きまぐれな日々

 4週間ぶりの更新になる。盆休みの時期だった先週は最初から休むつもりだったが、その前の2週間は更新しようとして果たせなかった。もう私もいい歳なのだが、思い返せば20年くらい前の方が夏休みは取りやすかった。私は00年代にはずっと西日本(中国・四国)、その前の90年代にはずっと首都圏(横浜市)にいたが、横浜時代の90年代の10年間のうち5年間は8月に北海道へ大型旅行をしていた。それが00年代には長くて3泊の中部山岳行きくらいしかしなくなり、今年に至っては東日本の天候不順のせいもあるが未だに夏休みが取れていなくて仕事に追い回されている。先週など、盆休みの時期にこんなに疲弊したことは長い社会人人生で初めてではないかと思うほど仕事に追われてしまった。

 その間のニュースは、アメリカと北朝鮮の危ない火遊びの話ばかりだった。先週(13日)のTBS『サンデーモーニング』では、安倍晋三側の御用人士である岡本行夫が「北のミサイルが日本の上空を飛び越えて米本土に向かうというのに、日本が(何もしないで)行ってらっしゃいと手を振って見送るわけにはいきませんから」と妄言を発したが、アメリカに向かって発射された北朝鮮のミサイルを日本から迎撃して撃ち落とそうとしても、技術的に言って成功確率などほとんどないだろうとは、多少なりとも迎撃システムについて聞きかじったことのある人なら誰しも思ったことだろう。

 しかし、岡本の発言にはそれ以前の問題があったらしい。『日刊ゲンダイ』で高野孟が下記の指摘をしている。以下引用する。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/211575

(前略)ところが残念なことに、北朝鮮から米本土に向かう大陸間弾道弾は、日本列島はもちろん日本海の上空すら通らない。ミサイルは最短距離を飛ぶので、北朝鮮からほぼ真北に向かって中国ハルビンの東、露ウラジオストクの西の辺りを通り、北極海、カナダ・ハドソン湾の上空を通ってワシントンに到達する。これを日本海に浮かべたイージス艦で横から撃ち落とすというのは全く不可能なのである。グアムに向かうというのであれば、日本の中国・四国地方の上空を通るし、またハワイに向かうというのであれば東北地方の上空を通る。しかし今の日本の感知システムでは、発射から数分後に通過したことを後になって分かるのが精いっぱいで、せいぜいが誤って部品の一部が落ちてきた場合にそれを空中粉砕できるかどうかである。

 私は岡本さんとは3分の1世紀ほど前、彼が外務省北米局安全保障課長の時からの知り合いで、今もあちこちでご一緒することが多いので、こんなことを言うのはイヤなのだが、北朝鮮や中国の“脅威”を強調する安倍政権の立場に寄り添おうとすると、こんな初歩的な間違いを犯すことになるのだろう。

(高野孟「永田町の裏を読む - 米本土に向かうミサイルを日本が打ち落とすという錯誤」、『日刊ゲンダイ』2017年8月17日付より)


 要するに岡本行夫はテレビで安倍政権を擁護するために「見え透いた嘘の宣伝」をやっていたわけだ。日本のテレビ番組で数少ない「リベラル」側の番組と一般には思われている『サンデーモーニング』で明らかに政府側の立場に立った嘘のプロパガンダが行われ、それを私が常日頃からバカにして止まない『日刊ゲンダイ』に、高野孟の署名記事とはいえ指摘されるとはなんというていたらくだろうか。開いた口が塞がらない。

 なお、この件に関しては外務副大臣の佐藤正久も終戦(敗戦)記念日に「日本がミサイルを撃ち落とさないでどうする?」と発言した。

 もちろん、そもそも北朝鮮からグアムに向かって撃たれたミサイルを日本が撃ち落とすことは技術的に不可能だから実際には起こりえないシチュエーションなのだが、岡本や佐藤の真の狙いは、「北朝鮮の脅威」を印象づけて安倍内閣の支持率を引き上げることにあるのだろう。

 盆休みの影響もあって、先々週末にはどのメディアも内閣支持率調査をやらなかったし、先週末も同様だろうが、私は、次に内閣支持率調査結果をメディアが発表する時には、かなりの確率で安倍内閣支持率が大幅に回復しているのはないかと恐れている。というのは、一部の人たちの言説に反して、安倍内閣が支持される主な理由は、その経済政策によるのではなく、外交や安全保障政策によることが調査結果で示されているからだ。北朝鮮のミサイル発射は常に安倍内閣支持率を引き上げる効果を持つ。ましてやこのところテレビのニュースはトランプと金正恩の愚かしいチキンレースの話ばかりだから、さぞ安倍内閣の支持率が上がっているだろうと私は想像するのだ。

 加えて民進党代表選が今日(21日)告示されるが、これも、特に前原誠司が勝った場合は大いに安倍晋三を助けることになるだろう。というのは、前原は野党共闘の見直しを明言しているからだ。「野党共闘を継続するかどうか」が代表選の争点であるかどうかはここにきて急に明白になってきた。テレビ番組の討論で、前原が野党共闘の見直しを、対抗馬の枝野幸男が共闘の継続をそれぞれ明言したからだ。それでなくても、安倍晋三は2014年の衆院選で埼玉5区の開票速報を見ながら「なんだ、枝野は落ちないじゃないか」とヒステリーを起こしたほど枝野を嫌っている(安倍はきっと、側近から「今度の選挙で枝野幸男は危ないですよ」と耳打ちされていたのだろう)。「野党共闘」継続の可否ともども、安倍政権を倒したいならば民進党代表選で前原誠司を選んではならず、(消去法的な意味合いしか認められないとはいえ)枝野幸男に勝たせるほかないと私は考えている。

 しかし、全くだらしがないと思うのは、「リベラル」たちの行動様式だ。右を見て左を見て自分の意見を決める彼らは、「野党共闘」のオピニオンリーダーたちが前原誠司に甘言を弄しているせいか、はたまた彼らのかなりの部分がかつて崇拝していた小沢一郎が影響力を持っている松野頼久グループが前原誠司を推しているせいか、なぜか前原の「野党共闘見直し論」を批判することすらろくすっぽできずにいる。

 いま自分の意見を言わずしていつ言うんだ、仮に現在はあたかも「死に体」であるかのように言われている(私は全くそうは思わないが)安倍晋三が息を吹き返して暗黒時代が本格化したら、言いたいことも言えなくなるぞ、今こそ正念場なのに何を自分の意見を発信するのをためらっているのかと、たまらない苛立たしさを感じる。

 苛立ちの原因はこればかりではない。小池百合子一派に対する「リベラル」たちの反応にも私は大いに苛立つ。このところ、長島昭久、細野豪志、木内孝胤といった、民進党でも札付きの右翼や新自由主義系の国会議員が民進党の離党届を出し、小池ファースト(地域政党の「都民ファーストの会」及び今後間違いなく結成される名称未定の国政政党の総称として以後「小池ファースト」と表記する)入りが確実視されている。このうち細野は民主党政権時代に小沢一郎に接近した人間だし、木内孝胤は他ならぬ小沢グループに属していた人間だ。

 一昨日には、自民党を離党した小池側近の若狭勝が主宰する政治塾の入党希望者に思想調査を行っているらしいことが読売新聞に報じられた。以下引用する。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170819-OYT1T50020.html

若狭議員、入塾希望者に「政治志向」テスト

 小池百合子東京都知事に近く、国政新党の年内結成を目指す若狭勝衆院議員(無所属)が、自ら設立した政治塾の入塾希望者向けに、憲法や外交・安全保障などを問う「選抜テスト」を行っている。

 新党が結成されれば、塾生は次期衆院選に出馬する可能性が高く、将来の「党内不一致」の芽を摘む狙いがあるとみられる。

 若狭氏は7日、政治団体「日本ファーストの会」の設立と、政治塾「輝照塾」の開講を発表した。小池氏が事実上率いる地域政党「都民ファーストの会」と連携した国政新党結成を狙う。

 塾は満25歳以上を対象に8月末まで希望者を受け付けている。希望者はインターネット上の「応募フォーム」に回答するほか、必要書類を送る仕組みだ。

(読売新聞 2017年08月19日 11時11分)


 要するに若狭は右翼的な思想信条を持つ者を選抜したいのだ。若狭は民進党きっての右翼議員の一人だった細野豪志とも連絡を密に取り合っているという。そんな若狭が小池百合子の腹心なのだ。

 このことから、小池百合子自身の思想信条が容易に読み取れる。

 世評では小池百合子は「商売右翼」であって、政局次第で右にも左にも動き得る人間だと見ている人もいる。しかし私の意見は違う。

 小池百合子の父・小池勇二郎(故人)は1969年、石原慎太郎に誘われて兵庫2区から衆院選に出馬したが落選した。その「ゆうじろう」という名前に石原が惹かれたのかどうかは定かではないが、政治に夢中になった勇二郎は貿易商の仕事をおろそかにして自らの海社を倒産させてしまい、巨額の借金を背負った小池一家は兵庫県の芦屋から東京の港区に移住したという。

 そんな、石原慎太郎の盟友だった父親の影響を受けた小池百合子は一貫して極右人士であり続けて今に至ると私はみている。おそらくその地金において、小池百合子は前原誠司よりずっと右で、安倍晋三と比較しても一歩も引けを取らない極右人士とみるべきだろう。小池は2009年の「政権交代選挙」で議席が危なくなった時には幸福実現党の選挙協力も受けたほどの人間だ。また側近の野田数(かずさ)が安倍晋三も顔負けの極右であることはよく知られている。そして小池ファーストの国政政党入りが確実視される面々はといえば、前述の若狭勝のほか、長島昭久、渡辺喜美、松沢成文、細野豪志、木内孝胤と、右翼(極右)か、さもなければ強烈な新自由主義者ばかりだ。

 さすがに、少し前まで小池百合子が民進党と連携してくれるのではないかと、私から見ればあり得ない状況の実現を期待して「ワクワク」していた人たちも今やすっかり押し黙ってしまっているが、その「黙って」いることこそ問題なのだ。自らの誤りを誤りと認め、むしろ声を大にして小池ファーストを批判していく姿勢こそ求められるのに、かつて小池を応援したうしろめたさのせいか、それをやらずに安倍政権批判に逃げ込む姿ばかりが目につく。

 沈黙と逃避と言えば、ひところ安倍昭恵とつるんでいたため、森友学園問題の発覚以来安倍政権批判ができなくなって貝になってしまった三宅洋平という人間も思い出される。

 どうしてどいつもこいつもこんな勇気のない人間ばかりなのか。これではいつまで経っても安倍政権を倒すことなどできるものか、と強い憤懣にかられる今日この頃なのである。
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 週末(7/22.23)に毎日新聞社が行った世論調査で、安倍内閣支持率が26%を記録した。毎日は、内閣支持率の集計が出た時点で速報をネットに流し、その後記事に分析を追加したようだ。昨日の夕方、『kojitakenの日記』に、分析が追記される前の速報記事を引用したので、この記事ではそれに追記された部分を引用する。
https://mainichi.jp/articles/20170723/k00/00e/010/231000c

(前略)安倍晋三首相の自民党総裁任期が来年9月に終わることを踏まえ、「代わった方がよい」との回答は62%(3月調査は41%)で、3期目も「総裁を続けた方がよい」の23%(同45%)を大きく上回った。(中略)

 首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」による国家戦略特区を利用した獣医学部新設計画を巡り、政府のこれまでの説明を「信用できない」は76%に達し、「信用できる」は11%。内閣支持層でも「信用できない」(49%)が「信用できる」(36%)よりも多かった。首相は24、25両日、衆参両院予算委員会の閉会中審査で、加計学園の計画に自身が関与していないことを説明する考えだ。

 調査では「安倍1強」の政治状況についても聞いた。「自民党から安倍首相に代わる人が出てきてほしい」が31%で最も多く、「野党から首相に対抗できる人が出てきてほしい」は25%「新しい政党や政治団体から首相に対抗できる人が出てきてほしい」は23%「安倍首相が強いままでよい」は7%にとどまった。自民支持層では「安倍首相に代わる人」が51%を占め、「ポスト安倍」への期待をうかがわせた。

 支持率は2カ月連続で10ポイント下落し、与党内では憲法改正論議への影響を懸念する声も出始めた。今回の調査で、首相が目指す20年の改正憲法施行について、議論を「急ぐ必要はない」は66%、「急ぐべきだ」は22%。首相が5月に改憲方針を表明した後、慎重論は調査のたびに増えている。憲法9条の1項と2項をそのままにして、自衛隊の存在を明記する首相の改正案に関しては、「反対」が41%(前回比5ポイント増)、「賛成」が25%(同2ポイント減)、「わからない」が27%(同3ポイント減)だった。

 政党支持率は、自民25%▽民進5%▽公明3%▽共産5%▽維新2%--など。「支持政党はない」と答えた無党派は52%だった。【池乗有衣】

調査の方法

 7月22、23日の2日間、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて作った電話番号に、調査員が電話をかけるRDS法で調査した。福島第1原発事故で帰還困難区域などに指定されている市町村と、九州北部豪雨で被害を受けた福岡、大分両県の一部市村の電話番号は除いた。18歳以上のいる1627世帯から、1073人の回答を得た。回答率は66%。

毎日新聞 2017年7月23日 16時30分(最終更新 7月24日 02時20分)


 上記引用記事を眺めると、一番多いのが「自民党政権のままで良いけど、安倍は代われ」という意見のようだ。「野党共闘」の支持層と、「国民ファ★ストの会」(仮称)や維新など、より右翼的で新自由主義色の強い政治勢力が安倍自民にとって代わることを期待する層はほぼ拮抗している。コアな安倍晋三支持層は1割にも満たない(7%)といったところだろう。

 昨日は、仙台市長選も行われた。仙台市選管の発表した開票確定速報を見ると、当選した郡和子氏(前民進党衆院議員)の得票率が43.0%、自公が推した菅原裕典氏の得票率が38.7%だった。つまり自公は「野党共闘」の9割の得票を得たわけだ。自治体の合併で馬鹿みたいに広くなったとはいえ、県庁所在地でこの接戦なのだから、過疎地に行けば行くほど自民党が今なお強さを誇っていることは疑う余地がない。とはいえ、仮に近いうちに解散総選挙が行われた場合、各都道府県の1区などでは自民党が「野党共闘」に敗れる選挙区も少なくなさそうだ。

 何が言いたいかというと、一部で噂される早期解散・総選挙の可能性はほとんどないと私は考えているのだ。今衆院選をやれば、いわゆる「改憲政党」の3分の2を守れるかどうかは怪しい。

 それよりも、「国民ファ★ストの会」(仮称)が成立して、民進党右派がこれに合流してから解散総選挙を行う方が、改憲には有利ではないか。私が安倍晋三ならそう考える。よって、早期の解散総選挙はなく、政党交付金を受け取るための期限が年末であることから年内に必ず発足する「国民ファ★ストの会」(仮称)が発足し、渡辺喜美や長島昭久や若狭勝らといったそうそうたる右翼または新自由主義の面々が名を連ねる保守政党(というより右翼・新自由主義政党)の発足を待って解散総選挙が行われると考えるべきだ。

 実は安倍は都議選についても同じことを考えていただろうと思う。ただ、安倍にとっての誤算は自らの政権への逆風が強すぎて自民党が惨敗を喫してしまったことだが、衆院選の過疎地の選挙区などではそのような心配はない。都市部では「国ファ」(首都圏及び減税日本と合流した名古屋市など)あるいは維新(大阪及び阪神間など)で棲み分けは行われるだろうが、自民党の第一党の座は動かないだろう。そして、自公と国ファ、維新などが、憲法9条への自衛隊明記という、そんなに改憲に血道を上げるまでには至らない人たちにも受け入れられやすい案でまとまって改憲へと突き進む恐れは十分すぎるほどある。

 問題は、それまで安倍政権が持つかどうかということだろう。

 つい最近まで、国会での答弁で「安倍内閣支持率は53%もある。民進党の政党支持率はどのくらいあるのか」などとほざいて、高い支持率をいいことに「僕ちゃんは何をやっても許されるんだ」とばかりにおごり高ぶっていた安倍が、支持率の急落で受けているストレスの強さは相当のものだろう。10年前と同じように、安倍の体が悲鳴を上げて政権運営を続けられなくなる可能性は小さくない。

 一方、現在の野党、特に蓮舫の「国籍」問題などという、ネトウヨや産経くらいしか関心を持たないであろう議論でもめている民進党のていたらくから考えて、現在の野党による政権打倒はほとんど期待できない。また、小選挙区制により総理総裁の権力が極端なまでに肥大し切っているので、自民党内の安倍批判勢力による安倍打倒は、野党による安倍政権打倒よりももっと期待できない。

 ここは主権者である国民の総意が安倍を追い詰めるしかない。また、仮に安倍が政権を退いた場合でも、10年前に愚劣極まりない某ブロガーがやったように、「水に落ちた犬は叩かない」などとほざいて、それまで掲げていた安倍打倒の旗を降ろして、城内実や平沼赳夫などという、小泉純一郎によって自民党から追い出されてはいたものの紛れもない安倍の盟友の応援にかまけるなどという愚挙を行ってはならない。「安倍的なもの」の根絶を目指さなければならない。

 この記事では、陸自日報の隠蔽を稲田朋美が承認していた件のリークと文民統制の関係についても書こうと思ったが、時間が迫ってきたので次回以降に先送りする。私の主張は、一部「リベラル・左派」に見られる、「文民統制の議論はピント外れだ」という意見には強く反対するが、今回のリーク(報道に「複数の政府関係者」とあったことから文官からのリークであると思われるが、武官からの働きかけが影響した可能性は低くない)を2.26事件と重ね合わせる一部の見方にも強く反対する。2.26事件は国粋主義に染まった青年将校たち、つまり武官の暴走が引き起こした事件だが、今回のリークは総理大臣が自衛隊を私物化し、現実に戦闘行為が行われていた南スーダンの実態を隠そうとしたことが引き起こしたものだ。言い換えれば、安倍晋三や稲田朋美を筆頭とする文官(シビル)の暴走が引き起こした問題なのだ。

 だから、「これはクーデターだ」と叫んで問題のすり替えを行うことによって安倍政権を守ろうとするフジテレビの平井文夫らの妄論に乗っかることなく、「文民統制ができない(文民統制をやる気もない)安倍晋三と稲田朋美を打倒せよ」と叫ばなければならないと思う今日この頃なのである。
 自民党が惨敗した都議選を受けての安倍内閣支持率の世論調査結果が、昨夜(7/9)、朝日新聞、読売新聞、NNN(日本テレビ系)から一斉に発表された。特に朝日はこのところ毎週のように内閣支持率調査をやっている。都議選の前日と当日(7/1,2)にもやっていて、4日付朝刊(ネットでの公開は都議選翌日の3日朝)に報じたばかりなのにまたこの週末(7/8.9)に調査を行った。その結果は前回が支持率38%(6月調査より3ポイント減)、不支持率41%(6月より5ポイント増)、今回が支持率33%(前回より5ポイント減)、不支持率が46%(前回より5ポイント増)だった。今回の支持率33%は、2012年12月の第2次安倍内閣発足後最低の数字である。

 朝日が毎週のように世論調査を打つのは、安倍政権から明確に「敵」と名指しされている(たとえばトランプと安倍が「ニューヨークタイムズに勝った」「朝日新聞に勝った」と言い合った件など)ことや、2014年に慰安婦問題で安倍にすり寄ったところそれを「飛んで日にいる夏の虫」とばかりに政権に利用された失敗に懲りて、政権との対決姿勢を明確に打ち出したことと関係があるのだろう。

 それよりも安倍晋三にとって打撃になったのは、政権と一体になっているはずの読売新聞の世論調査で、内閣支持率が2か月で25ポイントも暴落してしまったことかもしれない。最新の読売の調査による安倍内閣の支持率は36%で、前回(6月17〜18日)から13ポイント、前々回(5月)と比較すると実に25ポイントの下落となった。不支持率は52%で、朝日の調査と同様に、支持率と不支持率は第2次安倍内閣発足後最低と最高をそれぞれ記録した。

 支持率の数字の低さでいえば、NNNの調査結果(下記URL)がもっとも低い。以下、NNNのサイトより引用する。
http://www.news24.jp/articles/2017/07/09/04366547.html

内閣支持率急落…政府・与党に危機感広がる
2017年7月9日 20:02

 NNNが週末に行った世論調査によると、安倍内閣の支持率は前月比7.9ポイント下落して31.9%となり、2012年12月の第2次安倍政権発足以来、最低を更新した。首相官邸前から青山和弘記者が伝える。

 安倍政権で入閣経験もある自民党のベテラン議員は、この支持率に「えー」と驚きの声を上げた。政府・与党内には危機感が広がっている。

 政府・与党内には都議選の結果からも、ある程度、厳しい数字を予想する声はあった。しかし、第2次安倍政権発足以来最低だった2015年8月を6ポイント近く下回る支持率には衝撃が広がっている。

 自民党のベテラン議員は「おととしは安全保障関連法をめぐる政策論だったが、今回は政権への不信感だ。早く対応しないとまずい」と語っている。与党・公明党の幹部は「自民党全体で危機感が足りない」と嘆いているが、政権幹部は「内閣改造をすれば、がらっと雰囲気が変わる」と来月上旬にも行われる内閣改造の効果に期待を寄せる。

 しかし、交代は避けられないとみられている稲田防衛相など閣僚の顔の入れ替えが、どこまで政権浮揚につながるかは不透明。政府・与党内には「小手先の内閣改造では乗り切れない」との声も相次いでいる。加計学園の問題などに対する安倍首相の説明責任をどのように果たすのかなど、信頼回復に向けた政権の対応が問われることになる。

 一方、野党・民進党の幹部は「国民が総理の言葉を信じられなくなっている」などと攻勢を強めている。ただ、今回、民進党の支持率も9.2%にとどまっていて、政権批判の受け皿になっていないというジレンマを抱えている。民進党幹部は「正直ショックだった」と語っている。

 民進党・野田幹事長「野党第一党として、一つ一つ信頼を勝ち得ていくように、がんばっていきたいと思う」

 民進党内には蓮舫代表など執行部に対する不満がくすぶっている。

 一方、世論調査では「都民ファーストの会」が次期衆院選で全国に候補者を立てることに「期待する」が26.6%だったのに対し、「期待しない」が55.2%に上った。今の政権批判がこれからどこに流れるのか、今後の政治の行方を左右することになる。

(『日テレNEWS24』より)


 安倍内閣の支持率低下の傾向には、歯止めがかからなかった。今回のNNN調査の31.9%という数字は、安保法案が批判を浴びた2015年7月に毎日新聞の世論調査が出した32%という「底値」に並ぶものだ。ついに「危険水域」といわれる内閣支持率30%をめぐる攻防の局面になった。

 都議選での自民党の惨敗をめぐって、「THIS IS 敗因」などという馬鹿げた言説が流布している。自民党が負けたのはT(豊田真由子)、H(萩生田光一)、I(稲田朋美)、S(下村博文)のせいだというのだ。

 冗談じゃない、「A級戦犯」が抜けてるじゃないかと思うのは私だけじゃないだろう。世論調査でも「首相の人柄が信用できない」ことを不支持の理由として挙げる人たちが増えている。安倍晋三こそ自民党の敗因に挙げられなければならない。

 なお、この件に関して、「『THIS IS 敗因』ではなく『THIS IS A 敗因』かも」と題された記事をネット検索で見つけたので下記にURLを示しておく。「A」はもちろん安倍晋三を指すが、Iは稲田以外に今村雅弘や石原伸晃もいるよ、Sは菅義偉や佐川宣寿もいるよ、などと書いており、責任を分散させるような書き方にはぬるさを感じさせる。
http://note365.net/?p=6741

 ただ、来月(8月)に行われるという内閣改造は、内閣支持率を押し上げる一定の効果を持つだろうとは確実に予測できる。それは、10年前の8月にも起きた現象だ。結局内閣が持たなかったのは体調を崩した安倍晋三が政権を投げ出したためだったが、あの第1次安倍改造内閣で防衛大臣に就任したのが小池百合子だった。当時、小池は "Please call me Madam Sushi." なる妄言を吐いて失笑を買った。

 その小池百合子が都議選前と選挙中にだけ党代表を務め、極右の野田数を代表に再起用した「都民ファーストの会」の国政進出について、NNNの世論調査で「期待しない」が過半数55.2%を占めたことも注目される。しかし、それなら民進党が受け皿として期待されているかといえば全くそんなことはなく、前記日テレニュースが伝えるところでも、民進党の政党支持率9.2%という低い数字に、同党幹部が「正直ショックだった」と語っている。

 おそらく、辞意を漏らしたという野田佳彦が幹事長を辞任するだけで、現在の蓮舫体制が続くのだろうが、昨年の民進党代表交代以降の民進党低迷の原因として、野田佳彦幹事長任命のほかに、もっと大きな原因がある。それは昨年晩秋に蓮舫がいち早く小池百合子にすり寄って小池に「協力を申し出た」ことだ。しかも、小池はそれにつけこんで、民進党からの協力要請は断りながら、都議選では都ファが民進党から大量の現職・前職(いずれも当時)を引き抜いた(もちろん自民党からも引き抜いたが)。都ファが民進党から引き抜いた現職・前職たちは、ある者は右翼だったり、別の者はもともとは「みんなの党」に属していた新自由主義者だったりした者が多く、民進党内でも政治思想か経済政策かのいずれかが「右寄り」の者が多かった。

 民進党代表に就任した直後に、自らのその一員である民進党右派にいい顔をしようとした蓮舫は、逆に右派に逃げられた形となった、海江田万里に代わって民主党(当時)の代表に返り咲いた岡田克也が、おそらく自らの思想信条とは齟齬があるかもしれない「野党共闘」路線にしか活路を見出せないと判断してこれに徹し、昨年の参院選で激戦となった1人区で成果を出すところまでこぎつけたのと好対照といえる。しかし岡田克也には、2005年の郵政総選挙で小泉自民党に惨敗したことからもうかがえる「ポピュリズム政治の攻勢に対する弱さ」があって、それが昨年の東京都知事選での鳥越俊太郎の惨敗(これは「タマが悪かった」側面も否定できないが)につながった。そのあとに蓮舫という「党首にしてはいけなかった」人間を党首(党代表)に据えてしまった民進党の体質を具現しているのが蓮舫なのであって、もはや蓮舫の首をすげ替えたところで蓮舫と同じような人間しか出てこないのではないかと私は思っている。

 現在は国政進出を懐疑的な目で見られている「都ファの国政政党版」、これは「新・新進党」とも「国民ファ★ストの会」とも仮称できるが、間違いなく立ち上がるこの政党は、まず民進党からの政治思想右派または経済右派の連中を引き抜き、さらにかつての新進党に倣って公明党を自民党との連立から引き離そうとするだろう。人間は歳をとっても同じことを考えるものだ。小池百合子はかつて新進党を作った小沢一郎のやり方を真似るに違いない。仮に政党名が「国民ファ★ストの会」にでもなれば、それはかつての小沢一郎の「国民の生活が第一」とそっくりの党名になる。これは決して偶然ではない。

 民進党右派を取り込み、公明党との連携に成功すれば(その際には自民党内の安倍晋三に対する批判勢力、たとえば石破茂らも動く可能性がある)、都ファの国政政党版への期待が今よりも高まる可能性がある。これに対する警戒を怠ってはならない。しかし、安倍政権をこれ以上長引かせてはならないとも強く思う。当面はろくでもない政治勢力同士のせめぎ合いが続くことになりそうだ。

 今後のブログ運営に関して、当面は、「安倍晋三批判」と「小池百合子批判」の二正面作戦で行くしかないと強く思う今日この頃だ。
 安倍内閣の支持率がついに大きく下落した。「共謀罪」法案の強行採決による成立により6月16日に国会が事実上閉会した(実際の閉会は日曜日の昨日・18日)後の週末にマスメディア各社が一斉に行った世論調査で、社によって異なるが下げ幅が大きいところでは10ポイントを超える内閣支持率下落を記録した。

 私の知る限り最も低い数字を叩き出したのが毎日新聞の調査で、支持率は36%、不支持率は44%だった。ただ、安保法案審議で安倍政権が批判を浴びた2015年7月に記録した支持率32%よりはまだ高い。

 他では日本テレビ系のNNNの世論調査で、内閣支持率が40%をわずかに切る39.8%だった(前月より6.3ポイント低下)。但し40%を0.2ポイント下回っただけであり、当然だが誤差範囲でしかない。「約40%」と表現すべきところではある。とはいえ、菅野完がつぶやいた通り「ざまぁ」とは正直言って私も思う。ただ、プロ野球の読売軍が交流戦の最終戦でロッテに勝ち、前日までの最下位から順位を2つ上げて10位で交流戦を終えやがったことには怒り心頭だが(11位はロッテ、最下位球団の名前は書きたくない)。

 その読売(新聞)の調査による安倍内閣支持率は、前回より12ポイント下落の49%だった。下げ幅は毎日より大きいが、元が高すぎた。読売は、

最低を記録した安全保障関連法成立直後(15年9月調査)の41%は上回った。

と書いて火消しに懸命だ。

 火消しといえば、30年前に「ピッチャー、カトリ」、「鹿取られる」など「上司(王監督)に過労を強いられる」という意味の流行語を呼んだ鹿取義隆が読売軍のGMに就任したらしい。しかし、今回の安倍内閣支持率下落の要因の一つは、読売新聞が前川喜平・文科省前事務次官に対する「ネガティブな印象操作」を狙って仕掛けた謀略報道だった。前川氏が「出会い系バー」に通っていたのは事実だったが、どこをどう洗っても前川氏が買春を行った事実をつかめなかったことから、読売の報道の謀略性が大きく注目され、読売の信用は地に堕ちるとともにプロ野球の読売軍は13連敗を喫し、安倍内閣の支持率は大きく下落した。

 ここまでの記事で、プロ野球(の読売軍)のこと(悪口)ばかり書きやがってうざい、と思われる読者も少なくないだろうが、私が指摘したいのは、今回読売が前川喜平に仕掛けた謀略報道は、プロ野球について読売が日常茶飯事として行ってきた謀略報道の延長線上にあるものだという事実だ。古くは1970年頃の「球界黒い霧」事件では、九州の人気球団だった西鉄ライオンズ(西日本鉄道に加え、九州での拡販を狙う読売のライバルだった西日本新聞との資本関係もあった)の追い落としを狙いつつ読売球団への波及を避け、1978年の「江川事件」では読売球団の利益を最大限に追及して、プロ野球協約の抜け穴を突いた「空白の一日」作戦を編み出した。また1979年に大洋ホエールズの遠藤一彦投手が読売軍から4勝を挙げると、同選手のスキャンダル報道を書き立てた一方、1986年に読売軍の吉村禎章選手が酒気帯び運転をしたあげくに人身事故を起こすと、警察にこの事故をもみ消させた(1987年にスポーツライターの玉木正之がこの件を月刊『現代』で暴露した)。

 読売というのは昔から自社の利益源であるプロ野球に関してこんな報道ばかりしていたのだ。その読売はまた、社のトップが社を私物化することでも悪名高い新聞社でもあった。潰れそうになっていた読売を大新聞社に仕立て上げた元警察官僚の正力松太郎が社を私物化した元凶であり、その悪しき伝統は務台光雄(1896-1991)を経てナベツネこと渡邉恒雄(1925-)に引き継がれている。事にナベツネは、1979年に論説委員長に就任して以来、一貫して「政権と一体になった新聞」のあり方を追及してきた。そのナベツネの理念と読売が昔からプロ野球をめぐって行ってきた謀略報道が合体したのが、今回の前川氏に対する謀略報道だったと私は位置づけている。そして、「読売悪」のエッセンスともいえるこの謀略報道が安倍内閣の支持率低下に与えた影響は小さくなかったと思うのだ。

 読売絡みではないが、元TBS記者・山口敬之の準強姦罪もみ消し工作は、「安倍政権の読売化」を思わせる一件だった。読売が政権と一体になると、「政権の読売化」も起きたというわけだ。このもみ消し工作から私が直ちに思い出したのは、前述の吉村禎章の酒気帯び人身事故を読売が警察にもみ消させた一件だ(読売は正力松太郎が警察官僚だった関係から、昔から警察への影響力が強いようだ)。もちろん山口の準強姦罪もみ消し工作自体にまでは読売は関与していないだろうが、手口があまりにも「読売的」であり過ぎるのである。

 前川前事務次官の謀略報道に関しては、官邸は読売だけではなく、1972年の外務省機密漏洩事件(通称「西山事件」)で当時の毎日新聞記者・西山太吉を追い落とした実績のある『週刊新潮』にも働きかけたが、同誌は読売が先に動いていたことを知るや、一転して読売の謀略報道を書き立てて読売を笑いものにする記事を載せた。これは、記者クラブ制度その他によって大新聞の記者よりも下の「階級」に位置づけられている週刊誌の記者が意地を見せたものだと私は解している。同様の件はさらに続き、内閣官房長官・菅義偉に食い下がった東京新聞社会部記者・望月衣塑子記者のスキャンダル暴露を官邸が週刊新潮にそそのかしたが、週刊新潮はなんとこの官邸が望月記者に対して謀略を仕掛けようとしていた事実を自誌に書き立て、安倍政権への悪印象をさらに強めた。この暴露も、「読売化した(安倍)政権」に対する意趣返しの一環であろうと私は解している。

 このように、今回の安倍内閣支持率の下落に読売が大きくかかわった。これを端的に表現したTwitterを紹介する(下記URL)。
https://twitter.com/geso0602/status/876465154518470656

読売さんは今回の支持率急落にとっても貢献したよね(棒


 読売と安倍晋三が同時に大きなダメージを受けるとは、「1粒で2度おいしい」○○○(若い人は知らないかも)みたいだな、と思ったが、冷静に見れば「共謀罪」法案は成立してしまったし、安倍内閣支持率はまだまだ高い。これまで引き合いに出さなかった朝日新聞の世論調査では41%(前月より6ポイント減)もある。

 加えて来月早々には都議選もある。ここでは、せっかくの安倍政権や自民党の支持率低下が、安倍に代わる独裁者候補である都知事・小池百合子の私党たる「都民ファーストの会」の躍進につながってしまう新たな脅威がある。既に昨日のTBSテレビ『サンデーモーニング』でリベラル派のはずの田中優子が小池百合子におべっかを使っていたシーンを見せつけられ愕然とした。「リベラル」文化人がこのていたらくだから、民進党が下記の読売(!)の記事(下記URL)に書かれたような愚劣なことをやらかすのも道理だろう。
http://www.yomiuri.co.jp/election/local/20170617-OYT1T50057.html

民進都連、離党組推薦へ…都民ファ推薦の3人
2017年06月17日 15時13分

 民進党東京都連が、同党を離党して東京都議選(7月2日投開票)に無所属で出馬する元公認候補3人に対し、推薦を出す方針を固めたことがわかった。

 複数の党関係者が明らかにした。3人は、小池百合子知事が率いる地域政党「都民ファーストの会」から推薦を受けており、党内から反発の声が出る可能性がある。

 都連が推薦を検討しているのは、定数2の選挙区から無所属で出馬を予定している現職3人。いずれも5月15日に同党の公認を取り消され、6月12日に離党が認められた。都連はこの他、元公認候補ら4人も、地元の同党区議や市議レベルで応援することを検討している。

 相次ぐ離党で、同党の現職都議は現在8人。都議選ではさらに議席を減らすことも予想され、都連では、離党した無所属候補が当選した場合を見据え、都議選後の連携を視野にてこ入れを図ることにした。

 ただ、ある民進党公認候補は、「党を見捨てた候補に対して、推薦を出す義理はない。一体何を考えているのか」と憤った。

(YOMIURI ONLINEより)


 これは「ある民進党公認候補」の怒りももっともだろう。この民進党による「都民ファーストの会」の候補推薦の話は、前々から朝日新聞なども書いてきたから知っており、それがついに現実になったということだ。この方針を仕掛けているのはもちろん党代表の蓮舫や幹事長の野田佳彦らであるが、蓮舫や野田は自党の公認候補よりも小池百合子へのお追従ばかりしか頭にないようで、私はこうした蓮舫や野田のあり方には反吐が出そうなほどむかつく。なるほど、安倍内閣の支持率が、ここまでひどい「敵失」があるまで全く下がらなかったわけだ。今回の支持率低下は、野球にたとえれば20点リードされた9回裏に7,8点を返した程度の意味しかない。敗戦にもっとも多くの責任を負うべきは野党第一党の投手、もとい党首(党代表)である蓮舫や、幹事長の野田であることはいうまでもない。

 また、さらにいけないと思うのは、「民進党信者」の域に達したと私が認定している民進党支持者たちが、蓮舫や野田をいっこうに(内部から)批判することなく、民進党を批判する他の野党の支持者や私のような無党派の反自民・反安倍の人間にばかり楯突いてくることだ。

 彼らの多くは護憲派であり、安倍政権の打倒を願っているはずなのに、改憲勢力の最たる存在である小池百合子とその私党にばかり揉み手をする蓮舫や野田をいっこうに批判しない。これは、民進党支持者たちの間でも民主主義が機能していないことを示すものにほかならない。

 せっかくの安倍内閣支持率低下の喜びも、2週間後には都議選で自民と都ファの合計議席がめちゃくちゃ増えるであろう痛恨の都議選の記事を間違いなく書くであろうことを想像すると、めでたさも中くらいにさえ届かない「ほんのちょっとのめでたさ」でしかないと思う今日この頃なのである。
 先週も今週も月曜日の朝に時間が取れなかった。それで先週はこのブログの更新を行わなかったが、今週も更新しないと2週連続になってしまうので、1日遅れで更新することにした。

 とはいっても、加計学園問題(事件)、読売新聞の前川喜平文科省前事務次官に関する謀略報道問題、それに元TBS政治記者・山口敬之の準強姦罪容疑の警察によるもみ消し疑惑など、安倍晋三政権やその取り巻きともいうべき御用新聞社、それに安倍一派に私物化された警察等々、「権力の腐敗」が一気に噴出した観がある。

 しかしそれでも安倍内閣支持率はなお50%近い高率を保っている。はる氏が様々な報道機関による内閣支持率の世論調査結果に荷重移動平均の処理をかけてグラフ化した2016年1月以来の内閣支持率の推移のグラフを見ると、今年1〜2月に内閣支持率が極大を示したあと、ようやく下降トレンドに転じたが、その変化はきわめてゆっくりである。
https://twitter.com/miraisyakai

 これはもう、安倍内閣の支持率が岩盤化しているというべきか、はたまた安倍内閣を支持する、ないし肯定する、ないし否定しないという心理がすっかり惰性化しているというべきか。私もこれまで時々「安倍内閣支持の岩盤化」という表現を使ってきたが、正しくは「惰性化」だろうなと、この記事を書きながら思い当たった。

 その「惰性化」を表す言葉が、よく言われる(小泉政権時代にもよく言われていた)「他に代わりの人がいない」という支持理由だろう。昔、まだブログを始める前の掲示板投稿者だった小泉政権時代に、「他に代わりの人がいない」という支持理由を持ち出した人間に対して、「あんたは他に代わりがないというけれど、安倍晋三以外なら誰が後継になっても小泉よりマシだろう」とコメントしたら激しい怒りを買ったことがあった。

 まあ人間というものは戦時中の東条英機内閣だって支持か肯定か否定しないだけかはわからないが受け入れていたのだから、そりゃあんな腐敗した政権だって受け入れるんだろうな、と思う。

 それから、支持理由としてよく言われる「経済政策が良いから」というのは明らかに間違いだ。本当に経済状況が良い時には人々に考える余裕ができて野党が伸びることは、戦後日本の高度成長期に野党への支持が拡大し、全国に「革新自治体」ができたことからもわかる。安倍政権になってから、賃金が下落しなくなったり有効求人倍率が高まったりしているのは事実だが、なんといってもこの政権は「富の再分配」に対しては非常に消極的であるから、恩恵はもっぱら富裕層に偏っている。もちろんいわゆる「トリクルダウン」もゼロではないかもしれないが、有効な再分配政策をとったと想定した場合と比較すると、庶民一般にこの政権の経済政策の恩恵が行き渡っているとはとうていいえない状態だろう。むしろまだ日本経済が低迷から脱し切っていないことが安倍内閣の支持率高止まりの理由の一つだろうと私は考えている。

 しかしそれにしてもこの政権の背徳ぶりはひど過ぎる。これに怒らない日本国民の半数は何を考えてるんだといつも思うが、一昨日(6/11)のTBSテレビ『サンデーモーニング』で岸井成格が「安倍内閣の高支持率には3つのからくりがある」と言っていた。岸井によれば、からくりの1つは小選挙区制、2つ目が内閣人事局、3つ目がメディアのコントロール(2ちゃんねらーたちはこれを「アンコン」と呼んでいる)とのこと。いちいちお説ごもっともだが、要するに内閣総理大臣が独裁権力を振るえるような構造になってしまっているということだ。

 このうち1つ目の小選挙区制については、「反安倍」の側の批判も弱い。その大きな理由として、小沢一郎が小選挙区制を推進してきたことが挙げられる。特にネット言論では昔から「小沢信者」の声が大きく、最近では「野党共闘」が成立してから共産党支持者も小沢を批判しなくなったから、ますます小選挙区制への批判が弱まっている。この例に限らず、安倍独裁政権下、言い換えれば「崩壊の時代」においては、政権批判側も劣化が著しいというほかない。

 現在懸念されるのは、権力を批判する言説が力を失ったこの「崩壊の時代」において、権力の腐敗を見せつけられた人々の間に、「別の独裁者」を求める傾向があることだ。いうまでもなく小池百合子のことである。前記『サンデーモーニング』でも、小池百合子びいきの田中秀征が、代わりの人がいないというけれど、と言いながら小池百合子だか「都民ファーストの会」だかに言及した。その瞬間、私の脳内のヒューズが飛んだことはいうまでもない。

 事実、加計学園問題は来月2日投開票の都議選において小池百合子の私闘である「都民ファーストの会」にとって絶好の追い風と鳴っている。小池はもちろんそれを熟知しているから、自ら都議選でも加計学園問題は争点の一つだ、などと言い出している。

 あの「リベラル」(都会保守)のブログも、このところしばらく小池については何も書かなかったが、ここに来て小池応援の態勢を整えつつある。あのブログにはコメント欄があって、確かコメント欄が大きくなったからもう投稿しないでほしいとブログ主が書いていたように記憶するが、それにもかかわらず「小池信者」のコメントはなぜか受けつけているらしく、先刻、下記のコメントを目撃してしまった。

やっぱり、頼りになるのは女性だった。
スガをとことん追い詰めていった東京新聞女性記者。
同様の犠牲者を出さないためにもと顔を出して告訴した女性ジャーナリスト。
そして、アベ自民党と真っ向対峙することを選んだ女性都知事。
男連中は最初からあきらめていたのが、彼女たちの気迫に押されて追従しているのだ。やればできるということを教わったというべきだろう。
ただ喜んでばかりはいられない、卑怯この上ないアベ一派。どんな手を打ってくるかわからない。
そんななか文科省大臣はどっちにつくのか?
文科省職員の矜持につくのか?
アベ極悪政権につくのか?
僕は将来の日本のために、人間の良心を信じたい。


 冗談じゃない。

 上記コメントには、『広島瀬戸内新聞ニュース』の昨日(6/12)付記事(下記URL)を対置しておく。
http://hiroseto.exblog.jp/25841364/

【国家戦略特区】封建政治安倍は支持できないが、ポストモダンな新自由主義者小池もごめんこうむる

国家戦略特区は、そもそもは、グローバル大手企業や外国人のお金持ちに都合がいい仕組みを作るというポストモダンな新自由主義の文脈であった。

ところが、加計学園にみられるように、日本の現自民党(安倍)はあまりにも前近代的(プレモダン)すぎて、総理ら一部の人間のお友達に便宜を図るツールとなってしまった。

しかし、小池百合子は違う。小池百合子こそは、真正のポストモダンな新自由主義者である。フランスでいえばマクロンの新自由主義と、マリーヌ・ルペンのタカ派(ただし、一定の社会政策にも理解)をハイブリッドしたような政治家である。実際、小池の支持基盤は、東京のグローバルインテリ+公明党+社会政策に期待する生活者ネットなど一部リベラル+極右(野田数)という感じである。

(あえて、戦前日本でいえば、立憲民政党の永井柳太郎が近い。私物化で自爆しつつある安倍晋三は立憲政友会の田中義一に近いともいえる。)

小池の国家戦略特区はまさに、大雑把に言えば、グローバル大手企業と大金持ちの外国人は都心に呼び込む。
一方で、日本人であろうが、在日外国人であろうが庶民は追い出す。これがデフォルメすれば小池の目指す方向である。

田舎臭い+前近代の江戸っ子臭い自民党が安倍晋三や下村博文や自民党東京の都議連中。
ポストモダンなハイカラなグローバリスト。それが小池百合子である。

そんな人間に秋波を送ってきた民進党。相手にされず、一方的に議員を引き抜かれたのは情けない。

口を酸っぱくして言う。国家戦略特区は、憲法95条違反である。自治体への特別立法は住民投票を経て国会で決まらなといけない。総理と首長の談合で決めるべき話ではない。

1949年の広島平和記念都市建設法を思い出そう。住民投票で約9割の支持を得た。焼け野原の復興を緊急課題とした広島市民と、よしわかった、広島を平和都市として復興しよう、という国民(の代理人たる国会)の意思が合わさって制定された。

野党共闘は立憲主義が最大の綱領である。

安倍は憲法を破って、お友達のために。
小池は憲法を破って、グローバル企業と外国人のお金持ちのために。
どちらもとも違う、立憲主義に基づいた政治を野党共闘は打ち出さないといけない。
たとえ、都議選で多少議席を減らしても、そのほうが後につながる。
今のままでは都議選議席も結局も危ないだろう。特に民進党は政策論争ですでに小池に事実上不戦敗だから。

(『広島瀬戸内新聞ニュース』 2017年6月12日付記事)


 国家戦略特区というと、私などは直ちに竹中平蔵の不快な顔が思い出されるが、竹中平蔵は今も「国家戦略特区諮問会議」の民間議員だ。ネット検索をかけたら、「民間議員・竹中平蔵氏に“退場勧告” 戦略特区に利益誘導批判」と題された『週刊朝日』6月9日号の記事が引っかかった。リンク先のみ示しておく。
https://dot.asahi.com/wa/2017053100019.html

 私が執拗に批判する「リベラル」(都会保守)のブログだが、もともとは2005年の郵政総選挙で小泉自民党が圧勝しそうな情勢だった頃、危機感を持って立ち上げられた尊敬すべきブログ「だった」。しかしいつしかその初心は失われ(たようにしか見えない)、独裁者だろうが新自由主義者だろうが安倍晋三を倒せれば良い、みたいな安易なブログに成り下がった。今では独裁思考の人間だろうが新自由主義者だろうが何でもござれ、といったところか。

 一方では、10年前には第1次安倍政権を批判するブログを運営していながら、今ではネトウヨ同然のつぶやきを発しまくっている「転向者」も私は知っている。そういう人間には、森友・加計学園問題や読売謀略報道問題や山口敬之準強姦罪もみ消し疑惑をどう思うのかと「小1時間問い詰めたい」(死語)気分だ。

 都知事選では東京都民の良識に期待したいと書きたいところだが、そうはならないことは目に見えている。最近権力批判がすっかり影を潜めている『週刊現代』は(立ち読みもしていないが)早くも「都議選議席数予想」の記事を載せ、それによると「都民ファーストの会」46議席(現有5議席)、自民党37議席(現有57議席)だとか。都議会の定数127に対して、両党で83議席を占めるとは(現有62議席)、あまりにもおぞまし過ぎる。

 私は都議選では自民党と「都民ファーストの会」の合計議席数の増加をいかに抑えるかが鍵だと考えている。前述の「リベラル」(都会保守)ブログは、小池百合子と橋下徹が加計学園問題で政権を批判したという記事を(嬉しそうに)アップしていたが、「都民ファーストの会」の躍進とは、「東京の大阪化」そのものだ。そういえば、今のプロ野球・読売軍は15年以上前の阪神タイガースの「暗黒時代」に似てきたといえるかもしれない。

 大阪のあとを追う東京。日本(安倍)のあとを追うアメリカ(トランプ)。信じたくない光景ばかり見せつけられる日々が続く。
 前川喜平・前文科省事務次官の証言によって加計学園問題が大きく動いたが、政権批判側は、安倍晋三がサミットに出かけていた間の隙を突くことさえろくすっぽできなかったようだ。一昨年の安保法案の時には、やはり安倍がサミットに出かける直前に例の「3人の憲法学者が安保法案を『違憲』と断じた」一件(2015年6月4日)があり、その直後のミュンヘンサミットで安倍は「心ここにあらず」とばかりにミュンヘンのホテルで不審な動きに及び、バイエルン警察をずいぶん苦労させたらしい。この様子を憲法学者の水島朝穂が活写している。
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2015/0615.html

 この6月第1週の動きは、安倍政権にとって予想せざる打撃となった。それまでの法案審議では、法案の個々の論点がバラバラに追及され、政府が荒っぽい答弁を行うということの繰り返しだった。しかし、「参考人全員が違憲」という事態によって、「潮目が変わった」とメディアが報じた(『東京』5日付など)。憲法研究者の声がここまで連日報道されることはかつてなかったことである。

 6月第2週に入り、『産経』10日付がいう「自民が反転攻勢」が始まった。まずは安倍晋三首相その人である。先進七カ国(G7)首脳会議(サミット)が開かれていたドイツから、憲法研究者の「違憲」主張に反論したのである。会場のエルナウのホテルには泊まらずに、ミュンヘンの高級ホテルに入って対応していた。一人だけ勝手な動きをするゲストに、メルケル首相はさぞや不快な思いをしたに違いない。バイエルン警察は警備上かなりの苦労をしたようである。それもこれも、安保関連法案が「違憲」とされたからである。

ミュンヘンの安倍首相

 8日午後、ミュンヘンでの記者会見では、憲法研究者の違憲主張への反論が、記者とのやりとりの大半を占めた。「憲法解釈の基本的論理はまったく変わっていない」「砂川事件に関する最高裁判決の考え方と軌を一にする」として、「わが国の…存立を全うするために必要な自衛の措置をとりうることは国家固有の権能の行使として当然」という判決の一節を引用しつつ、「憲法の基本的な論理は貫かれていると私は確信する」と述べた。せっかくのサミットなのに首脳会談もたいしてやらずに、安倍首相はもっぱら国内対応に追われた。9日には長文の政府見解を出して、憲法審査会での憲法研究者の主張に反論した。それにしても、この脈絡で砂川判決を使う神経と感覚が理解できない。

(『早稲田大学 水島朝穂のホームページ』 2015年6月15日の「直言」より)


 この当時と比べると、今回の加計学園問題など安倍にとっては「蚊に刺されたほどの痛み」としか思っていないのではないか。世間は森友学園問題の二番煎じだとしか思っていない。産経など、ここぞとばかりに安倍を持ち上げまくっている。

 何より安倍批判側の反応がお粗末に過ぎる。「首相のご意向」の文書を「本物」と断言した前川氏を聖人君子みたいに持ち上げて「安倍や菅とは大違い」と喚き立てるばかりでは、自分から敵の土俵に乗っているようなものだ。「そんな聖人君子が『出会い系バー』に通うのかという反撃を食い、敵の印象操作作戦に手を貸してしまう。そもそも、すぐに「味方」の「人格」を持ち上げる好む人間は、少し前まで小沢一郎を崇拝していた「小沢信者」が多いのではないか。

 「出会い系バー」通いはいうまでもなく加計学園問題とは何の関係もないが、それを言う人間が一方で「前川氏の人格」を天まで届かんばかりに持ち上げるようでは説得力を著しく欠く。

 例によって、加計学園問題がどのくらい内閣支持率を下げるかどうかが鍵だ、と言っている人たちもいるが、既に朝日新聞が平日の24,25日に調査した結果が26日付の紙面に出ていて、それによれば安倍内閣支持率は前回からわずか1ポイント下げただけの47%だった。今後出てくるであろう他のメディアでの調査でも似たような結果になるだろう。

 今週お薦めできる記事は、前記水島朝穂氏が更新した「直言」(下記URL)。本日(5/29)付のコラムには、菅義偉の悪逆非道ぶり、統幕長の河野克俊が、安倍の改憲提案を「非常にありがたい」と述べた件、国連人権高等弁務官事務所「プライバシー権に関する特別報告者」ジョセフ・ケナタッチ氏(マルタ大学教授)が伝えた「共謀罪」法案に対する懸念に対して菅が逆上した件、それに森友・加計学園問題を網羅しており、これを読み終えて、こんな記事があるんだったら私が何も1週間の仕事を始める前に時間を割いて駄文を綴る必要なんか何もないじゃないか、と思った。
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2017/0529.html

 なお、安倍の改憲提案に対する水島教授の意見は、先週の「直言」に載っている(下記URL)。
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2017/0522.html

 先週、唯一憂さ晴らしになったのは、恥さらしのスキャンダル記事を書いた読売の記者が「泣いた」一件だった。泣いた読売記者に同情する他のリベラル人士たちとは私は大いに違い、正直言って「ざまあみろ、悔しかったら読売を辞めて社を告発しろ」としか思わなかった。岸井成格は45年前の米軍機密漏洩事件(通称「西山事件」)を思い出したと言っていたが(28日の『サンデーモーニング』)、45年前にスキャンダル記事を書いたのは『週刊新潮』だった。しかし今回は、45年前(当時の総理大臣は安倍晋三の大叔父の佐藤栄作だった)と同様に『週刊新潮』をもそそのかしたが、それよりも早く尖兵として動いたのが「泣いた読売記者」だったのだ。ちなみに45年前にはナベツネ(渡邉恒雄)は被告となった元毎日新聞記者・西山太吉の弁護側の証人として出廷した。そのナベツネが(間接的にとはいえ)部下に45年前の『週刊新潮』と同じことをやらせ、今回はいったん後追いしようとした『週刊新潮』の記者に読売を馬鹿にした記事を書いた。おそらく泣いた読売の記者は「不本意な記事を書かされた」ことよりも日頃見下しているに違いない『週刊新潮』の記者にまで馬鹿にされた屈辱に耐えかねて泣いたのではないか。そんなものは自業自得だとしか私には思えないのである。

 プロ野球でも読売軍は本拠地・東京ドームでの広島戦に3連敗し、借金を抱えて交流戦に突入することになった。本拠地で広島に負けなしの6戦全敗とは、5位のヤクルト(神宮で広島に4勝2敗)や最下位の中日(ナゴヤドームで広島に3勝2敗1分け)よりも悪い、これまたとんだ恥さらしである。今年安倍政権を倒すのは至難の業だろうが、読売軍を最下位に突き落とすくらいなら十分可能ではないか、などと現実逃避に走りたくもなる今日この頃なのである。
 先週は多忙のため更新できなかった。前回の更新から2週間経った今日は、取り上げるべき事柄が山積していてとてもではないが書き切れないが、2つの件について書く。最初が前回も取り上げた安倍晋三の改憲構想、次が天皇退位に関する件。本当は衆院法務委員会で可決された「共謀罪」法案や、安倍晋三が明白な口利きを行った加計学園(今治の岡山理科大獣医学部新設)についても書きたいのだが、記事に収まり切りそうもないので割愛した。

 まず、安倍晋三が憲法記念日にブチ上げた「自衛隊を9条に追記する」改憲構想について、各社の世論調査が行われたが、朝日を除いてすべて安倍の構想に賛成する意見が多数を占めた。朝日の調査でも賛否が拮抗し、それまでの「9条改憲に関しては反対論が圧倒的多数」という状態は、安倍が「鶴の一声」を発しただけで賛否が瞬時に逆転または拮抗する事態になってしまった。

 ただ、他社より遅れて世論調査を実施した毎日新聞が昨日(21日)発表した世論調査では、朝日同様拮抗してはいるものの9条改憲反対が賛成を上回った。そればかりではなく、4月、つまり安倍が読売に改憲構想をブチ上げる前の調査と比較しても、9条改憲の賛否の比率はほとんど変わらないという結果が報じられた(下記URL)。
https://mainichi.jp/articles/20170522/k00/00m/010/090000c

 この世論調査の記事を以下に引用する。

毎日新聞調査
20年改憲「急ぐ必要ない」59%

 毎日新聞は20、21両日、全国世論調査を実施した。憲法9条の1項、2項をそのままにして、自衛隊の存在を明記するという安倍晋三首相の憲法改正案については、「反対」31%、「賛成」28%と回答が分かれた。「わからない」も32%あった。首相は改正憲法の2020年施行を目指す考えを表明したが、それに向けて改憲の議論を「急ぐ必要はない」は59%に上り、「急ぐべきだ」の26%を大きく上回った。内閣支持率は4月の前回調査から5ポイント減の46%、不支持率は5ポイント増の35%だった。支持率が5割を切ったのは昨年11月調査以来。

内閣支持率46%に下落

 9条を改正すべきだと「思わない」は49%で、4月調査から3ポイント増えた。「思う」も3ポイント増で33%。5月3日の首相の改憲提案前後で大きな変化はない。

 9条改正派には、戦力不保持を定めた2項を見直すべきだという主張もある。ただ、今回の調査では、改正すべきだと思う層の69%が自衛隊明記に賛成した。

 首相は国会の憲法審査会に議論を委ねる姿勢を示してきたが、その途中で、自民党総裁として自ら具体案に言及した。こうした首相の議論の進め方が「問題だ」は48%で、「問題はない」の31%より多かった。内閣支持層は「問題はない」が51%、不支持層は「問題だ」が84%と対照的な結果になった。

 新たな財源が必要な高等教育の無償化について、憲法を改正して義務づけることに「賛成」は50%、「反対」は35%。教育無償化は法律で対応可能という指摘があるが、改憲による「義務づけ」への期待は現時点では高い。

 18年12月までに実施される次期衆院選で改憲を主な争点にするかどうかに関しては、「争点にする必要はない」が46%、「争点にすべきだ」は37%だった。【吉永康朗】

調査の方法

 5月20、21日の2日間、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて作った電話番号に、調査員が電話をかけるRDS法で調査した。東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域などに指定されている市町村の電話番号は除いた。18歳以上のいる1634世帯から、1044人の回答を得た。回答率は64%。

毎日新聞 2017年5月21日 20時48分(最終更新 5月21日 20時48分)


 これは、ちょっと不思議な世論調査結果だ。なぜかといえば、「自衛隊の存在を明記するという安倍晋三首相の憲法改正案については、『反対』31%」なのに、「9条を改正すべきだと『思わない』は49%」というのだから。これは、前者の質問に対して「『わからない』も32%あった」というところがポイントだ。

 私は、「9条を改正すべきだと思わない」のだったら安倍晋三の改憲構想に「反対」でなければならない、なぜなら、「憲法9条に自衛隊を明記する」ことは「9条を改正する」ことにほかならないのだから、と思う。というかそういう論法でなければ筋が通らない。しかし、そのように考えない人も確かにいる。少し前に、「護憲の為にこそ、憲法改正が今必要なのではないか? 」と題したブログ記事を目にしたこともある(下記URL)。
http://abmt.blog.fc2.com/blog-entry-435.html

 私は何も上記ブログ記事を頭ごなしに否定するつもりはない。上記ブログ記事が唱える下記引用文の意見には反対ではあるが。

(前略)解釈などで憲法9条の理念を超えて勝手にどんどん防衛省の権限や自衛隊の活動範囲を拡大されることが無いように、憲法9条の理念に沿った自衛隊の有り方を明確に記載した方が良いのではないだろうか。

 専守防衛の為に自衛隊を持つことを許容しているリベラルが、本当の意味で憲法9条の精神を守りたいと考え護憲を主張するならば、解釈によって簡単に読み変えられてしまうような脆弱な構造である今の憲法9条のままでは、守りきれないであろうことを真剣に考える必要があると思う」という意見には。

(『51%の真実』 2017年5月15日付記事「護憲の為にこそ、憲法改正が今必要なのではないか? 」より)


 本エントリで私が言いたいのは、上記ブログ記事に端的に見られるように、これまで、いわゆる「新9条」派(東京新聞の佐藤圭や想田和弘や矢部宏治や池澤夏樹や加藤典洋ら)の唱える「左折の改憲」、つまり自衛隊の呼称を「自衛軍」などに改めて明記する改憲案には賛成しないかもしれない人たちまで「改憲賛成」に靡かせる効果を、間違いなく「安倍改憲構想」は持っているということだ。本エントリではその理由を明記しないが(一言では書き切れないため)、私は自衛隊を9条に追記する形の「憲法改正」にも大反対だ。しかし、前回のエントリにいただいた下記のコメント(下記URL)に典型的に見られる通り、リベラル側にあっても私とは意見の異なる方が多い。せっかくの機会なので、以下にコメントを全文紹介する。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1475.html#comment20449

こんにちは。度々投稿させてもらっています。

私は世に言う「護憲リベラル」でブログ主様と多くの点で意見が一致しますが、今回は非難されることを覚悟で発言します。というのは、私は「9条1項と2項はそのまま維持して、3項に自衛隊を明記する」いわゆる加憲論にはオープンで、むしろこのような案はリベラルの側から提示されるべきだと思っているからです。そして、改憲のみならず、高等教育無償化、消費税増税延期、長時間労働の是正、同一労働同一賃金、その他もろもろで、ことごとくリベラルは安倍晋三にお株を奪われていることに危機感を感じています。

安倍晋三の恐ろしいのは、権力を維持するためには、自分の主義主張を曲げてまで何でもやるというヌエのようなところです。一言で表現すると「狡猾」なんですが、加えてメディアコントロールも巧みとくれば、昭和にどっぷりとつかったままのリベラルを抑えるなど、赤子の手をひねるようなものでしょう。実際、安倍政権の支持率が高いのは不思議でも何でもありません。思想的には極右でも、政策的にはリベラルなものを随所に散りばめて、両方からの支持を取り付けているからです。

ただ、私はそれほど悲観的にはなっていません。もちろん、今が「崩壊の時代」であることに異論はないですが、日本人が以前に比べて(全てにおいてではないですが)リベラル化しているからです。こう言うと、昭和のリベラルの方々からは怪訝な顔をされそうですが、落ち着いて考えてみれば昔に比べ様々な面で社会がリベラルになっているのがわかります。事実、安倍晋三が自分の主義を曲げてまでリベラルに迎合しているのが何よりの証左ではないでしょうか。もちろん、冷戦中の昭和的なリベラルの価値観はどんどん衰退しているのは事実で、旧社会党や社民党の退潮がそれを如実に物語っています。このトレンドはこの先も続くでしょうし、それをもって「右傾化」というのであればそのとおりでしょう。

話を改憲に戻すと、自衛隊を明記といっても簡単にはいきませんよ。明記するにはまず「自衛隊とは何か」というところから始める必要があり、これは相当紛糾するでしょう。明記するとなれば制限されてしまうので、保守派の側も相当慎重になるでしょうし、たった数年で合意形成など不可能です。だから、ブレインストーミングよろしくどんどんいろんな意見を出して議論したほうが得策ではないでしょうか。まあ、変えるなら何でもいいとばかりにメディアを駆使して大衆を洗脳し、どさくさに紛れてわーっと一気にやってしまう可能性はゼロではないでしょうし、リベラルの方々はまさにそれを恐れているのでしょうが、それを恐れるあまり硬直化してしまっては、安倍晋三の思うつぼでしょう。

余談ですが、1980年代に自衛隊の違憲合法論というのが一時的に流行りましたが、これはまさに昭和リベラルの苦肉の策です。(自衛隊が合憲とか違憲とかいう言い方は厳密には正しくないのですが、ここではそれに深入りしません。)確かにここまで無理をしないと理論破綻してしまうのであれば、議論すること自体がリスクでしょう。現代のリベラルには同じ轍を踏まないように願わずにはいられません。

以上、乱文にて失礼致しました。

2017.05.10 10:54 D.J.


 このコメントに対する私の意見も長々とは書かないが、「自衛隊を制限するつもりがタガを外してしまう」恐れが強い(タガを外そうとしている=実際、集団的自衛権に対する政府解釈の変更や安保法によって既にタガを外しまくっている=安倍晋三がこの改憲構想を言い出したのは、タガをさらに外そうとしているからに他ならない)と私は考えている。

 また、安倍改憲構想に明確に反対する側からの「立憲主義を論拠にすれば安倍改憲構想に勝てる」という意見もしばしば目にするが、これは心許ない限りだと思う。これについて、昨日ネットで目にして暗澹たる気分になった、毎日新聞の天皇退位に関する記事とそれに対するネット民の反応を取り上げる。つまり、ここからが記事の後半だ。

 下記記事は、当初毎日新聞の有料記事だったらしいが、「なんでこんな大事な記事を優良にするんだ」という読者の声が多数寄せられたらしく、毎日新聞社は下記記事の全文を無料公開した。この経緯があるので、ここでも全文引用する(下記URL)。
https://mainichi.jp/articles/20170521/k00/00m/010/097000c

陛下
退位議論に「ショック」 宮内庁幹部「生き方否定」

時代によって変わってきた天皇と国民の距離

 天皇陛下の退位を巡る政府の有識者会議で、昨年11月のヒアリングの際に保守系の専門家から「天皇は祈っているだけでよい」などの意見が出たことに、陛下が「ヒアリングで批判をされたことがショックだった」との強い不満を漏らされていたことが明らかになった。陛下の考えは宮内庁側の関係者を通じて首相官邸に伝えられた。

 陛下は、有識者会議の議論が一代限りで退位を実現する方向で進んでいたことについて「一代限りでは自分のわがままと思われるのでよくない。制度化でなければならない」と語り、制度化を実現するよう求めた。「自分の意志が曲げられるとは思っていなかった」とも話していて、政府方針に不満を示したという。

 宮内庁関係者は「陛下はやるせない気持ちになっていた。陛下のやってこられた活動を知らないのか」と話す。

 ヒアリングでは、安倍晋三首相の意向を反映して対象に選ばれた平川祐弘東京大名誉教授や渡部昇一上智大名誉教授(故人)ら保守系の専門家が、「天皇家は続くことと祈ることに意味がある。それ以上を天皇の役割と考えるのはいかがなものか」などと発言。被災地訪問などの公務を縮小して負担を軽減し、宮中祭祀(さいし)だけを続ければ退位する必要はないとの主張を展開した。陛下と個人的にも親しい関係者は「陛下に対して失礼だ」と話す。

 陛下の公務は、象徴天皇制を続けていくために不可欠な国民の理解と共感を得るため、皇后さまとともに試行錯誤しながら「全身全霊」(昨年8月のおことば)で作り上げたものだ。保守系の主張は陛下の公務を不可欠ではないと位置づけた。陛下の生き方を「全否定する内容」(宮内庁幹部)だったため、陛下は強い不満を感じたとみられる。

 宮内庁幹部は陛下の不満を当然だとしたうえで、「陛下は抽象的に祈っているのではない。一人一人の国民と向き合っていることが、国民の安寧と平穏を祈ることの血肉となっている。この作業がなければ空虚な祈りでしかない」と説明する。

 陛下が、昨年8月に退位の意向がにじむおことばを表明したのは、憲法に規定された象徴天皇の意味を深く考え抜いた結果だ。被災地訪問など日々の公務と祈りによって、国民の理解と共感を新たにし続けなければ、天皇であり続けることはできないという強い思いがある。【遠山和宏】

 【ことば】退位の有識者会議

 天皇陛下が昨年8月、退位の意向がにじむおことばを公表したのを踏まえ、政府が設置。10月から議論を始めた。学者ら6人で構成し、正式名称は「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」。11月に16人の専門家から意見聴取し、今年1月の会合で陛下一代限りの特例法制定を事実上推す論点整理をまとめた。4月に最終報告を首相に提出した。

毎日新聞 2017年5月21日 06時30分(最終更新 5月21日 06時30分)


 私はこの件で現天皇を応援する側の「リベラル」の論調に以前から危惧を抱いていた。

 昨年夏に突如発表された天皇の退位の意向表明そのものは、恒例の生身の人間が発した意見として、違憲の疑いはあるもののこれ以外の方法はとりようがなかったとしか思えなかったので、私はこれを容認し、かつ今後は天皇の意思が反映されないようにするために、皇室典範を改正して天皇の「定年制」を明記すべきだと思った。以前に「75歳定年」と書いた記憶もあるが、70歳定年くらいが妥当だろうと今では考えている。なお将来的には天皇制は廃止すべきだというのが私の意見の前提にはある。

 しかし、今回の毎日新聞記事からはっきり読み取れる通り、安倍政権や極右人士たちに反対する側(具体的には「リベラル」や宮内庁。あるいは現天皇自身も入れるべきかもしれない)まで、「陛下のお気持ち」とやらを盾にとって政権を批判することはきわめて危険だ。たまたま私は松本清張が60年代後半から70年代初頭にかけて『週刊文春』に連載した力作『戦後史発掘』の後半部分、新装版の文春文庫では第5〜9巻、単行本や旧版の文春文庫では第7〜13巻に収録された「2.26事件」を9割方読み終えた時点でこの報道に接したこともあって、「おいおい、アブナイぞその考え方は。まるで、2.26事件の青年将校たちみたいではないか」と思った。

 しかし、世の「リベラル」の多くは私とは意見が異なるようだ。もちろん中には共感できる意見もある。私が上記毎日新聞記事についた「はてなブックマーク」のコメントの中で共感したのは、下記shigeto2006さんのコメントだった(私はこのコメントに「はてなスター」をつけた)。
http://b.hatena.ne.jp/shigeto2006/20170521#bookmark-338299510

陛下の気持ちはわかるが(私が天皇だとしても怒る)、このような話が宮内庁から漏れ出てくることには危うさを感じる。日本会議などの極右勢力は論外とはいえ、これが正しいかといえば…。


 まあ私は「陛下」という表記は用いないが、それ以外は共感できるコメントだ。さらにいえば、宮内庁だけではなく毎日新聞や「陛下のお気持ち」とやらを論拠にして政権を批判する「リベラル」も十分「アブナイ」と思う。

 意外にも私が共感したのは、日頃やや距離を感じることの多い菅野完のつぶやきだった。一連のつぶやきからいくつか取り上げる。

https://twitter.com/noiehoie/status/866070899258150912

危険だな。両方危険だ。極めて危ない。


https://twitter.com/noiehoie/status/866071967874535424

宮内庁はどうも「マスコミ遊び」に淫しているように見える。 「このタイミングで、こうしたコメントを流せば、政局に介入できる」という快楽に溺れているのではないか。


https://twitter.com/noiehoie/status/866072495966740480

僕らはいいよ。そういう業界なんだから。 僕らは、承詔必謹でいい。
だけどこれ、それこそ立憲主義として危ないよ。


https://twitter.com/noiehoie/status/866072807783809025

あほなリベラルが、「ほら、安倍政権や日本会議や保守系文化人は、陛下のご意向に背いている」とかいう、俗流マキャベリズムを発動するんだろうなと思うと、気が重い。


https://twitter.com/noiehoie/status/866085896327643136

乱暴にまとめればだが、宮内庁が今のタイミングで流した 「陛下のご意向」とは、畢竟、「自分の思うような法整備にならなかったのが悔しい」ということ。
大日本帝国憲法時代でもこんなことなかったよ。


https://twitter.com/noiehoie/status/866087026650566658

近い事例といえば。。。。
先帝が「田中総理の言ふことはちっとも判らぬ。」とおっしゃり、田中義一内閣総辞職に至った例の事件ぐらいかもな。
それぐらいの「おかしさ」


https://twitter.com/noiehoie/status/866088026430070784

ある種のサーキットブレーカーとしてお上が能動的に動かれるというのは、日本の近代である以上、そうした「装置」があるのは仕方ない(これが嫌なら革命しかないけどね)。
で、その装置の存在を是認した上でも、やはりおかしいし、サーキットブレーカーは非常時にだけ発動されるべきものだ


https://twitter.com/noiehoie/status/866089685596086273

「日本会議や安倍政権は、不忠である。 陛下のご意向を足蹴にする不敬の輩である」という糾弾は、右翼の内ゲバとして右翼業界に任せてもらえればいい。
しかし立憲主義として危ないのは、むしろ、宮内庁。とんでもない話やでこれ。


https://twitter.com/noiehoie/status/866090174236602369

官邸と宮内庁で俗語で言うところの 「玉の取り合い」になってるのなら、こんなもん、近代の否定ですらある。
危ないよ。危なすぎるよ。


 私は正直言って、菅野氏が「あほなリベラル」と一緒になって宮内庁(や現天皇)の肩を持ち、安倍政権や極右人士たち(もちろん彼らに対しても「アホなリベラル」とは別個に厳しく批判しなければならないことは当然だ)を批判しているのではないかと予想して氏のつぶやきを見に行ったのだったが、全く逆だった。私は菅野氏に対する認識を改めるとともに、これは菅野氏が保守であるが故にできた発想なのであって、やはり「リベラル」はアブナイなあ(特にこのカタカナから連想されるさるお方など、宮内庁や現天皇の肩を持った政権や極右人士たちに対する批判に真っ先に飛びつきそうな気がする)と思った。立憲主義はやはり保守思想だ。

 しかし、とどめをさすべきは、深夜に教えてもらった原武史氏のつぶやきかもしれない。原氏は日本政治思想史を専攻する政治学者で、近現代の天皇・皇室・神道の研究を専門としているとのこと。

https://twitter.com/haratetchan/status/866090593851645952

昭和の戦後の頃は、閣僚が内奏の際の天皇の発言をうっかり漏らしてしまえば、それだけで憲法と抵触し、辞職に追い込まれることもあった。現在は全国紙が天皇の発言を1面トップで堂々と掲載し、多分に誤解を招きかねない図までつくってその発言を「正当化」しても問題にならない時代になっている。


https://twitter.com/haratetchan/status/866103938189189120

私は平川祐弘氏や渡部昇一氏らとは根本的に意見を異にしますが、だからと言って彼らをあたかも「陛下のお気持ち」をないがしろにする君側の奸のごとく糾弾するかのような論調には、正直言ってかなりの違和感を覚えます。


https://twitter.com/haratetchan/status/866111409792274432

もしも共謀罪の成立を昭和初期の治安維持法の再来として糾弾している人が、「陛下のお気持ち」を絶対のものととらえ、平川氏や渡部氏を君側の奸であるかのごとく糾弾したとすれば、それは同じ時期の「超国家主義」と同じ思考に陥っているということに気付いていないと言わざるを得ない。


 そうなのだ。天皇の「お気持ち」を論拠にして現政権を批判する今の「リベラル」のあり方は、2.26事件を引き起こした青年将校たちの思考と瓜二つとしかいいようがない。「超国家主義」で直ちに連想されるのは北一輝であり、北はパシリの西田税(みつぎ)ともども2.26事件で処刑された右翼思想家だ(但し。松本清張や近年の歴史家たちが指摘する通り、北や西田は2.26事件の首謀者だったとはいえない)。

 ちなみに昭和天皇は2.26事件を引き起こした青年将校たちに対して激怒し、多大なる政治力を発揮して同事件を鎮圧させ、首謀者たちを死刑に追い込んだ。それを高く評価する歴史家たちもいるかもしれないし、菅野完は「ある種のサーキットブレーカーとしてお上が能動的に動かれ」た例として、あるいは2.26事件を念頭に置いているのかも知れない(だからこそ「近い事例」として2.26事件ではなく「先帝が『田中総理の言ふことはちっとも判らぬ。』とおっしゃり、田中義一内閣総辞職に至った例の事件」を挙げたのだろうと推測する)。実際、清張の本を読む限り、昭和天皇が大きな政治権力をふるわなかったならば、あるいは真崎甚三郎政権が出現し、真崎が「軍部ポピュリズム政治」とでもいうべきデタラメな政治を行ったかもしれないと思う。その場合はその場合で、日本が現にたどった歴史とは違う形で「崩壊の時代」の崩壊を終えていたに違いないと思う。

 しかし、ここからが言いたいことだが、2.26事件で筋の通らない青年将校たちの叛乱をトップダウンで鎮圧させた昭和天皇は、青年将校たちが属した「皇道派」と対立していた「統制派」に属する東条英機を深く信頼し、その結果やはり日本は「崩壊の時代」を経験してしまったのだった。

 天皇のキャラクターに頼る今の「リベラル」のあり方は、やはり危険極まりない。それこそ「権力を縛る」立憲主義を全く理解していないとしか言いようがないのではないか。早い話、右翼系の天皇が現れた時、今の「リベラル」のあり方ではこれに全く対抗できない。

 立憲主義を全く理解していないのは、何も安倍晋三や自公政権に限らない。そう強く思う今日この頃なのである。
 今年の黄金週間中に、安倍晋三が改憲を仕掛けてきた。今度は2020年施行というタイムリミットも設けてきた。

 正直言って、ただでさえ気の重い連休明けの日に取り上げたくない件なのだが、取り上げないわけにはいかない。

 今回読売新聞などで安倍晋三がブチ上げた改憲構想(以下「安倍改憲構想」と仮称する)の目玉は、なんといってもこれまでさんざん批判に晒されてきた2012年の自民党第2次改憲草案を棚上げして、改憲草案にあった「9条2項を変えて『国防軍』を書き込む」方針を一転させて「9条1項と2項はそのまま維持して、3項に自衛隊を明記する」という策に出てきたことだ。合わせて、教育無償化も憲法に書き入れるという。

 正直言って、今回は手強いと思う。もちろん、憲法遵守義務のある内閣総理大臣の安倍晋三自ら改憲構想を言い出すことは憲法違反の疑いが強いとか(これは5/7のサンデーモーニングで岸井成格が言っていた)とか、よく言われる「立憲主義をないがしろにする安倍政権下での憲法改正には絶対反対」とか、石破茂が言ったらしい「これまでの自民党内の議論とは整合しない」という意見など、いろんな反対論はあるが、いずれも世論に訴えて「安倍改憲構想」反対を国民の多数意見を形成できるかといえば誠に心許ないというのが正直な感想だ。

 憲法学者を見渡しても、たとえば一昨年の「安保法案反対」で共同戦線を張った改憲派の小林節と護憲派の樋口陽一が今回も共闘できるかといえば、どうだろうか。小林節は昨年だったか独自の改憲論を新書で発表していたように記憶するが、今回の安倍改憲構想について何を言っているか、軽くネット検索をかけたがわからなかった。水島朝穂が毎日新聞にコメントした内容は、有料記事(5ページ分は無料で読めるのでそれで読んだ)なので記事の引用はしないが、従来の自民党や安倍自身の主張と整合しないとか教育無償化は維新への配慮だろうとか安倍が言い出したのは森友学園事件から目をそらさせるためではないかなどなど、最後の森友学園云々以外はおっしゃる通りだと私も思うが、広く国民の理解が得られるかといえば誠に心許ない。また毎週更新している水島氏のサイトのコラム「直言」でも本日付の記事ではドイツの話が取り上げられていて、

日本国憲法施行70年や安倍政権の改憲動向については、来週以降の「直言」で書く予定である。

とのことだ。

 何より「やられた」と思うのは、「安倍改憲構想」の9条改憲の、2項はそのままにして3項を書き込むという案は、従来から小林節や矢部宏治や池澤夏樹や想田和弘や加藤典洋やその他多くの人たちが提案してきた「改憲案」よりマイルドだということだ。だから、憲法遵守義務だとか自民党の従来の改憲案と整合しないなどの論法が出てくるのだが、前者はともかく石破茂などが言っている「従来の自民党内でやってきた改憲の議論と整合しない」というのは、「右」からの「安倍改憲構想」への批判に過ぎない。リベラル・左派がこれに頼っているようでは勝機は全く見出せない。

 「野党共闘」を叫ぶ護憲派の間では、民進党さえしっかりしてれば勝てるという意見もある。しかし、その民進党自体の存続が危ぶまれる事態になっている。

 投票日まであと2か月を切った東京都議会選挙では、周知のように民進党の支持層の多くが「都民ファーストの会」に侵食されて民進党が歴史的大敗を喫する可能性が濃厚になっている。これは民進党の崩壊の引き金になる可能性が高い。民進党は既に大阪では国会(衆院選挙区では辻元清美のみ)はおろか府議会でも全88議席のうち1議席しかない政党になっている。東京でも同じような状態になれば、もともと「都市型政党」のはずだったことを考えると、党の大分裂というか雲散霧消が現実味を帯びてくる。

 しかも、今後国政への進出が予想される「都民ファーストの会」代表の野田数が、大日本帝国憲法の復活を求める、安倍晋三どころではないとんでもない極右であることを考えれば、「民進党さえしっかりしていれば安倍の改憲を阻止できる」などというのは、全くあてにならない楽観論だとしか私には思えない。それでなくても、民進党の議員の多くは保守か右翼であって、今は岡田克也代表と枝野幸男幹事長の時代に敷かれた「立憲主義に反する安倍総理の下での壊憲には反対」という基本方針に従っているだけだから、彼らが「都民ファーストの会」の国政版政党に移った時には改憲賛成側に回ることは目に見えている。

 この記事を書く直前に、東洋経済新報オンラインに泉宏氏という人(調べてみると元時事通信の政治部長らしい。当然保守系の人と思われる)が書いた「安倍改憲の本丸『9条改正』に待ち受ける関門」と題した記事を読んだ(下記URL)。
http://toyokeizai.net/articles/-/170745

 上記リンク先の記事によると、

首相が着目したのは施行70年の節目となる憲法記念日だった。4月24日夜には、数年前に独自の改憲試案を紙上で発表した読売新聞の渡辺恒雄・グループ本社主筆と会食。同26日には同紙の単独インタビュー応じ、その内容が同紙の5月3日朝刊の一面トップに掲載された。

とのことだ。

 やっぱりナベツネの入れ知恵だったのか。道理で手強いはずだ。ナベツネはもうヨボヨボで、現場の記者たちが取り仕切るようになったと思い込んでいたが違ったようだ。

 今回の「安倍改憲構想」は安倍のもともとのイデオロギーとは整合しないが、安倍や自民党が多くの「顔」を持っているとは、従来から坂野潤治が指摘していたことだ。

 4年前の「96条改憲」の時と違って、今度は安倍晋三は本気だ。多くの人があらゆる知恵を振り絞って全身全霊で対抗言論を紡ぎ出して世の人々を説得できなければ勝てない(この記事で具体的なことを書けないのは私の無能による)。いくら世論調査で「9条維持」が多数派だとはいっても、「いや、2項はそのままにして3項に自衛隊を明記するだけだから」と言われれば9条改憲賛成に転向する人間が続出するのは目に見えている。なにしろ、NHKは岩田明子を頻繁に登場させて視聴者の洗脳に余念がないし、読売は完全に安倍自民党の機関紙と化している。

 次の世論調査では、「安倍流の9条改憲」に賛成する人が一気に増えるのではないか。それはほぼ間違いないように私には思われる。
 黄金週間に入って月が替わり、今日(5月1日)はメーデーだが平日。今年の黄金週間は後半(3日〜7日)が5連休で、今日と明日は仕事という人が多いだろう。私もそうだ。それで今年は黄金週間中もブログを更新する。

 2月から3月にかけての森友学園事件追及の流れが一転し、米朝関係の緊張が政治の話題の中心になった。安倍政権は緊張を煽って「共謀罪」法案成立に勢いをつけようとしている。しかし、あまりにも杜撰な法案であるため、法相の金田勝年が国会でまともに答弁できない事態を招き、金田法相が野党やマスコミの集中砲火を浴びていることは周知の通りだ。

 しかし、金田法相がまともに答弁できないのは、法相自身より法案に問題があるからであって、本当に批判されるべきは、「現代の治安維持法」としか言いようのない「共謀罪」法案を強引に成立させようとしている安倍晋三であることはいうまでもない。然るに、野党やマスコミは金田法相ばかり批判している。これを、「『安倍一強』の政権の緩み」だとする論調がマスコミの主流になっている。しかし、そのような一種の「連帯責任」を負わせるような論調は、巨悪である安倍晋三を助けるものでしかない。

 私は、これは野党やマスコミの安倍晋三に対する「忖度」と位置づけられるべきだと考えている。

 思えば、森友学園事件の追及に政党がびくともしなかったのは、追及する側の野党やマスコミに、安倍晋三やその妻の安倍昭恵に対する「忖度」があったからだった。

 たとえば、民進党の福山哲郎が質問した時、安倍晋三が「妻を犯罪者扱いするのか」と切れた時、「そんなことは言ってません!」と福山が声を張り上げた場面があった。その場面を思い返すと、福山は「昭恵夫人は被害者だったんじゃないかと思います」と言いながら、「官僚の忖度はあったのかなかったのか」という論法で質問をしていたのだった。ところが財務官僚のせいにしようとしている福山の質問に対して安倍晋三が「妻を犯罪者扱いするのか」とブチ切れたことによって、安倍昭恵がそれまで想像されていたよりもずっと深く森友学園事件に関与していたことが明らかになった。要するに安倍晋三が自ら墓穴を掘ったわけだが、野党やマスコミ、それに世間一般の「リベラル」たちは、せっかく安倍晋三自身が掘ってくれた穴に安倍夫妻を埋めようとせず、安倍夫妻への「忖度」に終始して好機を逃してしまった。

 この事件に関しては、菅野完が籠池泰典に食い込んだことによって、役人とのやり取りを録音していた籠池から提供された録音テープによって安倍昭恵の口利きがますます明らかになってきている。しかし、安倍昭恵の証人喚問を求める世論はいっこうに盛り上がらない。昭恵の証人喚問自体は、あの腰の引けた民進党代表・蓮舫でさえ要求しているのだが、ここ数年安倍昭恵の「家庭内野党」の虚像(それは明らかに安倍夫妻や政権のブレーンによる批判勢力に対する懐柔策だった)に騙されてきた政権批判勢力が、未だに昭恵へ未練が捨てがたいのか、攻撃の矛先を鈍らせていることを私はずっと批判している。

 その最大の悪例は三宅洋平だろう。三宅は森友学園事件について貝になってしまった。また、昨年の参院選で三宅を応援し、投票したりした人間も、森友学園事件について口を開かない三宅を批判できない。もちろんこれも「忖度」の一例だが、三宅に対する忖度は間接的な安倍昭恵(や安倍晋三)に対する忖度にほかならない。

 まとめると、「忖度」ではなく安倍夫妻による「口利き」が森友学園事件「財務省・安倍夫妻ルート」の核心だが、民進党はその核心である安倍晋三・昭恵夫妻への直接の追及を回避して、「財務官僚による安倍夫妻への忖度」の構図を描いての追及を試みたが、当然のごとく「忖度などなかった」という答弁にいとも簡単にはね返された。また、マスコミや世論も安倍夫妻の口利きをとがめることが全くできていない、というのが現時点の状況ではないか。

 先月は、つい先日ついに大臣を更迭された今村雅弘の「失言」が話題になったが、野党やマスコミはこれを「政権の緩み」だとして批判した。これに対し、「緩みではなく本音」だとする指摘がされている。昨日(4/30)のTBSテレビ『サンデーモーニング』でも西崎文子が「緩みではなく本音では」と言っていた。ところが最後にコメントした岸井成格は「政権の驕り、緩みだ」というマスコミ人士の常套句を口にしたので失望させられた。

 昨年春、安倍晋三の不興を買って『NEWS23』のアンカーを下ろされた(後任の元朝日新聞特別編集委員・星浩の腑抜けぶりは周知)と言われている岸井成格でさえこれだ。

 「緩みではなく本音だ」と指摘した言説の中で、もっともよくまとまっていると思うのは、先週も紹介したブログ『読む国会』の記事(下記URL)だ。
http://www.yomu-kokkai.com/entry/shitsugen-yurumi

 記事の中で、共謀罪法案の審議中に、東京18区選出の自民党衆院議員にして元武蔵野市長の土屋正忠が露呈した「本音」は、まさに心胆を寒からしめるものだ。以下引用する。

(前略)

 「共謀罪」法案を審議した二十一日の衆院法務委員会で、法務省の林真琴刑事局長の席に詰め寄った民進党議員に、自民党の土屋正忠理事が「テロ行為だ」とヤジを飛ばしたとして、民進、共産両党が抗議した。
東京新聞


■ 共謀罪の根幹を揺るがす土屋発言

共謀罪(テロ等準備罪)における土屋正忠議員の発言である。共謀罪法案の根幹を揺るがす発言だ。

単なる冗談や軽口ではすまない。

この発言によって、土屋議員が、内心では「テロ等準備行為」という言葉そのものが、自分たちにとって都合の悪いことを潰す、言論に対する脅しとしての要素を持っている、と認識していることが明らかになったからだ。

これは曲解ではない。思っていなければこの種の軽口は出ないだろう。都合の悪いことを潰すために「テロ」という言葉を使っているのではないか?という疑念は、全く解消されていない。

(中略)

「東京より東北が震災にあったほうがまだ良かった」

「民進党がこそこそ打ち合わせをしているのはテロ等準備行為だ」

そのような姿勢・人品そのものが問題であり、議員としての資格を問われるものだ。

大臣に関しては、任命してしまった責任も免れ得ないだろう。


■ マスメディアは、即刻「ゆるみ」という言葉を使うのをやめるべき

「ゆるみ」という言葉を使ってしまうことによって、まるであたかも議員が執行部の言いつけを守れないことが問題であるかのような論調になり、もっとも重要な資質の問題や、首相の任命責任はどこかに行ってしまう。

国務大臣というのは、失言をしなければいいわけではない。人間的に的確であるかを常にチェックされ、監視されるべき立場にいる。失言そのものではなく、その裏にある人品をこそ問題にしなくてはいけない。

マスコミは、二階発言に恫喝されることなく、

なぜなるべきでない人間を復興大臣に任命してしまったのか?
本当にテロ等準備罪はテロを予防することを目的とされているのか?

このような論点を、きちんと主張し、発信していただきたい。

(『読む国会』 2017年4月28日付記事「政治家の失言は『政権のゆるみ』ではなく、『本音の吐露』だ」より)


 論旨明快で間然するところのない記事だが、さらにつけ加えれば、最近しばしば指摘されている通り、現在の安倍政権は、どこまで「本音」が通用するのか試しているようなところがある。これを別の言葉で言い換えると「露悪」になろうか。たとえば森友学園事件で知らぬ存ぜぬ、書類は廃棄してしまったなどの強弁がどこまで通じるか、ミエミエの嘘をついて(=露悪的な態度をとって)試してみる。通用すれば、「赤信号 みんなで渡れば 怖くない」式のゴリ押しをやる。

 上記のフレーズは1980年にビートたけしが言い出したものだ。この1980年という年は、選挙戦中に大平正芳首相(当時)が急死した衆参同日選挙で自民党が圧勝し、米大統領選でレーガンが圧勝するなど、右傾化や新自由主義化のエポックメイキングな年だった。1993〜94年(衆院選小選挙区制の成立)、1999年(小渕恵三と小沢一郎による「アブナイ」法案の数々の成立)、2001年(小泉純一郎政権成立)、2005年(郵政総選挙で自民党圧勝)、2012年(第2次安倍内閣成立)などと並ぶ、悪い思い出の多い年だったが、上記のフレーズを発して以来、私はずっとビートたけしという芸人を嫌い続けている。政治に関しても、いくらたけし本人が「9条護憲」を口にしても、たけしが司会を務めるテレビ朝日の『TVタックル』(都議選と同日に行われる兵庫県知事選への出馬を表明した勝谷誠彦が常連の出演者だった)が視聴者の右傾化に大いに資したことは見逃せない。

 ビートたけしが「赤信号……」と言い出した1980年にはブラックジョークだったものを、今や日本国の総理大臣が率先してやるようになった。だから先日筒井康隆がTwitterで発した慰安婦に関する暴言もギャグにならず、産経「正論」系極右人士ら(その代表格が先日死んだ渡部昇一だった)の煽動に踊るネトウヨ、否、最近は一般人もそれに加わっている有象無象が発する暴言と何も変わるところがなかった。ギャグのつもりで老筒井が発したTwitterは何の異化作用も持たず、只野、もといただの老ネトウヨの暴言に堕してしまったのだ。筒井、老いたり。そう思った。

 恐るべき忖度と露悪と崩壊の時代。最後に『広島瀬戸内新聞ニュース』の簡潔な記事(下記URL)を引用して本記事を締めくくる。
http://hiroseto.exblog.jp/25733394/

安倍ジャパン】「忖度」ではなく「ご下命」、「緩み」ではなく「露悪」だ

「安倍ジャパン」(安倍晋三総理(皇帝)・昭恵(皇后)「両陛下」とそのお友達が、「法の支配」や「立憲主義」を無視した立法行為や行政行為を行い、国家を私物化している状態)を批判する側も、「初動」を誤った感はあります。

森友学園問題では「忖度、忖度」と言い過ぎた。
官僚は忖度で仕事をするものではない。
「ご下命」に近いものがあってはじめて仕事をするものです。

ここへ来て、まだ国有地の売却が決まる段階で、籠池のおっさんに詳細なマニュアルが財務省サイドから渡ったり、田村という財務省の担当室長が「特例です」と言った録音記録が暴露されたりしています。

安倍昭恵さんの関与は明らかです。

ハッキリ言ってしまうと、特に民進党の一部議員やマスコミこそ「安倍総理や安倍昭恵さんに対して忖度=追及の手を緩めてしまった」と言わざるを得ないと思います。

さらに、今村復興大臣の「東北で良かった」失言や、山本地方創生大臣の「学芸員一掃」発言。

これらを、安倍総理は「緩み」と表現し、それ(「緩み」という認識)をそのままマスコミも是としています。

冗談ではない。「緩み」なんかではないのです。

今村復興大臣(当時)の発言は緩みなんかではなく「安倍政権の閣僚としての平常運転=露悪」なのです。

安倍総理は、今年の3.11において、記者会見を打ち切りました。これが安倍総理の本音でしょう。その総理の本音を体現したのが「東北で良かった」という今村大臣の発言ではないのか?

山本大臣のそれも、結局は、文化というものを金銭的な価値でしか測れない、そうした安倍政権的なるものが露悪的に出てきただけです。

(『広島瀬戸内新聞ニュース』 2017年4月29日付記事より)

 今日は更新を止めようかと思ったが、考えてみれば来週はもう黄金週間の真っ只中なので、今週更新しておかなければブログの存続も覚束ない(?)と思い、全く気の乗らない記事を書いて更新することにした。

 共同通信の世論調査で、内閣支持率が58.7%を記録した。「単純比較はできないが前回から6.3ポイント上昇」とのこと。調査方法の変更か何かがあったのだろうが、ここに来て一段と安倍政権支持率が高まった。
https://this.kiji.is/228775846727501300

 一昨年7月を底とする安倍内閣支持率のV字回復について、これまで、岩盤が堅くなったというイメージでとらえていたが、明らかに権力者夫妻の「お友達」に不正な利益供与がなされた森友学園事件を持ってしても内閣支持率が膨らみ続ける現実を目の当たりにすると、風船が膨れ上がるイメージでとらえるほかないのではないかと思うようになった。

 正直言って、ここまで安倍内閣支持がバブル的に膨れ上がる事態は想像しなかった。先月内田樹は『AERA』に

 劇的な成功を遂げた政治家たちは例外なくイエスマンを周りに集め、ついにはその中で最も臆面もなく阿諛(あゆ)追従するものを「具眼の士」とみなすようになる。そして、手厚い褒賞でその炯眼に報いようとする。そのプロセスは歯車仕掛けの悲劇のように進行する。私たちは今その終幕近くに立ち会っている。

と書いたが、内田樹の楽観的な予想はもののみごとに外れた。
https://dot.asahi.com/aera/2017030800065.html

 とはいえ、今のような政治のあり方が「持続可能」であるはずはないだろう。膨らみ過ぎた風船はいずれ弾ける。「崩壊の時代」はいつかは終わる。しかし、その時に日本という国がどうなるっているかは想像もつかない。

 日本の政治の現状については、昨夜このブログにいただいた鍵コメにて知った『読む国会』に手際良くまとめられている。それらのエントリ3件のダイジェストと前述の共同通信の世論調査が記された鍵コメは、『kojitakenの日記』に転載した。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20170424/1492986278

 同じブログに、今朝「『疑わしきは罰せず』は、権力者に対して用いる言葉ではない」と題したエントリが公開されたので、以下に抜粋する。
http://www.yomu-kokkai.com/entry/innocent-until-proven

(前略)司法と行政が結託すれば、もはや国民が対抗出来る手段はない。

 だからこそ、司法の場においては、例え政治家・公人に対してであろうと、推定無罪の原則は固く守られるべきである。それは司法の価値を守るために、必要な原則だ。

なぜ権力者は、疑惑に対して潔白を証明する責務があるのか

 上で述べたように、推定無罪の原則というのは、あくまで司法が過ちを犯す事を前提とし、あるいは、ときに為政者の意のままに操られるというリスクを勘案し、個人の権利や言論の自由を守るために存在するものである。

 今般の安倍総理をめぐる一連の問題は、全く別の話である。

 むしろ、為政者の疑惑というのはもみ消され、闇に葬られることが多い。絶対的な権力のもとで、権力者に不利な証拠など、出るはずがない。

 だからこそ、三権分立が存在しているのだ。行政府は予算の執行や法案の成立に関して立法府の承認を必要とし、憲法に適合しているかは司法府が判断するのだ。

 そして、立法府が行政府の権力を監視する手段として、独自に国政調査権が認められている。

(憲法第62条の引用を省略)

 証人喚問や、参考人招致は、この憲法62条が定めるところの国政調査権によって担保された権利である。

 「疑わしきは罰せず」というのは、あくまで司法の場においては推定無罪を原則にするというルールであり、証拠をもみ消せば政治的に責任を取る必要がない…という意味ではない。

我々は何をすべきか

 私がしつこく書き続けているが、これは外形的には政治的な口利きにしか見えない。

 ある国家の首相夫人が名誉校長になり、特殊な思想の学校に賛同した。そこから極めて異例なスキームで、土地価格の値引きがされた。更に財政状況が怪しい中で、府の認可が降りた。

 そして、その国の内閣は交渉記録などの証拠の提出や、夫人の証人喚問など、潔白を証明するためにクリティカルな行動を拒んでいる。

 これが通常のデュー・プロセスである、というなら、なぜこのようなことが起こったのかストーリーを説明する他に無い。

 そして、それを説明するためには、内閣が徹底した調査をするしか無いのだ。

 もし政府に「疑わしきは罰せず」という原則を適用するなら、あらゆる疑惑は闇から闇へ葬られるだろう。なぜなら、原則的に言えば、あらゆるデータや物的証拠は政府の内側にあるからである。

 つまり、政府の汚職疑惑は、内部調査によってしか明らかにならないのだ。

 我々は、司法の場における「疑わしきは罰せず」の原則と、行政府や立法府の場における「疑わしきは罰せず」を分別する必要がある。

 政府の説明が足りない時は、めげることなく「きちんと調査しろ」といい続けるしか無い。なぜなら、我々がいい続け、監視しない限り彼らがわざわざ内部の不正を調査するメリットなど存在しないからだ。

 「自浄作用」という言葉が忘れられて久しいが、そんなことを今の政府に期待するのは、高望みというものだろうか。

 権力者の沈黙に対して、声を上げることを諦めた時にやってくる世界は、私にとって今よりも不快なものであろう。だから、私はしつこく「証拠を出せ」「ちゃんと答弁で説明しろ」と言い続けることにする。

(『読む国会』 2017年4月24日付エントリ「『疑わしきは罰せず』は、権力者に対して用いる言葉ではない」より)


 正論そのものだ。

 しかし、現実には安倍政権支持者のみならず、政権批判派の中にも、これまで政権が意図的にでっち上げてきた(としか私には思えない)安倍昭恵の「家庭内野党」の幻影を振り払えないのか、きちんと安倍昭恵の証人喚問を要求できない老舗の「リベラル」ブログすら存在する。同ブログは、安倍昭恵の「参考人招致か証人喚問か(記者)会見」を求めてはいるが、籠池泰典が証人喚問された当日の2月23日に自民党と民進党が合意して行われた、翌24日の財務省前理財局長・迫田英典の参考人招致が疑惑解明に何らの貢献をもたらさなかったことを思えば、同ブログの腰の引けた姿勢は安倍政権の逃げ切りを助けるだけのものでしかない。

 市井のブロガーでさえこのていたらくだから、野党の惨状もそれに見合ったレベルだ。民進党は7月2日投開票の東京都議選を機に、本当に崩壊するとしか思えない。同党は都議選候補にするつもりだった現職あるいは前職・元職を「都民ファーストの会」に引き抜かれて離党しても、もはや対抗馬を立てる力もなければ、離党を認めず除名処分にすることさえできない。国会議員の長島昭久は除名処分になったようだが、これは党の大物だったからだ。そんな民進党をあてにしてきた「野党共闘」も風前の灯火といえる。

 昨日のTBSテレビ『サンデーモーニング』は、90年代の「政治改革」の局面で小選挙区制を推進した田中秀征や岸井成格らによる、さながら「懺悔大会」の様相を呈していた。これを見ながら私は「今頃やっとかよ。四半世紀遅いぞ、気づくのが」と思った。山口二郎が岩波新書から小選挙区制の推奨が書かれた『政治改革』を出してから24年。鳩山一郎や田中角栄がやろうとして果たせなかった小選挙区制が社会党を巻き込んで実現してしまった過程に呆気にとられた私は、ブログを開設してからも一貫してずっと小選挙区制に反対し続けてきたが、「政権交代」待望全盛期の2009年前後には相手にされなかった。一昨年に再び小選挙区制反対論を書いたら、ふざけたコメンテーター(spiritと名乗る人間だ)にふざけたTweetを書かれたので激怒して昔から小選挙区制に反対していたぞ、と証拠を示す記事を書いたことがあるので、下記にリンクを張っておく。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20151129/1448763347

 民進党が崩壊したらいやでも新しい政党が立ち上がらざるを得なくなるだろうと思うが、その政党には小選挙区制廃止と比例代表制を中心とした選挙制度の樹立を公約として掲げてもらいたいものだ。私の意見では中選挙区制の復活ではダメで、あくまで比例代表選中心の選挙制度であるべきだ。数年前に消滅したみんなの党の提案が、定数の大幅削減以外は良い案だったと記憶する。

 しかしそれ以前に、日本という国がまともに存続し得るだろうかという不安が先に立つ今日この頃なのである。