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きまぐれな日々

恒例のアクセス記録記事をお送りするが、3か月ぶりに月の最後の日の公開になる。いつも、晦日(みそか)の分のデータは未確定になるので、あとから記事を修正しているが、気分的にこの手の記事は、月が替わってから書くより月末に書いて、1日付の記事は新たな気持ちで臨みたいという思いが強い。

6月度は、4月度以来2か月ぶり(2度目)に 「きっこの日記」 からリンクを張って紹介していただいたことや、年金問題で安倍政権への不満が高まってきたことの影響からアクセス数が激増した。

5月度に続いて、FC2の旧アクセス解析と新アクセス解析、それに「はてな」カウンタのアクセス解析機能の3種類の検索ツールによるアクセス解析データから、一部を紹介する。

まずアクセス数だが、上記3種類のアクセス解析に加えて、FC2カウンタの計数値が得られた。

FC2カウンタ
  トータルアクセス数 124,726件 (5月度比 78.6%増)
新FC2アクセス解析
  ユニークアクセス数 69,846件 (5月度比 78.4%増)
  トータルアクセス数 116,304件 (5月度比 87.4%増)
旧FC2アクセス解析
  ユニークアクセス数 81,519件 (5月度比 79.2%増)
  トータルアクセス数 112,743件 (5月度比 85.7%増)
はてなカウンタ
  ユニークアクセス数 89,917件 (5月度比 77.0%増)
  トータルアクセス数 112,856件 (5月度比 81.9%増)


いずれも大幅に増えたが、これはいうまでもなくきっこさんのところから張っていただいたリンクによるところが大である。それを示すのが、リンク元サイト別アクセス数(新FC2アクセス解析)であり、6月度のトップ10は下記のようになっている。

1位 http://caprice.blog63.fc2.com  20,434件
2位 http://www3.diary.ne.jp  10,396件
3位 http://www.google.co.jp  6,773件
4位 http://kikko.cocolog-nifty.com  5,391件
5位 http://search.yahoo.co.jp  5,267件
6位 http://d.hatena.ne.jp  4,308件
7位 http://www.google.com  1,877件
8位 http://blogranking.fc2.com  1,718件
9位 http://minnie111.blog40.fc2.com  1,479件
10位 http://blogs.dion.ne.jp  1,180件
11位 http://sensouhantai.blog25.fc2.com  1,032件
12位 http://www.kikko.cocolog-nifty.com  943件
13位 http://www.asyura2.com  875件
14位 http://b.hatena.ne.jp  592件
15位 http://tbp.jp/  472件


1位は当ブログ内からのアクセスだが、これに次ぐ2位が 「きっこの日記」 経由(他の「さるさる日記」からのアクセスもあるかもしれないが、あってもほんの数件だろう)、4位と12位が 「きっこのブログ」 経由のアクセスであり、これらを合わせると、1万6千件以上がきっこさんのところ経由ということになる。ナント、GoogleやYahoo!の検索エンジン経由より多い。ふだんの月にブログ別集計で1位になる 「カナダde日本語」 (リンク元サイト順位9位)経由のアクセス数が 1,479件(5月度は 1,082件)だから、きっこさんの影響力が段違いであることがわかる。ブログ別では、「らくちんランプ」(リンク元サイト順位10位の「dion」ブログ 1,180件中の大部分)および 「反戦な家づくり」(1,032件、リンク元サイト順位11位)経由のアクセスも、いつもと同様に多い。

また、今月は検索エンジン経由のアクセスも増えた。Google (リンク元サイト別順位 3位+7位)とYahoo! (リンク元サイト別順位 5位)の2大検索エンジン経由だけで、1万4千件近いアクセスがあった。

検索語ランキングは下記の通りである(「はてな」アクセス解析)。


1位 大村秀章  766件
2位 勝谷誠彦  721件
3位 きまぐれな日々  558件
4位 大村  469件
5位 自民党  336件
6位 みのもんた  332件
7位 工藤会  316件
8位 安倍晋三  260件
9位 安倍  249件
10位 教育三法案  247件
11位 年金  192件
12位 サンデープロジェクト  187件
13位 教育改革関連三法案  170件
14位 有田芳生  154件
15位 八代尚宏  153件
16位 教育関連三法案  142件
17位 気まぐれな日々  120件
18位 ブログ  118件
19位 長妻  108件
20位 参院選  104件
21位 年金問題  103件
22位 検索  100件
23位 教育三法  93件
24位 石原慎太郎  90件
25位 蓑田胸喜  89件
26位 勝谷  87件
27位 大村議員  85件
27位 松岡  85件
27位 櫻井よしこ  85件
30位 猪瀬直樹  84件
30位 稲田朋美  84件


ご覧になってお分かりのように、今月特に多かったのは年金問題に関する検索語で、特にテレビ番組に出演して醜態をさらした自民党議員・大村秀章に関する検索が目立った(「大村秀章」、「大村」、「大村議員」の合計で1,300件以上)。

このことは、下記の人気記事ランキングからもよくわかる(「はてな」アクセス解析より。「トップページ」と「不明」を除く)。


1位 『反 「新党日本」 宣言 ? 「田中康夫」 「有田芳生」 を落選させよう!』 (6月6日) 5,577件
2位 『自民党の「年金問題の切り札」・大村秀章の醜態』 (6月17日) 2,764件
3位 『電波芸者・勝谷誠彦の生態』 (2006年7月29日) 1,128件
4位 『品性下劣な安倍内閣と自民党に脱力感』 (6月16日) 1,034件
5位 『「陸上自衛隊が市民を監視」 の報道をめぐって』 (6月8日) 1,020件
6位 『「タレント候補」の集票力の低下』 (6月26日) 988件
7位 『安倍政治の目玉「教育改革関連三法案」の真の狙い』 (5月21日) 955件
8位 『 「安倍改憲政権」に異議を唱える立花隆さん』 (6月14日) 895件
9位 『大谷昭宏氏 「松岡氏の自殺は安倍内閣の死を意味」』 (6月3日) 814件
10位 『去るタレント議員、来るタレント候補』 (6月24日) 746件


田中康夫と有田芳生が出馬を表明した「新党日本」の与党寄りの体質を指摘した1位の記事は、きっこさんにリンクを張っていただいた記事だが、これに次ぐ2位が、大村秀章が6月17日の「サンデープロジェクト」でさらした醜態を寸評した記事である。大村は、6月25日の「TVタックル」でも醜態をさらしたらしく、その2日後の6月27日をピークとして、一時「大村秀章」を検索語とした当ブログへのアクセスが殺到した。

トップ10は大部分が6月の記事だが、勝谷誠彦を批判した昨年7月の記事(3位)と、「教育改革関連三法案」の真の狙いをわかりやすく解説した「サンデー毎日」の記事を紹介した5月の記事(7位)の2件は、古いエントリである。勝谷誠彦は、有田芳生同様、田中康夫と仲が良いらしいから、当然当ブログとしては敵視の対象となる(笑)。

今月は、きっこさん経由や検索エンジン経由のアクセスだけではなく、リピーターの方の訪問もずいぶん増えた。旧FC2アクセス解析が計数した 81,519件のユニークアクセスのうち、初回訪問のアクセスは 32,362件でおよそ4割を占めるが、同一IPアドレスからの100回以上の訪問が 10,182件に達し、当ブログとしては初めて月間1万件を超えた。訪問回数に関しては、初回訪問者ばかり多いのも、常連客ばかりしかいないのも、ブログとしてはともに問題だと思うが、その点でも6月度は順調に推移した。

以上のように、今月はアクセス状況からいえば上々だったし、安倍内閣の支持率も下がって参院選での自民惨敗の目も出てくるなど、決戦の7月に向けて好材料が揃った。

個人的には、6月度は会心の記事が少なかったのが心残りだが、参院選までは安倍自民党を惨敗に追い込むことを何よりも優先して、ブログの更新を続けていきたい。


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28日、宮沢喜一元首相が老衰で死去した。87歳だった。

2000年以降、森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三と続く、知性のかけらもない総理大臣たちとは対照的に、高い知性を持った政治家だった。

外交政策は自民党の政治家の中でももっとも「ハト派」色の強い人で、憲法改定には慎重だった。共同通信の榊原元広記者が書いた評伝記事(地方紙各紙に掲載)によると、記者たちにも「戦争をしちゃいけません」と口癖のように言い、記者が「なぜですか」と聞くと、難しいことは言わず、「負けることがあるでしょう。負ける戦争をしてはいけません」と答えたそうだ。

しかし、首相在任中に国連平和維持活動(PKO)協力法を成立させた。大平正芳内閣(1978?80年)にもいえることだが、現実の政治では、外圧や党内タカ派との妥協を重ねて、力強さに欠けた面があったかもしれない。大平正芳氏とはそりが合わなかったとされる宮沢氏だが、政治理念が高く評価される割には、政権担当時の成果に乏しいといわざるを得ないところは共通している。得意だったはずの経済政策でも、これといった成果があったかどうかは疑問で、宮沢内閣(1991?93年)のバブル終息時の政策が「失われた10年」につながったと評する人もいる(その当否は、浅学の私には判断できない)。

1988年のリクルート事件にも絡んだ。宮沢といい大平直系の加藤紘一といい、宏池会の政治家がしばしば金銭スキャンダルに絡むのは、もったいない話だと思う。朝日新聞編集委員だった故石川真澄氏は、リクルート事件に宮沢氏が関与しているのが明らかになった時、「ここでつまずいたのは惜しいという気持ちを抑えきれない」と書き、そういう新聞記者のスタンスが、ジェラルド・カーティス氏に『日本の新聞は「保守本流」に対して、ひとつの安心感に似た意識があるんじゃない?』とからかわれた原因かもしれない、としている。

石川氏は、加藤紘一氏が金銭スキャンダルに見舞われたとき、以下のように書いた。


 保守本流の「宏池会」は、ある時期まで、鉄鋼、電力、銀行、商社など「筋のいい」財界から直接の見返りを求めない資金を供給され、1950年代はじめの造船疑獄以後はスキャンダルでつまずくことはあるまいといわれた。その意味でも「エリート」派閥であった。ところが宮沢氏のリクルート以来、カネでつまずいてばかりである。加藤氏はそのことに気づかなかったのだろうか。
 そもそも派閥の親分がカネを集めるなどして「百年兵を養い」、首相への階段をよじ登るなどという自民党戦国史の古典を、氏素性の良かった人々がなぞっていったこと自体がひどいアナクロで、理解を絶している。小泉氏の朋友である加藤氏にそれがどうして見えなかったのか。時代は加藤流から小泉流へと大きく動いていたのである。

(「世界」 2002年6月号、「戦争体験は無力なのか」=岩波書店、2005年=に収録)


とはいえ、「クリーンなタカ」よりは「ダーティーなハト」の方がよっぽどましだろう。コイズミが「クリーン」といえるかどうかにも強い疑問があるが、安倍晋三に至っては、明らかに「ダーティーなタカ」であり、「火炎瓶事件」が裁判で争われていることから明らかなように、安倍は、暴力団とのかかわりも問われている人物だ。防衛政策では憲法九条改定志向の超タカ派、外交政策では国辱的な対米隷属路線、経済政策では格差を拡大し、国民を困窮させる新自由主義という最低最悪の政策を推進している上に、スキャンダルまみれでもある戦後最悪の政治家に対する審判選挙を1か月後に控えたこの時期に、「保守本流」の大物政治家が亡くなったことに、ある種の感慨を禁じ得ない。来月の参院選は、「戦後民主主義」の「弔い合戦」でもあると思う。

ともあれ、宮沢喜一元首相のご冥福をお祈りしたい。


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昨日(6月27日)は、20日ぶりにブログの更新ができなかったにもかかわらず、「GIGAZINE」 経由のアクセスと、検索語「大村秀章」によるアクセスなどが多く、普段より多くの方にご来訪いただいた。大村秀章とは、いうまでもなく17日のテレビ朝日「サンデープロジェクト」で、年金問題をめぐる民主党の長妻昭議員との論戦に歯が立たず、ひたすら長妻議員の発言封じに走る醜態をさらした自民党議員のことである。

但し、検索語「大村秀章」で引っかかる 当ブログの記事 からリンクを張っていたYouTubeの動画ファイルは既にすべて削除されている。おそらく、動画が 「きっこの日記」 からリンクを張られ、あっという間にアクセス数が5万件を超えたので、大村の醜態が広く知られることを恐れた勢力によって削除されたのだろう。

しかし、大村の動画はまだまだ生きている。『カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの虚業日記』 の記事(下記URL参照)からたどっていただきたい。
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20070620

大村に関しては、「Yahoo! みんなの政治」の「みんなの評価」が必読だ。
http://seiji.yahoo.co.jp/giin/rev/index.html?g=2007000328&s=0&p=1

31件中30件が大村を酷評し、しかもその酷評を読者の99%が支持している。これが、安倍晋三に「年金問題の説明役を仰せつかり」、「この人がだめなら自民党はだめ」というふれこみだった男に対する評価なのだ。これでも選挙で自民党に投票するという人がいるなら、どうかしているとしかいいようがない。

同じく大村に関して、いまさら挙げるまでもないかもしれないが、6月18日の「きっこの日記」がよくまとまっている。
http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=338790&log=20070618

問題の「サンデープロジェクト」では、長妻議員の話をよく聞いてまとめたかったのだが、大村が長妻議員の話を邪魔ばかりするので、長妻議員の主張がよく聞き取れなかった。だから、上記きっこさんの記事は、この問題について頭を整理するのに助かるし、田原総一朗の醜い正体を暴いているのも痛快だ。

年金問題では、森永卓郎氏のコラム 『転勤や出向で年金が宙に浮く可能性』 (「構造改革をどう生きるか?成果主義・拝金主義を疑え!?」 第87回) も必読だ。
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/o/87/

ところで、年金問題の第一人者で、前述の自民党・大村秀章に大恥をかかせた民主党の長妻昭議員の発言を封じるために、与党が衆院厚生労働委員会を開かせなかったというニュースには呆れた。当ブログにトラックバックいただいた、「晴天とら日記」の記事 『自民党が長妻議員に嫌がらせ、衆院厚生労働委員会開かれず。だったら我々が忘れないようにしょう!』 をご参照いただきたいと思う。
http://blog.livedoor.jp/hanatora53bann/archives/50989632.html

あと、カマヤンの記事で知った、内田樹の記事 『めちゃモテ日本』 (下記URL)。
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://blog.tatsuru.com/2007/06/27_1049.php

これはめちゃ面白い。爆笑してしまった。私がこれを書いている時点で、ナント269件もの「はてなブックマーク」がついていた。これ以上何も言わないので、とにかく読んでほしい。


最後に、当ブログにいただいたコメント・トラックバックに対してお礼を申し上げます。最近はコメントにあまり返事ができず、トラックバックのお返しも滞りがちになっていますが、少々遅れることがあっても、コメントやトラックバックにはすべて目を通しております。現在は、参院選に向けて「反安倍」の機運を少しでも盛り上げるため、コメントやトラックバックへの反応より、新しいエントリを起こすことを優先していますが、ご理解とご了承のほどお願いいたします。


PS
「Like a rolling bean (new) 出来事録」 の下記記事も必読記事に追加します。ホント田原総一朗には呆れます。
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10038049068.html


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非拘束名簿式比例代表制に疑問を投げかけた昨日のエントリには、SOBAさんから手厳しいご批判を、さとうしゅういちさんからはご支持をいただいたが、支持のみならず建設的な批判はもちろん大歓迎である。私は、議論がなされずにムード的に付和雷同してしまう傾向が、「AbEnd」にも見られるとかねがね思っていた。これは、一昨年の「郵政総選挙」でコイズミ自民党を圧勝させたと同じ体質が、政権を批判する側にも根強く存在することに他ならない。

また、私自身は好ましくない制度だと考えているが、「非拘束名簿式」が採用されている以上は、この方式の特質を活かした選挙活動をするのは当然であるとも思う。ただ、この方式には、金の力に恵まれている権力側に人気取りを許す危険が大きいことは、忘れてはならないと思う。

さとうさんは、衆議院の選挙制度にも問題があると主張されている。実は私も同じ意見で、昨日の記事でそこまで書きたかったのだが、冗長になるのを恐れたのと、早く記事をアップしたかったので、見切り発車してしまった次第だ(笑)。

現在の小選挙区比例代表並立制は、政権交代が起きやすい制度でも民意を反映しやすい制度でもなんでもなく、過半数の支持も得ていない第一党が圧倒的な議席を獲得できる方式であることは、一昨年の「郵政総選挙」で示された通りだ。

憲法改定は昔からの自民党の悲願で、鳩山一郎の「ハトマンダー」(1956年)や田中角栄の「カクマンダー」(1973年)など、何度か小選挙区制を導入しようとした(Wikipedia 『小選挙区制』 参照)のは、憲法を改定したいがためだったが、野党のほか、マスメディアや世論の反発に会って実現しなかった。

ところが、「カクマンダー」阻止に貢献した朝日新聞などのマスメディアは、93年の「政治改革」局面では「改革派」の支持する小選挙区比例代表並立制支持に舵を切ってしまった。この時の「改革派」の代表的存在が小沢一郎で、選挙制度改革に強硬に反対していたのが小泉純一郎だった。05年の総選挙で、小沢の所属する民主党がコイズミ率いる自民党に選挙制度をいいように利用されて惨敗したのは、歴史の皮肉だ。

なお私は、さとうさんの挙げられている3つの方式(中選挙区制、都道府県別比例代表制、小選挙区比例代表併用制)のうち、ドイツ式の小選挙区比例代表併用制にもっとも惹かれるが、これは昔、単純小選挙区制、小選挙区比例代表並立制と小選挙区比例代表併用制の3つの方式の比較を政治経済の授業で習ったか、何かの本を読んで知って、いい方法じゃん、と気に入った思い出があるからという、結構いい加減な理由に基づいている(笑)。

さて、昨日の記事では2001年参院選に立候補した大仁田厚(自民)、大橋巨泉(民主)、田島陽子(社民)の3候補を例に引いた。

たまたま、今日(6月26日)の「四国新聞」に、01年参院選における3候補の得票数が出ていた。


大仁田厚(自民)  当選  460,421票
大橋巨泉(民主)  当選  412,087票
田島陽子(社民)  当選  509,567票


これに対し、04年参院選では、タレント候補の得票は下記のようになっている。


荻原健司(自民)  当選  194,854票
神取 忍(自民)  落選  123,521票
嘉納昌吉(民主)  当選  178,815票


神取(かんどり)忍って何者か私は思い出せず、ネット検索して女子プロレスラーであることを知った。選挙では落選したが、昨年、竹中平蔵の議員辞職に伴い、繰り上げ当選となった、れっきとした「センセー」である。自民党では、やはりというか、売国派閥・町村派(旧森派)に属している。

01年と04年でタレント候補の得票数がかくも違ったのは、もちろん候補者自身のインパクトの差もあるだろうが、「構造改革」の是非が争点(?)となった01年の選挙より、年金問題が争点になった04年の方が、より争点が有権者にとって切実であり、04年の選挙ではタレント候補に投票する気が起きにくかったせいではないだろうか。

そう考えると、今年の選挙では、年金の給付が受けられないかもしれないという、さらに切実な問題があるので、タレント候補の得票はさらに減るのではないかと思う。自民党からの参院選立候補を半年近くも前に 「きっこの日記」 に予想されていた、「ヤンキー先生」こと義家弘介なんて、特に得票の期待できない候補だろう。

これほど政府・自民党が不人気だと、今回は非拘束名簿式比例代表制の欠点は現れにくいかもしれない。だが、与党への逆風はおそらく一時的な現象で、参院選が終わって安倍がめでたく 『the End!』 になったとしても、政界再編劇が始まったら、また状況は変わる。1989年や1998年の参院選での自民党大敗も、結局政治を変えることにはつながらなかった。ブログ言論も、参院選のあとが大事だろうと思う。おそらく、状況の変化に応じてタイムリーに声を上げていく必要が出てくるだろう。

衆議院選挙で自民党を倒すまでは、全く気が抜けない。


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周知のように、参議院選挙の比例区は、「非拘束名簿式比例代表制」である。

だが、どのような経緯でこの「非拘束名簿式」が導入されたかを覚えておられる方は、意外と少ないようだ。

1980年までは、候補者を選ぶ「全国区」だったが、1983年に「拘束名簿式比例代表制」に改められ、それが1998年まで続いた。

しかし、1998年の参院選で大敗した自民党は、2000年当時の森内閣のあまりの不人気に頭を抱えていた。同党は、このままでは2001年の参院選で与野党の議席が逆転してしまうと危機感を募らせ、2000年秋に自民・公明・保守の与党三党の賛成多数で「非拘束名簿式」に改めてしまったのである。

当然、野党はこれに反発した。たとえば、社民党は2000年10月13日付で、下記のような党声明を出している。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~sdpkitaq/hikousoku.htm


党声明(党中央)

2000年10月13日 社会民主党

 昨日の参考人質疑でも「時期尚早」、「唐突」、「異常事態」との懸念の声が大勢を占めていたにもかかわらず、本日、自公保3党は、参議院選挙制度に関する特別委員会で、非拘束名簿式の導入と議員定数の削減のための公職選挙法の一部を改正する法律案の「採択」を強行した。与党が選挙制度を自らに都合良く変更するため、国民の意見も聞かずに、与党が法案を一方的に出して、与党だけで審議して、与党だけで決めてしまうのは、議会民主主義の否定であり、戦後の選挙制度史において特筆されるべき暴挙である。

 参議院の選挙制度については、本年2月25日の各派代表者会議において「当面現行制度を維持する」ことで各党が合意していた。しかし、久世公尭・前金融再生委員長の大型ヤミ献金問題をきっかけに、与党は制度問題に疑惑をすり替え、一方的に非拘束名簿式の導入を打ち出した。しかも、非拘束名簿式自体が民意に適うものであるどころか、票の横流しによって有権者の民意を踏みにじる制度である。

 非拘束名簿式の導入は、「残酷区」・「銭酷区」といわれた旧全国区を再現するだけでなく、政党と国民との絆・結びつきを深めるという比例代表制導入で期待された理念をも否定することになる。政党自らの存在価値自体を問われかねないものにする制度改悪であり、まさに時計の針をはるか昔に戻してしまうことにほかならない。

 KSD中小企業経営者福祉事業団との関係で明るみに出た村上参議院自民党議員会長の疑惑や、久世問題にみられるように、今回の暴挙は、票と順位を金で売買する自民党の金権体質を覆い隠し、ますます政治と金との癒着を厚くさせるものである。正常化のための努力を一切拒否し、一瀉千里に採決まで持ち込んだ自公保3党の無謀な暴走をこれ以上続けさせてはならない。こうした暴走を一つ一つ許すことが日本の民主主義をますます危うくさせる。社会民主党は、自公保3党に対する、主権者である国民のみなさんの厳しい審判を期待する。


私は、この社民党の意見は正論であり、比例区は「拘束名簿式比例代表制」に戻すべきだと考えている。

2000年当時、自民党は女子マラソン指導者の小出義雄氏に声をかけるなど、さっそく「非拘束名簿式」を悪用しようとした。なぜ、シドニー五輪で優勝した高橋尚子選手に声をかけなかったかというと、高橋選手は当時被選挙権を持つ年齢に達していなかったためだろう。

結局、自民党はコイズミの異常人気によって、01年の参院選では、選挙制度のいかんにかかわらない圧勝を収めたのだが、それでも大仁田の当選など、今思い出しても苦々しい気分になる。

もちろん、制度が導入された以上は、野党も有名人で票を集めようとした。民主党は大橋巨泉、社民党は田島陽子を候補に立て、それぞれ当選した上、他の候補に票を横流しした。しかし、両氏とも任期途中で議員辞職してしまい、制度の弊害を浮き彫りにする結果になった。自民党の大仁田も、さすがに二期目に立候補する厚かましさは持ち合わせていなかったのである。

基本的に、選挙区は候補者個人に、比例区は政党に投票するというのが選挙制度の理念に沿った投票行動だろう。6月21日付の当ブログ記事 「『AbEnd』のための参院選投票パターン」 では、比例区で民主党に投票する場合は、ネオコン候補を排除するために候補者名での投票を推奨したが、これはあくまで例外であり、基本的には比例区は政党本位で投票することを推奨したい。民主党議員の篩い分けは、今後政界再編成とともに進んでいくと思う。

参議院選挙のあといずれ行われる衆議院総選挙で自公政権が倒れたあかつきには、参議院の比例区は「拘束名簿式比例代表制」に戻してほしいものである。


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参議院選挙に自民党から立候補すると見られていた現自民党参議院議員の大仁田厚氏が立候補せず、政界から引退するという。

大仁田という議員に、私はあまり関心がない。プロレスラーとしての彼は、一度も見たことがないし、議員としては、例の郵政民営化法案の採決の際に棄権して、涙を流したか何かしたが、いざ解散総選挙になったらあっさり転向したのを覚えている。

でもそれは、テレビ朝日の「やじうまプラス」に出演していた伊藤洋一が、「大仁田が転向しましたよね。政治はあれでいいんですよ」とか何とか、そんな言葉を発したので印象に残ったに過ぎない。

郵政総選挙のあと、大仁田は、なんとかタイゾーとかいう愚かしいコイズミチルドレンの新人議員の「教育役」を仰せつかったとかで、「やじうまプラス」で何度か話題になるのを聞いた。なんでも、「大仁田、タイゾーに激怒」とかそういう話題だったと思うが、そんなのを聞かされてもうんざりするだけだった。もちろん、議員としての大仁田を、私は全く評価していない。

だから、そんな大仁田が引退しようがしまいが、どうでも良い話だ。大仁田が引退するのは、首都圏や東海、近畿などでは明日発売される「週刊ポスト」に不祥事を書き立てられたからだとも聞くが、不祥事というなら、年金問題を先送りしようとして野党から追及を受けたら逆切れしたり、閣僚から「自殺」者を出した安倍晋三が、仮に参院選で負けても政権にしがみつこうとしているそのことの方が、よっぽど不祥事というにふさわしいだろう。

大仁田の代わりに参院選に出馬するのが、「ヤンキー先生」こと義家弘介らしい。私はこの男の存在も、先に行われた東京都知事選で、藤原紀香らと一緒に石原を応援するメッセージを出した時に初めて知ったくらいのものだ。

とらちゃんのブログ 「晴天とら日和」 が、最新のエントリ 『中山恭子&義家弘介自民党より立候補・自民党の人材は危機的状況のようだ!』 で、義家のあきれた変節ぶりを暴いているので、是非ご覧いただきたいと思う。

護憲派だったはずなのにいきなり石原支持を表明した藤原紀香や、この間やはり自民党から立候補を表明した元テレビ朝日アナウンサー・丸川珠代らを見ているので、義家程度の「転向」にはもはや驚かないが、自民党が安倍晋三の極右思想に心から共鳴する人ではなく、丸川や義家のような「転向」者しか候補に立てられないこと自体、自民党の人材難がひどいことをよく表わしていると思う。

メディアは、参院選での自民党大敗と安倍内閣退陣を織り込み、早くも次期総理・総裁を麻生太郎と決めてかかる報道を始めた。おそらく、安倍が首相になった時と同様、麻生次期首相がいつの間にか規定路線となり、それに沿って政界もマスコミも動いていくのではないかと思う。その場合でも、最低最悪の安倍政権が続くのよりはほんのわずかにましだが、日本の政治や社会をよくすることからは程遠い。戦いの道のりはまだまだ長いと思うとちょっと鬱な気分になる今日この頃だ。


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パソコンのスイッチを入れてネットでニュースのヘッドラインを見たら、安倍晋三が沖縄で記者団に対し、年金保険料の納付記録漏れ問題の責任を取ると称して、夏の賞与を一部返納する考えを明らかにしたというニュースが目に飛び込んできた。

こんな見えすいたパフォーマンスで人気取りができると思っている安倍は、本当におめでたい男だ。責任を取るというのなら、総理大臣の座を返上してほしいものである。

さて、しばらく前から雑誌などで参議院選挙の議席数を予測する記事が載り始めている。年金問題がクローズアップされる前で、まだ松岡前農水相も生きていた先月には、自民党はコイズミ時代に獲得した改選議席数からは減らすものの、与党の過半数割れは微妙と予測されていた。しかし、年金問題で安倍政権が対応を誤り、松岡前農水相の「自殺」もあって安倍内閣の支持率が急落し、これに伴って自民党の予想獲得議席数は下方修正された。最新の「週刊文春」などでは、自民党の獲得議席は98年の橋本内閣の時の大敗を下回り、リクルート事件と消費税導入が重なった89年に迫る惨敗が予測されている。

この「週刊文春」はパラパラ立ち読みしただけで、現物は持っていないのだが、片山虎之助(岡山)、丸川珠代(東京)、山本一太(群馬)などの注目候補は、揃って「苦戦」と予想されていた。片山は、前回01年の選挙では、開票開始と同時に「当確」が出たほどの圧勝だったのだが、その片山に落選予想が出るほど、自民党は苦戦しているということだ。

自民党の分析では、現状では29ある一人区では9議席しか取れない情勢だそうだが、「週刊文春」の予測でも、一人区で自民党の当選者は9人と見積もっている。残念ながら、山口選挙区では自民党候補が当選圏に入っていると予想されているが、尊敬すべき先輩政治ブロガーでもある戸倉多香子さん(民主党から立候補予定)の逆転に期待したいものだ。

党勢の拡大が予想されているのは民主党で、共産党と社民党は比例区を中心に数議席を確保するにとどまるとの予想だ。国民新党や無所属も何人か当選が見込まれているが、私がネガティブな意味で注目している新党日本は、1議席を確保できるか微妙な情勢だそうだ。つまり、田中康夫が当選できるかも微妙で、有田芳生が当選する見込みはほとんどなさそうとのことだ。新党日本は、国民新党よりさらに自民党寄りの勢力だから、自民党に逆風が吹いている選挙で苦戦するのは当然だろう。なお、9条ネットは現時点では議席確保には届かないと見られている。

まあ、妥当な予想ではあるのだろうが、今回仮に民主党が勝つとした場合、その結果に大きく影響を与えた無党派層は、一昨年の「郵政総選挙」ではコイズミ自民党に投票したのだろうし、18年前の89年参院選では逆に自民党を大敗させたのだろう。

そう考えると、今回仮に与党が敗北しても、それは結果オーライに過ぎず、この国に民主主義が根付いてきたとはいえないように思う。

一般庶民は政治ブログなんか読まないからブログの影響力なんてたかがしれている、とはよく見られる意見だが、私はもっと悲観的で、政治ブログを管理して記事を書いているブロガー自身でさえ、決して政治的な意識が高いとはいえないと思う。たとえば、特定の候補を推薦する場合は、その候補者の政策に対する評価を論拠にすべきだと思うが、そのあたりの基本をおろそかにしているブログが散見される。ムード的に、みんなが推している候補だから私も、というふうに易きに流れる傾向がかなりあるのではないか。候補者のスタンスが護憲か改憲か、あるいは憲法九条を改変するのかしないのか。新自由主義指向か社民主義指向か、あるいはその中間の経済政策をとるのか。などなど、基本としておさえておかなければならない点がいくつかあるのではないだろうか。

それさえ怠ってポピュリズムに走り、自分のブログのアクセス数だけ稼いだって、日本の政治や社会を良くすることには何もつながらないと思うのである。


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国会の会期を12日間延長することが決定され、参院選の公示日は7月12日、投票日は7月29日と、当初の予定より1週間繰り延べになった。

参院選前に国会会期が延長された例は、1980年(昭和55年)以降はなぜか9年に1度の割合で生じている。80年には大平正芳首相が衆参同日選挙の期間中に急死し、結果は自民党の大勝だったが、1989年(平成元年)にはリクルート事件に関係した竹下登内閣の総辞職、宇野内閣への交替などがあって審議が遅れ、参院選では自民党が惨敗した。また、1998年(平成10年)は、特別減税等の補正予算の成立のために、与党の意向で8日間延長したものだったが、投票日1週間前の橋本首相(当時)の発言が国民の不信感を招いて、自民党有利の下馬評と全く異なる、自民党大敗の選挙結果となった。

結果的に、過去三度は極端な選挙結果になっており、三度とも選挙後に内閣が総辞職し、新内閣が発足している。今回も、参院選直後に内閣が総辞職することは、ほぼ確実だろう。

普通なら、参院選でちょっと負けたくらいで内閣が総辞職する必要などない。しかし、今回は安倍晋三首相が我を張って、嫌がる参院自民党を押し切って、無理やりに会期を延長したのだ。

6月22日付の「四国新聞」は、次のように報じている。


 首相は年金記録不備問題や松岡利勝前農相の自殺をめぐる政権への逆風をしのぐには、公務員法改正などの「実績づくり」で局面打開を図るしかないと判断した。ただ参院選日程の先送りは、逆風が和らぐまでの「時間稼ぎ」との批判を招きかねない。与党内では、首相主導の会期延長が参院選で裏目に出れば、「進退問題に直結する」との見方も強まっており、首相は天王山となる参院選へ「背水の陣」を敷いた形だ。野党側は会期延長に反発し、内閣不信任決議案提出を含めた対応を検討しており、延長国会の攻防激化は必至だ。

(「四国新聞」 2007年6月22日付紙面より)


ついに、新聞の一面で安倍の進退問題に触れた記事が掲載されるまでになった。

「日本がアブナイ!」 の記事 『強引&迷惑な会期延長で首相責任論。「国民のためを考えない政治家は辞めた方がいい」by安倍』 でも、鴻池、扇、舛添、青木各議員らが、いっせいに安倍への不満を表明したことを紹介している。鴻池議員が自らのホームページで「参院は官邸の下請けと違うんやで」と、公然と安倍を批判したことは、この内閣が末期症状を呈していることを示している。舛添議員は「参院選で大敗すれば翌日、内閣総辞職だ」と語った。

かつて安倍を応援する「カイカクの歌」とかいうケッタイな音痴の歌を 『TVタックル』 で披露した山本一太は、安倍内閣の支持率が暴落する前から苦戦との観測があったが、ここへきていよいよ情勢が厳しくなり、どうやら当選はかなり難しそうだ。自分の尻に火がついているものだから、「コミ戦」どころではない。ここへきて安倍政権がイメージ戦略の拙劣さを露呈しているのも、宣伝要員がそれどころではないという事情もあるのかもしれない。

いずれにしても、安倍は、普通に負けるだけなら退陣の必要もないものを、わざわざ自分から窮地に追い込まれてくれたのだから、これを活かさない手はないだろう。ここは何が何でも安倍内閣退陣につながる与党惨敗を実現させなければならない。


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当ブログは、「カナダde日本語」 提唱の 「AbEndキャンペーン」 賛同ブログ第一号として、安倍晋三を政権から引きずりおろすことを最大の目的としてブログ言論を展開してきた。

だから、1週間延ばされて7月29日投票となった参院選でも、安倍晋三率いる自民党と、連立を組んでいる公明党を惨敗に追い込むことを目標としている。

当然、当ブログでは、与党を大敗させ、安倍晋三を退陣に追い込むためにもっとも効果の大きいと考えられる投票パターンをおすすめすることになる。基本的に当ブログとして特定の政党や個人を応援することはしないが、当ブログの方針自体ははっきりしているので、以下に述べたい。

選挙区は、一人区と複数区で対応が異なる。地方に多い一人区の場合、自民党候補に対する最有力の対立候補に投票することが基本で、多くの場合それは民主党公認候補になる。その候補がどういう主義主張を持っているかが問題になるのは当然だが、幸いなことに、地方ではネオコン的な主張は嫌われるので、地方で立候補する民主党公認候補には、政治的には護憲派か、そこまではいかなくとも「九条改変」には反対する穏健派、経済政策的には新自由主義に否定的な立場に立つ候補者が多い。なお、一人区では、主張は正しくとも当選の可能性がほとんどない候補に投票することはあまりおすすめできない。

二人区以上になると、民主党の候補はネオコン的な主張を持つ候補とそうではない候補に分かれるので、反自公は当然だが、候補者の主義主張を見極める必要がある。また、都会地区ではいろんな政党の候補に当選の可能性が出てくるので、それぞれ候補者の当選可能性と主張を見極めた上で、最善と思われる候補に投票すれば良いと思う。与党の候補者を落とすだけではなく、代わりに当選する野党の候補者が、参院選後の政界再編時にコイズミ?安倍一派と組まないような人でなければならない。

比例区は、大選挙区制なので、支持する党派に投票すればよい。仮に民主党に投票したい場合、同党の比例区候補にはネオコンがかなりいると思われるので、政党名ではなく候補者名で投票することをおすすめしたい。社民党や共産党に投票する場合は、政党名でも候補者名でもかまわないと思う。

注意すべきは諸派に投票する場合で、たとえば「9条ネット」の天木直人氏には、私も2003年に同氏の著書 「さらば外務省!?私は小泉首相と売国官僚を許さない」 を読んで共感を覚えた者だが、天木氏を支持する方は、もし投票日直前の情勢調査で同氏が当選に遠く届きそうもないとわかった場合は、迷わず他の護憲勢力への投票に切り替えてほしいと思う。本当は護憲勢力がこんなに割れる事態は好ましくなかった。

なお、現在天木氏を強く推している人たちの中に、以前「改憲を争点にすること」に否定的だったはずのブロガーが見られるのは解せないところだ。天木氏は「憲法9条改変反対」に主張を絞った候補であると私は認識しているが、間違いだろうか?

私は、国政選挙の争点はシングル・イシューであってはならないと考えているので、天木氏には共感を覚える部分は多々あるけれども、比例区の候補として投票することは、あまりおすすめできない。護憲に重きを置くなら社民党や共産党の議席をしっかり確保することを重視した方が良いと思う。

その他の政党では、国民新党は参院選後に自分たちをブリッジとして「自民・民主大連立」を視野に入れていると伝えられるが、こんな構想は民意に反している。できれば国民新党への投票は避けてほしい。

さらに、以前にも書いたように、新党日本への投票は与党への投票と実質的に同じことだと私は考える。もし自公政権に否定的な人で、どの政党に投票しようか迷っている方がおられるなら、新党日本にだけは投票しないでほしいと強く訴えたい。

なお、以上は、ブログ管理人の希望に過ぎず、誰に、あるいはどの政党に投票するかは、各人の自由意思によるべきであることはいうまでもない。


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このところ、安倍晋三のあまりの低劣さに嫌気がさしてしまっている。高知県では安倍内閣の支持率は24.9%にまで低下したそうだが(高知新聞社・RKC高知放送調査)、このところの安倍内閣の支持率低下は、地方や高年齢者といった、これまで自民党支持が磐石だった層の「安倍離れ」によるところが大きいようだ。

ここまで安倍晋三に対する反感が高まっている状態では、私などが贅言を費やすより、注目の記事を紹介したほうがずっと良いように思うので、先週の水曜日(6月13日)に続いて、今日もおすすめのリンク集でお茶を濁させていただく。

まず、「内田樹の研究室」 から 『愛国について語るのはもうやめませんか』
http://blog.tatsuru.com/2007/06/20_1056.php

『人は「愛国心」という言葉を口にした瞬間に、自分と「愛国」の定義を異にする同国人に対する激しい憎しみにとらえられる』 とは、的確な寸評だと思う。蛇足ながら付け加えると、内田教授は左翼でも右翼でもない。

次いで、以前にも何度かご紹介したkechackさんのブログ 「Munchener Brucke」 より、『年金問題でなぜ安倍総理の責任が厳しく問われなければならないのか。』
http://d.hatena.ne.jp/kechack/20070619/p1

この記事は、産経新聞の報道を題材にしている。意外にも、年金問題の報道では産経新聞が良い記事を書いているようだ。

kechackさんの主張の核心は、下記の部分にある。

『安倍総理は小泉内閣の官房長官であったのだから、当然この問題の重大さは知っているはずである。ましてや社労族の安倍が理解していない訳はない。彼はマスコミが騒いでいないことをいいことに問題を先送りしようとしたのである。何しろ彼には首相になったらやりたいことがいっぱいあるのだから。

 世論が年金問題で安倍総理に対して厳しい目を向けるのはむしろ当然の話なのである。彼は知ってて店晒しにした確信犯なのであるから。

(Munchener Brucke:『年金問題でなぜ安倍総理の責任が厳しく問われなければならないのか。』より)


最後に、「Yahoo!みんなの政治」 より、安倍晋三に対する「みんなの評価」を紹介したい。
http://seiji.yahoo.co.jp/giin/rev/index.html?g=2007000255&s=0&p=1

面白いのは、評価に対する評価が読めることだ。容易に想像がつくように、安倍晋三に対する評価は、評価者によって、極端に高いか極端に低いかの両極端に分かれる。評価は、「政策・公約」、「政治姿勢」、「情報公開・PR」、「活動実績・実行力」、「活動内容」の5項目について、5点満点の5段階評価でなされるが、一番多いのが全項目1点の評価で、それぞれに辛辣なコメントがついている。一例を示す。

ご自分の事しか考えていないのでは?

いったい何を考えて政治に携わっているのか、自分の任命した大臣が次々と辞任、して自分の立場が不利になると、自殺に追い込ませるまで、やめさせない、こんな人とは
思わなかった、郵政民営化反対議員を次々復党させ、首相が変わればすぐ考え方が変わるのか、それとも人生色々、政治も色々とでも言いたいのでしょうか?
年金問題にしても天下り法案にしても国民の意見を無視している。
ご本人は、来年のサミットの事で頭がいっぱいで、庶民の年金はどぶに捨ててもいい様な態度、発言と行動が全く逆。
多分今年の参議院選は敗北、サミットには、いないでくれる様願います。

この方は、もちろん5項目すべてに最低の「1点」をつけているのだが、読者274人中257人がこの評価を「支持」している。

もうひとつ例を挙げよう。

利用できるものは何でも利用する人

 松岡大臣の仮通夜の日、彼はテレビカメラに向かってわざと歯をかみしめて悔しそうにする仕草を取っているように見えました。先日は、選挙前を見透かしたかのように環境問題を訴える全面広告を出していました。国費を選挙に利用する、すばらしいことです。
 「消えた年金」問題では、マスコミが取り上げたとたん、「年金から逃げない」と行っていたが、5000万件もの「宙に浮いた年金」を4ヶ月も放置していたのは一般的には「逃げている」と解釈すべきです。そしてこの問題の責任は「菅直人」にあると声高に訴えていました。もちろん、マスコミや国民から非難を浴びたとたん、平身低頭になりました。臨機応変ですね。
 拉致問題を政治利用するために、首相補佐官を選挙戦に引きずり出しました。そのうえ、選挙のために進みつつある6カ国協議の足を引っ張ろうとしているようです。世界の流れにも反しているとしか思えません。
 私の場合は「美しい国へ」を読んだ頃から、こんな人間を首相にすると後で大いなる後悔を招くだろうと思っていました。小泉→安倍と能力的に問題がある総理が二代続いいたことは、非常に残念でした。ただ、救いなのは小泉は国民をだますことにかけては非常に長けていたが、安倍はその能力もないと言うこと。こういう人間は国会議員にするのも税金の無駄だと思います。地元の人には酷ですが、せいぜい売れない評論家程度の人間だと思います。父や祖父の七光りでここまでなることができるこの国は、本当に美しいですね。

この方ももちろん全項目「1点」で、この評価を読者359人中334人が支持している。

中には、安倍を絶賛する人もいる。

非常にいい総理

私個人の意見では私が知っている総理大臣の中では最も頑張ろうとする姿勢が見られる総理大臣だと思う。みんな安倍総理をダメだとか言うけど私は地味でも無駄なパフォーマンスばかりする総理大臣よりもましだと思う。安倍総理は時期が悪く総理大臣になっただけでいろんな問題が起きて集中砲火を浴びせられてもまだやろうとしている目がとても今までの総理大臣とは明らかに違うと思う。みんなが応援・サポートをしてあげれば美しい国をつくることができる総理だと思う。

この方は、「情報公開・PR」と「活動内容」に5点満点、他の3項目には4点という高い評価を安倍に与えている。しかし、読者94人中この評価を支持したのは7人だけである。

このサイトを見る限り、安倍内閣の支持率は10%あるかどうかのレベルとしか思えない。


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明月さんのブログ 「反戦な家づくり」『年金問題で浮かれていていいのだろうか?』 は、とても良い記事だ。

この記事に書かれている「消えた年金問題が出てきたから社保庁を廃止するのではない」、「社保庁を廃止する方針を政府が決め、国会へ上程されたから、消えた年金問題が出てきたのだ」という指摘は、実に鋭い。しかも明月さんは、新聞記事で根拠を示しながら説明されている。

先週日曜日(6月10日)のフジテレビ「報道2001」で、自民党議員や竹村健一らが、年金問題を「民営化」問題にすり替えようとしていたことに対し、非常にイライラさせられた。

しかし、私も関岡英之氏の 「奪われる日本」 を読んだことがあり、健康保険の民営化問題について認識があったにもかかわらず、それを年金問題と結びつけて立論することができなかった。だから、「反戦な家づくり」の記事を読んで、目からウロコが落ちる思いだった。良い記事を書くためには、知識や情報収集能力もさることながら、点と点を結んで線にする着想のセンスが欠かせないと痛感した次第だ。

この「民営化」の問題点の説明については、明月さんの記事や関岡英之氏の著書に譲り、ここでは自民党の仕掛けに対する世論の反応を論じたい。

コイズミ時代の「郵政総選挙」であれほど猛威をふるった「民営化」なる呪文の威力は、今回はさほどではなかったように見える。実は私は、自民党議員や竹村健一らの主張が、有権者にかなり受け入れられるのではないかと警戒していた。しかし、彼らの主張によって安倍内閣の支持率が上がるどころか、逆に各社の支持率調査は、軒並み20%台に低下した。

今も思い出したくないシーンがある。

2005年8月、郵政民営化に関して、朝日新聞編集委員の加藤千洋は、レギュラー出演しているテレビ朝日の「報道ステーション」で、こう述べたのだ。

『小泉さんの夢をかなえてあげたいですね。』

これを聞いた時、総選挙の結果がどうなるかを私は悟った。そして、その通りの結果になった。

有権者は、「郵政民営化」の中身を理解してコイズミを支持したのではなかった。誰にも止めることのできない流れを、コイズミらに作り出されてしまい、マスメディアがそれに加担し、国民はそれに流されたのだ。朝日新聞の中枢にいる記者である加藤は、その流れを決定的にする役割を演じた。

私はコイズミなど全く評価しないが、コイズミの勝因は、彼があの総選挙に死に物狂いで臨んだことだったと思う。だから、加藤があのように口走ってしまった心理は、全く理解できないでもない。しかし、その方向性は、国民を不幸にするものでしかないことは明らかだった。コイズミの一種の「狂気」が、国民の心をとらえ、加藤のようなベテランのジャーナリストまでもが、判断を誤ってしまった。おそらく、「魔が差した」のだろう。

国民にとって幸いなことに、安倍晋三にはコイズミのような必死さはない。

加藤紘一が語るように、総理大臣の仕事は、本来命がけのものだ。だが、何を勘違いしたのか、自分が総理大臣になって当然と思い込んでいる安倍には、そんな気構えは全くない。「自殺」を遂げた松岡利勝が追い詰められていたことさえ思いも及ばなかったのではないかと思えるほどだ。

こんな人間だから、安倍のブレーンが、コイズミの時と同様のイメージ戦略で人気を浮揚させようとしても、すぐメッキがはがれてしまうのだと思う。

一昨日の記事で書いた大村秀章の愚劣さは、安倍晋三の愚劣さの反映だ。安倍晋三の姿勢がいい加減だから、安倍の「じきじきの指名」で「年金問題の説明役を命じられた」大村は、あの程度の説明しかできず、いとも簡単に長妻昭議員に撃沈されたのだ。そして、ジャーナリストもまた、安倍に対しては冷静に対処できる。一昨年、コイズミ自民党の圧勝に大きく貢献した田原総一朗、古舘伊知郎、岸井成格、みのもんたという、私のいうところの「四悪」のうち、古舘は安倍を応援していないし、田原と岸井は安倍びいきだが歯切れが悪い。唯一、みのもんただけは恥も外聞もなく徹底的に安倍を擁護しているが、「年金問題は国民の責任だ」などとほざいて、日本中から馬鹿にされる始末だ。

もちろん、「一寸先は闇」だから、今後何が起きるかはわからない。あの「偽メール事件」のようなことがまた起きて、情勢が一変するかもしれない。だが少なくとも、安倍に自力での勝利はない。安倍政権発足時に危惧されたような、ファシズムへの道をまっしぐらに走る事態だけは、今のところ避けられた。この流れをいかに拡大できるかが今後の課題だろう。


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3日前に「安倍晋三TBP」 1万1千件の記念記事を書いたばかりで、また記念記事になって恐縮だが、今日6月18日で、『安倍を 「th e End!」 させよう!』 を合言葉とする「AbEndキャンペーン」が、「カナダde日本語」 の提唱によってスタートしてからまる1年になる。

そこで今日は、過去の当ブログおよび他の方々のブログ記事を回顧しながら、「AbEnd」の1年を振り返ってみたいと思う。

「AbEnd」スタートのきっかけになったのは、安倍晋三が統一協会に祝電を送っていたのを、昨年6月5日に 「薫のハムニダ日記」が暴いた一件であった。

関連の当ブログ記事:
『やはり事実だった統一協会系団体への安倍晋三の祝電』
(2006年6月7日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-51.html

これが、「カナダde日本語」による「STOP ABE」運動の呼びかけ(昨年6月16日)につながった。この記事に私がコメントしたのは、6月18日の0時57分。そして、「カナダde日本語」の管理人・美爾依さんが「安倍晋三」のトラックバック・テーマを作成されたのも同じ日であることが、同じコメント欄からわかる。従って、昨年6月18日が、「AbEndキャンペーン」スタートの日であったといえるのだ。

関連の当ブログ記事:
『AbEnd - 安倍晋三を「the END!」にしよう』
(2006年6月20日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-69.html

キャンペーン開始当初の話題は、統一協会への祝電問題だったが、これで安倍が追い詰められるどころか、逆に自民党総裁選で福田康夫が候補から降りるなど、安倍は総理・総裁就任への道をひた走った。

そして、北朝鮮も安倍を援護するかのようにテポドンを発射した。しかし、「やらせ」がミエミエのテポドンの記事など書く気もしなかったので、私はテポドン発射の日の7月5日の記事で靖国問題を取り上げ、その中で「1978年の靖国神社のA級戦犯合祀に昭和天皇が激怒して、以後靖国参拝を取り止めた」という説を紹介した。するとその半月後、日経新聞が「富田メモ」をスクープし、私が紹介していた説が事実であったことを裏づけた。この記事が検索エンジンによる検索で多数引っかかったことによって、ブログへのアクセス数が飛躍的に増大したのだった。

関連の当ブログ記事:
『靖国神社と昭和天皇』
(2006年7月5日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-86.html

『やはり昭和天皇はA級戦犯の靖国合祀に激怒していた』
(2006年7月20日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-97.html


この頃が、いちばんブログに夢中になっていた記事ではなかったかと思う。書きたいことがあまりに多いので、メモ代わりの 「kojitakenの日記」 を開設したのは、「富田メモ」のスクープから9日後の、昨年7月29日のことだった。

その後、安倍が総理大臣に就任すると、最初こそ電撃的に中国・韓国を訪問するなど、猫をかぶっていたが、ほどなく、教育基本法改定の件などで、「タカ派」指導者の正体を現した。もちろん当ブログはこれらに反対したが、力及ばなかった。

関連の当ブログ記事:
『教育基本法改悪反対の論理』
(2006年10月30日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-164.html

『毎日新聞の報道?改正教育基本法は「改憲へのステップ」』
(2006年12月16日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-201.html

しかし、安倍が国民の支持を失ったのは、イデオロギー的な問題よりむしろ、閣僚などの政府高官による、相次ぐスキャンダルだった。本間税調会長や佐田行革相が相次いで辞任した。

関連の当ブログ記事:
『安倍内閣の支持率が下がり、政権内部にも軋みが生じ始めたぞ!』
(2006年12月27日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-212.html

安倍内閣閣僚の問題はさらに続き、柳沢厚労相の「女性は生む機械」発言や松岡農水相らの事務所費問題、さらに同厚労相の「緑資源機構」汚職疑惑などが話題となった。しかし安倍は柳沢氏や松岡氏を庇って辞任をさせなかった。

今年4月には、伊藤一長・長崎市長が4選をかけた市長選の選挙期間中に凶弾に倒れて死亡する事件が起きたが、安倍は「言論の自由への挑戦」を非難する声明をすぐに出せず、批判された。

関連の当ブログ記事:
『言論の自由への重大な挑戦と、それを受け止められない安倍晋三』
(2007年4月19日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-318.html


奇妙なことに、この件などにもかかわらず、安倍内閣の支持率は一時上昇していた。安倍も、強行採決を連発する自らの内閣の強硬姿勢が、国民の支持を得られたと勘違いしていた。

しかし、民主党の長妻昭議員らによって「消えた年金」問題が追及されると、再び内閣支持率が急落し、それに松岡農水相の「自殺」が追い討ちをかけた。

関連の当ブログ記事:
『血塗られた「美しい国」』
(2007年5月28日)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-354.html


こうして見てみると、「AbEndキャンペーン」が影響力を発揮したというよりは、安倍内閣の自滅の様相が強いようにも思われるが、決してそればかりではない。

当ブログの6月18日のアクセス数は、4千件を突破した。昨年の同じ日、「AbEndキャンペーン」がスタートした日のアクセス数は559件だったので、7倍ほどに増えている。また、「AbEndキャンペーン」を提唱した 「カナダde日本語」 の同日のアクセス数は、5千件を大きく超えた。他の「AbEnd」系ブログも、軒並みアクセス数を大幅に増やしている。

何もアクセス数がブログの価値を決めるなどと言うつもりは毛頭ないが、安倍晋三に対して「NO」の意思表示をするブログが増え、それらのアクセス数が増加したことには、決して無視できないものがあると思う。

「AbEndキャンペーン」は2年目に入るが、参院選での与党敗北および安倍内閣退陣に向けて、よりいっそうの力を振り絞るべき時がきた。読者の方々の、これまで以上のご支援をお願いしたいと思う今日この頃である。


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あの悪夢のような一昨年の「郵政総選挙」は、自民党のメディア戦略がズバリ当たった選挙だった。

自民党の「コミュニケーション戦略」は、「コミ戦」という略称が定着したほど有名になったが、実は「郵政総選挙」に先立つ二つの国政選挙、すなわち03年の総選挙と04年の参院選では、コミュニケーション戦略では民主党が先行していた。コイズミ人気の高い中で行われた選挙であったにもかかわらず、この二度の選挙で民主党は党勢を伸ばしたのである。

コミ戦で出遅れたことを悟った自民党は、04年参院選敗北のあと、コミ戦に力を入れるようになる。安倍晋三は、「党改革検証・推進委員会」の委員長として、PR会社を集めてコンペを行い、自民党はプラップジャパンとコンサルタント契約を結んだ。この時、意外にも電通の関連会社・電通パブリックリレーションズは選に漏れている。

PR会社を使う意図について、安倍は、「小選挙区制になって大きく変わったのは、政党のイメージが良くないと勝てなくなったことだ。民主党はイメージだけで勝負している。自民党は今までカンと経験で戦ってきたが、今後はプロの力を借りたい」と語っている(「読売新聞」 2005年1月7日付)。

この「コミ戦」の中核として暗躍したのが世耕弘成であることを知らない人はほとんどいないと思う。ところが、コイズミ内閣時代にあれほど威力を発揮した世耕の「コミ戦」は、安倍内閣の現在、すっかりキレを失っているように見える。

一番良い例が、「消えた年金」をめぐる安倍政権の対応の拙劣さだ。「当時は自社さ政権で、厚相を務めていた菅直人氏に責任がある」といって、中傷ビラまで作って責任を菅氏に押し付けて責任逃れをしようとしたり、それでも選挙に勝てそうにないと思うと国会の会期を延長して投票日を酷暑の時期に先送りしようとするなど、みっともないのひとことなのだが、今日(6月17日)はさらなる恥の上塗りをした。

テレビ朝日の「サンデープロジェクト」に出演した自民党の大村秀章議員は、民主党の長妻昭議員と年金問題を討論したが、1年以上前からこの問題を追い続けていた長妻議員と、付け焼刃で自民党の立場を強弁するためだけに出てきた大村では全く勝負にならなかった。大村は、レベルが違いすぎると悟ったのか、途中から長妻議員に何を聞かれても答えないばかりか、長妻議員の発言をたびたび遮ろうとしていた。この大村の態度と信用できない主張に怒ったコメンテーターの財部誠一氏(本来は御用評論家w)にまで突っ込まれても何も答えず、ブチ切れた財部氏に「黙って話を聞け!」と一喝される始末だった。テレビの討論でここまで醜態を晒した例も珍しいと思う。

私は、番組を見た直後、「kojitakenの日記」にメモしておいたが、「きっこの日記」 でもこの番組について取り上げられていた。

きっこさんも紹介しているが、番組の討論の模様をYouTubeで見ることができる。

「2007/6/17 サンデープロジェクト 年金問題 長妻昭 vs 大村秀章」 (1/4)
http://www.youtube.com/watch?v=DA6gXYoVzzY

「2007/6/17 サンデープロジェクト 年金問題 長妻昭 vs 大村秀章」 (2/4)
http://www.youtube.com/watch?v=fJkesrszhbM

「2007/6/17 サンデープロジェクト 年金問題 長妻昭 vs 大村秀章」 (3/4)
http://www.youtube.com/watch?v=FxqOVAUJXmU

「2007/6/17 サンデープロジェクト 年金問題 長妻昭 vs 大村秀章」 (4/4)
http://www.youtube.com/watch?v=pCfzwvfw71w


それにしても信じられないのは、自民党にとって手ごわいに違いない長妻議員を相手に、大村程度の人間しか送り出せなかった安倍及び自民党の非力さだ。全く歯が立たない議論もさることながら、イメージ戦略的にも大村の態度は最悪で、この番組を見ていた視聴者の大部分は、自民党や安倍がまともに年金問題に取り組むつもりなど全くないことをよく理解されたことだろう。

そして、番組冒頭のナレーションでも明言されていたように、大村は、「安倍総理からジキジキに年金問題の説明役を命じられた」人物なのである。「今日の討論が参院選の命運を決める」とナレーターは言い、司会の田原総一朗は「この人が決め手で、この人がだめなら自民党はだめ」とまで言っていた。だから、白熱した論戦になるかと期待していたのだが、論戦の蓋を開けてみると、大村は信じられないほど無能な男だった。おそらく、自民党は人材が払底しているのだろう。そうとしか思えない。

いくら宣伝部隊が有能でも、肝心な商品に魅力がないと売れない。今回、自民党のコミ戦が全く機能していないように見えるのは、たぶんそのせいだろう。


[追記] (2007.7.15)
この記事で紹介した動画は、既にリンク元が削除されてしまっていますが、同内容の動画を下記サイトでご覧になれます。

ニコニコ動画
http://www.nicovideo.jp/watch/sm469090

Google Video
http://video.google.com/videoplay?docid=6163815463342138809

FILEMAN
http://fileman.n1e.jp/filemanapi/1182324970/movie

Dailymotion
http://www.dailymotion.com/hagakurekakugo/video/3903389 (Part 1)
http://www.dailymotion.com/hagakurekakugo/video/3903376 (Part 2)

GUBA
http://www.guba.com/watch/3000056443?duration_step=0&fields=8&filter_tiny=0&pp=6000&query=958754&sb=0&set=5&sf=0&size_step=0&o=0&sample=1182330473:37e0420b5b7a7b4e4fc645f6e774066eb1c06105

Yahoo! Video
http://video.yahoo.com/video/play?vid=684779


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「週刊朝日」というと、先日、安倍晋三首相の名誉を毀損する記事を書いたとして、安倍に非難され、あわてて謝罪したものの、結局安倍の秘書に訴えられた雑誌である。

同誌は、訴えられたあとしばらく元気がなかったが、先月末に年金問題への対応のまずさから安倍内閣が支持率を大幅に下げ、さらに松岡前農水相の「自殺」によって一段と安倍が信用を失うと、ようやく政権を批判する姿勢を取り戻した。

同誌の6月15日号「編集後記」で、山口一臣編集長は以下のように書いている。


「消えた年金」問題で驚いたのは、安倍晋三首相が国会で国民と同じような口調で社保庁を非難していたことです。内閣はさらに年金改革制度の導入を決めた当時の厚生相だった菅直人氏の責任を訴え始めました。わずか46年間の人生ですが、私はこれほどひどい為政者を見たことがありません。国の最高責任者として首相はまず、国民に謝罪すべきではないでしょうか。民間企業では不祥事が起きると社長自らが会見に臨み、頭を下げるのがふつうです。部下や前任者のせいにする人を、誰が信用できるでしょうか。

(「週刊朝日」 2007年6月15日号 「編集後記」)


同感である。10日(日曜日)の政治番組で、与党議員が社保庁の職員を攻撃するのを聞いて、私は、何を言い出すんだこいつらは、と呆れたが、こう感じたのは私だけではなかったようである。

いまや「絶滅危惧種」となってしまった「保守本流」の代表選手である白川勝彦氏も、「永田町徒然草」 の6月10日付記事 『見苦しい責任転嫁』 で、次のように書いている。


 去る金曜日(注=6月8日)、みのもんたの『朝ズバッ!』に、丹羽雄哉自民党総務会長が出演した。あまり時間はなかったが、例によってテーマは年金問題であった。その番組の最後で、丹羽氏は「野党の皆さんは、仕事をしてこなかったあの社会保険庁の公務員の味方なんですね。あの人たちが作る労働組合の味方なんですね」といっていた。ハマコーがこんなことをいっても驚かないが、こんな馬鹿なことをいう自民党の幹部を私は知らない。丹羽氏は私と同期当選である。派閥も宏池会であった。読売新聞社の記者出身で、田中派との闘いやリベラルが問われた問題などで一緒に活動することもあった。自公“合体”政権の中にいると、このように人間まで変わってくるのであろうか。

私は社会保険庁の職員の仕事ぶりがどのようなものか知らない。公務員には、もともとそんなに仕事好きな者はいない。しかし、「うちの職員(社員)は仕事をしないのでダメなんです」、「このような結果となったのは、職員(社員)が仕事をしてくれなかったからです」などという幹部の言い訳は、官庁であろうが民間であろうが果たして通用するであろうか。人事管理ができないのは、その幹部がダメだということである。官庁であろうが民間であろうが、人事管理は幹部の仕事であり責任である。丹羽氏は典型的な社労族であった。厚生政務次官・社会労働委員長に望んで就任し、厚生大臣にもめでたくなった。社労族のボス的存在である。

社会保険庁の職員の怠慢が今回の年金問題の責任だとしたならば、それを管理しなければならなかった丹羽氏をはじめとする幹部がその責任を果たしてこなかったからである。民間会社では、取締役などがその責任を果たさなかった場合、株主代表訴訟で取締役の個人責任が追及される。丹羽氏などは、会社でいうならば堂々たる取締役の一員である。株主代表訴訟ならば、被告適格が十分にある。歴代の社会保険庁長官などにも被告適格がある。長官退職後、みな渡り歩いて相当の退職金を手にしたようだが、株主代表訴訟で命じられる賠償額は巨額である。手にした退職金の何倍も払わなくてはならないであろう。幹部としてその職責を果たさなかった者には、不作為という不法行為を理由に国家賠償を求めることもできるのではないか。新参者だが社労族のひとりである安倍首相にも、被告適格があるのではないか

(白川勝彦 「永田町徒然草」 2007年6月10日付 『見苦しい責任転嫁』 より)


いちいちその通りなのだが、こんな程度の低い総理大臣や政権政党を持ってしまっている現状には、ため息しか出ない。

これでは、政策以前の問題ではないか。こんな馬鹿(安倍晋三)が相手かと思うと、『AbEndキャンペーン・安倍を「the End!」させよう!』 などと叫び続ける気力も萎えそうになる。

「週刊朝日」の6月22日号には、以下のような投書が掲載されていた。


「私はこれほどひどい為政者を見たことがありません」という言葉に全く同感です。私が驚いたのは、首相が年金問題で「菅直人氏が悪い」と言いだしたことです。屁理屈をつけて一人を悪者に仕立て上げ、皆でいじめようという姿は教育改革を唱える人のすることでしょうか。いよいよ行き詰まって、哀れささえ感じています。農水相の自殺、余りにひどい年金問題など、「美しい国」とは、天と地の差の出来事ばかりの昨今を憂いつつ、「『美しい国』の行方は‥」の「10人の識者」の話を読ませていただきました。安倍首相の「言葉」と「人事」は、どうも裏目に出ることが多く、その資質に疑問を感じるこのごろです。

(「週刊朝日」 2007年6月22日号 「お便りクラブ」に寄せられた、長野市の56歳主婦の方の投書)


菅氏へ責任をなすりつけようとする政府・自民党を、ジャーナリストの田岡俊次氏は「品性下劣」と評したが、これほど安倍晋三や自民党にぴったりな言葉はないだろう。

せめて、安倍や自民党がもう少しまともに議論の対象となる相手であってほしいと思う今日この頃である。現状だと、脱力感を覚えるだけだ。


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来月に予定されている参院選では、目下与党の苦戦が予想されており、これに焦った安倍政権は、国会の会期を12日間延長し、参院選の投票を少しでも先延ばしすることによって、年金問題や松岡前農水相の「自殺」による与党への逆風が収まるのを待とうとしている。これには、野党だけではなく自民党内からも強い反発を招いている。

私は、大幅に国会の会期を延長して、投票日をお盆の最中の8月12日にでも設定しない限り、与党が選挙に勝利を収める目はないと考えている。

さて、きたる参院選は、一昨年の「郵政総選挙」以来の国政選挙である。前回には自民党の意を受けて、某巨大掲示板などで与党に風を吹かせる宣伝工作が大規模に行われ、それが与党圧勝に結びついたという説がある。これに対し、反コイズミ側では、いくつかのブログ言論などの果敢な反撃が見られたが、残念ながら与党圧勝の流れを押しとどめることはできなかった。

それに対し、今回は安倍晋三首相に逆風が吹いた形となっている。この状況に至るのに、「きっこの日記」 や「AbEnd」系ブログなどの反安倍晋三の言論がどこまで寄与したかは、正直なところよくわからない。

ただ、決して無視できない影響力を持ち始めているのは確かだと思う。というのは、ブログの記事はインターネット検索に引っかかる確率が高いからだ。

手前味噌で恐縮だが、当ブログは検索エンジン経由のご来訪を、3月度に8,182件、4月度に9,582件、5月度には9,981件受けている。ちょうど月の半分が経過しようとしている6月度は、既に5千件を大きく超えており、月の終了時には、初の1万件超えとなりそうだ(以上のデータはFC2の旧アクセス解析による)。

少し前は、検索エンジンの検索結果で目立ったのは、新自由主義の論客たちのブログ記事だった。コイズミ政権から安倍政権に移行し、彼らの言論は活発さを失い、代わりに変てこなネット右翼のブログが「人気ブログランキング」の上位を占めるようになっているが、彼らは、コイズミ時代の新自由主義系のブログほど、検索エンジンには強くないように見える。某巨大掲示板は別として、ネット言論では安倍晋三擁護派より批判派の方がずっと元気なように、私には思われる。

ネット検索で引っかかって読まれる記事には、それなりの影響力があると考えてよいと思うし、同様の傾向は、何も当ブログだけではなく他の「AbEnd」系ブログをはじめとする反政権系ブログ全般についても見られることだろう。カウンタを設置している「AbEnd」系ブログの多くが、このところアクセス数を急増させている。

中央集権的なブログ運動は、インターネットの特質にはなじまず、ブログの連合はゆるやかであることが好ましい。「AbEnd」はそういう思想で展開したブログキャンペーンだし、先日 「反戦な家づくり」 さんが実施された 「9条改憲を問う」民主党、自民党の参院選候補者へのアンケート に賛同したブログの集まりも、同様の性格を持っていると思う。懸念された自民党や共産党によるアンケート結果の悪用も起きていないようだ。

さて、「AbEnd」キャンペーンにおいて、トラックバック・センターの役割を果たしている 「安倍晋三TBP」 へのトラックバック件数が、昨年6月18日に 『カナダde日本語』 の管理人・美爾依さんによって開設されて以来、累積で1万1千件に達した。そこで、恒例の1000件ごとのキリ番到達日の記録を更新したい。


2006年6月18日:「安倍晋三?トラックバック・ピープル」開設
2006年9月12日:1000件(開設日から86日)
2006年10月27日:2000件(1000件到達から45日)
2006年11月27日:3000件(2000件到達から31日)
2006年12月24日:4000件(3000件到達から27日)
2007年1月26日:5000件 (4000件到達から33日)
2007年2月21日:6000件 (5000件到達から26日)
2007年3月18日:7000件 (6000件到達から25日)
2007年4月12日:8000件 (7000件到達から25日)
2007年5月5日:9000件 (8000件到達から23日)
2007年5月27日:10000件 (9000件到達から22日)
2007年6月15日:11000件 (10000件到達から19日)


今回は、前のキリ番到達から要した日数が19日と、過去最短を3日も更新したが、これは年金問題と松岡前農水相の「自殺」の影響だろうと思う。

野党第一党である民主党のふがいなさなどもあって、この期に及んでまだ安倍政権にとどめを刺せずにいる状態だが、ブログの力で安倍晋三を追い詰めるのに寄与したいものである。


[参考記事]

「カナダde日本語」より
『AbEndのリンクリストを自分のブログに表示する方法』
(2006年6月19日)
http://minnie111.blog40.fc2.com//blog-entry-170.html


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ようやく少し時間ができたので、今日は立花隆さんが月刊「現代」7月号に載せた 『「私の護憲論」 安倍改憲政権に異議あり』 から一部をご紹介したいと思う。

立花さんは、同じ月刊「現代」の昨年10月号で、「安倍晋三への宣戦布告」 という記事を発表し、安倍の改憲路線や教育基本法改定に反対する態度を明らかにした。

その立花さんが、「現代」の今月号と来月号の2回にわたって、安倍の改憲路線に改めて異議を申し立て、護憲論を展開するというのだから、これは必読の記事だ。

今回は、立花さんの記事の中から、特に印象に残った箇所を紹介したい。以下「現代」 7月号から引用する。

なお、立花さんのこの記事は、2007年5月6日に丸善本店で行われた講演会「現代日本の原点を見つめ直す 南原繁と戦後レジームの意味」の内容を元にしたものだそうだ。


 先だって、東大出版会が発行している雑誌『UP』 (Universiry Press) 3月号に私は「南原繁の言葉と戦後レジーム」という文章を寄稿しました。そこで私がいちばんいいたかったのは次の一文でした。
 「安倍首相は、戦後レジームをネガティブに捉え、これを根本的に変革してしまうことこそ、日本国のために最もよいことと考えているようだが、私の歴史の見方は安倍首相とは正反対である。戦後レジームこそ、数千年に及ぶ日本の歴史の中で、最もポジティブに捉えられてしかるべきレジームだと考えている。
 はっきり言って戦後レジームをポジティブに評価できない人は、歴史を知らない人だと思う。あそこで(1945?46年)戦前レジームから戦後レジームヘの一大転換が起きなかったとすれば、日本にはいまでも明治憲法レジーム、大日本帝国レジームが続いていたことになる。それが国家レジームとしてどれほど狂ったレジームであったか、ある年代以上の人にはいまさら言うまでもないことである」

(中略)

 私が、日本国憲法、とくに憲法第九条がつくりだしてきた戦後レジームをなぜそれほどまでに積極的に評価するかというと、それはこの憲法が、日本という国を、歴史上もっとも繁栄させてきたからです。戦後レジームこそ、日本の繁栄の基盤だったからです。
 どういうことか簡単にふれておくと、政治というのは、要するに一国の社会が全体としてもっているリソースをどう配分していくかを決定するプロセスです。ここでいうリソースには経済的リソース、物質的資源としてのリソースなど、さまざまなリソースがありますが、現代の国家にとっていちばん人事なリソースは人的資源、ヒューマン・リソースです。人的資源を、社会のどこの部分にどう配分するかの決定はいちばん下のレベルでは個人個人が自己決定でやっていますが、大きな枠組的配分は政治が動かしています。それによって、その時代の日本の栄枯盛衰が決まるといっても過言ではないほどそれは重要なリソース配分です。
 戦後の日本の社会システムが戦前と大きく異なるのは、この経済的リソースやヒューマン・リソースの配分において、戦前の日本で最も大きな比重を占めていたリソースの配分先、すなわち軍事関係に回っていた分が、戦後はすべて民生に回ったという点です。その結果、日本は経済資源と、人的資源のほとんどすべてを民生に投入することができた。これが戦後日本の、あれほどの未曾有の経済復興と経済成長による国家的繁栄をつくったわけです。
 戦前の日本では平時、全予算のおよそ半分が軍事部門に投入されていました。戦争になればそれこそほとんどすべての予算や人材が戦争に注ぎ込まれたわけです。もしも戦後の日本が早くから軍を復活させ、そこに多くの経済的リソース、ヒューマン・リソースを投入し続けていたら、日本にもアメリカのような軍産複合体制がとっくにできあがっていたでしょう。
 いまのアメリカを一言でいえば、「戦争マシーン」国家です。アメリカのサイエンスもテクノロジーも、実は半分以上が軍事関係の予算や人材によってまかなわれています。とくにロボット、核融合、スーパーコンピュータ、宇宙航空といった先端技術は半分どころかほとんどが軍事予算でまかなわれています。車からの資金援助まったくなしで、世界とがっぷり四つに組むだけの科学技術力をちゃんと発達させた国は世界中で日本だけです。
 軍産複合体を存在させずに経済発展をとげたという意味では日本の成長モデルは世界に誇れる仕組みなんです。そしてそれは何度もいっているように、いまの憲法、とくに第九条という戦後レジームがあったればこそ可能だったわけです。
 ところが、いまやそのレジームを捨てようという人たちが国の権力の中心に座る時代になってしまいました。あの人たちは、本当の意味で、国家の繁栄とか、繁栄と憲法の関係といったことがわかっているんでしょうか。

(月刊「現代」 2007年7月号掲載 立花隆 『「私の護憲論」 安倍改憲政権に異議あり』 (前編) より)


この立花さんの意見は、岸信介の改憲路線を否定し、岸のあとを受けた池田勇人ら保守本流の政治家たちが選んだ「経済重視・軽軍備」路線(もちろん吉田茂に源流を発する)を高く評価するものだとも解釈できる。実際に日本でビジネスに携わっている人間にとっては、とても説得力のある意見だ。

昨年立花さんが書かれた教育基本法改定反対論を読んだ時にも感じたことだが、このような、イデオロギーにとらわれない立場からの護憲論が世に広まり、現在猖獗(しょうけつ)をきわめている、安倍晋三に代表される馬鹿馬鹿しいネオコン的言説を駆逐せんことを強く願う次第である。



[追記] (2007.6.14 22:25)
「雑談日記(徒然なるままに、。)」のSOBAさんが、今回の月刊「現代」の記事の元になった立花隆さんの講演会に出席されていて、講演会当日の5月6日に、早速記事を書かれていました。
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/2007/05/post_3fa3.html

SOBAさん、トラックバックどうもありがとうございました。


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参院選の投票予定日まで40日を切り、参院選後に倒れる公算が強まった安倍晋三内閣にトドメを刺すための大事な時期にさしかかってきたのだが、あいにく本業が忙しくなってしまい、ブログにあまり時間が割けない。そこで、今回もおすすめリンクの紹介記事で勘弁していただきたいと思う。

6月11日付 「きっこの日記」 のエントリ 『ついにバレたアベシンゾーの大ウソ』 で、安倍晋三が5000万件の「消えた年金」について、「1年以内にすべて調べる」と大見得を切ったのはウソだ、と指摘している。

きっこさんは、田岡俊次氏(ジャーナリスト、元朝日新聞編集委員)の発言をその根拠としているが、田岡氏は「愛川欽也 パックインジャーナル」でこの発言をした。

これは、YouTubeでご覧になれるので、是非ご参照いただきたい。

【消えた年金】"一年以内の記録照合作業の完了"は嘘っぱち 1
http://www.youtube.com/watch?v=I6x5ROdHW28

【消えた年金】"一年以内の記録照合作業の完了"は嘘っぱち 2
http://www.youtube.com/watch?v=7x8mQ-zoO3c

番組中で田岡氏は、『「当時の厚生大臣は菅直人だった」などというビラを作ってばら撒くのは品性下劣だ』と自民党を批判した(このビラを作らせた首謀者は、片山さつきだといわれている)。また、司会の愛川欣也氏は、『地上波は「消えた年金」問題を「国民の責任だ」と言うような番組まであって、責任をゴチャゴチャにしようとしている』と、暗にみのもんたの「朝ズバッ!」を皮肉った。このように、なかなか見どころ満載の内容だ。

続いては、ちょっと古い「四国新聞」の記事 『安倍病院』 (5月26日付)。
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/column/article.aspx?id=20070526000046

この記事が掲載された直後、安倍病院では医者が変死する騒ぎが起きた。病院は今にも破綻しそうだ。

最後は、kechackさんのブログ 「Munchener Brucke」より 『読売新聞と産経新聞』
http://d.hatena.ne.jp/kechack/20070612/p1

『今の読売新聞は「うちの子は悪くありません」と学校に苦情を言いにいくバカ親並の低レベルだと思う』との指摘はなかなか痛烈だ。


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ほんの1か月前、安倍晋三内閣の支持率が上昇し、安倍首相や保守系メディアが浮かれていたのが嘘のようだ。年金が再び争点になり、これに松岡利勝前農水相の「自殺」も重なって、世論は再び大きく動こうとしている。

世論調査は、現時点では有権者の参議院選挙への関心の高さを示しており、もしきたる参院選で投票率が高くなると、故石川真澄(元朝日新聞編集委員)が指摘した「亥年現象」、すなわち、統一地方選挙と参議院選挙が重なる年は、地方選が終わって気が緩んだ運動員が参院選では不活発になるために投票率が下がるという現象が、初めて生じないことになる。おそらく、国政選挙においても大きなターニングポイントになる。

私が物心ついて以降、もっとも大きなターニングポイントになったと思われる国政選挙は、1977年の参議院選挙だった。

その少し前から、社会の保守化が始まっていたが、それが選挙結果として初めて現れたのがこの77年参院選ではなかったかと思う。与野党逆転をかけて争われたこの選挙では、自民党から分かれた新自由クラブ(前年の衆院選で躍進していた)や、社会党から分かれた社会市民連合のほか、革新自由連合や女性党などが候補者を立て、にぎやかな選挙になったが、結局自民党が与野党逆転を阻止した。時の福田赳夫内閣下で右傾化政策が進められ、有事立法が話題となり、79年(大平内閣時代)には元号法が制定された。現在、安倍晋三が進めようとしている改憲路線は、もちろん安倍の祖父・岸信介の遺志を継いだものだが、それを70年代に準備したのが福田赳夫だった。

福田赳夫は1978年の自民党総裁選で大平正芳に思わぬ敗北を喫し、以降22年間、岸信介?福田赳夫の派閥は政権から遠ざかった。この間の右派政権としては中曽根康弘内閣(1982?87年)がネオリベ・ネオコン路線に立ち、バブル経済の原因を作ったが、中曽根は巧みに「左」も取り込み、1986年の衆参同日選では自民党の空前の圧勝をもたらした。この時が自民党再興期の頂点だったと思う。

86年同日選の結果、衆議院で300議席を超えた自民党政権だが、中曽根は、語るべきものを持った最後の首相だった。石川真澄が指摘したように、「中曽根以前」と「竹下以降」で首相の質が変わった。竹下以降の首相には語るべきものを持っていない。これも石川が指摘するように、唯一語るべきものを持っていたかもしれないのが小沢一郎で、90年代には新自由主義の旗頭だった。しかし小沢は首相になることはなかった。

小泉純一郎(郵政民営化)や安倍晋三(改憲)は、語るべきものを持っているのではなく、情念に突き動かされている政治家だと思う。森喜朗もそうだろう。この3人は、国を誤らせた政治家というしかない。

それでも、変化を嫌う国民は、自民党に政権の座を与え続けた。現状に不満があるのに、「他に適当な人がいないから」と言って、コイズミや安倍晋三を支持する人たちが多いのには驚く。森やコイズミや安倍晋三ほど首相に不適格な人間は珍しく、彼らにさえ務まるのなら総理大臣なんて誰にでもできる、と私などは思っていた。

しかし、森やコイズミはともかく、安倍晋三にはさすがに首相は無理だった。年金問題が国民の不安を招いても、政敵の菅直人に責任を転嫁する宣伝で乗り切ろうとしたり、果てには明らかに首相の責任で閣僚から自殺者を出しても、国民が忘れるに任そうとする無責任な態度には、おそらく多くの国民があきれ果てているだろう。

それに加えて、変化を嫌う国民は、安倍の企てる「戦後レジームからの脱却」に警戒感を抱くようになったと思う。世論調査で憲法改正支持派が減っており、特に「九条改変」について顕著なのは、その表れだろう。

民主党の小沢一郎は、新自由主義を捨て、いまや社民側に歩み寄ろうとしているように見える。私見では、小沢は潮の流れを読むのに長けた政治家だ。ただ、周囲の政治家の多くには小沢のような眼力はないので、民主党は内部に大きなひずみを抱えた状態になっている。参院選に民主党が勝った場合でも、民主党分裂の動きは収まるどころかかえって拡大するかもしれない。おそらく、参院選後の政界再編は避けられないと思うのである。


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まずお知らせですが、「きっこの日記」「きっこのブログ」)から、当ブログの記事 『反「新党日本」宣言?「田中康夫」「有田芳生」を落選させよう!』 を読みにこられた方は、下記リンク先に飛んで下さい。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-363.html

きっこさんにリンクを張っていただいてから4日も経つのに、今日だけできっこさんのところ経由のアクセスを170件以上もいただいており、本当にビックリしています。

今日はちょっと忙しくてまとまった内容の記事が書けませんので、きっこさんに倣って、「新党日本」関係の必読エントリをいくつか紹介したいと思います。

「不条理ニュース」
『参議院選挙 新党日本ヤッシーは野っ心の人だった?』
http://kahuka3.blog88.fc2.com/blog-entry-83.html

「たんぽぽのなみだ?運営日誌」
『有田芳生出馬』
http://taraxacum.seesaa.net/article/44247594.html
(コメント欄も必読です)

「広島瀬戸内新聞ブログ版」
『田中康夫さん、まさか』
http://blogs.yahoo.co.jp/hiroseto2004/48195432.html

当ブログなどによる「新党日本」バッシングに批判的なご意見も。
「メンフィスの声」
『「新党日本」批判への違和感:短絡的な攻撃ではなく討論を!』
http://anyplace.asablo.jp/blog/2007/06/06/1560963


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先日来の年金問題と松岡前農水相の「自殺」問題で、参院選の争点から「憲法」問題が遠ざかりつつあるが、私は、こういう情勢だからこそ憲法をしっかり論じておかなければならないと思う。

先日、明月さんのブログ 「反戦な家づくり」 が、民主党と自民党の参院選候補者を対象に、「9条改憲の賛否を問う質問」 を行った。このアンケートには、弊ブログも賛同人に名を連ねさせていただいたが、その結果が発表されたので、ここにお知らせする。

「反戦な家づくり」より
『9条改憲の賛否を問う質問 回答のまとめ(明月)』
http://sensouhantai.blog25.fc2.com/blog-entry-379.html


結果については、上記リンク先をご参照いただきたい。念のために、当記事の末尾の「付録」(More ... 以降)にも、質問項目と回答結果を転載させていただいた。

さて、いま、1年前のブログ言論などを読み返してみて現状と比較すると、1年前と比較して世論が護憲に傾きつつあることがよくわかるだろう。この傾向は、特に憲法九条に関して顕著だ。

いまやリベラルというよりニュートラルな立場をとるようになった朝日新聞社の論壇誌「論座」 (編集長の薬師寺克行氏は、テレビ番組で「改憲論者」だと明言したことがある)が、6月号で憲法特集を組んだのに続き、7月号に小林よしのりの 「わしが格差拡大に反対するワケ」 を掲載している。この記事に対しては、「Munchener Brucke」 の興味深い論考 『日本に労働者や貧困層の支持を集める右翼政治家が出現する予感(悪夢か?)』 などもあるが、ここでは小林が憲法に触れた部分のみ紹介する。


 いまこの国は、とにかくどんどん儲ければいい、自分の利益が人事で国民がどうなろうと関係ないという話なんだから、ナショナリズムなんて最初からありません。だけど「砂粒化した個人」は社会にとって不安定要因になりかねないから、権力の側はそれを統制する手段としてナショナリズムを利用しているわけです。

 小泉の靖国神社参拝が、まさにそうでしょう。靖国を参拝してナショナリズムに片足かけながら、もう片方では、靖国に祀られている戦死者たちが守ろうとした故郷や共同体をどんどん破壊するような政策を進めているんだから。本当にインチキなやつだよ。安倍だって同じですよ。「憲法改正」って言いながら、日本の国柄そのものを破壊して、まったくのアメリカニズムに染め上げようとしている。

 これは、わしに言わせれば革命です。目本の国柄を破壊しようという勢力がいつのまにか無血クーデターを起こして政府の中枢に忍び込み革命を起こしている。だけど「靖国参拝」「憲法改正」を言っているから、保守の側も誰も批判しない。ばかばかしい話です。

(中略)そして自分たちが日本のエートスを崩壊させておきながら、給食費を払わない親がいるとか道徳心を失っているとか大騒ぎして、教育基本法を改正して「国を愛する態度」を盛り込んでみたり、「親学」とか言って、「子守歌を歌う」とか「早寝早起き朝ご飯」とか、教条主義的な提言をしようとしたりしている。それでみんなが言うことを聞くと思っているわけでしょ。頭おかしいよ。金正日が北朝鮮でやっていることと同じなわけよ。右を向きなさい、左を向きなさいと言ったら、それをそのまま間く人間を育てるつもりかって。全部が狂ってるよ。

 教育基本法改正も、憲法改正も、道徳教育も、トータルにわしは否定するよ。はっきりいって。左翼だって思われちゃうかもしれないけどね。わしは運動に直接かかわるのは懲りたから、描き続けることで、みんなにわかってほしいと思っています。

(中略)いまの政権を担っている自民党の政治家にしろ、親米保守にしろ、ネオリベを肯定するような人間は、靖国に祀られている戦死者たちがいったいなにを守ろうとしたのかというところに思いを致すことなんかないんですよ。彼らの関心は、「こいつは利用できるかどうか」にしかない。わしだって最初は、アメリカと一緒に戦争をやるために利用できると思われていた。それがアメリカを批判し始めたとたんに、「危険だ」と排除された。

 いま憲法改正が騒がれているけど、わしはもろ手をあげて賛成するわけにはいかなくなってしまってるわけよ。ただただアメリカ軍にくっついていって、イラクでもどこででも戦おうということでしょ。わしはそんな戦争には賛成しない。そんなものは、かつて英霊が戦った戦争とは違うということを、やっぱり言わなければならないと思っています。

(「論座」 2007年7月号掲載 小林よしのり 「『戦争論』、それからわしが格差拡大に反対するワケ」 より)


加藤紘一は先日、TBSテレビ「時事放談」で、右翼雑誌(「諸君!」や「正論」などを指すと思われる)の読者数が減っている、親米右派と反米右派に分かれてきていると指摘していたが、小林は典型的な「反米右翼」であり、安倍内閣の発足前には、安倍に期待していたフシもあるが、政権発足後の早い段階で安倍を見限り、現在では引用文中にもあるように、「安倍政権下での改憲」への反対を表明している。他に、慶応大学教授の小林節なども、「安倍政権下での改憲」に反対しているが(「週刊朝日」 2007年6月8日号など)、興味深いのは同じ「小林」でも、Wikipediaの記述でも指摘されているように、小林節はリバタリアンとされており、安倍の復古主義的な方向性を持ち、かつ対米隷属的な「改憲」に反対しているということだ。つまり安倍(自民党)の「改憲」案は、民族主義的右翼(小林よしのり)にも、本来的な意味でのリバタリアン(小林節)にも反対されるような代物なのである。支持しているのは産経文化人(とネット右翼)、それに自民党・公明党や一部民主党議員だけと言っても過言ではない。

自民党の改憲案は、ただ単に、アメリカやそれに従属する日本の政権に国民を隷属させるだけのどうしようもないものなのだから、それが護憲派はおろか、真面目な改憲派からも支持を得られないのは当然のことだ。

当ブログの昨日の記事にコメントいただいた眠り猫さんのブログ 「平和のために小さな声を集めよう」 も指摘しているように、自民党の改憲案では、基本的人権の特に自由の権利に対して、大幅な制約を加えている。最近出版された保阪正康監修・解説の 「50年前の憲法大論争」 (講談社現代新書、2007年)などを読めばわかるが、これは半世紀も前からの自民党のもくろみなのである。要は、自民党右派の人たちは、敗戦後間もないことから考えていることは何も変わっておらず、ただひたすら戦前の体制を復活させたくてたまらない議員を多く抱えているということだ。安倍晋三は、その中でも特に極端な思想を持つ人物である。

元長崎市長の本島等さんは、憲法九条を守りながら、環境問題や人権問題の条項を加えていく「加憲」を主張しているが(「東京新聞」 2007年5月14日)、そのベクトルの向きは自民党の改憲論とは正反対である。

基本的人権を制限し、政権に都合の良い人間(=奴隷)づくりを目指すふざけた安倍政権を、一日も早く葬り去らなければならない。


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松岡前農水相の「自殺」から10日以上が経過し、政府は何食わぬ顔で、「自殺総合対策大綱」を発表した。

警察庁のまとめによると、昨年(2006年)の自殺者数は32,155人で、9年連続で3万人を超えたそうだ。大綱は、「2016年までに自殺者数を20%以上減少させる」とうたっているが、「決め手となる具体的対策を打ち出せたとは言い難い」と評されている。

そりゃそうだ、内閣から自殺者を出すような政府が、自殺対策を打ち出すこと自体噴飯ものだ、と思ったのは私だけではないだろう。

当ブログは、まだほとんど読者のいなかった昨年5月20日に、『キーマンが「自殺」した大事件』 という記事を公開した。読み返すと、これらのニュースを聞いた時の衝撃をまざまざと思い出す。

特に、リクルート事件で疑惑まみれとなった竹下内閣が総辞職を表明した翌日に「自殺」を遂げた竹下首相秘書・青木伊平氏の死(1989年)や、一つの事件に絡んで2人の「自殺」者が出た西武グループインサイダー株取引事件(2004?05年)は、今回、松岡前農水相ら3人の「自殺」者を出した緑資源機構に絡んだ巨大汚職疑惑を直ちに連想させるものだ。

西武グループの総帥だった堤義明は、コイズミを筆頭とした自民党・旧森派(町村派)とべったりだったことで知られているが、西武について書き出すと長くなるので、今回はやめておきたい。ここでは、同じように暴力団との関係が取りざたされ、周辺から「自殺」者が続出した竹下登と安倍晋三を対比させてみたい。

竹下の最初の妻・政江さんは、終戦の年の1945年に自殺した。政江さんと竹下の父は不仲だったが、竹下が妻ばかり叱ったのが政江さんの自殺を招いたともされる。

竹下の秘書の自殺というと、前記の青木伊平氏があまりにも有名だが、その他にも竹下の地元の「金庫番」と言われた桑原安俊氏も自殺している。

そして、竹下というと、戦後の政治家として初めて暴力団の助けを借りて総理大臣になった男とも言われている。1987年に起きた、高松に本部を置く右翼団体「日本皇民党」による「ほめ殺し」事件はよく知られているが、竹下は、広域指定暴力団・稲川会の二代目会長・故石井進を介して、皇民党に「ほめ殺し」をやめさせたと言われているのだ。

安倍晋三もまた、「安晋会」理事だったとされるエイチ・エス証券副社長の野口英昭氏が沖縄で怪死し(「自殺」として処理された)、戦後初めて内閣から現職大臣の「自殺」者を出した。地元事務所が暴力団に火炎瓶を投げ込まれる「火炎瓶事件」をめぐって裁判も起きており、周囲に「死」の影が漂うことに関しては、竹下登といい勝負だ。

ただ、違うところもある。竹下は、東京佐川急便問題に関与した疑惑を持たれて国会で証人喚問を受けた際(1992年11月26日)、竹下の秘書たちの自殺に言及した野党議員の質問に、こう答えたのだ。

『今おっしゃいました、私という人間の持つ一つの体質が今論理構成されましたような悲劇を生んでいる。これは私自身顧みて、罪万死に値するというふうに私思うわけでございます。』

(1992年11月26日、第125回国会衆議院予算委員会より)

少なくとも、竹下は自らの体質を自覚していた。だが、安倍晋三が自らの体質を自覚し、反省しているようには全く見えない。

そして、何よりも違うのがマスコミなどの批判に対する対応である。竹下は首相在任当時、皇民党事件や金権政治を批判する記事に対して、秘書が7通の告訴状を持って行ったところ「権力者はこのようなことを絶対にしてはならない」と一蹴したという。一方、全くの無知無能とされる安倍が唯一得意とするのは、マスコミへの恫喝である。全く取るに足らない「週刊朝日」の記事にいちゃもんをつけ、相手が謝罪しているのに「秘書」が朝日新聞社を告訴した件は記憶に新しいが、昨年10月にも、安倍批判の記事を繰り返して掲載していた「週刊現代」の取材を拒否し、出版元の講談社に「通告書」を送りつけたことがあった(昨年11月7日付当ブログ記事 『安倍晋三が講談社に「取材拒否」』 参照)。

本来なら、メディアはこのような安倍の横暴に、正面切って対決の姿勢を鮮明に打ち出すべきなのだ。メディアがそれをしないから、こうしてブログで繰り返し繰り返し安倍の実像を指摘せざるを得ない。

朝日新聞の政治担当編集委員だった故石川真澄氏は、森政権時代の2000年に、『「中曽根以前」と「竹下以降」で首相の質が明確に分かれる』 (「週刊金曜日」 2000年6月23日号、「戦争体験は無力なのか」=岩波書店、2005年=に収録)と指摘しているが、私はそれに付け加えて、『「小渕以前」と「森以降」で首相の質が明確に分かれ、一段と激しく劣化した』 と言いたい。

毎度毎度同じような結びになって恐縮だが、きたる参議院選挙で、国民の手で 「AbEnd」 を実現させるしかないと思う今日この頃だ。


※今回の記事を書くにあたり、岩瀬達哉著 「われ万死に値す ドキュメント竹下登」 (新潮文庫、2002年)を参考にしました。


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まず、「きっこの日記」 または 「きっこのブログ」 から 『反 「新党日本」 宣言 ? 「田中康夫」 「有田芳生」 を落選させよう!』 を読みにいらした方は、1つ前の記事(下記URL)に飛んでください。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-363.html

きっこさんにリンクを張って紹介していただいた上記の記事には批判もいただいていますが、私としてはそれを承知の上で、議論のきっかけとなってほしいという意図を込めて公開したものです。だから、きっこさんに紹介していただいたことはたいへんありがたいことでした。きっこさんには厚くお礼を申し上げます。

さて、文体を「ですます調」から「である調」に戻して、本論に入りたいと思う。今日は、マスコミでも大きく報じられている、陸上自衛隊が市民を監視していた件を取り上げる。

これは、共産党によって明らかにされたものだが、毎度のことながら共産党の情報収集能力には感服する。私は同党の排他的な体質には、かなりの疑問を持っているが、政府・与党や石原慎太郎都知事らを時に窮地に陥れる調査能力は、民主党や社民党の追随を許さないものがあり、この点については高く評価している。

今回、共産党が入手した陸上自衛隊の内部文書に関するブログ記事は、すでにかなり書かれているので、ここでは朝日新聞と毎日新聞の報道から拾って記録しておくことにする。以下の引用は、記事中から、どのような活動が監視の対象になったかを記述した部分を中心にして抜粋した。なお、この件の読売新聞の扱いは呆れるほど小さく、この新聞の体質をよく表している(笑)。

朝日新聞

『イラク派遣で陸自、反対市民の情報収集 発言など詳細に』
(2007年06月07日 00時45分)
http://www.asahi.com/national/update/0606/TKY200706060369.html

(前略)
 「反自衛隊活動」の項目には駐屯地への反対の申し入れなどを記録。民主党衆院議員(当時)が会合で述べた派遣反対の発言を取り上げ、「イラク派遣を誹謗(ひぼう)する発言」などとしている。また、朝日新聞記者が青森駐屯地正門前で隊員に取材したことにも触れている。

 もう一つの「国内勢力の反対動向」は、03年11月から04年2月までのうち6週間分と03年11月、04年1月の「総括」を含む。全国の反対運動の動きをまとめたとみられる。「駐屯地、官舎、米軍施設等に対する反対動向」「市街地等における反対動向」などが表形式で記載され、高校生が中心となって開催された反対集会も含まれる。デモの写真、件数の推移のグラフなどもある。資料で把握されている市街地での運動の数は、共産党の集計では41都道府県で290団体・個人にのぼるという。

 そのほか、イラク・サマワ入りしたジャーナリストの行動にも言及。映画監督の山田洋次氏が派遣支持の「黄色いハンカチ運動」を批判した新聞記事について、「市民レベルでの自衛隊応援・支持の動きを、有名人の名声を利用し封じ込めようとする企図があると思われる」と評している。(後略)


6月8日付社説
『情報保全隊―自衛隊は国民を監視するのか』

 自衛隊は国民を守るためにあるのか、それとも国民を監視するためにあるのか。そんな疑問すら抱きたくなるような文書の存在が明らかになった。

 「イラク自衛隊派遣に対する国内勢力の反対動向」と「情報資料」というタイトルに、それぞれ「情報保全隊」「東北方面情報保全隊長」と印刷されている。文書は全部で166ページに及ぶ。共産党が「自衛隊関係者」から入手したとして発表した。

 久間防衛相は文書が本物であるか確認することを拒んだが、この隊がそうした調査をしたことは認めた。文書の形式やその詳細な内容から見て、自衛隊の内部文書である可能性は極めて高い。

(中略)

■「反自衛隊」のレッテル

 文書によると、調査をしたのは陸上自衛隊の情報保全隊だ。保全隊は03年にそれまでの「調査隊」を再編・強化してつくられた。陸海空の3自衛隊に置かれ、総員は約900人にのぼる。

 情報保全隊の任務は「自衛隊の機密情報の保護と漏洩(ろうえい)の防止」と説明されてきた。ところが、その組織が国民を幅広く調査の対象にしていたのだ。明らかに任務の逸脱である。

 防衛庁時代の02年、自衛隊について情報公開を請求した人々のリストをひそかに作り、内部で閲覧していたことが発覚した。官房長を更迭するなど関係者を処分したが、その教訓は無視された。

 調査の対象には共産党だけでなく、民主党や社民党も含まれている。野党全体を対象にしていたわけだ。

 04年1月に福島県郡山市で行われた自衛隊員OBの新年会で、来賓として招かれた民主党の増子輝彦衆院議員が「自衛隊のイラク派遣は憲法違反であり、派遣に反対」と述べた。保全隊はこれを取り上げ、「反自衛隊」としたうえで、「イラク派遣を誹謗(ひぼう)」と批判している。

(中略)

 報道機関を調査の対象にしていたことも見逃せない。

 たとえば、岩手県で開かれた報道各社幹部との懇親会での質問内容が、個人名を挙げて掲載されていた。自衛隊が厳しい報道管制を敷いていたイラクでの活動については、「東京新聞現地特派員」の記事や取材予定をチェックしていた。

 イラク派遣について自衛隊員や地元の人々の声を伝えた朝日新聞青森県版の取材と報道について、「反自衛隊」と記録していた。「県内も賛否様々」と題して両論を公平に伝えたこの記事が、なぜ反自衛隊なのか。

■文民統制が揺らぐ

 自衛隊は国を守る組織だが、それは自由な言論や報道ができる民主主義の国だからこそ真に守るに値する。そうした基本認識がうかがえないのは残念だ。 (後略)


毎日新聞

『自衛隊監視活動:イラク派遣反対の団体など 共産党が発表』
(2007年6月6日 21時40分、最終更新時間 6月7日 0時24分)
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20070607k0000m010126000c.html

 報道機関については「青森駐屯地から退庁する隊員に取材を実施」などの記載がある。毎日新聞の記事については、04年2月21日の朝刊でイラクに赴く自衛隊員の安全を祈って全国に「黄色いハンカチ運動」が広がり、この動きに映画監督の山田洋次氏が異議を唱えていると報道したことに言及。「批判的な考えを表明している映画監督の回答を掲載」などと記録。登場する団体・個人数は290に上る。【日下部聡、本多健】

 ◇解説◇ 調査活動、逸脱の疑い

 情報保全隊などが作成したとされる文書には集会の参加団体名と代表者名、さらに自衛隊を取材した記者も多くは実名で記載されていた。デモ行進などに参加した人の顔を写した写真もある。

 内部の運用基準によると、情報保全隊の調査対象となるのは▽自衛隊に対して秘密を探知しようとする▽基地施設などに対する襲撃、業務に対する妨害▽職員を不法な目的に利用するための行動??の恐れがあるなどの場合だという。防衛省は「自衛隊に関する取材や講演はこの基準を満たしている」との見解だ。メディア関係者は「保全隊にフリーハンドを与えたような解釈だ」と批判する。

 特にデモ参加者らの同意がない写真撮影は、問題がある。最高裁は69年、警察が行う撮影が許容される場合について「犯罪が行われ、もしくは行われたのち間がなく、証拠保全の必要性、緊急性があるとき」との判断を示した。個人情報保護問題に詳しい清水勉弁護士は「写真は個人識別性が非常に高い。警察よりも必要性の低い情報保全隊による無断撮影は、肖像権や表現の自由に対する侵害の恐れがある」と指摘する。防衛省には情報保全隊による調査活動の適法性について、国民に対して十分に説明する責任がある。【臺宏士】


このニュースを知って、監視社会もここまできたか、いよいよ『できそこないの「1984年」体制」』になってきたなあ、と感じ、呆然とした。

久間防衛相らの妄言はともかくとして、防衛省幹部からも、「問題意識を持たないまま手当たり次第に市民を監視していたなら問題だ。個人情報やプライバシーに敏感な国民の感覚を無視すれば、戦前の憲兵隊と同じだと誤解されても仕方がない」 (6月7日付四国新聞)という声が聞かれる。

しかし一方で、一般の人たちから、「これのどこが問題なのか」という声が聞こえてくるのも、残念ながら事実だ。このように反論する人たちはまだこの問題に関心があるだけましで、それどころか多くの人は、これが問題であるかどうかすら考えたことがないのではないかと思われる。

つまり、人ごととしてしかとらえられない。そのようにしてファシズムの体制はできていくものなのだろう。そのうち、監視された人たちは社会的に抹殺されてしまうかもしれない。

でも、そうなったら、抹殺されずに残った人たちのうち一定の割合の人たちの中から、次のターゲットが選別されるのだ。自分の番が回ってきてから初めて気づいたって、手遅れなのである。肝心なのは、権力は、自分たちに尻尾を振っている人間だって、平気でスケープゴートにするということだ。このことに気づいている人がどれくらいいるだろうか。

人々の無関心に対抗する有効な手段はなかなかないが、あきらめずに声をあげ続けるしかあるまい。


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 きたる参院選は、「安倍晋三審判選挙」だ。

 コイズミが「郵政総選挙」で国民をダマして獲得した与党の圧倒的な議席をバックに、一度も国政選挙の洗礼を受けていないコイズミの後継首相・安倍晋三が強行採決を連発して国会や国政を私物化し、日本はめちゃくちゃな国になろうとしている。

 その安倍晋三にストップをかけるため、反安倍陣営はできるだけ団結して、安倍に対抗しなければならない。

 ところが現実には、なかなか反安倍陣営は共同歩調をとれない。民主党と社民党の選挙協力でさえ、大分では崩れた。ましてや、共産党や諸派なども含めた「野党共闘」など、夢のまた夢だ。

 そんな中、3日、田中康夫が「新党日本」から比例区で出馬すると知って、正直言ってうんざりした。これ以上、「反安倍」勢力を乱立させるのかと思ったのだ。

 ところが、4日になって、「新党日本」が田中の他に有田芳生(ヨシフ)を擁立するというニュースをネットで見て、私は目を疑った。

 たまたま、今日(6月6日)は、安倍晋三が統一協会系団体の大会に祝電を送ったことが「きっこの日記」で指摘されてからまる1年になる日だ。

 この件を実際にスクープしたのは、「カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの虚業日記」「薫のハムニダ日記」 だったのだが、今では 「AbEnd」 系ブログへのリンクを積極的に張ってくれているきっこさんも、1年前にはなかなかニュースソースを示してくれなかった。それもあって、カマヤンやハムニダ薫さんのブログにたどり着いた人はそれほど多くなく、安倍の統一協会への祝電事件は、しばらくは、ネット検索からことの真相を知った一部ブロガーなどの間で騒がれるにとどまっていた。当時ネットでは、真相をつかんでいるに違いないのに沈黙を守っていたマスメディアへの怒りで満ちていた。

 しかし、カマヤンやハムニダ薫さんのスクープから約半月後、祝電の件はネットを通じて徐々に知られるようになり、ついにマスメディアも沈黙を守りきれず、「FLASH」を皮切りに、「週刊朝日」「サンデー毎日」「アサヒ芸能」の3誌が、安倍の統一協会祝電事件を取り上げた。この時、なぜか3誌の記事すべてに登場し、妙に安倍をかばうようなコメントを発したのが有田ヨシフだったのだ。

 このあたりの記録については、たんぽぽさん (ブログ 「たんぽぽのなみだ?運営日誌」 管理人) 作成の 「祝電事件リンクリスト」 が詳しいので、是非ご参照いただきたい。

 このリストにも記載されているように、有田はその後も安倍を弁護する記事をブログで書き続けた。そして、年が明けて東京都知事選が目前に迫る時期になると、今度は石原慎太郎を擁護し、対立候補の浅野史郎氏を批判する言論を展開したのだ。

 当ブログの3月5日付記事 『有田芳生は今度は石原慎太郎を助けるつもりか?』 でも紹介したように、有田は、誤ったデータに基づいた共産党の浅野氏批判を、検証もせずに鵜呑みしてそのまま転用するという、ジャーナリストにあるまじき醜態を演じた。

 また、当ブログの4月9日付記事 『口をつぐんだ「リベラル系」文化人たち』 では、有田や田中康夫らが、いかに東京都知事選で結果的に石原慎太郎に手を貸したかを指摘した。

 私は、田中康夫は、自らが歯が立たない石原慎太郎を、浅野史郎なんかに倒されてたまるかという下衆な根性から、傍観者的立場に立って、結果的に石原を援護することになるのを承知の上で、テレビで櫻井よしこと一緒に両候補を揶揄したのだろうと確信している。

 そもそも、新党日本が本当に「反安倍」や「反石原」であるといえるかは極めて疑問だ。昨年11月の福島県知事選で、新党日本は、ナント自民・公明と一緒に森雅子候補を推薦して敗れたほか、昨年秋の首班指名では同党の荒井広幸参院議員が安倍晋三に投票したのだ。

 そして、今回、新党日本が有田ヨシフを擁立したことで、同党が完全に反動側に立ったことが明らかになった。

 そもそも、反政権的イメージが強く、人気が高い田中康夫が「新党日本」から立候補すること自体、反安倍の票が分散することで与党に有利に作用することは自明であり、これを田中が計算できないはずがない。おそらく、政権を助けるための確信犯的な行動だろう。

 安倍晋三に反対する者は、断じて参院選で 「田中康夫」 「有田芳生」 「新党日本」 には投票してはならない。彼らへの投票は、安倍晋三を支持することにほかならないのだ。


[追記] (2007.6.6 19:50)
 「オーマイニュース」 に、有田の出馬に疑問を投げかける記事が掲載されている。

有田芳生氏「参院選出馬」の疑問
 「ジャーナリズム精神」はどこへ?
http://www.ohmynews.co.jp/news/20070605/11803
朝日新聞社が発行している論壇誌「論座」の7月号の投書欄「読者の広場」に、下記のような投書が掲載されていた。

左翼は何をしているのか?

  いったい何をしているのだろう。非正規雇用、負け組、フリーター、ワーキングプア、偽装請負などの言葉が氾濫し、これだけ格差が問題になっているのに、左翼の顔が見えない。左翼は平等を追求する思想的立場ではなかったのだろうか。
  失われて初めてその良さがわかるものがあるが、戦後の平等もまた、その一つではなかっただろうか。それなのに、社会主義への信仰心と一緒に、平等への情熱も失ってしまったのだろうか。6月号で後藤和智氏は書いている。「若年層が階層的に、あるいは社会的に分断されていることが『右傾化』なるものの原因であるというのであれば、労働経済的な政策により若年層を救済しようというのが、本来、左派が示すべき処方箋のはずだ」。しかし、左翼、とりわけインテリは、処方箋を示そうとはせず、「右傾化」の診断を下すことだけで満足している。ひょっとすると、このまま社会不安を増大させ、革命でも起こそうと考えているのだろうか。しかし1930年代同様、革命よりもファシズムが先に来てしまったら?
  左翼がなすべきは、格差の抜本的な是正策を提示すること、「安定労働層」から「貧困労働層」へ軸足を移し、彼らとともに戦うこと、あるいは、彼らに闘い方を教えることではないだろうか。右派の私から見ても、昨今の格差は異常と思えるが、それを静観しているようにしか見えない左翼の姿勢も、それ以上に異様に思えるのである。
(福岡県の47歳工場作業員の方の投稿)

(「論座」 2007年7月号より)


断っておくが、私は自分を「左翼」であるとは全く考えておらず、リベラル系無党派の人間で、単に安倍晋三や自民党が大嫌い、自分が戦争で死ぬのはいやだから好戦的な安倍の防衛(というより軍事)政策に反対し、ごく一部が勝ち組になって残り大部分が負け組になる新自由主義社会では当然負け組になるに決まっているから新自由主義が嫌いで、だからコイズミ?竹中平蔵の新自由主義路線を継承している安倍の経済政策に反対する。突き詰めればそういうことになる。

加藤紘一は「右翼は先の戦争を総括しておらず、左翼は社会主義を総括していない」と指摘するのだが、確かに左翼が沈黙しているから、私ていどの「リベラル左派」の人間がネット右翼に「極左」だの「反日」だのと言われて矢面に立たされるのだ、と不満を持っている(笑)。

朝日新聞や毎日新聞が「左翼」であるとも考えないが、ナベツネ(渡邉恒雄・読売新聞会長)は、朝日、毎日と中日新聞を「三大左翼紙」だと言っている。このうち、中日新聞はまあまあ健闘していると思うが、このところ朝日新聞は全く元気がない。毎日新聞は、「記者の目」などの署名記事には見るべきものがあるが、社説は朝日以上にあいまいで立場が不鮮明だ。

昨日のエントリで、日経と読売の社説をつなぎ合わせれば、簡潔にして的を射た安倍政権の「教育改革批判」になると指摘した。概して保守系のメディアのほうが、リベラル系のメディアより主張がはっきりしていると感じる。

たとえば、読売は松岡農水相が「自殺」しても安倍晋三首相の責任を全く問わないばかりか民主党議員の問題に話をすり替えるトンデモ社説を発表する一方で、安倍政権の「教育改革」における新自由主義的施策をはっきり批判する社説も書く。

また、産経は「徳育」の教科化を歓迎し、事実上戦前の「修身」を復活させたい意気込みに満ちているが、松岡大臣の「自殺」の際には、朝日や毎日以上に明確に安倍首相の責任を問うている。

日経は、集団的自衛権についての憲法解釈の見直しをナント肯定し要求するような社説を掲載する一方で、「徳育」の教科化にははっきり反対する、といった具合だ。

これらの各紙の主張は、各紙がどういう人たちの意見を代弁しているかをはっきりと表している。日経は軍需で金儲けがしたい財界人の意見を、産経は狂信的な復古主義の人たちの意見を、そして読売はナベツネの意見を代弁しているのだ(笑)。

日経が「徳育」の教科化に反対するのも、復古主義教育で作り上げられる型にはまった人間など、新自由主義社会で生き抜く力を持っていないからに違いない。もともと、「経済右派」である新自由主義と、カルト思想と結びつきやすい新保守主義は相容れないものなのだ。

一方、朝日や毎日の社説は、客観報道のスタイルに引きずられて、主張があいまいであることが多い。保守が元気で、リベラルに元気がないから、安倍政権があれほど失政を重ねても、支持率がなお30%前後もあるのではないかと思える。

ところで、「論座」の7月号には、「AbEnd」に参加しているブロガーたちの多くと比較してかなり若い書き手(小林よしのりを除く)による、いくつかの記事からなる特集「格差、保守、そして戦争。」が掲載されている。

これらは、「AbEnd」に多く見られるリベラルの論調と、ネット右翼の論調のいずれとも趣を異にするもので、若い人たちの絶望感をかなり生々しく伝えるものである。

記事のいくつかは、同誌の4月号に掲載された赤木智弘の『「丸山眞男」をひっぱたきたい』に言及している。赤木は、Webサイト 「深夜のシマネコ」 の管理人であり、そこに掲載されている 『なぜ左翼は若者が自分たちの味方になるなどと、馬鹿面下げて思っているのか』 は、なかなか痛烈な「左翼批判」だ。

白状すると、私は「論座」の4月号を読んでいないので、『「丸山眞男」をひっぱたきたい』は、その抜粋をネットで読んだ程度だが、この中で赤木は、『「国民全員が苦しむ平等を」、その可能性の一つは戦争だ』と書いているという。そこには深い絶望が感じられる。

6年前に完結した浦沢直樹の漫画 「MONSTER」 に、人格改造の実験対象になるなどの過酷な幼年時代を過ごしたあげく、「絶対悪」と呼ばれる冷酷非情な殺人鬼に育ってしまった青年・ヨハンが、自らの命を救ったヒューマニストの医師・テンマに向かって発する印象的な言葉がある。「人の命は平等だ」というのがテンマの信念なのだが、そのテンマにヨハンは言う。

「誰にも平等なのは死だけだ。」


格差が克服されないのであれば、いっそみんながともに苦しむ戦争を望むという、赤木の描く若者たちの意見(注)は、まさにヨハンを地で行っている。そんな若者たちを煽動し、熱狂させたのがコイズミだった。安倍晋三は、その熱狂が残っているうちに彼らを利用しつくし、自分たち「選ばれた者」だけがいい思いをする独裁国家に日本を作り変えようとたくらんでいる人間だ。

安倍らの卑劣な狙いは論外だが、絶望の深さを克服するだけのコンセプトを構築するのは、決して容易ではない。
冒頭に紹介した「右派」の工場作業員の方の意見とは異なり、私は、左派もそれなりに「労働経済的な政策により若年層を救済しようと」していると思う。問題は、それがおそらく若者たち嘘臭く感じられて、説得力を持たないことだろう。若年層を救済しようとする左派の人たち自身には、「守りたいもの」があるのに対し、絶望している若者たちには失うものなど何もないのではないかと想像する。

こういう状況をいかにして克服するかが大きな課題だと思うが、残念ながら即答はできない。重い課題だと思う。


(注) 赤木が描いている若者たちの意見は、必ずしも赤木自身の意見と同じではないと思われる。


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社会保険庁の年金記録不備問題で下落した安倍晋三内閣の支持率は、松岡農水相の自殺が追い討ちとなってさらに下落、朝日新聞調査で30%、政権寄りで知られる産経新聞調査でも32.3%を記録した。

これらの問題に隠れがちになっているが、教育再生会議が1日に第二次報告を提出し、翌2日には各紙が記事で取り上げた。遅くなってしまったが、この話題に触れたい。

まず、6月2日の「四国新聞」の記事では、山谷えり子を旗振り役とする教育再生会議の迷走ぶりを笑いものにする記事が掲載されている(共同通信あたりの配信ではないかと思うが、確認できていない)。これを以下に紹介する。


  参院選に向け「教育新時代」を訴える安倍晋三首相に、政府の教育再生会議が第二次報告を提出した。「安倍色」発揮を目指して「親学」「徳育」を目玉にしようとしたが、子育て世代などからの反発を懸念した首相官邸サイドの"介入"などでトーンダウン。稚拙な取りまとめ作業で、後退を繰り返す迷走ぶりは、再生会議の「低い学習能力」(自民党若手議員)を印象付けることになった。

● 母乳 ●

  「保護者は子守歌を歌い、おっぱいをあげ、赤ちゃんの瞳をのぞいてください。母乳が十分でなくても、抱きしめるだけでもいいのです」
  再生会議事務局が作成した「子育て提言」案は、5月8日に有識者委員全員に配布された。提言は、山谷えり子首相補佐官が主導し、一部の有識者委員と原案を作成。3日後の合同分科会で発表し、家庭教育を重視する、「安倍色」の強いメッセージを打ち出す好機としていた。
  だが提言案の内容がマスコミ報道で漏れると 「母乳が出ない人への配慮が足りない」「政府が家庭の問題に立ち入りすぎだ」など、子育て世代を中心に反発が強まった。参院選を控え、得策でないと判断した与党側の意向もくんで、塩崎恭久官房長官が「待ったを掛けた」(関係者)。
  山谷氏は11日の合同分科会後、巻き返しを宣言。第二次報告提出後の6月1日の記者会見でも(提言案の)バージョンアップができた」と胸を張った。しかし第二次報告では、保護者のメッセージが弱まり、国や地方自治体に子育て支援策の充実を求めることに終始するなど、原形をとどめなかった。

● 見送り ●

  一方、現在の「道徳の時間」に代えて、徳育を「新たな教科」に格上げする提言は、第二次報告に盛り込まれ、優先的な課題に位置付けられた。第一次報告で「子どもたちに社会の決まりや規範意識を学ばせる」と掲げたことを受けた具体的な対応策と言える。
  しかしこれも当初の再生会議の説明では「将来的には五段階評価も検討」するとして、国語、数学のような"正式教科化"の印象を与えたが、結果的には見送られた。「内心の自由」を脅かす懸念に配慮し、軌道修正を図った形だ。
  子育て提言、徳育をめぐる経緯は、明らかに無理があるその提案内容とともに「議論生煮え」(閣僚の一人)のまま盛り込もうとする山谷氏らの迷走ぶりを際立たせた。

(四国新聞 2007年6月2日付記事 『「親学」 「徳育」で迷走 教育再生会議2次報告』 より)


次に、この第二次報告を論評する各紙の社説を読み比べてみた。今日記録した当ブログの50万アクセスのキリ番を踏んでいただいた眠り猫さんのブログ 「平和のために小さな声を集めよう」 は、愛媛新聞の社説を賞賛しているが、そこまで目の行き届かない当ブログは、主要6紙(朝日、毎日、読売、産経、東京、日経)を比較するにとどめた。

まず例によって朝日、毎日の両紙は奥歯に物の挟まったような社説で、第二次報告に批判的であるとはいえ歯切れが悪い。両紙の鵺(ぬえ)的性格をよく表している。産経は、徳育の教科化を評価しており、これは産経なら当然の主張だろう。私の主張とは相容れないが、敵らしく旗幟(きし)を鮮明にしていると思う。

この産経の主張とは対照的に、徳育の教科化を正面から批判しているのが東京(中日)と日経である。特に日経は、『「道徳」の教科化は短絡的だ』 として、6紙の中でももっともはっきりした「徳育」教科化の批判をしている。以下に日経社説の後半部分を紹介する。


 (前略)なぜ教科にすることにこだわるのだろうか。

  現在でも小中学校には週に1回「道徳の時間」がある。教科ではないから授業に熱が入らないとの指摘もあるが、多くの学校では効果的に教えようと工夫を凝らし、教育全体のなかで道徳に取り組んでいる。

  その充実を唱えるならば教科という形に固執するのではなく、現場の創意工夫を助け、授業を興味深くする手立てを探るべきである。教科にすれば文部科学省による統制が強まり、微妙な価値観を含む道徳教育が硬直し、画一化する懸念がある。

  提言では点数評価はしないとしているが、教科である以上、何らかの評価は伴うだろう。それでは、道徳心というものをかえって矮小(わいしょう)化するのではないか。

  再生会議は検定教科書導入も今後の課題としている。これはさらに問題が大きい。検定教科書となれば、文科省が重箱の隅をつつくように記述をチェックすることになろう。

  中央教育審議会の山崎正和会長は個人的見解としたうえで、「道徳を学校で教える必要はない」とまで述べている。この発言には道徳の取り扱いの難しさがにじんでいる。教科にすれば規範意識が向上すると考えるのはあまりにも短絡的である。

(日本経済新聞 2007年6月2日付社説 『「道徳」の教科化は短絡的だ』 より)


面白いのが読売で、社説 『教育再生会議 第2次報告の論点を深めよ』 で、「徳育」教科化については報告の内容を紹介しているだけで論評はしていないが、第二次報告が示した競争原理に基づく教育財政改革案を正面から批判している。これを以下に紹介する。


  注目されるのは、これら大学改革のため、効率化、成果主義、実効性ある分野への「選択と集中」といった競争原理に基づく教育財政改革案を示した点だ。

  財務、文部科学両省の間で論争になっていた国立大学の運営費交付金の配分法についても、報告書は「努力と成果を踏まえた新たな配分の具体的検討」を提唱している。

  単純に予算の効率化の観点から競争原理導入を迫る動きに、再生会議が同調することがあってはならない。

  公立小中高校の教員給与も、教員評価によるメリハリある支給に改めるよう提言している。ただ、その評価を、だれがどこで、どんな基準で行うのかは示されていない。

  過度の競争原理導入は、教育現場に混乱をもたらす。再生会議の今後の検討課題には、「教育バウチャー」制や公立学校への効率的予算配分なども挙げられているが、慎重な議論を望みたい。

(読売新聞 2007年6月2日付社説 『教育再生会議 第2次報告の論点を深めよ』 より)


当ブログでは、5月24日付の記事 『「新自由主義」の存在と「哲学」の不在が教育の荒廃を招く』 と5月25日付の記事 『新自由主義が学校教育や研究を破壊する+丸川珠代、テレビ朝日、田原総一朗』 で、安倍政権の「教育改革」の新自由主義的側面は、教育の破壊につながり、非常に危険だと指摘してきたが、これを社説できっちり批判したのは、6大紙中では読売だけだった。

結論からいうと、いずれも保守系の新聞である日経の「徳育」批判と読売の「新自由主義改革」批判を「いいとこ取り」すれば、簡潔にして的を射た安倍政権の「教育改革」批判の社説ができあがると思う。微温的な社説ばかり書いている朝日と毎日には物足りなさだけが残った。これでは、両紙とも読者の支持を失い、没落の一途をたどるだけではないだろうか。
2007.06.04 20:20 | 安倍晋三 | トラックバック(-) | コメント(0) | このエントリーを含むはてなブックマーク
やや旧聞に属するが、5月28日付の「四国新聞」一面に、「香川いのちの相談 自殺相談902件 過去最多」というタイトルの記事が出ていた。以下に引用する。


  香川いのちの電話協会(小島克己理事長)が2006年度に受け付けた自殺に関する相談件数が902件に上り、2年ぶりに過去最多となったことが分かった。男性からの相談が急増しており、中高年を中心に、孤独や心の病を訴えているのが特徴。事務局は「生活苦や仕事に悩む声が多く、厳しい世相を反映しているのでは」とみている。
  まとめによると、自殺を訴えた相談は前年度より220件(32.3%)増加。04年度までは5年連続で過去最多を更新しており、増加傾向に歯止めがかからなかった。
  内訳は男性が414件(前年度273件)、女性が488件(同498件)で、男性の増加が目立つ。かつては女性が男性を2倍程度上回っており、男女差の縮小が顕著となった。
  このうち、昨年12月に実施したフリーダイヤル相談で自殺を訴えた件数も、133件(男性84件、女性49件)で過去最多。男性の90%が孤独や心の病を訴え、年代は40代が最も多かった。(後略)

(2007年5月28日付 四国新聞1面より)


なんとも心が暗くなる記事だが、この記事が掲載されたまさにその日、松岡利勝前農水相が自殺した(死因を疑う声もあるが、ここでは以下自殺として論を進める)。

国民に衝撃を与えた前農水相の自殺から2日後の「四国新聞」に、大谷昭宏氏(元読売新聞記者、フリージャーナリスト)の記事「農相自殺の波紋 安倍内閣の死を意味」が掲載された。
以下に記事の一部を抜粋、紹介する。


  昨年9月、安倍内閣が発足したとき、私はテレビ番組のコメントで「この内閣は新聞社の政治部ではなく、社会部が大忙しになる内閣だ」と評して、政権与党のみなさんからブーイングを浴び、同時に一部のジャーナリストや評論家のみなさんからは「言い得て妙」というこれまた妙な評価をいただいた。
  新聞記者時代、社会部一筋ですごした私は、閣僚名簿を一目見て、これは政治家の資金の流れや贈収賄、スキャンダルを追う社会部記者ぱかりに出番がまわってくる内閣だと直感したのだ。
  その直感が松岡利勝農相の自殺という最も悲惨な形で具現してしまった。いまのところ遺書の詳しい内容は明らかにされず、自殺の動機は不明だが、「ナントカ還元水」でごまかしてきた事務所経費問題のほか、東京地検特捜部が独立行政法人「緑資源機構」をめぐる談合事件で強制捜査に着手。
  この談合にからんで、松岡氏とのかかわりも取りざたされている地元・熊本の団体も捜査の対象になった。そのいずれもが自殺の動機と関連しているであろうことは、自明と言ってもいいはずだ。
  ただ、この松岡氏の死は、動機を解明するだけですむ問題では断じてないはずだ。政治家の問題を政治の場で解決することができなかったのだ。それは、広い意味で言えば、内閣の死、ひいては日本の議会制民主主義の死を意味するはずだ。

(2007年5月30日付「四国新聞」掲載 大谷昭宏「農相自殺の波紋 安倍内閣の死を意味」より)


栄光ある大阪読売の「黒田軍団」の元エース記者でありながら、最近しばしば権力にすり寄ることもあると批判を受けることもある大谷氏だが、ここでは切れ味の良い評論を展開している。特に、政治の問題を政治の場で解決できなかったことが致命的だというのは、松岡氏の「自殺」を知って私が最大の問題だと感じたことだったので、わが意を得たりの思いだった。

大谷氏は、以下のように続ける。


  5年間で約1億4200万円にも上る事務所経費の疑惑をナントカ還元水で逃げ切ろうとする松岡氏に対して、安倍晋三首相は最後まで辞任を迫ることができなかった。内閣として、厳然たるケジメをつけることはついになかった。それは松岡氏を評価してのことではなく、昨年末の行革担当相の辞任に次いで、半年余りで閣僚二人が閣外に去るという事態は、内閣の崩壊を意味すると受け止めたからにほかならない。
  松岡氏は辞任という身の処し方を、いわば安倍首相によって封じられた。結果、安倍内閣は半年余りで閣僚の一人が辞任、一人が自殺という最悪の事態になった。そのことは内閣の死を意味すると言っても、決して過言ではないはずだ。(後略)

(前掲記事より)


冒頭にご紹介した四国新聞の記事を見てもわかるように、空前の自殺社会になってしまった現在の日本だが、政府がその対策を講じるどころか、こともあろうに内閣から自殺者を出し、しかもその事態を招いたのは首相である安倍晋三自身であると指摘されているのだ。

この一件だけでも、安倍内閣は総辞職が相応だと思うのだが、安倍はそんな素振りを全く見せないし、内閣総辞職を求める声も沸き上がらない。これが私には信じられない。

なにか日本社会全体が、感受性を失ってしまって、集団自殺への道を歩もうとしているのではないかと思えてならない。

もはや決まり文句みたいになってしまったが、この悪夢を振り払うためには、最低でも参議院選挙で与党を惨敗に追い込むしかないと思う今日この頃だ。


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「きまぐれな日々」は、3月度までは月々の最終日に月次のアクセス解析記事を公開していたのだが、4月度に引き続いて、5月度もアクセス解析の記事が翌月にずれ込んでしまった。4月度は、「きっこの日記」 からリンクを張って紹介していただいたことからアクセス数が激増し、解析したい項目がたくさんあったための遅れだったが、5月度は、現在並行して用いている3種類のアクセス解析結果の比較をやりたかったのと、月末に起きた松岡利勝農水相の「自殺」事件の衝撃で、アクセス結果をまとめるのを週末に回してしまったのが遅れの原因になった。

前記3種類のアクセス解析とは、FC2の旧アクセス解析と新アクセス解析、それに「はてな」カウンタのアクセス解析機能である。これらの結果は、ちょっとずつ異なる。

まずアクセス数だが、上記3種類のアクセス解析に加えて、FC2カウンタの計数値が得られた。

FC2カウンタ
  トータルアクセス数 69,833件 (4月度比 26.5%減)
新FC2アクセス解析
  ユニークアクセス数 39,158件
  トータルアクセス数 62,053件
旧FC2アクセス解析
  ユニークアクセス数 45,489件 (4月度比 24.2%減)
  トータルアクセス数 60,704件 (4月度比 27.3%減)
はてなカウンタ
  ユニークアクセス数 50,801件
  トータルアクセス数 62,058件


新FC2アクセス解析と「はてな」カウンタは、ともに4月途中から使い始めたものなので、4月度との比較はできないが、4月度のアクセス数は、「きっこの日記」 および 「きっこのブログ」 経由のアクセスが計1万5千件以上あった。それが、5月度には258件(新FC2アクセス解析による)に減ったのだから、アクセス数が大幅に減少したのは当然だった。

ユニークアクセス数とは、同一IPアドレスからの一定時間間隔内の重複アクセスをカウントしないアクセス数で、これが解析ツールごとに異なるのは、単純に考えれば重複をカウントしない時間間隔の値が異なるためだろう。つまり、同じユニークアクセス数といっても「はてな」カウンタの計数は甘く、新FC2アクセス解析による計数は厳しいということだ。また、数え落としや数え過ぎもあるのか、トータルアクセス数も解析ツールによってずいぶん異なる。しかし、新FC2アクセス解析と「はてな」カウンタによる計数値はほぼ同じ値を示している。これが真の値に近いと仮定すると、当ブログへの5月度の1日あたりのトータルアクセス数は、約2千件だったことになる(平均値は 2,002件)。ユニークアクセス数は、厳しい新FC2アクセス解析の値によると、1日平均 1,263件となる。だがこれとて、数時間の間をおいて再度アクセスすると、新しいアクセスとしてカウントされるかもしれない。私は、1日あたりの当ブログへの真の訪問者数は、千人強くらいだろうと見積もっている。

当ブログは、もはや小ブログではないかもしれないが、決して大ブログでもない「中堅ブログ」あたりに位置づけられるだろうと思う。「AbEnd」は、単独ではたいした規模を持たないブログが、つながって大きなことをしようというコンセプトで推進しているブログ運動である(昨年9月6日付の当ブログ記事 『小さなブログがつながって大きなことをしよう!』 参照)。個々のブログが「古典ブログ」にはなり得ずとも、ブログ運動として、最初の発想は先人の運動の換骨奪胎だったかもしれないが、継続と地道な運動拡大の努力によって、先達のなし得なかった成果をあげる可能性を持つに至ったのではないかと考えるしだいである。

さて、新FC2アクセス解析には、リンク元サイト別アクセス数の集計機能があり、5月度のトップ10は下記のようになっている。

1位 http://caprice.blog63.fc2.com 9,418件
2位 http://www.google.co.jp 4,900件
3位 http://d.hatena.ne.jp 3,701件
4位 http://search.yahoo.co.jp 3,657件
5位 http://www.google.com 1,390件
6位 http://blogranking.fc2.com 1,105件
7位 http://minnie111.blog40.fc2.com 1,082件
8位 http://b.hatena.ne.jp 945件
9位 http://sensouhantai.blog25.fc2.com 828件
10位 http://blogs.dion.ne.jp 712件

ここで1位は当ブログ内でのアクセスであり、あまり意味はない。2位と5位はともにGoogle検索だが、他に

55位 http://72.14.235.104 42件
85位 http://72.14.253.104 17件

というのもあり、これらもGoogle検索だから、これらを合計した6,349件が、Google検索経由のアクセスということになるはずだ。ところが、これとは別に集計されている「検索エンジン」別のアクセス数は、以下のようになっている。

google  6,113件
yahoo  3,759件
goo  362件
biglobe  336件
excite  293件
nifty  122件
msn  85件
infoseek  78件
fresheye  11件
livedoor  9件
ask  3件


なぜ同じアクセス解析ツール内で、項目ごとにこのような矛盾する結果が得られるのかはよくわからないが、解析の精度が改善されることを期待したい。
3,701件を数える 「はてなダイアリー」 経由のアクセスは、「はてな」ユーザーごとに表示されないが、この半数以上は、私が管理している裏ブログ 「kojitakenの日記」 経由のアクセスである。
また、dionの 「LOVELOG」 経由の712件のうち、実に709件が 「らくちんランプ」 経由のアクセスだった。これらを考慮すると、「kojitakenの日記」 を除くブログ経由のアクセスのトップ3は、下記のようになる。

1位 『カナダde日本語』 1,082件
2位 『反戦な家づくり』 812件
3位 『らくちんランプ』 709件


この3つのブログは、常にアクセス元ランキングの上位を占めるのだが、一度リンクを張られただけで、その10倍以上ものアクセスを記録した 「きっこの日記」「きっこのブログ」 の影響力がいかにすさまじいかがわかろうというものだ。リンクを張られた翌月になっても、きっこさんのところ経由でなお258件のアクセスがあったというのもすごい話で、同時期にリンクを張られたネット右翼系ブログ「博士の独り言」経由のアクセスは、5月度にはわずか6件しかなかった(新FC2アクセス解析)。この「258対6」という数字が、真の両ブロガーの「影響力の差」を示している。「博士の独り言」が常に政治部門の1位を占める「人気ブログランキング」にはランキング順位捏造の噂が絶えないが、それもうなずける。

さて、次は「はてな」カウンタのアクセス解析による、5月度の人気記事のランキングを示す。トップページおよび「不明」が1位、2位を占めているが、これらを除くと下記のような順位になる。

1位 『血塗られた「美しい国」』 (5月28日) 1,413件
2位 『やりきれない「命の軽さ」』 (5月29日) 1,031件
3位 『安倍政治の目玉「教育改革関連三法案」の真の狙い』 (5月21日) 982件
4位 『ネット右翼のスラングをブログで用いる産経新聞記者』 (5月8日) 888件
5位 『東京都知事選の結果と安倍内閣支持率、そして憲法問題』 (5月3日) 795件
6位 『電波芸者・勝谷誠彦の生態』 (2006年7月29日) 714件
7位 『新自由主義が学校教育や研究を破壊する+丸川珠代、テレビ朝日、田原総一朗』 (5月25日) 567件
8位 『ブログランキングとブログの影響力が全然対応していない』 (4月30日) 523件
9位 『安倍晋三と丸川珠代のヘラヘラツーショット(笑)』 (5月17日) 500件
10位 『右派メディア「週刊文春」にまで小馬鹿にされた安倍晋三と朝日新聞社』 (5月19日) 405件


1位と2位は松岡大臣の「自殺」を取り上げた記事で、先日成立した「教育改革関連三法案」の真の狙いをわかりやすく解説した「サンデー毎日」の記事を紹介した3位の記事とともに、多数の 「はてなブックマーク」 をいただき、「はてな」経由でアクセスが伸びた日の記事である。

トップ10は、もちろん5月の記事が大部分で、8位の4月30日付記事も、公開の時刻が遅かったから(20時54分)、実質的に5月度の記事といってよい。ところが1件だけ、6位の 『電波芸者・勝谷誠彦の生態』 は昨年7月29日の記事で、なぜ勝谷誠彦がいまさら注目を集めたのか私にはわからないのだが、知らないうちにかなりのアクセス数を記録していて驚いた。同じ「はてな」のアクセス解析による検索語(単語)ランキングでも、「勝谷誠彦」が623件で、2位の「きまぐれな日々」 367件、3位の「安倍晋三」 275件などを大きく引き離している(他に「勝谷」が91件で12位)。どうせまた勝谷が顰蹙もののネット右翼的発言でもやらかしたのではないかと想像するのだが。

ところで、5月でアクセス数が最多だったのは、5月30日である。この日のアクセス数は、FC2カウンタで4,220件だったが、前述のように、松岡大臣の「自殺」を取り上げた、上表で1位と2位の記事が多数のアクセスを集めた日だ。

しかし、一昨日のエントリでも書いたように、それより多い、4,876件のアクセスを集めたのが、同じ日の「kojitakenの日記」だった。当ブログの記事 『血塗られた「美しい国」』 には14件、『やりきれない「命の軽さ」』 には15件、『安倍政治の目玉「教育改革関連三法案」の真の狙い』 には16件の「はてなブックマーク」をそれぞれいただいたのだが、「kojitakenの日記」 の記事 『読売新聞の異常な社説』 には、それらを大きく上回る32件の「はてなブックマーク」をいただいた。とはいってもこの記事は、松岡「自殺」問題について、他紙とまったく異なって安倍晋三首相への批判を一切せず、しまいには問題を民主党批判にすり替えた、読売新聞の驚くべき社説を紹介して、それに短いコメントをつけただけのものだ。

「kojitakenの日記」 では、4月9日付の記事 『731部隊元隊員が証言 「子持ちの慰安婦を生体解剖したこともあった』 が、72件の「はてなブックマーク」をいただいたことがあり、これが自己最多なのだが、これまた読売新聞の中部版および大阪本社版に掲載された記事を紹介した記事だった。『読売新聞の異常な社説』 の「はてブ」 32件は、それに次ぐ数字であって、この2つの記事を超える「はてブ」の件数は、「きまぐれな日々」でも記録したことがない。

これは、なんだかんだ言って、ベクトルの向きはともかくとして、新聞記事を超える記事を私がブログで書き得ていない証明のようなものだろう。いつか、独自の着想に基づいて、新聞記事を超えるような記事を書きたいものだとは思うが、いつになったらそのような記事が書けるかの見通しなど、全くないことはいうまでもない(笑)。


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今日から6月だ。

6月というと、「AbEnd」にとっては記念すべき月で、昨年6月に安倍晋三が統一協会系団体の大会に祝電を送ったことが露見したのをきっかけに、「安倍を『the End!』させよう!」の合言葉のもと、「AbEndキャンペーン」がスタートした。

それから1年、はじめは安倍晋三の自民党総裁就任を阻止すべく、のちには総理大臣の座から引きずりおろすべく、ある時は石原慎太郎の東京都知事選三選を阻止すべく記事を書き続けてきた。

これまでのところ勝利に至ったことは一度もない。しかし、安倍晋三内閣の支持率は、高い数字を記録した就任直後から、毎日新聞調査で32%にまで下がった。しかも、この毎日調査の直後に松岡農水相が「自殺」した。現時点で同紙が同じ内容で調査を行った場合、おそらく支持率は20%そこそこの値を示すだろう。

私は、松岡氏が自殺だろうが他の死因だろうが、実質的に政権に殺されたも同然であることになんら変わりはないと考えている。新聞に掲載された「週刊新潮」6月7日号の見出しにも、『「安倍に殺された」の非難で危うくなった「参院選」』とある。マスコミの記者も、関係者に「安倍さんが松岡さんを死に追いやったという声も聞かれますが」と遠慮なく質問するようになった。

ところで、今年は12年に一度、統一地方選と参院選が同じ年に行われる年だ。朝日新聞の編集委員を務めていた故石川真澄氏によると、こういう年は参院選の投票率が下がるという。どういうことかというと、「県議クラスを中心に積み上げられた地方の草の根組織運動が、統一地方選、つまり運動の中心人物たち自身の選挙が終わった直後には動かなくなっている。動かないと、そうした選挙運動に誘われて参院選の投票に行くはずだった人々が投票所に行かなくなり、投票率が極端に下がる」のだという。石川氏はこれを「亥年現象」と名づけた。(「世界」 2001年10月号より。単行本 「戦争体験は無力なのか」 (岩波書店、2005年)収録)。

だが、今回に限っては、「亥年現象」のジンクスを打ち破らなけばならない。与党には公明党がいるため、投票率が下がれば下がるほど与党が有利になるからだ。

草の根組織運動が動かなくなるなら、ブロガーが動こう。そして、「AbEnd」の輪を広げていき、安倍晋三率いる自民党に、参院選で壊滅的な打撃を与えたいものである。

もちろん、今からでも遅くないので、「AbEnd」への新規参入は大歓迎である。参加は簡単なので、「カナダde日本語」 の下記記事を参照いただきたい。
http://minnie111.blog40.fc2.com//blog-entry-170.html


おまけ。「つくる会」と扶桑社が割れたらしい(笑)。
http://www.tsukurukai.com/01_top_news/file_news/news_070525.htm

産経新聞が松岡大臣の自殺に関して安倍晋三をまともに批判する社説を掲載したのは、あるいはこれとも関係があるのだろうか?


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