高速道路無料化問題に関して当ブログにいただいたコメントは累計で100件を超えた。読者の皆さまには深くお礼申し上げる。この問題について、昨日(6日)の朝日新聞が、国土交通省が高速道路を無料化した場合の経済効果や環境への影響に関して試算しておきながら、その結果を公表せずに隠していたことを報じている。
http://www.asahi.com/politics/update/0905/TKY200909050246.html
しかしこの件は、当ブログが5月25日付エントリ「クルーグマン教授の政策採点 & 経団連が日本を滅ぼす」で書いたように、以前から民主党の馬淵澄夫議員が国会で取り上げて追及していたものである。これを朝日新聞は、選挙前の今頃になって取り上げたわけだが、国交省同様、朝日もわざと報道を遅らせたのではないかと勘繰らざるを得ない。
しかも、3月6日付「ZAKZAK」は、高速道路無料化に関して、馬淵氏が示した2兆7千億円の経済効果(今回朝日新聞に報じられた試算結果とも一致する)をはるかに上回る、7兆8千億円の経済効果が得られるという試算結果の内部資料まで存在することを報じている。この内部資料については、4月末頃に発売された写真週刊誌も写真入りで詳しく報じていた。
夕刊紙や写真週刊誌の記事だといって侮ることなかれ。これらのニュースのソースは馬淵澄夫議員及び民主党であって、要は選挙前の数か月というのは、この種のニュースを大手新聞社が報じること自体がタブーになるほど、マスコミぐるみの自民党応援が公然と行われていたのである。
今回報じられた国交省の試算によると、二酸化炭素削減に関しても、高速道路無料化によって1.8%減に当たる310万トン削減になるが、朝日新聞は、
当ブログは、高速道路無料化には賛成ではないが、賛成、反対いずれの立場に立つにせよ、判断材料となる資料はフェアに紹介したいと考える。大手マスコミのように、自説に都合が悪いからといって隠したりしないことは、前述のように5月25日にこの件を取り上げていたことからもご理解いただけるだろう。この件については、改めて当ブログで取り上げたいと思う。
さて、せっかく大手マスコミの庇護を受けていたにもかかわらず惨敗した自民党だが、マスコミだけではなく、昨日テレビ出演していた民主党議員(枝野幸男、古川元久両氏)までもが「健全な二大政党制を確立するためには、自民党によみがえってもらわないと困る」などと言っていたが、党総裁さえまともに決められない自民党に復活の目などない。選挙翌日の当ブログエントリ「衆議院選挙で民主党圧勝 ろくな議員が残らなかった自民党」に書いたように、選挙で残った自民党議員の質が高ければ復活もあり得ようが、実際にはろくな議員が残らなかった。
多くの論者が分析しているように、自民党の政治家は、加藤紘一らの保守本流、中川秀直・小池百合子などの新自由主義勢力、安倍晋三・麻生太郎らの極右に三分される。3人しか当選しなかった平沼一派のうち、平沼赳夫と城内実は三番目の自民党極右派と主張がほぼ同じである。これらのうち新自由主義勢力と極右は親和性がきわめて高く、たとえば安倍晋三は極右を、小池百合子は新自由主義を起点とした政治家だが、ともに極右と新自由主義を兼ね備えている。これに対し、加藤紘一らの保守本流は彼らとは水と油の関係にある。麻生太郎は吉田茂の孫だからもとは保守本流の流れにあったのが極右と新自由主義に取り込まれた政治家で、能力さえあれば三者を統合できるポジションにいたが、あまりに無能過ぎた。現在、同様に三者を統合できる政治家というと石破茂が思い浮かぶ。石破は本質的にはタカ派で改革志向の世襲政治家だが、津島派に属していたため小泉・安倍一派ほど過激ではなく、保守本流の人たちにもなんとか我慢できるレベルだろう。
ところが、一部の「真正保守」たちにとっては生ぬるい石破程度では我慢ならないのだろう。彼らが最近待望論を唱え始めたのが、小泉チルドレンの生き残り・稲田朋美である。当ブログは昨年3月30日、「極左と紙一重の極右・稲田朋美を衆議院選挙で落選させよう」と題したエントリを公開した。選挙の情勢調査でも、一時稲田は笹木竜三にリードを許しているとも報じられたが、いざ蓋を開けてみると稲田は笹木にかなりの差をつけて当選した。稲田は、刺客として自民党前職も相手にしていたとはいえわずか373票差の辛勝だった「郵政総選挙」と比較して大幅に得票を伸ばしており、右翼的な福井1区の有権者に失望させられるとともに、稲田への警戒をますます強めなければならないと思った。もっとも、稲田の対立候補だった笹木竜三(比例で復活当選)も、民主党内ではタカ派とされる議員である(鳩山グループ所属とされるが、防衛庁の省昇格の際の国会論戦では、賛成の立場から質問を行った)。
昨年には映画『靖国 YASUKUNI』を検閲しようとしたことのある稲田朋美だが、思い出さなければならないのは、3年前に稲田が加藤紘一の実家が放火されたことについて講演会で触れ、極右の聴衆が集う講演会場が爆笑に包まれたことだ。
当ブログは、2006年11月23日付エントリ「嘘つきが「教育改革」を進め、テロ肯定者が「伝統と創造の会」を主宰している」でこの件を取り上げたが、このエントリのおかげでのちに検索語「稲田朋美」によるアクセスが増えるきっかけになった。稲田発言を伝えた北海道新聞の記事を以下に再掲する。
この講演会は、稲田が「徴農」制度の導入を説いたことでも知られる。今のところ、稲田朋美を自民党総裁にしてはどうか、などと言っているのは、島田洋七一や櫻井よしこなどごく一部の人たちだけのようだが、稲田なんかが総裁になったら加藤紘一の顔が潰されてしまい、保守本流の人たちが自民党を割って出て行く可能性も出てくるだろう。だから、さすがに稲田総裁はあり得ないにしても、今後自民党が誰を総裁に選ぶのかが注目される。総選挙でも党内右派の歩留まりは比較的高かったことだし、右派の主張を反映しやすい人が選ばれるのではないか。そうなると、平沼赳夫や城内実の自民党復党への道も開けてくるのではないかと思える。
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http://www.asahi.com/politics/update/0905/TKY200909050246.html
しかしこの件は、当ブログが5月25日付エントリ「クルーグマン教授の政策採点 & 経団連が日本を滅ぼす」で書いたように、以前から民主党の馬淵澄夫議員が国会で取り上げて追及していたものである。これを朝日新聞は、選挙前の今頃になって取り上げたわけだが、国交省同様、朝日もわざと報道を遅らせたのではないかと勘繰らざるを得ない。
しかも、3月6日付「ZAKZAK」は、高速道路無料化に関して、馬淵氏が示した2兆7千億円の経済効果(今回朝日新聞に報じられた試算結果とも一致する)をはるかに上回る、7兆8千億円の経済効果が得られるという試算結果の内部資料まで存在することを報じている。この内部資料については、4月末頃に発売された写真週刊誌も写真入りで詳しく報じていた。
夕刊紙や写真週刊誌の記事だといって侮ることなかれ。これらのニュースのソースは馬淵澄夫議員及び民主党であって、要は選挙前の数か月というのは、この種のニュースを大手新聞社が報じること自体がタブーになるほど、マスコミぐるみの自民党応援が公然と行われていたのである。
今回報じられた国交省の試算によると、二酸化炭素削減に関しても、高速道路無料化によって1.8%減に当たる310万トン削減になるが、朝日新聞は、
と書いている。高速道の通行量が増えたり、鉄道やバス利用からマイカーに切り替えたりすることによるCO2の増加量は試算しておらず、差し引きのCO2の増減効果は不明だ。
当ブログは、高速道路無料化には賛成ではないが、賛成、反対いずれの立場に立つにせよ、判断材料となる資料はフェアに紹介したいと考える。大手マスコミのように、自説に都合が悪いからといって隠したりしないことは、前述のように5月25日にこの件を取り上げていたことからもご理解いただけるだろう。この件については、改めて当ブログで取り上げたいと思う。
さて、せっかく大手マスコミの庇護を受けていたにもかかわらず惨敗した自民党だが、マスコミだけではなく、昨日テレビ出演していた民主党議員(枝野幸男、古川元久両氏)までもが「健全な二大政党制を確立するためには、自民党によみがえってもらわないと困る」などと言っていたが、党総裁さえまともに決められない自民党に復活の目などない。選挙翌日の当ブログエントリ「衆議院選挙で民主党圧勝 ろくな議員が残らなかった自民党」に書いたように、選挙で残った自民党議員の質が高ければ復活もあり得ようが、実際にはろくな議員が残らなかった。
多くの論者が分析しているように、自民党の政治家は、加藤紘一らの保守本流、中川秀直・小池百合子などの新自由主義勢力、安倍晋三・麻生太郎らの極右に三分される。3人しか当選しなかった平沼一派のうち、平沼赳夫と城内実は三番目の自民党極右派と主張がほぼ同じである。これらのうち新自由主義勢力と極右は親和性がきわめて高く、たとえば安倍晋三は極右を、小池百合子は新自由主義を起点とした政治家だが、ともに極右と新自由主義を兼ね備えている。これに対し、加藤紘一らの保守本流は彼らとは水と油の関係にある。麻生太郎は吉田茂の孫だからもとは保守本流の流れにあったのが極右と新自由主義に取り込まれた政治家で、能力さえあれば三者を統合できるポジションにいたが、あまりに無能過ぎた。現在、同様に三者を統合できる政治家というと石破茂が思い浮かぶ。石破は本質的にはタカ派で改革志向の世襲政治家だが、津島派に属していたため小泉・安倍一派ほど過激ではなく、保守本流の人たちにもなんとか我慢できるレベルだろう。
ところが、一部の「真正保守」たちにとっては生ぬるい石破程度では我慢ならないのだろう。彼らが最近待望論を唱え始めたのが、小泉チルドレンの生き残り・稲田朋美である。当ブログは昨年3月30日、「極左と紙一重の極右・稲田朋美を衆議院選挙で落選させよう」と題したエントリを公開した。選挙の情勢調査でも、一時稲田は笹木竜三にリードを許しているとも報じられたが、いざ蓋を開けてみると稲田は笹木にかなりの差をつけて当選した。稲田は、刺客として自民党前職も相手にしていたとはいえわずか373票差の辛勝だった「郵政総選挙」と比較して大幅に得票を伸ばしており、右翼的な福井1区の有権者に失望させられるとともに、稲田への警戒をますます強めなければならないと思った。もっとも、稲田の対立候補だった笹木竜三(比例で復活当選)も、民主党内ではタカ派とされる議員である(鳩山グループ所属とされるが、防衛庁の省昇格の際の国会論戦では、賛成の立場から質問を行った)。
昨年には映画『靖国 YASUKUNI』を検閲しようとしたことのある稲田朋美だが、思い出さなければならないのは、3年前に稲田が加藤紘一の実家が放火されたことについて講演会で触れ、極右の聴衆が集う講演会場が爆笑に包まれたことだ。
当ブログは、2006年11月23日付エントリ「嘘つきが「教育改革」を進め、テロ肯定者が「伝統と創造の会」を主宰している」でこの件を取り上げたが、このエントリのおかげでのちに検索語「稲田朋美」によるアクセスが増えるきっかけになった。稲田発言を伝えた北海道新聞の記事を以下に再掲する。
「自民総裁選の底流 安倍政治の行方1」
国家主義台頭に危うさ
… 保守系の論客らでつくる「『立ち上がれ!日本』ネットワーク」は八月二十九日夜、「新政権に何を期待するか」と題して都内でシンポジウムを開いた。同ネットの呼びかけ人は中西輝政京大教授、八木秀次高崎経済大教授ら、安倍氏の政権構想づくりにもかかわったとされるブレーン。安倍氏の持論の「草の根保守」の支持層拡大に向け、全国で支部設立を進めている。
出席した自民党の下村博文、稲田朋美両衆院議員、山谷えり子参院議員は、小泉首相の靖国参拝への礼賛や、中国、韓国批判、歴史教科書の検定強化などの主張を次々に展開した。
いずれもタカ派で熱心な安倍支持の中堅・若手。稲田氏は、地元福井の新聞で首相の靖国参拝を批判する加藤紘一元幹事長と対談したことを紹介。加藤氏の実家が右翼団体幹部に放火された事件について「対談記事が掲載された十五日に、先生の家が丸焼けになった」と軽い口調で話した。約三百五十人の会場は爆笑に包まれた。言論の自由を侵す重大なテロとの危機感は、そこにはみじんもなかった。…
(2006年9月5日付 北海道新聞より)
この講演会は、稲田が「徴農」制度の導入を説いたことでも知られる。今のところ、稲田朋美を自民党総裁にしてはどうか、などと言っているのは、島田洋
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