「論座」の6月号に、加藤紘一のインタビューが出ている。「ネット社会はどこへ向かう」がテーマである。
加藤は、次のように主張している。すなわち、現在の「右翼」と呼ばれる層には2種類あり、国学から発生した従来の右翼と、「諸君!」「正論」「SAPIO」「WiLL」に代表される「オピニオン雑誌右翼」に分けられる。後者の「北朝鮮に先制攻撃をかけろ」「なぜ核を持ってはいけないのか」などの過激な主張を前にして、従来右翼はだんだん自分たちの居所がなくなってきている。だから、そういう人たちにどんどん意見を言ってもらいたい、などなど。
実は同様の主張を、民族派右翼である鈴木邦男も行っている。加藤の言う「オピニオン雑誌右翼」(鈴木は産経新聞もそれに含めている)の過激さに比べれば、既存の右翼の方が穏やかだ、だから「右翼は何をやっているんだ」という声が聞こえるようになり、「このままでは自分たちの存在意義がなくなってしまう」とか「何かしなくちゃいけない」と義憤にかられて過激なテロに走るものが出てくる。それを防ぐためにも、(既存の)右翼にも言葉で闘える場を作ってやらなければならないと、鈴木は主張している(「創」2006年11月号での佐高信との対談記事より)。
加藤や鈴木の言う、既存の右翼とは区別される「オピニオン雑誌右翼」の言論の一つの例が、産経新聞・阿比留瑠比記者のブログ 「国を憂い、われとわが身を甘やかすの記」 だろう。
実は、別段このブログのことを取り上げるつもりはなかったのだが、Wikipediaの「阿比留瑠比」の項 を読んで気になったのと、「カナダde日本語」の記事でも、当ブログへのリンク及び某所での私のコメント(笑)とともに阿比留氏のブログのことが取り上げられたので、当ブログでも急遽取り上げることにした。
まず、Wikipediaの記述を、書き換えられないうちに引用しておく。
この記述の最後にある「週刊ポスト」の記事は、下関市長選をめぐる「火炎瓶事件」に関するもので、この件に関しては月刊「現代」の昨年12月号に、魚住昭と青木理による優れた記事があることは、昨年11月3日付の記事を皮切りに、何度か紹介した。
それはともかくとして、私がもっとも気になったのは、
『Blogでは河野洋平を「紅の傭兵」(こうのようへいに引っ掛けた意地の悪い当て字)と非難するなど、インターネットの保守派によるスラングも多用する』
という記述だ。これにはさすがの私も目を疑い、阿比留氏のブログを調べてみたところ、本当だった。
私は、2ちゃんねらーなどのネット右翼が、河野洋平氏を「紅の傭兵」と呼んでいることは、以前から知っていた。
しかし、まさか新聞記者、それも安倍晋三首相の外遊に同行するほどの記者が、こんな非常識なことをしているとは、想像だにしなかった。
この記者のブログは、ひたすら安倍にべったりで、あまりの退屈さに読む気も起きないものだが、注目すべきはこの記者が「イザ!」のブログのあちこちにコメントをつけていることで、それらを見ていると、「多少節度のあるネット右翼」の域を出るものではないことがよくわかる。
日本の言論人の劣化もここまできたか、と出るのはため息ばかりである。
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加藤は、次のように主張している。すなわち、現在の「右翼」と呼ばれる層には2種類あり、国学から発生した従来の右翼と、「諸君!」「正論」「SAPIO」「WiLL」に代表される「オピニオン雑誌右翼」に分けられる。後者の「北朝鮮に先制攻撃をかけろ」「なぜ核を持ってはいけないのか」などの過激な主張を前にして、従来右翼はだんだん自分たちの居所がなくなってきている。だから、そういう人たちにどんどん意見を言ってもらいたい、などなど。
実は同様の主張を、民族派右翼である鈴木邦男も行っている。加藤の言う「オピニオン雑誌右翼」(鈴木は産経新聞もそれに含めている)の過激さに比べれば、既存の右翼の方が穏やかだ、だから「右翼は何をやっているんだ」という声が聞こえるようになり、「このままでは自分たちの存在意義がなくなってしまう」とか「何かしなくちゃいけない」と義憤にかられて過激なテロに走るものが出てくる。それを防ぐためにも、(既存の)右翼にも言葉で闘える場を作ってやらなければならないと、鈴木は主張している(「創」2006年11月号での佐高信との対談記事より)。
加藤や鈴木の言う、既存の右翼とは区別される「オピニオン雑誌右翼」の言論の一つの例が、産経新聞・阿比留瑠比記者のブログ 「国を憂い、われとわが身を甘やかすの記」 だろう。
実は、別段このブログのことを取り上げるつもりはなかったのだが、Wikipediaの「阿比留瑠比」の項 を読んで気になったのと、「カナダde日本語」の記事でも、当ブログへのリンク及び某所での私のコメント(笑)とともに阿比留氏のブログのことが取り上げられたので、当ブログでも急遽取り上げることにした。
まず、Wikipediaの記述を、書き換えられないうちに引用しておく。
阿比留瑠比
経歴
保守寄りな論調で知られ、近年同傾向にある若年層やもともと保守的な世代からは絶大な支持を受けている。Blogでは河野洋平を「紅の傭兵」(こうのようへいに引っ掛けた意地の悪い当て字)と非難するなど、インターネットの保守派によるスラングも多用する。日本教職員組合などの組合や、連合の支援を受ける民主党に対する批判記事も多い。
逆に、自民党には好意的な記事が目立ち、自らが取材を担当している首相・安倍晋三には明らかに好意的である。Blogでも安倍政権に好意を隠さないが、Blogの書き方については試行錯誤であることを明かしている(「政治記者と政治家との距離の置き方について 2007/04/24 10:18」)。
2007年の統一地方選挙で起こった、伊藤一長長崎市長殺害事件では、『週刊朝日』5月4・11日合併号の記事「山口組系水心会と安倍首相の『関係』を警察庁幹部が激白」と、犯人の所属していた暴力団と安倍の秘書に接点があるように受け取れる表題の記事を載せた(記事本文では、直接の接点は無いとしている)。阿比留は安倍への記者会見でこの件について質問し、安倍は「一切関係がありませんし、これは全くのでっち上げで、ねつ造」と反論した(安倍首相の怒りのコメントと懲りない朝日新聞 2007/04/25 12:36)。これについて、『日刊ゲンダイ』や山岡俊介は、この会見は普段は若手記者が行うものであるのに、そうではない阿比留が行っていること、安倍が『週刊朝日』の記事を詳しく知っていたことなどを理由に、両者が事前に打ち合わせしていたのではないかと推測した(ゲンダイ「安倍「週刊朝日」批判の余波」、山岡「2007.04.26 『週刊朝日』問題、安倍首相“圧力”は側近記者とのデキレースの模様」。山岡の記事は、全文閲覧は有料)。また、この件についてベンジャミン・フルフォードが『週刊ポスト』5月18日号「安倍首相は「暴力団グループに300万円」検察論告にどう答えるのか」で安倍に再反論を買って出たが、この記事については安倍も阿比留も反応していない。
(『Wikipedia 「阿比留瑠比」』より)
この記述の最後にある「週刊ポスト」の記事は、下関市長選をめぐる「火炎瓶事件」に関するもので、この件に関しては月刊「現代」の昨年12月号に、魚住昭と青木理による優れた記事があることは、昨年11月3日付の記事を皮切りに、何度か紹介した。
それはともかくとして、私がもっとも気になったのは、
『Blogでは河野洋平を「紅の傭兵」(こうのようへいに引っ掛けた意地の悪い当て字)と非難するなど、インターネットの保守派によるスラングも多用する』
という記述だ。これにはさすがの私も目を疑い、阿比留氏のブログを調べてみたところ、本当だった。
『突っ込みどころ満載の朝日夕刊と紅の傭兵』
http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/141017/
私は、2ちゃんねらーなどのネット右翼が、河野洋平氏を「紅の傭兵」と呼んでいることは、以前から知っていた。
しかし、まさか新聞記者、それも安倍晋三首相の外遊に同行するほどの記者が、こんな非常識なことをしているとは、想像だにしなかった。
この記者のブログは、ひたすら安倍にべったりで、あまりの退屈さに読む気も起きないものだが、注目すべきはこの記者が「イザ!」のブログのあちこちにコメントをつけていることで、それらを見ていると、「多少節度のあるネット右翼」の域を出るものではないことがよくわかる。
日本の言論人の劣化もここまできたか、と出るのはため息ばかりである。
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