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きまぐれな日々

一昨日(11月11日)のエントリで、森田実の小沢一郎批判をご紹介したが、森田は渡邉恒雄(ナベツネ)も厳しく批判している。

2007.11.11
森田実の言わねばならぬ[722]

平和・自立・調和の日本をつくるために【517】
民主党に考えてほしいこと〈4〉
政治家は、国民のために政治権力を監視し政治権力の過ちを正す社会的責任を負った新聞社の指導者が、その本分を忘れて自ら権力者として日本国民を支配しようとしている読売新聞グループ本社会長の渡邉恒雄氏に振り回される愚を繰り返してはならない

(中略)

 11月8日、鳩山由紀夫民主党幹事長は、8月に渡邉恒雄氏から「大連立」の持論を聞いたという事実を明らかにした。それまで渡邉恒雄氏の名は、新聞等で報道されていたが、政治家自身が、渡邉氏の名をあげたのは初めてである。この発言によって、今回の大連立騒動の仕掛け人が、渡邉氏であることが、ほぼ明らかになった。
 政治権力と一体化した大新聞を使って、国民を支配しようとするのは、大新聞指導者の堕落である。堕落し権力欲のかたまりと化した大新聞の独裁的指導者が、日本国民の将来を決めようとするのは、新聞指導者の傲慢である。これが読売の渡邉恒雄会長である。日本のフィクサーを気取り、読売新聞という社会の公器を使って、国民を、自らが狙う方向に従わせようとしている。きわめて危険な人物である。新聞社の社会的役割は、国民のために政治権力を監視し、過ちを犯させないようにすることにある。この本分を忘れ日本を支配しようとするのは罪悪である。民主党は、再び、このようなフィクサーに騙されてはならない。民主党は二度と今回のような愚を繰り返してはならない。

(「森田実の時代を斬る」 2007年11月11日)

ジャーナリズムには権力へのチェック機能が求められる。そんなことは、ジャーナリズム論のイロハのはずだ。ところが、魚住昭の名著 『渡邉恒雄 メディアと権力』 に紹介されているように、ナベツネは「権力と一体となったジャーナリズム」を理想としている。田中角栄がロッキード事件で逮捕されたあと、「闇将軍」と化したように、ナベツネも自民党政府を操ろうとした。だが、コイズミはナベツネがコントロールすることのできない政治家だった。コイズミ?竹中の新自由主義には私は大反対だが、唯一彼らを評価できるところがあるとすると、ナベツネに動かされなかったことかもしれない。

この、「メディアが権力をコントロールする独裁政治」をとるか、「国民を不幸にする新自由主義」をとるかというのは、いわば「究極の選択」である。一昨日のエントリで、新自由主義者とおぼしき毎日新聞の岸井成格がナベツネを批判したことを肯定的に取り上げたら、さっそく当ブログを批判するコメントがついたが、当ブログとて岸井など評価したくはない。だが、ナベツネを批判する正論だけ切り取ってみたら、岸井に同意するしかないのである。だが、岸井に同意するという形ではどうにも癪に障るので、あらためて森田実がナベツネを批判した記事を取り上げた次第である。

ところで、今回の「大連立」の件にはもうこだわるまい、と数日前に書いたが、どんなに気持ちを切り替えようとしても頭からこびりついて離れない。

まともに損得勘定をしたら、民主党にとってメリットは何一つない話だった。それなのに、小沢一郎はそれに乗ろうとした。なぜだろうか。つらつら考えているうち、つい数ヶ月前まで、やはり冷静に考えたらメリットなど何もない行動を安倍晋三がとり続けていたことを思い出した。参議院選挙を「政権選択の選挙」にしてしまったのは安倍晋三自身だった。参院選で惨敗して辞意を表明すべき局面で、「続投」を表明したこともそうだ。

こんなことを書くと、また「小沢一郎を安倍晋三と一緒にするな」とお叱りを受けそうなのだが、前首相が自滅してくれたのを喜んでいたら、野党第一党の党首が自滅にしかならない選択をしようとしたとは、一体全体どういうことなのか。これまでの選挙で、われわれは一体何を選んできたのか。

そうこうしているうちに、新テロ法案が衆院特別委で可決され、今日衆議院を通過する見通しだ。参院の野党の対応によっては、福田首相が衆議院を解散するという説もあるが、福田内閣の支持率も低下しているうえ、山田洋行事件の捜査も進んでいるので、福田康夫もうかつには解散のカードを切れないのではないかと思う。日経平均株価も一時1万5千円を割った。本当は、当ブログでもこれらもろもろの話題を取り上げるべきなのだろうとは思うが、自民党を選挙で敗北に追い込んでも、「大連立」政権が発足して何の意味もなさなくなるかもしれない、などの思いが頭をよぎると、これまでみたいな調子ではなかなか記事を書けなくなってしまっている。

もともと「反自民」の傾向を持っていた人の中には、民主党に投票するのをやめて社民党や共産党に投票する人も出てくるだろう。これなら全然問題ないのだが、これまで自民党に投票していたけれど、自民党政権では暮らしは良くならないと考え始めて前回の参院選で民主党に投票した人、特に地方の人たちは、おそらく社民や共産には入れず、棄権するか再び自民党に投票することになると思う。「よりマシ」の論法の是非が論じられているが、突然民意を無視して、それまで否定してきたはずの相手と連立を組もうとする政党より、ずっと政権を担当してきた政党の方が安定感があってまだ「マシ」だと感じる人たちがいてもおかしくないし、地方の保守の人たちは特にそう感じるのではないかと思う。これは、理にかなった選択ではないが、民意がいつもいつも理にかなったものだったかというと、決してそうではない。それは、一昨年の熱病に浮かされたかのような「郵政総選挙」を思い出せばご理解いただけるかと思う。

こんなことなら、防衛利権の捜査が一気に進んで、与野党の大物政治家に次々と累が及ぶ事態にならないものかと思ってしまう。本命といわれている久間はともかく、民主党のOとか自民党のKにまで累が及んで、自民党も民主党も、そしてもちろん読売新聞もぶっ壊れない限り、日本の政治の再生はないのではないかと思ってしまう今日この頃なのである。

[追記1]
毎日新聞の社説(11月13日)が、ナベツネと読売新聞を名指ししてこの件に対する説明を求めた。これが仮に岸井成格の差し金によるものであったとしても、当ブログはこの社説を支持する。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20071113k0000m070150000c.html

社説:「党首会談工作」 「さる人」の説明が聞きたい

 自民、民主両党による大連立構想の真相は依然不透明だ。ことは、国を治める権力の所在にかかわる重大問題である。当事者である福田康夫首相はもちろん、小沢一郎民主党代表が「さる人」として存在を明らかにした「仲介者」は事実を語るべきだ。

 小沢氏が今月7日の記者会見で明らかにしたところによると、党首会談に至る経緯は大要次のようなものだ。

 2カ月ほど前、「さる人」から呼び出され「お国のために大連立を」という話があった。10月半ば以降にその人からまた連絡があり「首相の代理の人と会ってくれ」という話をされた。「代理人」に会ったところ首相もぜひ連立したいということだったので、「首相から直接話を聞くのが筋だ」という話を返し、党首会談につながった??。

 「さる人」の名前を小沢氏は明らかにしていないが、読売新聞グループ本社の会長兼主筆の渡辺恒雄氏である、と読売新聞を除くほとんどのメディアが報じている。「さる人」がだれで、どのような仲介をしたのかは、まさに新聞の読者の「知る権利」の対象だろう。渡辺氏が仲介をしたのなら、その事実を紙面で明らかにすべきではないか。新聞の紙面づくりのトップに期待されることだ。(以下略)

(「毎日新聞」 2007年11月13日付社説より)

[追記2] (2007.11.14)
うかつにも今頃知ったのだが、朝日新聞は毎日新聞に先立つこと3日前の11月10日付社説で、やはりナベツネに説明を求めていた。
http://www.asahi.com/paper/editorial20071110.html

「大連立」仲介―読売で真実を読みたい

 自民党と民主党が大連立する。そんな驚くべき話が飛び出した先の党首会談の、段取りをつけたのは誰なのか。

 小沢民主党代表は、辞意撤回の記者会見で「さる人」から話を持ちかけられたと明かした。続いて、その人物に勧められて「福田首相の代理の人」と会い、党首会談が実現したという。

 小沢氏は名を明かさなかったが、どうやら「さる人」とは読売新聞グループ本社会長で主筆の渡辺恒雄氏であるらしい。朝日新聞を含め、読売新聞を除く多くのメディアがそう報じている。

 首相と野党第1党の党首の間をとりもち、会談や「大連立」話を仲介したのが事実とすれば、報道機関のトップとして節度を越えているのではないか。

(中略)

 読売新聞は、大連立を提案したのは小沢氏だったと大きく報じた。小沢氏が「事実無根」と抗議すると、今度は小沢氏に「自ら真実を語れ」と求めた。

 その一方で、同紙は仲介者については報じていないに等しい。一連の経緯にはなお不明な部分が多い。だれよりも真実に近い情報を握っているのは読売新聞ではないのか。読者の知る権利に応えるためにも、真実の報道を期待したい。

(「朝日新聞」 2007年11月10日付社説より)


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