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きまぐれな日々

早いもので、もう2月も終わりだ。
西日本では、年の初めの3か月はあっという間に過ぎ去っていくことを「1月はいぬ、2月は逃げる、3月は去る」と表現する。
「いぬ」は「去ぬ」という字を当て、行ってしまう、去る、などの意だ。「帰る」という意味に用いる地方もある。
なお、関東では、1月は「いぬ」と言わず、「行く」と言うそうだ。

さて、今回は恒例の月次のアクセス解析の記事だが、ここにきて安倍晋三内閣の支持率がさらに大きく下降したのと、1月末に新たなアパ物件の耐震偽装が明らかになったせいか、2月は1月と比較して大きくアクセス数が増加した。

FC2のアクセス解析ツールによる解析結果は、トータルアクセス数が47,155件(前月比17.8%増)、重複をカウントしないユニークアクセス数では32,008件(前月比20.9%増)となっている。月別のユニークアクセス数では過去最多を記録したが、トータルアクセス数では、過去最多だった昨年11月の48,133件にわずかに及ばなかった。もっとも、2月は28日しかないので、1日あたりのアクセス数としては、トータルアクセス数でも過去最多を記録した。

リピーターの占める割合は月を追うごとに増えている。今月とほぼ同数のアクセス数を記録した昨年11月と比較すると、初回訪問アクセスが全アクセスに占める比率は、11月の42.5%から34.0%にまで低下した一方、100回以上訪問のアクセス数の比率は、11月の6.7%から、倍以上の13.9%にまで増えた。以下に、訪問回数別の月別アクセス数の変遷をグラフで示す。

0605-0702_訪問回数別アクセス数グラフ

(クリックすると画像が拡大します)

リンク元URL別のアクセス数では、検索エンジンを別にすると、このところずっと、「カナダde日本語」「反戦な家づくり」「らくちんランプ」が不動の上位で、それは今月も変わらない。

先月紹介した検索エンジン経由のアクセス数の推移だが、今月はGoogle経由が微増だったのに対し、Yahoo!経由がかなり増えた。昨年8月以降のデータを下記に示す。

2006年8月: Yahoo! 1135件, Google 1064件
2006年9月: Yahoo! 3911件, Google 1357件
2006年10月: Yahoo! 2402件, Google 1305件
2006年11月: Yahoo! 4898件, Google 2028件
2006年12月: Yahoo! 3456件, Google 2707件
2007年1月: Yahoo! 2149件, Google 4077件
2007年2月: Yahoo! 2839件, Google 4394件

Yahoo!経由の検索数が乱高下する理由は、依然としてよくわからない。

1月度はわずか8件だった、検索語「安倍晋三」による訪問は27件で、少しだけ持ち直したが、過去最多だった昨年11月の276件と比較すると、なお10分の1の低レベルだ。

OS別のアクセス数では、マイクロソフトのWindows系が89.6%を占め、そのうちの85.1%(全体から見ると76.3%)がWindowsXPである。MacOSは8.7%、UNIXは0.5%であり、UNIXの内訳は98%がLinuxで、SunOSが2件、FreeBSDが1件となっている。また、Windows, MacOS, UNIXのいずれでもない「その他」が1.2%を占めている。

2月最後の今日は、中国発の世界同時株安や、前宮城県知事の浅野史郎さんが東京都知事選への立候補に意欲を示したというニュースが流れ、きたるべき3月もまた波乱に満ちた月になることを予告するかのようだ。

今月の当ブログの記事は、アクセス数こそほぼ自己最多だったものの、忙しかったせいもあって書き飛ばした記事も多く、内容的にはかなり不満が残った。

来月は、記事の内容も充実させたいものだと思っている。


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もうずいぶん前から思うことだが、大新聞とテレビがおかしい。権力に対する批判を控えるようになってきている。

マスコミ各社を、右派と左派に色分けして論じることは、昔からなされてきた。朝日新聞は左寄りで、産経新聞は右寄りだなどといわれてきた。テレビでは、TBSがもっとも体制に批判的だといわれていた。

だが、その色分けはここにきて大きく変化してきた。

安倍晋三や石原慎太郎をめぐる言論状況については、「オール巨大メディア」対「雑誌媒体・ネット言論」の対決の様相を呈している。「安晋会」の疑惑や、石原慎太郎の都政私物化に関して、巨大メディアは沈黙を続けている。

露骨に変わったのは、朝日新聞・テレビ朝日の朝日グループとTBSだ。24日の記事にも書いた、菅直人を国政から追い出そうとせんばかりの朝日新聞の社説には驚いたが、郵政総選挙の時は、朝日新聞の加藤という記者が、テレビ朝日の「報道ステーション」で、「小泉さんの夢をかなえてあげたい」と発言したのにブッ飛んだことをよく覚えている。多くの方が指摘しているように、朝日新聞は、すっかり「御用新聞」と化してしまったようだ。

もともとコイズミやアベシンゾーびいきだったテレビ朝日の「サンデープロジェクト」は、鳩山由紀夫や菅直人さえ出演を渋るほど露骨な与党応援番組と化している。25日の番組には、教育担当の首相補佐官である、山谷「ウィークエンダー」えり子が出演し、「安倍内閣の教育改革」を宣伝していた。安倍や山谷らが「教育改革」の名のもとにたくらんでいることを追及し、批評するというジャーナリズム本来の姿勢は、そこにはない。番組司会者の田原総一朗は、いまや日本で最も悪質な電波芸者の一人だといえるだろう。

TBSで朝の報道バラエティ番組(だと私は思っている)「朝ズバッ!」のキャスターを務めているみのもんたに至っては、番組中で露骨に安倍晋三や石原慎太郎に恭順の意を表し、媚びるような態度を示していて、気分が悪くなってしまう。

このみのもんたは、本名を御法川法男(みのりかわ・のりお)といい、文化放送の記者として社会生活のスタートを切った。自民党の御法川信英議員は親戚とのことだ。

文化放送は、フジ産経グループのメディアだから、みのがもともと体制側の人物であることは明らかなのだが、一昨年末、ヒューザーのマンションの耐震偽装問題が生じた時は、「朝ズバッ!」がテレビでは唯一問題を追及する姿勢を見せたことがあった。そのわずか数か月前には、小泉自民党の圧勝をもたらす「郵政民営化マンセー」の世論を大いに煽ったみのが、今頃何を言ってるんだと思ったものだが、そのみのは、アパの耐震偽装問題には、ダンマリを決め込んでいる。「きっこの日記」によると、みのがアパとべったりだからだろうとのことだが、みの自身はテレビで、アパの女社長のことを「知り合いでも何でもございませんけど」と言いながら必死にかばっていたので、見ていてあまりの露骨さに吹き出したものだ。

昨日(2月26日)の番組では、「浅野史郎さんのハートに火をつける会」主催のパーティーに、前宮城県知事の浅野史郎さんが出席したニュースや、毎日新聞の世論調査で安倍内閣支持率が36%に低下し、不支持(41%)が支持を上回ったニュースについては、露骨に渋い顔をして見せた。

そして、今日(2月27日)は、民主党が都知事選の独自候補を決められないことを、番組のコメンテーターで、これまた一昨年の郵政総選挙でコイズミ自民党の圧勝を煽った岸井成格と一緒になって批判し、岸井は「今からでも遅くない、菅直人が立て」と言っていた。私が2月23日の朝日新聞社説を思い出したことはいうまでもない。

でも、今度の都知事選で自民党推薦の候補が立つんだっけ?
石原慎太郎は、宮崎県知事選で起きた「そのまんま現象」に恐れをなして、最初は石原の方から求めていたといわれている自民党などの推薦を、一転して「受けない」と言い出した。みのの理屈に従うなら、自民党は石原なんかじゃなくて独自候補を立てるべきではないのか? そう主張するのでなくては公平を欠くだろう。

田原総一朗が、ある程度政治に関心を持つ層の視聴者を、与党支持に洗脳しようとしているとするなら、生活番組で主婦層に人気の高いみのもんたは、いわゆる「B層」の視聴者を与党支持に洗脳しようとしており、その影響力の幅広さを考えると、田原総一朗よりもっとひどい、日本一悪質なテレビキャスターといっても過言ではあるまい。これを書いている今も、みのは安倍晋三をべた褒めする妄言を吐き続けていて、よくもまあここまで権力者にゴマをする姿勢を見せて恥ずかしくないものだと呆れるばかりだ。もちろん、こんな男を報道バラエティ番組(笑)の司会者に起用しているTBSは、翼賛放送局というほかない。

このところ週刊誌は安倍・石原批判記事で頑張っているし、われわれAbEndブロガーも、忙しい日々の生活の合間をぬって、連日安倍・石原を批判する記事を書き続けている。最近では、巨大メディアとの対決の様相を呈してきたとさえ思えてきた。


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プロ野球・中日ドラゴンズで入団テストを受けていた中村紀洋選手が、ナント年俸400万円の「育成選手契約」で同球団入りすることが決定した。背番号は「205」とのこと。

『ノリが中日と契約、年俸2億円→400万円』
(「日刊スポーツ」 2007年2月25日)
http://www.nikkansports.com/baseball/f-bb-tp0-20070225-161755.html

なぜいつもと趣向を変えて、突然プロ野球の話題から始めたかというと、新自由主義者の言う「頑張ったものが報われる社会」というのは、頑張れなかった時には当然こういう結果を招くものだと言いたいからだ。

プロ野球のような実力の世界では、父が大選手だからといって、その地位が息子にまで引き継がれるわけではない。引き合いに出して悪いが、ミスター・ジャイアンツとうたわれた長嶋茂雄の息子、長嶋一茂や、南海ホークスのスター選手にして、ヤクルトスワローズで名監督とうたわれた野村克也の息子、野村克則(カツノリ)は、いずれも凡庸な選手だった。そして彼らは、その結果に応じた報酬しか球団から得られなかった。

私は、新自由主義の思想には反対だが、新自由主義的なルールを当てはめた方が良い世界もあると思っている。プロ野球選手はその典型だし、芸能界もそうだ。そして、企業の経営者なども同様だろう。経営者も、ちょっと経営が傾けば、いつでもクビを覚悟しなければならない立場だ。

彼らが「頑張ったら報われる」のは、大いに称賛すべきことだ。私は12年前にアメリカに渡った野茂英雄選手を応援しているが、彼の浮き沈みの激しさは、まさに新自由主義的といえる。日本で故障して、球団ともめて近鉄バファローズを退団した野茂は、マイナー契約でドジャース入りし、メジャーに上がってほどなく、得意のフォークボールでメジャーリーガーから三振の山を築いた。ノーヒットノーランも達成した。かと思うと故障で再びマイナー落ちしたあと、再び不死鳥のように復活し、二度目のノーヒットノーランと二度目の奪三振王に輝いた。しかし、三度故障して現在に至っており、年齢的にももう苦しいかもしれない。だが、ここまで頑張ったのだから、彼は悔いを残さず選手生活を終えることができるだろう。

野茂のように、天職ともいうべき仕事にめぐり会えた人間が、頑張って結果を出した時は高給を得て、そうでない時は屈辱的な境遇で過ごすのは、悪いことではないだろう。しかし、一度実績を得た選手が、成績の悪い時もずっと高年俸を得ていたらどうだろうか。または、全然実力もないのに、かつてのスタープレーヤーの息子だとか孫だからという理由で、打線の四番に居座っていたりしたらどうだろうか。

いずれの場合も、チームの成績の悪化を招き、ファンからも見放されて、球団経営は成り立たなくなるだろう。

今の新自由主義的主張をする政治家のおかしさは、一つにはそこにある。三世の政治家が「頑張った者が報われる社会を」などと言っても、何の説得力もない。そもそも彼らは、中村紀洋がなめたような辛酸を味わうことはないのである。

もうひとつは、野球でいうと野茂のような卓越した能力に恵まれなかった選手にも、生活に困らないような最低報酬を保障する必要がある。つまり、新自由主義的な施策を適用しても良い人たちと、適用すべきではない人たちがいるということだ。プロ野球選手の場合、多くの選手にとっては、第二の人生は文字通り「再チャレンジ」となる苦しいものになるから、ある程度の最低報酬額が保障されていないと、プロ入りはリスクが極めて高いものになる。

企業の従業員についても同じことがいえる。たとえば、青色発光ダイオードを開発した中村修二氏のような卓越した能力を持つ人は、新自由主義的な世界で生きれば良いと思う。しかし、そうではない大多数の従業員に、不必要なリスクを負わせるべきではない。ましてやそれが、本来経営者が負うべきリスクを従業員に転嫁するようなものであるなら、論外というほかあるまい。

ちょっと前、安倍政権が導入しようとして問題になった「ホワイトカラー・エグゼンプション」とは、そういう性格を持つものだった。こういう傾向は、90年代から現れており、多くの企業で導入された「成果主義」は、つまるところリストラの口実でしかなかった。ある電機メーカーでは、成果主義を全然うまく運用できなかったのに、二期連続で赤字を出した経営者が居座って問題になった。社員の士気はずいぶん低下したそうだ。

社会的地位が上に行けば行くほど、成果を求められるのは自然なことだ。国政を預かる政治家など、その最たるものであって、政治家は家柄などよりも実力で選ばれなければならず、成果を厳しく問われねばならない。

ところが、今の政治家は二世、三世ばかりである。昔からそうだったのかというと、決してそんなことはない。

70年代から80年代にかけて相次いで総理大臣になった「三角大福中」こと三木武夫、田中角栄、大平正芳、福田赳夫、中曽根康弘の5名に、世襲政治家など一人もいない。その後も竹下登、宇野宗佑、海部俊樹は世襲ではなく、宮沢喜一は「世襲」ということになっているが、父は政治家の秘書に過ぎなかった。

時代が変わるのは、細川護煕首相からである。細川は、殿様の家系だった。以後の首相のうち、社会党の村山富市を除いて、羽田孜、橋本龍太郎、小渕恵三はいずれも世襲議員であり、森喜朗は世襲ではないことになっているが、祖父と父が町長を務めていた。そして、小泉純一郎と安倍晋三は三世議員、「ポスト安倍」として有力とされる麻生太郎に至っては、ナント「五世議員」である。

その他、やはり「ポストコイズミ」候補といわれた福田康夫、谷垣禎一、それに現自民党幹事長の中川秀直、同政調会長の中川昭一、内閣官房長官の塩崎恭久ら、みーんな世襲議員たちだ。世襲でなければ政治家にあらず、といわんばかりだ。

これは、プロ野球にたとえてみると、長嶋一茂やカツノリのような選手ばかりで打線を組んだチームのようなものである。彼らが、本来パフォーマンス本位でなければならないはずの新自由主義政策を推進していること自体が自己矛盾である。誰が、世襲で職業を継げるような政治の世界に、市場原理が働いているなどと信じられるだろうか。ことに、家柄だけは立派だが能力はまるでない安倍晋三など、「格差固定の象徴」以外のなにものでもあるまい。

社会の中で、一番成果主義が適用されなければならない政界が、一番硬直した格差固定の世界になっているのは、大変大きな問題だろう。

同じ保守思想、場合によってはネオコンというべき思想を持っていても、世襲でない場合、自民党では出世できないので民主党入りするという、半分冗談の話があるが、半分本気にとらざるを得ないところが恐ろしい。

ちょっとでもましな政治を望む場合、やはり自民党政権を倒して政権交代させるところから始めなければならないと思う。

ここまで政治が劣化してしまうと、最初から最善の政権を実現することなど望むべくもないのだから、とりあえず最悪ともいうべき今の安倍政権から倒すところから始めなければならないと思うのである。


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東京都知事選をめぐる情勢だが、今朝(2月25日)のフジテレビ「報道2001」に民主党の鳩山由紀夫幹事長が出演し、菅直人氏の都知事選出馬を否定するとともに、昨日名前が報じられた小宮山洋子氏にも断られたと明言した。

前宮城県知事の浅野史郎氏については、民主党の推薦を得ての出馬は辞退、市民からの応援を得ての出馬については、今日行われる会で、方向性が明らかになるかもしれないと、鳩山氏は言っていた。

その会とは、寺町ともまささんのブログ「てらまち・ねっと」の下記記事に紹介されているものだろうと思うので、お知らせする。
(下記URLをクリックするとリンク先に飛びます)
http://blog.goo.ne.jp/teramachi-t/e/064f715f672460fa72a03c4263819954

他のソースからの情報とも合わせて、会場、時間およびアクセスに関する情報を下記に示す。

日時:2月25日(日)午後6時半?8時

場所:八重洲 富士屋ホテル 2階 桜の間 (定員300人以上)
   東京都中央区八重洲2-9-1 電話03-3273-2111

参加費: 無料(どなたでもご参加いただけます)

主催:「浅野さんのハートに火をつける会」

アクセス:
 電車/JR東京駅下車徒歩5分
    地下鉄有楽町線銀座一丁目駅下車徒歩2分
    首都高速宝町ランプ出口より5分
 車/ 首都高速道路?京橋IC?東京駅方面へ
    外堀通り沿い5分、パーキングあり(1,000円/日)

この会には、浅野史郎さんご自身の出席も得られそうな状況だそうだ。

私自身は地方在住で、このところ多忙でもあり、会への参加はおろか、都知事選をめぐる情報さえ十分フォローできていない状況だが、石原の三選を阻止する上で、浅野さんは非常に有力な候補であり、是非都知事選に出馬していただきたいと考えている。


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朝日新聞が東京都知事選における民主党候補に、菅直人氏を立てよと強硬に主張する社説を掲載している(2007年2月23日付社説 『民主党は本気を見せろ』)。

菅直人は 『私が国会からいなくなって一番喜ぶのはだれか。安倍首相だ』 と言って出馬を固辞しているが、朝日の社説は、 『国政への意欲は分かる。だが、菅氏にはこう尋ねたい。逆に、民主党が「最も期待できる人」の擁立に失敗して一番喜ぶのはだれか??。それも、安倍首相であることは疑いようもない』 と、詭弁としかいいようのない論理で切り返し、菅氏の出馬を強く求めている。そして、『小沢代表や鳩山由紀夫幹事長は菅氏説得に動くべきではないか』 と結んでいる。

現在、民主党では党内での菅氏の影響力を殺ぐために、右派が中心になって菅氏を都知事に転出させようとする動きがあるという。朝日の社説は、みごとにそれに呼応するものだ。「リベラル右派」の朝日新聞(昨日のエントリ参照)の面目躍如というべきだろう。

私は、菅氏の主張を支持し、朝日新聞の社説は、民主党内の「菅下ろし」に加担する意味しか持たないと考えている。

なお、この朝日新聞社説の件については、「カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの虚業日記」に「朝日新聞の気色悪い社説」という題の記事で、痛烈な批判がなされている。カマヤンも指摘しているように、「朝日新聞はもはやあらゆる市民勢力にとって敵と見なすべきである」ことをよく認識する必要があると思う。

その朝日新聞に、かつて本多勝一というスター記者がいた。ベトナム戦争のルポ「戦場の村」、南京虐殺などを取り上げた「中国の旅」、教育問題に関する「子供たちの復讐」などの著書で知られており、朝日新聞社退職後は、週刊誌「週刊金曜日」を立ち上げた。

本多氏は、現在の朝日新聞社では存在を許されないかもしれないくらい左翼的な記者だったが、記者生活後半では、その独裁志向や大江健三郎氏らとの衝突が問題となったりもした。最近でも、「噂の真相」編集長の岡留安則氏と激しく対立するなど、毀誉褒貶の激しい人物ではある。

だが私は、欠点は欠点として、優れたルポライターとしての本多氏の業績は認めるべきであると考えている。

その本多氏が、「週刊金曜日」2000年7月7日号に、コラム「貧困なる精神」で、「石原慎太郎の人生」と題する文章を書いている。

この記事に、ベトナム戦争当時、現地に出向いた石原がとった驚くべき行動が書かれているので、ここに紹介する。

報道写真家の石川文洋が 『ベトナム最前線』 というルポルタージュを読売新聞社から刊行しました。これに序文を寄せた石原の文章を読んで、次の部分に私は少なからず驚かされることになります。

  ベトナム戦線Dゾーンのチャンバンの砲兵陣地で、訪れた我々日本記者団に向かって、試みに大砲の引き金を引いて見ないかと副官にすすめられたことがある。 (中略) 番が私に廻って来そうになった時、同行していた石川カメラマンがおだやかな微笑だったが、顔色だけは変えて、「石原さん、引いてはいけません。引くべきでない。あなたに、この向こうにいるかも知れない人間たちを殺す理由は何もない筈です」といった。
  躊躇(ちゅうちょ)している私に、陽気な副官は鉄兜をさし出し、"Kill fifteen V.C.!" と叫んだが、幸か不幸か突然射撃中止の命令が入り、その時間の砲撃は止んでしまった。
  私は今でもその時の石川君の、私を覗(のぞ)くように見つめていた黒いつぶらな瞳(ひとみ)を忘れない。童顔の、あどけないほどのこの若いカメラマンの顔に、私はその時、なんともいえず悲しい影を見たのだ。
  彼がもし強く咎(とが)めていたら、私は天邪鬼(あまのじゃく)にその後まで待って引き金を引いていたかも知れない。

この文章からみると、石原は解放戦線または解放区の住民に対して、副官にすすめられるままに、大砲の引き金を引く寸前だったことになります。たまたま「幸か不幸か突然射撃中止の命令が」 出たために、彼はそれを果たせなかった。もし中止命令が出なければ、第一には「すすめられるままに」、そして第二の可能性としては 「彼(石川文洋) がもし強く咎めていたら、私(石原慎太郎) は天邪鬼にその後(砲撃再開)まで待って引き金を引いていたかも知れない」のです。

(「週刊金曜日」 2000年7月7日号掲載 本多勝一 「貧困なる精神」 (121) 『石原慎太郎の人生』より)

この文章自体は2000年に発表されているが、本多はこの件をそれまでにも何度も書いており、私が初めて知ったのは、確か1978年のことだったかと思う。それ以前から私は石原が嫌いだったが、この驚くべき殺人未遂の件を知ったあとは、石原慎太郎という男が絶対に許せなくなった。それからもう30年近くになる。

そもそも「幸か不幸か」とはなんたる言い分だろう。石原によって、罪のないベトナムの人たちが殺されずに済んだのが「不幸」かもしれないとでも言うのだろうか。

こんな男を、過去2期8年にわたって都知事にいただいてきただけでも、東京人は「世界に晒す日本の恥」としか言いようがないと私は思うが、昨年来数々の醜聞や都政を私物化している実態が次々と報じられても、なお都政を石原に託すのであれば、それ自体スキャンダルとしか言いようがあるまい。


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このところイイワケばかりだが、週末の夕方だというのに忙しくてならない。そこで、またまた簡単な記事で済ます。

だが、簡単ではあっても、是非ともみなさまにご紹介したい内容だ。

現在、従来の「保守対リベラル」「右翼(あるいは右派)対左翼(あるいは左派)」という単純な分類では理解できない、価値観の混乱が生じているように思う。

たとえば、私は最近自民党の加藤紘一氏の著書や活字メディアに掲載された発言を読むことが多いが(『年末年始に読んだ本(1)?加藤紘一「テロルの真犯人」』などを参照)、その主張には共感できる点が多々ある。一方、民主党の長島昭久、原口一博、前原誠司各氏らの言動には、全然共感することができない。

極論すると、公明党と共産党を除いた自民党、民主党、社民党、国民新党所属の諸氏の立ち位置は錯綜しているように見える。特に、自民党と民主党の錯綜ははなはだしく、頭が混乱しそうになる。

この状況は、経済右派というか、いわゆる新自由主義勢力の台頭によってもたらされたと思う。経済右派の代表的な政治家は小泉純一郎(コイズミ)である。

「自民党をぶっ壊す」というコイズミの主張は、既成の権力構造への挑戦とみなされ、当初、政治思想上の右派よりむしろ左派から支持を受けた。コイズミ政権初期の2001?02年頃は、右派の新聞とされる産経新聞や読売新聞より、リベラル・左派寄りとされる朝日新聞や毎日新聞の方がコイズミを熱心に支持したものだ。特に、「左翼紙」としてウヨ諸兄の標的になっている朝日新聞は、2002年10月26日付紙面で、『不良債権――「竹中いじめ」の無責任』と題した社説を掲載するなど、一貫してコイズミ?竹中の「構造改革」路線を支持し続けた。

こういう混乱した状況を整理して、各政治家や各政党、各メディア、それに各個人がどのような立ち位置にいるかを考える場合、政治思想上の「保守?リベラル」の対立軸だけではなく、経済思想上の「市場主義・新自由主義(経済右派)?福祉国家・社会民主主義(経済左派)」の対立軸でも評価を行うべきではないかとは、かなり前から考えていた。。

後者の評価では、コイズミ流の新自由主義は「経済右派」ということになる。「経済右派」とは耳慣れない言葉かもしれず、私が昨年11月16日の記事 『安倍晋三につながる極右人脈』で、この「経済右派」という単語を用いた時は、私の造語のつもりだった。

今回、この記事を書くにあたって「経済右派」という検索語でGoogle検索をかけたら、検索された最初の10件に、この記事を含む当ブログの記事が3件引っかかったので、やはりさほど普通に用いられる単語ではないことがわかった。しかし、当然かもしれないが、私がブログに書くはるか前から、「経済右派」という単語は使われていた。

このネット検索で、縦軸に政治思想上の右派?左派、横軸に経済思想上の右派?左派をとって各自の立ち位置を診断する「ポリティカル・コンパス」というものが存在することを知った。そこで、今回はこれを紹介することにする。

『日本版ポリティカル・コンパスについて』
(下記URLをクリックすると、リンク先に飛びます)
http://sakidatsumono.ifdef.jp/political-compass.html

ここで紹介されている「日本版ポリティカル・コンパス」ドラフト3版の設問に答えると、回答者の政治的な右・左度と経済的な右・左度の判定結果が表示されるようになっている。それぞれ、値は -10から +10の間の範囲をとり、値が正なら右派、負なら左派ということになる。

私がやってみた結果は、政治的な右・左度(保守・リベラル度)が -4、経済的な右・左度(市場信頼派・政府介入派)が -4.81で、「リベラル左派」と判定された。予想通りの結果ではあったが、政治左派の度合いより、経済左派の度合いの方がほんのわずかに強いようだ。

以下は私の勝手な推測だが、コイズミや朝日新聞は「リベラル右派」、亀井静香や鈴木宗男は「保守左派」、そして安倍晋三は「保守右派」ということになるのではなかろうか。

私は、安倍晋三とは政治思想も経済思想も相容れず、だからこそ熱心な「AbEndブロガー」になったのだろうと思う今日この頃だ。


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いよいよ自由時間が減ってきて、書き飛ばすような記事しか書けなくなってきた。だが、書かずにはいられないことが多いので、記事の完成度や説明の行き届きには難があろうとも、あえて書き続けることにしたい。

このところ私のブログでは、週刊誌の記事からの引用が多い。週刊誌の記事というと、大新聞やテレビの報道と比較して、信用できないというイメージをお持ちの方が多いだろう。

しかし最近では、もっとも信用できないのが大新聞やテレビの報道なのである。週刊誌には、大新聞やテレビでは報道されない重要な情報が書かれている場合がある。

もちろん、従来同様、あてにならない記事も多いから、読み手の判断力が試されるのだが、複数の雑誌に同じような記事が載った場合、その情報の信頼性は増す。

安倍晋三や石原慎太郎は、どういうわけか大新聞やテレビ報道のタブーになっているらしく、それらでは全然報じられないのに、複数の週刊誌が同様の記事を書くケースが最近非常に多く、気味が悪いほどだ。

今週発売された週刊誌では、安倍晋三首相の健康不安説を、私が気づいただけでも、「週刊ポスト」(3月2日号)、「週刊現代」(3月3日号)、「サンデー毎日」(3月4日号)の3誌が報じている。

さる2月10日、安倍が突然慶応義塾大学病院に「定期的な人間ドック」という名目で「検査入院」した時、予定時刻を過ぎてもなかなか安倍が姿を現さなかったため、いろいろな憶測を呼んだというものだ。3誌が全く同じような記事を掲載しているから、記者たちが騒然となったであろうことは想像に難くない。「週刊現代」と「サンデー毎日」は、ともに潰瘍性の大腸の疾患(「週刊現代」によると「潰瘍性大腸炎」)の可能性を示唆している。これは、結構な難病なのだそうだ。

「週刊ポスト」が指摘するように、「総理の健康不安は政局の狼煙(のろし)となる」。過去、在任中に死去した大平正芳(1980年)、小渕恵三(2000年)の両首相の他、相当期間の療養が必要とされて退陣した石橋湛山首相(のち病状は回復)、池田勇人首相が、診断を受けて即日退陣した例が紹介されている。

安倍の健康状態の本当のところはわからないが、内閣支持率の低下や、次々と吹き出す閣僚ら政府要人のスキャンダルや「不規則発言」などで、ストレスがたまっているのだろうと想像する。

もともと、首相の器でない人間が、周りに担ぎ上げられて首相になり、教育基本法改悪などの強権的政治を行ったこと自体が誤りだったのだ。

安倍は、自身の持つ国家主義的思想に基づく「美しい国」作りがなかなか思うに任せないので苛立っているだろうが、安倍にとって最大の障害になっている格差問題は、「コイズミカイカク」の必然の帰結であり、コイズミが一昨年の総選挙で獲得した、圧倒的な議席数の力をたのんでごり押しの政治を安倍が行おうとしている以上、いくら格差の真犯人は安倍ではなくコイズミだといっても、それは安倍への免罪符にならないのは当然である。何度も書くように、安倍はコイズミ内閣の中枢に居続けたのだから、コイズミの失政の重い責任は、安倍にも帰されるべきものだ。

私は安倍は大嫌いだし、安倍の政治やその姿勢に断固反対するが、安倍の病気まで喜ぶものではない。しかし、そもそも安倍が首相になったことが間違いなのであって、それこそがストレスの源になっているのだから、安倍晋三には、分不相応な総理大臣の座など一刻も早く放棄し、政界も引退して旧悪を反省し、養生しながら、余生を森・コイズミ以降の悪政に苦しむ人たちを救う第二の人生を過ごすことを検討してはどうかと勧めたい今日この頃である。


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安倍晋三内閣の支持率が下がり続けている。

「首相を先頭に一糸乱れぬ団結で最高峰を目指すべきだ」と言ったという中川秀直幹事長の発言にも呆れたが、それを受けて、安倍晋三首相が入室すると『閣僚たちはいっせいに私語をやめ、立ち上がり「おはようございます」とあいさつした』という報道にはなお呆れた(「毎日新聞」 2007年2月21日付記事 『閣議:私語やめ起立 幹事長発言には反発の声』、リンクが切れている場合、「kojitakenの日記」を参照)。

今朝の「やじうまプラス」(テレビ朝日)で、大谷昭宏さんが「こういうことを繰り返せば繰り返すほど、安倍内閣の支持率は下がっていく」と言っていたが、こんな内閣が存在すること自体信じられない。一日この内閣が長引けば、それだけ国益が損なわれるので、一日も早く安倍晋三には政権を手放してほしいものだと思う。

さて、今日、「トラックバック・ピープル」のテーマ「安倍晋三」(「安倍晋三TBP」)へのトラックバック件数が、6000件に到達した。そこで、恒例の「AbEnd」キャンペーンの広報を行いたいと思う。

「AbEnd」キャンペーンは、昨年6月18日にブログ「カナダde日本語」の管理人・美爾依さんの提唱で、『安倍を「the End!」させよう』という合言葉のもとに始まった。"AbEnd"とはコンピュータ(メインフレーム)用語で、「異常終了」を意味する。つまり、「アブノーマルな安倍晋三を強制終了させよう」という意味が込められている(笑)。関連記事を下記に示す。

『カナダde日本語』?「AbEndを自分のブログに表示する方法」
(2006年6月19日)

AbEndは、当初は安倍晋三を自民党総裁選に当選させまいとする運動だったが、自民党には良識は通用せず、安倍が独走で当選してしまったので、安倍政権を終わりにするための運動に切り替わった。

また、ある時期から、石原慎太郎に反対する記事のトラックバックも募集するようになった。安倍晋三と石原慎太郎は、ともに強権的な手法を好み、極右的な政治思想を持つことで共通しているのと、ともに今年、重大な選挙が控えているからだ。

キャンペーンの参加方法は、「トラックバック・ピープル(略称TBP)」のテーマ「安倍晋三」に記事をトラックバックするだけだ。このテーマ自体は安倍晋三の批判を目的とするものではなく、安倍容認派や支持派にも幅広く門戸が開かれているが、キャンペーン参加者はここに安倍晋三批判の記事をトラックバックすることによって、反安倍の機運を盛り上げていこう、という運動方法だ。トラックバック先のURLを下記に示す。

http://member.blogpeople.net/tback/06610


当ブログでは、昨年のクリスマス・イブに記録した4000件達成以来、1000件毎にキリ番記念記事を掲載しているが(1000件?3000件の時は「kojitakenの日記」に掲載していた)、今回もキリ番記録日のデータを掲載しておく。

2006年6月18日:「安倍晋三?トラックバック・ピープル」開設
2006年9月12日:1000件(開設日から86日)
2006年10月27日:2000件(1000件到達から45日)
2006年11月27日:3000件(2000件到達から31日)
2006年12月24日:4000件(3000件到達から27日)
2007年1月26日:5000件 (4000件到達から33日)
2007年2月21日:6000件 (5000件到達から26日)

5000件目から6000件目までに要した日数は、過去最短の26日だった。国民の間で、反安倍政権の機運が高まってきた現れだろう。

そして、今回は奇しくもキャンペーンを提唱した「カナダde日本語」の100万アクセス突破(FC2カウンタによる計数値)と重なった。今日(2月21日)の同ブログのアクセス数は、2万件を超えているが、これは2月21日の「きっこの日記」からリンクを張られたためだ。「きっこの日記」が、AbEndキャンペーンに与えた影響は大きい。私がブログを始めた大きなきっかけになったのも、一昨年の12月18日に公開された「きっこの日記」の記事『イーホームズ社長からのメール』を読んだことだった。日曜日の夕方、これを読んだ時の衝撃は忘れられない。インターネットが社会を変える、その歴史的な瞬間を目の当たりにしているのだと感じたものだ。

今の急激な安倍内閣の支持率低下に、どのくらいAbEndが寄与しているかは、依然としてよくわからない。前回、「安倍晋三TBP」5000件記念の日(1月26日)の記事にそう書いたら、美爾依さんから下記のようなコメントをいただいた。

最近マスコミが安倍批判を堂々とするようになったのもAbEndの影響を受けているのではないかと思います。もちろん、『きっこの日記』やその他の著名人のブログの影響もあるとは思いますが、何と言ってもAbEndの影響がかなり強いのではないでしょうか。
(「きまぐれな日々」 2007年1月26日付記事 『祝「安倍晋三TBP」 5000件&AbEndをよろしく!』への美爾依さんのコメントより)

今また、反安倍晋三だけではなく、反石原慎太郎の動きに関しても、ブログから活発な声が上がっているのを見るにつけ、ブログ言論は世論に確実な影響力を持ち始めているのではないかと思うようになった。

石原慎太郎については、「週刊ポスト」「週刊現代」「サンデー毎日」などの週刊誌が厳しく批判、追及する一方で、電波媒体は徹底的な石原応援団と化し、石原のプロパガンダに必死だ。しかし、ブログ言論では石原支持と石原排斥の言論はともに活発で、私のひいき目ではむろん石原排斥のほうが優勢に思えるのだが、石原は安倍晋三ほどズルズル後退はしておらず、むしろみのもんたなど石原のタイコモチキャスターらの反撃によって、現状では優位に立っていると見られている。しかし、公職選挙法違反とも指摘されるポスターを証拠物件として石原を刑事告発しようとする動きがあるなど、情勢は全くわからない。むしろ私は、告示直前に反石原の有力候補が出馬を意思表示した場合、石原はなすすべなく敗れ去るだろうと予想している。

安倍晋三との闘いも、石原慎太郎との闘いも、ともにこれからが本番だと思う。


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前のエントリ 『脱力の報道相次ぐ...』は、やけっぱちで書いた記事なのに反響が多くてビックリしています。
この記事に限らず、弊ブログにお寄せいただくコメントやトラックバックにはすべて目を通していますが、なにぶん自由時間はそれほど多くありませんので、反応が遅れがちであることをお詫びします。

さて、ですます調はここまでにして、今日もわりあいに簡単な記事でお茶を濁すことにする(ブログに割ける時間がもっとほしいとつくづく思う)。

時事通信の報じるところによると、ユニセフの調査で、先進国中、イギリスの子供が「もっとも不幸せ」という調査結果が発表され、イギリス人にショックを与えているという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070219-00000011-jij-int

以下引用する。

英国の子供は「最も不幸せ」=先進国でランキング最下位?ユニセフ調査

 【ロンドン18日時事】英国は子供が育つのに先進諸国で最悪の国?。国連児童基金(ユニセフ)がこのほど公表した報告書で、このような結果が明らかになり、英国人にショックを与えている。
 報告書は経済協力開発機構(OECD)加盟21カ国を対象に、子供の福祉にかかわる6つの要素について分析して指数化、国別比較した。英国は「家族・友人関係」「飲酒や麻薬の危険度」「幸福度」の3項目で最低の評価を受け、総合ランキング最下位に。上位はトップのオランダのほか、北欧のスウェーデン、デンマークなどが占めた。日本など一部の国はデータ不十分で、順位付けされていない。 

2007年2月19日7時0分配信 時事通信

イギリスというと、弊ブログの昨年11月16日の記事 『安倍晋三につながる極右人脈』で指摘したように、安倍晋三が「教育改革」のモデルとしている国である。

安倍は、イギリスのマーガレット・サッチャー元首相に心酔している。前述の昨年の記事でも紹介したように、2004年に、先日病気に倒れた平沼赳夫を団長にして「英国教育」調査団を当地に送り込み、サッチャーによる教育改革について自民党総務会に報告書を提出させている。そして、それを受けて、安倍らは「正論」2005年1月号誌上で、「自虐史観教育、学力低下、不登校‥‥‥ 『左翼教育病』克服のために サッチャーカイカクに学べ! 教育再興の任は国家にあり」と題する座談会を行っているのだ。

その「教育先進国」のはずのイギリスが、『「家族・友人関係」「飲酒や麻薬の危険度」「幸福度」の3項目で最低の評価を受け、総合ランキング最下位に』なったというのだ。

安倍がモデルにしようとしているイギリスの教育改革というのは、ネオリベ(新自由主義)とネオコン(新保守主義)が合体したような醜悪な代物で、国家主義的な価値観を基本としながら、弱肉強食の競争原理を導入したものだ。日本のプロパガンダ放送局であるNHKなどは、時々イギリスの教育改革の「成果」を報道して、いかにも効果があったかのように見せかけているが、ユニセフの調査は、それが惨憺たるものであったことを報告しているわけだ。

私にはイギリス人の知り合いがいるが、彼はサッチャリズムをいつも罵倒している。もちろん、それをもって全ての英国人がサッチャーを憎んでいるなどとはいえないが、前述の昨年11月16日付エントリに、元道さんから興味深いコメントをいただいているので、ここに紹介する。

新自由主義者はどうしようもない嘘つき野郎たちだと分かっていたつもりですが、アベシンゾーたちがサッチャーの教育改革を高く評価しているのは驚きでした。
私はよく若い英国人とよく仕事をともにします。
彼らのサッチャリズムへの憎しみは、新自由主義に批判的な私も眉を潜めるほど強烈なものです。
サッチャーの教育改革によってどれほどイギリス社会が破壊されたのかイギリスの若者は唾を飛ばして非難します。
これは政治的な右左は関係ありません。少なくとも私が仕事で関わった数十人の英国人は全員がサッチャリズムを憎んでいました。
サッチャーが倒れた時は、サッチャーの死を願ってパーティーを開いたほどです。
今や保守層からもサッチャーは「英国の伝統を破壊した」と評価され「保守ですらない」と言われているのです。これは息子のマーク・サッチャーが犯罪的な奴隷貿易と傭兵家業に手を染めていたことへの非難も含まれています。
日本の新自由主義者にかかるとブレアもサッチャリズムの後継者になってしまうようですが、彼らは大嘘つきです。
「英国はどうしてこんなことになってしまったのだろう?」
ブレアが英国首相に就任した時、国民に呼びかけたのはサッチャリズムの全面否定でした。
そして「新しい労働党の重要な政策はみっつある。教育、教育、そして教育だ」と述べて、サッチャーの教育制度を全面改革したのがブレアです。
アベシンゾーとブレアの教育改革で一致するところがあるとすれば、公立学校の選択制だけでしょう。
これもブレアが公立学校の地位向上を目的としているのに対して、アベシンゾーは教育を私物化するためとしか思えません。
新自由主義者がイギリスを引き合いに出す時は、嘘八百だと思った方が良いと思います。

「きまぐれな日々」 2006年11月16日付 『安倍晋三につながる極右人脈』にお寄せいただいた、元道さんのコメント)

安倍内閣の「教育カイカク」の行き着く先は、教育の荒廃でしかないことは、火を見るより明らかだろう。


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今回は、教育再生会議の迷走を笑いものにする記事を書こうと準備していたのだが、頑張ってまともな記事を書く気力を失わせるような情報を相次いで知ったので、簡単な記事でお茶を濁すことにする(笑)。

何があほらしいかって、中川秀直の下記の発言ほどあほらしいものはない。毎日新聞の記事から引用する。
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20070219k0000m010050000c.html

中川自民幹事長:「忠誠心なき閣僚は去れ」講演で苦言呈す

 「安倍晋三首相が(閣議で)入室したときに起立できない、私語を慎めない政治家は美しい国づくり内閣にふさわしくない」。自民党の中川秀直幹事長は18日、仙台市で講演し、異例の厳しい表現で政権内の緊張感欠如に苦言を呈した。

 中川氏は「閣僚、官僚のスタッフには首相に対して絶対的な忠誠、自己犠牲の精神が求められる。首相の当選回数や、かつて仲良しグループだったかどうかは関係ない」と強調した。

 閣僚の相次ぐ失言や、正副官房長官、首相補佐官らの連携不足が首相の指導力発揮を妨げているとの党内の懸念を代弁した形だが、中川氏のボルテージは上がる一方。「自分が目立つことを最優先する政治家や、野党の追及が怖くて改革を進められない政治家は、内閣・首相官邸から去るべきだ。首相を先頭に一糸乱れぬ団結で最高峰を目指すべきだ」とぶち上げた。【大場伸也】

毎日新聞 2007年2月18日 19時41分 (最終更新時間 2月18日 19時45分)

「一糸乱れぬ団結」と聞いてどっかの国のマスゲームを連想したのは、私だけではないだろう。先にも、「偉大なる首領さま」の誕生日を大々的に祝っている映像が、日本のテレビでも流れた。

なんか、こんなやつらを相手に、調べものをしてまで記事を書く価値があるのかと思うと、急に疲れがどっと出てしまったというワケだ。

石原慎太郎をめぐる報道も、いかにも恣意的だ。
私は、東京から遠く離れた地方在住なので、「東京マラソン」なるものが、石原が東京五輪招致をPRするための催し物だとは全く知らなかったし、テレビ中継ももちろん見ていない。
インターネットで流れるニュースを見ながら、有森裕子のラストランの記録はボロボロだったな、などとぼんやり思う程度だった。

しかし、これが石原の宣伝のための行事で、それが悪天候で水を差されたと知った時、まずあほらしさを感じ、次いで東京の天気が悪くて寒かったらしいことがせめてもの慰めだなあと思った。

今朝のTBSテレビ「朝ズバッ!」で、みのもんたが東京マラソンを「盛り上がった」だの「さぞ石原都知事も喜んでいることでしょうね」などと、タイコモチ発言を炸裂させたのを見て、ますます気分が悪くなったのである。

石原といえば、都知事選をめぐるマスコミ報道も実にひどくて、ひたすら石原を応援し、民主党を混乱に陥れようとする意図があるとしか感じられないものだ。

今年の年初あたりに、石原についてさまざまな疑惑や都政の私物化が雑誌などで報道され、今年の都知事選は石原を引きずり下ろすチャンスだと思っていたのだが、石原と癒着したマスコミの逆襲が始まったというべきだろう。

ただ、民主党推薦の候補では石原には勝てない、と私も思う。
無党派の推薦だったら、浅野史郎さんに出馬の意思があるという見方もあるから、ひとつこれに賭けてみたい気がする今日この頃だ。


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古新聞を整理していたら、昨年12月18日付の毎日新聞に、「表現の自由 高まる危機感」と題された、1ページをまるまる使った特集記事が掲載されていたのを見つけた。

これは、昨年12月に相次いで行われた、言論の自由に関する2つのシンポジウムから、主要な参加者6人の発言の要旨を収録したものだ。

発言が紹介されているのは、半藤一利(作家)、溝口敦(フリーライター)、牧太郎(毎日新聞特別編集委員)、加藤紘一(元自民党幹事長)、岡留安則(「噂の真相」編集長=04年休刊)、鈴木邦男(右翼団体「一水会」顧問)の6氏(敬称略)である。

この中から、加藤紘一氏の発言を紹介したい。

 靖国神社にはA級戦犯が合祀されているので、近隣諸国だけでなく米国との関係までもいずれはおかしくなると指摘したり、日中関係は良好でなければならないと言い続けると、どうして実家に火をつけられるのか。中曽根康弘元首相が左派の扱いをされるような時代の空気の変わりをつくったのは何なのかを議論しなければならない。
 ところが、世の中が何となく話しにくくなり、変な方向に行っているのは事実だ。小泉純一郎首相や安倍晋三官房長官がどうしてすぐに反応を示さなかったのかは分からない。ただ、石原慎太郎・東京都知事が03年に田中均・外務審議官(当時)の自宅に爆発物が仕掛けられた事件で「当たり前の話だ」と言ったことは記憶にとどめておくべきだ。
 民主主義的体制を倒そうという言論であってもそれが言論である限り、守り抜かれなければならない。私はイラク戦争や自衛隊のイラク派遣に反対した。私自身が左派かどうかは別にして、日本社会に「左翼がテロに遣うのは仕方ない」という意識があるのではないか。そうでないと(社会の反応が鈍いということへの)説明がつかない。
 近隣諸国と闘うナショナリズムは、国をまとめる能力があるため、古今東西の政治家が使ってきた禁じ手だ。外国から「日本は右傾化することはないのか」と聞かれると、かつては笑っていたが、最近はちょっと気をつけなければならない、と言わなければならないようになった。権力を乱用してはならないという品格ある保守が今の権力者には求められている。

(「毎日新聞」 2006年12月18日付 『表現の自由 高まる危機感』より 加藤紘一氏の発言)

つまり、コイズミやアベシンゾーは、テロを黙認するとんでもない政治家だが、石原慎太郎はそれにとどまらず、テロを積極的に擁護する政治家だということだ。

こんなやつを都知事選で三選させたら、日本は、先進国の間ではもっとも民度の低い首都を持つ国だということが証明されてしまうだろう。


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 俵孝太郎という老ジャーナリストがいる。産経新聞出身の保守派の硬骨漢で、フジテレビのニュース番組のキャスターを長年務めたことでも知られているが、かつて私は、俵さんのタカ派的言論が大嫌いだった。

 少々古い話だが、その俵さんが、右派論壇雑誌である「諸君!」の2003年3月号に、石原慎太郎を痛烈に批判する文章を載せたことがある。これを以下に紹介する。

夜郎自大はもっと有害(俵孝太郎)

 朝日新聞の新年社説と産経新聞の石原慎太郎寄稿のどちらに共感するかと問われれば、朝日に軍配を揚げます。石原氏の弁は大衆の気分に迎合した政治的アジテーションです。

…安っぽいインターナショナリズムも空想的平和主義も有害ですが、短絡的なナショナリズムや夜郎自大はもっと有害です。現状はバブルの対象が土地と株からあらぬ方角に移っただけの話です。バブルとも「不況」騒ぎとも無縁な小生は、今も昔も、小国日本のモットーはビー・イット・エバー・ソー・ハンブルだと思っています。質素に、と訳すより、分相応に、と意訳する方が適切でしょう。

 ときに小生は黄金期の産経で働いていたOBですが、いまの品のない偏向紙面と無能な経営ぶりはとっくに見放しています。念のため。

(「諸君!」 2003年3月号「日本ナショナリズムの血圧を測る」より)

 私はこれを読んで、俵孝太郎というジャーナリストを見直す気になった。

 俵さんには、『我、「朝日新聞」と戦えり』(1988年、光文社)という著書がある。右派としての立場から朝日新聞を批判する代表的な論客である。その俵さんが、石原慎太郎が「産経新聞」の2003年新年の紙面に掲載した「日本よ」というコラムについて、ひどい夜郎自大だ、石原はポピュリスト(大衆に迎合する者)にして右派イデオロギーのアジテーター(煽動者)だ、あれなら朝日新聞の空想的平和主義の方がまだマシだ、と、石原や産経新聞を手厳しく批判したのだ。

 本当の論客とは、「筋の通らない味方」を「筋の通った敵」以上に批判するものだ、いや、朝日新聞なんか全然筋が通っていないから、俵さんにとっては「筋の通らない敵」に当たるだろう。そんな朝日よりも「筋の通らない味方」に当たる石原や産経新聞を厳しく批判する俵さんの態度は、立場を異にする私も見習いたいものだと思う。

 そういえば、俵さんは昨年夏、加藤紘一邸へのテロに対して当時首相だった小泉純一郎や官房長官だった安倍晋三が沈黙していることをテレビで厳しく批判したところ、その翌日ようやく小泉と安倍が重い口を開いてテロを批判したことがあった。言葉に重みのあるジャーナリストとは俵さんのような人をいうのだろう。

 それに対して、小泉や安倍もそうだが、石原慎太郎というのは言葉の重みが全くない政治家だ。

 私は小学生の頃、よく新聞に出てくる「為政者」という言葉の「為」という漢字を「偽」と混同していて、でたらめな政治をする政治家を批判する言葉だろうと勝手に思い込んでいた(笑)。小泉や安倍、石原といった政治家は、「偽政者」というにふさわしい連中だと思う。

 そんな石原を形容するのに、「夜郎自大(やろうじだい)」という以上に適切な言葉はないと思う。

 「夜郎自大」について、「四字熟語net辞典」から引用する。

■夜郎自大 (やろうじだい)

意味: 自分の力量をわきまえず、仲間うちで威張ること。知識も力もないのに尊大にふるまうことのたとえ。

用例: 日本は世界の田舎者であり、世間知らずであって、勝手放題の一人よがりとなったのである。いわゆる中国人が云う夜郎自大の類である(徳富蘇峰「敗戦学校」)

英訳: act with arrogance and recklessness (夜郎自大に振舞う)

類義語: 蜀犬吠日 井蛙之見 唯我独尊 用管窮天

メモ・補足: 【故事】自分の力量もわきまえず尊大に振る舞うこと。「夜郎」は漢の時代中国の西南部にあった小国の名前。「自大」は自分を大きく見せる尊大な態度。漢の使者がこの小国に立ち寄った際、漢の強大さを知らなかった夜郎国の王が自分の国の力を自慢したと言う故事による。

「四字熟語net辞典」より「夜郎自大」の項目

 実は、この「夜郎自大」という表現を石原に対して用いているのは、俵孝太郎さんだけではない。佐野眞一さんが書いた 『てっぺん野郎?本人も知らなかった石原慎太郎』にも、石原を「夜郎自大」だと批判する箇所がある。

 それは、三島由紀夫と石原の確執を描いた部分である。

 この本によると、石原は、一方で三島由紀夫を崇拝するような文章を書いておきながら、三島との交友を回想した『三島由紀夫との日蝕』などの中で、三島の生来の運動神経のなさや、ボディビルで促成栽培した人工的な肉体などを容赦なくカリカチュアして、不必要なほど辛辣に笑いものにしているそうだ。

 この『三島由紀夫との日蝕』の中で、なんと石原は、本当は三島は政治家になりたかったのだが、自分に先を越されてしまったのでずいぶんむくれていた、佐野眞一さんの表現を借りれば、『自分に政界入りの先を越されてしまったから、三島は世をはかなんで自決した、といっているのも同然』の書き方をしているという。

 実際にはどうだったかというと、佐野さんは辻井喬(セゾングループの実質的オーナーだった堤清二のペンネーム)の述懐を紹介している。それによると、佐藤栄作が三島に政界入りを誘ったが、三島には政界入りする気はなく、佐藤の無礼な勧誘の言葉に怒り狂った三島は、『もう、あんた(佐藤)とは会わない』と言ったという。つまり、石原の文章は石原の勝手な妄想に過ぎないのである。

 佐野さんは、以下のように書いている。

 三島の政界進出話に関しては、自分に都合のいい推論だけを重ねた慎太郎の述懐より、辻井氏の語る一連の証言の方が、三島のプライドの高さから見ても、ずっと真実に近いように思われた。
 それにしても、三島の名誉を貶めてまで自分の政界進出を合理化しようとする慎太郎の精神構造は、子供っぽさを超えて不気味である。
 慎太郎の論理の特徴は、自己を正当化するためなら、事実を自分の都合のいいようにねじまげても構わないと考える我田引水と夜郎自大の習性が、随所ににじみでていることである。

(佐野眞一 『てっぺん野郎?本人も知らなかった石原慎太郎』=講談社、2003年=より)

 東京都民は、石原慎太郎に2期8年にわたって都政を任せてしまった。なおもあと4年、この愚劣な男に都政を託そうというのだろうか?
2007.02.17 08:25 | 石原慎太郎 | トラックバック(-) | コメント(3) | このエントリーを含むはてなブックマーク
一昨日(2月14日)の衆議院予算委員会で、自民党の小野次郎氏が質問に立ち、「支持率に一喜一憂せずにというのは、上がったり下がったりする場合の言葉です」と、安倍晋三首相を痛烈に皮肉った。

『小泉チルドレン、安倍首相に辛口のエール』 (asahi.com 2007年2月14日 11時07分=下記URLをクリックするとリンク先に飛びます)
http://www.asahi.com/politics/update/0214/006.html

※リンクが切れている場合、「kojitakenの日記」をご参照下さい

確かに、安倍内閣の支持率は、発足直後に60%台?70%台の高い数字を記録したあと、単調減少を続けているから、「一喜」する局面はなく、「一憂」ばかりのはずだ。最初の高支持率にしても、安倍や電通はもっと高い数字を狙っていたはずで、彼らにとっては期待外れだったという指摘が当時あった。つまり、安倍は内閣支持率に「一憂」する局面しかなかったはずなのだ。

この質疑については、翌15日朝のテレビ朝日「やじうまプラス」で取り上げられ、スタジオのアナウンサーも、コメンテーターの伊藤洋一、江川紹子、三田園訓の三氏も揃って大ウケしていた。出演者は皆、安倍晋三をバカにしきっており、もはやこれがマスメディアのトレンドになりつつある。

またまた mewさんのブログ「日本がアブナイ!」の記事『支持率に一憂X2の安倍内閣。閣僚、スタッフは尊敬どころか足を引っ張リ、森氏もイライラ!』に教えてもらったのだが、この痛烈な質問をした小野次郎氏は、コイズミの秘書官を務めていた人物とのことだ。

確かに、「Wikipedia」で調べると、小野氏は安倍より1歳年上、東大卒、まともな留学をして法学修士の学位を持ち、おまけに世襲議員でもない。

『小野次郎 - Wikipedia』(下記URLをクリックするとリンク先に飛びます)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E9%87%8E%E6%AC%A1%E9%83%8E

つまり、ありとあらゆる点で安倍晋三とは対照的な人物であり、当然、内心では小野氏は安倍をバカにしきっているであろうことは、想像に難くない。

国会外でも、安倍に強烈な逆風が吹いている。

「週刊ポスト」2月23日号と「週刊朝日」2月23日号は、ともに宗教団体「慧光(えこう)塾」とつながりのある環境リサイクル会社「ESI」に東京地検特捜部のメスが入った(ESIの社長を逮捕した)ことを報じ、捜査が安倍の周辺にまで及ぶのではないかと推測している。

特に「週刊ポスト」は、アパ、ヒューザー、ライブドアも含んだ安倍スキャンダルの相関図まで掲載しており、これは昨年3月に急逝されたおーるさんが、最晩年に作成された「安晋会」を中心としたライブドア事件の相関図を思い出させるものだ。「週刊ポスト」の相関図には、エイチ・エス証券の野口英昭副社長は「惨殺」されたと表記されている。

また、「サンデー毎日」2月25日号は、『4月政権「投げ出し」説も 裸の王様安倍晋三はあの竹下サンと同じ運命』と題した観測記事を掲載しているが、笑えるのが、安倍内閣が人気浮揚のために、内閣を改造して有名人を閣僚に据えようとしているという指摘で、その候補にあがっているうちの一人が、ナナナナナント!あの田原総一朗なのだ!!

これには腹を抱えて笑ってしまった。こりゃわかりやすくていい。田原が安倍内閣に入ったら、視聴者は最初から田原が安倍側の人間であることを認識するだろうから、これ以上田原に騙されることもあるまい。そもそも、政府側の人間が報道番組の司会をすることは、報道の中立の原則を損ねるから、田原は「朝生」や「サンプロ」の司会から降りざるを得ないだろう。

だから、私は田原の安倍内閣入りは大歓迎である。田原には是非安倍内閣のスポークスマンとして熱弁をふるってほしい。誰もマトモに取り合ってはくれないだろうから(笑)。

まあ冗談はともかく、政府が野党から猛攻を受け、与党内からも反政府の言動が出始めている今の状況は、ちょっと1年前の今頃を思い出させるものがある。

当時のコイズミ内閣は、耐震偽装問題、ライブドア事件、米国産牛肉問題、防衛施設庁の官製談合の「四点セット」について、前原誠司率いる民主党など野党から国会で猛攻を受け、武部勤幹事長(当時)など落城寸前だったし、当時官房長官だった安倍晋三も、昨年2月12日に放送されたNHKテレビ「日曜討論」で、ライブドアの投資事業組合にかかわった自民党議員として、民主党の鳩山幹事長からその実名を挙げられるなど、とてもすんなり「ポストコイズミ」の自民党総裁候補におさまるとは思えないほどの状態にあった。

しかし、野党の一方的な攻勢、自民党の守勢を一変させてしまったのが、当時の民主党議員・永田寿康が引き起こした「偽メール事件」だった。昨年2月16日、当時のライブドア社長・堀江貴文からのメールの写しだというコピーを証拠物件として質問に立ち、武部幹事長を糾弾した永田だったが、ガセネタであることがすぐに暴かれた。

本当なら、これがガセネタであることがわかった時点で、素早く永田と前原代表が責任をとり、民主党は新体制で「四点セット」の追及を継続すべきであった。しかし、永田と前原が虚勢を張って無駄な抵抗をしたばかりに民主党は墓穴を掘り、「四点セット」の追及も実質的に止めてしまうという醜態をさらした。

当時、偽メール事件は偽メール事件として、この「四点セット」の追及は続けてほしいと思った国民は多かったはずだ。私もその一人である。しかし、民主党はそうしなかった。そして、この時の総括を民主党はまだしていない。それどころか、当時責任ある立場にいた前原誠司の率いる民主党ネオコン一派は、小沢代表・菅代表代行ら党執行部の意向に反する言動をしばしば行い、民主党の足を自ら引っ張っている。私は、前原一派は「隠れ自民党」であるとさえ思っている。

なぜ前原が自民党ではなく民主党に所属しているかというと、前原は世襲議員ではなく、自民党では世襲議員でなければえらくなれないからだという笑い話(半ば本気の話らしい)があるが、現在、安倍晋三率いるネオコン政権の支持率が落ち続けているのに民主党の支持率がいっこうに上がらないどころか、自民党の支持率と一緒に落ち続けている理由として、民主党内のネオコン議員一派の存在と、彼らが昨年引き起こした「偽メール事件」の総括を民主党がまだ行っていないことが挙げられると、私は声を大にして主張したい。民主党が真に国民政党になるためには、前原一派を切り捨てなければならないと思う。

何はともあれ、今日は「偽メール事件」からまる一年にあたる日だ。次に同様の誤りを犯したら、民主党は自民党より先にぶっ壊れるだろう。小沢執行部には、民主党が「背水の陣」にあることを十分認識して、厳しい党運営を求めたい。


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4月の東京都知事選に向けた野党側の候補者選びが難航しているという。

民主党は、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏に出馬を打診したものの断られ、現在は浅野史郎・前宮城県知事にアタックしているのだという。2月11日のテレビ朝日「サンデー・プロジェクト」では、権力のタイコモチ司会者・田原総一朗が「菅直人を立てるべきだ」と主張していたが、私はこれには大反対だ。菅直人が都政に転身してしまうと、民主党内のネオコン馬鹿議員どもが、ますます増長するだろう。菅氏には、あくまで国政でがんばってほしいものだと思う。

田原は、菅氏が都知事選に立候補する方が、彼が支持するコイズミ一派にとって好都合だから、民主党をそのようにけしかけているのだろう。あわよくば菅氏が落選したらあざ笑ってやろうとも思っているに違いない。そもそも、11日のサンプロで、野党各党から人を呼ぶ時、なぜ民主党から前原だったのか。前原は、いまや党内の「抵抗勢力」と化して、民主党の党勢を弱めようとしている「獅子身中の虫」にしか、私には見えない。小沢代表ともかなり距離のあるこの人物を出演させているだけでも、サンプロのひどい偏向ぶりがうかがわれようというものだ。

そのサンプロで、田原は石原慎太郎をゲストに呼んで、熱烈に応援していた。コイズミ政権成立以来、田原の与党への偏向ぶりはますますひどくなっており、老害の一語に尽きる。こういう偏向マスコミのプロパガンダが激しくなってきたので、そろそろ当ブログでも石原を叩いておかないと、都知事選に間に合わなくなると思い、石原叩きに参戦することにした。

しかし、正直言って石原慎太郎というのは、私にとって相性が悪いというか、批判を書きづらい相手なのである。

私がインターネットで批判の対象にしてきた人物は、ブログを始めてからはもっぱら安倍晋三だが、それ以前の、97年以来の掲示板投稿者時代は、ナベツネ、森喜朗、小泉純一郎(コイズミ)が主なターゲットだった。このうち、ナベツネは別格で、敵である彼自身の著書を、金を払って買ってまでも読み、徹底的な批判の対象にしたものだ。また、森喜朗、コイズミ、安倍晋三と続く、岸信介の流れをくむ売国政治家たちは、ナベツネのような「筋の通った敵」とは違って、「筋の通らない敵」として、やはり叩かせてもらった。

ところが、石原慎太郎については、やはりナベツネや売国三総理同様、心の底から大嫌いであるにもかかわらず、いざ批判しようとしても、なかなか文章が出てこない。どこか、「敵としてさえも認めたくない」というか、こんな人物を対象に文章を書くこと自体が空しい気がして、書いていても全然気分が乗らないのだ。現にこの記事も、前のエントリと通し番号が逆になっていることからもわかるように、なかなか完成させることができなかった。

私は3, 4年前、掲示板で石原慎太郎を叩くためにネタを仕入れておく目的もあって、斎藤貴男『空虚な小皇帝?「石原慎太郎」という問題』(岩波書店、2003年)と、佐野眞一『てっぺん野郎?本人も知らなかった石原慎太郎』(講談社、2003年)の2冊を読んだ。

後者は、当時話題になっていた東京都の浜渦副知事の問題を詳しく書いていたので、浜渦批判の題材としても使わせてもらった記憶があるが、正直言ってこの2冊の内容は、今ほとんど思い出せない。食い入るように読んで、その後も折に触れて計4度も通読した魚住昭『渡邉恒雄 メディアと権力』(講談社、1999年)とは大違いなのである。

これは、決して、ライターの力量のせいではない。「てっぺん野郎」の著者、佐野眞一さんの書いたダイエー創業者・中内功の評伝『カリスマ?中内功とダイエーの「戦後」』(日経BP社、1998年)は、たいへん印象に残っている本だからである。著者の佐野さん自身は、「カリスマ」が新潮文庫入りした際、新潮社発行の「波」(2001年6月号)に寄せた小文に、『「戦後」という巨大な時空間を仮託して語るに足る日本人は、誰がいるだろうか。管見では、石原慎太郎とダイエーの中内功の二人しかいない』と書かれている(下記URL参照)。
http://www.shinchosha.co.jp/shinkan/nami/shoseki/131632.html

しかし、それにもかかわらず、同じ佐野さんの本でも、「カリスマ」はとても印象に残っているのに、「てっぺん野郎」は全然本の内容を覚えていない。同様に、斎藤貴男さんが漫画原作者の梶原一騎について書いた『梶原一騎伝』(新潮文庫、2001年)はとても印象に残ったのに、「空虚な小皇帝」は全然その内容を覚えていない。

これは、石原慎太郎という男が、中内功や梶原一騎と比較して、著しく魅力を欠く男であるからにほかならないと私は考えている。

おそらく、仮に魚住昭さんが石原慎太郎の評伝を書いたとしても、他の魚住本とは全然違って、読んだあとしばらくしたら内容を忘れてしまう本になってしまうだろうと、私は想像している。ようするに、評伝の対象としている人物にあまりにも魅力がないから、評伝が印象的なものになりようがないのである。その意味で、斎藤貴男さんの石原本のタイトルが「空虚な小皇帝」となっているのは象徴的だ。

石原慎太郎というのは、どこまでも「空虚」な男なのだ。安倍晋三も同じように空虚だといえばそうかもしれないが、安倍の場合は戯画化しやすいアホっぷりに満ちあふれているため、まだ悪口を書く楽しさがある(笑)。しかし、石原にはそれさえもない。ただ単に、憎たらしいだけでみごとなまでに中身の空っぽな人物なのだ。

しかし、そうはいっても、こんな人物が東京都知事選に三選されるのは、東京都民ではない私にとっても容認できない事態である。東京都知事は、国政にも無視できない影響を与えるからである。そこで今後、さらに具体的な事例にもとづいて、石原を叩くキャンペーンを行いたいと考えている。


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このところちょっと忙しくて、ブログに割く時間もいつもほど取れないので、6か国協議の北朝鮮核停止合意や、国会での質疑応答もニュースなどで概要を知る程度だ。

だから、当ブログではそこらへんにはあまり突っ込まず、代わりに、ちょっと斜(はす)に構えた記事を書きたいと思う。

AbEndキャンペーン参加以来、私は新聞や雑誌の記事や書籍を題材にすることが多い。
もちろん、ネット情報からだけでもブログの政治記事は書けるのだが、ネットで流れている政治・経済関係の情報は、その多くが断片的だ。いち早くそれをかき集めるだけでも、ファストフード的なブログ記事は書けるし、特にウヨ系のブログには、そういうとても安易な作りのものが多いように思う。しかし、ネット情報に頼るだけでは、とっつきは良くても、底の浅い記事しか書けないと私は思う。

そういう意味でも、情報の流れを追うだけではなく、ブロガー個人個人が、どれだけ自分の歴史観、社会観を持った上で、量やスピードを追うだけではなく、さまざまな角度からものごとを考える立体感を記事に付与することができるかが、ブロガーには問われているのではないかと思う今日この頃である。

そうは言いながらも、現実にはワンパターンな記事しか書けない当ブログだが、今日は、安倍内閣の支持率低下をめぐる朝日新聞の報道ぶりを俎上にあげてみたい。

安倍内閣発足当初の内閣支持率は、比較的数字の低く出る朝日新聞の調査でも63%あったが、昨年11月調査では53%、12月調査では47%、そして今年1月調査ではついに39%と、4割を割り込んだ。

問題は、支持率低下を分析する同紙社説の主張だ。たとえば、昨年12月12日付の朝日新聞社説は、「改革の敵は党内にある」というタイトルで、安倍の政治姿勢がコイズミ改革から後退していることを批判している。そもそも、12月の内閣支持率調査には、「首相の改革姿勢は維持されていると思いますか、後退していると思いますか」などという設問がある。これは、「コイズミカイカク」を無批判に肯定した、それ自体偏向した設問だと評するしかない。

このひどい社説の終わりの方を引用する。

  首相が深刻に考えるべきは、「国民にわかりやすく説明していない」と首相を見る目が80%にも達したことだろう。国民には、首相の顔が見えていないし、声も届いていないのだ。
  「与党と対決する小泉時代が異常だった」。首相周辺からはそんな声も聞こえる。党内融和の安倍流改革もあっていい。そう言いたいのかもしれない。
  だが、道路財源の結末を見ても、既得権益にしがみつく自民党の体質は変わっていない。世論はさておき、党内みんなで仲良く改革をする。安倍氏らがそんな甘い夢を見ているとしたら、小泉氏に仕えた5年余に何を学んだというのか。
  首相はいま、岐路に立っていることを自覚する必要がある。安倍首相の下で、自民党が「古い自民党」に戻ると見る人は40%、戻らないと見る人は37%、どちらの道を選ぶかである。
  「古い自民党」へと時計の針を戻そうとする勢力は、まず党内にある。彼らとの対決を恐れては改革はできない。

(「朝日新聞」 2006年12月12日付社説 「改革の敵は党内にある」より)

空恐ろしいまでの「コイズミカイカク」マンセーの社説である。朝日新聞は、外交・国防政策に関しては左派的かも知れないが、経済政策に関しては「極右」と言ってよいほどの新自由主義応援団であるといえる。

それから1か月半後の、今年1月26日付の社説もひどい。「改革への覚悟はあるか」という、経済財政諮問会議を論じた社説である。この社説も、「既得権を奪われかけた勢力」の復活を危惧し、覚悟を持って「カイカク」を実行せよ、と安倍に迫っている。「小泉時代に批判の矢面に立ちながらも諮問会議を切り盛りしたのは、竹中平蔵氏だった」などと、格差社会の元凶・竹中平蔵を英雄視までしている。

安倍は、自民党総裁選を控えた昨年、オフレコの場で、「格差とかアジア外交とかは、もともと朝日新聞がつくり出した争点だからね」「自民党の総裁選だから、聞かれたら答えているけど、格差なんていつの時代でもある。じゃあ朝日新聞の給料はいくらなんですかと言ったら終わっちゃう話なんだよ」などと言ったそうだ。朝日新聞が実は経済政策に関しては安倍自身よりもっと「右」の、筋金入りの新自由主義支持であることを知らずに、朝日さえ批判しておけばウヨに受けると思い込んでいる安倍もみっともないが、安倍の朝日に対する批判自体は当たっているところもある。朝日新聞の給料は、確かに破格の高額らしいし、朝日新聞の記者たちの多くは、本音では新自由主義を支持しているのだろうと私は想像している。

コイズミや竹中の「カイカク」に甘かった新聞としては、朝日の他に毎日新聞がある。政治思想的には中道から左派にかけての読者の多い朝日と毎日が「コイズミカイカク」を支持したことが、コイズミ内閣の支持率を高止まりさせた要因の一つではないかと私は考えている。

しかし、前のエントリで紹介したように、毎日新聞は最近、コイズミ内閣時代に格差が拡大したことを示す記事を掲載するなど、朝日よりは先に「コイズミカイカク」の迷妄からさめるかもしれない。

最近、安倍晋三と朝日新聞は「同じ穴の狢(むじな)」のような気がしてならない。「最近の朝日はおかしい」「朝日から東京新聞(あるいは毎日新聞)に替えた」という声をよく聞く。一方、朝日が右傾化したことを評価する声はほとんど聞かれない。

安倍晋三もそれと同じで、熱心なネオコン勢力の支持者からは、期待に反してはっきりしない態度だと批判を浴びる一方で、現実には教育基本法改定の与党単独での可決に続いて、国民投票法までも与党単独採決を示唆するなど、安倍のフニャフニャした物言いとは裏腹に、やることは数の力を頼んだごり押しなので、安倍は味方の支持を失うだけで、リベラル層は決して安倍支持に回ったりはしない。

昨年12月27日付の朝日新聞での早野透、星浩、根本清樹3編集委員の座談会記事「見えぬ安倍流 どこへ向かう」で星編集委員が指摘するように、安倍は実際には「反小泉」なのだろうと私も思う。何度も書くように、安倍は政治思想的な右派イデオロギーにはご執心だが、経済政策では必ずしもコイズミ?竹中の新自由主義には賛成でないようにも思われる。星さんの表現を借りると、『竹中平蔵氏的な市場原理主義にくみしない気分もある』(2006年12月27日付朝日新聞より)ということになるが、それはあくまで「気分」に過ぎない。何より安倍は小泉政権下で副官房長官、幹事長、幹事長代行、官房長官という中心ポストを歴任した男であり、コイズミや竹中が押し進めた「格差拡大」を招いた経済政策には重大な責任がある。そして、本質的には経済政策にはなんの興味もないから、ホワイトカラー・エグゼンプションが「少子化対策につながる」などとトンチンカンなことを言うし、こともあろうに竹中平蔵が次期日銀総裁になる、などのとんでもない観測記事を書かれたりする。いくら本心では必ずしも新自由主義マンセーではなかろうが、こんな安倍に期待できるところなど何一つない、と私は断言できる。

結局安倍や朝日新聞こそ、既得権にあぐらをかいているのである。右派が安倍を見捨て、リベラルや左派が朝日新聞を見捨てるのは当然だと思う今日この頃である。


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一昨年末から昨年初めにかけての耐震偽装事件やライブドア事件に絡んで、安倍晋三の名前が取り沙汰されていたことは何度も指摘したが、当時から私は安倍晋三批判の記事が掲載されている雑誌を買い集め、最初は掲示板、ブログ開設後はブログでの安倍晋三批判の参考資料としてきた。

月刊誌に掲載されている記事はともかく、週刊誌の記事は玉石混淆の「石」の比率が高いため、ブログの記事に取り上げることを躊躇することが多い。しかし、こと安倍晋三批判の題材に関しては、どういうメカニズムが働いているのか、大新聞や全国ネットのテレビが全然取り上げないため、週刊誌に見るべき記事が多いように思う。

とにかく、国の最高権力者になろうとしていた人物に対する、ここまでひどい報道管制を、私はこの国ではいまだ見たことがなかった。

昨年1月17日、耐震偽装問題に絡んだヒューザー・小嶋進社長の証人喚問で、小嶋氏が安倍晋三の非公然後援会「安晋会」の名前を使って、マンション住民の不安を抑えようとしたことが明らかになっても、大新聞やテレビは「安晋会」について何も報道しなかった。「安晋会」についての報道に本当に寄与したといえるのは、「ストレイ・ドッグ」の山岡俊介氏と「週刊ポスト」だけだったと私は思う。

何度も書くことだが、特に、ライブドア事件に絡んで変死を遂げた野口英昭さんが「安晋会」の理事だったことを暴いた「週刊ポスト」(2006年2月10日号)のスクープの意味は大きい。1年前の今頃、この事件を取り上げて大々的なキャンペーンを張ったブログがあったが、「安晋会」に関して、該ブログが新しく提供した情報など何もなかった。どんなにブログの発信力が増したといっても、ソースに近いところで取材をしているプロのジャーナリストには、そうそうかなうものではない。

ただ、そうはいっても、「週刊ポスト」などの報道をきっかけに、ブログや掲示板が野口さん変死問題の徹底追及を求める声をあげた意味は小さくなかったと思う。特に、昨年2月8日付で「きっこの日記」に掲載された、「ある往復書簡」は、日本のインターネット史上に残る事件だったと私は考えている。

いずれにしても、大新聞とテレビが権力に制圧されてしまった状況下では、雑誌メディアやインターネット、あとは市民の具体的行動くらいしか、権力の横暴に歯止めをかけるものがなくなった。だからこそ、ブログで声をあげようとする者として、私は月刊誌および週刊誌に掲載される、コイズミやアベシンゾーへの批判記事にはずっと注目してきた。

結局、週刊誌の奮闘や、有志ブロガーによる「AbEnd」キャンペーンの甲斐もなく、安倍内閣は成立してしまったのだが、安倍政権成立直前の時期に頑張っていた週刊誌というと、私は真っ先に「サンデー毎日」をあげたい。

今でこそ、「週刊ポスト」と「週刊現代」が競って安倍晋三批判記事を掲載しているが、まだコイズミの「郵政総選挙」圧勝や「偽メール事件」の影響の残っていた昨年6月、安倍晋三が統一協会系の総会に祝電を送った時、「ポスト」も「現代」も、当然それを百も承知のはずだったのに、記事にしなかった。

あの当時は、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」でさえ、ネットで祝電事件が発覚して1週間が経ってから、ようやく安倍の統一協会への祝電の件を記事にしたくらい、「物言えば唇寒し」の空気が充満していた。「赤旗」が口火を切ると、少し遅れて写真週刊誌「FLASH!」が追随したものの、一般週刊誌でこれに追随したのは、私の知る限り、「サンデー毎日」「週刊朝日」「アサヒ芸能」(この3誌は同日発売)と、少し遅れた「週刊金曜日」の4誌だけだった。そして、その後も安倍批判を継続したのが「サンデー毎日」と「週刊金曜日」だった。
社民党・共産党支持者あたりをターゲットにしていると思われる「週刊金曜日」を別にすると、幅広い読者層を想定している週刊誌で、安倍晋三をマトモに批判する雑誌は、ある時期は「サンデー毎日」一誌だけだった観さえあるのだ。

「サンデー毎日」は、いうまでもなく毎日新聞社が発行する老舗の週刊誌だが、その発行部数は極めて少なく、約7万部だ。これは、「きっこの日記」の1日あたりのアクセス数と同じくらいだが、「きっこの日記」には同内容の「きっこのブログ」があるし、記事が毎日更新されていることを考慮すると、もはや「サンデー毎日」は、「きっこの日記」の十分の一程度の影響力しか持たないと私は見積もっている。しかし、その記事は決して無視できない質を誇っている。

当ブログの1月17日付記事 『年末年始に読んだ本(7)?「安倍晋三の敬愛する祖父 岸信介(下)」』で孫引きしたように、安倍が早稲田大学で「小型なら核爆弾の保有(そしてその使用も)許される」というトンデモ発言をしたのを暴いたのも同誌なら、一昨年のコイズミによる「郵政解散」の直前に、竹中平蔵が、選挙に勝利を収めるための政府広報チラシの発注に、「口利き」したのではないかという疑惑を報じたのも同誌だった。

『竹中平蔵の「広報疑惑」を暴く??8月解散説浮上 大量造反で「郵政国会」一寸先は闇』
(「サンデー毎日」 2005年7月24日号)
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/sunday/tokusyuu/news/20050713-182250.html

この件については、「口利き疑惑」そのものもさることながら、発注先の業者が作成した資料が、コイズミ内閣の支持者を「B層」と分類して、「IQが低く、具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターを支持する層」と定義していたのが暴露され、話題になったものだ。

もし、まだこれをご存知ない方がおられたら、スリード社の作成した資料は、下記URLから閲覧できるので、よくご覧いただきたい。

http://tetsu-chan.com/05-0622yuusei_rijikai2.pdf

さて、ようやく本論に入るが、このようにコイズミやアベシンゾーの批判では実績のある「サンデー毎日」が、昨年8月13日号に、『激闘永田町 自民党内で囁かれる「小泉再登板」シナリオ』(執筆:石森孝憲)という記事を掲載している。ナナナナナント!「サンデー毎日」は、アベシンゾー内閣が発足する以前から、「ポスト安倍」を予想していたのだ。

以下、同誌の記事を引用する。

  もはや「安倍独走」の党内の流れは、誰にも止められそうにない。
  こうした中、派閥の会合などのたびに話題にのぼるのが、来夏の参院選を見据えた「安倍政権、その後」だ。安倍に干されたような面々から漏れ伝わることが多いから、少し差し引いて解釈する必要はあるのだろうが、簡単な流れを紹介すれば次の通りだ。
〈9月下旬に召集される臨時国会の冒頭に首班指名を受けた安倍は、組閣、党役員人事において「小泉流」を貫き、あくまで派閥の要求をはねつける。さらに、就任会見や所信表明演説などでも「小泉ばり」のパフォーマンスを展開。国民はその姿に期待し、ご祝儀相場もあって内閣支持率は7?8割と高くなる〉
  という「バラ色のスタート」に、それは始まる。
  しかし、その後はイバラの道をたどることになってしまうというのだ。
〈10月22日の衆院統一補選(神奈川10区、大阪9区)で2連敗し、いきなりつまずく。これを機に求心力を一気に失う安倍は、年末の予算編成作業などでも指導力を発揮できず、族議員を中心とした旧来型政策決定を黙認、内閣支持率は急降下する〉
"国民的人気"を失った安倍は怖くない。党内に「安倍降ろし」の芽が出始め、やがて悲惨な運命が待つことになる。
〈来年の通常国会が始まると、野党の攻勢も加わり、安倍政権は千鳥足のような状態に陥る。スキャンダル一つでもあれば、それに拍車がかかる。そして、春先には森政権末期の01年春のような「いつ政権が倒れるか」というカウントダウンの状況になっていく
(「サンデー毎日」 2006年8月13日号 『激闘永田町 自民党で囁かれる「小泉再登板」シナリオ』(石森孝憲)より)

現実の安倍政権は、10月の衆院統一補選にこそ2勝したのだが、仲良しクラブのような、国政をなめきった安倍の姿勢のせいか、求心力を徐々に失っていった。「郵政造反」議員の復党あたりから、安倍政権下では何をやっても許される、コイズミとは違うんだという安心感を自民党の議員に与え、教育基本法の改定の経緯に象徴されるように、議論を尽くさず数の力で与党単独採決で法案を成立させる安易な政治姿勢が、政府・与党におごりを生じさせた。その結果、閣僚らのスキャンダルや失言が続発し、それに対して安倍がいっこうに厳しく対処しようとせず、かばおうとし続けるので、政府・与党はますますたるみ切って醜態をさらし、内閣支持率は急降下した。スキャンダルは一つどころか、数限りないスキャンダルが噴出していったのである。そして、春先を待たずして、「いつ政権が倒れるか」というカウントダウンの状況になった。

前述「激闘永田町」は、コイズミの再登板を予想している。

  この後を受けて登場するのが「小泉再登板」説だ。01年の場合と同様、党内外から小泉待望論がわき上がるというのだ。安倍の「悲惨な運命」を予想する向きにとって、これは面白いシナリオではない。しかし、津島派幹部は、
「そういう状況になれば、自分たちのメンツとかプライドとは言ってられなくなる。まずは夏の参院選を乗り切ることだ。『党を守るためには小泉しかいない』というムードになる可能性はあるね。本当は小泉なんかに頼りたくないんだけど、それも仕方ないかなって」
 と苦々しく語る。
(前掲誌より)

この「津島派幹部」氏の志の低さにも呆れるが、何か月も前に週刊誌や与党の反町村派(旧森派)議員の予想した通りの末路をたどっている安倍政権は、ぶざまの一語に尽きる。

ところで、当ブログでは、昨年末の記事 『「コイズミへの回帰」ではダメだ。コイズミも安倍晋三もともに否定しよう』以来、コイズミのカムバックを阻止すべく、「格差社会」を招いた真犯人は安倍ではなくコイズミだと訴え続けてきた。

最近、毎日新聞が東京大大学院の神野直彦教授の協力を得て、小泉政権下の2002年以降、格差の度合いを示す「ジニ係数」が急上昇していったことを示す記事を掲載した。

『地域間格差:所得格差』「小泉政権下で拡大」実証 本社集計
(「毎日新聞」 2007年2月4日)
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070204k0000m010116000c.html

(リンクが切れている場合、「kojitakenの日記」をご参照下さい)

これは、コイズミ政治の犯罪性を根拠を示して暴いた、とても良い記事だと思う。ようやくマスメディアにもコイズミのパフォーマンス政治の迷妄を脱した報道が見られるようになったので、コイズミが復帰しても、以前のような熱狂で迎えられることはもはやないだろうと私は予想している。

ナガシマにも似て、動物的な勘だけは鋭いコイズミは、それを察知して、自らの名声を地に落とす再登板は避け、悠々自適のうちに「自民党がぶっ壊れる」さまを見て、人ごとのようなコメントを発し続けるのではないかと予測する今日この頃である。


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ブログを開設してから10か月目になる。記事の総数は、書きかけで破棄したものや、いったん公開したのち削除したものも含めると、昨日の記事で250件に達した。

最近では、記事の公開からずいぶん経った頃に古い記事へのトラックバックやコメントをいただくことも多くなった。当ブログのアクセス数は、1日あたりせいぜい千数百件だが、最近はリピーターの方の訪問が増えており、そういう方はたいてい最新エントリの記事を読まれたら、他のブログに移動されていることと思う。私自身も、そういう行動パターンをとっている。

だから、古い記事へのコメントやトラックバックは、人の目には触れにくい。しかし、それらの中には、是非とも多くの人に読んでもらいたい文章が含まれていることがある。

たとえば、昨年8月9日付の記事 『国民が戦争を知っていた頃』に、公開後4ヶ月が経った昨年12月18日に、奈央さんからコメントをいただいた。

このコメントを埋もれさせてはいけない、と思ったので、翌12月19日付で 『なおも続くコメント特集?中国における日本軍』で、新たなエントリを起こして取り上げたところ、奈央さんご自身から追加のコメントを何件もお寄せいただいたばかりか、他の方からもコメントをいただいて記事を充実させることができ、感謝の気持ちでいっぱいになったものだった。

この記事の公開から、2か月近くが経過しようとしているが、今回再び、このコメント特集にさらなるコメントをお寄せいただいたので、ここに紹介したい。

コメントを下さったのは、菜花さんと仰る方である。以下菜花さんのコメントを引用する。

kojitaken さん、初めまして。よろしくお願いします。「非戦・ブログ・中国」で検索していてこちらの記事を拝読致しました。

私の父は、戦前に中国に渡り、その後戦争が始まったため、そのまま日中戦争に参加しました。私の場合父から直接話を繰り返し聞いたのですが、奈央さんと同じような話を、父の口から聞いております。

父の話からすると殺されたのはやはり軍人ではなく、民間人だったのだと思います。中国人や朝鮮人の人達に自分で大きな穴を掘らせ、その後その人達の手を後ろ手に縛り、目隠しをして並んで座らせ、命を請う人達や 既に腹を据えて静かに座る人達を、上官の命令で次々に日本刀で首を刎ね、その後その穴の中に残った胴体を日本兵が蹴り入れ埋めていったという話でした。

父自身は手を下した事はなかったと言いましたが、それがどこまで本当かは定かではありません。

その他にも当時の日本軍の沢山の残虐行為を聞いております。ですから、私は今現在の状況がとても危ない状況にあるように思えてなりません。また同じような事を、日本が起こそうとしているのではないかと。

TBを一つさせて頂きました。ご判断下さい。

(菜花さんのコメント)

ここに書かれているように、菜花さんはご自身もブログを開設されており、その記事を弊ブログにTBいただいた。

「こころの一人旅」? 『日本軍が 中国にしてきた事』(URLは下記)
http://blog.goo.ne.jp/kamifuusen_2006/e/f428efed167e19d83f98a55cc8088f04

菜花さんのコメントやTBしていただいたブログの内容は、弊ブログの過去の記事 『国民が戦争を知っていた頃』で紹介した遠藤周作氏の小説や加藤紘一氏の支持者の言葉、それに、『なおも続くコメント特集?中国における日本軍』で紹介した奈央さんや眠り猫さんのコメントと符合する。

すなわち、中国において日本軍が「残虐行為」を働いたであろうことは、疑問の余地がほとんどない、と私は考える。

これは、決して自虐史観などではない。中国人と日本人が逆の立場だったら、同じようなことをやられたのではなかろうかとも思う。

こうした残虐行為は、戦争のなせるわざだろう。もちろん、だからといって殺した側の戦争犯罪が免責されるわけではないが、菜花さんがご自身のブログのコメント欄で書かれているように、上官に「殺せ」との命令を受けた兵士は、それに背くと自分自身の命が危ない状況に追い込まれていたのだろうと私も想像する。

だから、『問題は その決定をし、命令を下す側の方にあると思う』という菜花さんのご意見には、私も同意するし、「美しい国」などという空疎なキャッチフレーズで、日本を軍国主義国家に導こうとした安倍晋三は、まさにその側の人間であって、仮に今後、安倍の好戦的な政策のせいで、多くの人命が無為に失われてしまう事態が生じても、この男は何も感じないであろうと、私は確信している。

このような人物が首相になり、この国はいったいどうなるのだろうと夜も眠れない思いだったが、国民はこの男を支持せず、政権の終わりも近いとささやかれている現状は、日本にもまだ辛うじて民主主義の灯が残っているとの一縷の望みを感じさせるものだった。

このまま安倍政権を一気に終息させたいものだと、強く念じる。


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全国紙は、明らかに安倍内閣を支持している読売新聞や産経新聞に限らず、朝日や毎日にしても、安倍内閣に対してはまだまだ腰が引けた姿勢だ。

これに対し、地方紙はこのところ急激に安倍内閣批判の姿勢を強めている。地方紙の政治記事は、その多くが通信社の記事の配信であろうが、情報の取捨選択に社の姿勢が反映される。そして、多くの地方においては、全国紙よりも政権批判の姿勢が強いように思われる。

私の地元の新聞である「四国新聞」も、その例外ではない。この新聞は、昨年7月まで森田実氏のコラムを随時掲載していて、コイズミの「ネオリベ」経済政策に翼賛してきた全国紙とは明確に一線を画していた。その「四国新聞」2月9日付の紙面に、『政局最前線 首相の求心力低下加速 執行部からも不協和音』という記事が掲載されているので、その一部を紹介したい。

  公明党の松あきら女性局長が柳沢伯夫厚生労働相の辞任論を展開するなど、与党幹部から8日、安倍晋三首相の政権運営に公然と異を唱える発言が相次いだ。
  内閣支持率の続落に歯止めがかからない中で、与党執行部にさえ「首相の威令」が届かない求心力の低下ぶりが浮き彫りになった格好。塩崎恭久官房長官は「柳沢氏は信頼回復に努めている」と火消しに努めたが、政権のたがの緩みは覆い隠せない状況になってきた。

(中略)

  不協和音はこれだけにとどまらない。自民党の谷津義男選対総局長も同日のテレビ番組収録で、憲法改正を参院選の争点に掲げるとの首相方針に反して、「憲法改正は争点にはならない。政権公約(マニフェスト)は憲法改正ではなく、年金、教育、少子化など国民が身近に感じるものに焦点を当てたい」と強調した。

(中略)

  自民党の閣僚経験者は7日夜に「安倍首相は官房副長官時代に北朝鮮対応で活躍したから(党総裁選で)推したが、見込み違いだった。『倒閣』なんて、刺し違える覚悟のある議員が5人もいればできる」と強調。別のベテラン議員も8日、「もう閣僚と党執行部を全部取り替えるか、森内閣の時のように首相を替えるしかなくなってきた」と指摘するなど、不穏な発言も飛び交い始めているのが実情だ。
  自民党内では、内閣支持率の下落が民主党の支持率アップのつながっていないことを踏まえ「安倍内閣は、政権批判の受け皿になれない小沢一郎率いる民主党に支えられている」との自嘲気味な声も聞かれる。
  小泉純一郎前首相も7日夜、都内で自民党の中川秀直幹事長らと会食した際にこううそぶいた。
「小沢さんを大事にしたほうがいいな」

(「四国新聞」 2007年2月9日付紙面より)

この記事は、途中で引用を省略した部分に、共同通信実施の内閣支持率のデータが出てくるから、共同通信配信の記事と思われるが、朝日新聞その他の全国紙ではなかなか読めない生々しい記事で、もう安倍内閣が実質的に「死に体」であることは、この記事を読めばよく理解できるだろう。

それにしても、昨日の記事 『安倍政権はいつまで続くのか?』でも書いたことだが、安倍に対するマスコミの掌の返し方は、本当にあっけにとられるほどだ。いったい何が原因なのだろうか。

私は、国内・国外両方の理由によって、安倍がよって立つところの「日本版ネオコン」が、全く国民に受けないものに成り下がったことがその原因だろうと考えている。

すなわち、国内的には、コイズミ人気を支えていた、社会的には弱者にあたる若年層が、コイズミが推し進めたネオリベ政策の必然の帰結である「格差拡大」によって、支持層から離れていったことがあげられる。

また、国外に目を転じると、ブッシュ率いるアメリカのイラク侵略が誤りであったことが、ほかならぬ米国民の目にも明らかな状態になったにもかかわらず、安倍晋三はそのアメリカ、というより落ち目のブッシュに平身低頭するしか能がない。ご主人様の言うことには決して逆らわず、「うい奴」と可愛がってもらおうとしかしないやつなのである。そんなやつが国民の支持を失うのは当然のことだ。

アメリカの次期大統領が「初の女性大統領、ヒラリー・クリントンか、初の黒人大統領、バラク・オバマか」などと言われている時に、絞首刑になってもおかしくなかったA級戦犯でありながら、アメリカのお情けというより謀略によって命を助けられた上、首相にまでしてもらった岸信介の孫が首相をやっているなんて、なんてダサイことか。そんな感覚を持つ人が増えたということではないかと思う。

もうちょっと意地の悪い見方をすると、このまま安倍内閣の「日本版ネオコン」政策が進められると、ネオコン離れをしようとしているアメリカとの関係が悪化する恐れがあると思うが、これを主に経済界が懸念している影響が現れたのではないか、とも考えられる。

いずれにしても、安倍内閣の崩壊は、もう時間の問題だろう。安倍の時代錯誤的な極右路線は、もはや完全にトレンドから外れたといえる。


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このところ、毎日のように安倍晋三首相がマスコミに叩かれている。8か月前、当時官房長官だった安倍晋三が、統一協会(「統一教会」とも表記)系の大会に祝電を送った時、「薫のハムニダ日記」を皮切りに、ネットでは「お祭り」になり、当時零細ブログだった当ブログもその末席を汚したものだが、当初マスコミはこれを無視し、その後いくつかの週刊誌が取り上げたものの続報はなされず、「カナダde日本語」提唱の反安倍ブログ運動「AbEndキャンペーン」の奮闘にもかかわらず、安倍晋三政権の発足を許してしまった。

しかし、安倍は首相就任早々から失政を重ねたばかりか、閣僚をはじめとする政府要人のスキャンダルや失言が相次ぎ、政権内部でも、コイズミの流れを汲む「ネオリベ」(新自由主義)信奉者と安倍晋三固有のシンパである日本版「ネオコン」(新保守主義)信奉者との折り合いがうまくいかず、さらには「ネオコン」内でも、安倍政権のあまりの対米隷属主義が、民族主義者に好ましくない印象を与えて離反する勢力が出るなど、支持層が四分五裂して、発足後5か月も経たない現時点で、早くもレームダックと化してしまった。

先日、mew-run7さんのブログ「日本がアブナイ!」の記事 『基盤弱体化の安倍政権をしっかり攻めるべし!+小林よしのりの改憲反対を支持!』で、小林よしのりが、対米隷属のための憲法改正なら、しない方がましと主張していると知って、「SAPIO」 (2007年2月14日号)を立ち読みしてみたところ、その通りだった。おまけに、「SAPIO」は、『ニュープアの「反乱」』と題する、新自由主義が生む格差社会の特集まで組んでいた。「週刊文春」や「週刊新潮」の最新号では、安倍内閣閣僚たちのスキャンダルが書かれているという話も聞くなど、ついこの間までの「ネオリベ・ネオコン」マンセーのマスメディアの論調が、あっという間に変わったのには、あっけにとられるばかりだ。

内憂外患というべきだろうか、先日行われた、安倍のおひざ元の下関市議会選挙でも、安倍の手下・江島潔下関市長に反対する勢力が伸張し、市長支持派は伸び悩んだ(「長周新聞」 2007年2月5日付)。ここで紹介しているソースは、むろん反江島側の立場に立つものだから、江島や安倍の支持者からは「公正さを欠く」と言われるかもしれないが、少なくとも安倍晋三の首相就任に伴う「ご祝儀」効果が全くなかったことだけは確かだろう。

しかし、そんな安倍晋三の「長期政権」を予想しているのが、モリタクこと森永卓也氏である。
森永氏が日経BPのサイトに持っているコラム「構造改革をどう生きるか?成果主義・拝金主義を疑え!」の第68回 『そのまんま東氏の向こうに安倍政権の長期化が見える』には、ブッ飛んだ人も多かったのではないだろうか。

先日の宮崎県知事選挙で当選したそのまんま東(東国原英夫)氏を論じながら、「自民党は国民に人気がないと総裁になれない構造になった」から、「そう簡単に安倍さんの代わりは出てこない。わたしは安倍政権はおそらく長期化するだろうと確信している」と論を進め、安倍の後釜は、なんとコイズミの長男・小泉孝太郎だろうと予測したあげく、「日本の総理大臣は安倍家と小泉家のたすき掛け人事で決まるようになり、北朝鮮の金王朝と同じようになるのではないだろうか」と結論づけている。

昨日の当ブログの記事 『次期米大統領は初の女性か黒人か?』に、「AbEnd」キャンペーン提唱者にしてブログ「カナダde日本語」の管理人・美爾依さんから、「安倍は末期症状と言われながら、モリタクのように長期になると予想する人もいるわで、全くよくわかりませんね」というコメントをいただいているし、ブログ「憧れの風」の管理人・星影里沙さんはかなりご立腹の様子だったが、これはむろんモリタク一流のブラックジョークである。

モリタクは、悪趣味なことに、「週刊朝日」(2007年1月19日号)でも、安倍政権のこれまでの運営を「0点」と採点しながら、安倍が辞めるならいつか、という質問に対して、「5年くらいは続く」と予想している。

そのコメントがふるっているので、以下引用する。
まず、政権の運営を0点と採点したことについてのコメント。

小泉内閣よりさらに「弱肉強食」を推し進めているから。3カ月で教育基本法と防衛省の重要法案を2つ通しているし、実力はある。日本をアメリカのような国に変えたい人には100点でしょうけどね。いまの政権構造は浮動票頼みで、ビジュアルが良くないと総理になれない。極めて民度の低い国に日本はなってしまっている。
(「週刊朝日」 2007年1月19日号 『早くも囁かれだしたポスト安倍の顔ぶれ』より 森永卓郎氏のコメント)

さらに、安倍政権が「5年くらい続く」という根拠としては、

今の支持率なら参院選は惨敗だが、参院で否決されたら衆院に戻して可決すればいいわけで、政権運営上は何の支障もない。
(前掲誌より)

などと、ぬけぬけと言っている。

実際に、参院選で惨敗しても政権に居座ったりしたら、「モラルハザード」としか言いようがないと思うが、安倍ならやりかねないと思わせるところが恐ろしい(笑)。

ここまでおちょくられて、テレビのインタビューでは「裸の王様だと言われていますが」(注:こう言ったのは舛添要一)と記者に質問されるまでに堕ちた安倍晋三だが、反省したり、自らを恥ずかしいと思うような繊細さは、むろん安倍にはない。

こうして、「世界にさらす日本の恥」としか言いようのない安倍晋三内閣は、今日も続いていくのだ...


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最近、アメリカ民主党のバラク・フセイン・オバマ上院議員に関するニュースを目にすることが多くなった。
今日の毎日新聞のサイトにも出ている。

『オバマ議員:一貫して反戦…人気急上昇 米大統領選』
(「毎日新聞」 2007年2月7日)
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/america/news/20070207k0000e030065000c.html

以下引用する。

 米民主党のバラク・オバマ上院議員(45)の人気が急上昇している。米政界に突如現れた期待の新星で、08年米大統領選ではあのヒラリー・クリントン上院議員(59)を脅かす存在だ。米メディアが「初の黒人大統領誕生か」と注目する、若手政治家とは。【ワシントン及川正也】

 2日、ワシントンで開かれた民主党全国委員会の冬季大会。「イラク戦争に反対したオバマ氏です」。長身で端正な顔立ちのオバマ氏が登壇すると、約4000人の聴衆は総立ちになり、会場は拍手と歓声に包まれた。「ロックスター」と異名をとる人気ぶり。「どうやってイラクでの戦いを終わらせるか、率直な討論が必要だ。紹介の通り、私は開戦前から侵攻に反対だった」。さわやかな弁舌に再び拍手がわいた。

 対照的だったのはクリントン氏。世論調査の支持率ではオバマ氏を上回る。だが、イラク戦争について話し始めると大声のヤジが飛んだ。02年秋、イラク侵攻を認める決議にクリントン氏が賛成したからだ。「当時、私が大統領だったら戦争は始めなかった」と訴えたが、説得力を欠いた。

 オバマ氏は一貫してイラク戦争に反対してきた。この先見性こそ、人気を支える大きな原動力だ。5月までにイラクから米軍の撤退を始め、08年3月までに戦闘部隊を完全に撤収させるという法案を提出しており、イラク問題で民主党の先導役になりつつある。

 オバマ氏をスターの座に押し上げたのは、04年夏の民主党全国大会での基調演説だ。「我々は一つの国民だ。黒人も白人もなく、共に星条旗に忠誠を誓い、米国を守っている」。イラク戦争の是非などを巡って「分断する米国」と言われていた当時、まだ無名の新人が訴えた「分断の修復」は米国民の心をつかんだ。近著「大胆な希望」では「基調演説で『一つの国民』と言ったのは、人種問題が終わったことを意味するわけではない」とも強調する。

 父はケニア出身の黒人で、母はカンザス州出身の白人。両親が出会ったハワイで生まれたが、幼少時に両親が離別。はじめはジャカルタで母親と、その後ハワイで母方の祖父母と暮らした。ロサンゼルスのカレッジを経てコロンビア大学に学び、ハーバード大ロースクールで弁護士資格を取得。シカゴで弁護士として活躍していたが、96年にイリノイ州の上院議員、04年に連邦上院議員に当選し、第二次大戦後3人目の黒人上院議員となった。政治歴はまだ10年余りに過ぎない。92年にシカゴ出身の黒人、ミシェル・ロビンソンさんと結婚。2人の娘がいる。

 若いころは複雑な出自と家庭環境に苦しみ、学生時代にマリフアナやコカインに手を出したことも認めている。ただ、米国で黒人の大半は奴隷制度に苦しんだ先祖を持つが、オバマ氏は違う。少年時代は白人の中産家庭で過ごした。最終的に「アフリカ系米国人」として生きると決意したが、黒人層から必ずしも支持を得られているわけではない。

 黒人作家のデブラ・ディカーソンさんは「オバマ氏は黒人ではない」とオンライン・マガジンに書き、全米で論争の的になった。ワシントン・ポスト紙の調査では、黒人層でオバマ氏支持と答えたのは2割にとどまり、対するクリントン氏は黒人層の6割を固めているという。

 クリントン氏が先月27日、最初の大統領選遊説で乗り込んだアイオワ州の黒人女性、マーシー・ルイズさん(36)は「ヒラリーとオバマで正副大統領をやればいい。大統領は経験がある分、ヒラリーね」と笑った。

毎日新聞 2007年2月7日 12時58分 (最終更新時間 2月7日 15時12分)

この記事にあるように、オバマ氏は、04年に連邦上院議員(イリノイ州選出)になったばかりの若い政治家で、その力量は未知数といわれているそうだが、人気は抜群で、早くも大統領選の有力候補として、ヒラリー・クリントン上院議員(ニューヨーク州選出)を急追しているそうだ。

オバマ氏は父がケニア人、母がスウェーデン系の労働者一家の出身。両親はオバマ氏が幼い頃に離婚している。彼のミドルネームが「フセイン」であるのは、彼の父および祖父がイスラム教徒であったことに由来するそうだ。

アメリカのイラク侵攻に一貫して反対し続けてきたことから、高い人気を獲得するに至ったとのことだが、その出自といい経歴といい、忘れかけていた「アメリカン・ドリーム」という言葉を思い出させるにふさわしい候補者といえると思う。

同じ「若き政治家」といっても、安倍晋三ほどオバマ氏と対極にある人物も珍しいだろう。
安倍は、元首相・岸信介の孫として、何不自由ない環境で育ちながら、家庭教師をつとめていた平沢勝栄によって、「俺が必死に勉強を教えてやったから、大学になんとか行けたんだ。俺が仕込んでやらなかったら、今頃は刑務所にでもいるんじゃないか?」と酷評された人物だ。マイノリティから実力でのし上がったオバマ氏に対し、安倍には政治家としての実力も実績も全然なかったのに、なぜか総理大臣に担ぎ上げられた。しかし、当然ながら力不足も良いところで、「ホワイトカラー・エグゼンプション」にしても「共謀罪」にしても、安倍は「導入する」と口にしたものの、世論の猛反発を食って、いずれも発言の取り下げを余儀なくされた。閣僚は好き勝手な発言を繰り返しているが、安倍は失言を重ねる閣僚を更迭することさえできず、内閣はもはや空中分解目前だ。

安倍は、かつて「アメリカを疑うのは失礼に当たる」とまで言った「属米主義者」だが、自国の政府の政策を堂々と批判することによって大衆の支持を得つつあるオバマ氏と、なんという違いだろう。なぜ、安倍のような奴隷根性の男を、日本人は総理大臣にしてしまったうえに、未だに4割近い国民がこんなものを支持しているのか。これは、われわれ日本人にとって「恥」以外のなにものでもないと思う。

ところで、この記事を書いている最中、イラクで米軍が大規模な武装勢力の掃討作戦をはじめたというニュースが飛び込んできた。

当然、安倍はこれを支持するだろうが、最終的にはイラクを思うがままに支配しようとするブッシュのもくろみは崩れ去るだろうと私は予測している。

来年のアメリカ大統領選挙は、ヒラリーかオバマかはともかく、民主党の候補が勝つだろう。ヒラリーが勝てば、アメリカ初の女性大統領誕生、オバマが勝てば、アメリカ初の黒人大統領誕生になる。もちろん、大統領選まではまだまだ時間があるので、この2人以外の有力候補が台頭する可能性もあるが、いずれにしても、ワクワクドキドキすることができる。

一方、安倍晋三内閣は間もなく勝手に倒れるだろうが、その後釜が、たとえば麻生太郎内閣であるならば、日本国民は何の期待感も政権に抱くことはできないだろう。彼我の差は実に大きい。

アメリカは、その一国主義(ユニラテラリズム)に象徴されるように、欠点も多いが、反面、今回のオバマ氏の台頭に見られる社会の活力も認めざるを得ない国だ。ブッシュのように極端なネオコンに走る大統領が出現すると、必ずその揺り戻しが生じる。

ところが、日本は、いったん流れができてしまうとどこまでもそれに流される傾向がある。
現在、ようやく反安倍晋三の機運が盛り上がってきたのは喜ばしい限りだが、今になって安倍を批判し始めた人たちは、どうしてマスコミが自民党総裁選の流れを「安倍晋三有利」に持って行こうとしている時、それに反対する声を挙げなかったのかと、もう8か月も前から「AbEnd」(安倍を「the End!」させよう)を標榜している当ブログとしては文句を言いたい今日この頃なのである。


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「さるさる日記」において、「きっこの日記」に次ぐ人気を誇っていた「勝谷誠彦の××な日々。」が、昨年末限りで有料のメルマガに移行した。

過去に同様にして有料配信制に移行したサイトがいくつかあったが、有料になるとともに読者を失い、忘れ去られる運命にある。勝谷のウェブ日記も、その例外ではない。

しかし、勝谷はテレビにコメンテーターとしてよく出演するので、たまに勝谷の顔を見かけるたびに、「そういえばこの男、ウェブ日記を書いていたなあ」と思い出す。

昨日(2月5日)のテレビ朝日「TVタックル」にも勝谷が出ていた。私は、露骨に右に偏っているこの番組が嫌いで、普段はあまり見ないのだが、一つには、このところこの番組に出ている民主党のネオコン議員たちの好き勝手な発言が目にあまるという噂を聞いたので、彼らを監視しようという理由で、いま一つは、柳沢厚労相の発言をどう扱うかをチェックする意図で、昨日のブログの記事を書きながら、BGMとして音声を聞いていた。

結局、記事を書くほうに神経が向いたので、くだらない政治家たちのおしゃべりはあまり耳に入らなかったのだが、番組冒頭の勝谷の発言だけは、耳に残った。勝谷は、アパの耐震偽装問題に触れて、「この問題を追及していくと首相につながる」と言いながら、「安晋会」という固有名詞を口にしたのである。

「安晋会」(あんしんかい)。安倍晋三の非公然後援会。何度も書くように、昨年1月17日のヒューザー・小嶋社長(オジャマモン)の証人喚問の際、民主党の馬淵澄夫議員の質問をオジャマモンが認める形で、その存在が明らかにされた。

しかし、「安晋会」は証人喚問の場で明らかにされたほどの公知の団体なのに、なぜかメディアは「安晋会」に触れようとはしなかった。「安晋会」だけではなく安倍晋三自体がメディアのタブーとなった。昨年2月12日のNHKテレビで、民主党の鳩山幹事長が、ライブドアの投資事業組合にかかわった自民党の政治家として、「安倍...官房長官。」と、安倍を名指ししたのにもかかわらず、その日のニュースにさえならず、それどころか数日後の民主党・永田の「偽メール質問」をめぐる混乱で、投資事業組合の存在自体がうやむやにされてしまったことについては、以前にも指摘した。

インターネットでも、「安晋会」を扱うサイトとそうではないサイトに分かれた。「勝谷誠彦の××な日々。」は、かつては後者に属しており、「安晋会」の存在には、ヒューザーの耐震偽装問題・ライブドア事件を通じて、ずっと触れずにきた。

活字メディアで、いちばん果敢に「安晋会」に挑んだのは「週刊ポスト」である。私は、当然ながらブログを始める前から安倍晋三が大嫌いだったので、ライブドア事件当時、「安晋会」の理事だった野口英昭さんの怪死事件を扱った週刊誌を買い集めていたのだが、そもそも野口さんが「安晋会」の理事だったことを暴いたのは「週刊ポスト」(昨年2月10日号)だった。

今、手元にこの号があるが、これを読み返すと、その前の昨年2月3日号、つまり、オジャマモンの証人喚問の行われたあとに最初に発行された号から、同誌が「安晋会」疑惑を追っていたことがわかる。野口さんが「安晋会」の理事だったことを暴いたのは、本当に大きなスクープであって、現時点では野口さん怪死事件はうやむやにされているとはいえ、今後再調査が行われ、すべてが白日の下にさらされた時、「週刊ポスト」の報道の意義が、世に知れ渡ることになるのではないかと私は予想している。

「週刊ポスト」は、その後も、安倍内閣発足の前日に発売された昨年9月29日号で、アパの耐震偽装疑惑とともに、アパの元谷会長が「安晋会」の副会長であることを暴いたほか、翌10月6日号では、竹中平蔵経済塾と「安晋会」をつなぐ存在として、「安晋会」代表幹事にして「竹中平蔵経済塾」の理事長でもある「杉山敏隆(すぎやま・びんりゅう)」なる人物を挙げている。

この杉山敏隆は、「安晋会」について調べたことのある人ならオナジミの存在だと思う。コンサルタント会社「ゴールネット」を経営していたが、この会社はかつてダイナシティと取引があった。このダイナシティと暴力団との関係はよく知られているが、ライブドアがダイナシティの買収に動いた矢先に摘発された、しかも、摘発直前のダイナシティの株価の変動は不自然極まりないものだった、などのことは、「きっこの日記」などでもたびたび指摘されているので、多くの読者にはオナジミだろう。
しかし、杉山と竹中平蔵の関係は、あまりまともに追及されてこなかったように思う。

それを、「週刊ポスト」の昨年10月6日号は丹念に追っている。安倍晋三が「安晋会」という非公然後援会を金集めに利用したのと同様に、竹中平蔵も「竹中平蔵経済塾」なるパーティーを5回開き、政治資金を集めたというのだが、政治資金収支報告書には、その第1回目しか記載がないそうだ。竹中側は、「そんなパーティーは開いていない」と主張するのだが、「週刊ポスト」は、パーティーは確かに開かれた、その3回目のパーティーに参加したIT企業家のブログも把握している、と反論する。

しかも、「竹中平蔵経済塾」の主宰に名を連ねている「21世紀政治研究会」という政治団体が、総務省に一度も収支報告書を提出しておらず、この団体の代表が「安晋会」の代表幹事・杉山敏隆だというのだ。

そして、同誌は、安倍の資金管理団体「晋和会」の2003年の収支報告書に、21世紀政治研究会から100万円と36万円が2回に分けて献金され、杉山サイドから安倍にカネが渡っていたことを暴いている。そして、21世紀政治研究会は、報告書を提出せずに、その事実を「隠蔽」していたという。

竹中平蔵は、安倍内閣発足と同時に、政権の中枢から去り、議員さえ辞職した。しかし、「週刊ポスト」によると、それは必ずしも政権からの追放を意味するものではなく、安倍による疑惑隠しではないかと推測している。

当ブログでは「週刊ポスト」の指摘の真偽を確かめる術を持たないが、今後、「安晋会」の疑惑が明らかにされていく際、「安晋会」代表・杉山敏隆と竹中平蔵との関係にも光が当てられることを期待したいと思う。


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注目の愛知県知事選と北九州市長選は、北九州では野党が快勝したが、愛知では自公が推薦する現職が辛うじて勝利を収めた。

もちろん、このような結果になった原因は、柳沢厚労相の女性差別発言にある。今回の選挙が与党の2勝なら与党は開き直ることができたし、野党の2勝なら政権は柳沢を切るしかなかっただろう。
今回、1勝1敗に終わったことで、安倍は柳沢を切ろうにも切れず、与党にとっては2敗よりさらに厄介な結果となったという見方に、私は賛成する。

なお、安倍が柳沢をかばった理由というかメカニズムを、弊ブログにトラックバックいただいた景野禎夫さんのブログ「斜47°」の記事『産む機械発言は失言か?』が軽妙にカリカチュアライズしていて、とても秀逸だと思う。当ブログの当記事をお読みの読者の方には、是非リンク先の「斜47°」の記事をお読みいただくことをおすすめする。

しかし、そんな安倍を追い詰めながら愛知県知事選で勝てなかった民主党も、ふがいないの一語に尽きる。絶対勝てるはずもない選挙に候補者を擁立して惨敗し、供託金を没収された共産党ともども、恥をさらしたというべきだろう。今回、民主党は共産党の選挙協力を拒否したというのだが、お互いメンツにこだわって恥をかいた形だ。小異を捨てて大同につく形で、国民投票法案に反対する形で歩調を揃えた社民党や国民新党と比較すると、民主党と共産党の醜態は、野党第一党と第二党の座にあぐらをかいていると非難されても仕方ないだろう。この緊張感に欠ける両党は、どんなに非難しても非難のしすぎにはならないだろうと私は思う。コイズミやアベシンゾーの圧政に苦しむ多くの国民は、極楽トンボとしかいいようのない民主・共産両党には頭にきているだろうし、私もその一人だ。

もっとも、さらに深刻なのが自民・公明の与党であることはいまさらいうまでもない。

朝日新聞に愛知県知事選での年代別投票先のデータが掲載されていたが、これを見ると、若い世代ほど神田氏への投票が少なかった。20?30代がこぞって自民党支持に流れた一昨年の「郵政総選挙」の傾向は、もはや完全に過去のものになったといえる。

創価学会の支援を得ていながら、共産党候補に票を食われた3野党推薦の候補に肉迫された自民党の足腰の弱り方は、半端ではないというのが私の分析だ。

今回の選挙では、民主・共産・自民・公明の4党はすべて敗北したと私は考えているが、その中でももっとも負けっぷりが悪かったのは、やはり自民党だろう。このまま安倍晋三を首班とする内閣が続けさせるのは、自民党にとっては「座して死を待つ」に等しい状況だと思う。

こんな状態になってもなお、自民党内から反安倍の気運が盛り上がらないとしたら、自民党は死んだも同然だと思うのだが、この党には復元力はまだあるのだろうか。

今後の動きを注視したい。


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柳沢伯夫厚生労働大臣の「女性は産む機械」発言が波紋を呼び、世論調査では柳沢の辞任を求める声が圧倒的多数だ。

柳沢の首を切ることさえできない安倍晋三首相の任命責任は、むろん厳しく問われるべきだが、今回は、柳沢発言を生み出した背景を考えてみたい。

安倍内閣閣僚の「不規則発言」は、何も柳沢厚労相だけには限らない。久間章生防衛相が、アメリカの対イラク戦争開戦について、「ブッシュ大統領の判断が誤っていた」と批判した。これ自体は、正当な批判だと思うが、これまでタカ派色を露骨に示してきた安倍内閣の閣僚からこのような発言が出るとは驚きで、政府・与党内では問題視されているようだ。

安倍内閣が発足したばかりの昨年には、久間発言とは逆向きのベクトルを持つ「核兵器保有の議論はあってもよい」とする中川昭一政調会長や麻生太郎外相の発言が話題になったこともあった。この時、安倍首相は曖昧な態度に終止した。何度も指摘するように、安倍はかつて官房副長官時代の2002年に「戦術核の使用も違憲ではないと、かつて岸信介元首相が言っている」と講演会で述べたことがある。実は岸が「違憲でない」としたのは戦術核の「保有」までであり、安倍は、岸でさえ言わなかった超絶極右発言をしたのであって、これこそが安倍の本音にほかならないのだが、首相就任後は一転して「非核三原則を守る」と言っている。

この発言が話題になった頃、朝日新聞の星浩編集委員が「政態拝見」という同紙のコラムで、『核論議を考える 哲学なき問題提起の空虚さ』(2006年11月14日付)という記事を書いている。これに興味深い指摘があるので、紹介したい。

  核論議について考えたい。
  北朝鮮の核実験を受けて自民党の中川昭一政調会長が「核兵器保有の議論はあってよい」と火をつけ、麻生太郎外相も「議論は必要」と追随した。
  与野党から批判が相次いで、中川氏が「しばらくは様子見」と発言を控えたため、事態は沈静化しているが、この問題に決着がついたわけではない。この間に聞いた3人の話を中心に論じてみよう。
  まず、高村正彦元外相。自民党内きっての外交通だけあって論理は明解だ。
  「私の知る限り、自民党内で外交や安全保障に影響力のある人の中に核武装論者は1人もいない。ほかの党にも見当たらない。『核武装の是非について議論しよう』といっても、賛成論者がいないので論争にはならない。だから、核論議容認論は意味がない」
  日本の核武装を最も警戒しているのが中国だ。これはいけないと思った中国は、核開発を断念するよう北朝鮮を懸命に説得するはずだ。中川氏らの発言には中国を牽制する狙いが込められている??といった解説が自民党内で聞かれる。これにも、高村氏は冷静に反論する。
  「中国を含めて海外では、日本の核武装に対する警戒心は以前から強く、日本国内とは比べものにならない。いま核武装論をちらつかせたからといって、中国があわてるわけではない。むしろ、核廃絶を求めてきた日本が核武装の可能性に言及することで、国際社会の信用を失うマイナスの方が大きい」
(「朝日新聞」 2006年11月14日付 「政態拝見 『核論議を考える 哲学なき問題提起の空虚さ』」=星浩編集委員執筆=より)

この高村氏の発言に従えば、建前はともかく本音では核武装論者である安倍晋三は、「自民党内で外交や安全保障に影響力のある人」ではないということになるのだが(笑)、まあそれはおいといて、自民党内でも閣外ではまともな発言が聞かれることは救いだろう。

しかし、このコラムを読み返して本当に面白いと思ったのは、上記に続く部分だ。引き続き引用する。

  次に、ある官房長官経験者の見方である。
  「核問題についての安倍首相の考え方は、幅広いというか、曖昧だ。かつては、核保有も憲法上は許されるという発言もした。だから、閣僚や自民党幹部は『このぐらい発言しても構わないだろう』と見透かしているフシがある。安倍氏や塩崎恭久官房長官がきちんと仕切らないと、問題発言は続くだろう」
  確かに、小泉前首相に比べると、安倍氏の政策の立場は、核問題に限らず幅広い。小泉政権下で郵政民営化法案に反対して離党を強いられた無所属議員たちも、安倍政権になって復党が許されようとしている。首相の動向に敏感な与党議員が、首相の「許容範囲」を見計らって発言しても不思議はない。
  だが、首相や側近が閣僚や党幹部の「好き勝手な発言」を放置しておくと政権の基本姿勢が不明確になって求心力を失う。中川氏らの発言を軽視していると、いずれは安倍政権の土台を揺るがすというのだ。
(前掲コラムより)

このコラムで元官房長官氏が予言した通り、安倍内閣の閣僚は「不規則発言」を続出させ、政権は急速に求心力を失ってきて、それらは政権の土台を揺るがすようになった。

この元官房長官氏の慧眼には敬服するが、発言の主はいったい誰なのだろう。私には、福田康夫氏であるように思えてならない。

ところで、安倍が柳沢の首を切れないのは、総裁選で柳沢にお世話になった恩義からだ、などといろいろな説明がされているが、本当のところは安倍が柳沢の発言に同感だから、発言の重大さを理解できなかったせいだろうと私は思っている。

なぜなら、下記「成城トランスカレッジ! ?人文系NEWS & COLUMN?」の記事が示すように、安倍は熱烈にジェンダー平等論を敵視する政治家だからだ。

「成城トランスカレッジ!」より
『特濃ソース。 自民党とつくる会のジェンダーフリーバッシングに関するソース』 (2005年11月1日)

本当は、こういう話題は、盟友のたんぽぽさんがとても詳しいのだが、たんぽぽさんは、貴重な情報を目立たないところに置かれる傾向があるので(笑)、知識の浅い私が紹介することにする。この記事も、以前たんぽぽさんに教えてもらったものだ(読者の方は、是非リンク先をご参照ください)。

「成城トランスカレッジ!」の記事にも書かれているように、官房長官は本来は男女共同参画を担当するのだが、過去に安倍が官房副長官を務めていた第2次森改造内閣、第1次小泉内閣の頃から、男女共同参画特命大臣が置かれていて(この頃は福田康夫氏が担当大臣)、安倍は大キライな男女共同参画の仕事を免除されてきた。そして、「郵政総選挙」での自民党大勝を受けて安倍が官房長官になると、男女共同参画は猪口邦子氏が担当大臣になったのである。

安倍は男系天皇に熱心にこだわっており、この点で女系天皇容認論者だったコイズミとは鋭い対照をなすことはよく知られている。その安倍が、なぜ父方の祖父にして、大政翼賛会の非推薦で当選した平和主義者・安倍寛を完全にないがしろにして、母方の祖父であるA級戦犯・岸信介を崇拝しているのか、私には全く理解できないのだが、それはともかく、柳沢の発言は、すなわち安倍の本音でもあると、私は理解している次第だ。

だから、話を柳沢の辞任くらいで終わらせてはならないだろう。野党には、これを機に一気に安倍内閣を倒すくらいの気迫が欲しいと思う。


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このところ、あまりに安倍晋三に対する突っ込みどころが多過ぎて困るのだが、今日と明日はこのところの安倍をめぐる話題についての関連資料を紹介したい。

まず、NHKに対して、官房副長官時代の安倍が、中川昭一とともに圧力をかけて番組を改変させた件(2001年)だが、一昨年初め、この件を朝日新聞がスクープしたものの、「政治家の圧力があったかどうか」について、NHKと朝日新聞が醜い言い争いを演じたあげく、双方とも傷つき、結局電波媒体と活字媒体を代表する両メディアが、ともに安倍晋三に頭に上がらなくなるという最悪の事態を招き、日本のジャーナリズム史上に残る痛恨事となった。

この件に関しては、魚住昭さんが月刊「現代」2005年9月号に掲載した記事 『NHK番組改変問題 「政治介入」の決定的証拠』が、よくまとまっている上、安倍晋三が番組改変の圧力をかけたことをはっきり示している。
幸いにも、この記事はネットで読むことができる。
また、魚住昭さんがこの件についてコメントしたコラムもネットからアクセスできる。以上2件のリンク先を下記に示す。

「News for the People in Japan」より
『NHK vs. 朝日新聞 「番組改変」論争 「政治介入」の決定的証拠』

魚住昭 『安倍晋三の噴飯反論と朝日の弱腰』(「ゲンダイネット」 2005年8月8日)

魚住さんのこれらの記事は、『国家とメディア』(ちくま文庫、2006年)に収録されているので、私としては、できればこの本を購入してお読みいただくことをおすすめしたい。

「きまぐれな日々」でも、この本の紹介記事 『戦争の記憶が、この国を特別なものにしてきた』 (2006年12月30日)を公開しているが、この記事ではNHKの番組改変問題には、少し触れただけだ。

また、安倍晋三がこの問題についての朝日新聞の取材について、テレビや雑誌の取材に答えて嘘をついていたが、それについても、魚住昭さんは書籍 『安倍晋三の本性』(金曜日、2006年)で厳しく批判している。「きまぐれな日々」では、これについても、『安倍晋三は「平気で嘘をつくウルウルタイプ」』 (2006年11月12日)という記事で紹介している。

今回の東京高裁の判決については、「kojitakenの日記」に朝日新聞の記事をコピペしておいた

最後は、この判決について触れた、人気サイトの記事をいくつか紹介する(リンク先のみあげておく)。

「きっこの日記」より 『国会のジャイアンたち』 (2007年2月1日)

「情報流通促進計画」より 『安倍のみならず、自民党も日本語が読めない?NHK番組改編事件判決をトンデモ批判』(2007年2月3日)

「カナダde日本語」より 『柳沢発言が愛知県知事選や北九州市長選にどのように響くか注目しよう!』 (2007年2月2日)

もちろん、ここに挙げた記事はほんの一例で、この件に関しては多くの記事が公開されていることはいうまでもない。


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今日(2月2日)、かねてからイーホームズの藤田東吾社長が指摘していた、アパグループが建設中のホテル「アパガーデンパレス成田」5棟のうち1棟の耐震強度が不足していることを、千葉県が明らかにした。下記の毎日新聞の記事を参照いただきたい。

『アパグループ:マンション強度不足で千葉県が是正要求』(毎日新聞 2007年2月2日)

なお、リンクが切れている場合は、「kojitakenの日記」にコピペしておいたので、そちらを参照願いたい。

さて、このところ注目されるのは、アパグループの耐震偽装事件をめぐって、安倍晋三首相の非公然後援会とされる「安晋会」(あんしんかい)について、週刊誌が報道し始めるようになってきたことだ。

従来、「安晋会」を取り上げてきた週刊誌は、「週刊ポスト」がほとんど唯一だった。同誌は、昨年2月10日号で、ライブドア事件に絡んで変死を遂げたエイチ・エス証券の野口英昭さんが「安晋会」の理事だったことを暴いたほか、同9月29日号では、アパ物件に、ヒューザーのマンション同様の耐震偽装が指摘されながらオトガメなしになっているのは、元谷会長が「安晋会」の副会長を務めているからではないか、という記事を掲載した。
同誌のこの記事は、発表当時は黙殺され、どのメディアも後追いしなかったが、発表のおよそ1か月後、イーホームズ藤田社長がアパ物件の耐震偽装を告発したのである。

しかし、それでもこの「週刊ポスト」の記事は無視されていたので、当ブログの10月24日付の記事 『週刊ポストが取り上げていた「アパ壷三」の疑惑』で取り上げたところ、この記事は、当ブログとしては異例のアクセス数を記録した。

もちろん、当ブログが先頭を切ったわけでもなんでもなく、「安晋会」の疑惑など、ネットでは昨年のヒューザー物件の耐震偽装問題やライブドア事件の頃からよく知られていた。しかし、それにもかかわらず、活字メディアでは「週刊ポスト」以外ほとんど触れない状況がずっと続いてきた。

しかし、状況が少しずつ変わり始めている。今週発売された「週刊朝日」(2007年2月9日号)と「週刊文春」(2007年2月8日号)が、アパと「安晋会」の関係を取り上げている。

とはいえ、「週刊文春」の方は、どちらかというと安倍晋三をかばうような記事だった。
「週刊朝日」の方はもう少しマシな記事で、1ページを使ってアパホテルの耐震偽装事件を報じている。まず、アパホテルの耐震偽装が発覚し、元谷夫妻が自身の偽装への関与を否定したことを紹介したあと、こう書いている。

  今回の偽装が発覚したのは、民間検査機関だった「イーホームズ」が昨年3月、アパグループの千葉県と埼玉県のマンション3棟について「建築確認の内容に疑義がある」と両県に通報したことがきっかけだった。その後、水落光男・1級建築士が構造計算書の数値を差し替えていたことが判明。国土交通省は水落建築士が関与した42物件のサンプル調査を各自治体に要請し、今回、ホテル2棟の耐震偽装が確認された。
  だが、イーホームズの藤田東吾氏はこう指摘する。
  「昨年3月にアパの取締役がイーホームズに来て、隠蔽を要請した。元谷代表が知らなかったわけがないと思いますね」
  国会で耐震偽装問題を追及してきた民主党の馬淵澄夫衆院議員も、記者会見をテレビで見て驚いたという。
  「私が元谷代表から聞いた話と食い違うんですよ」
  実は馬淵議員は昨年6月7日、衆院国土交通委員会で、先のマンションの耐震偽装を指摘した。ところがその4日前、元谷代表から突然、東京・赤坂の本社に呼び出されたというのだ。
  「そのときも元谷代表は、 『これは偽装ではない』と言っていた。でも、『構造計算の数値を差し替えて修正するのは慣習だ』という話もしていたんです」

(「週刊朝日」 2007年2月9日号掲載記事 『アパホテル耐震偽装発覚で蒸し返される安倍首相との"仲"』より)

ここで注目されるのは、この記事がイーホームズ藤田社長の言い分を取り上げていることだ。ネットでは当たり前のことだが、ようやく週刊誌も追いつき始めた。しかし、同じ会社が発行している「朝日新聞」には、藤田社長の言い分は掲載されない。

「週刊朝日」の記事は、「安晋会」にも下記のように触れている。

  派手な帽子姿の芙美子社長が笑みを浮かべ、「私が社長です」のキャッチコピーが躍る広告は話題を呼んだ。テレビ番組には「セレブ」として登場したこともある。事実、いまやアパグループの企業は14社を数えるまでに成長し、元谷代表は04年分の長者番付で全国32位に躍り出た。
  「6年ほど前、港区の元谷夫妻の豪邸でパーティーが聞かれた。森喜朗元首相や馳浩衆院議員、石川県議など100人ほどが集まっていた」(参加者の一人)
  政治家との交流も盛んな元谷夫妻だが、注目は安倍首相との関係だろう。
  元谷代表は安倍首相の親睦会「安晋会」の副会長を務め、元谷夫妻の自宅で開かれた「ワインの会」には安倍首相も官房長官時代に参加していた。
  そんな関係が思わぬ波紋を呼んだ。前出のマンションの耐震偽装が発覚したにもかかわらず、まったく"おとがめなし"なのは、安倍首相と元谷夫妻の関係が背後にあるのではないか??と週刊ポストが報じたのだ(06年9月29日号)。
(前掲誌より)

なんのことはない。「週刊ポスト」が疑惑を報じている、と書いただけの記事だ。前述の当ブログの昨年10月24日付記事をパクったのではないかと思ったくらいだ(笑)。

とはいえ、前述の「週刊文春」の安倍をかばった記事ともども、「安晋会」の名が、ようやく「週刊ポスト」以外の週刊誌に出たことだけでも進歩と考えたい。
これまで、現職の首相に対する批判がマスメディアのタブーになるという異常な言論状況だったのが、いまや安倍を批判する方がトレンドになりつつあり、明らかに状況は変わってきた。
ここは、「安晋会」のタブーが破られ、「安晋会」についての報道が解禁されつつあることを、素直に喜びたい。

なお、この記事を書いている最中、NHKテレビでも「アパガーデンパレス成田」の耐震偽装が報道されたが、もちろん「安晋会」とのつながりなど報道されようはずもなかった。しかし、かなり大きな扱いだったので、今後アパの耐震偽装の追及が活発化し、森喜朗や安倍晋三にも疑惑の目が向けられる可能性がますます強まってきた。

相次ぐ閣僚の不用意な発言といい、アパ耐震偽装問題といい、安倍内閣はいよいよ追い詰められてきたといえるだろう。


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おととい(1月30日)の記事で、女性差別発言をした柳沢厚労相をかばって大臣辞任を否定した安倍晋三首相に対して、「今回の柳沢発言と、それに対する安倍の対応の甘さは、これまでオバサン人気でなんとか持ってきた安倍内閣にとって致命傷になる可能性がある」と指摘した。

その翌日の1月31日、立花隆さんが、「メディア ソシオ-ポリティクス」第96回『「女性は子供を産む機械」発言で湧き出る安倍「大政奉還」論』の書き出しで、当ブログとほぼ同趣旨の主張をされていたので、大いに意を強くした。

以下に立花さんのコラムの冒頭部分を紹介する。

  柳沢伯夫厚生労働相の「女性は子供を産む機械」発言は、安倍内閣に取り返しのつかないダメージを与えることになると思う。
  このところ、どの世論調査を見ても、安倍内閣の支持率は落ちる一方で、支持と不支持がほとんどならぶところまできていた。
  それでもかろうじて不支持を支持が上まわっていたのは、もっぱら女性層の支持によるものだった。男性層だけをとれば、とっくに不支持が支持を上まわっていた。まだ柳沢発言を反映した世論調査の数字は出ていないが、まちがいなく、不支持の数字がはね上がるだろう。
  柳沢発言を批判する声が、自民党内はもとより、内閣の内部からすら聞こえているくらいだから、柳沢厚労相の辞任を求める野党の攻勢が強まるのは必至である。
  こうなると、この問題が起きてすぐ、安倍首相が柳沢発言に対して不快感を表明したものの、柳沢厚労相の辞任を求める考えはない(それだけの重大問題とは考えていなかったということ)ことを表明してしまった政治的判断ミスが、どんどん安倍内閣の傷を深くしていくだろう。
  なにしろ、柳沢厚労相が辞めないかぎり、この問題がTVで取りあげられるたびに、安倍首相のそのときの支持発言が繰り返しTVで流されることになるからである。

立花隆 「メディア ソシオ-ポリティクス」第96回『「女性は子供を産む機械」発言で湧き出る安倍「大政奉還」論』 (2007年1月31日)より)

ここらへんは、さすがにプロのジャーナリストだけあって、文章はうまいが、基本的に私の記事と同じ主張である。

しかし、同じコラムが以下に指摘した視点は、私の記事からは抜け落ちていた。

  この問題が本当に深刻なのは、女性票の動向に対してきいてくることより、新規自民党支持層の中核をなしている20代、30代の元無党派層の若者たちに影響するところが大きいと思われることである。
  私はここ数年、東大駒場でゼミをやってきた関係上、若い世代のものの考え方をよく知っているつもりだが、我々の世代(中高年齢層)と若い人たちの間のものの考え方でいちばんちがうのは、女性に対するものの見方である。
  我々の世代の人間(中高年齢層)は、多かれ少なかれ、女性差別主義者的な部分がある。あらゆる側面での男女無差別論を強くとなえる人は、フェミニスト視して、そちらのほうが特殊の見解の持主だと思ってしまう。
  しかし、今の若い世代においては、かつてのフェミニストの見解が、むしろ一般的な標準的な見解である。かつての標準的な見解はいまやアナクロの女性蔑視論者の見解とされてしまうのである。
  つまり、柳沢厚労相の見解は、中高年層の男性の見解の本音の部分とそれほどずれていないが、若い層の人々一般(男も女も)の見解からは全くズレているということである。

(前掲コラムより)

これを読んだ時、私はハッとした。というのは、安倍晋三という男は、フェミニズムやジェンダー平等論を真っ向から否定する、いわゆる「バックラッシュ」(逆流、転じて反動の意)の旗手とも呼べる人物だからだ。

このことは、昨年11月24日の当ブログの記事 『「ジェンダー」の言葉狩りまで狙う安倍晋三と山谷えり子』でも指摘している。山谷えり子とは、安倍内閣の教育再生担当の首相補佐官にして、70年代に一世を風靡したテレビ番組「ウィークエンダー」の元レポーターだ(ちょっとしつこいかな?)。

この記事では、月刊『創』 2006年11月号に掲載された上野千鶴子さんの記事 『バックラッシュ派の攻撃の本丸は「ジェンダー」だ』を引用しているが、今回は、当時の記事で引用しなかった上野さんの言葉を紹介して、「バックラッシュ」の旗手・安倍晋三の実像を暴こうと思う。

安倍政権のもとで草の根保守が勢いづく

  バックラッシュの根は深いです。ネット・ブログ系の新しい保守と言われている人たちと、旧来の保守のオヤジ層とは必ずしも同じではありません。地方議会で反動的な発言をする人たちは40?50代の男性が多いようです。彼らは例えば青年会議所出身とか、いわば草の根保守層です。女にでしゃばってほしくないと思っているんでしょう。女性の力が自分たちが思っていいた以上に伸張したんで、これ以上は許せんという感じなんだろうと思います。
  小泉ネオリベ(ネオリベラリズム)政権と男女共同参画行政が手を携えたというのも不幸なマッチングではありましたが、ネオリベは「女の労働力化」がポリシーの一つでした。小泉政権のもとでは草の根保守が息をひそめていました。
  安倍晋三は「自分の使命は草の根保守の組織化だ」と言っているようですが、私は安倍は、日本版ネオコン(ネオコンサーバティブ)政権だと思います。つまりブッシュと同じく、国家主義と民族主義がセットになっています。「家族は国家の礎」「家族と国家を守れ」というのがネオコンの標語ですから。子どもの発達段階にふさわしくない性教育をやるなという、モラルマジョリティ(社会の伝統的な価値と倫理観を支持する多数派)です。小泉政権6年の間に台風が過ぎ去るのを待っていた草の根保守の旧勢力が、今後息を吹き返すでしょう。

(上野千鶴子『バックラッシュ派の攻撃の本丸は「ジェンダー」だ』?「創」 2006年11月号掲載?より)

この指摘のあと、記事の最後の方で、前述の昨年11月24日付の当ブログ記事で紹介した、安倍と山谷による『ジェンダー』という用語の言葉狩りが指摘されているのだが、この記事は下記のように結ばれている。

  ゆくゆくは男女共同参画社会基本法を改廃したいということなのでしょう。安倍は憲法改正も公約に掲げていますが、24条(両性の平等)の改憲案も出ています。安倍は女性に人気があるそうですが、安倍政権の危険性を女性はもっと認識する必要があります。

(上野千鶴子『バックラッシュ派の攻撃の本丸は「ジェンダー」だ』?「創」 2006年11月号掲載?より)

この上野さんの指摘にもかかわらず、従来、安倍内閣の支持率は、男性より女性の方が際立って高かった。

しかし、今回の柳沢発言によって、女性の安倍支持者のかなりの部分が安倍から離れていくと予想されている。

普通、自分を支持してくれる層がどのあたりにあるかを考えることのできる知能があれば、今回の安倍のような対応は取らないはずだ。しかし、安倍はそんな判断ができる頭脳を持ち合わせてはいない。だから、自ら墓穴を掘っている。

「AbEnd」の成就は、もう目前だろう。


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