きまぐれな日々

 最近は月1回の更新になってしまったこのブログだが、今日(4月16日)でブログ開設からまる12年になり、本エントリで1500番目の記事になる(但し公開後に削除した欠番が14件ある)。最初の記事は2006年4月9日付だが、書き始めて1週間後の4月16日に公開した。

 これを機に、今後のこのブログについての心づもりを書いておくと、このまままばらな更新をしばらく続けたあと、記事番号1515番、つまり本エントリのあと15番目のエントリを最後の記事にして、更新を停止しようと思っている。理由はまあ気力と体力の限界と言っておこうか。

 せめてそれまでに安倍政権が倒れてくれるのを願うばかりだ。開設時の記事は安倍晋三どころか政治とは何の関係もないが、それはウォーミングアップに過ぎず、いつかタイミングを見て安倍晋三批判を始めようと思っていた。当時、ライブドア事件への関与が疑われながら、前原誠司が代表を務めていた頃の民主党が犯した「偽メール事件」の大失策によって、阻止できるだろうと思っていた安倍晋三の総理大臣就任が実現してしまいそうな情勢だったが、それが我慢ならなくなって、やっと重い腰を上げたのだった。

 それから12年。安倍晋三はいったんは総理大臣になったものの、その1年後には惨めな政権投げ出しに終わった。そこまでは良かった。しかし、そのあとがいけなかった。民主党への政権交代は実現したものの、民主党政権は党内抗争が国民に呆れられて自滅し、安倍晋三が政権の座に返り咲いた。そして今度は悪夢のような独裁政治を5年以上も続けている。

 本ブログ運営で大きな躓きになったのは、2011年4月のFC2のサーバートラブルだった。それは東日本大震災と東電原発事故の翌月に起きた。それも全部のサーバーだけではなく、本ブログが利用している "blog63" だけだったかほかの一部のサーバーにもトラブルがあったかは忘れたが、FC2の中でもごく一部のブログだけが被害を蒙った。FC2の対応も良くなく、それでなくても前年の2010年には既にこのブログとはてなに開設している『kojitakenの日記』のアクセス数がほぼ同じくらいなっていたので、サーバートラブル後は徐々に重心をはてなの方に移していった。

 以後、本ブログの公開頻度もアクセス数も年々減少して今に至るのだが、実を言えば数年前から着地点を模索していた。しかし安倍晋三の悪政が延々と続いている時にブログを閉じる気にはならず、せめて記事番号1500番までは続けようと思っていた。1500番が近づいてくると、削除した14件を除いて生きている記事が1500件を超えたら更新を止めようと思い直した。1515番目の記事で、生きている記事が1501件になる。

 そうこうしてるうちに、「一強」と言われた安倍政権が揺らいできた。世論調査に見られる支持率は、おかしいものをおかしいと思う能力を失った3分の1ほどの日本国民の支持がすっかり「岩盤化」してしまったためなかなか下落しないのだが、昨日(4/15)のTBSテレビ「サンデーモーニング」で田中秀征が言っていた通り「統治機構が溶解」してしまっている。

 2012年に戦後日本の「崩壊の時代」の始まりを予言したのは坂野潤治だったが、「二度目は笑劇として繰り返される歴史」は、固体が粉々に砕ける崩壊というより、溶けてしまう「溶解」の方が実感に合うかもしれない。「ようかい」という言葉は、安倍晋三の母方の祖父・岸信介を形容するのに用いられた「妖怪」に通じるものがある。あるいは今は「妖怪の時代」というべきかもしれない。

 先週は「愛媛文書」が話題になったが、愛媛県知事の中村時広(日本新党・新進党の衆院議員を1期務めた)は愛媛県の職員を守る発言をしたが、これが組織の長の普通のあり方だ。しかるに、安倍晋三は官僚に責任を押しつけて逃げ回りながら厚顔無恥にも「膿を出す」などと口にする。モラルもへったくれもない。膿は安倍自身じゃないか、と思わない人がいる方が私には信じられないのだが、安倍内閣支持率は未だに3割前後を保っている。こんな現状には「崩壊の時代」よりも「妖怪の時代」という方が適切ではなかろうか。

 せめて、あと15件の記事を公開するまでに、「妖怪」の「溶解」、すなわち安倍政権の終わりが実現しますように。
スポンサーサイト
 1か月ぶりの更新になる。

 前回はちょうど1か月前の公開で、記事のタイトルは「経営者が強く要望する裁量労働制は窮乏と過労死を招く制度」だった。

 それから1か月、安倍政権をめぐっていろいろなことがあった。

 まず、安倍政権は裁量労働制下で働く労働者の労働時間に関するデータ捏造によって浴びた批判をかわすために、一連の「働かせ方改革」法案から裁量動労制の対象範囲拡大を定めた法案のみ国会への提出を断念した。だが、「残業代ゼロ法案」として、裁量労働制のデータ捏造が問題になる以前にはもっとも強く批判されてきた「高度プロフェッショナル」法案は押し通すつもりらしい。

 私がもっとも危険だと思ったのは、安倍政権が裁量労働制対象範囲拡大の法案提出を断念した直後に、自民党参院議員の丸川珠代(元テレビ朝日アナウンサー)が国会の質問で「悪いのは厚労省。それを安倍総理が大英断で糺してくださった」などと発言したことだった。

 年々強まる安倍晋三への個人崇拝だが、ここまでエスカレートしたかと暗澹たる気分になった。私が連想したのは北朝鮮ではなく、政権崩壊末期に個人崇拝ムードが極限にまで高まった後、一転して急速に崩壊した1989年のルーマニア・チャウシェスク政権だった。同年10月頃、他の東欧諸国がみな共産党の一党独裁体制瓦解に突き進んでいるのに、ルーマニアでは逆にチャウシェスクへの個人崇拝が強まっていることを報じた朝日新聞の記事が今も忘れられない。その2か月後の1989年12月末、ニコラエ・チャウシェスクと、昨年来しばしば安倍昭恵がなぞらえられるエレナ・チャウシェスクの夫妻が捕縛され、即席裁判で夫妻の死刑を宣告されたあと直ちに銃殺されてルーマニアの共産党独裁政権が終わったのだった。

 ここでも「悲劇は笑劇として繰り返される」のであろうか、丸川珠代の安倍晋三個人崇拝質問が国会で飛び出した3月1日の翌日である2日付朝日新聞1面トップに、森友学園問題をめぐる財務省の文書「書き換え」をスクープした記事が掲載された。当初「書き換え」を安倍政権も財務省も否定していたが、おそらく大阪地検特捜部のリークを受けたのであろう朝日は動かぬ証拠をつかんでいるとみえ、財務省は12日に「書き換え」を認める事態に追い込まれた。明らかになったのは「書き換え」などという価値中立的な言葉で表現されるべきものではなかったため、たとえば朝日新聞では13日付紙面からそれまでの「書き換え」から「改ざん」(私自身は原則として「改竄」と漢字表記するが、引用文はその限りではない)へと用語を変えた。蛇足だが、この用語の変更はテレビ朝日が12日午後にいち早く行い(朝日新聞の夕刊やTBSは12日の段階ではまだ「書き換え」だった)、13日に朝日・毎日両紙やTBSなどがそれに追随した。あの産経ですらだいぶ遅くなってから「書き換え」を「改ざん」に(しぶしぶ?)書き換えたが、この記事を書いている26日現在、主要メディアで唯一「書き換え」に固執しているのが読売新聞だ。読売は、日本でもっとも悪質な御用メディアというほかない。

 これはまさに民主主義の根幹に関わる問題だ。旧ソ連でさえやらなかったと言われる文書改竄だが、実は日本では昔から結構この悪弊が横行していた。たとえば、やはり安倍晋三にたとえられる昭和初期の総理大臣・田中義一は、軍人時代に日露戦争開戦へと導くために、ロシアと日本の軍事力に関する参謀本部のデータを改竄し、日本の軍事力がロシアを上回るように見せかけてまんまと日露戦争開戦を実現させたという。こうしたことの積み重ねが、最終的に1945年の敗戦を招いた。

 今、日本国民に問われているのは、おかしいことをおかしいと認識できるかどうかだ。それができるのであれば安倍政権を退陣に追い込めるだろうし、もし仮に近い将来に政権を退陣に追い込むことができないのであれば、それは日本国民がおかしいことをおかしいと認識できなくなるまでに劣化してしまっていることの証明になる。

 今後安倍政権が倒れる要因としては、貿易問題で突如日本に向かって牙を剥きだしてきたかに見える米トランプ政権の件もある。先週話題になったのはトランプの下記の発言だった。以下時事通信の23日付記事(下記URL)を引用する。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018032300576&g=use

安倍首相は「出し抜いて笑み」=トランプ氏、対日貿易に不満

 【ワシントン時事】「安倍晋三首相と話をすると、ほほ笑んでいる。『こんなに長い間、米国を出し抜くことができたとは信じられない』という笑みだ」。トランプ米大統領は22日、ホワイトハウスでの会合で首相についてこう語り、対日貿易赤字への不満をあらわにした。

 トランプ氏は「偉大な男で、私の友人」と前置きして、首相の笑顔を解説した。その上で「こういった時代はもう終わりだ」と述べ、「互恵的」な関係を求める考えを強調した。

(時事通信 2018/03/23-11:01)


 トランプ政権の動きで言えば、同政権が米朝対話へと動いたことで、安倍政権もそれに追随せざるを得なくなった件もある。つまり安倍晋三はこれまでのような国内世論向けの「北朝鮮カード」を切れなくなった。

 このように、政権維持に突如として困難が多方面から現れて視界不良となった安倍晋三だが、この男にとって何よりも大事な改憲だけは絶対に譲らない構えを見せている。以下、朝日新聞の22日付記事(下記URL)を引用する。
https://www.asahi.com/articles/ASL3Q6FLPL3QUTFK02B.html

自民の9条改憲、首相案で決着 2項維持し自衛隊を明記
二階堂勇
2018年3月22日21時05分

 自民党の憲法改正推進本部は22日、安倍晋三首相の9条改正案に沿って、戦力不保持を定める2項を維持して「自衛隊」を明記する方向で取りまとめる方針を決めた。新たに9条の2を設け、「(2項は)必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織」と位置づけて自衛隊を保持する案が軸となる。

 今後の対応一任を受けた細田博之本部長は25日の党大会での9条の条文案提示は見送り、党大会以降、最終的な条文案を作成する。

 推進本部は22日の全体会合で、2項維持・自衛隊明記の二つの修正案を提示。前回示された2項維持案では、自衛隊を「必要最小限度の実力組織」と定義したが、修正案では削除した。自衛隊が2項で保持を禁じる「戦力」に当たらないとする政府解釈を明記し、世論や他党の反発を和らげることを狙っていたが、自民党内から異論が出ていた。

 この日は、修正案を中心に首相案を支持する意見が多数を占めた。2項削除論を展開する石破茂・元幹事長らから意見集約に反対する意見も出たが、細田氏が一任で押し切った。執行部の説明によると、修正前の2項維持案と二つの修正案のうち、どれを選ぶかに対応が一任された。細田氏は会合後、記者団に「必要な自衛の措置をとることを妨げず」とした修正案を採用する意向を表明した。

 9条改正案の一任を受けて、参院選の「合区」解消など▽大規模災害時に政府に権限を集中したり、国会議員の任期特例を書き込んだりする緊急事態条項▽「教育無償化」を含めた自民党の「改憲4項目」の条文化にはめどが立った形となった。今後は、連立与党の公明党との協議や国会の憲法審査会での議論を目指すが、各党には改憲4項目に対する反対論が根強く、国会での発議が見通せない状況は解消されていない。(二階堂勇)

自民党憲法改正推進本部の執行部が有力と考える案

 9条の2 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。

 2 自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。

(朝日新聞デジタルより)


 ここまで日本をめちゃくちゃにした安倍晋三の政権下での改憲など、絶対に許してはならない。

 だが、この1か月で安倍晋三は「一強」のやりたい放題ができる状態からはかなり後退したとはいえ、まだ土俵中央に押し返した程度の段階に過ぎない。

 闘いはこれからが正念場だ。
 平昌冬季五輪が終わった。振り返ると、子どもの頃はテレビの五輪中継に熱中していたが(特に1972年の札幌冬季五輪)、年々五輪への興味が減退してきて、今回は競技の生中継を見たのは女子ジャンプで最後の2人、銀メダルを獲ったアルトハウス選手(ドイツ)と金メダルのルンビ選手(ノルウェー)のジャンプを見ただけだった(本当は高梨沙羅選手の2回目のジャンプを見ようと思ってテレビをつけたのだが、飛び終えた直後だった)。

 しかし、8年前、2010年のバンクーバー五輪直前に放送された報道ステーションの特集が今も印象に残る小平奈緒選手のスピードスケート女子500mの金メダルは良かった。銀メダルの韓国・李相花選手との友情は、今大会でもっとも印象的なシーンとの世評が高い。前記2010年の報ステの特集でも、小平選手は「三ヶ国語で、韓国語と中国語と日本語で、調子いいねとか言い合ったりして」中国や韓国の選手とエールを交換していることが紹介されていたが、最近では中国のメディアから「中国語力」を絶賛されているとの記事もある。

 一時は開会式の出席に難色を示していた安倍晋三とはあまりにも好対照だが、その安倍は小平選手の金メダル獲得が決まるや否や、さっそく「首相官邸」のTwitterのサイトから、日の丸の旗を2本も手にして自らの馬鹿面を晒した気持ちの悪いツイートを発した(下記URL=閲覧注意)。
https://twitter.com/kantei/status/965206781700931584

 小平選手の優勝を称えるツイートなのに、安倍はなぜか小平選手の画像ではなく、自らの馬鹿面の画像を晒した。海外の首脳にも五輪で好成績を残した自国代表選手を称えるツイートを発信した人は多いが、彼らは皆一様に選手の画像を添付していた。しかし、2016年のリオデジャネイロ五輪の閉会式で、マリオブラザーズのマリオに扮する売名行為を平然と行った安倍は、今回も厚顔無恥の挙に出た(さすがにこのツイートを批判されたあとに金メダルを獲った選手を称えるツイートでは選手の画像を添付したようだが)。

 しかし、小平選手のような選手が政権の宣伝に狙われ易いのは間違いないだろうし、だからこそ官邸(安倍)は小平選手に国民栄誉賞を授与しようと画策しているようだ。実際、スポーツ界の体質から言って、また橋本聖子の悪例を思い出しても、小平選手が安倍政権や自民党に将来ともなびかないとは残念ながら断言できない。小平選手が誤りを犯さないことを願うばかりだ。

 以上は長くなったが前振りでここからが本論。安倍は冬季五輪のタイミングに「働き方改革」の法案の審議をぶつけてきて、人々が五輪にかまけている隙にさっさと成立させて、春からはいよいよ安倍長年の野望である改憲に向けて全力を傾注するつもりだったに違いない。しかし、国会の答弁で安倍が、裁量労働制下で働く人の労働時間が一般労働者と比較して短いとのデータが出ているかのような虚偽答弁を行ったことが問題化し、報道でも連日取り上げられるようになった。

 既に安倍は答弁の撤回と謝罪を行っているが、それでも法案は成立させるとかいうわけのわからないことを言っている。これも問題だが、そもそも裁量労働制の問題が国民の間でほとんど知られていないように見受けられる。これが現時点で最大の問題だ。

 たとえば、内田樹の人脈に属する小田嶋隆などは、「一介の労働者に過ぎない多くの日本人が、なぜなのか、国策や日本経済を語る段になると「経営者目線」で自分たちの暮らしている社会を上から分析しにかかっている」などとしたり顔で論評しているが、この小田嶋の仮説は正しくないと私は思う。そうではなく、単に世の人々が裁量労働制の問題点を知らないだけだ。私はもう四半世紀前の1993年、その頃は経団連の中核をなす大企業に勤務していたのだが、実際に半年間だけ裁量労働制下で働いた経験があるからわかる。

 たとえば、昨日(2/25)放送されたTBSの「サンデーモーニング」を見ていても、コメンテーターは誰もわかってないなあと思った。テレビでは初めて見た朝日新聞の高橋純子記者は、「人の命がかかっている大事な法案なのに何故急いでやらなければならないのか。しかも裏付けとなるデータが不適切だったと分かったのだから顔を洗って出直してもらうしかない」とコメントした。仰ることはその通りだが、高橋記者も法案の問題点そのものは指摘しなかった。そこにぬるさを感じた。関口宏はもっとダメで、裁量労働制について「いいところもあるけど問題もある」みたいな言い方だったし、サッカーが専門の中西哲生に至っては論外で、「データは不適切だが、野党は鬼の首を取ったように色んなことを言ってる。大事なことは裁量労働制を良いものにし働き方を良くし日本を良くすること。いつも対立構図にする野党に違和感を感じる」と抜かしていた。これまでは中西に右翼のイメージはほとんどなかったが、時流に迎合して野党攻撃を始めるべく「転向」したのかもしれない。事実、中西は早速ネトウヨの絶賛を受けている。

 いずれにせよ、ぬるい高橋純子の発言、輪をかけてぬるい関口宏の発言と続いたあと、野党を攻撃して間接的に安倍政権を援護射撃する中西哲生の論外の発言に接して、「リベラル」のはずのこの番組でもこの程度か、やはり裁量労働制の問題は全然知られていないんだあと長嘆息したのだった。

 裁量労働制については、遠い昔の四半世紀前に半年だけ経験した私のような人間ではなく、最近裁量労働制を経験した方による下記のブログ記事にリンクを張っておく。『脱社畜ブログ』の2月24日のエントリ「裁量労働制になったら、働き方は何も変わらずに残業代だけ減った話」だが、このタイトルは四半世紀前の私の経験そのものだ。
http://dennou-kurage.hatenablog.com/entry/2018/02/24/155303

 以下が今回の記事の核心部になる。今回、私が一番感心したのは、『kojitakenの日記』でも紹介した今野晴貴氏の一連(4件)のツイートだ。

 この中では、4件目にあたる下記ツイート(下記URL)が多くリツイートされているようだ。以下引用する。
https://twitter.com/konno_haruki/status/966590331197116416

裁量労働性の規制緩和「対岸の火事」だと思っている方も多いと思うが、財界は以前から、ホワイトカラーの大半に適用できるようにすべきだと主張している。裁量労働性が全面規制緩和されれば、ブラック企業の「使い潰し」がますます加速し、歯止めがかからなくなるだろう。もちろん、過労死も増加する。


 私が感心したのは、今野氏が2件目のツイート(下記URL)で1994年に出された日経連(当時)の要求を紹介していたことだ。再び引用する。
https://twitter.com/konno_haruki/status/966589732497997824

1994年に法改正を要求して出された旧日経連の「裁量労働制の見直しについて(意見)」では、「就業者全体のほぼ半数に達している。こうしたホワイトカラーの相当部分は、自己の判断で職務を行う「裁量労働者」である」としている。つまりは、ほとんどの労働者が「裁量労働」にすべきだということだ。


 当時の日経連ですぐ思い出されるのが、1995年に出された「新時代の『日本的経営』」だが、これらはいずれも90年代前半のバブル経済崩壊を受けて始まった流れだ。

 つまり、バブル経済の崩壊によって、企業がそれまでのように利益を上げられなくなったため、労働者の賃金を下げようと画策した。裁量労働制はその一つの手段だ。日経連が法改正を要求して意見書を出したのは今野氏が指摘するように1994年だが、実際には各企業において裁量労働制を導入する試みはその少し前から始まっていた。現に私が裁量労働制下で働いたのは1993年だ。

 当時、多くの企業で人事制度の見直しが行われ、成果主義が謳われたりしたが、特に成果主義に力を入れた富士通で、人事制度改革が大失敗に終わったばかりか、赤字を出しても当時の富士通社長・秋草直之が居座るばかりか、「業績が悪いのは従業員が働かないからだ」(2001年)と暴言を吐くなどの破廉恥な振る舞いに出て(つまり、秋草自身には成果主義は適用されなかったわけだ!)、世の指弾と失笑を買った。しかし現在はその当時よりもさらに問題は深刻で、当時の富士通よりもさらに悪質な、いわゆる「ブラック企業」が日本中にはびこっている。

 しかし、バブル崩壊に先立つ1980年代の「労働界の右翼的再編」の悪弊もあって、賃下げを強行する使用者に対して労働者はなすすべなしの状態が長年続いた。その結果が日本経済の没落だ。安倍晋三が入れ込んだものの平昌五輪で赤恥を晒した「下町ボブスレー」は日本のものづくりの現状を象徴している。

 その没落の進行をさらに早め、労働者を窮乏と過労死に追い込む制度、それが裁量労働制だ。「定額働かせ放題」とは、この制度の本質をぴたり言い当てた適切な言葉といえる。この制度は、バブル崩壊後の日本を長期低落させた悪しき労働政策を、適用業種を広げることによってさらに広めようとするものであって、絶対に成立させてはならない論外の法案だ。まだ国会に法案が提出されていない現段階においては、法案の提出を許さない闘いが、野党にも労働界にも強く求められる。また、「リベラル」が(小田嶋隆のように)「法案は、間違いなく成立する。」などとほざいて諦めムードを醸成させることは断じて許されない。

 なお、2006〜07年のホワイトカラーエグゼンプション(WCE)に続いて今回の裁量労働制と、安倍政権が他の政権よりもとりわけ使用者側に立った労働政策を法制化することに熱心なのは、この政権が「経産省政権」と言われていることと深い関係があるとみるべきだろう。おそらく安倍晋三自身は改憲には熱心であっても労働政策にはさして関心があるとは思われないので、経産官僚と大企業経営陣の思惑通りに亡国の法案が導入されようとしているのが現状だ。

 それにしても、バブル崩壊直後に始められ、日本経済を長期低落させてきた悪しき労働政策の流れが、四半世紀以上経った今も惰性で続いているとは、人の世に働く惰性力の強さ、恐ろしさを改めて痛感する。1993年当時には若手社員だった私も、その後二度の転職を経てもう初老だが、私よりもはるか若くて将来性のある人たちが今後裁量労働制下で苦しめられるのは絶対に看過できない。そう強く思う。

 最後に、『広島瀬戸内新聞ニュース』の昨日(2/25)の記事(下記URL)を引用して終わる。短く簡潔な記事だが、本当にその通りだと強く思った。
https://hiroseto.exblog.jp/27102781/

「働き方改革」関連法案は、これは提出そのものを断念させるしかないですね。
その一言に尽きます。
ハッキリ言ってしまうと、労働組合も野党も、この法案を通してしまえば鼎の軽重を問われます。
日本中の職場は大変なことになる。裁量労働制そのものが、経営側から出てきた発想であるということをきちんと思い起こさないといけません。

 平昌冬季五輪が開幕したが、五輪に合わせて韓国と北朝鮮の合同チームが結成されるなど、南北対話の機運が高まっている。

 大いに結構なことだとしか私には思えないのだが、不思議なのは日本のマスメディアで、いわゆる「保守メディア」(実際には産経やNHKなど、もはや右翼メディアあるいは国策メディアとしかいいようがない)ばかりか、朝日新聞を筆頭とする「リベラル」系メディアまでもが、今年初め頃から南北の接近や対話に「警戒」する報道ばかりを行っている。日本の「リベラル」メディアは、昔から朝日新聞の腰が砕けると総崩れになる悪弊があるが、たとえば最近の毎日新聞やTBSやテレビ朝日などからは「惨状」という言葉しか思い浮かばない。毎週見ているTBSの日曜朝の番組『サンデーモーニング』も右翼的なコメンテーターが占める比率が増え、司会の関口宏も彼らに迎合するなど、番組の内容が大きく右傾化している。

 まさに安倍晋三の「メディア征圧」完了せり、の観があるが、何よりもひどいのはその安倍を筆頭とする日本の右翼政治家たちの言動であって、たとえば安倍は平昌五輪の開会式への出席を渋ったし、再来年の五輪開催都市であるはずの東京都知事・小池百合子に至っては開会式に出席しなかった。

 思えば、この小池が政権奪取の野望に燃え、昨年の日本の政治を攪乱した。小池が選挙戦中だけ代表を務めた「日本ファーストの会」は昨年夏の都議選に圧勝したが、小池が国政に進出しようとして結成した「希望の党」は野党第一党の民進党の分裂を引き起こしたあげくに惨敗し、以後「安倍一強」体制はますます強まったのだった。

 その過程において、「リベラル」の一部はあろうことか小池百合子に「打倒安倍」の夢を託した。マスメディアでは、「民進党は『野党共闘』で左に寄りすぎたから支持を失ったのだ。だから『真ん中』の小池都知事が支持されるのだ」などという誤った認識が平然と流布していた。毎日新聞の与良正男が署名記事で上記の主張を平然と書いたことを知った時、私は唖然として、日本の「リベラル」はもうどうしようもないところにまできてしまったと思った。「リベラル」系大新聞の幹部記者がこのていたらくだから、市井の「リベラル」(実質的には都会保守)のブロガーが「小池都知事と民進党と公明党にちょっとワクワク」してしまったのも無理はなかったかもしれない。

 ともあれ、そんな「百合子の野望」が、「今なら勝てる」と理不尽な衆院解散に踏み切った安倍晋三によって木っ端微塵に砕け散って以来、「リベラル」系メディアは茫然自失の醜態を呈しているように私には見える。その表れが、安倍晋三やその政権に対して言うべきことを何も言えない現在の惨状がある。

 たとえばしぶしぶ平昌五輪の開会式に出席した安倍は、韓国の文在寅大統領と会談してとんでもない内政干渉をやらかし、文大統領の不興を買った。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2679165010022018EA3000/

韓国大統領、安倍首相に不快感 五輪後の米韓演習要請

 【平昌=恩地洋介】9日に韓国の平昌で開いた日韓首脳会談で、安倍晋三首相が文在寅(ムン・ジェイン)大統領に米韓合同軍事演習を冬季五輪後に予定通り実施するよう求め、文氏が不快感を示していたことが分かった。韓国大統領府と日本政府双方の関係者が明らかにした。

 首相は会談で、北朝鮮への対応を巡って文氏に「五輪後が正念場だ。米韓合同軍事演習を延期する段階ではない。演習は予定通り進めることが重要だ」と語った。これに文氏は「韓国の主権の問題であり、内政に関する問題だ。首相がこの問題を直接取り上げるのは困る」と答えたという。

 会談では北朝鮮への対応を巡る両首脳の温度差が浮き彫りとなった。日本側によると首相は文氏を「北朝鮮のほほ笑み外交に目を奪われてはならない。対話のための対話では意味がない」などとけん制。一方、韓国側の説明によると文氏は「日本も積極的に対話に乗り出すことを願う」と語っていた。

(日本経済新聞 2018/2/10 20:41)


 本来こんな件は、「文氏が不快感を示していたことが分かった」などと「客観報道」スタイルで書くことではなく、日本のメディアが日本国首相・安倍晋三による内政干渉を指摘し、安倍を批判しなければならないはずだ。だが、たとえば毎日新聞などは、文大統領と安倍の会談より以前の8日付の記事ではあるが、「対北朝鮮 日米、韓国へ結束求め 「ほほ笑み外交」警戒 安倍首相・ペンス副大統領」などという見出しをつけて、アベさまにひれ伏している。開いた口がふさがらない。

 報道だけではなくアカデミズムの世界もひどい。現在世間を騒がせているのは、東京大学に籍を置く三浦瑠麗なる「国際政治学者」だが、この三浦が11日にフジテレビの「ワイドナショー」なるワイドショーに出演し、下記のトンデモ発言を行った。以下ハフィントンポスト日本版の記事から引用する。
http://www.huffingtonpost.jp/2018/02/12/ruri-miura_a_23359021/

(前略)番組は、核・ミサイル開発問題でアメリカや韓国、日本と対立し続ける北朝鮮が選手団を派遣したことで、オリンピックが政治外交の舞台になっているなどと紹介した。

そうした流れの中で、三浦氏は朝鮮半島における安全保障問題に触れ、戦争によって北朝鮮の指導者・金正恩氏が死亡した場合、ソウルや東京、大阪に潜む北朝鮮のテロリストたちが活動し始めると指摘。中でも大阪について「今ちょっとやばいって言われていて」などと、潜伏者が多数いるとも受け取れる発言をした。

番組でのやり取りは次の通り(敬称略)。

三浦 もし、アメリカが北朝鮮に核を使ったら、アメリカは大丈夫でもわれわれは反撃されそうじゃないですか。実際に戦争が始まったら、テロリストが仮に金正恩さんが殺されても、スリーパーセルと言われて、もう指導者が死んだっていうのがわかったら、もう一切外部との連絡を断って都市で動き始める、スリーパーセルっていうのが活動すると言われているんですよ。

東野 普段眠っている、暗殺部隊みたいな?

三浦 テロリスト分子がいるわけですよ。それがソウルでも、東京でも、もちろん大阪でも。今ちょっと大阪やばいって言われていて。

松本 潜んでるってことですか?

三浦 潜んでます。というのは、いざと言うときに最後のバックアップなんですよ。

三浦 そうしたら、首都攻撃するよりかは、他の大都市が狙われる可能性もあるので、東京じゃないからっていうふうに安心はできない、というのがあるので、正直われわれとしては核だろうがなんだろうが、戦争してほしくないんですよ。アメリカに。

こうした三浦氏の発言に対し、Twitterを中心に反発の声が上がった。「根拠を示すべき」「根拠がない」と発言内容の信憑性を疑う投稿が相次いだ。また、三浦氏が直接在日コリアンに言及する場面はなかったが、大阪には在日コリアンが多く暮らすことから、彼らに対する差別や偏見を助長するなどと指摘するツイートもあった。(後略)

(ハフィントンポスト日本版 2018年02月12日 18時47分 JST)


 こんなのが東大のセンセイ(講師)だというのだから、日本のアカデミズムの劣化には目も当てられない。もっとも日本の「リベラル」は、そんな東大が排出した右翼学者・西部邁が自殺した時、西部の核武装論を棚に上げて西部の冥福を祈りまくったていたらくだから問題外もいいところだが。

 かくして安倍晋三は一強体制で「わが世の春」を謳歌しているが、そんな安倍政権が長年続き、アベさまを賛美するネトウヨが「日本スゴイ」を連呼しているうちに、「スゴイ」はずの日本の町工場がとんだ失態を晒した。それが「下町ボブスレー」が平昌五輪のジャマイカチームに採用を取り消された一件だ。これについては下記記事にリンクを張っておく。『kojitakenの日記』では同じ件に関するリテラの記事を紹介したが、リテラよりこちらの記事の方が良い。「下町ボブスレーという安倍晋三案件について」と題された2月11日付のはてなブログの記事(下記URL)だ。
http://www.po-jama-people.info/entry/2018/02/11/120732

 「下町のスゴイ工場」とは名ばかりで、実際には大企業の系列会社や東大のセンセイが名を連ね、安倍晋三は第2次内閣発足直後の2013年の施政方針演説で早くも「下町ボブスレー」を取り上げ(このことから、同社の経営者が不遇時代の安倍晋三を応援するゴリゴリの右翼人士であることが容易に推測される)、以後安倍と経産省の肝煎りで進められたプロジェクトだ。しかしその成果はといえば、ソチ五輪でも平昌五輪でも日本チームに採用してもらえず、やむなくジャマイカに(上から目線で)押しつけたものの、ラトビア製の正真正銘の「下町の工場」の製品に敗れるや、フジテレビなどの右翼メディアが、ジャマイカには契約の概念がないのか、と煽り、ネトウヨはジャマイカ非難の大合唱を繰り広げた。それがこれまでの経緯だ。

 これほどの「国辱」はあったものではあるまい。この件が示すのは、日本の技術力の低下というよりは日本の政治の劣化だ。技術や品質の優劣より、アベさまとの距離の遠近によって予算が傾斜配分される。こんな理不尽な話はない。

 第2次安倍内閣発足で戦後日本の「崩壊の時代」が始まったと言ったのは坂野潤治だが、その「崩壊」とは何も戦争に負けるなどといった劇的な出来事によってではなく、「下町ボブスレー」のような喜劇的な出来事の積み重ねで徐々に衰退していく形で崩壊していくものなのだろう。それを食い止めるのは、まず安倍政権を倒さなければならないが、現在の日本国民からはもはやその気力は失われつつあるようだ。
 今年の政治で唯一の収穫といえるのは小池百合子のバブル破裂だ、とはもう何度も書いたが、逆に最悪だったのは安倍晋三政権を生き延びさせ、第4次内閣の発足を許してしまったことだった。

 年の半ば、共謀罪法案と森友・加計問題で批判を浴びた安倍は、7月の都議選で自民党が大敗を喫したこともあって政権支持率が毎日新聞の調査で26%にまで落ちたが、その後V字回復した。

 安倍が生き延びた理由として、少なからぬ政権批判派が愚かにも「期待」なり「ワクワク」なりしてしまった小池百合子(私がこの政治家を肯定的に評価したことは一度もない)がその正体を露呈したため、「政権批判票」が(一部は立憲民主党に流れたものの)「行き場を失った」とか「自民党に回帰した」などというバカバカしい解釈も可能だし、それは全くの的外れでもないとは思う。

 しかし、何よりも良くなかったのは、早々と通常国会を閉めて議論さえなくしてしまえば批判を浴びないし、批判を浴びなければ内閣支持率も下がらないだろうとの安倍の思惑通りに世論が動いてしまったことだ。

 この悪影響は測り知れない。実際、安倍は要人を私邸に呼んで政治を行うようになったと言われている。これを「政党政治の崩壊」と私は位置づけている。

 戦前には軍部の影響力が強くなり、政党は軍部に屈従して政党政治が崩壊したが、現在は安倍の影響力が強くなり、政党は安倍に屈従して政党政治が崩壊しつつある。

 こう書くと、野党、特に共産党は安倍に屈従などしていないぞ、との反論を受けるだろう。

 安倍に屈従はしなかった。それはその通りだ。

 しかし、安倍と同様の極右独裁者である小池百合子に対してはどうだったか。「是々非々」とか言って半分屈従していたのではなかったか。

 民進党に至っては、党が小池系の希望の党と非小池系の立憲民主党に割れた。しかも選挙のなかった参院議員と希望にも立民にも行かなかった衆院議員による民進党も残っている。

 立憲民主党が本当に「非小池系」(好ましくは「反小池系」)であれば良いのだが、昨年小池百合子にすり寄った蓮舫が立民入りを希望している。こんなのや山尾志桜里や(まさかとは思うが)原口一博なんかを入党させてしまえば、もはや分裂前の民進党からわずかに極右の連中(長島昭久、細野豪志、前原誠司、松原仁ら)を除いただけの政党に逆戻りするだけだろう。

 そんなことでは、事実上失われてしまったも同然の「政党政治」を「取り戻す」ことはできないと思うのだ。

 来年、2018年は、安倍の野望である改憲を阻止するとともに、政党政治を取り戻す年にしなければならない。

 このブログはもう少しだけ続けます。それでは皆様、良いお年を。
 4週間ぶりの更新になる。盆休みの時期だった先週は最初から休むつもりだったが、その前の2週間は更新しようとして果たせなかった。もう私もいい歳なのだが、思い返せば20年くらい前の方が夏休みは取りやすかった。私は00年代にはずっと西日本(中国・四国)、その前の90年代にはずっと首都圏(横浜市)にいたが、横浜時代の90年代の10年間のうち5年間は8月に北海道へ大型旅行をしていた。それが00年代には長くて3泊の中部山岳行きくらいしかしなくなり、今年に至っては東日本の天候不順のせいもあるが未だに夏休みが取れていなくて仕事に追い回されている。先週など、盆休みの時期にこんなに疲弊したことは長い社会人人生で初めてではないかと思うほど仕事に追われてしまった。

 その間のニュースは、アメリカと北朝鮮の危ない火遊びの話ばかりだった。先週(13日)のTBS『サンデーモーニング』では、安倍晋三側の御用人士である岡本行夫が「北のミサイルが日本の上空を飛び越えて米本土に向かうというのに、日本が(何もしないで)行ってらっしゃいと手を振って見送るわけにはいきませんから」と妄言を発したが、アメリカに向かって発射された北朝鮮のミサイルを日本から迎撃して撃ち落とそうとしても、技術的に言って成功確率などほとんどないだろうとは、多少なりとも迎撃システムについて聞きかじったことのある人なら誰しも思ったことだろう。

 しかし、岡本の発言にはそれ以前の問題があったらしい。『日刊ゲンダイ』で高野孟が下記の指摘をしている。以下引用する。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/211575

(前略)ところが残念なことに、北朝鮮から米本土に向かう大陸間弾道弾は、日本列島はもちろん日本海の上空すら通らない。ミサイルは最短距離を飛ぶので、北朝鮮からほぼ真北に向かって中国ハルビンの東、露ウラジオストクの西の辺りを通り、北極海、カナダ・ハドソン湾の上空を通ってワシントンに到達する。これを日本海に浮かべたイージス艦で横から撃ち落とすというのは全く不可能なのである。グアムに向かうというのであれば、日本の中国・四国地方の上空を通るし、またハワイに向かうというのであれば東北地方の上空を通る。しかし今の日本の感知システムでは、発射から数分後に通過したことを後になって分かるのが精いっぱいで、せいぜいが誤って部品の一部が落ちてきた場合にそれを空中粉砕できるかどうかである。

 私は岡本さんとは3分の1世紀ほど前、彼が外務省北米局安全保障課長の時からの知り合いで、今もあちこちでご一緒することが多いので、こんなことを言うのはイヤなのだが、北朝鮮や中国の“脅威”を強調する安倍政権の立場に寄り添おうとすると、こんな初歩的な間違いを犯すことになるのだろう。

(高野孟「永田町の裏を読む - 米本土に向かうミサイルを日本が打ち落とすという錯誤」、『日刊ゲンダイ』2017年8月17日付より)


 要するに岡本行夫はテレビで安倍政権を擁護するために「見え透いた嘘の宣伝」をやっていたわけだ。日本のテレビ番組で数少ない「リベラル」側の番組と一般には思われている『サンデーモーニング』で明らかに政府側の立場に立った嘘のプロパガンダが行われ、それを私が常日頃からバカにして止まない『日刊ゲンダイ』に、高野孟の署名記事とはいえ指摘されるとはなんというていたらくだろうか。開いた口が塞がらない。

 なお、この件に関しては外務副大臣の佐藤正久も終戦(敗戦)記念日に「日本がミサイルを撃ち落とさないでどうする?」と発言した。

 もちろん、そもそも北朝鮮からグアムに向かって撃たれたミサイルを日本が撃ち落とすことは技術的に不可能だから実際には起こりえないシチュエーションなのだが、岡本や佐藤の真の狙いは、「北朝鮮の脅威」を印象づけて安倍内閣の支持率を引き上げることにあるのだろう。

 盆休みの影響もあって、先々週末にはどのメディアも内閣支持率調査をやらなかったし、先週末も同様だろうが、私は、次に内閣支持率調査結果をメディアが発表する時には、かなりの確率で安倍内閣支持率が大幅に回復しているのはないかと恐れている。というのは、一部の人たちの言説に反して、安倍内閣が支持される主な理由は、その経済政策によるのではなく、外交や安全保障政策によることが調査結果で示されているからだ。北朝鮮のミサイル発射は常に安倍内閣支持率を引き上げる効果を持つ。ましてやこのところテレビのニュースはトランプと金正恩の愚かしいチキンレースの話ばかりだから、さぞ安倍内閣の支持率が上がっているだろうと私は想像するのだ。

 加えて民進党代表選が今日(21日)告示されるが、これも、特に前原誠司が勝った場合は大いに安倍晋三を助けることになるだろう。というのは、前原は野党共闘の見直しを明言しているからだ。「野党共闘を継続するかどうか」が代表選の争点であるかどうかはここにきて急に明白になってきた。テレビ番組の討論で、前原が野党共闘の見直しを、対抗馬の枝野幸男が共闘の継続をそれぞれ明言したからだ。それでなくても、安倍晋三は2014年の衆院選で埼玉5区の開票速報を見ながら「なんだ、枝野は落ちないじゃないか」とヒステリーを起こしたほど枝野を嫌っている(安倍はきっと、側近から「今度の選挙で枝野幸男は危ないですよ」と耳打ちされていたのだろう)。「野党共闘」継続の可否ともども、安倍政権を倒したいならば民進党代表選で前原誠司を選んではならず、(消去法的な意味合いしか認められないとはいえ)枝野幸男に勝たせるほかないと私は考えている。

 しかし、全くだらしがないと思うのは、「リベラル」たちの行動様式だ。右を見て左を見て自分の意見を決める彼らは、「野党共闘」のオピニオンリーダーたちが前原誠司に甘言を弄しているせいか、はたまた彼らのかなりの部分がかつて崇拝していた小沢一郎が影響力を持っている松野頼久グループが前原誠司を推しているせいか、なぜか前原の「野党共闘見直し論」を批判することすらろくすっぽできずにいる。

 いま自分の意見を言わずしていつ言うんだ、仮に現在はあたかも「死に体」であるかのように言われている(私は全くそうは思わないが)安倍晋三が息を吹き返して暗黒時代が本格化したら、言いたいことも言えなくなるぞ、今こそ正念場なのに何を自分の意見を発信するのをためらっているのかと、たまらない苛立たしさを感じる。

 苛立ちの原因はこればかりではない。小池百合子一派に対する「リベラル」たちの反応にも私は大いに苛立つ。このところ、長島昭久、細野豪志、木内孝胤といった、民進党でも札付きの右翼や新自由主義系の国会議員が民進党の離党届を出し、小池ファースト(地域政党の「都民ファーストの会」及び今後間違いなく結成される名称未定の国政政党の総称として以後「小池ファースト」と表記する)入りが確実視されている。このうち細野は民主党政権時代に小沢一郎に接近した人間だし、木内孝胤は他ならぬ小沢グループに属していた人間だ。

 一昨日には、自民党を離党した小池側近の若狭勝が主宰する政治塾の入党希望者に思想調査を行っているらしいことが読売新聞に報じられた。以下引用する。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170819-OYT1T50020.html

若狭議員、入塾希望者に「政治志向」テスト

 小池百合子東京都知事に近く、国政新党の年内結成を目指す若狭勝衆院議員(無所属)が、自ら設立した政治塾の入塾希望者向けに、憲法や外交・安全保障などを問う「選抜テスト」を行っている。

 新党が結成されれば、塾生は次期衆院選に出馬する可能性が高く、将来の「党内不一致」の芽を摘む狙いがあるとみられる。

 若狭氏は7日、政治団体「日本ファーストの会」の設立と、政治塾「輝照塾」の開講を発表した。小池氏が事実上率いる地域政党「都民ファーストの会」と連携した国政新党結成を狙う。

 塾は満25歳以上を対象に8月末まで希望者を受け付けている。希望者はインターネット上の「応募フォーム」に回答するほか、必要書類を送る仕組みだ。

(読売新聞 2017年08月19日 11時11分)


 要するに若狭は右翼的な思想信条を持つ者を選抜したいのだ。若狭は民進党きっての右翼議員の一人だった細野豪志とも連絡を密に取り合っているという。そんな若狭が小池百合子の腹心なのだ。

 このことから、小池百合子自身の思想信条が容易に読み取れる。

 世評では小池百合子は「商売右翼」であって、政局次第で右にも左にも動き得る人間だと見ている人もいる。しかし私の意見は違う。

 小池百合子の父・小池勇二郎(故人)は1969年、石原慎太郎に誘われて兵庫2区から衆院選に出馬したが落選した。その「ゆうじろう」という名前に石原が惹かれたのかどうかは定かではないが、政治に夢中になった勇二郎は貿易商の仕事をおろそかにして自らの海社を倒産させてしまい、巨額の借金を背負った小池一家は兵庫県の芦屋から東京の港区に移住したという。

 そんな、石原慎太郎の盟友だった父親の影響を受けた小池百合子は一貫して極右人士であり続けて今に至ると私はみている。おそらくその地金において、小池百合子は前原誠司よりずっと右で、安倍晋三と比較しても一歩も引けを取らない極右人士とみるべきだろう。小池は2009年の「政権交代選挙」で議席が危なくなった時には幸福実現党の選挙協力も受けたほどの人間だ。また側近の野田数(かずさ)が安倍晋三も顔負けの極右であることはよく知られている。そして小池ファーストの国政政党入りが確実視される面々はといえば、前述の若狭勝のほか、長島昭久、渡辺喜美、松沢成文、細野豪志、木内孝胤と、右翼(極右)か、さもなければ強烈な新自由主義者ばかりだ。

 さすがに、少し前まで小池百合子が民進党と連携してくれるのではないかと、私から見ればあり得ない状況の実現を期待して「ワクワク」していた人たちも今やすっかり押し黙ってしまっているが、その「黙って」いることこそ問題なのだ。自らの誤りを誤りと認め、むしろ声を大にして小池ファーストを批判していく姿勢こそ求められるのに、かつて小池を応援したうしろめたさのせいか、それをやらずに安倍政権批判に逃げ込む姿ばかりが目につく。

 沈黙と逃避と言えば、ひところ安倍昭恵とつるんでいたため、森友学園問題の発覚以来安倍政権批判ができなくなって貝になってしまった三宅洋平という人間も思い出される。

 どうしてどいつもこいつもこんな勇気のない人間ばかりなのか。これではいつまで経っても安倍政権を倒すことなどできるものか、と強い憤懣にかられる今日この頃なのである。
 週末(7/22.23)に毎日新聞社が行った世論調査で、安倍内閣支持率が26%を記録した。毎日は、内閣支持率の集計が出た時点で速報をネットに流し、その後記事に分析を追加したようだ。昨日の夕方、『kojitakenの日記』に、分析が追記される前の速報記事を引用したので、この記事ではそれに追記された部分を引用する。
https://mainichi.jp/articles/20170723/k00/00e/010/231000c

(前略)安倍晋三首相の自民党総裁任期が来年9月に終わることを踏まえ、「代わった方がよい」との回答は62%(3月調査は41%)で、3期目も「総裁を続けた方がよい」の23%(同45%)を大きく上回った。(中略)

 首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」による国家戦略特区を利用した獣医学部新設計画を巡り、政府のこれまでの説明を「信用できない」は76%に達し、「信用できる」は11%。内閣支持層でも「信用できない」(49%)が「信用できる」(36%)よりも多かった。首相は24、25両日、衆参両院予算委員会の閉会中審査で、加計学園の計画に自身が関与していないことを説明する考えだ。

 調査では「安倍1強」の政治状況についても聞いた。「自民党から安倍首相に代わる人が出てきてほしい」が31%で最も多く、「野党から首相に対抗できる人が出てきてほしい」は25%「新しい政党や政治団体から首相に対抗できる人が出てきてほしい」は23%「安倍首相が強いままでよい」は7%にとどまった。自民支持層では「安倍首相に代わる人」が51%を占め、「ポスト安倍」への期待をうかがわせた。

 支持率は2カ月連続で10ポイント下落し、与党内では憲法改正論議への影響を懸念する声も出始めた。今回の調査で、首相が目指す20年の改正憲法施行について、議論を「急ぐ必要はない」は66%、「急ぐべきだ」は22%。首相が5月に改憲方針を表明した後、慎重論は調査のたびに増えている。憲法9条の1項と2項をそのままにして、自衛隊の存在を明記する首相の改正案に関しては、「反対」が41%(前回比5ポイント増)、「賛成」が25%(同2ポイント減)、「わからない」が27%(同3ポイント減)だった。

 政党支持率は、自民25%▽民進5%▽公明3%▽共産5%▽維新2%--など。「支持政党はない」と答えた無党派は52%だった。【池乗有衣】

調査の方法

 7月22、23日の2日間、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて作った電話番号に、調査員が電話をかけるRDS法で調査した。福島第1原発事故で帰還困難区域などに指定されている市町村と、九州北部豪雨で被害を受けた福岡、大分両県の一部市村の電話番号は除いた。18歳以上のいる1627世帯から、1073人の回答を得た。回答率は66%。

毎日新聞 2017年7月23日 16時30分(最終更新 7月24日 02時20分)


 上記引用記事を眺めると、一番多いのが「自民党政権のままで良いけど、安倍は代われ」という意見のようだ。「野党共闘」の支持層と、「国民ファ★ストの会」(仮称)や維新など、より右翼的で新自由主義色の強い政治勢力が安倍自民にとって代わることを期待する層はほぼ拮抗している。コアな安倍晋三支持層は1割にも満たない(7%)といったところだろう。

 昨日は、仙台市長選も行われた。仙台市選管の発表した開票確定速報を見ると、当選した郡和子氏(前民進党衆院議員)の得票率が43.0%、自公が推した菅原裕典氏の得票率が38.7%だった。つまり自公は「野党共闘」の9割の得票を得たわけだ。自治体の合併で馬鹿みたいに広くなったとはいえ、県庁所在地でこの接戦なのだから、過疎地に行けば行くほど自民党が今なお強さを誇っていることは疑う余地がない。とはいえ、仮に近いうちに解散総選挙が行われた場合、各都道府県の1区などでは自民党が「野党共闘」に敗れる選挙区も少なくなさそうだ。

 何が言いたいかというと、一部で噂される早期解散・総選挙の可能性はほとんどないと私は考えているのだ。今衆院選をやれば、いわゆる「改憲政党」の3分の2を守れるかどうかは怪しい。

 それよりも、「国民ファ★ストの会」(仮称)が成立して、民進党右派がこれに合流してから解散総選挙を行う方が、改憲には有利ではないか。私が安倍晋三ならそう考える。よって、早期の解散総選挙はなく、政党交付金を受け取るための期限が年末であることから年内に必ず発足する「国民ファ★ストの会」(仮称)が発足し、渡辺喜美や長島昭久や若狭勝らといったそうそうたる右翼または新自由主義の面々が名を連ねる保守政党(というより右翼・新自由主義政党)の発足を待って解散総選挙が行われると考えるべきだ。

 実は安倍は都議選についても同じことを考えていただろうと思う。ただ、安倍にとっての誤算は自らの政権への逆風が強すぎて自民党が惨敗を喫してしまったことだが、衆院選の過疎地の選挙区などではそのような心配はない。都市部では「国ファ」(首都圏及び減税日本と合流した名古屋市など)あるいは維新(大阪及び阪神間など)で棲み分けは行われるだろうが、自民党の第一党の座は動かないだろう。そして、自公と国ファ、維新などが、憲法9条への自衛隊明記という、そんなに改憲に血道を上げるまでには至らない人たちにも受け入れられやすい案でまとまって改憲へと突き進む恐れは十分すぎるほどある。

 問題は、それまで安倍政権が持つかどうかということだろう。

 つい最近まで、国会での答弁で「安倍内閣支持率は53%もある。民進党の政党支持率はどのくらいあるのか」などとほざいて、高い支持率をいいことに「僕ちゃんは何をやっても許されるんだ」とばかりにおごり高ぶっていた安倍が、支持率の急落で受けているストレスの強さは相当のものだろう。10年前と同じように、安倍の体が悲鳴を上げて政権運営を続けられなくなる可能性は小さくない。

 一方、現在の野党、特に蓮舫の「国籍」問題などという、ネトウヨや産経くらいしか関心を持たないであろう議論でもめている民進党のていたらくから考えて、現在の野党による政権打倒はほとんど期待できない。また、小選挙区制により総理総裁の権力が極端なまでに肥大し切っているので、自民党内の安倍批判勢力による安倍打倒は、野党による安倍政権打倒よりももっと期待できない。

 ここは主権者である国民の総意が安倍を追い詰めるしかない。また、仮に安倍が政権を退いた場合でも、10年前に愚劣極まりない某ブロガーがやったように、「水に落ちた犬は叩かない」などとほざいて、それまで掲げていた安倍打倒の旗を降ろして、城内実や平沼赳夫などという、小泉純一郎によって自民党から追い出されてはいたものの紛れもない安倍の盟友の応援にかまけるなどという愚挙を行ってはならない。「安倍的なもの」の根絶を目指さなければならない。

 この記事では、陸自日報の隠蔽を稲田朋美が承認していた件のリークと文民統制の関係についても書こうと思ったが、時間が迫ってきたので次回以降に先送りする。私の主張は、一部「リベラル・左派」に見られる、「文民統制の議論はピント外れだ」という意見には強く反対するが、今回のリーク(報道に「複数の政府関係者」とあったことから文官からのリークであると思われるが、武官からの働きかけが影響した可能性は低くない)を2.26事件と重ね合わせる一部の見方にも強く反対する。2.26事件は国粋主義に染まった青年将校たち、つまり武官の暴走が引き起こした事件だが、今回のリークは総理大臣が自衛隊を私物化し、現実に戦闘行為が行われていた南スーダンの実態を隠そうとしたことが引き起こしたものだ。言い換えれば、安倍晋三や稲田朋美を筆頭とする文官(シビル)の暴走が引き起こした問題なのだ。

 だから、「これはクーデターだ」と叫んで問題のすり替えを行うことによって安倍政権を守ろうとするフジテレビの平井文夫らの妄論に乗っかることなく、「文民統制ができない(文民統制をやる気もない)安倍晋三と稲田朋美を打倒せよ」と叫ばなければならないと思う今日この頃なのである。
 自民党が惨敗した都議選を受けての安倍内閣支持率の世論調査結果が、昨夜(7/9)、朝日新聞、読売新聞、NNN(日本テレビ系)から一斉に発表された。特に朝日はこのところ毎週のように内閣支持率調査をやっている。都議選の前日と当日(7/1,2)にもやっていて、4日付朝刊(ネットでの公開は都議選翌日の3日朝)に報じたばかりなのにまたこの週末(7/8.9)に調査を行った。その結果は前回が支持率38%(6月調査より3ポイント減)、不支持率41%(6月より5ポイント増)、今回が支持率33%(前回より5ポイント減)、不支持率が46%(前回より5ポイント増)だった。今回の支持率33%は、2012年12月の第2次安倍内閣発足後最低の数字である。

 朝日が毎週のように世論調査を打つのは、安倍政権から明確に「敵」と名指しされている(たとえばトランプと安倍が「ニューヨークタイムズに勝った」「朝日新聞に勝った」と言い合った件など)ことや、2014年に慰安婦問題で安倍にすり寄ったところそれを「飛んで日にいる夏の虫」とばかりに政権に利用された失敗に懲りて、政権との対決姿勢を明確に打ち出したことと関係があるのだろう。

 それよりも安倍晋三にとって打撃になったのは、政権と一体になっているはずの読売新聞の世論調査で、内閣支持率が2か月で25ポイントも暴落してしまったことかもしれない。最新の読売の調査による安倍内閣の支持率は36%で、前回(6月17〜18日)から13ポイント、前々回(5月)と比較すると実に25ポイントの下落となった。不支持率は52%で、朝日の調査と同様に、支持率と不支持率は第2次安倍内閣発足後最低と最高をそれぞれ記録した。

 支持率の数字の低さでいえば、NNNの調査結果(下記URL)がもっとも低い。以下、NNNのサイトより引用する。
http://www.news24.jp/articles/2017/07/09/04366547.html

内閣支持率急落…政府・与党に危機感広がる
2017年7月9日 20:02

 NNNが週末に行った世論調査によると、安倍内閣の支持率は前月比7.9ポイント下落して31.9%となり、2012年12月の第2次安倍政権発足以来、最低を更新した。首相官邸前から青山和弘記者が伝える。

 安倍政権で入閣経験もある自民党のベテラン議員は、この支持率に「えー」と驚きの声を上げた。政府・与党内には危機感が広がっている。

 政府・与党内には都議選の結果からも、ある程度、厳しい数字を予想する声はあった。しかし、第2次安倍政権発足以来最低だった2015年8月を6ポイント近く下回る支持率には衝撃が広がっている。

 自民党のベテラン議員は「おととしは安全保障関連法をめぐる政策論だったが、今回は政権への不信感だ。早く対応しないとまずい」と語っている。与党・公明党の幹部は「自民党全体で危機感が足りない」と嘆いているが、政権幹部は「内閣改造をすれば、がらっと雰囲気が変わる」と来月上旬にも行われる内閣改造の効果に期待を寄せる。

 しかし、交代は避けられないとみられている稲田防衛相など閣僚の顔の入れ替えが、どこまで政権浮揚につながるかは不透明。政府・与党内には「小手先の内閣改造では乗り切れない」との声も相次いでいる。加計学園の問題などに対する安倍首相の説明責任をどのように果たすのかなど、信頼回復に向けた政権の対応が問われることになる。

 一方、野党・民進党の幹部は「国民が総理の言葉を信じられなくなっている」などと攻勢を強めている。ただ、今回、民進党の支持率も9.2%にとどまっていて、政権批判の受け皿になっていないというジレンマを抱えている。民進党幹部は「正直ショックだった」と語っている。

 民進党・野田幹事長「野党第一党として、一つ一つ信頼を勝ち得ていくように、がんばっていきたいと思う」

 民進党内には蓮舫代表など執行部に対する不満がくすぶっている。

 一方、世論調査では「都民ファーストの会」が次期衆院選で全国に候補者を立てることに「期待する」が26.6%だったのに対し、「期待しない」が55.2%に上った。今の政権批判がこれからどこに流れるのか、今後の政治の行方を左右することになる。

(『日テレNEWS24』より)


 安倍内閣の支持率低下の傾向には、歯止めがかからなかった。今回のNNN調査の31.9%という数字は、安保法案が批判を浴びた2015年7月に毎日新聞の世論調査が出した32%という「底値」に並ぶものだ。ついに「危険水域」といわれる内閣支持率30%をめぐる攻防の局面になった。

 都議選での自民党の惨敗をめぐって、「THIS IS 敗因」などという馬鹿げた言説が流布している。自民党が負けたのはT(豊田真由子)、H(萩生田光一)、I(稲田朋美)、S(下村博文)のせいだというのだ。

 冗談じゃない、「A級戦犯」が抜けてるじゃないかと思うのは私だけじゃないだろう。世論調査でも「首相の人柄が信用できない」ことを不支持の理由として挙げる人たちが増えている。安倍晋三こそ自民党の敗因に挙げられなければならない。

 なお、この件に関して、「『THIS IS 敗因』ではなく『THIS IS A 敗因』かも」と題された記事をネット検索で見つけたので下記にURLを示しておく。「A」はもちろん安倍晋三を指すが、Iは稲田以外に今村雅弘や石原伸晃もいるよ、Sは菅義偉や佐川宣寿もいるよ、などと書いており、責任を分散させるような書き方にはぬるさを感じさせる。
http://note365.net/?p=6741

 ただ、来月(8月)に行われるという内閣改造は、内閣支持率を押し上げる一定の効果を持つだろうとは確実に予測できる。それは、10年前の8月にも起きた現象だ。結局内閣が持たなかったのは体調を崩した安倍晋三が政権を投げ出したためだったが、あの第1次安倍改造内閣で防衛大臣に就任したのが小池百合子だった。当時、小池は "Please call me Madam Sushi." なる妄言を吐いて失笑を買った。

 その小池百合子が都議選前と選挙中にだけ党代表を務め、極右の野田数を代表に再起用した「都民ファーストの会」の国政進出について、NNNの世論調査で「期待しない」が過半数55.2%を占めたことも注目される。しかし、それなら民進党が受け皿として期待されているかといえば全くそんなことはなく、前記日テレニュースが伝えるところでも、民進党の政党支持率9.2%という低い数字に、同党幹部が「正直ショックだった」と語っている。

 おそらく、辞意を漏らしたという野田佳彦が幹事長を辞任するだけで、現在の蓮舫体制が続くのだろうが、昨年の民進党代表交代以降の民進党低迷の原因として、野田佳彦幹事長任命のほかに、もっと大きな原因がある。それは昨年晩秋に蓮舫がいち早く小池百合子にすり寄って小池に「協力を申し出た」ことだ。しかも、小池はそれにつけこんで、民進党からの協力要請は断りながら、都議選では都ファが民進党から大量の現職・前職(いずれも当時)を引き抜いた(もちろん自民党からも引き抜いたが)。都ファが民進党から引き抜いた現職・前職たちは、ある者は右翼だったり、別の者はもともとは「みんなの党」に属していた新自由主義者だったりした者が多く、民進党内でも政治思想か経済政策かのいずれかが「右寄り」の者が多かった。

 民進党代表に就任した直後に、自らのその一員である民進党右派にいい顔をしようとした蓮舫は、逆に右派に逃げられた形となった、海江田万里に代わって民主党(当時)の代表に返り咲いた岡田克也が、おそらく自らの思想信条とは齟齬があるかもしれない「野党共闘」路線にしか活路を見出せないと判断してこれに徹し、昨年の参院選で激戦となった1人区で成果を出すところまでこぎつけたのと好対照といえる。しかし岡田克也には、2005年の郵政総選挙で小泉自民党に惨敗したことからもうかがえる「ポピュリズム政治の攻勢に対する弱さ」があって、それが昨年の東京都知事選での鳥越俊太郎の惨敗(これは「タマが悪かった」側面も否定できないが)につながった。そのあとに蓮舫という「党首にしてはいけなかった」人間を党首(党代表)に据えてしまった民進党の体質を具現しているのが蓮舫なのであって、もはや蓮舫の首をすげ替えたところで蓮舫と同じような人間しか出てこないのではないかと私は思っている。

 現在は国政進出を懐疑的な目で見られている「都ファの国政政党版」、これは「新・新進党」とも「国民ファ★ストの会」とも仮称できるが、間違いなく立ち上がるこの政党は、まず民進党からの政治思想右派または経済右派の連中を引き抜き、さらにかつての新進党に倣って公明党を自民党との連立から引き離そうとするだろう。人間は歳をとっても同じことを考えるものだ。小池百合子はかつて新進党を作った小沢一郎のやり方を真似るに違いない。仮に政党名が「国民ファ★ストの会」にでもなれば、それはかつての小沢一郎の「国民の生活が第一」とそっくりの党名になる。これは決して偶然ではない。

 民進党右派を取り込み、公明党との連携に成功すれば(その際には自民党内の安倍晋三に対する批判勢力、たとえば石破茂らも動く可能性がある)、都ファの国政政党版への期待が今よりも高まる可能性がある。これに対する警戒を怠ってはならない。しかし、安倍政権をこれ以上長引かせてはならないとも強く思う。当面はろくでもない政治勢力同士のせめぎ合いが続くことになりそうだ。

 今後のブログ運営に関して、当面は、「安倍晋三批判」と「小池百合子批判」の二正面作戦で行くしかないと強く思う今日この頃だ。
 安倍内閣の支持率がついに大きく下落した。「共謀罪」法案の強行採決による成立により6月16日に国会が事実上閉会した(実際の閉会は日曜日の昨日・18日)後の週末にマスメディア各社が一斉に行った世論調査で、社によって異なるが下げ幅が大きいところでは10ポイントを超える内閣支持率下落を記録した。

 私の知る限り最も低い数字を叩き出したのが毎日新聞の調査で、支持率は36%、不支持率は44%だった。ただ、安保法案審議で安倍政権が批判を浴びた2015年7月に記録した支持率32%よりはまだ高い。

 他では日本テレビ系のNNNの世論調査で、内閣支持率が40%をわずかに切る39.8%だった(前月より6.3ポイント低下)。但し40%を0.2ポイント下回っただけであり、当然だが誤差範囲でしかない。「約40%」と表現すべきところではある。とはいえ、菅野完がつぶやいた通り「ざまぁ」とは正直言って私も思う。ただ、プロ野球の読売軍が交流戦の最終戦でロッテに勝ち、前日までの最下位から順位を2つ上げて10位で交流戦を終えやがったことには怒り心頭だが(11位はロッテ、最下位球団の名前は書きたくない)。

 その読売(新聞)の調査による安倍内閣支持率は、前回より12ポイント下落の49%だった。下げ幅は毎日より大きいが、元が高すぎた。読売は、

最低を記録した安全保障関連法成立直後(15年9月調査)の41%は上回った。

と書いて火消しに懸命だ。

 火消しといえば、30年前に「ピッチャー、カトリ」、「鹿取られる」など「上司(王監督)に過労を強いられる」という意味の流行語を呼んだ鹿取義隆が読売軍のGMに就任したらしい。しかし、今回の安倍内閣支持率下落の要因の一つは、読売新聞が前川喜平・文科省前事務次官に対する「ネガティブな印象操作」を狙って仕掛けた謀略報道だった。前川氏が「出会い系バー」に通っていたのは事実だったが、どこをどう洗っても前川氏が買春を行った事実をつかめなかったことから、読売の報道の謀略性が大きく注目され、読売の信用は地に堕ちるとともにプロ野球の読売軍は13連敗を喫し、安倍内閣の支持率は大きく下落した。

 ここまでの記事で、プロ野球(の読売軍)のこと(悪口)ばかり書きやがってうざい、と思われる読者も少なくないだろうが、私が指摘したいのは、今回読売が前川喜平に仕掛けた謀略報道は、プロ野球について読売が日常茶飯事として行ってきた謀略報道の延長線上にあるものだという事実だ。古くは1970年頃の「球界黒い霧」事件では、九州の人気球団だった西鉄ライオンズ(西日本鉄道に加え、九州での拡販を狙う読売のライバルだった西日本新聞との資本関係もあった)の追い落としを狙いつつ読売球団への波及を避け、1978年の「江川事件」では読売球団の利益を最大限に追及して、プロ野球協約の抜け穴を突いた「空白の一日」作戦を編み出した。また1979年に大洋ホエールズの遠藤一彦投手が読売軍から4勝を挙げると、同選手のスキャンダル報道を書き立てた一方、1986年に読売軍の吉村禎章選手が酒気帯び運転をしたあげくに人身事故を起こすと、警察にこの事故をもみ消させた(1987年にスポーツライターの玉木正之がこの件を月刊『現代』で暴露した)。

 読売というのは昔から自社の利益源であるプロ野球に関してこんな報道ばかりしていたのだ。その読売はまた、社のトップが社を私物化することでも悪名高い新聞社でもあった。潰れそうになっていた読売を大新聞社に仕立て上げた元警察官僚の正力松太郎が社を私物化した元凶であり、その悪しき伝統は務台光雄(1896-1991)を経てナベツネこと渡邉恒雄(1925-)に引き継がれている。事にナベツネは、1979年に論説委員長に就任して以来、一貫して「政権と一体になった新聞」のあり方を追及してきた。そのナベツネの理念と読売が昔からプロ野球をめぐって行ってきた謀略報道が合体したのが、今回の前川氏に対する謀略報道だったと私は位置づけている。そして、「読売悪」のエッセンスともいえるこの謀略報道が安倍内閣の支持率低下に与えた影響は小さくなかったと思うのだ。

 読売絡みではないが、元TBS記者・山口敬之の準強姦罪もみ消し工作は、「安倍政権の読売化」を思わせる一件だった。読売が政権と一体になると、「政権の読売化」も起きたというわけだ。このもみ消し工作から私が直ちに思い出したのは、前述の吉村禎章の酒気帯び人身事故を読売が警察にもみ消させた一件だ(読売は正力松太郎が警察官僚だった関係から、昔から警察への影響力が強いようだ)。もちろん山口の準強姦罪もみ消し工作自体にまでは読売は関与していないだろうが、手口があまりにも「読売的」であり過ぎるのである。

 前川前事務次官の謀略報道に関しては、官邸は読売だけではなく、1972年の外務省機密漏洩事件(通称「西山事件」)で当時の毎日新聞記者・西山太吉を追い落とした実績のある『週刊新潮』にも働きかけたが、同誌は読売が先に動いていたことを知るや、一転して読売の謀略報道を書き立てて読売を笑いものにする記事を載せた。これは、記者クラブ制度その他によって大新聞の記者よりも下の「階級」に位置づけられている週刊誌の記者が意地を見せたものだと私は解している。同様の件はさらに続き、内閣官房長官・菅義偉に食い下がった東京新聞社会部記者・望月衣塑子記者のスキャンダル暴露を官邸が週刊新潮にそそのかしたが、週刊新潮はなんとこの官邸が望月記者に対して謀略を仕掛けようとしていた事実を自誌に書き立て、安倍政権への悪印象をさらに強めた。この暴露も、「読売化した(安倍)政権」に対する意趣返しの一環であろうと私は解している。

 このように、今回の安倍内閣支持率の下落に読売が大きくかかわった。これを端的に表現したTwitterを紹介する(下記URL)。
https://twitter.com/geso0602/status/876465154518470656

読売さんは今回の支持率急落にとっても貢献したよね(棒


 読売と安倍晋三が同時に大きなダメージを受けるとは、「1粒で2度おいしい」○○○(若い人は知らないかも)みたいだな、と思ったが、冷静に見れば「共謀罪」法案は成立してしまったし、安倍内閣支持率はまだまだ高い。これまで引き合いに出さなかった朝日新聞の世論調査では41%(前月より6ポイント減)もある。

 加えて来月早々には都議選もある。ここでは、せっかくの安倍政権や自民党の支持率低下が、安倍に代わる独裁者候補である都知事・小池百合子の私党たる「都民ファーストの会」の躍進につながってしまう新たな脅威がある。既に昨日のTBSテレビ『サンデーモーニング』でリベラル派のはずの田中優子が小池百合子におべっかを使っていたシーンを見せつけられ愕然とした。「リベラル」文化人がこのていたらくだから、民進党が下記の読売(!)の記事(下記URL)に書かれたような愚劣なことをやらかすのも道理だろう。
http://www.yomiuri.co.jp/election/local/20170617-OYT1T50057.html

民進都連、離党組推薦へ…都民ファ推薦の3人
2017年06月17日 15時13分

 民進党東京都連が、同党を離党して東京都議選(7月2日投開票)に無所属で出馬する元公認候補3人に対し、推薦を出す方針を固めたことがわかった。

 複数の党関係者が明らかにした。3人は、小池百合子知事が率いる地域政党「都民ファーストの会」から推薦を受けており、党内から反発の声が出る可能性がある。

 都連が推薦を検討しているのは、定数2の選挙区から無所属で出馬を予定している現職3人。いずれも5月15日に同党の公認を取り消され、6月12日に離党が認められた。都連はこの他、元公認候補ら4人も、地元の同党区議や市議レベルで応援することを検討している。

 相次ぐ離党で、同党の現職都議は現在8人。都議選ではさらに議席を減らすことも予想され、都連では、離党した無所属候補が当選した場合を見据え、都議選後の連携を視野にてこ入れを図ることにした。

 ただ、ある民進党公認候補は、「党を見捨てた候補に対して、推薦を出す義理はない。一体何を考えているのか」と憤った。

(YOMIURI ONLINEより)


 これは「ある民進党公認候補」の怒りももっともだろう。この民進党による「都民ファーストの会」の候補推薦の話は、前々から朝日新聞なども書いてきたから知っており、それがついに現実になったということだ。この方針を仕掛けているのはもちろん党代表の蓮舫や幹事長の野田佳彦らであるが、蓮舫や野田は自党の公認候補よりも小池百合子へのお追従ばかりしか頭にないようで、私はこうした蓮舫や野田のあり方には反吐が出そうなほどむかつく。なるほど、安倍内閣の支持率が、ここまでひどい「敵失」があるまで全く下がらなかったわけだ。今回の支持率低下は、野球にたとえれば20点リードされた9回裏に7,8点を返した程度の意味しかない。敗戦にもっとも多くの責任を負うべきは野党第一党の投手、もとい党首(党代表)である蓮舫や、幹事長の野田であることはいうまでもない。

 また、さらにいけないと思うのは、「民進党信者」の域に達したと私が認定している民進党支持者たちが、蓮舫や野田をいっこうに(内部から)批判することなく、民進党を批判する他の野党の支持者や私のような無党派の反自民・反安倍の人間にばかり楯突いてくることだ。

 彼らの多くは護憲派であり、安倍政権の打倒を願っているはずなのに、改憲勢力の最たる存在である小池百合子とその私党にばかり揉み手をする蓮舫や野田をいっこうに批判しない。これは、民進党支持者たちの間でも民主主義が機能していないことを示すものにほかならない。

 せっかくの安倍内閣支持率低下の喜びも、2週間後には都議選で自民と都ファの合計議席がめちゃくちゃ増えるであろう痛恨の都議選の記事を間違いなく書くであろうことを想像すると、めでたさも中くらいにさえ届かない「ほんのちょっとのめでたさ」でしかないと思う今日この頃なのである。
 先週も今週も月曜日の朝に時間が取れなかった。それで先週はこのブログの更新を行わなかったが、今週も更新しないと2週連続になってしまうので、1日遅れで更新することにした。

 とはいっても、加計学園問題(事件)、読売新聞の前川喜平文科省前事務次官に関する謀略報道問題、それに元TBS政治記者・山口敬之の準強姦罪容疑の警察によるもみ消し疑惑など、安倍晋三政権やその取り巻きともいうべき御用新聞社、それに安倍一派に私物化された警察等々、「権力の腐敗」が一気に噴出した観がある。

 しかしそれでも安倍内閣支持率はなお50%近い高率を保っている。はる氏が様々な報道機関による内閣支持率の世論調査結果に荷重移動平均の処理をかけてグラフ化した2016年1月以来の内閣支持率の推移のグラフを見ると、今年1〜2月に内閣支持率が極大を示したあと、ようやく下降トレンドに転じたが、その変化はきわめてゆっくりである。
https://twitter.com/miraisyakai

 これはもう、安倍内閣の支持率が岩盤化しているというべきか、はたまた安倍内閣を支持する、ないし肯定する、ないし否定しないという心理がすっかり惰性化しているというべきか。私もこれまで時々「安倍内閣支持の岩盤化」という表現を使ってきたが、正しくは「惰性化」だろうなと、この記事を書きながら思い当たった。

 その「惰性化」を表す言葉が、よく言われる(小泉政権時代にもよく言われていた)「他に代わりの人がいない」という支持理由だろう。昔、まだブログを始める前の掲示板投稿者だった小泉政権時代に、「他に代わりの人がいない」という支持理由を持ち出した人間に対して、「あんたは他に代わりがないというけれど、安倍晋三以外なら誰が後継になっても小泉よりマシだろう」とコメントしたら激しい怒りを買ったことがあった。

 まあ人間というものは戦時中の東条英機内閣だって支持か肯定か否定しないだけかはわからないが受け入れていたのだから、そりゃあんな腐敗した政権だって受け入れるんだろうな、と思う。

 それから、支持理由としてよく言われる「経済政策が良いから」というのは明らかに間違いだ。本当に経済状況が良い時には人々に考える余裕ができて野党が伸びることは、戦後日本の高度成長期に野党への支持が拡大し、全国に「革新自治体」ができたことからもわかる。安倍政権になってから、賃金が下落しなくなったり有効求人倍率が高まったりしているのは事実だが、なんといってもこの政権は「富の再分配」に対しては非常に消極的であるから、恩恵はもっぱら富裕層に偏っている。もちろんいわゆる「トリクルダウン」もゼロではないかもしれないが、有効な再分配政策をとったと想定した場合と比較すると、庶民一般にこの政権の経済政策の恩恵が行き渡っているとはとうていいえない状態だろう。むしろまだ日本経済が低迷から脱し切っていないことが安倍内閣の支持率高止まりの理由の一つだろうと私は考えている。

 しかしそれにしてもこの政権の背徳ぶりはひど過ぎる。これに怒らない日本国民の半数は何を考えてるんだといつも思うが、一昨日(6/11)のTBSテレビ『サンデーモーニング』で岸井成格が「安倍内閣の高支持率には3つのからくりがある」と言っていた。岸井によれば、からくりの1つは小選挙区制、2つ目が内閣人事局、3つ目がメディアのコントロール(2ちゃんねらーたちはこれを「アンコン」と呼んでいる)とのこと。いちいちお説ごもっともだが、要するに内閣総理大臣が独裁権力を振るえるような構造になってしまっているということだ。

 このうち1つ目の小選挙区制については、「反安倍」の側の批判も弱い。その大きな理由として、小沢一郎が小選挙区制を推進してきたことが挙げられる。特にネット言論では昔から「小沢信者」の声が大きく、最近では「野党共闘」が成立してから共産党支持者も小沢を批判しなくなったから、ますます小選挙区制への批判が弱まっている。この例に限らず、安倍独裁政権下、言い換えれば「崩壊の時代」においては、政権批判側も劣化が著しいというほかない。

 現在懸念されるのは、権力を批判する言説が力を失ったこの「崩壊の時代」において、権力の腐敗を見せつけられた人々の間に、「別の独裁者」を求める傾向があることだ。いうまでもなく小池百合子のことである。前記『サンデーモーニング』でも、小池百合子びいきの田中秀征が、代わりの人がいないというけれど、と言いながら小池百合子だか「都民ファーストの会」だかに言及した。その瞬間、私の脳内のヒューズが飛んだことはいうまでもない。

 事実、加計学園問題は来月2日投開票の都議選において小池百合子の私闘である「都民ファーストの会」にとって絶好の追い風と鳴っている。小池はもちろんそれを熟知しているから、自ら都議選でも加計学園問題は争点の一つだ、などと言い出している。

 あの「リベラル」(都会保守)のブログも、このところしばらく小池については何も書かなかったが、ここに来て小池応援の態勢を整えつつある。あのブログにはコメント欄があって、確かコメント欄が大きくなったからもう投稿しないでほしいとブログ主が書いていたように記憶するが、それにもかかわらず「小池信者」のコメントはなぜか受けつけているらしく、先刻、下記のコメントを目撃してしまった。

やっぱり、頼りになるのは女性だった。
スガをとことん追い詰めていった東京新聞女性記者。
同様の犠牲者を出さないためにもと顔を出して告訴した女性ジャーナリスト。
そして、アベ自民党と真っ向対峙することを選んだ女性都知事。
男連中は最初からあきらめていたのが、彼女たちの気迫に押されて追従しているのだ。やればできるということを教わったというべきだろう。
ただ喜んでばかりはいられない、卑怯この上ないアベ一派。どんな手を打ってくるかわからない。
そんななか文科省大臣はどっちにつくのか?
文科省職員の矜持につくのか?
アベ極悪政権につくのか?
僕は将来の日本のために、人間の良心を信じたい。


 冗談じゃない。

 上記コメントには、『広島瀬戸内新聞ニュース』の昨日(6/12)付記事(下記URL)を対置しておく。
http://hiroseto.exblog.jp/25841364/

【国家戦略特区】封建政治安倍は支持できないが、ポストモダンな新自由主義者小池もごめんこうむる

国家戦略特区は、そもそもは、グローバル大手企業や外国人のお金持ちに都合がいい仕組みを作るというポストモダンな新自由主義の文脈であった。

ところが、加計学園にみられるように、日本の現自民党(安倍)はあまりにも前近代的(プレモダン)すぎて、総理ら一部の人間のお友達に便宜を図るツールとなってしまった。

しかし、小池百合子は違う。小池百合子こそは、真正のポストモダンな新自由主義者である。フランスでいえばマクロンの新自由主義と、マリーヌ・ルペンのタカ派(ただし、一定の社会政策にも理解)をハイブリッドしたような政治家である。実際、小池の支持基盤は、東京のグローバルインテリ+公明党+社会政策に期待する生活者ネットなど一部リベラル+極右(野田数)という感じである。

(あえて、戦前日本でいえば、立憲民政党の永井柳太郎が近い。私物化で自爆しつつある安倍晋三は立憲政友会の田中義一に近いともいえる。)

小池の国家戦略特区はまさに、大雑把に言えば、グローバル大手企業と大金持ちの外国人は都心に呼び込む。
一方で、日本人であろうが、在日外国人であろうが庶民は追い出す。これがデフォルメすれば小池の目指す方向である。

田舎臭い+前近代の江戸っ子臭い自民党が安倍晋三や下村博文や自民党東京の都議連中。
ポストモダンなハイカラなグローバリスト。それが小池百合子である。

そんな人間に秋波を送ってきた民進党。相手にされず、一方的に議員を引き抜かれたのは情けない。

口を酸っぱくして言う。国家戦略特区は、憲法95条違反である。自治体への特別立法は住民投票を経て国会で決まらなといけない。総理と首長の談合で決めるべき話ではない。

1949年の広島平和記念都市建設法を思い出そう。住民投票で約9割の支持を得た。焼け野原の復興を緊急課題とした広島市民と、よしわかった、広島を平和都市として復興しよう、という国民(の代理人たる国会)の意思が合わさって制定された。

野党共闘は立憲主義が最大の綱領である。

安倍は憲法を破って、お友達のために。
小池は憲法を破って、グローバル企業と外国人のお金持ちのために。
どちらもとも違う、立憲主義に基づいた政治を野党共闘は打ち出さないといけない。
たとえ、都議選で多少議席を減らしても、そのほうが後につながる。
今のままでは都議選議席も結局も危ないだろう。特に民進党は政策論争ですでに小池に事実上不戦敗だから。

(『広島瀬戸内新聞ニュース』 2017年6月12日付記事)


 国家戦略特区というと、私などは直ちに竹中平蔵の不快な顔が思い出されるが、竹中平蔵は今も「国家戦略特区諮問会議」の民間議員だ。ネット検索をかけたら、「民間議員・竹中平蔵氏に“退場勧告” 戦略特区に利益誘導批判」と題された『週刊朝日』6月9日号の記事が引っかかった。リンク先のみ示しておく。
https://dot.asahi.com/wa/2017053100019.html

 私が執拗に批判する「リベラル」(都会保守)のブログだが、もともとは2005年の郵政総選挙で小泉自民党が圧勝しそうな情勢だった頃、危機感を持って立ち上げられた尊敬すべきブログ「だった」。しかしいつしかその初心は失われ(たようにしか見えない)、独裁者だろうが新自由主義者だろうが安倍晋三を倒せれば良い、みたいな安易なブログに成り下がった。今では独裁思考の人間だろうが新自由主義者だろうが何でもござれ、といったところか。

 一方では、10年前には第1次安倍政権を批判するブログを運営していながら、今ではネトウヨ同然のつぶやきを発しまくっている「転向者」も私は知っている。そういう人間には、森友・加計学園問題や読売謀略報道問題や山口敬之準強姦罪もみ消し疑惑をどう思うのかと「小1時間問い詰めたい」(死語)気分だ。

 都知事選では東京都民の良識に期待したいと書きたいところだが、そうはならないことは目に見えている。最近権力批判がすっかり影を潜めている『週刊現代』は(立ち読みもしていないが)早くも「都議選議席数予想」の記事を載せ、それによると「都民ファーストの会」46議席(現有5議席)、自民党37議席(現有57議席)だとか。都議会の定数127に対して、両党で83議席を占めるとは(現有62議席)、あまりにもおぞまし過ぎる。

 私は都議選では自民党と「都民ファーストの会」の合計議席数の増加をいかに抑えるかが鍵だと考えている。前述の「リベラル」(都会保守)ブログは、小池百合子と橋下徹が加計学園問題で政権を批判したという記事を(嬉しそうに)アップしていたが、「都民ファーストの会」の躍進とは、「東京の大阪化」そのものだ。そういえば、今のプロ野球・読売軍は15年以上前の阪神タイガースの「暗黒時代」に似てきたといえるかもしれない。

 大阪のあとを追う東京。日本(安倍)のあとを追うアメリカ(トランプ)。信じたくない光景ばかり見せつけられる日々が続く。