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きまぐれな日々

恒例のアクセス解析記事だが、9月はついに安倍晋三内閣が倒れ、「AbEnd」(安倍の異常終了)が成就するという記念すべき月だった。

おかげさまで、9月度のアクセスは8月度より大幅に増加し、参院選で安倍自民党が大敗した7月度に迫る、当ブログとしては過去2番目に多いアクセスを記録した。特に、安倍が辞意を表明した9月12日に7,681件、翌13日に7,886件と、過去二度「きっこの日記」からリンクを張っていただいた時を除いて最多のアクセス数を記録した(過去最多は6月8日の15,117件)。

まずいつものように月間アクセス数データをご紹介する。アクセス数は解析ツールによって異なり、弊ブログではFC2アクセスカウンタ、FC2アクセス解析(新旧2種類)およびはてなカウンタの4種類でデータをとっている。

FC2カウンタ
  トータルアクセス数 126,652件 (8月度比 27.7%増)
新FC2アクセス解析
  ユニークアクセス数 72,889件 (8月度比 25.5%増)
  トータルアクセス数 119,141件 (8月度比 27.6%増)
旧FC2アクセス解析
  ユニークアクセス数 85,262件 (8月度比 25.6%増)
  トータルアクセス数 112,932件 (8月度比 27.9%増)
はてなカウンタ
  ユニークアクセス数 94,944件 (8月度比 25.3%増)
  トータルアクセス数 114,190件 (8月度比 26.6%増)


9月度は、検索エンジン経由のアクセスが多かった。これも、安倍辞任の直後から数日が際立って多かったが、福田内閣が発足したあとは激減した(苦笑)。Google検索経由で14,980件、Yahoo!検索経由で8,751件を記録している(新FC2アクセス解析)。ブログでは、「カナダde日本語」経由が2,547件で断トツで、「反戦な家づくり」「らくちんランプ」経由も、いつも同様多かった。

検索語ランキングは、下記のようになっている(「はてな」アクセス解析より)。

1位 きまぐれな日々 1,139件
2位 安倍洋子 706件
3位 勝谷誠彦 457件
4位 安倍寛信 428件
5位 安倍晋三 378件
6位 安倍 週刊現代 356件
7位 工藤会 287件
8位 気まぐれな日々 238件
9位 植島幹六 233件
10位 福田康夫 224件
11位 大村秀章 193件
12位 田勢康弘 180件
13位 田中森一 162件
14位 検索 159件
15位 福田赳夫 139件
16位 カンロク先生 132件
17位 健康 安倍 127件
18位 安倍晋三 週刊現代 113件
19件 安倍首相 週刊現代 111件
19位 スキャンダル 安倍晋三 111件

お分かりのように、安倍晋三に関する検索語のオンパレードである。21位以下で、安倍に関する検索語を含むものを挙げていくと、

22位 健康 安倍晋三 108件
24位 安倍晋太郎 101件
26位 安倍晋三 脱税 96件
30位 えこう塾 61件
34位 安倍 立花隆 51件
35位 スキャンダル 安倍 50件
36位 杉山敏隆 49件
37位 安倍晋三 潰瘍性大腸炎 48件
44位 スキャンダル 安倍首相 41件
48位 安倍晋三 慧光塾 38件
48位 安倍晋三 立花隆 38件

などとなっている。結局、「安倍晋三」を含む検索語で1,863件、「安倍」を含む検索語で1,649件、「安倍首相」を含む検索語で367件のアクセスがあった。なお、まだ「安倍前首相」を含む検索語でのアクセスはほとんど記録されていないようだ(笑)。

アクセス数の多かった記事のランキングにも、今回は異変が生じている。まずトップ10を挙げる。
人気記事ランキングからは下記の通り(「はてな」アクセス解析より。「トップページ」と「不明」を除く)。


1位 言論が一方向に振れる時 ? 山口県光市母子殺人事件をめぐって (8月22日) 1,801件
2位 福田内閣支持率50%超に見る日本人の知性の劣化 (9月27日) 1,761件
3位 安倍晋三は「安倍家の面汚し」 (2006年9月8日) 1,561件
4位 安倍晋三首相が辞意を表明 (9月12日) 1,475件
5位 次期首相は福田康夫が濃厚 & 自民党政権を終わらせよう! (9月14日) 1,373件
6位 「経済右派」が「政治右派」の安倍晋三を征圧した (9月13日) 1,296件
7位 コイズミ一派とアベシンゾー一派の内紛が始まった (9月11日) 1,104件
8位 世論を一色にするのがマスメディアの特質だ (9月22日) 1,080件
9位 爆笑!森喜朗の安倍政権批判 (「論座」10月号より) (9月16日) 1,077件
10位 週刊現代の記事「安倍晋三は拉致問題を食いものにしている」 (2006年10月13日) 970件

ご覧のように、当月以外の記事がトップ10のうち3件を占めている。1位の山口県光市母子殺害事件に関する記事は、8月度のランキングでも2位だったが、9月度はさらにアクセス数を増やした。これには、「カナダde日本語」 の記事 「山口県・光市母子殺人事件: 世論が変わるとき」 からリンクを張っていただいた影響が大きく、同記事経由でナント421件のアクセスがあった。

3位と10位は、それぞれ「安倍洋子」「安倍 週刊現代」などの検索語で当ブログを訪問された方のアクセスによるものと思われる、後者は、安倍晋三の脱税疑惑をスクープした「週刊現代」の記事について情報を得ようとアクセスされたものだろうが、ご期待に添えなくて申し訳ない(笑)。

11位以下にも、過去の記事へのアクセスが多かったので、当月分の記事を除く過去記事へのアクセス数を示してみる。

12位 安倍晋三に囁かれる「健康不安」 (2月22日) 784件
13位 電波芸者・勝谷誠彦の生態 (2006年7月29日) 772件
19位 安倍晋三の正体 (2006年11月5日) 550件
24位 自民党の「年金問題の切り札」・大村秀章の醜態 (6月17日) 461件
25位 小泉純一郎と安倍晋三と「女系」 (2006年8月6日) 434件
27位 共同通信が安倍晋三事務所のスキャンダルをもみ消した (2006年11月3日) 416件
28位 田勢康弘氏の安倍内閣批判(四国新聞より) (8月20日) 388件
29位 指定暴力団工藤会の「おねがい」 (2006年7月14日) 382件

安倍晋三が首相を辞任する意向を表明した時期に、安倍の旧悪を指摘する記事へ多数のアクセスをいただいたことは、管理人としても心強い。安倍の「再チャレンジ」阻止に少しでも当ブログの記事が寄与できれば幸いだ。

訪問回数別では、9月度は再び初回訪問客の数が増え、29,892件を記録し、全アクセス数(ユニークアクセス数)の35%を占めた。一方、100回以上の訪問者も17,211件(20%)で、これはブログ開設以来毎月増加を続けている。

安倍晋三関係の検索語によるアクセスは、ここへきて既に激減しており、当ブログへのアクセス数も減少気味である。また、当ブログとしても、もう少ししたら「AbEndリンクリスト」の表示を外そうと思っている。今後は、「AbEndキャンペーン」を発展的に解消して新たにスタートした「自Endキャンペーン」を盛り上げていきたいと思う。

とはいえ、10月度以降は、参院選のあった7月度や安倍が辞任した9月度のようなアクセス数はなかなか期待できないだろう。次の衆議院選挙はいつになるかわからない。私が福田康夫だったら、できるだけ引き延ばしながらも、解散権という伝家の宝刀の威力が落ちない頃合いを見はからって、自民党の都合の良い時期に解散しようとすると思う。その時期は、ずばり来年秋頃だろう。もちろん、民主党など野党にしても、反自民党の言論にしても、福田首相に早期解散を求めることになるが、そうは問屋が卸さないと思っておいたほうが良い。そして、今ブログ言論のなすべきことは、いつになるかわからない解散総選挙に向けてアジテーションをやることではなく、政策論で自民党を追い詰めることだと思う。

さて、当ブログのトータルアクセス数累計は、読者の皆さまのおかげで、近いうちに100万件を超えると思うが、以前から「累計アクセス数が100万を超えたら、それ以後は本当に書きたい記事を書いていこう」と考えていたので、10月以降は、これまで以上に「きまぐれ」なブログになってしまうかもしれない。そんなブログでよかったら、今後もご愛顧のほどをお願い申し上げたい今日この頃である。


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はじめに、このところ弊ブログの記事にいただいているトラックバックやコメントをくださった皆さまに、お礼を申し上げる。

当ブログでは、トラックバックにはできるだけお返しをするようにはしているが、遅くなることが多いし、TBが通らないこともままあるので、その点ご了承願いたい。また、大部分の場合いただいたコメントにはお答えできずにいるが、コメントにはすべて目を通しており、コメントを下さった方には感謝している。但し、ブログ管理人はコメント欄を議論の場とは考えていないので、その点ご理解とご了承を求めたい。

さて、今日は新自由主義者のイカサマ性を前回に引き続いて批判したい。今日のは、ちょっと陳腐な批判だと思うが、新自由主義批判の原点なので、あえて記事にする次第だ。

平等には「機会の平等」と「結果の平等」があり、新自由主義者は前者を主張し、後者を「社会主義」だとして批判する。しかし、もういやというほど指摘されているように、「機会の平等」などというものは存在しない。

自民党の議員たちを見てみればわかるだろう。毎回のように指摘するように、「三角大福中」の頃は、自民党のリーダーは実力でのし上がった議員ばかりだったが、ニューリーダーと呼ばれた安竹宮(安倍晋太郎、竹下登、宮沢喜一)の3人のうち、安倍と宮沢は2世政治家である。安倍晋太郎の父・安倍寛(あべ・かん)については、当ブログでも何度か取り上げてきた(「安倍のもう一人の祖父は「平和主義者」だった」など)。安倍晋太郎や宮沢喜一はまだ存在感のある政治家だった。たとえば、安倍寛は早世したこともあって、誰も安倍晋太郎のことを「安倍寛の息子」とは呼ばなかった。ところが、近年は世襲議員の中でも、本人より父や祖父のイメージに強い人物ばかりがのし上がってくるようになった。その最悪の例が安倍晋太郎の息子の前首相・安倍晋三であり、この男は「岸信介の孫」であることを自ら強調するありさまだった。現首相の福田康夫も、ことあるたび父・福田赳夫元首相が提唱した「福田ドクトリン」に言及する男だが、福田ドクトリンとは、「軍事大国とならず世界の平和と繁栄に貢献する」、「心と心の触れあう信頼関係を構築する」、「対等な立場で東南アジア諸国の平和と繁栄に寄与する」という東南アジア外交の3項目のことで、安倍晋三が唱えた「戦後レジームからの脱却」とは真っ向から対立するものである。福田康夫は、安倍晋三のような極右路線をとる恐れはなさそうで、それより警戒すべきは、麻生太郎より「右」にあたる福田の「経済タカ派」的政策だろう。すでに、マスコミを通じて「財政再建路線」「消費税増税」などをちらつかせている。「自End」にも右派ブロガーによる「財政破綻」の脅しをちらつかせながら「カイカク」を迫るエントリがTBされているようだが、テロ特措法もさることながら、今後は経済政策についての論争が活発化していくと思う。

さて、例によって話が大きく脱線したが、元に戻って、世襲議員ばかりが総理大臣になる自民党に、「機会の平等」による競争原理が働いているなんて誰が信じられるだろうか? 私は、安倍晋三が「頑張った者が報われる社会に」と口にするたび吹き出しそうになった。「格差固定」の象徴のような男が何言ってるんだよ、って。故田中角栄あたりが言うのならわかるが、安倍晋三にそんなことを口にする資格はない。所信表明の2日後に首相辞任を表明したこの男は、まだ議員を続けるつもりらしいが、企業だったらとっくに解雇されているだろう。

断っておくが、私は統制経済・計画経済より市場経済の方がすぐれている、というよりまだ「マシ」だと考える人間だ。もし、「機会の平等」が確保されるなら、モチベーションが高い方がパフォーマンスは良いに決まっている。しかし、現実には新自由主義政策が格差を生み出し、それが固定化される傾向が強いから、最初から「機会の平等」などあり得ない。このような社会ではモチベーションは上がらない。だから、経済効率を重視する観点に立った場合でも、かなりの程度「結果の平等」に配慮した再分配が必要なのだ。よく再分配に「バラマキ」というレッテルが張られることが多いが、これはとんでもない話だ。たとえばテレビで田原総一朗が「バラマキ」と口にするのを見るたび、田原は自分の収入を独り占めしたい守銭奴なんだなと思う習慣をつけるのが良いと思う。右派は、では財政赤字はどうするのだ、と言い出すだろうが、その対策は簡単なことだ。金持ち減税を止めるとともに、アメリカのために使ってやっている出費を削減すればよい。たとえば、テロ特措法で問題になっている「給油活動」の正体は、アメリカに上納金を差し出すことだ。こんな無駄こそ真っ先に切り詰めるべきなのだ。

もう一つ、新自由主義で一番頭に来るのは、「完全な市場が存在する」ことを前提にした経済理論に立脚していることだ。現実には「完全な市場」など存在しない。確率論に立脚した金融理論では、リスクを最小化することはできても、大儲けできる方法など編み出せないはずだ。それは、たとえてみれば室温に置かれたコップの中の水が勝手に沸騰するようなことが起きるくらいの確率しかない。だが、現実には村上ファンドが大儲けしていたりした。これから導かれる結論はただ一つ、村上ファンドはインサイダー取引をやっているのだ、ということを、当ブログでは村上世彰が逮捕される1か月前、まだ捜査の報道がなされる前に指摘していた(2006年5月2日付エントリ「株で儲けるには」)。

つまりどういうことかというと、新自由主義の正体は、インサイダー情報を知っているものだけがトクをできる、いかさまの競争を人民に強制する思想だということだ。「完全な市場」が存在するという前提は成り立っていない。閉じられたサークルの中にいるエスタブリッシュメントたちが情報を寡占して、巨万の富を得る。ライブドア事件に絡んでひところ話題になった「投資事業組合」は、その人たちのためのものだったはずだ。そして、エイチ・エス証券副社長の野口英昭は、その秘密を知っていたからこそ、ライブドア事件の捜査が始まって早々に「自殺」しなければならなかったのだ。安倍晋三はIT長者や新興の不動産業者のパトロンだった。安倍晋三政権が終わったからといって、これらのことを決して忘れてはならないと思う。

新自由主義とは、カルト思想の一種というより、詐欺師が人々を騙すために使う口上みたいなものだと思う今日この頃だ。


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昨日のエントリは、タブーとされる「大衆批判」を含むものだったので、予想通りネガティブな反響がかなりあった。

2005年の「郵政総選挙」ではコイズミ自民党が圧勝し、今年7月の参院選では安倍自民党が惨敗した。人間とは身勝手なもので、自民党に反対の人は、今回の選挙結果が「民意の反映だ」というのだが、この論は、一昨年の「郵政総選挙」の結果もまた「民意の反映」であったことを無視している。実際には、いつまた一昨年のような選挙結果が再現されるかわからない危うさが日本の社会にあることを忘れてはならない。

参院選の前に、「B層」を批判したら、「コイズミB層を批判するな、安倍を批判するB層を取り込め」との批判を受けたこともあった。選挙に勝つためだけなら、コイズミの向こうを張った「B層戦略」もよいだろうが、それこそポピュリズムというものだろう。

もうあちこちでいやになるくらい指摘されていると思うのだが、民意が右に左に大きく振れやすくなっているのは、社会に閉塞感があり、大衆が不満を溜め込んでいるからだ。

70年代までは、「有権者の絶妙なバランス感覚が働いた」と評される選挙結果が出ることが多かった。それが変わった最初は、1980年の衆参同日選挙だったと思う。その前から、自民党支持が漸増する傾向があったが、それが一気に出た。

田中角栄、三木武夫、福田赳夫、大平正芳の4人が首相を生み出した70年代は、田中内閣の初期を除いて、自民党内閣の支持率はそんなに高くなかった。今回、福田康夫内閣が50%台後半をたたき出したことで、「父を超えた」と書いたスポーツ紙があった。福田赳夫内閣は、発足当初から20%台の低支持率だったのだ。でも、そんなことを言うのなら、安倍晋三内閣は祖父を超えていた。まあそれはともかく、有権者もジャーナリズムも、今よりずっと政権に対して批判的だった。一昨日のエントリで、渡辺治氏が、自民党の開発型政治が結果的に格差を是正していたと指摘したことを紹介したが、格差を是正してきたのは自民党政治だけではなく、有権者やジャーナリズムによる政権批判や、次々と生まれてきた「革新自治体」の影響もあったのだと思う。だから、自民党の政策は「修正資本主義」にならざるを得なかったのだ。

70年代半ばに「スタグフレーション」(不況下の物価高)という状況が生じ、ケインズ的な政策では対応しきれなくなった頃にハイエクの理論に基づく新自由主義が台頭した。サッチャーが首相になった1979年、日本でも意外なことに「保守本流」のはずの大平正芳が「小さな政府」指向を打ち出している。「大平正芳」を検索語にしてネット検索してみればわかるだろう。中曽根康弘が首相になり、実際に新自由主義を導入しようとし始めたのは1982年のことだが、格差拡大はこの頃から始まった。保守論壇は、90年代初頭のバブル崩壊から小泉純一郎政権が誕生するまでの10年を「失われた10年」と称する。バブル崩壊後の政策を誤った「旧来自民党政治」を批判し、「コイズミカイカク」を称揚する論法だが、これはおかしい。バブルは、後処理を誤った者たちより、それを作り出した者をより強く批判すべきであって、最大の戦犯は中曽根康弘の「民活路線」、すなわち新自由主義なのだ。新自由主義の誤った政策が生み出したバブルを、旧来自民党の政策で解決しようとして失敗したところにコイズミが現れて極端な新自由主義政策をとり、格差をさらに拡大していった。つまり、コイズミの政策は、病人の治療をやめるどころか病状をさらに悪化させるようなものだった。新自由主義が生み出した「負のスパイラル」である。

それなのに大衆は、コイズミが閉塞感を打破してくれるのではないかと期待し、01年の参院選で自民党に大量の議席を与えた。その幻想はいったんは徐々にさめ始め、03年の衆院選と04年の参院選では自民党は敗北したが、05年の「郵政総選挙」で再び「強い指導者」に対する国民の渇望を呼び起こし、郵政総選挙で自民党は空前の大勝利を収めたのである。

以上が70年代後半以後の、主に経済政策面に着目した政治史の私なりの概観だ。この間、政府の財政赤字は積み上がっていった。何度も書くように、私は必ずしも政治思想にも経済学の理論にも明るくないのだが、財政赤字については長年にわたって以下のような疑念を抱いている。すなわち、日本政府は日本国民から借りた金をアメリカに貸しているだけで、財政赤字がいっこうに改善されないのは、アメリカから金を返してもらえないからに過ぎないのではないかというものだ。アメリカに貸した金を返してもらえないから、国民に借金を返せない。言い換えれば、日本国民が本来手にすべき富を、アメリカに吸い上げられているのではないか、という疑問をずっと持っているのである。

ところで最近、親米保守の論客・手嶋龍一が、小沢一郎を「隠れゴーリスト(ド・ゴール主義者)」と呼んだ論評しているのを知り、注意を喚起された。
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20070905-01-1101.html

私は、90年代の小沢一郎は、典型的な親米のタカ派だとずっと思っていて大嫌いだったのだが、私もまた「B層」の1人だから(笑)、読みが浅かった。手嶋は、
「小沢一郎という政治家は、国連の安全保障に日本の自衛隊を委ねて国際貢献の義務を果たし、同時に日本の安全保障を確かなものにしていこうと提唱しました。当時こうした議論はかなり新鮮なものだったのですが、アメリカの戦略家たちの眼には、オザワは日米同盟から静かに離脱し、国連の安全保障に軸足を移そうとしていると映ったのでした。
と指摘している。さらに手嶋は以下のように続ける。
アメリカの疑念は、小沢氏が日米同盟派ではなく、国連の集団安全保障機能に拠ってたつ対米自立派ではないかというものでした。東アジアの安全保障に通じた戦略のプロフェッショナルたちは、オザワのなかに故ドゴール仏大統領のように対米自立を密かに模索する「隠れゴーリスト」の影がちらつくのを見逃さなかったのです。その疑念は今にいたるまで消えていないといっていい。
 
その小沢氏は、参議院選挙の勝利で10年ぶりに脚光を浴び、「隠れゴーリスト」の鎧すらかなぐり捨てようとしている―ブッシュ共和党政権の戦略家たちはそう見ています。小泉改革によって既得権益を失った人々の胸底に沈殿する反米ナショナリズム。小沢民主党はそれを揺さぶって政権奪取のテコにしようとしているのでしょう。テロ対策特別措置法こそ、政局の秋の主戦場となりつつあります。

小沢一郎が何を考えているのか、正直言って私にはずっとよくわからなかったのだが、これを読んで少しは頭がすっきりしたように思う。「9条改憲」が是か非か、という視点からだけではこういうことは見えてこない。左派も、今後は現実の国際政治を見据えた広い視野が求められるのではないかと思う。なお、断っておくが、私は日本国憲法の改定には反対である。

とりとめのない記事になったのでこのあたりで止めたいが、私は基本的に「対米自立なくして閉塞状況の打破はない」と考えている。


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あのどうしようもない安倍内閣が先月末に内閣改造を行った時、内閣の支持率が10%ほど上がった。その2週間後に崩壊した内閣の支持率が、である。

だから、福田内閣の支持率は50%くらいはいくだろうと思っていた。しかし、現実に読売新聞で57.5%、共同通信で57.8%、朝日新聞で53%という数字を見せつけられると、気が滅入るものがある。

昔から、どんな内閣であっても、発足当初は支持率が高めに出るものではある。だが、小泉純一郎内閣以来、その傾向が異常になってしまっている。国民の批判能力が落ちている、というより国民の知性が劣化していると思う。誤解を恐れずにいえば、「B層」が国民全体に占める割合が、異様に増大しているのだ。そして、内閣発足当初の支持率が、昔ではあり得なかったようなはね上がり方を示すようになった。

私は、コアな自民党支持者に対しては、そんなに非難するつもりはない。十人十色という言葉があるように、人の意見は皆違っていて当たり前だ。

しかし、自分の考えがなく簡単に流されてしまう人たちに対しては、知的訓練が欠けていると非難したい。参院選前の安倍内閣末期の支持率は20%台、安倍改造内閣の支持率は30%台、福田内閣発足直後の支持率は50%台だが、最悪は安倍内閣改造で内閣不支持から支持に戻った10%であって、これが「ヘビーなB層」、福田内閣発足で内閣支持に戻った20%は「ライトなB層」に相当するだろう。

こういう「B層」の話を持ち出すと、愚民思想だといって非難する向きがあるが、実際にファシズムを生み出すのはこうした「B層」であり、私はこれに対する批判が現状では弱すぎると思う。

政治家は民度を映す鏡だとはよく言われることだが、安倍晋三などという、冷静に考えればどう考えても無能であり、その器でない人間が総理大臣になるのを許したということは、日本人の知性の劣化は深刻だと考えざるを得ない。

自民党には、かつて「三角大福中」がしのぎを削った時代があった。この5人に、世襲政治家は一人もいない。これに対し、昨年、ポストコイズミ争いをすると報じられた「麻垣康三」は全員が世襲議員である。

企業は、経営を二代目、三代目に任せるようになると、没落していくことが多い。自民党も同様だと思うのだが、救いがないと思うのは、そんな自民党政権を国民が支持することだ。

私は、ここまで国民の知性が劣化したのは、国民が「考える訓練」を十分にしなくなったからではないかと思う。日本の学校教育は、70年代がもっとも内容が難解だったそうだ。70年代というのは、自民党の支持率が極小値をとった時代である。当時のカリキュラムは「詰め込み教育」だとして批判されたが、私は人間が「考える力」を身につけるためには、子供時代にはある程度知識を詰め込むことも必要だと思う。たとえば、政治問題や経済問題については、いろいろな立場での考え方があることを知った上で、どういう解が最適かという自分の意見にたどり着くのではないだろうか。

三浦朱門という作家がいて、こいつは、被支配層にはほどほどの教育を施しておけばよい、その上で、優秀な支配層が被支配層を導いていけばよいという思想を持っている。「私の妻(曽野綾子)は二次方程式が解けなくとも、日常生活に不便はなかった」、「これからはかけ算の九九を言えなくて中学を卒業する子も出るだろう。すべての生徒がある程度のレベルをマスターできると思うのは錯覚だし、マスターさせようとするのも愚かしい」などというのが三浦の発言である。

70年代、国民の政府批判に業を煮やした文部省は、「ゆとり教育」への転換を行ったのだが、その背景には三浦のような思想があったと考えるべきではないだろうか。つまり、国民を支配しやすくするために、国民の教育水準を下げようという考え方である。そして、少数の者には、被支配者を支配する術を叩き込もうというのだ。

痛恨事だったと思うのは、「ゆとり教育」というのが、一見日教組やリベラルの人たちに受け入れられやすい政策であったために、抵抗なく広がっていったことだ。その結果、日本はいまや先進国の中でもっとも子供たちが勉強をしない国になってしまった。これではダメだ。十分な知識という土台があって初めて「考える力」が身につくのではなかろうか。

よく「グローバル・スタンダード」がどうのというのだが、この言葉に内在する欺瞞性はとりあえず措くとして、支配者が国民を支配しやすくするためだけなら、愚民化政策も(支配者にとっては)有効なのだろうが、それでは国際的な競争力を失ってしまう。安倍前政権の「教育カイカク」のごときは、国家主義の強制であって論外だが、「ゆとり教育」は改めなければならないと思う。すべての国民が、一定以上の教育水準に達している必要があると私は考えるのだ。

話を戻すが、先週と今週は三連休が連続したが、17日と24日の月曜日に、普段は見ない朝のワイドショーをちょっとだけ見ていたら、自民党総裁選や福田新総裁の話題を延々と垂れ流していた。いまや、政治は娯楽化している。おそらく、コイズミの「劇場型政治」が国民をひきつけて以来の現象なのだろうと思う。昨年の安倍内閣発足の前後には、実は私は日本にいなかったので、ワイドショーはおろかニュース番組も見なかったのだが、さぞかしひどい安倍の宣伝番組が垂れ流されていたことだろう。当時、安倍内閣の支持率は60%を超えており、読売新聞の調査では、実に70%をたたき出していた。

ところで、よく「政治ブログ」が敷居が高いとかいう人がいるが、そんなことはあるまい。たとえば当ブログなどは、高校の政治・経済の教科書レベルの知識をもとに、書籍や新聞・雑誌の記事などを参考にしながら書いているものだ。この程度で「敷居が高い」などと言われたのではたまったものではない。

さて、安倍政権時代には、安倍があまりにも復古主義的な極右イデオロギーをむき出しにしていた男だったし、どういうわけか脇が甘くて、スキャンダルに絡んでしょっちゅう安倍の名前が出てきた。だから、とにかく安倍の人気を失墜させることを第一にブログを運営してきた。ある程度のセンセーショナリズムも厭わなかった。最後はそれがマスコミでも主流になり、徹底した「安倍叩き」が行われたが、それには正直言って居心地の悪さがあった。多数派として皆と同じような意見を表明するのは、実は私はあまり好まないのである。

地味な実務家タイプの福田康夫が総理大臣になった現在は、いやでも方向を転換させなければならない(別にいやではないのだが)。実務家といっても、福田康夫の能力は、父の福田赳夫と比較するとはるかに劣るし、おいおい論じていきたいが、自民党の政策自体が行き詰まっていると考えているので、政策論を中心に福田政権を批判していくのもそんなに難しいことではないし、そもそも安倍改造内閣の閣僚を9割も引きついだ福田政権(首相補佐官の山谷えり子なる安倍晋三の子分まで再任したのには驚いた)の支持率が高止まりするはずもない。そういえば、福田赳夫内閣は「三木下ろし」で成立した内閣だったから、発足当時から支持率は低かったが、実務能力は高かった。今度の福田康夫内閣は、支持率は安倍内閣のように日を追って急落することはないかもしれないが(比較的ゆっくり、しかし確実に落ちていくと思う)、実務能力の低い内閣であろう。この内閣を、自民党最後の内閣にしたいものである。


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このところ、「安倍内閣とは何だったのか」と考え続ける毎日だが、昨日、「日経ビジネスオンライン」のサイトに、とても納得できる記事を見つけたのでご紹介したい。

「新政権、本当の課題」と題された政治学者の渡辺治氏へのインタビュー記事で、「新自由主義と新保守主義の狭間で立ち尽くした安倍ニッポン」という副題がついている。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20070913/134917/

詳しくはリンク先の記事をお読みいただきたいが、論旨がすっきりしていてとてもわかりやすい記事だ。

渡辺氏は、「新自由主義」と「新保守主義」の狭間で、立ち尽くしてしまったことが安倍の失敗の本質だと指摘する。安倍晋三前首相は、本来新保守主義(ネオコン)の人で、新自由主義(ネオリベ)とはなじまないのだが、小泉元首相の後継者として登場したばかりに、「構造改革」をやると言わなければならず、安倍前首相はその両立に失敗したのだという。

これは、当ブログでこれまでずっと指摘し続けていたことだ。面白いと思ったのはその先で、サッチャーやレーガンは新保守主義と新自由主義をともに推し進めたのに対し、小泉元首相は新自由主義だけを推し進めたという指摘だ。

渡辺氏は、日本では80年代に中曽根康弘政権がサッチャー、レーガンのマネをしようと国鉄民営化や規制緩和をしたが、当時の日本企業の競争力は、世界でもダントツに強く、新自由主義的な改革は続なかなかったと指摘する。そして、もともと日本の経済政策は、福祉国家型の所得再分配ではなく、地方の公共事業投資で経済発展を促して、結果的に所得格差を是正する「開発型」の政策であった、福祉政策としては不十分でも、ともかく経済が発展して完全雇用を望めたと述べている。

このあたりは、なるほどと思える指摘だ。かつての自民党政治は、福祉国家を目指したわけではなかったが、田中角栄に代表される「開発型」の政策が、結果的に格差を是正していたというのだ。

リンク先記事の2ページ目以降は、日経BPのサイトに登録した人のみ読める設定になっているようだが、ブログ管理人は登録しているので、以下に要点を紹介する。別に日経BPの回し者ではないが、興味のおありの方は、同サイトに登録の上、詳細をご確認いただきたいと思う。

小泉元首相が「構造改革」によって、それまで安定していた地方の自民党支持基盤を壊してしまったが、従来の選挙では民主党も構造改革を唱えていたので、不満の持って行き場がなかった。しかし、今回の参院選では、民主党が政策をそれまでの新自由主義型から福祉国家型へと大きく転換した。これが参院選の民主党圧勝につながった。今後の政策の選択肢は4つあり、急進的な構造改革路線、漸進的な構造改革路線、新保守主義路線、福祉国家路線だ。自民党にはこのうち最初の3つを追及する流れがあったが、新保守主義路線は安倍前首相の退場によって代表選手がいなくなり、急進的な構造改革路線も自民党が地方を支持基盤としている以上、今となってはとりようがなく、結局誰が首相になっても漸進的な構造改革路線をとるしかない、というのが渡辺氏の見立てだ。確かに、自民党総裁選では福田康夫首相と麻生太郎氏はともに「修正構造改革」路線を主張した。修正の度合いは麻生氏の方が大きかったように思う。

これに対し、渡辺氏は福祉国家型へ政策を転換すべきだと主張している。そして、EUを参考にして、アジア経済圏のような共通経済圏を作って、新自由主義を止め、共通の労働条件規制や環境規制を導入することを提言している。

これは、自民党ではとりようのない政策だろう。私は、民主党がどこまで本格的に政策を転換したのかについてはいささか疑問を持っている。現状は、福祉国家指向と新自由主義指向が混在している状態だろう。現在は小沢一郎代表が、参院選で示した実績を背景に、前原誠司氏ら新自由主義勢力を抑え込んでいるが、新自由主義勢力の間には不満が高まっていることだろう。しかし、現在の小沢路線を追求し続けることが、民主党が政権に近づくだけではなく、民主党が政策で自民党と対抗することが、日本の議会政治の質を高めていくことにつながると私は考える。日本に新自由主義政党は2つも要らないのである。


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きょう9月25日、安倍晋三内閣が総辞職する。夜には福田康夫新内閣が発足する見込みだ。

例によって、福田内閣については特にコメントはしない。最低最悪だった安倍晋三から首相が変わるとはいえ、ネオリベ・ネオコンを基調とする自民党内閣であることに変わりはないからだ。

何も期待できない福田内閣のことはとりあえずほうっておいて、本エントリでは、「安倍を『the End!』させよう!」を合言葉に安倍晋三の打倒を目指したブログとして、安倍内閣及び安倍晋三についての総括を行いたいと思う。

初の戦後生まれの総理大臣だった安倍晋三だが、異例のスピード出世は、決して政治家として有能だったからではない。「三角大福中」がしのぎを削った時代があったとは信じられないほど、自民党は世襲議員が跋扈する政党になってしまっていて、特に小泉純一郎は周囲に世襲議員を集めるのを好んだ。安倍晋三のほか、麻生太郎、石破茂、石原信晃らが起用され、「またコイズミは二世議員を起用するのかよ」と当時よく思ったものだ。その中でも、コイズミは安倍を特に重用した。その理由はよくわからないが、一番自分の思いのままに操縦しやすいのが安倍だと思ったからではないだろうか。

安倍は、北朝鮮による拉致問題における強硬姿勢で人気を博したのだが、政界で頭角を現し始めていた頃の安倍は、「核武装合憲論」をぶち、「北朝鮮なんて、ペンペン草一本生えないようにしてやるぜえ」と口癖のように言っていた男だった。だが、上杉隆によると、安倍は2002年に北朝鮮を訪問したあとは、「ペンペン草」発言を口にしなくなったという。「弱い犬ほどよく吼える」というが、安倍は、どうやら恐れを抱いている相手に対してことさらに強がってみせる性格のようだ。北朝鮮を訪問して実態を見て、恐るるに足らないことを知ったのだろう。それでも、安倍は国民の歓心を買うために、しばしば北朝鮮に対する国民の悪いイメージを利用しようとした。しかし、それは政権の軽薄なイメージを増すだけだった。

安倍が「私の内閣」と言うのを好んだり、「権力の頂点にいる」と言ったりしたのも、内心の不安の裏返しではなかったかと思う。安倍は肉体面でも精神面でも、そして知力からも総理大臣の器ではなかった。安倍がそれを自覚していたかどうかはわからない。自覚していたら、総理大臣になどなろうと思わなかっただろうから、おそらく自覚していなかったのだろう。

特に、安倍に決定的に欠けていたのは哲学だった。安倍の政策は、政治思想的には国家主義的な新保守主義(ネオコン)に立ち、経済思想的には小泉純一郎内閣の新自由主義(ネオリベ)政策を引き継ぐものだったが、安倍には両者がコンフリクトするとは思いもよらなかったのではないか。現実には、安倍が特に力を入れようと思っていた「教育改革」で、ネオコンの教育再生会議とネオリベの規制改革会議が衝突し、教育カイカクは迷走した。これは安倍には予想外だっただろう。

おそらく、安倍は周囲の言うことを真面目に吸収しようとした結果、ネオリベ的政策とネオコン的政策が同居することになり、それが自己矛盾を起こしたのだと思う。安倍に十分な知力があれば、その矛盾を解決して安倍流の政治哲学を形成することもできたのだろうが、安倍の能力ではそれは無理だった。

当ブログは、安倍を厳しく批判し続けてきたが、安倍が根っからの「悪人」であるとは考えていない。安倍は、周囲の人間にはよく気を配る人間だと評されている。実際その通りなのだろう。しかし、安倍の政策は国民を苦しめるだけのものだった。安倍には周囲は見えても、国民は見えなかった。

いや、周囲だってどの程度見えていたのか。安倍が松岡利勝をかばい続けたのは、真の優しさとはいえないだろう。松岡が辞任に追い込まれると、内閣の存続が危うくなるから松岡をかばい、その結果松岡を自殺に追いやったとしかいいようがない。現職閣僚の自殺は、戦後初めてだった。統治能力の欠如が明らかになったこの時点で、当ブログは安倍内閣は総辞職すべきだと主張した(5月28日付エントリ「血塗られた「美しい国」」参照)。しかし、この時点では自民党内に「安倍下ろし」の動きは全く起きなかった。

安倍が統治能力を持っていないことは、自民党議員はみな感じていただろう。それでも「安倍下ろし」が起きなかったのは、安倍が事実上コイズミが指名した後継者だったからだ。現在、自民党ではコイズミがアンタッチャブルになっていて、誰もコイズミに逆らうことはできない。だから、今回の総裁選でも、福田康夫も麻生太郎も「修正構造カイカク」の立場に立たざるを得なかったのだ。

安倍に政権を一年もの長きにわたって委ねてしまったのは、わが国にとって痛恨事だった。国政は混乱し、国益は大いに損なわれた。

昨日(24日)、安倍はやっと国民に謝罪したが、遅きに失した。言葉をしぼり出すのがやっとの安倍の姿は、この男が「総理の器」ではないことを示すものでしかなかった。安倍は、引き続き国会議員の職にとどまるつもりだと述べたが、安倍政権一年の不首尾は、十分議員辞職に相当するものだと私は考える。この男を、次回の総選挙で落選させることができなければ、山口県の有権者の良識が疑われることになるだろう。

今日発足する福田新内閣も、自民党内閣である以上、コイズミの新自由主義政策を否定することはできず、国民を苦しめる政治が続いていく。今求められるのは早期の解散総選挙である。安倍は、一度も衆議院選挙の洗礼を得ることなく、コイズミが獲得した多数の議席の力でやりたい放題をやったが、その結果参議院選挙で国民から退場を促された。福田も、国民の信任を得た総理大臣とはいえないのだから、安倍によってもたらされた国政の混乱が一段落したところで、衆議院を解散して国民に信を問うべきだと考える。


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福田康夫を新総裁に選んだ自民党の総裁選については、特に何も言うことはない。ともに、「修正構造カイカク」の立場に立つ主張を行っていた福田康夫と麻生太郎は、どちらが首相になろうが、「コイズミカイカク」の呪縛を断ち切った、国民のためになる政治など行いようがないからだ。安全保障に関して、夜郎自大的な主張をする麻生太郎が首相にならなかったことで胸をなでおろす向きもあるようだが、福田だって、2002年5月13日に安倍晋三が早稲田大学で行われた講演会で「戦術核の保有も憲法上認められる」と発言したことが、「サンデー毎日」の報道で暴かれた時、安倍に同調するようなコメントをしているのだ。当時安倍は内閣官房副長官で、福田は内閣官房長官だったという立場上の制約はあったかもしれないが、いくらなんでも福田を「ハト派」だの「リベラル」だのというマスコミの評は的外れである。むしろ、福田はプライドだけは高いが、無思想に近い人間なのではないかと私は考えている。コイズミ内閣時代、「国策捜査」によって鈴木宗男や佐藤優、それに辻元清美らを罠にはめて逮捕・起訴した時にも、裏で糸を引いていたのは福田だと言われているのだ。佐藤優によると、この「国策捜査」はケインズ的な旧来自民党の政策を、ハイエク流の新自由主義へと切り替える「時代のけじめ」をつけるものだったという。これでは、福田は「リベラル」「格差是正」どころか、政治思想上も経済政策上も「右派」に属し、コイズミや安倍ほどエキセントリックではないものの、それなりのネオリベ・ネオコン政治家だというしかない。

まあ、福田の悪口は今日はこれくらいにして、ブログのバナーなどを一部リニューアルしたので、お知らせしたい。

まず、従来の「AbEnd」のバナーの下部にあった文字を、「祝!安倍晋三辞任」に変えた。
http://blog-imgs-17.fc2.com/c/a/p/caprice/AbEnd_mini_complete.gif

「AbEndリンクリスト」は、安倍政権の総括がひと通り終わる時期まで表示しておくが、トラックバックが少なくなった頃合いを見はからって、表示をやめるつもりである。但し、その後もバナーと 「安倍晋三TBP」 へのリンクは残す。

それから、「自End」のバナーは、「雑談日記」SOBAさん作成のバナー を利用させていただいているが、それに加えて、弊ブログ自作の「AbEnd」バナーと同じデザインの、シンプルな静止画のバナーを作成した。もし使いたいという奇特な方がおられたら、もちろん無断でお使いいただいてかまわない。
http://blog-imgs-17.fc2.com/c/a/p/caprice/JiEnd_mini.gif

エントリ末尾には、これまでSOBAさんと 「とりあえずガスパーチョ」 さん共作の「AbEnd」のバナーを利用していたが、本エントリから、やはりSOBAさん作成の「自End」バナーを利用させていただきたいと思う。SOBAさんには謝意を表明したい。

なお、「自民党TBP」へのトラックバック件数を示す簡単なグラフを作成し、リンクリストの下に表示させたが、手入力しているので、リアルタイムでは更新されない。キリ番の目安程度にはなると思う。

今後も、「自Endキャンペーン」 をご愛顧のほど、よろしくお願いしたい。


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数日前、舛添要一厚労相が、民主党の長妻昭議員による舛添氏批判を放送したTBSの情報番組「ピンポン!」が「公平な放送を明記した放送法に違反している」と騒いでいたが、舛添の主張は噴飯ものである。

たとえば今回の参院選前のテレビは、やたらと安倍晋三首相の単独インタビューを放送したが、「ピンポン!」が放送法違反なら、田原総一朗が司会をやっているテレビ朝日の「サンデープロジェクト」も当然、放送法違反になる。安倍のやろうとしたことは、大衆を煽動したヒトラーとなんら変わりがない。ただ、あまりに安倍が独善的なバカだったから大衆の支持を得られなかっただけの話だ。

このところ、ホワイトカラー・エグゼンプション法を「家族団らん法」と言い換えようとしたり、与党が検討している高齢者医療費の負担増凍結に難色を示すなど、ネコをかぶってきた舛添が徐々に正体を現しつつあるが、その舛添は、一瞬だけ「安倍改造内閣の支持率を10%上げた男」と呼ばれたことがある。悪相の舛添がどうして、といぶかしく思っていたのだが、ある番組を見てその謎が解けた。

みのもんたの「朝ズバッ!」(TBS)である。

司会のみのもんたが安倍晋三の応援団長役を果たしていたことは、皆さまよくご存知の通りだ。安倍は、12日に辞任表明したあと、泣きながら携帯電話でみのもんたと話したと言われている。最終的にはフジ産経の世論調査でも支持率が20%にまで下がってしまった安倍を、民意に背いてひたすら庇い続けたみのの「朝ズバッ!」こそ、いの一番に「放送法違反」で摘発され、番組中止の処分を受けるべきだと私は思うが、その「朝ズバッ!」が舛添を「正義の味方」のごとく持ち上げていた。つまり、「内閣支持率を10%押し上げた」のは、みのもんたらに簡単に影響される「B層」だったのだ。

みのの一方的なスタンスは、安倍や舛添に対してだけではない。山口県光市母子殺害事件の報道では、みのは一方的に「極刑あるのみ」と声を張り上げていた。当ブログは、8月22日のエントリ「言論が一方向に振れる時 ? 山口県光市母子殺人事件をめぐって」で、この事件をめぐる報道が厳罰主義一方に傾き、死刑制度の是非以前に、検察側の主張する事実関係に怪しいところがあるのに、それさえまともに取り上げないマスコミ報道を批判したが、先頭を切って一方的な報道をしているのがみのの「朝ズバッ!」なのだ。この事件の報道では、情けないことにテレビ朝日の「報道ステーション」に出演している朝日新聞編集委員の加藤千洋までもが、一方的に被害者親族の本村洋さんの主張に寄り添ったスタンスを示していて、カウンターの意見を全然報じないありさまなのだが、これが必ずしも民意を反映しているわけではない。

前記の当ブログ記事は、マスコミ報道に対するカウンターなのだが、この記事に対し、先日来、「カナダde日本語」 の記事 「山口県・光市母子殺人事件: 世論が変わるとき」 経由で350件以上のアクセスを記録している。同ブログは昨日(9月21日)、6,344件のアクセスを記録しているが、アクセス数を押し上げたのは上記の記事だったと推測される。そこからリンクを張られている当ブログにもかなりのアクセスが流れてきた形だ。これは、広島高裁で行われた同事件の差し戻し控訴審の報道によって、この事件への関心が改めて喚起されたためであることはいうまでもない。

もちろん、一方でこの事件に関してひところ厳罰論を唱えて連日大量のアクセスを得た「リベラル系」の有名ブログがあり、同ブログの過去ログが、この事件の報道があるたび、前記「カナダde日本語」どころではない大量のアクセスを集めているのも事実だ。カウンターの言論は、まだまだ少数派でしかない。しかし、マスメディアの報道ほど民意は一方的なものではないと思う。

私は、少数派の意見が顧みられない状態は、民主主義の「死」を招くと考えている。だから、安倍内閣末期のように自分の意見が多数派にある時より、少数派にある時の主張の方により力を入れたいと思う。油断をしていたら、すぐマスコミが世論を一方的に染め上げてしまうからだ。一例が、テロ特措法で認められている海上自衛隊の給油活動に関する報道である。国連決議に給油活動への「謝意」を盛り込ませる工作をしたのは外務省であり、安倍晋三である。安倍が8日にブッシュ米大統領に会った時、ブッシュに泣きついて懇願し、ご主人に最後の恭順の意を示したことが反映されたものなのだ。この明らかな「やらせ」をもとに政府自民党はテロ特措法延長に反対する民主党を批判し、産経・読売両紙や多くのテレビ番組はそれに同調している。しかし、ロシアが決議案採択を棄権するなど、これは決して世界各国の意見が一致を見たものではない。

当ブログはこの件に関しては、アメリカが率先して声高に叫んでいる「テロとの戦い」自体に正当性はないという立場に立っていて、たとえ世界各国の意見が一致したとしても洋上給油には反対なのだが、各国の意見の一致さえ見ていないのだから、前文にほんのちょっとだけ給油活動への「謝意」を盛り込んだ今回の国連決議は「日本政府主導の茶番劇」であるとしか言いようがないだろう。

だが、こんな当たり前の指摘でさえ、マスコミ報道では「少数派」であり、マスコミによって誘導された世論は、徐々に給油活動賛成へと傾きつつある。長年にわたる読売新聞などのキャンペーンによって「憲法改定賛成」の意見が増えていったのも、マスコミによる世論誘導があったからだが、それと同じメカニズムだ。

私は、世論を一色にする傾向があるのがマスメディアの特質であり、それに対して個人が自由に発言できるブログにおいては、できるだけ思ったまま、感じたまま、考えたままのことを記事にして、マスメディアが圧殺しがちな多様性を確保したいものだと日々考えている。


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福田康夫と麻生太郎が争う自民党総裁選なんて、マトモに取り上げること自体自民党の宣伝になるから、適当に流しておけば良いのだが、いちおう福田と麻生の位置づけをしておきたいと思う。

当ブログは、昨年11月16日のエントリ「安倍晋三につながる極右人脈」で、小泉純一郎を「経済右派」、安倍晋三を「政治思想右派」と位置づけた。現在では、コイズミは「経済極右」、安倍は「政治思想極右」と表現したほうが良いと思っている。というのは、コイズミと安倍の流れのほか、旧来保守である森喜朗の流れがあって、この3つの流れが現在の自民党を支配していると考えられるが(kechackさんのブログ「Munchener Brucke」の記事「誰が安倍内閣を潰したのか?」が興味深い)、旧来保守といっても池田勇人や大平正芳の流れをくむハト派や、三木武夫や宇都宮徳馬などの党内左派はほぼ絶滅状態にあり、森はもともと党内右派で、政治思想的には右派、経済思想的には中道右派あたりに位置づけられるからだ。これとコイズミや安倍を区別しようとすると、この二人の思想を表現するのに「極右」という言葉を使うしかない。

当ブログでは、森らの流れを、宏池会などのハト派と区別する意味でも、「旧来自民党右派」と呼ぶことにしたい。

前振りが長くなったが、今回の「福田対麻生」は「旧来自民党右派」の福田と、「政治思想極右」の麻生の対決ということになる。ともに、経済思想的には「修正構造改革」の立場であり、「コイズミカイカク」すなわち新自由主義を否定するものではなく、せいぜいその行き過ぎを修正する、といった程度のものだ。どちらかというと麻生の方が「構造カイカク」の修正に熱心なように見えるが、その程度でさえコイズミの逆鱗に触れた。自民党において、コイズミは「闇の帝王」として現在もなお君臨しているのである。

以上のことを考えれば、福田と麻生がともに「消費税増税」を打ち出したことは当然だろう。福田は財務省に近い緊縮財政路線と思われるが、これは格差是正の再分配に不熱心ということであり、麻生は企業減税・消費税増税による成長路線と思われるが、これまた企業に甘く家計に厳しい政策である。

「ポスト安倍」候補選びが、一夜にして「福田圧倒的優勢」になったのは、日本テレビの氏家齊一郎や読売新聞の渡邉恒雄(ナベツネ)による政界支配だ、とどこかの下品な極右サイトが叫んで話題になっているらしいが、ナベツネが反安倍4氏と秘密の会合を持ったことは、以前に産経新聞が記事にしていたし、当ブログでも8月30日付エントリ 「ナベツネが「反安倍晋三」の秘密会合を開いたようだが...」 でこれを紹介している。別に大騒ぎするような話ではない。

くだらない安倍の後継者争いにかまけて、たとえばテロ特措法で認められている海上自衛隊の給油の大半が、実はイラク戦争向けであったことなどの重大なニュースが忘れ去られてはならない。


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待ちに待った安倍内閣総辞職の日まであと5日。めでたく「AbEnd」 (安倍の異常終了)が成就する。

既に、「自End」キャンペーン が始まっており、「AbEnd」ブログの「自End」への切り替えもスムーズにいっている。当ブログでは、安倍内閣最後の日々である現在は、両方へのトラックバックを行っているが、新内閣発足以降は、特に安倍晋三について書いた記事を除いて、「自民党TBP(トラックバック・ピープル)」 にのみトラックバックを行うようにしたい。

ただ、当ブログ管理人は、安倍晋三を官房副長官時代から嫌ってきた、というより安倍の祖父・岸信介や父・安倍晋太郎を含めてこの一族が大嫌いという人間なので(最近は安倍寛の息子である安倍晋太郎については多少見直しているが)、今後も安倍晋三に関する記事をしばしば公開する可能性があり、その際は 「安倍晋三TBP」 にも引き続きトラックバックすることになると思う。

その「安倍晋三TBP」へのトラックバック件数が、今日(9月20日)、1万7千件に到達した。当ブログでは、これまでもTB件数が千件ごとのキリ番に到達するたびに、「AbEnd」キャンペーン のPR記事を公開してきたが、「AbEnd」が「自End」へと発展的解消を遂げようとしていることでもあり、今回の記事を最後の「AbEnd」キリ番記念記事にしたいと思う。1万8千件以降のキリ番記事は、私が管理する裏ブログである 「kojitakenの日記」 に公開したい。

「安倍晋三TBP」のこれまでのキリ番到達日を下記に示す。


2006年6月18日:「安倍晋三?トラックバック・ピープル」 開設
2006年9月12日:1000件 (開設日から86日)
2006年10月27日:2000件 (1000件到達から45日)
2006年11月27日:3000件 (2000件到達から31日)
2006年12月24日:4000件 (3000件到達から27日)
2007年1月26日:5000件 (4000件到達から33日)
2007年2月21日:6000件 (5000件到達から26日)
2007年3月18日:7000件 (6000件到達から25日)
2007年4月12日:8000件 (7000件到達から25日)
2007年5月5日:9000件 (8000件到達から23日)
2007年5月27日:10000件 (9000件到達から22日)
2007年6月15日:11000件 (10000件到達から19日)
2007年7月2日:12000件 (11000件到達から17日)
2007年7月17日:13000件 (12000件到達から15日)
2007年7月30日:14000件 (13000件到達から13日)
2007年8月14日:15000件 (14000件到達から16日)
2007年9月2日:16000件 (15000件到達から19日)
2007年9月20日:17000件 (16000件到達から18日)


ご覧になってお分かりのように、1万件到達以降は、千件ごとのキリ番に到達する日数がずっと20日以内だった。つまり、1日平均50件以上のトラックバックがあったということだ。

「安倍晋三TBP」は、安倍晋三を擁護する記事のTBも認めてきたのだが、そのような記事は最初から最後までごく少数派にとどまった。そして、大多数を占めたのは、安倍に対して「NO」の声をあげるブログだった。

その声の集積が、安倍晋三の志半ばにしての辞任につながった、そう思いたい。

「AbEnd」キャンペーンは、ブログ 「カナダde日本語」 の管理人・美爾依さんの呼びかけで始まったものである。そして、キャンペーン名である「AbEnd」は、「異常終了(Abnormal End)」を意味するコンピュータ(メインフレーム)用語である「Abend」に由来するが、同時に、「Abend」という単語は、ドイツ語では「夕べ」または「夕暮れ」を意味する(「アーベント」と発音する)。これを、「たそがれの自民党から出た安倍晋三内閣が『異常終了』する」という意味を込めて当ブログ管理人が命名したものだ。まさにその通りになって、感無量である。

「AbEndキャンペーン」のあとを受けた「自Endキャンペーン」についても、勝手ながら適宜広報を行おうと思っているが、従来の1000件ごとのキリ番報告とは、少し趣向を変えてみたい。

「自Endキャンペーン」にも、引き続きご愛顧をお願いしたいと思う今日この頃である。


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共同通信が18日午後、自民党総裁選候補の福田康夫氏にインタビューした。これが新聞に報じられているので簡単に紹介する。なお、当記事は管理人の地元紙・四国新聞の記事(9月19日付)に基づいているが、全国の地方紙に同様の記事が出ているものと思う。

まず、「安倍晋三首相の理念『戦後レジーム(体制)からの脱却』を引き継ぐのか」という問いに対して、福田康夫は、「教育再生会議などはまだ途中段階だ。方針を引き継ぐかどうかはよく吟味しないといけない」と答えている。

あいまいな言い回しだが、今朝の新聞には、中教審が道徳の「徳育」としての「教科化」を見送る方針を固めたという記事も出ている。これは、安倍晋三首相やその腹心の山谷えり子首相補佐官が主導した教育再生会議が6月に提言した道徳の「徳育」教科化の方針を事実上凍結するものだ。

共同通信の酒田英紀記者は、「教育再生会議が描いた道徳教育の「格上げ」構想は、実現しない見通しになった。政権そのものが崩壊同然となった今、道徳教育は指導内容の見直しで充実を図る、という道をたどることになりそうだ」と指摘している。安倍・山谷コンビの非常識な「バックラッシュ」路線にはブレーキがかけられる見通しだ。

福田インタビューの紹介に戻る。安倍の目指した3年後の改憲案発議については、「国会で(改憲案発議に必要な)三分の二を取れる態勢がしてもいいが、今はそうする状況ではない。実現しない、道筋が立たないことを言うべきかどうか。与野党が合意し、国会全部の合意を得る努力をすべきだ」として、棚上げの意向を示した。民意が安倍の目指した改憲路線を参院選で否定したのだから、当然のことだろう。福田は、改憲論者ではあるが、憲法を無視しためちゃくちゃな政治は行わないと言っていると解釈する。

テロ特措法延長問題については、「経済力を持つ日本が、国際的なプレゼンス(存在)を高めるために給油活動をするのは意味がある。日本が給油を止めれば、国際的にも波紋が起こる」としている。この点は民主党など野党の主張とはっきり対立している。また福田康夫は、国際的な平和活動のため自衛隊海外派遣を可能にする「恒久法」制定を目指す考えを示した。さらに福田は、「恒久法をつくる際に、集団的自衛権に関する部分をどう判断すべきか、政府の有識者会議『安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会』の答申は意味がある。話を聞きたい」と述べているが、この「有識者会議」とやらは周知の通り、早期の改憲が無理だと悟り始めた安倍晋三が自分の思想に近い人間ばかりかき集め、集団的自衛権を認めないとする従来の憲法解釈を変えさせようとしたものだ。福田は、「国連平和維持活動(PKO)でも国境警備や武装解除は行っていない。それでいいのか」と、PKOの範囲拡大も検討課題だと指摘した。福田の「衣の下の鎧」が見えると思う。安倍のような「極右」ではなくとも、自民党内の「政治思想右派」である町村派(旧森派)の議員だから、当然だろう。この福田を「ハト派」だなんていうマスコミは、どうかしている。

福田は、野党との「話し合い解散」については、「解散権は首相にある。だが参院選で大きなダメージを受けている状況で『解散権は首相にある』と威張っていられるのか。今までのように首相が『やる』と言いきれるのかどうかは疑問だ」と、これはまあ常識的な答えだ。当ブログは、従来通り、「次期内閣は『選挙管理内閣』として、早期に解散・総選挙を行うべきだ」と主張する。民主党をはじめとする野党にも、早期の解散総選挙の準備を急げ、と言いたい。

今後最大の争点の一つになるであろう地域間格差の問題についての、「小泉・安倍両内閣の政策のどこに問題があったのか」とう質問に対しては、福田は「規制改革だ。改革自体はいいが、経済合理的な部分が強くなり、たとえば企業は正規職員を非正規職員にするなど企業本位の雇用関係をつくった。その結果、賃金が下がった」、「(地方に)『ばらまきをやれ』では、財政が持たない。難しい問題だが、地方には怨嗟(えんさ)の声が満ちている。税制、交付税以外にも、やる気がある地方に、積極的に支援する仕組みを考える必要がある」と答えている。いわば「修正構造改革」の立場であり、コイズミ?竹中のドラスチックな「市場原理主義」はやや後退させながらも、「コイズミカイカク」路線を抜本的に改めるものではない。基本的には福田は、与謝野馨官房長官の「緊縮財政路線」に近いように思う。野党、特に民主党は地方への税源委譲や再分配強化の路線で、これに対抗すべきだ。

最後に、「政治とカネ」の問題にどう取り組むのか」という問いに対しては、福田は「政治活動の自由は担保されないといけない。何が何でも全部公開しろというのは危険だ。何かあった時には第三者機関が一円単位でチェックする仕組みをつくればいい」と玉虫色の答えをしている。

以上、ざっとインタビューを読んだ感想は、福田はコイズミや安倍のようなドラスチックな「経済右派」(コイズミ)および「政治思想右派」(安倍)は後退させるものの、「普通の自民党タカ派」の政治路線を打ち出しているということだ。コイズミがあまりの「経済極右」、安倍があまりに「思想極右」だったため、福田が「ハト派」に見えるのかもしれないが、私は福田はごく普通に「タカ派」だと思う。野党、特に民主党は、早期に福田との対立軸をはっきりさせるべきだろう。特に、「安倍改憲路線」は民意に否定されたものの、「コイズミカイカク」に対する幻想はまだ国民の間にも根強く残っていると思うので、今後は「カイカク」の欺瞞を暴き、真に国民のためになる経済政策を打ち出すことが野党の最大のテーマになると思う。


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三連休は、台風の影響で真夏にもあまりないくらいの蒸し暑い不快な日が続き、主に自宅にこもっていた。

今から思うと嘘のようなのだが、安倍晋三のスキャンダルは、なかなか大手マスコミに取り上げられない時期が長く続いた。たとえば、耐震偽装問題でヒューザーの小嶋社長が、安倍の非公式後援会「安晋会」の会員だと国会で証言し、ライブドア事件に絡んで怪死を遂げた野口英昭さんもやはり「安晋会」の理事だったことを「週刊ポスト」が暴いても、安倍が大手マスコミで追及されることはなかった。昨年2月12日に、民主党の鳩山幹事長がNHKの「日曜討論」で、ライブドア事件に絡む投資事業組合に関係していた議員として「安倍官房長官」の実名を挙げる爆弾発言をした時も、マスコミはこれを黙殺した。それどころか、その直後に民主党の永田寿康が「偽メール事件」を起こし、ライブドア事件追及の機運はしぼんだ。そして、私がブログを始めてまだ間もなかった昨年6月、安倍が統一協会系の大会に祝電を送ったことがネットで暴かれた時も、これがマスコミに報じられるまでかなりの時間を要した。

このように、「安倍スキャンダル」はことごとく封じられてきたのだが、安倍が国内の「経済右派」やアメリカから見捨てられるに及んで、安倍内閣閣僚のスキャンダルが続出した。9月8日のエントリ「「経済右派」に見放されたアベシンゾー」に、「しまいには、「安晋会」に絡んだ疑惑の報道がまたぞろ噴出するのではないかという気さえする」と書いたが、実際に噴出したのは非公式後援会である「安晋会」ではなく、政治資金規正法に則って届出をした政治団体を利用した安倍の「脱税疑惑」だった。これを「週刊現代」が報じるという記事が毎日新聞のウェブサイトに載り、大騒ぎになったことは皆さまよくご存知の通りである。

当ブログは以前から週刊誌の記事を多く紹介してきたので、「週刊現代」を含む検索語を用いた検索エンジン経由のアクセスが500件以上に達している。だが、あいにく私の住む地方は、首都圏などより雑誌の発売日が遅いので、記事は昨日ようやく読んだところだ。確かによく調べられた記事である。脱税そのものは既に時効になっているが、ほとんど安倍に逃げ場を与えない素晴らしいスクープだ。この記事については、立花隆さんの「メディア ソシオ-ポリティクス」の下記記事が詳しく、これに当ブログが付け加えることは何もない。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070914_scandal/

もう一つ、やはり安倍退陣に影響が大きかったのではないかと噂されている「週刊文春」(9月20日号)の記事だが、安倍が「慧光(えこう)塾」をはじめとするいくつかの新興宗教に入れあげ、神のお告げで閣僚人事や政策を決めているという記事は、以前からの安倍ウォッチャーにとっては目新しいものではない。ただ、記事の末尾に興味深い指摘があったので、以下に引用、紹介する。

 (改造内閣の組閣直後に安倍が急速に生気を失った背景には)数々の神の中で、安倍がもっとも畏れ崇拝している神の "不在" が影響している。ゴッドマザー・洋子である。時に反発することもあるが、最終判断で結局助言を仰ぐのは、つねに洋子だった。

(中略)

 その母・洋子が先週来(注:「週刊文春」発売は先週だから、9月3日の週を指すと思われる)、体調を崩しているという。
「何事にも母親の指示を仰ぐ晋三さんにとっては、洋子さんを失うことは、羅針盤を失うことに等しい」(安倍家関係者)

 携帯電話で連絡を取り合い、母から指示を仰いでいた安倍は、指南役を失ったことでますます心の空洞を広げている。

(「週刊文春」 2007年9月20日号掲載 "「錯乱」安倍晋三の「四人の神」" より)


安倍辞任の真相として、中曽根に指示された民主党・小沢代表との会談申し入れを門前払いされたことや、健康不安説、前記「週刊現代」による脱税疑惑記事の影響など、いろいろ取り沙汰されているが、それらはいずれも影響はしていると思う。しかし、最終的に安倍が政権を投げ出したのは、「ゴッドマザー」安倍洋子なくして困難を乗り切ることなど、ボクにはできない、安倍がそう思ったせいだろうというのは、ずっと安倍情報を追いかけてきた私にとっては、実に説得力のある指摘なのである。

マッチョ的なカラーを強く打ち出そうとしても、実体がそれに伴わなかった安倍晋三。コイズミが女系家族に育った男であることは、当ブログでも昨年8月4日の記事「小泉純一郎と安倍晋三と「女系」」で指摘しているが、コイズミが女系天皇容認論者だったのに対し、安倍は徹底的に男系天皇にこだわった。しかし、その安倍が崇拝する岸信介は、安倍の母方の祖父である。そして、安倍の父方の祖父・安倍寛(あべ・かん)は、当ブログ昨年7月30日の記事「安倍のもう一人の祖父は「平和主義者」だった」に書いたように、大政翼賛会の推薦を受けずに選挙に当選し、反戦・平和を唱えた硬骨漢だった。その父方の祖父・安倍寛や父・安倍晋太郎をないがしろにして、母方の祖父・岸信介にばかりこだわった安倍晋三は、「究極のマザコン男」だったのだ。

今後は、安倍スキャンダルの雑誌記事を紹介する記事を書く頻度が激減するであろうことには、一抹の寂しさも感じるが(笑)、最後に、「憧れの風」 経由で知った毎日新聞のコラム「近時片々」(9月13日付)による「去りゆく安倍晋三首相に贈る3曲」を紹介しよう。

<近事片々>安倍首相に贈る3曲 (毎日新聞)

去りゆく安倍晋三首相に贈る3曲。

 「無責任一代男」 俺(おれ)はこの世で一番無責任と言われた男。民意に背いて続投し、所信表明までやったのに、代表質問の直前、ハイそれまでよ。

   ◇

 「また逢(あ)う日まで」 党首会談を断られたから辞めると言っているのに周りは健康問題だ、スキャンダルだと騒がしい。こうなりゃ、また逢う日まで入院だ。別れの本当のわけは話したくない。なぜかさみしいだけ。

   ◇

 「孫」 なんでこんなに可愛いのかよ。俺は47年前、日米安保改定を成し遂げて辞めたが、テロ対策に「職を賭す」と言ったお前は結局何もしなかった。お前は若い。これからだ。でも再チャレンジだけはやめておけ。

[毎日新聞 2007年9月13日]

そうそう、再チャレンジだけは絶対にやめてほしいものだ。


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今日は休日でもあり、手抜きして「論座」10月号に載った森喜朗元首相のインタビュー記事を抜粋して紹介する。これは今月初め発売の雑誌で、参院選の自民党惨敗から10日後の、8月8日に行われたインタビューである。本当はもう少し前に、同誌に載った他の記事と一緒に紹介するつもりだったが、安倍晋三首相の突然の辞意表明で、時機を逸してしまった。

森は投開票の当日午後4時から中川秀直幹事長(当時)と青木幹雄参院幹事長(同)といろんな場合を想定して話し合ったが、5時半頃中川が安倍に会いに行き、安倍から続投の意思を聞いたという。そして、安倍は森にも電話で続投を意思表示した。

当然森は、安倍は辞めるべきだと考えていた。なぜ安倍が続投を決めたかと聞かれた森は、自分で決めたかコイズミに激励されたかだろうと答えているが、巷間ささやかれているように、安倍に続投を指示したのは母親の安倍洋子だろうと私は想像している。ちなみに、このところ当ブログには検索語「安倍洋子」による来訪者が非常に多い。この検索語でGoogle検索をかけると、当ブログの1年前に公開した 「安倍晋三は「安倍家の面汚し」」 という記事が筆頭で引っかかるからで、この記事は安倍の辞意表明以来、1000件以上のアクセスを記録している。

さて、インタビューが進むと、森はどんどん安倍の周囲にいる議員たちの悪口を言い始める。たとえば、こんなことを言っている。


 今の若い連中は恐ろしいぞ。国会の開会式で正面玄関から天皇陛下が入ってこられるでしょう。別に決めてあるわけじゃないけど、おのずと国会に一番近いところが上席で、党幹部とか総理経験者が並ぶものなんです。自分らが最初にそこにいたとしても、先輩が来たら譲って下がっていくわけですよ。昨日(8月7日)の臨時国会でも、町村(信孝)さんと私とが並んでいたら、そこへ羽田(孜)さんが見えたの。そしたら町村さんが「どうぞ、羽田さん」と。これが常識なんです。ところが今の若い連中は、だれが来てもどかないからね。

(「論座」 2007年10月号掲載 「森 喜朗・元首相インタビュー」より)


森は、たとえば山本一太について、「走り過ぎて、さすがの安倍さんも使わなかった」、下村博文を「私から見ると浅い、浅い」と言い、彼らを「仲良しクラブ」というより「学芸会」だったんじゃないか、と評した。そして、もっと強く安倍や中川にいろいろ言うべきだったのかなあと思っているのだそうだ。

安倍が幹事長を務めていた3年前の参院選で自民党が敗北した時には、安倍が幹事長を辞任したのち、幹事長代理に降格された形で復帰したが、この時安倍に幹事長辞任を勧めたのが森で、慰留して幹事長代理に復帰させたのがコイズミだそうだ。これは当時から言われていた通りである。

参院選の惨敗については、「1人区は小泉改革でズタズタにされた」にもかかわらず安倍が選挙中、「引き続き改革を、改革を」と言い続けたため、1人区の人は「これ以上まだ改革をやるのか」という気持ちになった、そこを民主党につけこまれてやられた、と的確なコイズミ・安倍批判をしている。森のホンネは明らかに「反コイズミカイカク」なのだ。

さらに森は中川秀直を「1人区対策を全然やらなかった」と批判している。お膝元の石川選挙区(1人区)で自民党候補が落選し、カオを潰された森の怒りは、とどまるところを知らない。狂信的極右学者の中西輝政は、森と中川秀直を一緒くたにして批判しているが、「復活!三輪のレッドアラート!」 が指摘しているように、中川は「小泉から言われて幹事長になって安倍政権を監視していた、小泉のスパイ」なのかもしれない(笑)。

なお、「思想右派」で「経済左派」を自認する三輪氏は、「自End」にも「参加する方向に行きそう」とのことだから、期待しておこう。

さて、参院選惨敗にブチ切れた森の八つ当たりはさらに続く。片山さつき(無派閥)を、「あんな人を広報局長にしたのは最悪」、「財務省の役人をやっていた人間に、地方の厳しさも苦しさも分かるはずがない」、「選挙期間中の新聞広告を見て、ばかじゃないかと思った」とこき下ろしている。自民党は、朝日や日経などの全国紙に、「改革実行、何とかの自民党」と広告を打ったが、そうではなく地方新聞にこそ広告をドーンと打って「自民党はこうやってみなさんを救います、こう考えています、どうぞもう一度、自民党を信頼してください」と広告を打たなければならなかった、という森の指摘は、まさにその通りだが、逆に森ほどの「実力者」でさえ、選挙後にならないとこのような激しい(実質的な)コイズミ批判ができなかったほど、コイズミの独裁が自民党内を締め上げていたといえる。安倍晋三が選挙戦で「カイカク」を連呼しなければならなかったのも同じ理由で、安倍もまたコイズミに逆らっては政権を維持できなかったのである。

もちろん、「神の国」発言に象徴されるように、典型的な「政治思想右派」である森は、安倍の「戦後レジームの転換」にかかわる教育基本法、教育再生会議、国民投票法、防衛省昇格については高く評価しているが、「政治の要諦は、理想を実現させていくことも大事だけど、同時に、国民の苦しみを救っていくこと、困っている人に手を貸すことです。そこに目が行ってなかった。彼(安倍)の演説を聞いていて、いつもそう思ったね」と、安倍を批判している。もっとも、森政権時代、どんな「弱者」救済の政治が行われたかと振り返ってみても、何も思い出せないのだが(笑)。ただ、コイズミやアベシンゾーといった、並外れて異常な首相と比較すると、「サメの脳みそ」と酷評された森の方が、まだ少しはマトモな感覚も持ち合わせていた首相だったといえるかもしれない。まあ、比較する対象が悪過ぎるだけの話ではあるのだが。

最後に、参院選後の森と安倍とのやりとりを紹介しておこう。


 選挙後、安倍さんの記者会見を見て「もうちょっと負けた人のことを思いやったらどうか」と言ったんだ。「国政に参加しようという皆さんに、こんな思いをさせてしまって誠に申し訳なかった。一緒に戦ってくれた党員の皆さん、地方の県連の皆さんにも大変申し訳ないことをした」ということをもう少し出したほうがいいとね。そうしたら、「僕は最初にまず言いましたよっ」と。「そうだったかもしれないけど、聞いてる人の心に残ってないじゃないか。最後にもう一度、『党として頑張るので、またぜひ国政にチャレンジしてください、私も全力を挙げて、皆さんのことを思いながら頑張りますから』と言わないと」と諭した。そしたら、黙ってました。

(「論座」 2007年10月号掲載 「森 喜朗・元首相インタビュー」より)


いやはや、なんとも情けない総理大臣である。


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今日(9月15日)は世間の多くの人は三連休の初日かと思う。
ブログ管理人個人としては、ひどかったこの残暑と、成功裏に終わった 「AbEndキャンペーン」 活動による疲れを癒す三日間にしたいと思っている。

キャンペーンは、「安倍を『the End!』させよう!」という「AbEnd」から、「自民党を『the End!』させよう!」の「自End」へと移行する。私が提案した「ジミヌエンド」はSOBAさんの「自 End」に敗れて選に漏れたが、当然だろう。私が選考する立場でもそうする。「ジミヌエンド」は、何を指しているのかわかりづらいのが最大の難点だった。これは、音楽用語として知られる「ディミヌエンド」(だんだん弱く)を自民党の衰退と引っかけたネーミングで、コンピュータ用語では「異常終了」、ドイツ語では「夕暮れ」という意味を持つ「Abend」を、「安倍政権の終了」と三重に引っかけた「AbEnd」と対応させたものだが、わかりやすい「AbEnd」と比較すると数段劣った。そこにいくと「自 End」は一発でわかる。キャンペーン名として文句なしだろう。

それにしても、安倍政権が終わった日には、「祝! AbEnd達成!」と大々的にぶち上げるつもりだったのだが、私の想像をもはるかに超えた、KYな安倍の「異常終了」ぶりに対する怒りの方が先に立ってしまった。

政権を奪われた上、入院までした安倍に対する同情の声もあるが、私は同情などとんでもないと思う。真に同情すべきはコイズミや安倍の悪政のせいで自殺させられた多くの日本国民であり、コイズミや安倍がアフガン戦争(これが国際的な呼び名)やイラク戦争に協力したために日々米軍に殺されているアフガンやイラクの人々である。

そもそも、「テロとの戦い」なるもの自体、殺人の正当化に過ぎないと私は考えている。2001年の「9・11」は確かに悲劇であり、犠牲者には同情するが、それを招いたのはビンラディンらイスラム過激派というよりは、それまでのアメリカの帝国主義だ。9日のエントリでも書いたが、アメリカのクリントン前大統領は、自らのスキャンダルから国民の目をそらすためにアフガンを爆撃し、米国民はそれを支持した(1998年)。一事が万事、アメリカはいつもそうだ。「9・11」はそれに対する報復を受けたに過ぎない。そして、アメリカの言う「テロとの戦い」は、報復に対する更なる報復だ。アメリカが行っていることは、国家によるテロにほかならない。

こんな「報復の連鎖」は不毛だ。「テロとの戦い」なんて欺瞞だ。「グローバリズム」なんて「ジャイアニズム」(ジャイアン主義)に過ぎない。なんでこんな当たり前のことが言えないのだろうか。これを言えるようにするためには、そして、「グローバル・スタンダード」という名の「米国標準」を押しつけられ、弱肉強食の新自由主義が跳梁跋扈したおかげでズタズタにされてしまった国民生活を立て直すためには、自民党そのものを倒さなければならない。自民党の「スネ夫主義」から脱却しなければならない。米国債は、必要に応じて売却しなければならない。

自民党の新総裁になるであろう福田康夫は、表向き新自由主義を修正する方向を装うだろう。しかし私は、一夜にして福田康夫が優勢になったのは、福田とコイズミが手を結んだからではないかと推測している。私は、大胆な仮説を含んだ記事は、「kojitakenの日記」 の方に書くようにしているが、昨日(9月14日)の 「これはコイズミの手口だ」 という記事に書いたように、自民党の「カイカク派」(経済右派)と「反カイカク派」(党内穏健派)は、きたるべき総選挙において、民主党という「共通の敵」を倒すために、手を組んで、自民党の支持率を下げるだけの存在である安倍晋三と麻生太郎という、「政治右派」を代表する二人を同時に切り捨てたのだと思う。こんな荒技ができるのはコイズミしかいない。福田の裏にはコイズミがいると考えるべきである。今後、福田政権の党内抵抗勢力になるのは、コイズミら「カイカク」勢力ではなく、カルト的・極右的な「政治右派」だろうと私は思っている。学者では京大教授の中西輝政らが「右からの政権批判」を行うようになると思うが、われわれとしては、右翼のたわごとなど、まともに相手にすべきではないし、彼らと共闘する必要もないと思う。しかし、福田政権が総選挙を乗り切ったあとは、またまた新自由主義が幅を利かせて、アメリカやその手先である経済右派によって国富が収奪されることは間違いない。だから、決して福田政権にダマされてはいけないのである。

昨年、自民党内が安倍に雪崩を打ったように、今また福田に雪崩を打とうとしているが、これは、自民党自体が「権力を維持する」以外に何の目的も持たない集団になり果てていることを示している。そして、自民党政治の行き着く先は、日本の荒廃、焦土化である。

とにかく、何が何でも自民党を倒すことだ。民主党を中心とした政権をいったん樹立した上で、徐々に「より良い政権」へと作り変えていけば良いと思う。

そんなわけで、「自 End」キャンペーンにも参加したいと思うので、今後ともよろしくお願い申し上げたい今日この頃である。


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朝日新聞は「あきれた政権放り出し 解散で政権選択を問え」、毎日新聞は「国民不在の政権放り投げだ 早期解散で混乱の収拾を」と説いた(9月12日付社説)。当然だろう。

安倍晋三は、とうとう一度も衆院選で民意を問うことなく、一年間の首相在任中に強行採決を繰り返して「改正教育基本法」、「教育改革関連三法案」、「国民投票法」などを成立させて去っていく。数の力を頼んだゴリ押しだったが、それは安倍政権が獲得した議席ではなく、コイズミが国民をダマして獲った水増しの議席だ。安倍はというと参院選で惨敗、幹事長時代の03年総選挙、04年参院選と合わせて、安倍が重職に就いていた時の選挙で自民党は3戦全敗だ。そもそも安倍の「コクミンテキニンキ」なるもの自体が、電通の捏造だった。その実体のない人気をバックにわがまま坊やがやりたい放題をやったこの1年間は、戦後議会政治史上最悪の期間だったといえるのではなかろうか。

自民党の総裁選は14日告示、23日投票と決まった。そのあと安倍内閣は総辞職し、自民党の新総裁が国会で首班指名を受けて組閣するのだろう。安倍「KY」改造内閣は結局1か月も持たなかった。

当ブログの8月3日付エントリで、安倍内閣成立直前の昨年9月に、浅野史郎・前宮城県知事が「新総裁は衆議院を解散して民意を問え」と主張してたことを紹介した。昨日の朝日・毎日両紙の社説が、衆院の解散を主張しているのは当然のことだ。自民党寄りの論者でさえ、次期内閣は選挙管理内閣の性格を帯びる、と指摘している。

そういうわけで、次期首相は誰がなっても短命に決まっていると私は思う。今、自民党を支配しているのは町村派(旧森派)だが、町村派の新旧三人の首相である森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三の3人は、それぞれ立場が違う。いうまでもなく森は福田康夫を推し、安倍は福田だけには政権を渡したくないと思っていただろうが、麻生太郎に「はめられて」政権を投げ出さざるを得なくなって入院してしまった。いわば「クーデター」によって安倍の寝首を掻いた麻生への自民党内の反発は予想外に強いようだ。それは麻生個人への反感というより、「コイズミ?安倍路線」への反感だと私は思う。鍵を握っているのはコイズミで、万一この男が首相にカムバックしたら日本は決定的に破滅してしまうと思うが、自分の名声をも失うことが予想されるコイズミは総裁選出馬を固辞し、福田を支持するようだ。麻生に裏切られたあげく、宿敵・福田に政権を明け渡さざるを得なくなった安倍は、病床で(?)屈辱に打ち震えていることと思うが(笑)、自業自得としかいいようがない。

反自民の側としては、福田康夫よりは麻生太郎の方が攻めやすい相手だ。福田とて、第一次から第二次(途中まで)にかけてのコイズミ政権の官房長官であり、アメリカ追随のタカ派政治家なのだが、その前のコイズミおよびアベシンゾーがあまりにひどい政治をやったので、その2人よりはマシに決まっている。一方、麻生太郎は、かつて差別発言をして野中広務に怒鳴り上げられ、シュンとなってしまってひとことも反駁できなかったというチキン政治家であって、コイズミや安倍に迫るバカだから、福田よりはるかに攻めやすい。どうせ選挙管理内閣なのだから、麻生にやってもらった方がこちらとしては助かるのだが、敵の嫌がることをやれという勝負の鉄則に従って、自民党は福田を選ぶのではないだろうか。

さて、14日の四国新聞に、田勢康弘のコラム「愛しき日本」が掲載されているので、そこからつまみ食いする。全文は数日後に四国新聞のサイトに掲載されるはずだから、それをご覧いただきたいと思う。

田勢はコイズミを称揚した元日経記者で現早大教授、というより安倍が退陣を表明した日に、テレビ朝日「報道ステーション」とTBSテレビ「NEWS23」にかけもちで出演し、安倍を厳しく批判するとともに、次期総裁は麻生で磐石などではない、コイズミの再登板もあり得ると述べた人だ。

四国新聞のコラムで田勢は、大臣は普通の人でもつとまるが、内閣総理大臣はそうはいかない、重圧や孤独に耐えられる人でないとつとまらない、過去田勢が取材した19人の首相のうち数人が重圧に耐えかねて政権を投げ出した、と書いている。ここで面白いのはコイズミの言葉だ。以下引用する。


 いまも思い出す。昨年の夏、小泉純一郎氏がまだ首相在任中のことだ。
「どうしても安倍さんは総理総裁の器だとは思えないが」という私の質問に小泉氏はこう答えた。
「総理なんてね、やってみてわかったけど、だれだってできる。それに安倍君は、幹事長と内閣官房長官をやって飛躍的な成長を遂げたよ。二つとも、予定できないことばかり扱うポストだからね」。

(四国新聞 2007年9月14日掲載 田勢康弘「愛しき日本」より)


コイズミのような神経の図太さ、というより無神経さは誰もが持っているわけではないと思うのだが、コイズミには理解できないようだ(笑)。

さて、田勢はテレビでも述べていた安倍批判を、コラムにも書いている。その部分を紹介する。


 国家のリーダーを評価するとき、人柄だとか頑張っているからとかいうことを基準にしてはならない。政治指導者はあくまで結果がすべてである。もっともしてはならないことは「辞め際を誤る」ということである。なぜ、代表質問の直前なのか。理由がわからないとだれもが首をかしげる。幾日かたって、わからないはずだ、理由はないんだ、ということに思い当たった。
 所信表明演説でこれから何をするかを説いた首相に野党が質問を浴びせる。あの日、首相の前には官僚たちが書いた「首相答弁」草稿が積み上げられていたはずだ。午後一時からの衆院本会議を前にそれを読んでいた首相が、突然、不安に襲われた。自分にはもうできない。試験の日の朝、すべてが絶望的に思えて学校へ行かなくなった子供のような心理。そのころ閣僚たちは国会の中の閣僚応接室で開会を待っていた。鳩山由紀夫民主党幹事長は質問の草稿を読み終え、会議場三階の記者席は埋まり始めていた。首相が突然、辞意を表明したことですべてが止まってしまった。同じ国会で二度も首相の所信表明演説が行われるという明治憲法下でもなかったようなことがこれから起こる。

(四国新聞 2007年9月14日掲載 田勢康弘「愛しき日本」より)


田勢は「すぐれた指導者を発掘し、育成する仕組みを本気で考えなければならない」とコラムを締めくくっているのだが、それは二世、三世議員たちに牛耳られた自民党にはムリだ。

自民党は歴史的役割を終えた政党である。次の衆院選で、国民の手によって自民党政権を「the End!」(=「自 END」)させなければならないと思う。


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昨日(9月12日)は、本当はブログをお休みしようかと思っていた。月曜日(10日)からようやく一段落したとはいえ、今年の厳しい残暑で体調を崩しかかっていたからである。

だが、ゲンキンなもので、安倍晋三辞任のニュースを聞くと、元気が復活してきた。

とはいえ、今はまだ書きたいことをまとめ切る余裕はない。ただ、安倍が辞意を表明したばかりの現時点で指摘しておくべきことだけ指摘しておきたいと思う。

参院選で負けても政権の座にしがみつき、1か月もかけて内閣改造にかまけて(まるで、ご執心のはずの「テロ特措法」は延長できなくてもかまわないかのようだった)、臨時国会で所信表明まで行ったあげく、代表質問のその日に敵前逃亡するかのように政権を投げ出した安倍は、まさに「究極のKY」、辞任するには最悪のタイミングだったといえる。国民や野党だけでなく、自民党議員や御用評論家、それも塩川正十郎や岡崎久彦ら安倍に近い人たちまで安倍を強く批判していたのも当然だろう。安倍との共著まである岡崎久彦の冷たい言葉には驚いた。今朝の「朝ズバッ!」で逆上していたみのもんたは、最後の安倍サポーターだったといえるかもしれない。安倍晋三は最後の最後に最大の失敗を犯した。このタイミングでの首相辞任は、安倍の政治生命を絶ったと思う。安倍は、国政を混乱させた責任をとって、首相辞任のみならず国会議員を辞職すべきだと私は考える。

ところで、今回の安倍辞任に関して一点指摘しておきたいことがある。それは、「カルト的極右」のアベシンゾーは、「コイズミカイカク」を信奉する新自由主義者(経済右派)にやられた、ということだ。その背後には、もちろんアメリカがいる。

私は、新自由主義を批判しながら、政治思想上のタカ派議員たちには甘い一部の人たちに同調する気はさらさらない。安倍のような「政治(思想)右派」は、コイズミら「経済右派」よりずっとたちが悪いだと思う。経済右派は国民を窮乏させても命だけは奪わないが、政治右派はその命までも国民に差し出せと強要するからだ。経済右派か政治右派かの選択は、奴隷か死かの選択に等しい。こんなものはどちらも否定しなければならないが、より強く否定すべきは政治右派のほうであることはいうまでもない。

いつも簡潔かつ的確な記事を書くkechackさんの「Munchner Brucke」が、「安倍内閣前半の異常な時代を忘れてはいけない。」と書いている。以下引用する。


 安倍総理が辞任した。いまとなれば政権末期の迷走ばかりが思い浮かぶが、最初の半年のマスコミや世論の体制翼賛姿勢は脅威であった。そんなこともう忘れている人も多いのか。

 やらせのタウンミーティングで世論を捏造して成立させた改正教育基本法。こんな許せない暴挙にも多くの世論やマスコミは無批判で、現代の諸問題のすべてが教育に起因し教育を変えればよくなるという単純なロジックや、戦後民主主義教育は悪だから変えなければならないという意見に世論の支持が集まった。今でも教育基本法の改正を安倍内閣の成果として挙げる人が多い。

 私に言わせれば、こんなのは悪行であり、成果でも何でもない。百歩譲って成果を認めたとしても、血税を注ぎ込み世論を捏造するような行為は民主主語の死であり、この時点でこの内閣にレッドカードを出すべきものである。私には無批判な世論が脅威であった。

(「Munchner Brucke」 2007年9月13日 「安倍内閣前半の異常な時代を忘れてはいけない。」 より)


私は、マスコミや世論が異常だったのは安倍内閣前半というより、コイズミ内閣以来ずっとだったと思っている。教育基本法についていえば、改定推進派だった読売新聞でも反対派だった朝日新聞でも世論調査で「改定反対」はわずか6%だったのであり、安倍が首相に就任したあと「安倍晋三に告ぐ 『改憲政権』への宣戦布告」(月刊「現代」 2006年10月号)を書いて、教育基本法改定反対を声高に論じた立花隆らの奮戦があって、ようやく改定反対の意見が増えていったが、時既に遅く、昨年12月15日に同法は可決成立してしまった。

これは、コイズミ内閣時代にずっとマスコミが教育基本法改定、ひいては憲法改定の方向に世論を誘導していたからだ。その主役は読売新聞と産経新聞だったが、朝日新聞や毎日新聞も、「経済右派」的観点からコイズミを支援していたのだから同罪だった。コイズミ政権時代のマスコミは、「政治右派」の読売・産経と「経済右派」の朝日・毎日が合作した「翼賛体制」だったと思う。安倍内閣後半にこの翼賛体制が崩れたのは、「経済右派」が「政治右派」から離反したからだ。もう何度も指摘するように、「経済右派」は経済効率を悪化させる安倍や山谷えり子の狂信的バックラッシュ政策に強い不満を持っており、それは教育再生会議の発足当初から明らかだった。これにつられて、まず東京新聞(中日新聞)や毎日新聞、のちには朝日新聞が安倍内閣との対決姿勢を強めていった。

皮肉なことに、翼賛体制から日本を救ったのは、「経済右派」が安倍の極右路線に強くブレーキをかけたことだったといえる。つまり、「経済右派」が「政治右派」の安倍晋三を征圧したのである。

もちろん、「政治左派」は改憲指向の安倍を、「経済左派」は「コイズミの後継者」としての安倍をそれぞれ批判し、「経済右派」による安倍批判と合流して大きな流れになった。それには、「AbEndキャンペーン」も一定の役割を果たしたと思う。

今回の安倍の辞任で、当面日本が戦前指向の道を突っ走る動きには強いブレーキがかかった。次の段階としては、「経済右派」との対決が課題になると思う。

次期自民党総裁(つまり次期首相)は麻生太郎というのがマスコミ辞令のようだが、福田康夫や谷垣禎一を推す声もあり、昨日のテレビを見ていると、田勢康弘がコイズミ再登板を示唆していた。「コイズミチルドレン」ら30人(朝日新聞)あるいは31人(毎日新聞)がコイズミに自民党総裁選への出馬を要請したという報道もなされている。毎日新聞によると、メンバーには小池百合子、片山さつき、佐藤ゆかり、川条志嘉、杉村太蔵らが含まれているそうだ。

相手がコイズミだとこちらとしても臨戦態勢になるが、おそらくそれはない。マスコミの言うとおり麻生だとしたら、彼はどちらかというと「政治右派」だから、経済右派からさほど強いバックアップを期待できるわけではなく、「選挙管理内閣」的性格の短期政権になるだろう。経済右派が期待する麻生の役割は、麻生が適当なことを言って国民受けしながら自民党の支持率を回復させ、次の総選挙を乗り切った上で、「経済右派」やアメリカにとって都合の良い政権を誕生させることだろう。そこで総理大臣になるのは、他に誰もいなかったらコイズミになるが、せっかく手にした名声を失う再登板をコイズミが選択するとは私には思えない。さりとて自民党に「ネオリベの星」はあまり思い浮かばず、あえて挙げるなら民主党の前原誠司の名前が浮かぶ。しかし前原もまた「偽メール事件」におけるKYぶりでミソをつけた人物である。国民にとって幸いなことに、ネオリベで「切り札」と呼べる人材は存在しない、といってよさそうだ。

繰り返すが、今後は、「経済右派」との対決が国民の課題であり、経済右派の背後にはアメリカがいるから、今後の政治は、従来の対米従属一本槍ではなく、アメリカ・中国と等距離で接する方向へ政策を転換する必要がある。日米同盟の重視というと聞こえは良いが、実態はアメリカによる日本の国富の搾取だ。もうこれ以上アメリカに富を吸い取られるのはまっぴらだ、というのが私の正直な感覚である。

この点でいうと、民主党に日米同盟最重視派が少なからずいる一方、自民党に加藤紘一のような「日米中の三角形」を主張する政治家がいるという込み入った状態は、あまり好ましいものではない。

政界には再編成を求めたいが、国民の側としてやるべきことは、これまでと変わらず「政治右派」と「経済右派」の両方に反対することだと思う。もっとはっきり言えば、自民党政治に反対することだ。

最後に、美爾依さん(「カナダde日本語」 管理人)から、「AbEnd」を達成した現在、「安倍晋三リンクリスト」をどうすべきかという問いかけがなされているが、「AbEnd」の次の目標は「自民党政治」そのものの終了だと思う。私からは、音楽用語として知られる「ディミヌエンド diminuendo」(だんだん弱く)に引っ掛けた「ジミヌエンド JiminuEnd」を提案した。「自民」という「鵺(ぬえ)」を「エンド」にしよう、という主旨で、「鵺」とは、辺見庸のいう「鵺のような全体主義」からきている(昨年11月28日付弊ブログ記事参照)。

もっとも、「ジミヌエンド」だと意味が通じにくいから、「自民エンド」またはSOBAさんの提案された「自END」でも良いかもしれない。名称はともかくとして、自民党政治を終わらせよう、というブログ運動へと発展させるのが良いと思う。

安倍晋三リンクリストを改称して自民エンドにするか、新しいリンクリストを設けるかについては、それに関するこだわりは特にない。「AbEnd」は来週にも予想される安倍内閣総辞職をもって「the End!」にするのも良い考えだ。ただ、新しいトラックバック・ピープルのテーマを設ける場合も、引き続き美爾依さんに管理人をお願いできればと思う。「AbEnd」というと 「カナダde日本語」 と誰しも思い浮かぶブランドになっているからで、動員力を最大にする意味からも、ここにあつかましくお願いする次第である。


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「究極のKY」 安倍晋三首相が、ついに辞意を表明しました。

安倍の辞意表明を受けて、東京株式市場の株価が一時急上昇したそうです(笑)。もっとも、その後すぐ株価は再び下がったようですが、この「線香花火」ぶりが安倍らしいといえなくもありません(産経新聞より)。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070912-00000912-san-pol

また、自他ともに認めるマンガ狂の麻生太郎が次期首相確実と見たのか、マンガ・アニメ銘柄が急上昇するという珍現象も見られました(毎日新聞より)。
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070913k0000m020028000c.html

なお、安倍晋三自身の「相続税脱税」疑惑を「週刊現代」が記事にしようとして安倍サイドに質問状を送付し、12日午後2時が回答期限だったそうです(毎日新聞より)。
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20070912dde041010045000c.html


安倍首相辞意:「週刊現代」が「脱税疑惑」追及で取材
 
 突然辞意を表明した安倍首相については、「週刊現代」が首相自身の政治団体を利用した「脱税疑惑」を追及する取材を進めていた。

 同編集部によると、安倍首相は父晋太郎氏の死亡に伴い、相続した財産を政治団体に寄付。相続税を免れた疑いがあるという。晋太郎氏は91年5月に死亡し、遺産総額は25億円に上るとされていた。編集部は安倍首相サイドに質問状を送付し、12日午後2時が回答期限としており、15日発売号で掲載する予定だったという。

毎日新聞 2007年9月12日 15時00分


さらに、明日発売の「週刊文春」には、安倍が新興宗教「慧光塾」のお告げに従って政策を決めていたという記事が出るそうです。「慧光塾」というと、安倍が首相になる前からの「安倍ウォッチャー」には知られた名前ですが、ようやく封印された安倍のスキャンダルが次々と週刊誌などに報道され始め、これはもう持たないと安倍が観念したのかもしれません。


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ついに「経済右派」のコイズミ一派と「政治思想右派」のアベシンゾー一派の内紛が始まったようだ。

安倍改造内閣で官房長官に与謝野馨を起用した時、与謝野が財務省を代弁する緊縮財政論者で、竹中平蔵や中川秀直の「上げ潮政策」と対立する人物であることから、あれっと思った人は多いはずだ(私はいずれの政策も正しくないと思っているが)。

案の定、竹中は「与謝野氏が官房長官になったことで、改革に黄信号が止まった」と喚き始めた。それと呼応するかのように山本一太や世耕弘成らが竹中を顧問に迎えて「勉強会」を立ち上げるという(「とむ丸の夢」?「竹中平蔵が戻ってくる? まさか、と思いたい」より)。

安倍晋三は「政治思想右派」の盟友である平沼赳夫の復党にご執心だが、昨夜の「報道ステーション」を見ていると、中川泰宏や川条志嘉といった「コイズミチルドレン」たちがヒステリックにこれに反発していた。ちなみに、この川条という議員は、2004年に民主党から参院選に立候補して落選しながら、翌05年の総選挙で大阪2区から自民党公認で立候補して当選した人物である。このような人物を当選させたことで、大阪人はその民度の低さを全国に露呈した(菅直人以外すべて自民党候補を当選させ、長妻昭を選挙区では落とした東京人といい勝負だった)。

田原総一朗も、ついに「反安倍」へと転じた。田原が日経BPのウェブサイトに書いているコラムは、「安倍内閣は終わった」と思う、という書き出しだ。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/column/tahara/070906_26th/

田原はここで、安倍内閣に期待したのは、コイズミカイカクを引き継いで公務員改革をやってくれるものと期待したからだ、しかるに安倍は意に反して内閣改造で「カイカク」メンバーが軒並み閣外に去った、内閣の実権は麻生太郎と与謝野馨が握った、などとして今回の内閣改造を批判した。

今回の記事から明らかなように、田原は「体制べったり」というよりは「コイズミべったり」というべき人物である。今回の記事は、コイズミを頭領とする経済右派(ネオリベ)がはっきり安倍を見限ったことを示すものだと思う。コラムで田原が「改革派」として挙げたのは、中川秀直、塩崎恭久、渡辺善美、下村博文、菅義偉、中川昭一らである。ここらへんがコイズミ好みの人脈なのだろう。

一方、安倍晋三のブレーンである「政治思想右派」の代表的論者・中西輝政は、森喜朗と中川秀直をことのほか敵視し、森が担ごうとしている福田康夫を罵倒して、福田政権だけは何が何でも阻止する、と息巻いている。ここで面白いのは、中川秀直はコイズミにもシンキロウ(森喜朗)にも気に入られている人物であるということだ。逆に麻生太郎はコイズミと森のどちらからもあまり気に入られていない人物ということになる。私は麻生太郎への「禅譲路線」はどちらかというとコイズミの差し金かと思っていたのだが、そうでもないのかもしれない。

ここから見えてくるのは、中川秀直がコイズミと森のバランスを取って安倍晋三政権を支えてきた人物だったが、ゴリゴリの「政治思想右派」である安倍は、本音では中川とはあまり合わなかった、ということだ。安倍が作りたいのは、あくまで「日本会議」の思想をバックボーンにしたカルト的な極右内閣であって、安倍は城内実や平沼赳夫たちと仕事がしたいのだ。そもそも安倍は経済政策には何の関心も持っていない。

しかし、それでは国内の「経済右派」もアメリカも納得しない。現在、焦点になっているテロ特措法の延長問題は、安倍の政敵・菅直人も指摘する通り、8月末に臨時国会を召集しておけば11月1日までに延長させることが可能だった。安倍がそれをやらなかったのは、テロ特措法をわざと延長させず、自衛隊を引き上げさせて、それを民主党のせいにしようとしたものだといわれている。ところが、そこを中曽根康弘や渡邉恒雄に突かれて、「延長できなかったら総辞職せよ」と迫られる始末だ。

結局、安倍はアメリカからも「詰め腹を切れ」と迫られたのだろう、ついに「テロ特措法の延長ができなかったら総辞職する」と言い出した。「延長させずにおいて、民主党のせいにしろ」というのは、どうやら安倍をはめるために誰かが考え出した作戦だったといえそうだ。

田原は、前記日経BPのコラムで、9月1日未明のテレビ朝日「朝まで生テレビ」における江田憲司議員(無所属)の爆弾発言を紹介しているので、以下に引用する。


8月31日深夜放送の「朝まで生テレビ」で、橋本元首相の秘書官だった江田けんじ衆議院議員(無所属)が驚くべき資料を出してきた。

それは、アメリカの第5艦隊の正式なホームページに掲載されていた情報で、「日本からインド洋に出ているイージス艦が給油をしている油の85パーセントにあたる8662万9675ガロン(約30万キロリットル)がアフガン戦争ではなく、イラク戦争に送られている」というものだった。

日本政府の主張は、イラク戦争とアフガン戦争は違い、アフガン戦争は世界のほとんど国が協力しているから日本も協力するべきだし、今後も協力を続けるべきだというものだった。

しかし、この資料で明らかになったのは、「国際社会の一員としてアフガン戦争に協力している」というのは政府の建前で、実は「日本はイラク戦争に協力している」というものだった。政府は国民をだましていたということになる。

この放送後、民主党議員からのものも含めて、たくさんの問い合わせがあった。これを民主党は国会でも問題にすると思う。「政府は国民を欺いているではないか。実はアフガン戦争といいながら、イラク戦争に加担しているのではないか」と追及するだろう。

これを政府与党がどう切り返すのか。テロ特措法延長は、衆議院は通っても野党多数となった参議院では否決される。新聞論調はこの否決をどう書くか。政府が国民を欺いているという事実が出てきたからには、これまでテロ特措法に賛成の態度を示してきた新聞であっても、テロ特措法のあり方や政府の主張に対して問題を投げかけざるをえないはずだ。

そのような中で、テロ特措法延長問題をどうするのか。参議院で否決された場合、衆議院に戻して、また“数の力”で強行採決するのか。これは、改造後の安倍政権にとって最大の試練になるだろう。

田原総一朗の政財界「ここだけの話」第26回 「麻生幹事長が政権を掌握 安倍"暫定内閣"の実像」より)


江田憲司議員の指摘については、「週刊現代」の最新号(9月22日号)も記事にしているが、同誌はその他に、インド洋に派遣されたイージス艦『きりさめ』の海曹長が7月30日に艦内で「謎の死」を遂げたことをスクープしている。記事によるとこれは、民主党の再三の求めに、防衛省が9月4日に提出してきた資料に明記されているとのことで、政府は7月30日の「自衛官死亡」を9月初めまで隠していたことになる。

この件は、昨日「asahi.com」も報じたが、「週刊現代」の記事を追ったものと思われる。
http://www.asahi.com/national/update/0910/TKY200709100226.html

インド洋艦船「きりさめ」で自衛官が自殺か

2007年09月10日18時54分

 防衛省の増田好平事務次官は10日の記者会見で、テロ対策特別措置法に基づいてインド洋に派遣されている海上自衛隊の艦船に乗務していた自衛官が7月末に死亡していたことを明らかにした。増田次官は原因について「自殺の疑いはある」と述べた。乗組員の精神的なケアを行うために要員を派遣したという。

 関係者によると、死亡したのは20歳代の男性自衛官。この自衛官が乗船していた護衛艦「きりさめ」は7月13日に長崎県佐世保市の海自佐世保基地を出航し、インド洋上で約4カ月間にわたって補給艦「ときわ」を護衛する任務についているという。

(asahi.comより)



「週刊現代」は、自衛官死亡の情報を開示しない防衛省の体質を、「是が非でも派遣期間を延長したい防衛省が、インド洋での補給活動の安全性を偽るためにAさん(死亡した自衛官)の死を隠していたのなら、国民への重大な背信行為だ。内閣は吹っ飛ぶ」と指摘している。

それにしても、国民から「ノー」を突きつけられながら、民意を無視して政権にしがみついた安倍晋三が、アメリカの約束を守れなかったら退陣すると表明したことによって、安倍が日本国民のためではなく、米ブッシュ政権のために政治をやっていたことが改めてはっきりした。野党は結束して安倍を退陣に追い込まなければならない。


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まもなく「9・11」だが、6年前のテロはアメリカの自作自演だったという説がある。

その真偽のほどはさだかではないし、率直にいってあまり信用していないが、そもそも私は、6年前の「9・11」テロの時すでに「アメリカはテロをやられても仕方のない国だ」という感想を持っていた。クリントン前大統領は、1998年にモニカ・ルインスキーさんとの「不適切な関係」のスキャンダルが報じられて支持率が下がると、アフガニスタンやスーダンに爆撃を行ったが、このニュースを聞いて、「クリントンは自分のスキャンダルから国民の目をそらすために、他国の国民を殺すのか」と呆れたものだ。しかし、アメリカ人の多くはこの軍事行動を支持し、クリントンの支持率は持ち直した。これがアメリカ人の国民性である。

さらに呆れたことには、現在、このクリントンの爆撃は、アメリカでは「アルカイダへの先制攻撃だった」として評価する向きもあるのだという。馬鹿を言ってはいけない。アメリカによるたび重なるテロがあったから、2001年にアメリカは報復を受けたのではないかというのが私の見方である。

そう、ノーム・チョムスキーが言うように、アメリカこそ世界最大のテロ国家であると私は考えている。

だから、たとえアフガン向けであろうがテロ特措法の延長に私は反対なのだが、9月2日のエントリでも触れたように、9月1日未明のテレビ朝日「朝まで生テレビ」で、江田憲司議員(無所属)が、テロ特措法で認められた海上自衛隊の給油活動の85%が実はイラク戦争向けであったことを暴露した。アフガン戦争(日本以外の国ではこう呼ぶらしい)には議論がいろいろあるが、イラク戦争になると、これはアメリカが勝手に始めて勝手に泥沼にはまった、大義なき戦争であることに議論の余地はない。

これは、当然与野党の論戦の対象になると思った。事実、9月2日の同じテレビ局・同じ司会者の「サンデープロジェクト」はこの問題を取り上げ、司会の田原総一朗は自民党の石原伸晃政調会長に問い質した。石原は、初めて聞く話だと言って議論から逃げた。

ところが、その1週間後の今週、フジテレビの「報道2001」ばかりか、「サンプロ」までもこの件を頬かむりした。なぜこんな報道姿勢がまかり通るのだろうか。

いや、この件ばかりではない。当ブログでは書くタイミングを逸したためこれまであまり取り上げてこなかったが、佐藤正久参院議員の「駆けつけ警護」発言問題や、勝手に防衛官僚が人事権に容喙しようとした守屋武昌事務次官の問題など、文民統制を危うくするような重大事が相次いでいるというのに、これに対するマスコミの批判は際立って甘い。特に佐藤議員の発言については、報道量自体が少な過ぎる。

これでは、いくら安倍晋三内閣が「脳死状態」に陥ったといっても、亡国の流れは全然止まっていないと言わざるを得ない。

防衛問題だけではない。経済政策についての議論も不活発だ。年金問題も大事かもしれないが、竹中平蔵・中川秀直流の「上げ潮政策」か与謝野馨流の「緊縮財政路線」か、はたまた企業や高額所得者優遇を止めて再分配を重んじる政策に戻すかなど、論点はいくらでもあるはずだ。それなのに、マスコミ、特にテレビの報道は再分配政策に「バラマキ」とのレッテルを貼って「小さな政府」という呪文を唱え続けるなど、「コイズミカイカクマンセー」路線で思考停止に陥ってしまっている。

相変わらずマスコミには全く期待できない。国民一人一人のレベルで(ブログもその一つの手段だが)、野党の尻を叩いていくしかなさそうだ。


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一昨日のエントリ 「右派言論の凋落」 を受けた昨日のエントリ 「コイズミ様とアメリカ様に頭の上がらないアベシンゾー」 のさらに続き。

「広島瀬戸内新聞ニュース」 に、弊ブログ記事「右派言論の凋落」をご紹介いただいているが、この記事で、同紙主筆のさとうしゅういちさんは、「バックラッシュ、男女差別などを推進する政治的右派(安倍晋三さん、山谷えり子さんら)は、経済的右派である、ネオリベラルないしアメリカ的ネオコンを補完する役目があった」 と指摘している。

コイズミは、本来不人気を招くはずの(「痛みを伴う」と自ら認めた)経済政策を実行するため、他の政策で人気とりをする必要があった。政権最初には、ネオリベ(新自由主義)の政策を、こともあろうに「構造改革」という左翼用語を拝借した命名でそのおぞましい中身をごまかし、国民をダマした。しかし、翌年にはメッキがはがれ、景気も急速に悪化して株価は2000年の半値以下に暴落し、内閣支持率も急降下した。そんなコイズミ内閣の支持率を持ち直させたのが、2002年9月の拉致被害者の一時帰国だった。この時ヒーローになったのが、われらがアベシンゾーだったというワケだ。コイズミは、持ち直した支持率を背景に、ネオリベ政策を推進し、経済格差を拡大させていった。

ネオリベの政策推進のやり口を明快に説明しているのが、Kechackさんのブログ 「Munchener Brucke」 の記事 「経済保守陣営の本音 ?支持率の高いリーダーに不人気な企業減税を断行させる?」 だ。以下引用する。


 参院選から1カ月過ぎ、経済保守派のホンネが散見されるようになった。彼らは安倍自民党惨敗により『消費税を上げて、法人税を下げる』という見通しが消えてしまったことが悔しくてたまらないのである。ドイツなど先進諸国が軒並み大衆課税&法人減税をセットにした税制改革を断行しているのを横目で見るにつけ、「なんで日本はそれができないんだ」と気を揉んでいるのである。

 ただ選挙中は不思議なことに税制改革は争点にもならず、こんな話は寝耳に水と思う人も多いであろう。自民党に期待する経済保守派も、ベタにこんな公約を出したら選挙に不利になると自覚して黙っていたのである。強いて言えば中川前幹事長の「上げ潮路線」の究極のゴールがこれなのだが、オブラートに包んで敢えてわかりにくくしていたのである。

 ようは自民党も自民党応援団の財界や新古典派の学者やアナリストも、みな国民を騙そうとしたのである。もっとも8/28のエントリーのように、そもそも庶民に厳しく企業に甘い政治など古今東西支持される訳がなく、それを実行するために騙すか他の部分で圧倒的な支持を集めて、多少不人気な政策を妥協させるのである。ネオリベに傾倒した識者は、ドイツ国民が敢えて企業の競争力を上げようという政策を支持したかのようなことを言っているが、事実は異なり、他の部分で支持ができるので、多少の気に喰わない政策があっても許容したに過ぎない。

 小泉政治を思い出すとよい。彼は自分の政治には痛みがあるとはっきり言った上で、他の部分で大衆迎合的政治手法で支持を集め、痛みの部分を不問にした。これは保守政治の王道であると言ってもいい。保守政治の世界は、支持率を高め選挙で勝つのが目的ではなく、それだけでは評価されない。一旦高い支持率を獲得し、それを背景に支持率を犠牲にしても国民に不人気な政策も含めて実行して初めて評価されるのである。

 財界などの経済保守勢力は常に国民的支持を喚起できるリーダーの出現を願っている。その為にポピュリズムを駆使し、その為に必要なパブリシティ費用の工面は惜しまない。もちろん高い支持率を背景に国民に不人気な「企業減税」を断行してもらいたいと願っているのである。

(「Munchener Brucke」 2007年8月30日 「経済保守陣営の本音 ?支持率の高いリーダーに不人気な企業減税を断行させる?」 より)


つまり、安倍晋三はコイズミのダシに過ぎず、経済右派が欲しかったのは、安倍の「コクミンテキニンキ」だけだったのである。安倍やその盟友・山谷えり子のバックラッシュ政策など、どうでも良いか、それどころか経済の効率化を妨げる邪魔者だった。それが証拠に、教育再生会議は当初から迷走し、規制改革・民間開放推進会議としばしば衝突した。

「改正教育基本法」の成立を報じる昨年12月16日の毎日新聞は、「10月、官邸に設置された教育再生会議は保守路線一本やりとはいかず、議論は難航。代わって教育改革の推進エンジンになっているのが、政府の規制改革・民間開放推進会議だ。教員評価の厳格化や学校の管理職の増員など民間企業並みの改革メニューには、経済界の意向がにじむ」と指摘した(弊ブログの昨年12月16日付エントリ参照)。また、今年2月17日の朝日新聞は、一面トップで「教委改革 深い溝」という見出しの記事を掲載し、教育改革関連三法案の制定などによって「国の権限を強化」したい教育再生会議に対し、規制改革会議が「地方分権に逆行」するものだとして激しく反発していると報じている。

安倍内閣の支持率は暴落し、参院選でも惨敗して自民党は参院では第二党となり、少数与党に転落した。しかし、安倍改造内閣でも山谷えり子は首相補佐官として生き残った。山谷について、いつも多くの興味深い情報を提供してくれるたんぽぽさんの 「たんぽぽのなみだ?運営日記」 は、9月7日のエントリ 「安倍改造内閣発足」 で、次のように皮肉っている。


それから首相補佐官ですが、コイズミ以来の、
官邸主導を強化しようとして、安倍首相は、ご存知のように、
定員枠いっぱいの5人まで採ったのでした。
ところが、既存ポストの閣僚と衝突ばかりで、まともに機能せず、
改造内閣では、ふたりに減らすことになりました。

それで、ふたりのうちのひとりが、あの山谷えり子氏だったりします。
山谷も、教育再生会議で、伊吹文明氏ともめまくっていたし、
その伊吹は留任なのですが、だいじょうぶなのかな?
山谷と安倍は、3500の事例アンケートを、いっしょに行なった仲ですし、
あえて留任させるのは、安倍にとって、このあたり(家族思想)は、
ゆずれないイデオロギーなのかもしれないです。

(「たんぽぽのなみだ?運営日誌」 2007年9月7日 「安倍改造内閣発足」 より)


周知のように、首相補佐官の中でも、特に無能さの際立つ山谷は、内閣改造に際して、誰もが更迭を予想していたにもかかわらず留任した。いうまでもなく、安倍晋三首相の強い意向によるものだ。

憲法や教育基本法の改定といった方面にばかり熱心で、いっこうに国民のためになる政治をしようとしない「KY」安倍晋三に対する国民の不満が爆発したのが、先の参院選の結果であると私は考えているが、「広島瀬戸内新聞ニュース」や「Munchener Brucke」が指摘するように、人気を失い、不人気な政策を施行できないばかりか、経済効率を悪化させるような馬鹿げたバックラッシュ政策にばかりご執心の安倍晋三は、いまや「経済右派」にとってもアメリカにとっても「邪魔者」以外の何者でもなくなった。次から次へとリークされる安倍内閣閣僚のスキャンダルは、安倍が首相にとどまる限り止まることはないだろう。しまいには、「安晋会」に絡んだ疑惑の報道がまたぞろ噴出するのではないかという気さえする。

最後に、前記「Munchener Brucke」の記事の結びの部分を引用しよう。


 安倍内閣発足時の捏造された“安倍人気”はまさに財界の野望そのものだ。その夢の楼閣はこんなに短期に崩壊してしまった。不人気な内閣というのは、国民受けを狙い、財界には都合の悪い政策を出してくる可能性があり、却って迷惑なので、存続を支持する価値がないのである。

 逆説的に言えば、支持率の低い内閣が続くことが、国民にとってはプラスの可能性がある。

(「Munchener Brucke」 2007年8月30日 「経済保守陣営の本音 ?支持率の高いリーダーに不人気な企業減税を断行させる?」 より)


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昨日のエントリの補足。

中西輝政は、左翼とリベラルが「反安倍」で結束したのに対し、保守は油断して負けた、と書いている。

私自身は「左翼」というよりは「リベラル」だと思うが、そりゃ安倍晋三が理想とするような社会なんてまっぴらだから、「反安倍」のためならリベラルが左翼とだって手を組むのは当然だろう。

コイズミの新自由主義政策が生み出した矛盾は、政権末期には噴出し始めていた。耐震偽装問題やライブドア事件は、その象徴だったし、両方の事件と秘密後援会「安晋会」のかかわりが噂された安倍晋三は、追い詰められて首相になる芽が潰れると期待していた。

しかし、「偽メール事件」によってあっという間に政府追及の機運は消えた。それでも、反ネオコン、反ネオリベの立場に立つ人間にとって、安倍への不信感や警戒感が消えようはずはなかったのだ。

チャンスは、早くも昨年5月13日に安倍が統一協会系団体のイベントに祝電を送ったことが発覚したことで訪れた。この時はマスコミの追及が及び腰で、安倍は難なくこれを乗り切ったが、安倍の「脇の甘さ」を感じさせるものだった。そして、マスコミ側の「反安倍」勢力は、時宜を得た「富田メモ」のスクープによって安倍にダメージを与えた。中西は、「富田メモ」スクープは、当時コイズミの靖国参拝をターゲットにしたものだと思われていたが、実は安倍を狙ったものだったと書いているが、今ごろそんなことに気づくようではおめでた過ぎる。あれは、ナベツネ(渡邉恒雄・読売新聞会長)が安倍を靖国神社に参拝させないために放った決定打で(日経新聞のスクープだが、仕掛け人はナベツネだと私はにらんでいる)、当時からもし安倍が首相になっても終戦記念日に靖国に参拝できないことはわかり切っていた。そういう条件で安倍はナベツネと手打ちをしたはずだ。なにしろナベツネは、「靖国神社に参拝する総理大臣は、読売新聞1000万部の力で潰す」と明言しているのだ。

中西は、安倍がコイズミのネオリベ路線から離れて、持ち前の国家主義というかネオコン路線に徹した政治をしてほしいようだが、それはムリだ。このところ、安倍に対する影響力がもっとも強いのは、森喜朗ではなくてコイズミであることがますますはっきりしてきた。安倍は、コイズミが獲得した議席の力でやりたい放題やってきたのだから、コイズミには頭が上がらない。

そして、決定的なのはアメリカ様のご意向だ。昨年12月に出た、最新のアメリカ政府の「年次改革要望書」をご覧いただきたい。
http://tokyo.usembassy.gov/pdfs/wwwfj-20061205-regref.pdf

その最初のページに、「米国は、日本の経済改革を推進するとした安倍総理大臣の決意を歓迎する。新しい機会を生み、競争を促し、より健全なビジネス環境をつくり出す改革は、これから先何年にもわたり日本の経済成長を維持し支えるだろう」と書かれている。

安倍晋三が「コイズミカイカク」の路線から離れることなどできっこないのである。


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しばらく前から、インターネット、リアルのジャーナリズムを問わず、右派の言論が急速に凋落してきたように思う。

新聞では、中日新聞(東京新聞)や毎日新聞に勇気ある論調の記事が目立つようになり、朝日新聞の右傾化にも歯止めがかかったように見える。雑誌では、「正論」と並ぶ極右誌だった「諸君!」が、やや中道寄りに立ち位置を微調整し、そんな中で中西輝政が切歯扼腕している。しかし、そんな中西も、かつてコイズミのポピュリズムを激烈に批判したのに、「正論」の別冊で「構造改革なくして『美しい国』はない」と言ったかと思うと、「正論」と「諸君!」の両方に寄稿した最新号では、再び「構造改革なんてどうでもいい」といわんばかりに、安倍晋三が本来の新保守主義(ネオコン)的主張を強く押し出さなかったことへの恨みつらみを書き連ねるなど、その言論には全く一貫性がない。こんな程度の低いのがブレーンをつとめているのだから、そりゃ安倍の化けの皮は早々と剥がれるはずだ(笑)。

ネット右翼たちもさんざんだ。かつて、「きち@石根」などとともに、「アインシュタインの予言」なる妄言を撒き散らしていた、いんちきブログの代名詞ともいうべき「毒吐き@てっく」は、「詐欺」騒ぎを起こして、「毒吐き」どころか「嘘吐き」であったことを露呈して話題となった。また、ネット右翼を代表するあるブログの管理人は、参院選に出馬して惨敗し、ネット右翼の言論が国民にほとんど支持されていないことを露呈した。「博士の独り言」は、「nikaidou.com」をパクって、「長崎市長銃撃犯人は本名を『白正哲』という朝鮮人だ」と主張したが、これが事実である証拠は、いまだに示されていない。

こんなザマでは、ネット右翼が国民の支持を得ることなどできないだろう。

コイズミ時代には、手強そうなネオリベ(新自由主義)のブログが多くあったが、それらは閉鎖するなり活性を失うなどしていて、今ではすっかり勢いを失った。そして、ネオコンのブログは、なぜか「人気ブログランキング」では多数のクリックを集めて上位を占めたりしているが、その影響力は気の毒になるほど小さい。「張子の虎」もいいところだ。

リベラル系ブログは、こんな右派言論(ネット右翼あるいはネットネオコン)など相手にせず、今後はより建設的な議論をしていきたいものだ。


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今年はことのほか残暑が厳しくて、毎日帰宅後はフラフラ、昨夜などブログの記事の準備をする気にもならなかった。

それで、今日の記事は手抜きというか、雑感をだらだら書くことにするのだが、内閣改造前、この改造でチョンボをやったら内閣は脳死状態になる、といわれていたのが、改造早々にまたしても農水相を更迭せざるを得ない状況に追い込まれたのだから、安倍内閣は「脳死」状態に陥ったと考えるほかないだろう。

このところの「政治とカネ」の問題は、ひところなら問題にされなかったレベルのものでも、大きく取り上げられて進退問題に発展する傾向があるとは、政権に反対する側の私でも感じるところだ。

しかし、それを招いたのは、ほかならぬ安倍晋三首相だということは押さえておかなければならない。安倍は、内閣発足早々から問題を起こした閣僚をかばうことばかりしてきたが、その結果が松岡利勝元農水相の「自殺」だった。本来、戦後初めてという現職閣僚の自殺などという不祥事を起こした段階で、安倍内閣は総辞職すべきであった。そうすれば、参院選であそこまで自民党が大敗することも、現在のように単に安倍内閣のみならず自民党を主体とする政権自体が「末期症状」を呈することもなかったのではないか。

別に敵に助言するつもりはないが、こうなったら自民党のなすべきことは、早々に安倍内閣を総辞職させ、麻生太郎なりを中心として、選挙管理内閣的な意味合いを持つ内閣を作り、晩秋か年末か、はたまた来年かは別として、解散総選挙への道を作るしかないのではなかろうか。

このまま安倍晋三が政権にしがみつくことは、自民党の衰退を促進するという意味では好ましいかもしれないが、それよりも国政の混乱を招き、国益を損ねる悪弊の方が大きいのではないか。きたるべき総選挙は、7月の参院選のように「アベシンゾー」を争点にするのではなく(それについては、参院選で安倍に対する審判が下って決着がついたのだから)、具体的な政策が争点になってしかるべきだと思う。

それから、参院選が終わって、衆議院の総選挙どころか国会の始まる前であるこの時期は、新たにブログを開設するにはちょうど良いのではないかと思う。弊ブログは比較的政界に動きの少なかった昨年4月に開設し、しばらく慣らし運転をしたあと、6月に安倍晋三の統一協会への祝電問題が明るみに出たので、これを追及するキャンペーンに参加し、それが 「AbEndキャンペーン」 への参加につながった。

今後国会の論戦が始まって緊迫した状況になり、衆院が解散された時点でブログに参入するのでは、慣れずにとまどっているうちに投票日を迎えることになりかねない。準備期間を設けるという意味でも、今は絶好のタイミングだと思う。

いつも思うのだが、政治思想についても経済学にもついても門外漢である私なんかより、政治ブログに適した人たちはゴマンといるだろう。ブログがどれだけ実際の政治や社会を動かしうるかは議論の分かれるところだろうが、少なくともメーリングリストや掲示板などとは影響力が段違いであることは、実際にブログをやってみれば実感としてわかるところだ。

論客たちの積極的なブログへの参入を期待する今日この頃である。


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皆さまよくご存知の通り、安倍改造内閣の遠藤武彦農林水産大臣が、就任1週間にして辞任した。そればかりか玉沢徳一郎元農水相まで、政治資金収支報告書に政治活動費を多重計上していた問題を受けて自民党を離党した。

「政治とカネ」の問題が、どういうわけか農水相というポストに集中して次々と起きた形だ。今回の遠藤大臣の行為は、過去の事務所費問題より悪質だとの指摘はもっともだし、厳しく追及すべきことには違いあるまいが、正直言って「またか」とうんざりする。

それに対抗してであろうか、野党・民主党にもスキャンダル報道が相次いでいるが、中でも「虎退治」をやってのけた姫井由美子議員のスキャンダル報道など、私にはどこが問題なのかさっぱりわからない。最近は、「安倍晋三TBP」にもネット右翼からのTBも多く、ヒステリックに姫井議員を批判する記事が見られるが、噴飯ものである。確かに旧来の道徳観には反しているかもしれないが、姫井議員が違法行為を犯したわけでも何でもない。こんなバカバカしいスキャンダルではなく、政策をこそ競いたいものだ。

政策といえば、農政に関しては、それこそ「戦後レジーム」を形作った肝心かなめの政策の一つである農地政策が、今自民党政権によって大きく転換されようとしている。

子供の頃に敗戦を受けての民主化政策の一つである「農地解放」(農地改革)の意義について勉強したものだが、今、それが「時代に合わなくなった」として、「グローバリズム」に合うよう「カイカク」されようとしているのだ。

ちょっと前の毎日新聞に、農水相が戦後の農地制度の基本理念だった「自作農主義」を放棄し、「農地の『所有』よりも賃貸借などによる『利用』を重視した法体系に転換することで、大規模農家や法人に農地が集まりやすいようにする」と報じた記事が出ていた。
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20070824k0000m010156000c.html
(リンクが切れている場合はこちら

これはトンでもない政策転換だと私は思う。「小作農」という言葉を廃して「利用農」などと言い換えようとしているあたりが「差別用語狩り」みたいでいかにも胡散臭いが、要は農水省のやろうとしていることは、典型的な新自由主義政策で、グローバリズムに合わせて農業を大規模化し、「小作農」を復活させようとしていることにほかならない。私はこの政策を「逆農地改革」と名づけたい。

今回の参院選で、「地方の反乱」が起きて、これまで自民党を支持していた地方の農民が民主党支持に寝返ったというが、政府がこんな「農政カイカク」をしようとしていることを、地方を回った小沢一郎代表などに聞かされたら、そりゃ誰だって寝返るに決まっている。

この件に関してネット検索をしていたら、「日暮れて途遠し」というブログを見つけた。このブログの「新自由主義批判」のカテゴリには、政府の農政転換の問題点や、農政についての民主党と自民党の政策の違いなどが詳しく論じられていて、たいへん勉強になったので、ここに紹介しておく。不勉強な私にはこれをまとめる力などないので、是非リンク先をご参照いただきたいと思う。このブログで知ったのだが、農政に関して、朝日新聞の辻陽明記者が鋭く問題点を指摘する記事を書く一方、同じ朝日新聞の社説では、政府の主張に沿って「カイカク」の推進を促しているなど、大新聞でも論調の混乱が見られるようだ。こと経済政策に関しては、朝日や毎日の社説が、竹中平蔵が大臣をやっていた頃とさほど変わらず、新自由主義カイカク推進の立場に立っているらしいことには失望させられる。

ひとつだけ言っておきたいのは、新自由主義(というより、コイズミ)の走狗である田原総一朗らが、参院選における民主党の農業政策についての公約を「ばらまき」だと批判しているが、市場経済によって生じる格差を政府が再分配するのは当然の政策であって、これに「ばらまき」とか「大きな政府」などというレッテルを貼るのは、新自由主義者のプロパガンダにほかならない、ということだ。

よく、政治思想的左派が、防衛政策をとらえて「民主党も自民党も同じ」だと主張するが、こと経済政策に関しては、民主党内には自民党以上に過激な新自由主義者をかなり抱えてはいるものの、自民党と民主党の政策の違いはかなりはっきりしてきたと私は感じている。今後の政界再編は、政治思想面だけではなく経済思想面の対立軸を明確にするような方向でなされてほしいと思うものだ。

さて、政策というと、今朝の新聞に鳩山邦夫法相の見過ごせない発言が出ていた。「共謀罪」の成立を急ぐ、というものである。以下、「四国新聞」の記事から、共謀罪と死刑制度に関する法相の発言を引用、紹介する。


 ? 継続審議になっている共謀罪についてどう対応するか。

 「組織犯罪をどうやって未然に防止するかは世界的に大きな課題だ。国際組織犯罪防止条約に入れないのは国際的に批判を受けかねず、来年の通常国会前半までに(関連法を)成立させたい」

 ? 死刑制度をどう考えるか。

 「刑罰には犯罪の未然防止や抑止効果が期待されている。法治国家なので死刑は適宜執行されるべきだと思う。執行された人の実名公表については検討してみる」

(四国新聞 2007年9月4日付紙面 「閣僚に聞く」より)


死刑制度に関しては、民主党の一部議員や社民党、それに国民新党の亀井静香氏らが反対していて、これも今後の政策論争の対立軸の一つになるだろう。

それにしても、権力はまたぞろ「共謀罪」成立をもくろみ始めたようだ。こんなふざけた自民党政権は一刻も早く打倒しなければならない。


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「安倍晋三TBP」 へのTB件数が1万6千件に達した。当ブログは、勝手に「AbEndキャンペーン」の広報をやっており、1000件ごとのキリ番達成記念記事を公開することにしており、当エントリがそれに当たる。

これまでの1000件ごとのキリ番到達日は下記の通り。


2006年6月18日:「安倍晋三?トラックバック・ピープル」 開設
2006年9月12日:1000件 (開設日から86日)
2006年10月27日:2000件 (1000件到達から45日)
2006年11月27日:3000件 (2000件到達から31日)
2006年12月24日:4000件 (3000件到達から27日)
2007年1月26日:5000件 (4000件到達から33日)
2007年2月21日:6000件 (5000件到達から26日)
2007年3月18日:7000件 (6000件到達から25日)
2007年4月12日:8000件 (7000件到達から25日)
2007年5月5日:9000件 (8000件到達から23日)
2007年5月27日:10000件 (9000件到達から22日)
2007年6月15日:11000件 (10000件到達から19日)
2007年7月2日:12000件 (11000件到達から17日)
2007年7月17日:13000件 (12000件到達から15日)
2007年7月30日:14000件 (13000件到達から13日)
2007年8月14日:15000件 (14000件到達から16日)
2007年9月2日:16000件 (15000件到達から19日)


前回キリ番の時よりさらにペースが落ち、6月前半並みに戻った。とはいえ、6月前半といえば、年金未記録問題や松岡元農水相の「自殺」問題で、安倍政権への不信が高まっていた頃だ。安倍政権への「NO」の民意は全く変わっていないと思う。

今後注目されるのは、テロ特措法延長と安倍内閣の経済政策の2つの問題であろう。テロ特措法に関しては、9月1日未明に放送された「朝まで生テレビ」(テレビ朝日)で、江田憲司氏が、同法に基づいて行われてきた海上自衛隊のインド洋での給油が、これまでアフガン向けと思われてきたのが実は85%はイラク戦争向けであったことを暴露した。江田氏によると、この事実は、米軍のホームページに掲載されていたが、現在ではアクセスできなくなっているという。この材料で野党や世論に攻められると、政府および防衛省は苦しいだろう。

後者については、安倍内閣の経済政策が「コイズミカイカク」から離れて財政再建路線に走ろうとしていることで、コイズミ?竹中の流れを汲む新自由主義者から安倍内閣への批判が強まると思われる。私は、大企業を優遇する「上げ潮政策」だろうが、与謝野馨氏が主張する消費税増税による緊縮財政だろうが、どちらにしても日本政府が家計から金を巻き上げてアメリカに貢ぐという図式には変わりがなく、いわば対米隷属主義者同士の内輪もめで、どちらをとっても国民が不幸になるだけとしか思えない。つまり、日本が売ることのできない米国債を買わされ続けている限り、問題は解決しないと思っているが、「アメリカの犬」同士の内輪もめで政権が不安定になるのは、自民党政治に反対する側にとっては好都合だと考えている。再び、安倍晋三、ひいては自民党政治を追い詰めるための戦いの時は迫っていると思う。

なお、「安倍晋三TBP」と「AbEndキャンペーン」については、下記の記事を参照されたい。


『カナダde日本語』 より
『AbEndなんていいタイトルだね!』
http://minnie111.blog40.fc2.com/blog-entry-168.html

『AbEndのリンクリストを自分のブログに表示する方法』
http://minnie111.blog40.fc2.com//blog-entry-170.html


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私は子供の頃に漫画「巨人の星」を読んで育った世代だ。
この漫画で、「偉人」として名前が出てくるのが、読売新聞の社主だった正力松太郎だ。いや、漫画の世界に限らず、現実のプロ野球球団・読売ジャイアンツ(通称・巨人)が芳しくない事件(湯口投手の急死や江川事件など)を起こすたびに、「大正力」を引き合いに出して巨人が批判されたものだ。プロ野球には「正力松太郎賞」というのがあり、これは読売新聞が勝手に作ったものなのだが、プロ野球界にもっとも貢献した人が選ばれ、「プロ野球界でもっとも栄誉ある賞」ということになっている。

しかし、現実の正力松太郎はトンでもない人物だった。

そもそも、この正力はA級戦犯である。いや、起訴はされなかったから安倍晋三首相の母方の祖父である岸信介同様、「A級戦犯のなり損ね」という方が適切かもしれない。しかし、起訴されなかった裏には何かあったのではないかと勘繰りたくなる。

そして、岸と正力にはそれを裏づける事実があった。すなわち、A級戦犯としての起訴を免れた岸と正力は、ともにCIAから金をもらってアメリカの意向に沿って行動していたのである。正力に関しては、最近早稲田大学教授の有馬哲夫が米国国立公文書館によって公開された外交機密文書に基づいた著書 『日本テレビとCIA 発掘された「正力ファイル」』 (新潮社、2006年)によってこれを明らかにして話題になった。

とんだ売国奴が日本のマスメディアを牛耳っていたものだが、正力の罪はこれにとどまらない。

今日、9月1日は「防災の日」だが、これはいうまでもなく1923年(大正12年)9月1日に起きた、日本史上最悪の震災であった関東大震災にちなんで制定されたものである。

この震災で、読売新聞の社屋も半壊した。これに乗じて、大阪発祥の朝日新聞と毎日新聞が拡販攻勢をかけたこともあり、あっという間に読売新聞の経営は傾いた。

その読売新聞を震災の翌年、1924年に買収したのが、元警視庁警務部長の正力松太郎だった。読売を乗っ取った正力は、それまで「進歩的」と言われていた読売の社論を一変させ、大きく右に舵を切った。

実は正力は、読売を買収する前の震災直後に、万死に値する大罪を犯している。関東大震災の際、混乱する被災地に「朝鮮人が来襲し、暴動を起こしている」というデマが流布し、パニックに陥った東京市民が朝鮮人を虐殺したことはよく知られているが、正力は意図的にこのデマをばら撒いた張本人だったとされているのだ。

ロシア革命(1918年)でソビエト連邦が成立した直後であり、時の日本政府が社会主義者や朝鮮人を弾圧しようとしていた時代背景があった。権力側には、震災を奇貨として弾圧を推し進めようという意図があったのだ。当然のごとく、正力が社長になった読売新聞は、翼賛メディアとして戦争推進に積極的に協力した。

こんな人物が、岸信介同様、A級戦犯容疑者として逮捕されながら起訴を免れ、CIAから金をもらってアメリカのために行動していたのだからひどいものである。戦後正力が設立した日本テレビは、開局当時はプロレス中継、のちには「天覧試合」(長島茂雄のホームランで知られる1959年の巨人?阪神戦)などで人気を高めたプロ野球中継で日本テレビは視聴率を稼ぐとともに親会社の読売新聞の部数拡大に大きく寄与した。正力の没後、1977年に読売新聞の部数は朝日新聞を抜き、さらにはソ連共産党機関紙の「プラウダ」をも抜いて、発行部数世界一の新聞にのし上がった。その読売新聞社内にあって、プロ野球人気を苦々しく思っていたのが、やり手の政治記者・渡邉恒雄(ナベツネ)だった。

戦後正力は、読売新聞の社主ではあったが、社長職には戻らず、おそらく読売新聞の編集には介入しなかった。読売新聞の論調は、正力が読売を買収する前のように、リベラル色の強いものに戻ったが、朝日新聞のように保守系の論客から「左寄り」と批判されることは少なく、毎日新聞に近かった。1972年の沖縄返還をめぐる日米の密約を暴いた西山太吉記者が逮捕された「西山事件」で体制批判を強めた毎日新聞が、権力の返り討ち(下半身スキャンダルへの問題のすり替え)に遭って部数を落とした時、派手に毎日から読者を奪って伸びたのが読売だった。その頃、「新聞はどれをとっても似たような紙面だ」と言われていたものだ。

その読売が、再び社論を一変させ、右に大きく舵を切ったのは、1979年にナベツネが論説委員長に就任して以来だ。それまでのナベツネは、読売社会部からにらまれて政治部長就任を阻まれ、アメリカに飛ばされるなど辛酸をなめた。当時、読売社会部では「ナベツネが政治部長になると読売が児玉誉士夫に乗っ取られてしまう」と言われていた。そして、その児玉が絡んだ1976年のロッキード事件では、ナベツネが盟友の中曽根康弘ともども、金銭を受け取った疑惑まで取りざたされた。田中角栄元首相逮捕30周年に当たる昨年7月27日に公開した当ブログの記事 「ナベツネと靖国と安倍晋三と(その5)」 でも紹介したが、当時について魚住昭さんは下記のように書いている。


ロッキード社の「秘密代理人」児玉誉士夫の周辺を調べていくと、あちこちから渡邉の名が出てきた。3月には、鉱山経営者の緒方克行が渡邉と児玉の癒着を暴露した「権力の陰謀」も出版された。疑惑の「政府高官」として中曽根の名が一部で取りざたされたこともあって、渡邉を「編集高官」と揶揄する者まで現れた。

(魚住昭 『渡邉恒雄 メディアと権力』 =講談社、2000年=第9章「社会部帝国主義を打倒せよ」より)


そんなナベツネがようやく1979年に読売新聞の社論を左右できる論説委員長の座に着くや、それまでリベラル系の社論を担っていた論説委員たちを次々と追放し、代わって「イエスマン」で周囲を固め、読売新聞社内の「言論の自由」は失われていった。

ナベツネは憲法改定を目指して30年近くも走り続けたが、その路線には矛盾が目立ち始めた。たとえば、なぜ靖国神社には反対なのに教育基本法や憲法の改定には賛成なのか。そして、プロ野球界では徹底した自由競争を唱え、ドラフトの逆指名制やフリーエージェント制を導入させたのに、なぜ米メジャーリーグへの選手移籍を妨害しようとするのか。また、読売新聞の社論である反「市場原理主義」(反新自由主義)とは矛盾しないのか。

ナベツネは右派ではあっても、対米隷属の岸信介の系列ではなく、中曽根康弘と近い人間だ。中曽根は、岸の系列よりは自主独立の傾向が強い。親米であり、新自由主義的政策を日本で最初に導入したのは中曽根内閣だったが、政権担当時はバランス感覚も持っていて、当初不人気だったのに5年間政権を維持し、自民党政治の絶頂期を築いた。私は中曽根の業績に対してはネガティブな人間で、バブル経済についても、後始末に失敗した宮沢喜一よりも、原因を作った中曽根康弘の方により重い責任があると考えている。しかし、良し悪しは別として、中曽根の能力は認めざるを得ないし、彼は、政治的信念を持って政権を運営した最後の自民党政治家だったかもしれないとも思う。

今の政治家や言論人はそうではない。簡単にアメリカ様に操られるような人物ばかりである。一昨日のエントリでも触れたように、ナベツネは、周囲をイエスマンで固めたつもりが、いつの間にか読売新聞の全権を掌握できなくなったのではないかと私は考えている。

参院選でのあれほどの自民党惨敗にもかかわらず、安倍晋三を担いで日本のアメリカに対する隷従の度合いをますます強めようとする勢力が意外にしぶといことが、昨今の内閣支持率の上昇からもうかがわれるが、保守の政治家や言論人にも良心と勇気があるなら、安倍らと袂を分かつ行動をとってほしいものだと思う今日この頃だ。


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