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きまぐれな日々

今日は9月11日。あのニューヨークのテロからまる8年、「選挙テロ」ともいえる小泉郵政選挙からまる4年が経過した。アジェンデ政権を転覆して世界最初の新自由主義政権(ピノチェト政権)が誕生したチリのクーデターからはまる26年になる。

いつしかすっかり忌まわしい記念日となってしまったが、今年はようやく小泉郵政選挙を完全に打ち消す「政権交代選挙」が行われ、その後に「9・11」を迎えることになった。

今日は本当は高速道路無料化に関してコメント欄で今なお続いている議論を、多少整理して紹介しようと思っていたが、昨日、今回の総選挙で当選したさる無所属議員のブログにまたまた馬鹿げたエントリが上がり、それに関して徒労かもしれない記事をはてなの裏ブログの方に書くことに時間をとられてしまった。こういう日にはブログを休むべきなのだろうが、なんといっても9月11日であり、この日にはやはりブログを更新しなければ、と思い直した次第だ。

自分のブログであからさまにレイシズムを表明した政治家が、テレビなどで見かける外見はその意見表明が嘘のような誠実な人間に見えるからといって、「9条護憲」のバナーを自らのブログに張っているブロガーが、レイシズムの言辞に一言も触れずに「温かく見守る」と書いたことは、多くの読者の失望を招いた

邪推かもしれないが、当該ブロガーは政治家のレイシズム的言辞よりもブロガー仲間の身内意識を優先したのではないか。そして、このことは、8日付のエントリで紹介した、関東大震災が起きた際に被差別部落出身者を虐殺した犯人たちを、村やその住民が庇い、献身的に身内を守り通したエピソードを否応なしに思い出させる。憲法9条を守ろうというのは立派な理念だが、レイシズムを表明して恥じない政治家を応援するブロガーを守り抜こうとするブログ村落共同体の体質は、9条護憲の理念からはあまりに大きく乖離していて、幻滅せずにはいられない。せめて、差別的言辞とみなされているあの文章は、本当はレイシズムの発露なんかじゃないんだと、論拠を示して訴える姿勢があれば、仮にその主張に納得できなくとも、論者の誠実さだけは感じることができるだろう。しかし、当該ブロガーは問題の件について何も語らず、単に「温かく見守る」としか書かなかったのである。実は私は、「水伝騒動」の際に見せた当該ブロガーの態度に感服するところがあった。それだけに今回、ブロガーが何の論拠も示さずに、ただ政治家を「温かく見守る」とだけ書いたことに対する幻滅は大きかった。これでは差別がなくならないはずだ。「自らの判断が間違っていた時、正直にそれを認める」のは、当該ブロガー自身には確かに当てはまっていることを「水伝騒動」の際に見せてもらったが、レイシストの政治家には全然当てはまっておらず、すぐ頭に血を昇らせては自身のブログを何度も炎上させているのである。

ところで、リベラル・平和系ともリベラル・左派系といわれるブログ群(郡?)にも、自エンド村とか、野党共闘村とか、護憲アマゾネス村、あるいは共産党支持者の集落、大きいけれども右系を半数近く含むはてな村など、さまざまな村がある。中には、リーダーがレイシストと化した村まである。三種の神器への崇拝が要求される新興宗教の村もあり、そこでは五角形が悪魔の象徴とされている。そして、それらのうちいくつかの村では、右側エリアを本拠地とする、信念を貫くレイシストが異様な人気を誇っているのである。

私は、村なんて捨ててもっと外の世界を見ようよ、といつも言っているのだが、なかなか通じない。ひとたび流れが決まると、それを変えることは非常に難しい。それは権力者たちにとっても同じである。今回、これまで政権を担ってきた自民党の政治家たちがいかに無能であったかが白日の下にさらされたが、彼らも自民党や政官業癒着構造の外の世界を把握することができなかった。

環境問題も同じである。京都という、わが国が誇る古都の名を冠した議定書に掲げた目標を達成するどころか事態を悪化させ続けてきたのが、これまでの日本だった。政権交代が成って、温室効果ガスの削減中期目標1990年比25%減を打ち出している民主党の岡田克也は「麻生首相のもとで出てきた恥ずかしい数字は、もう全部白紙に戻す」と言っているが、民主党の支援団体でもある電力総連や自動車総連は、岡田氏が「恥ずかしい数字」と言った麻生首相の1990年比8%減さえ認めず、経団連と同じ1990年比4%を主張する「環境極右」ぶりを発揮している。

5月22日付エントリ「エネルギー政策を骨抜きにする経産省と、無策の麻生首相」に書いたように、1970年代にアメリカでマスキー法という厳しい排ガス規制が提案された時、日本の自動車メーカーは懸命の努力をして燃費の良い車を生み、それが現在の国際競争力につながった。当時の自動車業界の努力を報じる新聞を読んで、私は子供心にこの国の人々を誇らしく思ったものだが、いつの間にか日本人は開拓者精神を失い、労働組合は使用者と一体となって既得権益を死守しようとする権力側に立つようになった。かつて、経営者が先頭に立って燃費の良い車を開発した時代とは雲泥の差であり、これでは国勢が傾くのも止むを得ない。労働問題でしばしば経団連との妥協が批判される民主党だが、環境問題については経団連との立場の違いを明確にしており、好感が持てる。ただ、そうはいっても民主党は原子力発電推進勢力だし、上記の民主党支援労組にも足を引っ張られそうだ。社民党の福島瑞穂党首の入閣が内定したことでもあり、ここは福島氏を環境大臣に据えてはどうだろうか。社民党の環境・エネルギー政策には特徴があり、共産党と比較して唯一社民党に一日の長があるのがこの分野だと私は考えている。未来を見据える目をすっかり失ってしまった日本人に開拓者精神を取り戻すためにも、新政権の環境・エネルギー政策に私は大いに期待している。ぼやきで始めた「9・11」のエントリを、多少は未来への希望を述べる言葉で閉じたいと思う次第である。


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かつて、「東京に三代住むと白痴になる」と放言して批判を浴びたのは、香川県西部の農家に生まれた保守本流の元総理大臣、大平正芳(1910-1980)である。当ブログはこの言葉を、一昨年の参院選直前に、当時総理大臣だった安倍晋三を批判したエントリ「能力なき安倍晋三は政権を去れ」(2007年7月10日付)で引用した。

安倍は参院選で「歴史的惨敗」を喫しながら政権に固執したが、結局体調を崩したこともあって一昨年9月に政権を投げ出した。だが、その後も福田康夫、麻生太郎と総理大臣の息子や孫が政権の座についた。野党第一党の民主党も、先月「鳩山一郎の孫」である鳩山由紀夫が代表に返り咲いた。

その鳩山由紀夫の弟・鳩山邦夫は、総選挙での劣勢を伝えられていたため、「かんぽの宿」売却問題や日本郵政の社長人事問題を利用して、徹底的な売名パフォーマンスを繰り広げた。首相の麻生太郎は、盟友だった鳩山邦夫の処分決定が遅れて指導力のなさを露呈し、大きく支持率を下げた。そうなると、いよいよ鳩山由紀夫が総選挙勝利後総理大臣に就任する公算が大きいかと思われた。

しかし、その鳩山由紀夫がとんでもない失言をやらかしてしまった。毎日新聞が報じている。
http://mainichi.jp/select/today/news/20090617k0000m010105000c.html

鳩山代表:「連立解消」発言に社民、国民新が反発

2009年6月16日 21時26分 更新:6月16日 23時6分

 民主党の鳩山由紀夫代表がFMラジオ番組で、政権交代後の話として、来年の参院選後に社民、国民新両党との連立政権を解消し、単独政権を目指す姿勢を示した発言に16日、両党が反発した。国民新党は同日予定していた次期衆院選の民主党候補予定者約60人への推薦発表を見送った。

 鳩山氏の発言は連立について「参院選で民主党が単独過半数を取れば消えていくと思う」というもの。

 社民党の日森文尋国対委員長は野党国対委員長会談で「(社民党は)さしみのつまじゃない。党首が言うべき発言ではない」と山岡賢次民主党国対委員長に抗議した。

 国民新党の亀井静香代表代行は鳩山氏ら民主党幹部などとの会談で「1年後の離婚を前提に結婚するわけがない」と推薦見送りを通告した。

 鳩山氏は16日の記者会見で「言葉足らずの中で誤解を与えた。本意を理解していただくべく努力する」と語った。【田中成之】


鳩山由紀夫は、麻生太郎内閣の支持率急落を伝える報道に舞い上がって、つい軽口を叩いてしまったとしか思えない。政権交代を狙う党首とは信じられないほどの軽さである。いくら、「担ぐみこしは軽くてパーがいい」という小沢一郎の勝手な都合で選ばれた党首とはいえ、この軽率さでは、民主党は勝てる選挙も勝てなくなってしまうし、それより何より、ともすれば新自由主義への回帰を見せがちな民主党のブレーキ役を国民新党と社民党に期待している私としては絶対に見逃せない発言だ。ただちに民主党候補予定者の推薦見送りを民主党に通告した国民新党の亀井静香はさすがだと思うが、社民党の反応はいまいち鈍い。ここですかさず民主党が持ち出そうとしている衆議院の比例区定数削減問題を蒸し返して、今回の鳩山発言の撤回と合わせて、この2件で民主党が誠意を見せない限り連立は組まないと強硬な姿勢で臨むべきである。

それにしても、安倍晋三だけではなく、麻生太郎、鳩山邦夫、鳩山由紀夫ら「総理大臣の孫」たちはなぜかくも揃いも揃ってわがままで、かつ発言が軽いのだろうか。やはり讃岐の農家で苦労した大平正芳の言葉は正しかったのではないかとつい思ってしまう。

ところで、あまり民主党や鳩山由紀夫の悪口ばかりではなんなので、私が鳩山由紀夫に唯一期待していることを挙げておこう。それは、彼が工学部出身(東大工学部計数工学科)であることだ。同じ東大でも、弟の鳩山邦夫は法学部出身で、だから政界入りも邦夫の方がずっと早かったし、そのせいか腐敗ぶりも邦夫の方がひどい(笑)。実は鳩山由紀夫が理系であることなどすっかり忘れていたのだが、先日の温室ガス削減中間目標で、麻生太郎首相が1990年比8%削減を打ち出した時、90年比25%削減を公約に掲げる民主党の鳩山代表は、「技術立国日本がそんな低い目標で良いのか」とこれを批判したのだ。その口調から、ああ、そういえばこの人は工学部出身だったなと思い出した次第だ。私はこれを、NHKかテレビ朝日のどちらか忘れたが、テレビのニュース番組で見た。ニュースでは、それに続いて共産党の志位和夫委員長もこの中間目標を批判していたが、面白いことに志位氏もまた東大工学部(物理工学科)卒である。両党の大物ではほかに、民主党の菅直人代表代行が東工大理学部、共産党の不破哲三前委員長が東大理学部をそれぞれ卒業している。

政党の性格からいうと、大まかに言って民主党はやせ細った中間層を再建することを狙っており、2006年に小沢一郎が打ち出した「国民の生活が第一」というスローガンも、その観点でとらえる必要があろうかと思う。小沢一郎が方向転換する以前の民主党は、コイズミ自民党と「カイカクを競う」新自由主義的方向性をとってきたが、格差が拡大して中間層がやせ細ってしまい、カイカク競争に敗れて郵政総選挙で惨敗を喫した民主党にとっては、「国民生活第一」を掲げるほか党再建への道がなかったというのが本当のところだろう。だが、政治は結果がすべてだから、方便による方向転換であってもかまわないのである。もちろん、今でもカイカク競争を指向する政治家は民主党には結構いる。鳩山由紀夫はどうかというと、彼はそんなに強い政治的信念は持っていないと思う。ただ一つだけ期待するのが、彼の工学部的感覚である。

一方の共産党は、いうまでもなく弱者のための政党である。民主党対共産党の対立の構図は、私にはかつての自民党対社会党の対立の構図を思い出させる。自民党は、社会党の主張を取り入れた修正資本主義の政策をとることによって、長く政権の座を守ったし、国民にもある程度の福利厚生がもたらされた。その自民党は中曽根康弘内閣(1982?87年)以降、徐々に国民政党としての性格を薄めて、財界や富裕層だけのための新自由主義政党に変質していき、一気にそれに純化しようとしたのが小泉純一郎内閣(2001?06年)だった。その結果、格差社会が出現し、政官業癒着構造による政治の腐敗が悪化した。だから自民党はもう歴史的役割を終えた政党として退場してもらうしかないのである。今自民党にいる一部の者たち、たとえば中川秀直らが新自由主義政党を、安倍晋三らが極右政党をそれぞれ結成して(平沼一派は後者に合流)、細々と右側の野党として生き延びてもらえばよい。そして、保守政党である民主党を左から厳しくチェックする役割は、主に共産党に果たしてもらわなければならない(社民党と国民新党は、連立政権内で民主党がネオリベに回帰するのを阻む役割である)。そのためには、民主党が進めようとしている比例区定数削減は、なんとしても阻止しなければならない。

その一方で、グリーンニューディールに関しては、ともに工学部出身者を党首にいただく民主党と共産党は手を組めるのではないかと思うのである。ここでいうグリーンニューディールの肝は、原子力発電ではなく、自然エネルギー(再生可能エネルギー)である(注)。ここに技術立国・日本の活路を見出そうとする選択肢は、もっと真剣に論じられるべきだろう。ここでも自民党は論外であり、自民党が今国会に提出を予定している「低炭素社会づくり推進基本法案」(仮称)の党内手続きの過程で自動車業界の要望を受け入れ、原案にあった自動車に温室効果ガス排出基準を設ける文言を全面削除したことを、「しんぶん赤旗」が報じている。

マスコミ界で面白いのは、読売新聞と産経新聞が自民党や経団連の意に沿って、温室ガス削減に積極的な目標を打ち出すことにいたって否定的であるのに対し、日本経済新聞が毎日新聞と並んでもっとも積極的なことだ。朝日新聞と東京新聞はその中間だが、日経・毎日寄りである。この分析は、毎日新聞の「社説ウォッチング」による。この日経の論調について、さる保守系の有名ブログは、「日経にも経済がわかっていない記者がいる」と冷淡に切り捨てていたが、果たしてそうだろうか。技術立国とうたわれた日本の競争力を確保するには、この分野への注力が不可欠なのではないだろうか。何より、アメリカがその方向へと舵を切っている。自民党や経団連、読売・産経両紙などは、今支配層にとって楽な選択肢を安易に選んでいるだけのように、私には思われる。それに対して日経は、必ずしも「エコ」の時流に乗ろうとしているにとどまらず、この分野での技術革新が、今後の財界にも利益をもたらすと展望しているのではないか。つまり、経団連は財界の今しか見ていないのに対し、日経は財界の未来を見ているというわけだ。経団連のえらいさんより日経の記者の方が若いことにも注意したい。そして、読売はジジイのナベツネが社論を仕切っているので、未来など見据えるはずもないし、産経は何でもかんでも自民党に尻尾を振るだけの「媚権」の新聞に過ぎない。

残念なのは左右の「地球温暖化陰謀論」(右は池田信夫)にすっかり汚染されてしまったネット言論であって、日曜日にTBSで寺島実郎や金子勝が真剣に語る言葉と比較する時、その貧困さは目を覆うばかりである。いつも書くように、ネットだけ見ていたのでは本当のことはわからないと思う次第である。

(注) 既に北欧では70年代に原発に関する国民的議論がなされ、80年代には原発志向から脱却して自然エネルギーへの注力に舵を切った。


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温室ガス削減の中期目標を取り上げた昨日のエントリは、やはり不人気だった。ブログへのアクセスは、トップページ(http://caprice.blog63.fc2.com/)への訪問が多く、これは普段と変わらないのだが、個別エントリのURL(昨日のエントリだとhttp://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-926.html)へのアクセス数が普段のおよそ半分だった。これは、昨日のエントリに限ったことではなく、環境・エネルギー問題を取り上げた時はいつもそうだ。おそらく、読者の関心が非常に薄いのだろう。先月来日したノーベル賞学者のポール・クルーグマン教授は、「環境関連主導の回復となりそうだ。実際に芽吹くにはもうしばらく時間がかかるが、それが回復につながる可能性が高いと思う」と述べており、テレビでも報道された。これが世界の常識なのだが、日本は世界からすっかり取り残されている。そういえば当ブログも「環境関連事業で雇用創出なんてできっこない」という冷淡なコメントをいただいたことがある。

環境・エネルギー問題には数々の「常識のウソ」がある。たとえば、昨日のエントリに対して、資本主義者さんから下記のコメントをいただいた。

日本と諸外国を同一に考えるのはおかしいでしょう。日本はエネルギー効率世界一です。実にアメリカの2倍、中国の7倍、欧州の1.4倍効率がいいのです。あまり大きな目標を立てると経済に打撃があるとも考えられる一方、新たなビジネスチャンスと見て新規起業で活性化もするでしょうし何とも言えません。ただ、1990年を起点にするべきです。2005年だと京都議定書はなんだったんだ?ということになってしまいます。不参加だったアメリカには2005年の方が好都合なんでしょうが。

2009.06.11 12:20 資本主義者


資本主義者さんのコメントを取り上げたことには他意はなく、これが一般的なとらえ方だと思うのだが、これも「常識のウソ」の一つである。それを解説したのが、ちゃこさんのコメントだ。

日本のエネルギー効率が世界一というのは見せかけです。
確かに、GDP当りのエネルギー消費量や1人あたりのエネルギー消費量は日本は先進国の中では少ないです。しかし、それは家庭と運輸部門でのエネルギー消費が少ないから全体として少ないように見えるのです。
特に太平洋ベルト地帯など人口集中地帯は温暖な地域なので、暖房エネルギー消費が欧州に比べて極端に少ないこと。また狭い地域に人口が密集しているために輸送エネルギーが少なくてすむ。こういった理由で日本のエネルギー効率は比較的高いとされているのです。
他方で、製造業など産業のエネルギー効率(鉱工業生産指数当たりのエネルギー消費量)について、日本は1990年を境に悪化し続けています。つまりこの20年間産業はずっとエネルギー効率が下がっているのです。また、日本は無駄な公共事業が多いため、これにかかるエネルギー消費量も他国に比べると多いといわれています。

2009.06.11 14:24 ちゃこ


この指摘は、当ブログで取り上げたことがあるかどうかは忘れたが、環境問題について調べていれば行き当たる事柄である。ちゃこさんの指摘される「無駄な公共事業」のほか、麻生政権が実施した「ETCを装着すれば地方の高速道路1000円」なる政策も、地球を温暖化させるわフェリー会社の経営を圧迫するわで、「世紀の大愚策」としかいいようがない。

恥さらしの麻生太郎を首相にいただく日本は、地球温暖化問題に取り組む環境保護団体の国際連合組織から10日、小さな温室効果ガス削減目標を決めたとして、地球温暖化対策に後ろ向きな行動を取った国に贈る「今日の化石賞」の特別賞に選出されてしまった。これは、共同通信が報じているので、地方紙には載っているのだろうが、今朝の朝日新聞(大阪本社発行統合版)の紙面を隅々まで見渡しても、どこにも出ていない(昨日報じていました。追記参照)。実は私がこの件を知ったのは、「きっこのブログ」経由であり、そこには「読売や産経が絶対に報じないこの記事」と書かれているが、本当に読売や産経はおろか、朝日も、おそらく毎日も報じていない[註]らしいことには驚き呆れる。きっこさんは、「全国紙読売や産経はこの件をスルーする」という情報を入手したのではないかと私は推測している。なお、この「化石賞」は昨年も「福田ビジョン」が受賞しており、それに関しては昨日のエントリでも紹介した飯田哲也氏が昨年6月19日付コラム「「福田ビジョン」をどう読むか――洞爺湖サミットの「舵取り」と日本の針路を見通す」に詳しく書いている。飯田氏は、福田ビジョンを「自然エネルギー促進に踏み込んだ」と評価しながらも(麻生太郎よりははるかにマシだ)、「福田ビジョンに中期目標がなく、緊急性を欠いていること、代わりに数字遊びをしていることが指摘されている。その通りだと思う」としている。

こうした環境問題を真剣に取り上げない日本のマスコミは腐っているといいたいところだが、残念ながら「ブログ論壇」も同様だ。相も変わらず日本郵政の社長人事と民主党が外部に委託した「第三者委員会」の報告書の話ばかりで、前者はまるで自民党のコマーシャルだし、後者については今朝の朝日新聞の社説「民主党―自浄力が問われ続ける」が民主党・検察・報道の三者の問題点に触れた適切なまとめになっていて、それ以上の論評は不要だろう。

とはいえ、当ブログのスタンスにも異論はあるだろう。日本郵政の社長人事の件について、昨日のエントリで「どうでもよい」と書いたところ、cubeさんから下記のご批判をいただいた。

 郵政民営化問題はどうでもいいことではないでしょう。
 西川社長を支えているのは、ご存じの通り、奥田や牛尾、丹羽といった経団連の面々です。さらには、ゴールドマンサックス、メリルリンチなど、米国大資本。それらが手兵の小泉や竹中、マスコミを使って無理筋を通そうとしているのです。
 CO2削減目標と言っても、それこそ米国が本気で電気自動車普及をすれば、すぐに日米ともに達成できるでしょう。米国が主な消費地のトヨタも、ハイブリッドどころか、電気自動車に今日からすぐシフトです。電気自動車は、ハイブリッドよりはるかにエネルギー効率がいいらしいですよ。
 しかしそこに立ちはだかるのは石油利権です。
 結局、新技術も大切ですが、それより利権・策略・政治力・軍事力が世界を動かしているのです。そういったドロドロした欲が障害になっているのは郵政問題も、地球温暖化問題も同じだと思いますね。
 ちなみに私も、温暖化陰謀論を棄てきれませんが、エネルギー節約や大気汚染削減に役立つなら、CO2削減を追究するのは悪いこととは思いません。ただ、排出権取引には大反対ですが。

2009.06.11 13:17 cube


ちょっと脱線するが、「CO2削減目標と言っても、それこそ米国が本気で電気自動車普及をすれば、すぐに日米ともに達成できるでしょう」という楽観的な見通しには、大きな落とし穴がある。電気自動車の普及のためには、リチウムイオン電池の技術開発が不可欠なのだが、この技術には安全性の確保が難しいという大きな問題があるのだ。数年前からしばしば話題になっているノートパソコンや携帯電話の電池の爆発や発火の事故を思い出していただきたいが、自動車に用いられる電池のエネルギーは、携帯電話やパソコンの比ではなく、万一爆発が起きた場合は大きな死亡事故になる恐れが大きい。この分野もまた、環境問題同様、市場原理だけに任せていたのでは将来への大きな禍根になる。安全性をおろそかにして利潤追求に走られたのでは、何が起きても不思議はないからである。なお、リチウムイオン電池の安全性の技術でも日本は世界をリードしている。

話を元に戻すと、cubeさんのコメントに対して、sweden1901さんから反論のコメントが寄せられた。

飯田哲也氏のコラム、拝読しました。
経産省がなぜ、これまで無視してきたFITを突然導入しようとしているのか、その背景がよく理解できました。
経産省の省益、そして財界とのしがらみを最大限考慮したやり方なのでしょう。

自民党政権のままでは、世界との差が広がる一方だと思います。洞爺湖サミットで福田首相は、彼なりに頑張ったのだと思いますが、「サミットに名を残すためなら何でもよかった」程度の意気込みしか感じられませんでした。
そんな付け焼き刃的な取り組みでは、結局飯田氏のコラムにあるように、簡単に枠組みが崩壊してしまうような政策しか打ち出せません。
民主党など野党は、経産省の方針転換をうまく利用して、世界の潮流に少しでも早く追いつけるように努力を続けないといけないのでしょう。

>世の民主党支持ブログも、もっとこういった点を積極的にアピールすればよいのにと思うが、一部ブログに引っ張られてか、もう国民からは見放されている自民党内の、日本郵政の社長人事をめぐるどうでもよい内紛のことばかり書いている。

とおっしゃるkojitakenさんに対して、

>郵政民営化問題はどうでもいいことではないでしょう。
とお書きになっているcubeさんへ。

私は次のように感じました。

郵政民営化の負の側面が露呈した以上、かんぽの宿を大安売りを主導した西川社長が辞めることは当然で議論の余地はありません。西川社長続投に反対を唱えている鳩山総務相は、小泉・竹中カイカク路線からの決別をしたい麻生首相の意向を汲んでいることも当然のことです。

麻生首相は、解散・総選挙を一番「自分に」都合の良いタイミングで行うために、ある次点(たとえば6/29の日本郵政の株主総会)で、
・「西川社長の辞任を求め、鳩山総務相の留任を決定」して内閣支持率アップを図り解散。
あるいは、
・「西川社長の辞任を求め、内閣改造を行い、結果として鳩山総務相をやめさせる形で両者相討ちの形で決着」して、支持率アップと自民党内の小泉シンパの顔を立てる形を取った上で解散。
というようなことを考えているのでしょう。

どちらにしても、郵政民営化の是非をめぐる自民党内の動きに注目を集めさせ、野党のメディア露出を相対的に抑えることで、衆院選勝利を目指しているのだろうから、そんな姑息な戦略に乗せられるのはやめよう、
ということをkojitakenさんはおっしゃっているのではないかと感じました。(的外れでしたら済みません)

私もまったく同感です。
西川社長を辞めさせられなかったら、完全に自民党への逆風が強まります。
もし辞めさせられたとしても、それが当然なのですから、麻生首相のリーダーシップがもてはやされることはあり得ません。(マスコミはやりかねませんが)
ですから私もkojitakenさんと同様、この件は「どうでもよい内紛」と認識しています。

ここまで書いて、たまたま城内実氏のblogを読んでみたら、案の定、この件で麻生首相がいずれ下す結論が世論の支持を得るだろうというような予想を書いていて、笑ってしまいました。
それにしても彼のblogにはまだあの醜悪で唾棄すべきエントリーが削除されずに残してあることがわかりビックリしました。あういうことを書いてblogで公開するような人間についてコメントするのもバカバカしいですが、次期総選挙で当選して欲しくない候補者の筆頭です。

2009.06.12 00:12 sweden1901


sweden1901さんのご推察通り、「郵政民営化の是非をめぐる自民党内の動きに注目を集めさせ、野党のメディア露出を相対的に抑えることで、衆院選勝利を目指しているのだろうから、そんな姑息な戦略に乗せられるのはやめよう」というのが私の言いたかったことなのだが、昨日のエントリでは反論を呼び込みたかったこともあって、あえて刺激的な書き方をした次第だ。cubeさんには申し訳ないことをしてしまったかもしれないが、ご了承をお願いしたい。

なお、sweden1901さんのコメントの末尾にある、城内実の醜悪なエントリとは、昨年の国籍法改正をめぐるもので、当ブログは何度もこの件を蒸し返しているが、改めてもう一度リンクを張っておく。
http://www.m-kiuchi.com/2008/11/11/bakawashinanakyanaoranai/

URLの、"bakawashinanakyanaoranai"という文字列がとても素敵である。このエントリは「はてなブックマーク」でも大人気だった。

最近台頭してきたさるブログの管理人様からも、今後、城内実や橋下徹が台頭してきそうだとして、当ブログと共闘したいと仰る非公開コメントをいただいた。今後自民党が没落し、それに代わって右翼ポピュリストである城内実や橋下徹が民主主義の敵として大きな存在になるだろうと私も予想している。鍵コメなのでブログ名は公開しないが、素晴らしい調査能力の高さを私も評価しており、むしろこちらから共闘を申し出たいほどの心強いブログだ。今後ともよろしくお願いしたいと思う今日この頃である。

[註] Google検索では「今日の化石賞」に関する記事は共同通信の記事しか見当たらず、各紙のウェブページからも見つかりませんでした。もし全国紙読売新聞か産経新聞に報道されていれば当ブログまでお知らせいただければ幸いです。

[追記] 朝日新聞は昨日(6/11)の2面、毎日新聞は昨日の3面で「特別化石賞」受賞をそれぞれ報じていました。朝日は長い2面の記事の中のわずか3行で触れていただけでしたが、毎日は大きな写真入りで見出しつきの7行の記事でした。これらが判明したので、当エントリのタイトルを変更しました。朝日も毎日もボンに派遣された特派員は結構頑張って記事を書いているのに、経済部が経団連の意向を汲んだ反動的な記事を垂れ流している印象を受けます。


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今朝の朝日新聞(大阪本社発行統合版)の1面トップに、「温室ガス 05年比15%減 中期目標 首相、上積み決定」という見出しが躍っている。おそらくどの新聞も同様の見出しを一面トップに掲げていることだろう。

どういうわけか「自エンド」界隈では、日本郵政の社長人事をめぐってもうすぐ自滅する自民党の内紛の記事ばかりが目立ち、環境・エネルギー問題は不人気どころか、筋の悪い「地球温暖化陰謀論」なるトンデモを掲げて池田信夫(笑)と共闘しているありさまだが、「大津留公彦のブログ2」「8%削減を15%と言う方法」と題したエントリで中期目標の件を取り上げている。その冒頭部分を引用する。

8%削減を15%と言う方法があった。
今日発表された政府の環境に関する2020年までの中期目標の数値の基準年がこれまでの1990年から2005年に変更された。
欧州の基準年は1990年だがアメリカは2005年でアメリカに合わせた格好となる。
日本は地球温暖化をどんどん進めている国なので基準年をどんどん後ろにずらせば改善率はどんどん高くなる。
この2005年基準の数値は当初14%と予定されていたが今の20倍にする予定の太陽光発電(前倒しして年内に電力会社の買い取り価格を二倍化する)による削減分で1%上積みし15%とした模様。
(「大津留公彦のブログ2」 2008年6月10日付 「8%削減を15%と言う方法」より)


大津留さんが指摘する通り、この「2005年基準」はアメリカに歩調を合わせたもので、相変わらずの対米従属ぶりだが、対米従属ならまだましで、日本の環境・エネルギー政策はアメリカよりはるかに悪く、報道で知られているように、オバマ大統領はグリーンニューディール政策に熱心だし、それどころか悪名高いブッシュ前大統領でさえ、任期後半には就任当初とはスタンスを変え、環境・エネルギー政策に目を向け始めていた。これに関しては、以前のエントリで紹介したことのある金子勝とアンドリュー・デウィットの共著『環境・エネルギー革命』(アスペクト、2007年)が詳しい。

前記「大津留公彦のブログ2」にも、下記の佐和隆光・立命館大教授のコメントが紹介されている。

20年に人口が90年比33.4%増になるアメリカの中期目標は「1人当たりの温室効果ガス排出量を90年比25%削減することを意味する。人口が横ばいの日本の90年比25%削減の目標と同等だ」


ところが、朝日新聞の報道ぶりはどうだろう。昨夜のテレビでは、民主党の鳩山由紀夫代表と共産党の志位和夫委員長がともに麻生首相が打ち出した中期目標を厳しく批判するコメントを発していたが、それは紙面には掲載されておらず、わずかに2面の下の方に、下記のような記述がある。

 今秋までに実施される衆院選で政権交代があれば、日本のスタンスは大きく変わりかねない。民主党は90年比で25%削減を主張しているためだ。党地球温暖化対策本部の福山哲郎事務総長は10日、政府の目標を「国際社会を失望させる。この数字では、温暖化対策と経済成長の両立の政治的意志を国際社会に伝えられない」と厳しく批判した。
(朝日新聞 2009年6月11日付2面より)


共産党や他の野党のコメントは、全く掲載されていない。その一方で、「政策面」と銘打たれた7面には、「家庭にしわ寄せ」という大見出しで、2020年に温室効果ガスを90年比8%減にすると、現在の削減努力を続けるだけのケースと比べて家庭の可処分所得が年間4万3千円減り、逆に光熱費は年間3万6千円増え、実質的な負担増は月当たりで6千円以上になると書かれているが、これは記事にも明記されているように、政府の試算をそのまま紙面に載せたものだ。この面の記事は、経団連の意向に沿ったものに近いが、その中に、

 ただ、今回の中期目標の前提は多くが家庭の負担増で、特に産業界に厳しいわけではない。

とさりげなく指摘していたりする。実際、太陽光発電のほか、リチウムイオン電池の技術においては日本は世界をリードしており、その技術を適用できる電気自動車に関連する業界には、商機を期待するむきもある。しかし、電力や鉄鋼業界にとっては大きな不利益になるので、これらの業界、労組や経団連、それに彼らと結託した経済産業省が温室ガス削減政策に強硬に抵抗しているのが実情なのである。

この腐れ朝日の報道と比較すると、「日経エコロミー」というサイトを開設している日経のほうがまだましで、当ブログは特に飯田哲也氏のコラム「飯田哲也のエネルギー・フロネシスを求めて」を推薦する。最新の6月1日付「自然エネルギー普及のカギ、「FIT」制度への改善提言」では、当ブログ5月22日付エントリ「エネルギー政策を骨抜きにする経産省と、無策の麻生首相」でも紹介した、週刊「エコノミスト」5月26日号掲載の飯田氏の記事とほぼ同内容のコラムを読むことができる。

最後に、私が最も注目しているのは民主党の政策で、朝日の記事にもあるように、民主党は「温暖化対策と経済成長の両立の政治的意志を国際社会に伝え」るべく、90年比温室ガスの25%削減を主張している。これは、経団連とは真っ向から対立する政策である。政権交代が起きたって、どうせ民主党も自民党同様の、経団連に支配された政治を行うに決まっているとする見方もあるが、本当にそうかどうか、環境・エネルギー政策の進め方は絶好の監視材料になるだろう。世の民主党支持ブログも、もっとこういった点を積極的にアピールすればよいのにと思うが、一部ブログに引っ張られてか、もう国民からは見放されている自民党内の、日本郵政の社長人事をめぐるどうでもよい内紛のことばかり書いている。郵政民営化を「唯一の争点」に誘導されてしまった4年前の「郵政総選挙」において、郵政民営化をめぐる自民党の「カイカク派」と「抵抗勢力」の争い、ことに「刺客作戦」にばかり人々の関心が集まり、民主党以下の野党が関心の埒外に去って、自民党圧勝の選挙結果になったことを彼らは忘れたのだろうか。彼らは、「官僚支配からの脱却」などのお題目は熱心に唱えるが、その具体的な内容は何一つ書かない。官僚支配の悪弊を指摘するための恰好の具体例の一つが環境・エネルギー政策であり、それは上記の飯田哲也氏のコラムを読めばよく理解できるし、理論武装もできることを指摘しておきたい。


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岡山県の宇野港(玉野市)と香川県の高松港を結ぶ宇高連絡船が、「地方の高速道路1000円」の料金割引により瀬戸大橋利用が増え、存続の危機にあるというニュースに接したのは4月のことだった(下記URLの毎日新聞記事参照)。
http://mainichi.jp/photo/archive/news/2009/04/19/20090419k0000e040018000c.html

この区間を運航するフェリー3社のうち津国汽船(玉野市)は4月1日に撤退、他の2社も「歴史ある航路を残したいが、収支を見極めて」と先行きは不透明で、地元自治体は国へ支援を求めているという。

この件をブログで取り上げようと思っているうちに時間が過ぎていって今に至ったのだが、昨日(1日)の日本経済新聞の社会面が、「1000円高速」がフェリーを次々に廃業や減便に追い込んでいると報じていた。日経はいつもウェブ版では記事のサマリーしか載せないが、広島?愛媛を結ぶ呉・松山フェリーが6月末で廃業する件のほか、紙面には日本全国各地の主な長距離フェリー会社の減便や値下げの状況が出ている。

苦戦しているのはフェリーだけではない。前記日経記事によると、

高速バスも苦戦しており、九州の約80社でつくる九州バス協会が5月27日、利用者減に加え、渋滞が増えて運行に支障が出ているとして、お盆などの高速道の割引拡充に反対する要望書を国交省に提出した。

とのことである(より詳細な記事は、西日本新聞の記事を参照されたい)。

さらに、環境面への悪影響も懸念されている。以下、やはり同じ日経記事から引用する。

国立環境研究所(茨城県つくば市)の松橋啓介・主任研究員は「一般的な自家用車のCO2排出量は1人あたり鉄道の約9倍」と指摘。世界各国が温暖化防止に力を入れるなか「移動手段が車にシフトし、CO2削減の流れに逆行する」と話している。
(日本経済新聞 2009年6月1日付紙面より)


温暖化の件については、割高な高速道路料金が一般道の渋滞を引き起こしているという現状もあり、5月25日付エントリ「クルーグマン教授の政策採点 & 経団連が日本を滅ぼす」にも書いたように、民主党の主張する高速道路無料化によって一般道の交通量の一部が高速道路に移行すれば渋滞が解消・緩和されることから、CO2の発生が抑制できるという試算もされているのだが、現在の「1000円高速」の悪いところは、全国一律ではなく、地方に偏った値下げであることであり、これによって地方の高速道路で渋滞が生じてしまったわけだ。自公与党が、選挙の票欲しさに場当たり的に行った今回の「1000円高速」は、公共交通網の衰退と環境悪化を同時にもたらす、最悪の政策といえると思う。

民主党の高速道路無料化政策にしても、仮に一般道の渋滞緩和効果によって環境悪化にはつながらないとしても(それもどこまで本当かわからないが)、公共交通網の衰退を加速させることは否定できない。時あたかも改正道路交通法施行令が6月1日から施行され、75歳以上の運転免許更新時に認知機能検査が義務づけられたことが報じられているが、昨日(1日)朝のNHKニュースで、愛媛県の東予地方の人がインタビューに答えて、以前から高齢者の運転免許返納運動を行っているが、公共交通網が衰退しきっているために、車がなければ生活できない高齢者が多く、そういうお年寄りには無理に運転免許の返納を勧められないと言っているのを聞いた。実際、当該の地域を少しでも歩いてみればわかるが、町は過疎化し、飲食店などが廃業した空き家が目立つにもかかわらず、国道の交通量は決して少なくなく、それなのにバスのダイヤはごくまばらという状態である。ヨーロッパはおろか、あのアメリカでさえ鉄道が見直されているとは昨今よく報じられていることだが、自民党も民主党もその流れに逆行する政策しか打ち出さない。こんなていたらくで、京都議定書は設定した目標が厳しすぎたなどと泣き言を言っても世界に通用しないのは当たり前である。

お年寄りや車を持てない若者でも暮らしやすく、環境へのダメージも提言する社会にするために二大政党が政策を競うのであれば良いが、現実はそれに真っ向から反する。見え隠れするのは経団連の影である。政権交代が起きて、民主党が中心になる政権ができたとしても、経団連の影響からどこまで脱することができるか、そこが問われるだろう。

[参考記事]
景気対策、逆に「エコ破産」「公共交通衰退」を加速?
(JanJanニュース、2009年6月1日)


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一昨日のエントリ「クルーグマン教授の政策採点 & 経団連が日本を滅ぼす」は、ノーベル賞経済学者の名前をタイトルに用いたためか、多くのアクセスをいただいた。

このエントリの後半では、環境・エネルギー問題を取り上げた。温室ガス削減の2020年までの中期目標を、「4%増」としたいとする経団連を批判したが、これ以上の努力を強いるのでは企業は悲鳴を上げるとのコメントもいただいた。

だが、これは企業だけの問題ではなく、政官業の三者すべての問題である。24日のTBSテレビ「サンデーモーニング」をご覧になった方も多いと思うが、環境エネルギー研究所所長の飯田哲也氏は、1992年のリオ・サミットで「2000年までに温室効果ガス安定化」という約束をしておきながら、バブル崩壊にもかかわらず、無策のまま石炭火力を増設し、1990年以降二酸化炭素の排出量を減らすどころか急増させてきたことを批判していた。今になって、いけしゃあしゃあと「4%増」などと言い出す経団連の言い分は、国際的には全く通用しないが、それは政治家や官僚にも大きな責任があり、これぞ政官業癒着の弊害ともいえるものだ。

中期目標の「4%増」を主張しているのは、政官業の三者ばかりではない。全国電力関連産業労働組合総連合(電力総連)をはじめとする7つの労組も、経団連に歩調を合わせている。これは、24日の「サンデープロジェクト」で民主党の岡田克也幹事長も認めていた通りである。電力総連は民主党への影響力が強いので、民主党も自民党同様、グリーンニューディール政策推進の「抵抗勢力」になっている。よく、「悪徳ペンタゴン」という言い方をする人がいるが、これに大企業の労組を加えて「悪徳ヘキサゴン」というべきではなかろうか? ブログでも、無批判に「自民党=悪、民主党=善」としているかのような言説が目立つが、政治はそんな単純なものではない。幸い、岡田幹事長は労組の抵抗があっても温室ガス削減政策に前向きな姿勢を崩さないことを明言していた。

積極的といえば、斉藤鉄夫環境相も温室ガス削減に熱心で、NHKや朝日新聞のインタビューに応じて、自らの姿勢をアピールしている。朝日のインタビューでは、「中期目標で15?25%削減」という意欲的な目標を打ち出す構えで、これは、「サンデーモーニング」で寺島実郎氏が支持するとしていた「7%削減」または「8%?17%削減」よりさらに踏み込んだ数字だ。ウェブ版には出ていないが、26日付の朝日新聞紙面には、公明党議員である斉藤環境相は公明党の独自色を打ち出したいが、総選挙に企業の支援を必要とする同党の太田代表は、必ずしもそこまで積極的ではなく、公明党にも産業界の包囲網が形成されつつあることが報じられていた。強すぎる経団連の政治支配からいかに脱出するかが、今後の日本政治の課題だ。

「広島瀬戸内新聞ニュース」のエントリ「「政治介入」という「麻薬」に手を染め、後れを取る日本経済界」は、環境省のグリーンニューディール政策も、中身は原発推進だと批判している。北欧では1970年代からなされていた原発推進の是非に関する議論が、日本では今に至るも行われてこなかった。昨年5月に書かれた、飯田哲也氏の「「環境ディスコース」の欠落――なぜ日本は環境政策でいつも迷走し後追いするのか」と題した論考から以下に引用する。

■日本の忘れ物

 環境ディスコースを構築することなく、その都度、「落としどころ」でドロ縄的対応をしてきた日本の環境エネルギー政策には、少なくとも3つの重要な「忘れ物」がある。それが今日でも、気候変動対策の足を引っぱっているのである。

 ひとつは、言うまでもなく原子力だ。北欧では1970年代、ドイツでも1980年代に乗り越えてきた原子力論争を、日本は「国策」の名の下に避けて通り、未だに消化していない。じつは米国や英国も十分に消化してきたとは言い難いが、少なくとも経済合理性からの議論は経ているのに対して、日本はそれも避けてきた。そのため、今やその反動で、ナイーブな原子力復古主義が幅を利かしている。

 第2に、電力市場改革だ。これは、「落としどころ」どころか、電力会社対経済産業省の総力戦となり、最終的には「日本型電力自由化」、すなわち見せかけだけの「自由化」で事実上の現状維持となった。本来であれば、環境エネルギー政策としての共通意味世界を構築するべき言論が、経済学の一分野(公益事業の規制緩和)に矮小化され、さらには組織間バトルへと堕ちてしまった。

 第3に、環境税だ。税自体が日本では密教中の密教である上に、多省庁かつ多くのステークホルダーにまたがるため、これまでほとんどまともな政策論議の場が与えられず、「アジェンダに乗るかどうか」が唯一の争点だったのではないか。

(「「環境ディスコース」の欠落――なぜ日本は環境政策でいつも迷走し後追いするのか」(日経エコロミー, 2008年5月22日付)より)


環境・エネルギー政策の推進は、政治主導でなければ進まない。財界や官僚と比べて、政治家の能力が著しく劣る日本にとっては、不得意な分野だと言わざるを得ない。せっかくの技術的なポテンシャルを持ちながら、それを政治が活かすことができていないのが最大の問題である。政治家の中には「官僚支配の打破」を訴える人が多いが、官僚や財界、労組などをコントロールできずにいいなりになる政治家の能力不足こそ解決しなければならない最たるものだと私は思う。経済や社会だけではなく、政治も今後混迷を続けるだろうが、その中で、国民のための政治を推進する能力を持った政治家を選んで育てていくのが、日本国民に課せられた課題である。


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朝日新聞に、ノーベル賞経済学者で米プリンストン大のポール・クルーグマン教授と与謝野財務・金融・経済財政相が対談し、クルーグマン氏は定額給付金の支給について「0点だ」と指摘するなど、日本政府の景気対策に辛口の評価もしたと報じられている。0点とした理由は、給付金はほとんどが貯蓄に回ってしまって使われないからで、ブッシュ政権末期にアメリカが同じ誤りを犯したのにそれを見ていなかったのかと、批判は痛烈だった。

記事にもあるように、これは、昨日(24日)、フジテレビの「新・報道2001」が昨日放送したもので、クルーグマン氏は日本政府に積極財政を求めた。マスメディアが好意的な自民党の与謝野馨や民主党の岡田克也は、ともに緊縮財政指向であり、マスコミは積極財政策にすぐ「バラマキ」のレッテルを張るが、そうやって誤りを繰り返してきたのが90年代以降の日本だった。

クルーグマン氏の評価で面白いと思ったのは、自公政府が実施した高速道路の値下げは「40点」で、なぜかというと交通渋滞という副作用を招くからで、高速道路の料金はむしろ値上げすべきだと言っていた。これでいうと、民主党の高速道路無料化はさらに評価が下がるはずだが、これには異論がある。民主党によると、高速道路の無料化により、一般道の交通量の一部が高速道路に移行すれば渋滞が解消・緩和されることから、二酸化炭素の発生が抑制できるばかりか、2兆7千億円の経済効果も生まれるとのことだ。民主党の馬淵澄夫議員によると、国土交通省もこれを裏付ける資料を持っており、国交省は同省所管の財団法人「計量計画研究所」の試算では、高速道路無料化の経済効果は、馬淵議員の試算をはるかに上回る7兆8千億円に達するが、国交省は報告書から、高速道路無料化の試算結果の部分を隠蔽して結果を公表しなかったとのことである(下記URL参照)。
http://www.zakzak.co.jp/top/200903/t2009030630_all.html

国交省がどこを向いて仕事をしているかがよくわかる話だ。なお、私自身は自民党も民主党も、道路より年々やせ細っている公共交通網の復活に力を入れてほしいと思う。中国・四国などの地方では、公共交通機関、特に路線バスの衰退は目を覆うひどさで、お年寄りや障碍者の方が年々暮らしにくくなっている。バス会社は、かつては利益の出ない路線バスを、観光バスの利益などで補う経営をしていたが、規制緩和によって誰でも観光バスを走らせることができるようになったためにバスツアーの値段が下がり、これがバス会社の経営を圧迫して、路線バスが次々と廃止に追い込まれたのである。これは、新自由主義の柱である規制緩和が、バスツアーを利用する都会人に恩恵をもたらす一方、地方の住民を苦しめた悪例の一つである。民主党が新自由主義に反対する姿勢をとるのであれば、公共交通網の復活に力を入れなければならないと当ブログは考える。

話をクルーグマン教授に戻すと、朝日新聞は、

省エネ家電への買い替えを優遇するエコポイント制度に対しては「評価は保留。現時点でポイントが何に使えるかわからないのに、ポイントが与えられる理由がよくわからない」とした。

と書いているが、テレビを見た限り、クルーグマン氏はエコポイント制度に「これは面白い」と肯定的な反応を示したが、現時点でポイントが何に使えるかわからない、つまり決めたことをすぐ実行していないことを批判していた。

クルーグマン氏から離れて、前のエントリでも取り上げた環境・エネルギー政策に話を移すと、経団連がまたやってくれた。

経団連の三村明夫副会長(新日本製鉄会長)は22日、東京都内で講演し、1990年を基準年に二酸化炭素排出量の削減を目指すことを決めた京都議定書を「外交上の失敗だ」と批判し、政府が6月に決める中期目標は、慎重に検討すべきだとの考えを示したのである(下記URLの毎日新聞記事参照)。
http://mainichi.jp/select/biz/news/20090523k0000m020100000c.html

中期目標を巡っては、経団連が12日、政府が示した「1990年比4%増」から「25%減」の6案のうち、最も緩い「4%増」の支持を表明。これに対し斉藤鉄夫環境相が「世界の笑いものになり、国際社会での地位をおとしめる」と批判したが、日本鉄鋼連盟の進藤孝生環境・エネルギー政策委員長(新日鉄副社長)は22日の会見で、「たとえ世界の笑いものになろうが、国民に過剰な負担にならないように国益を主張するのが行政責任者の役割だ」と反論したとのことである(前記毎日新聞記事による)。

こんなニュースに接すると、つくづく「経団連が日本を滅ぼす」と思ってしまう。昨日のTBSテレビ「サンデーモーニング」やテレビ朝日「サンデープロジェクト」でも、この中期目標が話題になっていたが、自社の不利益になることは何もしたくないという経団連傘下の企業や、その意を受けた経産省、それに彼らの言いなりになる麻生太郎首相以下の政治家の「政官業」三者が、日本を環境エネルギー問題の後進国にしてしまっている。

国民の意識も低く、当ブログを見にくるような、比較的政府に批判的と思われる人たちの間にも、「地球温暖化陰謀論」がまかり通っていたり、陰謀論に感化されていなくとも、「電力会社は現状の発電量で十分対応できており、新たな電気などいらない」などという論外なコメントを寄せてくる人(環境や資源の問題を全く考えていない)などがいる。地球温暖化陰謀論は、一部左派ブログに蔓延しているほか、新自由主義者の池田信夫も信奉しており、陰謀論の旗振り役をつとめている某ブログを見ると、「マスゴミ」というお決まりの物言いをしているほか、池田信夫のブログにリンクを張っていたりする(笑)。とんだ「左右共闘」である。

金子勝などは、この問題が話題になるたびに、再生可能エネルギー(新エネルギーまたはーとも自然エネルギーとも呼ぶ)は、地球温暖化対策と、新規雇用創出という二つの側面があり、是非とも力を入れなければならないと、口を酸っぱくして力説しているが、こうしたまともな議論が展開されているのはもっぱらマスメディアにおいてであり、ネットでは「グリーンニューディール」というと「原子力のPR」かと勘違いしてしまう人も出るほど、デタラメな議論ばかりがまかり通っているのが現実だ。ネットばかり見ていると、まともな認識は得られないと、ここに強調しておく。


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NHKの報道が政府・自民党寄りだとはよく言われることだが、やれ自民党だ、やれ民主党だという件に関しては、立場によって感じ方も違うだろうから、本当にNHKがどこまで自民党寄りなのか、私には判断がつきかねる。週末に各局が放送している番組を見る限り、もっとも自民党寄りに偏向しているのは、全国ネットの辛坊治郎の番組と、首都圏を除く全国の大部分をネットしているやしきたかじんの番組を制作している大阪の読売テレビで、次いで田原総一朗が政治番組を仕切っているテレビ朝日だと私は思う。

しかし、政策の各論になると、NHKは露骨に政府寄りの報道を行う。再生可能エネルギーをめぐる報道も、その最たるものである。

つい先日も、経済産業省が導入を決めた固定価格電力買い取り制度(フィードイン・タリフ、略称FIT)について、消費者やエネルギー産業側の否定的な見解を、朝7時のニュースで伝えていた。それを視聴して、ああ、こういうのがNHKの政府寄りの報道なんだなと思った。

よく知られているように、日本は、太陽光発電の設置量が長らく世界一にあったが、2004年、FITをいちはやく導入したドイツに抜かれ、それにもかかわらずコイズミが太陽光発電への補助金を打ち切った愚策を行ったこともあって、2008年には世界6位に落ちた。

そこで、経済産業省が重い腰を上げ、2月24日に二階俊博経産相が「日本版FIT」の導入を発表し、NHKを含むマスコミもこれを好意的に報道した。しかしその後、相変わらずの経産省の消極さが明らかになってきた。

週刊「エコノミスト」の5月26日号に、「環境先進国の嘘」という特集が組まれている。これに掲載されている岡田幹治氏や飯田哲也氏の記事を読むと、危機感を感じずにはいられなくなる。日本版FITでは、買い取り対象が家庭・公共施設での太陽光発電量のうち自家消費を除く余剰分だけで、事業目的は除外されているし、風力発電等、太陽光発電以外の再生可能エネルギーは適用除外になっている。しかも、買い取り条件は経産相が決めるとされ、事実上経産省に白紙委任されている。いうまでもなく、経産省は日本経団連と表裏一体だから、電力会社や鉄鋼会社などにとって不都合な政策が積極的にとられるはずがない。飯田哲也氏によると、経産省には、「原子力があれば新エネルギーは不要」と公言する官僚もいるとのことで、彼らに一任していては「日本版グリーンニューディール政策」が前向きに進むはずがない。

しかし、曲がりなりにも温暖化対策に前向きに取り組もうとした福田康夫前首相とは異なり、麻生太郎首相には環境・エネルギー政策に真剣に取り組むつもりは全くなく、岡田幹治氏によると、グリーンニューディール政策に最初に動いたのは環境省で、斉藤鉄夫環境相が麻生首相に日本版グリーンニューディールの素案を説明した(注)が、麻生首相は「環境省だけで考えるから、シャビー(みすぼらしい)なものになった」と言って、他省とともにまとめ直しを指示した。そこで経産省が機敏に動き、政策を骨抜きにしてしまったというわけだ。

FITは、かつて2000年頃に、超党派の議連による「自然エネルギー促進法案」が国会上程・成立の一歩手前まで進みながら、経産省と電力会社の強い抵抗によって立ち消えになった経緯がある。以後、経産省内ではFITが禁句になったのだそうで、それほど官僚にとってエネルギー政策の主導権が政治主導で行われることを何としても阻止したいのである。そして、その官僚の思惑通りに動いたのが麻生太郎だった。官僚支配の政治の弊害は、こういうところにある。グリーンニューディール政策の促進は、新たな雇用の促進にもつながるとされ、世界的に注目されているのだが、官僚に支配された自民党政権は、まるで日本が世界から取り残されても、政官業癒着構造を守りたいかのようだ。

1970年代にアメリカでマスキー法という厳しい排ガス規制が提案された時、日本の自動車メーカーは懸命の努力をして燃費の良い車を生み、それが現在の国際競争力につながったが、マスキー法を葬ったアメリカのビッグスリーは経営危機にあえぐことになった。現在、日本の政治を実質的に支配しているのは経団連だが、彼らは政権が自らの思いのままに動かせるのをいいことに、かつて70年代に日本の自動車産業が見せたような企業家精神を発揮しなくなってきている。かつてのビッグスリーの姿が、現在の経団連傘下の企業の姿であり、日本の斜陽を感じずにはいられない。

よく、政権交代したって何が良くなるんだ、民主党なんて自民党と同じではないかと言われるが、民主党にも電力総連や電機労連の縛りがあるとはいえ、エネルギー政策に関してはFITにも前向きで、自民党と比較すればかなり先進的だと思う。官僚支配の政治を打ち破ると、このところ民主党はそればかり言っているから、当然エネルギー政策も政治主導で進めようという意気込みは持っているのだろう。もちろん、官僚や経団連は、政権交代が起きたら起きたで、民主党を取り込んで新たな政官業癒着構造を形成しようとはするだろうが、全部が全部彼らの思い通りにはならないだろう。それだけでも、政権交代を起こす意味は十分あると私は考える。

自民党と同じところもあるが、違うところもあるという鵺(ぬえ)のような民主党だが、それをどのような性格の政党にするかは、国民にかかっていると思う。

(注)
『広島瀬戸内新聞ニュース』からいただいたTBによると、

「グリーンニューディール」を環境省が提案しているということですが、中身的にはやはり原発推進で、あまり、好ましくないと思います。

緑の経済と社会の変革
http://www.env.go.jp/guide/info/gnd/

それさえ骨抜きにしてしまったのが、官僚と自民党、経済界です。

とのことです。


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12日に投開票が行われる秋田県知事選は、自民党、社民党、連合などが支持する佐竹敬久氏の圧勝が予想されており、民主党が支持する川口博氏は劣勢だ。選挙結果が出たら、またマスコミが「西松事件の影響だ」と大騒ぎすることは目に見えている。

千葉県知事選でもマスコミはそう叫んだ。こちらこちらなどを読むと、この選挙がどういうものだったのがよくわかるし、東京都の小平市長選のように、自公の推す候補が惨敗した例もあり、自治体固有の事情をよく分析して報道しなければならないと思うのだが、マスコミは馬鹿の一つ覚えみたいに「西松事件の影響」の一点張りだった。

だが、どういうわけか民主党の鳩山由紀夫幹事長は、マスコミの言い分を半ば認めるかのように、自ら千葉県知事選と西松問題の影響を認めて、有権者にお詫びしなければならないと言うなど、前記リンク先のブログ記事に、

元々が知事選とは関係のないところでの事件でもあれば、30万票以上もの大差がついたことを考えれば、仮に影響があったとしてもそんなものは微々たるもの。にもかかわらず、影響があったとして陳謝してしまった鳩山由紀夫幹事長。甘ちゃんなのか、度胸がないのか、まったく理解に苦しみます。
(『undercurrent』?2009年3月30日付記事「バッカじゃなかろうか」より)

と酷評されるありさまだ。

小沢一郎に対して是々非々のスタンスをとる私などから見ても、鳩山はいったい何言ってるんだと思うのだが、菅直人と比較してより小沢一郎べったりの鳩山由紀夫は、小沢一郎に好意的な人たちからは好感を持って受け止められているらしく、なんだかなあと思ってしまう。鳩山は、2001年の参院選で民主党を惨敗させた一方、菅直人には2003年の総選挙で党勢を拡大した実績がある。

その鳩山由紀夫も、このところ姿勢がふらついてきた。都内での講演で小沢一郎の進退問題について、「大変厳しい世論が出ている。このままで政権交代できるかどうか、際どい状況になっている」と述べた。鳩山は「小沢代表を辞めさせることが政権交代をしやすくするのか、粘り腰で反転攻勢をかけることが評価されるのか。大変難しい」とも述べ、苦しい胸の内を吐露したという(下記URLの産経新聞記事参照)。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090408/stt0904082322010-n1.htm

私は、鳩山の本音は実は少し前から代表交代にあり、次の体制では、少しでも自らの属する右派の影響力を拡大しようという意図を持って動いているのではなかろうかと邪推している。現在の小沢一郎体制は、小沢が横路孝弘ら左派と結んだとされている政策協定なども関係するのか、左派の影響力が強く、右派には不満の多いものに違いないからだ。鳩山は、前原誠司あたりと比較しても「右」に位置する保守派の政治家である。

もう一つ、民主党の代表交代を後押ししているのが朝日新聞で、「きしむ民主トロイカ」、「代表続投巡り鳩・菅に距離」などの見出しのついた4月4日付記事の末尾に、鳩山・菅両氏をよく知る中堅議員の、

「結局、小沢さんに鈴をつけられるのは2人しかいない。その手法が違うだけだ」

という言葉を引用している。その朝日新聞は、もちろん鳩山ら保守派を支持しているわけではないが、以前にも菅直人を東京都知事選に転出させようとした例からわかるように菅直人とも合わず、中間派で新自由主義的傾向の強い岡田克也の代表就任を待望していることは明白だ。

私がダメ押しだなと思ったのは、昨日(4月9日)の朝日新聞に載った早野透のコラムで、「ポリティカにっぽん 「ラストエンペラー」は去る」と題されたこの記事は、90年代から小沢一郎を後押ししていたこの新聞記者による小沢一郎への惜別の辞としか読めないものだ。終わり近くから一節を引用する。

 小沢氏は、こんどの事件を「天命だよ」と語ったと伝えられる。ここ十数年の小沢氏が、時代の牽引力であったことはまちがいない。しかし、表と裏、理念と現実の乖離には、小沢氏も苦しむのではないか。かえっていま、そこが明るみに出て、小沢氏は安堵しているのではないか。「新しい政治文化」をつくるべき政権交代の前夜、角栄王国のラストエンペラーはやはり去るほかない。
(朝日新聞 2009年4月9日付記事「ポリティカにっぽん 「ラストエンペラーは去る」より)


「自エンド」にTBされる記事を読んでいると、小沢一郎体制は磐石であるかのような錯覚が起きるが、朝日新聞の記事を読んでいると、小沢一郎体制の終焉は間近ではないかと思われる。小沢一郎の指示でこれから行われる衆院選の情勢調査の結果によって、小沢一郎の進退が決まるのだろうが、調査結果の周知を長妻昭が迫ったことも報じられた。テレビの露出度も高く人気のある長妻昭のスタンスがうかがわれる。

そんなわけで、週明け以降はまた民主党代表がらみの政局の話で騒がしくなるのは間違いない。そうなったら、昨日のエントリのような環境・エネルギー問題関連の記事(予想通り不人気だったw)を上げるタイミングをまた失してしまいそうなので(昨日のエントリもいったんお蔵入りにしていたものだった)、これに関連してちょっと書いておきたい。

発売されたばかりの月刊誌『世界』5月号に、「日本版グリーンニューディール」の特集が出ている。その中に、飯田哲也氏が「日本の環境エネルギー革命はなぜ進まないか 賢く機能する政府への転換を」と題する論文を寄稿している。ここで飯田氏は、

オバマのグリーンニューディール政策は、単なるバラマキ公共事業ではなく、民間投資を促すと同時に長期的な構造改善に役立つ、「賢く機能する」政策が特徴なのである。

と高く評価する一方、フィードインタリフ導入をめぐる日本の政策の混乱を、

現状では、「賢くなく機能しない」政府のもとで、ただのバラマキに終わる懸念がある。

と評して厳しく批判している。

日本版グリーンニューディール政策が失敗すると予想する要因を、飯田氏は3点指摘している。1点目は、「知のガラパゴス列島 普遍知・実践知・統合知の欠如」として、政策を成功させるための「知」が世界の常識や現実から隔離されているとする。2点目は、「政治決定する官庁」、すなわち官僚の政治支配である。経産省と環境省が争っているが、環境・エネルギー政策に消極的な経産省が優勢で、政治はこれまでこの問題にほとんど関心を持っておらず、ようやく関心を持ち始めたものの、今年1月の国際自然エネルギー機関(IRENA)への出席にも消極的だったが、アメリカが出席するという情報が入ると、急遽日本も出席を決めるというていたらくだった。

3点目が、「電力幕藩体制」であって、飯田氏は、

自然エネルギーにもっとも消極的であり、かつ構造的な課題は、日本の一〇電力体制であろう。

と指摘している。戦時体制で一元化されていた電力事業は、戦後全国を10の地域に分け、それぞれの地域を唯一の電力会社が独占する「地域独占」と発電から送電、配電、売電までの機能を一つの電力会社が独占する「垂直統合」(機能の独占)を特徴とする体制となった。1990年代からの規制緩和・自由化の流れにあっても、部分的な自由化が進められたものの、根幹には手つかずで、「世界的に見ると途上国を含めても極めて異例」の状態が続いている。その電力会社が、電気事業連合会(電事連)という業界団体や経団連を通じて自民党のエネルギー政策に強い影響を与えている。一方、電力総連や電機労連は民主党に強い影響を与えている。つまり、国会のエネルギー政策は電力会社の強い影響下にあるということだ(以上、『世界』2009年5月号掲載飯田哲也論文の166頁より自由に引用)。仮に民主党中心の新政権へ政権交代が起きたところで、政策が劇的に変化することは考えづらいが、先進的な環境エネルギー政策を持つ(と筆者が考えている)社民党あたりが、民主党に強く働きかけて政策転換へと動かしていってほしいものだ。

飯田氏は、霞ヶ関政治のあり方やそれを産み出す政治構造を、打倒すべき「敵」だとして、

 今こそ、われわれの真の敵を見出し、近視眼的・ムラ社会的な利害を超えて、「賢く機能する政府」に向けて、真の政治改革を行うときではないだろうか。

と論文を結んでいる。「真の政治改革」という表現には若干抵抗があるが、飯田氏の論文は説得力に富んだもので、当ブログ読者の皆さまにも一読をおすすめする次第である。


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資本主義の世の中では、バブルの生成と破裂がつきものだが、新自由主義の時代になってからそれは一段と顕著になった。

現在注目されている「新エネルギー(再生可能エネルギー)」も、今後バブルを生成する(あるいはすでに生成し始めている)といわれており、発売からだいぶ日が経ってしまったが、『週刊東洋経済』の3月21日号にも、「新エネルギーバブル!」と題された特集が組まれている。

「バブル」と名がつくので聞こえが悪いが、未曾有(笑)の経済危機にあって、「クラッシュした経済を "緑の経済対策" で立て直す」(『週刊東洋経済』2009年3月21日号37頁参照)というのは、ごく自然な発想だ。つまり、たとえバブルを生成しようが力を入れなければならない分野なのである。アメリカの前大統領・ブッシュは、新エネルギーにはきわめて消極的だったが、新大統領のオバマは、大統領選挙時から公約していた通り、新エネルギーに積極的だ。2月17日に成立した米景気対策法では、総額の約1割を環境エネルギー分野に支出することを決めた(同37頁参照)。

よく知られているように、この分野ではヨーロッパが先進的だ。この分野は、市場原理に任せていたのでは成長しないから、投資に対する税額控除やフィードインタリフ(FIT、固定価格買い取り制度)を導入して、新エネルギーの需要を人為的に拡大させる必要がある。つまり、「官主導で市場を創る」という点が、「グリーン革命」の大きな特徴とされる(前掲誌38?39頁参照)。これは、新自由主義の精神には反するから、ブッシュやコイズミは否定的だった。コイズミは、住宅用太陽光発電設備への補助金を2005年に打ち切り、以後日本の太陽光発電のシェアは、FITを導入して市場を急成長させたドイツにあっという間に追い抜かれ、今では大差をつけられている。コイズミというやつは本当にろくでもないことばかりをした男だった。

アメリカの大統領が「小さな政府」志向のブッシュから「大きな政府」を許容するオバマに代わって、アメリカはヨーロッパに追いつけ追い越せで、新エネルギー市場に本格的に乗り込もうとしている。アメリカへの追随しか能のない日本も、今年1月になって環境省が「日本版グリーン・ニューディール」の構想立案に着手した(前掲誌38頁参照)。

しかし、『週刊東洋経済』の記事は、日本の新エネルギー産業の将来を不安視している。同誌によると、最大のネックは電力会社が発電所と送電線インフラの双方を抱えたまま、実質的に地域独占していることだという。電力自由化が進んだ海外では、発電所と送電線インフラで機能分離されているケースが多く、送電線の会社は積極的に新エネルギーと接続しようとするが、日本では電力会社が、新規参入を招く新エネルギーの拡大を、既存の発電所を脅かすものと受け止めて、風力発電など新エネルギーの送電線接続に制限を課している(前掲誌43頁参照)。

先月、ヨーロッパに遅れること十余年、ようやく経済産業省がFITの導入計画を発表したが、これも対象を太陽光発電に限定されており、風力などその他の新エネルギーは対象にならない。経済産業省が、電力会社と、太陽光発電の高い技術力を有するシャープなどのメーカーの両方に配慮した形である(前掲誌43頁参照)。

そもそも、日本政府はこれまで新自由主義カイカクを進めながら、電力についてはノータッチだった。当ブログは、「官から民へ」を錦の御旗にする新自由主義カイカクには賛成ではないが、規制緩和や自由化がすべて「悪」であるわけでないのは当然だ。私は、飯田哲也著『北欧のエネルギーデモクラシー』(新評論、2000年)を読んで、北欧諸国において電力の自由化が新エネルギー開発を進展させたことを学んだ。それ以前には、脱原発の動きがあり、たとえばスウェーデンが脱原発の方向に踏み切ったのは70年代である。日本は30年以上も遅れをとり、いまだに政府は原発政策に固執している。日本の政党で脱原発の主張を明確に打ち出しているのは社民党だけであり、同党にしても自社さ連立を組んだ頃には一時原発容認の方向性をとり、日本に反原発の政党が一つもなくなったことさえあった。そのせいか、「地球温暖化問題」というと、「原発推進をもくろむ勢力の陰謀」などというトンデモ陰謀論さえ政府系、反政府系双方のブログなどに流布しているありさまで、もちろんこれは事実に反する。アル・ゴアは現在では確かに原発推進勢力と関係があるようだが、ゴアが始めたキャンペーンに原発産業がすり寄ったというのが実際で、まず陰謀ありきなどではないし、前述のようにスウェーデンは脱原発を打ち出した上で新エネルギー開発に注力してきた。

政府と電力会社は既得権益を守ることに必死で、それに対抗すべき民の意見も、トンデモ陰謀論なんかに侵されている始末だから、日本における新エネルギーの将来は暗いと言わざるを得ない。現状では、新エネルギーが伸びた場合に期待される雇用の創出が生み出されないことには特に留意したい。つまり、このままでは日本経済はいつまで経っても浮かび上がれず、日本は世界から取り残された四流国になってしまうと危惧する。

せっかくの高い技術力を持ちながら、政治の貧困によって経済がずるずる後退している日本。こういうところに、官僚支配政治の弊害があるのだろう。現在の自公政権が続く限り、現状の改善は望むべくもない。民主党が政権交代を求めて総選挙を戦うのであれば、環境・エネルギー政策で「自公政権にはできず、民主党を中心とする政権にならできる新エネルギー政策」を争点の一つに据えてもらいたいと思う今日この頃である。


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