多い。それなのに、政府が製造業を衰退させる新自由主義政策をとるのでは、理系に進学して科学技術関係の職業につきたいと思う生徒が増えようはずがない。

それだけならまだしも、理系の基礎になる自然科学のものの考え方は、人文科学や社会科学の基礎ともなるものだ。人文・社会科学は、自然科学の方法論を取り入れることによって学問として成立したと私は考えている。この方法論にあまり親しんでこなかった人は、どうしても「トンデモ」に走りやすい。このところ私は、右翼も左翼も「トンデモ」やポピュリズムに走りたがる傾向に苛立ちを抑えることができないが、それもこれも科学的なものの考え方を軽視する日本の社会が根深い問題を抱えているのだと思う。
「限界集落」を取り上げた一昨日のエントリには、10件以上の 「はてなブックマーク」 をいただき、そのおかげで初回訪問アクセスがいつもより多かった。

「限界集落」については、昨日(12月3日)の読売新聞(大阪本社版)が3面で取り上げているが、ネットでは読めないようだ。限界集落の再生を目指す30都道府県の146自治体が「全国水源の里連絡協議会」を11月30日に設立し、新たな交付金制度の創設など国の支援を求めて始動し、福田内閣も「格差問題の象徴」として対策に力を入れる方針だという。東京で11月30日に行われた同会の設立総会では、与党議員が「皆さんがふるさとを誇りに思って生きていける施策を推し進めたい」(谷垣禎一・自民党政調会長)などと応じ、支援策に本腰を入れる考えを繰り返したそうだが、読売新聞も指摘するように、与党議員の発言の裏側には、7月の参院選で農山村部を多く抱える「1人区」で自民党が惨敗した影響がある。確かに、国交省と総務省の調べ(2006年4月)で全国に7878箇所を数える限界集落は、中国地方が2270箇所、九州地方が1635箇所、四国地方が1357箇所、東北地方が736箇所を数え、この4地方の合計で5998箇所の集落を数える。これらは、いずれも強固だった自民党の支持基盤が崩れた地方だ。読売の記事は、総務省幹部の「参院選を通じ、(限界集落が)都市と地方の格差の象徴として注目が集まった」との指摘と、吉川富夫・県立広島大(公共経済学)の「放っておけない問題と社会がようやく認識した」とのコメントを紹介している。

いただいた「はてなブックマーク」には、「居住性を維持するコストを考えると、限界集落はたたんだ方がいい。現状は一般人を山林の守り人のように扱っている面がある」などという新自由主義者のコメントもついているが、食料自給率を下げ、台風でもないのに山の斜面が突如崩壊する(12月2日のサンプロでは、四国のほかに奈良県の例も紹介されていた)自然破壊まで起きている現状を考えると、コストがかかるから切り捨ててしまえ、という暴論には、当ブログは賛成できない。

なお、九州の限界集落については、10月に西日本新聞が連載記事を掲載していたようだ。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/feature/genkaishuraku/

さて、いつもの政治記事に戻ると、額賀福志郎財務相に対する参院の証人喚問は、結局共産党など一部野党も全会一致の原則にもとるなどとして反対に回るなどして中止された。これをめぐって、共産党などを批判する意見や、それにさらに反発する意見なども出たが、当ブログとしては、額賀福志郎ごとき小物でこの問題を打ち止めにしてほしくない。11月17日のエントリでも指摘したように、守屋武昌・前防衛事務次官は、もともとは旧竹下派とつながっていたが、コイズミ政権下では一転して、それまで旧竹下派が持っていた防衛利権を竹下派からシャットアウトして、森派(現町村派)に移し変える役割を担っていたとされるのである。朝日新聞は沖縄利権も捜査の対象になると観測しているが、行き着く先には元首相・コイズミがいる。

魚住昭氏などは、防衛疑獄の検察捜査もまた国策捜査であって、今回の捜査そのものを歓迎する気には全然ならないと言っている(「SIGHT」 2008年冬号)。魚住さんは、検察が新保守である新自由主義者によって制御されていると信じているフシがあり、これは佐藤優に影響を受けているのではないかと思うが、私にはむしろライブドアや村上ファンド、それに今回の防衛利権の捜査などは、新保守に対する旧保守の挑戦ではないかと思われる。旧保守とは、たとえば野中広務のような人物を指す。野中の最大の宿敵はコイズミだ。もし防衛疑獄の捜査がコイズミ逮捕に行き着くのであれば、それは「良い国策捜査」(大谷昭宏がライブドア事件について用いた表現)であるとして歓迎したい気持ちが私にはある。


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もう8年も前、小渕政権の頃の話だが、四国・愛媛県の石鎚山の麓から西条市までの舗装道を、酔狂にも徒歩で20キロ以上下りて行ったことがあった。道中、いくつかのすたれてしまった集落を目撃した。その中には、昭和の末期に村おこしを試みながら失敗した跡が残っているところもあった。これが四国の山間部の実情だ、と思った。

今日(12月2日)、テレビ朝日のサンデープロジェクトで放送された 「限界集落」 の特集を見て、直ちに思い出したのがわが目で見た山村の姿だった。「限界集落」 とは、過疎化などで人口の50%が65歳以上の高齢者になり、冠婚葬祭など社会的共同生活の維持が困難になった集落のことを指す(Wikipediaより)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%90%E7%95%8C%E9%9B%86%E8%90%BD

先ほど 「大津留公彦のブログ2」 からこの番組について書かれた記事のTBをいただいたが、大津留さん同様、私もこの番組を見て改めてショックを受けた。

番組で「限界集落」の典型例として紹介された高知県の大豊町は、香川県に住む人間が高知に行く時に通過するし、香川県民の水がめ・早明浦ダムにも近い場所だから、もちろん地名は知っていたが、山間部とはいえ、高知市に比較的近い大豊町で、事態が深刻化しているとは認識していなかった。

大津留さんの記事にも書かれているが、田んぼを減反政策でやめさせ針葉樹の植林をさせた林野庁の政策が裏目に出て、集落は過疎化してしまった。杉は成長するために50年かかりそれまで生活が出来ないので多くは他所に出てしまい間伐する人がいなくなり、針葉樹は間伐しないと下草が生えず土が乾き保水力が落ちる。その間、国産杉の価格は値崩れし、植林政策が始まった時の3分の1になった。

土が乾いて保水力の落ちた山林は、雨も降らず台風でもなかったのに、ある日突然、道路脇の山の斜面が崩落し、橋が落ちるという災害をもたらした。近年四国では台風に襲われた時の被害がひどく、特に3年前に相次いで台風に襲われた時は大きな被害が出たが、これにも政府の失政と関係はないのだろうかという思いが頭をかすめた。

一方、番組では政府の政策に逆らって針葉樹を植えずに複合農業でお茶やしいたけや栗を作ることに力を入れたおかげで 「限界集落」 化を免れた同じく高知県の十和村(現四万十町)の例も紹介されたが、これはあくまで例外的なケースだろう。

番組で、「限界集落」の分布が紹介されていたが、中国・四国・九州地方に集中していた。これらは、従来自民党への支持率が高かったが、先の参院選でその地盤が大きく崩れかかった地方だ。自民党の地盤もまた、保水力が大きく落ちてきたのかもしれない。

政治は誰のためにあるのか、といえばもちろん国民のためというのが当たり前の答えになるが、一口で国民といっても、たとえば大都市圏に住んでそこそこ平和な家庭を築き、暮らしにも困っていない人もいれば、存亡の危機に瀕した「限界集落」の住民もおり、ワーキングプアと呼ばれる人たちもいる。ワーキングプアとは、「働けど働けど、生活保護水準(年収200万未満)の生活しかできない人々」のことを指し、2005年に発表された厚生労働省の統計によると、全労働人口の4分の1が、ワーキング・プアに相当するという。

政治ブログの記事を書く人間には、少なくともブログに時間を割くことができる分だけ恵まれているともいえるが、世間の多くが自分と同じような感覚でいると考えない方が良いと思う。もっとも、当ブログも偉そうなことをいえた筋合いではなく、それは、管理人が今日の「サンプロ」を見てショックを受けたことからも明らかだ。

そういえば、そろそろ当ブログでも赤木智弘や雨宮処凛(かりん)について取り上げてみようか。


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アクセスの比較的少ない土日の記事には、これまでも比較的軽く書き流す記事が多かったが、今日は、読者から石が飛んでくるかもしれない告白から始めたい。
実は、私はナベツネ(渡邉恒雄)のファンである。

まあまあ、冷静に冷静に。私は先日、ナベツネが書いた 『君命も受けざる所あり』 (日本経済新聞出版社、2007年)という本を読んだ。これは、昨年12月にナベツネが日本経済新聞の名物コラム「私の履歴書」に寄稿した記事をまとめたものだ。このコラムの連載当時、面白いから読めと、裏ブログ 「kojitakenの日記」 のコメント欄で勧められたのだが、「私の履歴書」なら本になるから、その時読めばよいと思って、当時はほったらかしにしていた。それをつい先日読んだものだ。

私がナベツネの著書を読むのは、『ポピュリズム批判』 (博文堂新社、1999年)、『わが人生記』 (中公新書ラクレ、2005年)、それに若宮啓文・朝日新聞論説主幹との対談をまとめた 『「靖国」と小泉首相』 (朝日新聞社、2006年)に次いで4冊目である。

なお、「ポピュリズム批判」という検索語でGoogle検索をかけると、当ブログの記事 「反ポピュリズム宣言」 (1月29日付)が10番目に引っかかる。実は私はこのエントリで既に、「隠れナベツネファン」であることを白状しているのだが、ナベツネとは主義主張がはっきりしており、全身全霊で批判したい気持ちになる男である。ある意味、「筋の通った敵」といえる。そして、筋の通らない味方は、筋の通った敵よりずっとたちが悪い。ナベツネは、たとえ世論の大部分を向こうに回しても、主義主張を貫く男だと思う。決して右顧左眄(うこさべん)はしない。ナベツネの著書名が示すように、ポピュリズム(大衆迎合主義)とはかつては政府に反対する側に張られがちなレッテルだった。そのポピュリズムを政府自ら行うようになったのがコイズミである。コイズミが国民をダマして「郵政総選挙」で自民党を歴史的圧勝に導いたあと、皮肉にも政局は波乱含みになった。政府側、反政府側を問わずポピュリズム的な言論が跋扈(ばっこ)する今日この頃だが、コイズミのワンフレーズ・ポリティクスに対して同じ方法で対抗してはならない。政府に反対する側には、国民の生活、国民の実感に沿った、足を地につけた言論が求められると思う。

さて、今回出版された 『君命も受けざる所あり』 は、大記者ナベツネの文章だけあって読みやすくて面白い本だが、当ブログとして決して推薦はしない。ナベツネが「最後の著書にしたい」といっている本であるにもかかわらず、その内容は、一昨年に出版された 『わが人生記』 とオーバーラップする部分が多いし、日韓条約締結や自自連立、自自公連立にナベツネが果たした役割など、本当に読者が知りたいことには、当然のことながら全く触れておらず、一方的なナベツネの宣伝本になっているからだ。私のようにナベツネに関心を持つ人間にとってのみ必読、といった位置づけにしかならない本だ。

それにしても思うのだが、自自連立、自自公連立の時にも政治家との密談を行った料亭から出てくるところを写真週刊誌に撮られまくったナベツネという男は、フィクサーと呼ぶにはあまりにも表舞台に出過ぎだ。今回の「大連立」協議に関しても、TBSテレビの「時事放談」などで何度も構想を語っていたし、何より8月16日付の読売新聞社説で、自ら「大連立」構想をぶち上げていたくらいだ。そして、「君命も受けざる所あり」の巻末の年表を見ていて、ナベツネが1974年に 『保革連立政権論』 (ダイヤモンド社)なる本まで出していたことを知った。現在の民主党が「革新」政党とはいえないことは措くとしても、「大連立」構想がナベツネが30年以上も温めていた構想であって、それを現実のものにしようとしていたとは、そのスケールの大きさには恐れ入った次第だ。しかし、フィクサーがあんなに前面に出ていては、容易に反対勢力や世論の反発を受ける。ナベツネの「陽気さ」は、フィクサーとしてはふさわしくない資質だろう。フィクサーはやはり児玉誉士夫のように陰にこもったキャラクターでなければつとまらないのではないだろうか。

ナベツネがあまりにも表に出てくるから構想が頓挫したのは、今回が初めてではない。今回の「大連立」騒動を見て、3年前のプロ野球再編劇を思い出された形も少なくないだろう。『君命も受けざる所あり』でも、この件に少し触れているが、ナベツネはナント竹中平蔵の依頼で、オリックスの宮内義彦と会い、球界再編を画策したものだそうだ。あの時、それまで宮内義彦と反目しあっていたはずのナベツネがなぜ、と思ったものだが、ナベツネはいつの間にか竹中平蔵と手打ちしていて、宮内と球界再編を共謀したのだ。竹中には、「プロ野球が再編されれば、国民にわかりやすい形で小泉政権の看板である構造改革の効果をアピールできるから、再編を進めてほしい」(『君命も受けざるところあり』 より)という意図があったとナベツネ自身が明記していることは注目に値する。幸いにも、民意は竹中やナベツネ意図とは異なり、プロ野球の再編は阻止された。

この過程を思い出していた私としては、今回の「大連立」構想も必ず頓挫するという確信を持てたし、事実そのように事態は推移した。

今週号の「週刊文春」に、日本テレビが日曜朝に放送している番組「ザ・サンデー」が、読売ジャイアンツの話題に移ったと同時に視聴率が下がり、その下がり幅は直前のCMの時間帯と比較して4%にも達したという記事が出ていた。熱烈な巨人ファンとして名を売った同番組の司会者・徳光和夫の顔色をなからしめる報道だ。今なおストーブリーグで阪神タイガースと猛烈な補強合戦を展開している巨人だが、その終焉の日は間近い。

いまや新自由主義政党と化してしまった自民党による政治も、読売ジャイアンツ同様に「終わりの日」は近いと思う。果たして、それはナベツネの目の黒いうちに現実のものとなるのだろうか。


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