FC2ブログ

きまぐれな日々

先週はブログをお休みしたので、2週間ぶりの更新になる。こんなに更新の間隔が開いたのはブログ開設以来初めてではないかと思う。先週は体調も悪く、政治に関するまとまった文章をブログに書く気はどうしても起きなかったのだ。

その間、『kojitakenの日記』はずっと更新していたけれど、(力を入れて書く記事もあるけれども)引用文の多い「はてなダイアリー」になら書ける。しかし、こちらに文章を書く心理的バリアはかつてなく高くなっている。

前回のエントリは6月25日付。それからあと約半月の間に、消費税増税法案の衆院本会議での採決があり、これに造反した与党・民主党の小沢一郎以下何十人かの国会議員が民主党に離党届を出し、民主党執行部はこれを受理せず小沢一郎以下の衆院議員を除籍処分にした。等々のできごとがあったが、すべては想定の範囲内だった。社会保障も富裕層増税も全部かなぐり捨てて消費税増税だけを行う法案を談合で可決した民自公3党はもちろんひどいし、消費税増税法案には私も反対だけれど、だからといって、明後日(11日)発足予定だという「小沢新党」など間違っても支持する気にはなれない。

「小沢新党」は「反消費税増税」と「脱原発」を掲げるという。原発問題に関しては、小沢一郎が自民党時代からずっと原発を推進してきた実績があり、特に保守分裂選挙となった1991年の青森県知事選で核燃サイクル推進派の現職(当時)を当選させるために現地の保守層を締め上げた。またつい最近も、民主党代表選で原発推進派の海江田万里を推したことは記憶に新しい。それでも、人気取りの意図はミエミエではあるけれども、曲がりなりにも「脱原発」を掲げるなら民主党や自民党よりはマシだろうと一応評価はしておく。

だが、「反消費税増税」については、「みんなの党」などと同様、「小さな政府」志向に基づく主張であると思われるため評価しない。消費税増税法案に反対であれば良いというものではない。いかなるビジョンを持っているかが大事だ。小沢一郎の口から「証券優遇税制延長反対」とか「所得税最高税率引き上げ」などの主張が聞かれれば考え直しても良いが、小沢がそんなことを口にするとはちょっと想像できない。

そして、早くも「小沢新党」の化けの皮が剥がれたと思うのは、またしても橋下徹の「大阪維新の会」との連携を待望していると公言したことだ。昨日(8日)NHKテレビで放送された『日曜討論』で、小沢は次のように述べた。

「橋下市長も、『いわゆる統治の仕組みを根本的に変えなければ、この国は本当によくならない』と言っている。私も、ずっとそのことを主張し、中央集権の霞ヶ関支配から、地域主権を作らないといけないと言っており、基本的な考え方は一緒だ。どなたであれ、考え方が一緒の方とは力を合わせながらやっていきたい」
(2012年7月8日放送 NHKテレビ『日曜討論』における小沢一郎の発言)


しかし、現実の世論は民主・自民の現在の「保守二大政党」にはともに強い不満を持つものの、「小沢新党」に対してはきわめて冷淡だ。TBS系列のJNN世論調査の結果は下記の通り。

 JNNが行った世論調査で、小沢元民主党代表が今週立ち上げる新党について聞いたところ、「期待する」と答えた人は13%で、「期待しない」とした人が84%でした。

 調査はこの土日に行いました。野田内閣を「支持できる」とした人は、前の月の調査より0.1ポイント増えて32.8%でした。一方、「支持できない」と答えた人は、0.2ポイント増えて66.4%でした。

 政府が国会に提出した消費税増税法案にもとづいて、2015年までに2段階で税率を10%に引き上げることに「賛成」と答えた人は、前の月より7ポイント増えて46%、「反対」は7ポイント減って53%でした。

 消費税増税法案の衆議院での採決で、与党である民主党から小沢元代表ら57人が反対票を投じたことについては、「理解できる」という回答が36%で、「理解できない」が59%でした。民主党が、反対票を投じて離党届を出した小沢氏ら37人を「除名処分」とすることについては、76%が「妥当だと思う」としています。

 小沢氏が今週立ち上げる新党について聞いたところ、「期待する」と答えた人は13%で、「期待しない」とした人が84%でした。

 政府が、福井県の関西電力・大飯原発3、4号機の再稼働を判断したことについては、「支持する」が43%、「支持しない」が49%でした。

 衆議院の解散・総選挙の望ましい時期を聞いたところ、「できるだけ早く」と答えた人が32%で、前の月の調査で最も多かった「来年夏の任期満了近くまで必要ない」の28%を上回りました。大阪市の橋下市長の率いる「大阪維新の会」の国政への進出については、「期待する」が58%、「期待しない」が35%でした。次の衆院選後の望ましい政権の枠組みについては、「政界再編による新しい枠組み」と答えた人が過半数となっています。(09日02:35)


最後の「次の総選挙後の望ましい政権の枠組みについて」は、リンク先の動画でもう少し詳しい数字が確認できる。それによると、「民主党中心の政権」5%、「自民党中心の政権」11%、「民主党と自民党の大連立」23%、「政界再編による新しい枠組み」55%、となっている。

つまり多くの人々は、現在の民主党と自民党の保守二大政党制にはもううんざりだと思いつつ、「小沢新党」には期待せず、橋下徹の「大阪維新の会」に期待している。これでは橋下が国政進出の準備を加速させるのも当然だろう。マスメディアとそれに誘導された世論が橋下に追い風を送っている。そして小沢一郎が橋下に秋波を送っていることも橋下への追い風を強めこそすれ、「小沢新党」への期待は逆に自らすぼませている。

これを受けて、早くも「小沢抜きの第三極」形成への動きが強まっているという。たとえば石原慎太郎などはその急先鋒だ。

ここで私が気になっているのは安倍晋三の動向である。現在の状況では安倍が自民党から飛び出すことは考えられないが、次期総選挙を受けて自民党と民主党の合流などという話が仮に出た場合、それでなくても今でも自民党で冷や飯を食わされている安倍晋三はますます存在感を失うから、それよりは橋下とくっつこうとする動きを見せてもおかしくない。

それに関連して、29日の山口県知事選で橋下徹が大阪府市の特別顧問だった飯田哲也を推さないのは、既に「ノーパンしゃぶしゃぶ元官僚」山本繁太郎を推している安倍晋三に配慮したものではないかとの話を小耳に挟んだ。なんでも、橋下と自民党をつなぐパイプ役を安倍がになっているとのことだ。また、田原総一朗だったかが「橋下の狙いは自民党を分裂させてその片方と組むことだ」と言っていたとの話も聞いた。

これらのことを考え合わせると、世論調査で55%が期待しているという「政界再編による新しい枠組み」はとんでもないモンスターを出現させるのではないか、ますますこの国は壊れていくのではないかとの暗い予感しか私には持てない。

橋下との連携待望を公言する小沢一郎の発言は、モンスターを呼び寄せようとしているものだし、そんな「小沢新党」との連携を早々と公言した社民党の福島瑞穂党首にも失望させられる。

社民党については、6月20日付朝日新聞のオピニオン面に掲載された、坂野潤治東大名誉教授の「日本の政治で悪かったのは左派の勢力が『安上がりの政府』を志向し続けたこと」という指摘が今なお当てはまっているのではないか。私はその一部を『kojitakenの日記』で紹介した。福島党首が「まずムダを省く」と発言するのを聞いて、何言ってんだと当ブログで批判したのは一昨年の2月に政権交代後初めて消費税増税論が出てきた時だと記憶するが、その時から社民党はいっこうに改まっていない。これでは政党支持率が1%にも満たないのも止むを得ない。坂野名誉教授は「日本にも社会民主主義政党が必要だ」と言うのだが、「社会民主」を党名に掲げた政党が「小沢別働隊」のていたらくで、その小沢一郎は実質的に橋下の後押しをしているようではどうしようもない。

記事のタイトルを「『橋下との連携』を待望する小沢一郎の『新党』に未来なし」に決めてから書き始めたが、いささかタイトルと本文がミスマッチだったかもしれない。「『橋下政権』を待望する日本人と日本の政治に『未来』なし」とでもした方が良かったかもしれない。
それに気づいたきっかけは金子勝氏のTwitterだった。
https://twitter.com/masaru_kaneko/status/213671421409366016

大手メディアの社説やコメンテーターが「決められない政治」脱却を大合唱。若者の非正規雇用化や家族の解体でもたない社会保障制度はそのまま、自民党の国土強靱化法案を批判せずに社会保障をバラマキと言い、なし崩しの原発推進も肯定。逆戻りしても日本の未来はない。変われない政治が問題なのです。


6月16日付朝日新聞社説を見てみると、タイトルが「修正協議で3党合意―政治を進める転機に」となっており、本文には「この合意が『決められない政治』を脱する契機となることを願う」、「なぜ『決められない政治』に陥ったのか。それは、政治家が厳しい現実と向き合うことから逃げてきたことが大きい」といった文章が並ぶ。

他紙も、毎日「『決める政治』を評価する」、読売「『決められる政治』に転じる貴重な一歩としてもらいたい」、産経「『決められぬ政治』回避したが社会保障抑制は不十分」と、朝日も合わせて「決める政治」「決められる政治」「決められぬ政治」「決められない政治」とみごとなまでのワンフレーズ・ポリティクス。しかも4社で語尾が少しずつ異なっているところまで笑わせてくれる。

大新聞、特に朝日新聞に対する批判は、『kojitakenの日記』にも書いてホッテントリになったが、そこで触れなかったことをこの記事に書く。

私は、マスコミが政府を批判する言葉として「決められない政治」というフレーズを用いていることはもちろん知っていたが、それを朝日や毎日も前面に押し出して堂々と使ってくるとまでは思わなかった。それは、「決められない政治」批判を行う者が念頭に置いているに違いない政治家を思い起こさせるフレーズだからだ。

そう、橋下徹である。

検索語「決められない政治 橋下」でネット検索をかけると、下記日本経済新聞の記事が引っかかる。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2401H_U2A520C1EB1000/

橋下現象の背景に「決められない政治」 米紙分析

 米紙ワシントン・ポストは23日付の1面と14面で、次期衆院選に向けて注目を浴びる橋下徹大阪市長に関する記事を掲載した。橋下氏が支持を集める背景には政治、経済の現状への「国民の不満」があると指摘。「決められない政治」への嫌悪感が改革を訴える橋下氏への支持と結び付いていると分析している。

 「橋下現象」を巡る米側の関心の一端が米メディアを通じて表れた。橋下氏について「部外者が日本の政治に一石を投じた」とし、「橋下氏の政治手法が名声を広げた。敵をつくり、その敵と競うという能力に優れているからだ」と説明した。

 橋下氏が代表を務める「大阪維新の会」は現在、国会で議席はないものの、衆院選では200人の当選を目指していると紹介。現実に200議席を獲得した場合、橋下氏が一気に首相になる可能性もあると記した。(ワシントン=吉野直也)

(日本経済新聞 2012/5/24 10:12)


上記日経の記事が言及している『ワシントン・ポスト』の記事については、5月28日付当ブログ記事「マスメディアが作る『橋下ファシズム』&片山さつき批判」でも言及したが、現実に前述の「『決める政治』を評価する」と題したトンデモ社説を執筆したという毎日新聞論説委員長・倉重篤郎は、「ハシズム」批判のシンポジウムに出席して、「私は橋下さんをある程度評価する者です」と断った上で、「震災直後にあれだけ『頑張ろう日本』『頑張ろう東北』『絆』と叫ばれていたのに、がれき処理になったら一斉に拒絶。全ては憲法9条が原因だと思っています」という橋下の発言に対して、「私の心にも響くものがある」と述べたという(『五十嵐仁の転成仁語』のエントリ「橋下大阪市長の『ハシズム』で日本を沈めないためには」より)。同じ場で倉重は、橋下政治の「決める政治」は既成政党にも好ましい影響を与えているとして、決められない政治から抜け出しつつある点を挙げたとのことだ。

このことは、倉重が社論に責任を持つ毎日新聞や、私が前記『kojitakenの日記』でこき下ろした朝日新聞、それに主筆の渡邉恒雄(ナベツネ)が橋下を痛烈に批判したはずの読売新聞(当ブログ3月19日付記事「ナベツネは単なるワンマンマン、橋下徹の方が1万倍危険だ」参照)を含むマスメディアが、橋下(流)の「決められる政治」を肯定的に評価していることを示すものだ。

だが、いったい橋下は何を「決められる」政治家だというのだろうか。どういう実績があるというのだろうか。大阪府の財政は、黒字どころか過去最悪の赤字を記録した。大阪府知事時代から大阪市長就任後半年以上経過した現在に至るまで、橋下に何の実績があったのか。

何もないのである。

試しに、「橋下 実績」でググってみた。何も出てこない。それどころか、府職員や府立学校の教師志望者を激減させたり麻生太郎が「大阪維新の会の国政進出は市長として実績挙げてからにしろ」に言われた、などという記事ばかりが見つかる。橋下信者は人件費削減が成果だと言っているが、実際には橋下知事の下で大阪府の財政は悪化した。

まさか、マスメディアは「教育基本条例」(「教育行政基本条例」と「府立学校条例」)の成立が実績だというのか? あるいは「『親学』なるカルトに基づくトンデモ条例」として話題になった「家庭教育支援条例案」を、批判を受けたら早々に撤回したことが「決められる政治」になるとでもいうのか(そんな条例案を提出したこと自体、維新の怪の体質が問われねばならないことはいうまでもない)、あるいは、「脱原発」で人気取りを狙って、飯田哲也、大島堅一氏らを「市特別顧問」に任命し、「脱原発を争点にして解散総選挙を行え」と息巻いたことを評価でもしているのか?

橋下は、先月31日に大飯原発再稼働を「容認」した。橋下からの攻勢に手を焼いた野田佳彦(「野ダメ」)政権が球を関西広域連合に投げたところ、最終的に橋下の掌の上で球が炸裂した形だ。橋下は例によって掌返しを行って原発再稼働を「容認」し、責任を関西電力と政府だけに押しつけようとしたが、大阪府知事時代最高で83%もあった支持率を54%(毎日新聞・MBS調査)にまで落とした。しかしなおも半数以上の大阪市民が橋下を支持している。

支持率はともかく、橋下には実績が何もないことは明らかだ。すぐに何かをブチ上げたり、掌を返したりすることが「決め(られ)る政治」なのか。前述の毎日新聞・倉重篤郎が書いた社説や倉重の発言などを参照すると、そうとしか思えない。最初に引用した金子勝氏のTwitterでいうと、橋下も政府・民主党も自民党も「変われない政治」には該当する。たとえば橋下の「脱原発」がポーズだけだったことは、大阪市特別顧問を辞めて山口県知事選に立候補する飯田哲也氏を、大阪維新の会が一切支援しないことからも明らかだ。自民党がめちゃくちゃに強い山口県では、仮に「維新の会」の支援を受けたとしても、飯田氏は「ノーパンしゃぶしゃぶ」で悪名高く、2008年の衆院補選と翌年の衆院選で民主党の平岡秀夫に惨敗した自民・公明推薦の山本繁太郎に勝てない。だから橋下は飯田哲也を切り捨てたのである。飯田氏は、少し前の朝日新聞土曜別刷「be」に大きく取り上げられ、もし橋下政権ができたら古賀茂明氏と自分は入閣する、みたいなことを言って舞い上がっていて、みっともないなあと思っていたが、橋下に切り捨てられてようやく橋下の正体を悟っただろうか。だが、仮にそうだとしても、あそこまで橋下のスポークスマンを演じた飯田氏に、知事選で頑張ってほしいという気には、私にはなれない。

16日、ついに大飯原発再稼働を認めた「野ダメ」政権は、消費税増税の3党合意に続いて、2日連続で「決め(られ)る政治」を断行した。

消費税増税にも原発再稼働にも賛成している読売や産経は、まだ敵ながら筋が通っている。しかし、朝日や毎日は、原発再稼働には反対しながら、消費税増税には諸手を挙げて賛成するどころか読売・産経以上に熱心に推進し、ついには誰しもが橋下を連想する「決められない政治からの脱却」「決める政治」を社説で連呼し、論説の責任者自らが橋下のシンパであると認めるに至った。読売・産経よりもはるかに罪が重いのが朝日・毎日だといえるだろう。東京の人間なら、まだ東京新聞(中日新聞東京本社発行)をとるという選択肢があるし、兵庫県なら神戸新聞、京都府なら京都新聞があるのだろうけれど、大阪には何があるのかとも思う。昔の大阪には夕刊紙が乱立していて、神戸にも京都にもない、独特の猥雑な雰囲気があって面白かったものだが、その「庶民の町」はいまや「橋下ファシズム(ハシズム)に支配された町」に変わってしまった。

思えば、朝日新聞も毎日新聞も大阪発祥の新聞だった。残念な偶然である。
野田佳彦(「野ダメ」)政権が関西電力大飯原発再稼働に踏み切ることが確実な情勢になったが、それに先立つ先週の水曜日(5月29日)頃、テレビのニュースで、野田首相が「原発再稼働について、関西広域連合の理解が得られつつある」と発言したと報じられた。

これが、その2日後の金曜日(6月1日)、床屋政談ならぬ職場政談で話題になっていた。政談の主いわく、「野田さんは『関西広域連合の理解が得られつつある』って、一体何言ってるのかなあと思ってたけど、話がついてたんだね」と。断っておくが、私はその人に何らの示唆もしていない。

新聞も橋下徹の「転向」を大きく報じた。喜びを隠せない読売新聞は、「橋下市長の理解が決め手、大飯再稼働へ急展開」と題した記事に、

再稼働批判の急先鋒(せんぽう)だった橋下市長が理解を示したことで、一気に再稼働容認への流れができた。

と書いた。毎日新聞も、「大飯再稼働:橋下市長、一転『事実上容認』 前日発言翻し」と題した記事にこう書いている。

 大阪市の橋下徹市長は31日、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働について、「基本的には認めない」としていた前日の発言を翻し、「事実上、容認する」と明言した。ただ、「期間限定(の再稼働)は言い続けていく」として、秋ごろをめどに運転停止を求める考えを示した。

 橋下市長は市役所で記者団に、「上辺ばかり言っていても仕方ない。事実上の容認です」と語った。これまで大阪府・市のエネルギー戦略会議などでは、再稼働しなくても電力は足りるとする趣旨の議論が展開されてきたが、「足りるというのは個人の意見だ。きちんとしたプロセスで確定した数字は前提にしなければならない」とも発言。政府が今夏、関西で15%の電力不足が生じると試算していることを踏まえ、「この夏をどうしても乗り切る必要があるなら、再稼働を容認する」と述べた。また従来、「安全が不十分な状態での再稼働はあり得ない」と繰り返していたが、「机上の論だけではいかないのが現実の政治だ。最後は有権者に判断してもらったらいい」と説明した。(後略)

毎日新聞 2012年05月31日 12時00分(最終更新 05月31日 13時24分)


だが、橋下が大飯原発再稼働を「基本的には認めない」と啖呵を切っていた前日には、野田首相が「関西広域連合の理解が得られつつある」と発言していたのである。橋下は、裏で政府と手を握りながら、表ではええかっこしいをしていたということだ。

そもそも、橋下が大飯原発再稼働可否のキャスティングボートを握っていたこと自体異常だが、これというのも原発再稼働をめぐって橋下に突き上げられ、「脱原発を総選挙の争点にする」と言われて支持率の低下に悩まされていた「野ダメ」政権が、当初もくろんでいたゴールデンウィーク前の大飯原発再稼働決定をいったん先送りし、橋下にボールを投げた形をとったためだ。

噂された「6月解散・総選挙」もほぼ消えた橋下の本音は、特段「脱原発」でもなんでもなく、ただ単に自身の人気取りのために有効なカードとしてこれを利用していただけだったから、解散総選挙が先送りされて関西の財界から原発再稼働をせっつかれるだけの状況は橋下にとって都合が悪い。ところが、このところ上杉隆や早川由紀夫らの暴走によって「脱原発」から次第に人心が離れてきており、そのとばっちりを食って「核燃サイクル維持のための秘密会議」を暴いた毎日新聞のスクープまで誤報扱いされる事態が生じていた。

この件については、『さつきのブログ「科学と認識」』のエントリ「だまされゆく人達」に実によくまとめられているので、リンク先をご参照いただきたい。一言だけ付言すると、私もブログ主のさつきさんと全く同様に、「togetter: 毎日新聞スクープ"核燃サイクル「秘密会議」"について鈴木達治郎氏(原子力委員長代理)と江川紹子氏、斗ヶ沢秀俊氏がツイッター上で質疑応答のコメント欄を読んで、暗澹たる気分になった。「核燃サイクル」とは、「原発再稼働可否」とは一段レベルの違う論外の「トンデモ」であり、その存続を狙った「原子力ムラ」の画策を暴いた毎日新聞のスクープは称賛されてしかるべきものだし、橋下徹のブレーンであることは全く評価できない飯田哲也とはいえ、この件に怒ったのは当然の反応である。

頭が痛いのは、昨日(6月3日)のオウム真理教・菊地直子容疑者逮捕でまたぞろ引っ張りだこになっているであろう江川紹子氏が、結果的に「毎日新聞の誤報」であるかのような印象操作に加担してしまったことだ。江川氏は、もはや「無自覚な原発推進派・核燃サイクル推進派」と言わざるを得ない。本人にはそのような意図は全くなく、ましてや一部で誹謗中傷されたような「東電から金をもらっている」ことはあり得ないと思うが、本人に悪意はなくとも結果的に「原子力ムラ」の延命に加担してしまうあたり、日本の長年の「原発推進」の病巣は深いと嘆かずにはいられない。

脱線が長くなったが、こんな「流れの変化」を見て取った橋下が、「脱原発」を求める世論と、これまで築き上げてきた自らの人気を秤にかけて、「今なら再稼働を『容認』しても、自らの人気を決定的に毀損するほどのひどいダメージは受けない」と判断し、原発再稼働の「容認」に踏み切った。そう私は考えている。

案の定、橋下に「梯子を外された」ようにしか見えないブレーンの飯田哲也は、Twitterを連打して、必死に主君の橋下を庇い立てた。だが、そんな飯田氏に橋下は追い打ちをかけた。「原発再稼働」に突き進む野田首相を飯田氏は「知性のカケラもない、野ダメ首相」と評した(これには私も全面的に同意する)のに、橋下は「民主党政権を倒す」としてきた自らの発言を撤回したのである。以下毎日新聞記事を引用する。

橋下市長:「民主党政権倒す」発言を撤回 対決姿勢も修正

 「大阪維新の会」代表の橋下徹・大阪市長は1日、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の再稼働を巡り、「民主党政権を倒す」としてきた自らの発言を撤回すると述べた。次期衆院選で民主と対決するとしてきた維新の方針も見直す方針を明言した。

 市役所で記者団に述べた。橋下市長は、政府が大飯原発の再稼働を妥当と判断した4月13日、「政治家が安全なんて確認できるわけはない。次の選挙で民主党政権に代わってもらう」と発言。維新の会としても翌日、次期衆院選で民主と全面対決する方針を決定したが、わずか1カ月半で方針転換することになった。

 橋下市長はこの日、原発再稼働を「事実上容認する」と判断する決め手になったのは、細野豪志・原発事故担当相の発言だったと説明。5月30日の関西広域連合で、細野氏が「(再稼働について)暫定的な安全判断だ」と橋下市長の主張を一部受け入れたことが、政権への対決姿勢を軟化させた最大の理由だったと明かした。

 一方、5月15日に関西の経済3団体首脳らと会食した際、再稼働について「何とかならないか」と求められたことも明かしたが、「(経済界からの)脅しや圧力は一切ない。細野氏の発言が一番の判断根拠だ」と強調した。【原田啓之】

毎日新聞 2012年06月01日 22時40分(最終更新 06月02日 02時09分)


ここでもまた「橋下スペシャル」とでもいうべき「掌返し」を炸裂させた橋下だが、それ以上にいただけないのは橋下の屁理屈だ。

当初橋下は、「野ダメ」政権が急ごしらえで作った「暫定的な安全基準」を批判し、これに基づく再稼働に反対していたはずだ。民間のメーカーでも、重大事故を起こしたり製品に欠陥が見つかったりした製造ラインを「暫定的な安全基準」で再稼働させることは決して許されないから、この時点では橋下の言い分には筋が通っていた。

それなのに、それがいつの間にか、細野豪志が「暫定的な安全判断だ」と認めたから再稼働を容認する、などという理屈にすり替わってしまっている。もはや「詭弁」のレベルにも達さない、子供騙しの言い分というほかない。橋下の大好きな「民間」では、絶対に通用しない論法である。

しかし、呆れたことに橋下のこの論理破綻を指摘し批判するマスコミはほぼ皆無だ。まるで「物言えば唇寒し」とばかり、メディアは沈黙している。元々原発推進派の読売や産経はもちろん、朝日や毎日も同じなのだ。

さらに呆れるのは、「左派」あるいは「リベラル」の人士たちであって、「橋下さんを大きく描きすぎ」と書くブログもあれば、「原発問題に関して安易な橋下バッシングには決して乗らない」とつぶやく「進歩的」人士あり、さらには当ブログのコメント欄にも、「橋下のような小物に執着して、仲間内での議論に興じる」などと言って「橋下批判批判」を行う「小沢信者」がいる。

前回のエントリに、辺見庸が

テレビはバラエティショーおなじみのタレント弁護士を売りだし、チンピラ・アジテーターに過ぎなかったかれをヒーローにしたてあげた。

と書いたことを紹介したが、現実に橋下は「ヒーローにしたてあげ」られてしまった。中央政界では、小沢一郎をはじめ、渡辺喜美や安倍晋三や前原誠司、それどころか橋下の「元祖」格かと思っていた東京都知事の石原慎太郎までもが橋下にすり寄っている。こういう冷厳な現実があるにもかかわらず、「橋下さんを大きく描きすぎ」とか「橋下のような小物」などとは、いったい何を言っているのかと思うし、ましてや橋下のごとき手のつけられない人気者に対して、どこから「安易なバッシング」が起きているというのかと、頭がクラクラしてくる。

本当は今回は橋下の「文化・芸術に対する迫害」教育政策における「強者への逆再分配」についても書きたかったが、長くなりすぎたので止める。リンク先を参照されたい。といっても、今では当ブログよりリンク先の『kojitakenの日記』の方が数倍のアクセス数をいただくようになっているけれど。

それでも、まとまった意見表明の場として、当ブログは更新頻度はめっきり減ったけれども今後も続けていきたい。
昨年秋以来週1回更新を原則としている当ブログで取り上げる題材は、専ら大阪市長の橋下徹をめぐるものばかりになっているが、橋下に関する状況で私が「気持ちが悪くてたまらない」と思うことがある。

それは、多くの人々の「沈黙」である。人々は橋下について何も語ろうとしないのだ。人一倍関心を持っていながら。なぜそう断定的に書くかというと、ほぼ毎日更新している『kojitakenの日記』において、他のいかなる話題を取り上げた記事と比較しても、橋下について書いた記事のアクセス数が多くなるからだ。えっ、こんなつまらない記事がアクセスされるの、と驚いたことも数知れない。

今では小沢一郎関連の記事は典型的な「不人気記事」だし、原発問題について書いた記事もアクセス数は頭打ちだ。それなのに橋下について書いた記事ばかりアクセス数が伸びる。それくらい、みんな橋下に注目しているのだ。

そのくせ、橋下についてなかなか旗幟を鮮明にしたがらない。しかも、最近では「反・反橋下」の気運が見られるという。「反・反橋下」というのは、「橋下を叩いている奴らが気に食わない」というもので、本当は心情的には「橋下シンパ」なのだけれど、報道されている橋下の言動には、論理的に言って支持できない部分が多く、その自己矛盾を解消するために、「気に食わない反橋下派」を叩いて、「自分は橋下支持なんかじゃない、橋下批判派を批判しているのだ」という理屈で自己を正当化するのだ。

当ブログのコメント欄でよく見られた、「橋下を『右翼』とみなすのは正しくない」、「橋下を『新自由主義』と決めつけるのは不適切だ」などという言説もそんな空気に通じており、どこか橋下を批判することを自己規制しているかのように思われる。毎度のように書くけれども「脱原発に頑張る橋下市長を応援しよう」などという左翼人士氏の言説もそうだ。左翼人士氏にとっては、橋下という名前に条件反射して批判ばかりする左翼が多くの人々の共感を得ることはないと思うのかもしれないが、頭脳の明晰さは私とて認める左翼人士氏の発言の影響によって、ますます橋下批判がしにくくなり、「反・反橋下」の言説が、ほかならぬ「左派・リベラル」側から多く出てくる弊害の方がはるかに大きいと思う。

こういう風潮は、辺見庸がかつてよく書いた「鵺のような全体主義」につながるのではないか。今では事態はもっと深刻かと思われるが。近著『死と滅亡のパンセ』(毎日新聞社)で辺見は、東日本大震災1周年のために詩作と朗読とインタビューを朝日新聞記者から電子メールで依頼され(辺見は依頼を断ったとのこと)、その中で「社会に意義のある言葉」を求められたことを、戦時中の昭和18年(1943年)に「朝日新聞大阪厚生事業團」が主催した「戰詩の朗讀と合唱の夕」のリーフレットに「戰意昂揚と精神醇化のために」と書かれていることとの類似を指摘しそれを批判している。そしてその直後に、マスメディアと橋下徹を批判する文章が続く。以下引用する。

坪井秀人は「メディアは戦争が作る(あるいは戦争はメディアが作る)」と書いているけれども、大正解だね。これがマスメディアというものの本性だろうね。そうこうするうちに三月十一日の奈落はまるでなかったかのように塗りかえられ、テレビからはまたぞろばか笑いが聞こえてきている。大阪でおきているバックラッシュもテレビ、新聞を中心とするマスメディア由来のものだ。テレビはバラエティショーおなじみのタレント弁護士を売りだし、チンピラ・アジテーターに過ぎなかったかれをヒーローにしたてあげた。ボクシングの世界タイトルマッチで大阪の知事と市長をリングにあげ、「君が代」をうたわせてそれを実況中継したのはTBSだった。これだって別種の「声の祝祭」なんだよ。新聞もハエのように橋下という、テレビがひりだしたアジテーターにたかりついた。坪井秀人風に言えば、「ファシズムはメディアがつくる」さ。チンピラ・アジテーターは調子にのってどんどんしゃべくり、香具師のようにしゃべくりがうまくなっていった。このテレビ産の香具師は図にのっているうちにいずれはまちがいなく転けるだろうけれども、この社会は大震災後もヘラヘラ笑いながら新型ファシズムの道を歩んでいるし、橋下がいようがいまいが、今後もそうだろう。

(辺見庸『死と滅亡のパンセ』(毎日新聞社, 2012年)72-73頁)


辺見庸が槍玉に挙げているのは朝日新聞社だが、本の出版元の毎日新聞社も同罪であることはいうまでもない。朝日も毎日も、先日アメリカの保守系新聞『ワシントン・ポスト』が書いた程度の橋下評も行わない。同紙は橋下を「扇動市長」と表現し、「ティーパーティー(茶会)のような、小さな政府の哲学を持っている」と評している。選挙で勝った者は「白紙委任」されているとして、読売新聞主筆の渡邉恒雄(ナベツネ)に「ヒトラーを思い出させる」と批判されたことも紹介した。

橋下の酷薄な新自由主義的な施策は実にひどいものだが、多くの大阪市民はそれを手放しで賛美している。その橋下に安倍晋三(自民党)、渡辺喜美(みんなの党)、小沢一郎(民主党反主流派)など中央政界の「大物政治家」たちや、極右マッチョイズムでは橋下の先輩格とも思われた東京都知事の石原慎太郎までもがすり寄る。「小沢信者」たちは橋下にすり寄る小沢一郎について何も言わなくなるか、あるいは積極的に橋下と小沢一郎の連携を期待したりして「ファシズム」に組み込まれている。

橋下の「扇動政治」にヒントを得たのか、それとも静岡7区において長年「極右レイシスト」の城内実(自民党衆院議員)との抗争を続けた結果ライバルの城内にすっかり感化されたのか、自民党参院議員の片山さつきは、さる有名芸能人(私はこの人のことを知らなかったが)の母親が生活保護を受けていたとしてバッシングする愚挙に出た。昨日のテレビ朝日の『報道ステーション』日曜版だかなんだかが、番組の最初の方にいきなり片山が出てきたから私はチャンネルを変えたが、こいつはなんと自らがバッシングした相方の芸能人に「『夫の会社を潰してやる』と脅された」などと言って泣いて見せたのだそうだ。この「相方の芸能人」の発言とやらは、片山による捏造だろうと言われている。

「劣化版橋下」としか思えないこいつの醜態について、かつてこいつと選挙で争った城内実(1勝1敗)や、こいつに「こいつ」呼ばわりされた前原誠司のコメントが聞きたいところだが、こいつはなんと前自民党衆院議員の杉村太蔵(通称「タイゾー」。現お笑い芸人)にまで批判された。

しかし、さらに呆れるのは「2ちゃんねらー」がこいつを支持して芸能人をバッシングしていることだ。この事態を知って私は2004年の「イラク人質事件」における人質バッシングを思い出した。あの時の「自己責任論」はひどく、自民党の陣笠議員が誤った風説(自作自演説)を捏造してこれを煽り、その仕掛け人は官邸であるとの複数のメディアによる報道もなされた(当時は小泉純一郎政権時代。例の強面秘書あたりの仕業か)。

今回は、野田政権はバッシング劇に直接関与はしていないが、小宮山洋子厚労相が国会で生活水準の保護引き下げを示唆する発言を行った。これでは極右野党の極右政治家に「戦果」を与えるようなものである。そもそも「大連立政権」を目指しているとされる野田政権こそ「ファシズム志向」の最たるものだろう。しかし、朝日新聞も毎日新聞も社説で民主党と自民党は互いに歩み寄れと何度も何度も書き続けている。

事態は、「イラク人質バッシング」が起きた2004年当時よりも、ずっと悪化しているように思われる。
皆様のお住まいの地域では日食はご覧になれただろうか。私の住所では薄雲がかかっていたが、観察用のグラスで金環日食が観察できた。太陽が欠け始めた6時台にはえらく晴れていたが、その後いったんやや厚い雲に覆われて太陽が見えなくなったあと、雲が薄くなって、金環をかなりはっきり観察することができた。

だが、ブログ記事は今日もいつもの無粋な橋下ネタで行く。更新頻度がめっきり少なくなった当ブログだが、今年に入ってから橋下徹の批判ばかりしている。政治に関するニュースの主たる関心事が橋下をめぐることばかりだからだが、それは橋下が次から次へと仕掛けをしてくるからでもある。一昨日には関西広域連合の会合で「原発の『ピーク時限定』再稼働」とやらを「提案」して呆れさせた。リンク先の日経新聞記事の見出しは、「大飯原発、橋下市長が夏だけの再稼働案に言及」となっているが、公開されたばかりの時には、「大飯原発、橋下市長がピーク限定再稼働案に言及」となっていた。あたかも真夏の電力需要のピークになる数時間だけ原発を稼働させるかのような見出しだったのだが、橋下の発言自体がそのようなものだったのではないかと思われる。原発は運転を開始したり停止したりするのに日数を要するから、いったん再稼働させれば一定期間動かし続けなければならないくらい中学生でも知っているが、橋下がそれを知っていたかどうかはともかく、橋下がいつでも「原発のスイッチを入れ」て森永卓郎の熱い支持を調達できる人間であることは、この一件ではっきりした。しかし、翌日関西広域連合の会合に細野豪志が現れると、橋下は何食わぬ顔をして「脱原発」の闘士気取りに逆戻りしていたようだ。

そんな橋下だが、中央の政治家たちの間での人気は絶大だ。

少し前まで、当ブログは小沢一郎を批判することが多かったが、最近では私が小沢に対して腹を立てる最大の理由も「橋下にすり寄っていること」になった。橋下にすり寄ってはつれなくされる小沢からは、かつての「剛腕政治家」の面影が失われつつある。

小沢一郎に限らず、鳩山由紀夫にせよ菅直人にせよ野田佳彦にせよ、以前から、というのは3年前の衆院選の前から橋下に周波を送り続けていた。橋下の新自由主義は、民主党の体質にも相通じるものがあるからだろう。しかし、今年行われるのか来年になるのかはわからないけれども、支持率が暴落している民主党に最近の橋下は冷淡だ。

その一方で橋下は東京都知事の石原慎太郎に対しては思わせぶりな言葉を口にする。それに有頂天になったのか、石原は橋下と連携し6月にも政治塾「日本維新の会」を立ち上げたいと抜かした。以下読売新聞より。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120518-OYT1T01005.htm

石原知事「日本維新の会」設立へ、橋下氏と連携

 東京都の石原慎太郎知事は18日の記者会見で、新党構想に関連し、橋下徹大阪市長が率いる地域政党・大阪維新の会との連携を念頭に、6月にも政治塾「日本維新の会」(仮称)を設立したいとの意向を表明した。

 政治塾はたちあがれ日本の人材育成塾を母体とする予定で、次期衆院選をにらみ、第3極の結集を目指す。

 石原氏は先月、新党構想の「白紙」を宣言していたが、構想の具体化に向けて再始動した形だ。

 石原氏は、昨年1月に開講したたちあがれ日本の人材育成塾について、「すでに優秀な人材を修練している。さらに拡大した形で、積極的に手伝って人材を育てたい」と述べた。

 大阪維新の会については、「東京と大阪が連携して新しい人材を政界に送り込む。全体で『日本維新の会』のようなものを作っていきたい。6月に大阪とも話して具体的なメッセージを発したい」と語った。民主党の小沢一郎元代表との連携に関しては、「手を組むことは全くない」と強調した。

(2012年5月18日23時34分 読売新聞)


悪いが私はこのニュースを知って鼻で笑ってしまった。だって、「日本維新の会」とは、同じように橋下にすり寄ろうとした民主党の原口一博が昨年結成していたからだ。

東日本大震災と東電原発事故が起きる前の昨年2月24日、毎日新聞が下記の記事を掲載した。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110224ddm005010085000c.html(註:リンク切れ)

原口前総務相:「日本維新連合」準備会合に57人 橋下氏は「一線画す」

 原口一博前総務相は23日、国会内で地域主権改革などの政策実現を目指す政策グループ「日本維新連合」の準備会合を開いた。統一選を控えて内閣支持率が低迷するなかで、橋下徹大阪府知事や河村たかし名古屋市長らの地域政党と連携する布石としたい考えだ。

 会合には、民主党の若手を中心に国会議員計57人が出席。小沢一郎元代表に近い議員が多く、3月中旬にも正式に発足させる。原口氏は首長や非議員も参加して地域主権改革を進める政治団体「日本維新の会」も発足させる考えを示した。

 民主党の中山義活衆院議員ら小沢元代表に近い東京都選出の国会議員9人も24日、「東京維新の会」を設立する。ただ、橋下氏は23日、原口氏との電話で「民主党が日本維新の会に入ると分かりにくくなる。一線を画させてもらう」と慎重に対応する考えを伝えた。【笈田直樹】

(2011年2月24日 毎日新聞)


この時、民主党の連中は橋下に振られている。なお、記事に「小沢元代表に近い」とある中山義活は、当時鳩山派に属していたが、現在では「中間派」の鹿野派に移籍した。「気合いだあ」で悪名高いが、半面計算高いところもある人間だ。

今回の石原の発言は、原口一博や中山義活の「二番煎じ」に過ぎない。あの極右のマッチョ政治家までもが橋下にゴマをすりまくる姿を見て「石原慎太郎ヲワタ」と思ったのは私だけではなかろう。

しかし、そんな石原のラブコールには橋下が脈のありそうな反応を示すものだから、鳩山由紀夫がやきもちを焼いている。
http://mainichi.jp/select/news/20120520k0000m010049000c.html

鳩山氏:大阪維新の会の政権公約案を批判

 民主党の鳩山由紀夫元首相は19日のテレビ東京の番組で、橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」が政権公約に「参院廃止」などを検討していることに関し「できないぐらい大きなテーマを挙げて『すぐにできる話ではない』で済まそうとしている。マニフェストとはほど遠く、正攻法ではない」と批判した。

 鳩山氏は小沢一郎民主党元代表に近く、橋下氏と連携する石原慎太郎東京都知事が「小沢切り」を明言していることへの反発が発言の背景にあるとみられる。石原氏は小沢グループなど現職議員との連携も否定しており、鳩山氏は「国政をより理解している方々が加わって行動することが必須ではないか」と不快感を示した。

 鳩山氏はまた、野田佳彦首相が政治生命を懸ける消費増税法案の衆院採決について「まだタイミングではない」と反対する姿勢を示した。【木下訓明】

(毎日新聞 2012年05月19日 20時15分)


記事には「批判」などという見出しがついているが、そんな格好良い発言ではむろんなく、「橋下さんよ、石原なんかと組まないでわれわれ(民主党小沢・鳩山派)と組んでくれよ」と泣きついていると読むべきだ。

以前から橋下に露骨にすり寄っている小沢一郎、安倍晋三、渡辺喜美といった面々も含め、全く懲りない人たちだと思う。ところで、今回過去の報道をたどって気がついたのだが、最近原口一博の影がさっぱり薄い。やはり昨年の菅内閣不信任案の時に態度を豹変させた件のイメージが悪く、人気を暴落させたのだろう。政治家の人気なんてそんなものだ。

原口一博もマスコミにおだてられて「大物」っぽいイメージを演出していた政治家だったが、今ではすっかり凋落している。橋下もそうならないものかと思っているのだが、橋下は次から次へと話題を提供してくるものだから、なかなか人気が落ちない。

橋下が振りまく話題の多くはろくでもないものである。文楽やオーケストラの弾圧、「親学」のトンデモ思想を取り入れて批判を浴び、結局引っ込めた「家庭教育支援条例案」、「つくる会」の歴史修正主義を取り入れた「子どもたちが近現代史を学ぶ施設」、それに毎日放送(MBS)記者罵倒事件。最後の件については、橋下が25分間にわたってブチ切れてMBSの記者を怒鳴りまくり、しかも橋下の認識の方が誤っていたというオチまでついたひどいものであり、私は『kojitakenの日記』で、「橋下徹を非難し、『毎日放送叩き』に反対するキャンペーンを開始します」と宣言した。この日の同ダイアリーへのアクセス数は、トータルアクセス数で4万2千件、ユニークアクセス数で3万2千件を超えた。多くは「橋下信者」によるアクセスと思われ、記事に対する反応もネガティブなものが大多数だったと思われるが、橋下が何かやらかすたびにタイムリーに反撃し、「橋下へと草木も靡く」状況に少しでも抗いたい。

今年に入ってからの当ブログの橋下批判の記事に対し、「橋下を右翼だというのは間違っている」とか、「橋下を新自由主義者と決めつけるのは適切ではない」などというコメントをいただいたが、ここ最近の橋下の妄動を見るだけでも、橋下が右翼にして新自由主義者であることは明らかだ。

3年前の「政権交代」直前の時期に出版された新書の類を読み直してみると、小泉・竹中の新自由主義「構造改革」路線への怒りをストレートに表したものが多い。リアルの政治においても、安倍晋三政権が発足早々にブチ上げた「ホワイトカラー・エグゼンプション」は世論の猛反発にあって潰れた。ほんの数年前にはそんな熱気があったが、政権交代が失敗に終わると、小泉よりひどい新自由主義者の橋下徹に人々が靡くようになった。思うのだが、ホワイトカラー・エグゼンプションも言い出したのが安倍だったから潰れたのであって、小泉や橋下のような「人気者」が言い出したのであれば世論は受け入れてしまうのではないか。実際には小泉政権時代から準備されていた政策だったのにもかかわらず、今でも「ホワイトカラー・エグゼンプション=安倍晋三の失政」というイメージが人々に強く残っているように思われる。

橋下人気の源泉の一つは「脱原発」(のポーズ)だが、これもいつまで続くかわかったものではない。橋下はずいぶんと財界の期待も集めているようだが、その財界にとって絶対に譲れないのが「原発再稼働・原発維持」である。これまで橋下は「脱原発」の看板を掲げて自らの人気浮揚に利用してきたが、どうやって「脱原発」志向の民意の支持を保ちながら方向転換しようかと頭を悩ませていることだろうと想像する。それが、「小沢一郎無罪判決」の日に路線転換を示唆したり、一昨日の「ピーク限定再稼働」(笑)発言につながったものだろう。

橋下徹に信用できるものなど何一つない。何が何でも橋下を打倒しなければならない。
連休後初、11日ぶりの更新になる。連休直前には「小沢一郎裁判」で無罪判決が言い渡され、連休後には指定弁護士が控訴する一件があったが、いずれもいっとき議論されただけに終わり、政治の問題に関しては、大阪市長の橋下徹と原発再稼働の2件がもっぱら注目を集めている。

原発に関しては、5月5日に北海道電力の泊原発3号機が定期点検のために運転を休止し、ついに42年ぶりに国内で稼働している原発が1基もなくなった。その直前、「小沢裁判」の判決のあった4月26日、大阪市長の橋下徹は、市役所で報道陣に「節電に住民支持がない場合は原発再稼働を容認する」と語り、同日行われた関西広域連合の会議では「節電新税」を提案した。「節電に取り組む企業への奨励金の財源として、関西の住民に1か月千円程度の新税を課す」というものだ。後者について、佐藤優が「橋下総理誕生を支持する」とした文章を寄稿したのと同じ『週刊文春』5月17日号で、橋下と同じ極右の小林よしのりは、「電力会社が負担すべき金を、住民が肩代わりするのは『脱原発』の立場からの発想ではない。彼(橋下)の『脱原発』は単なるポピュリズムに過ぎない」と喝破した。

要するに橋下は、「小沢無罪判決」という大きなニュースのある日を選んで、原発問題のスタンスを転換しようとしたのだ。しかし、これらの発言への反響から、この路線転換は橋下の人気に致命的なダメージを与えると見て取った橋下は、結局この時点における明確な路線転換を先送りした。

原発再稼働容認派への転換に失敗した橋下が率いる「大阪維新の会」は、連休中にも騒動を巻き起こした。「大阪維新の会」が市議会への提出を予定していた「家庭教育支援条例案」が激しい批判を浴びて撤回を余儀なくされたのだ。

条例案は5月1日に「維新の会」の市議団が公表したもので、「児童虐待が相次ぐ現状を踏まえ、家庭教育の支援や親に保護者としての自覚を促す」との名目で作られた。しかし、児童虐待や子どもの非行などを「発達障害」と関連づけて、親の愛情不足が原因だと、全く医学的な根拠なく決めつけるトンデモな内容に、医師や保護者らが「根拠がない」、「偏見を助長する」などと猛反発し、結局「維新の会」の市議団は議会での提案見送りに追い込まれたのである。

この条例案の背後には、安倍晋三のブレーンである高橋史朗という人物の「親学」なるトンデモ思想があることが指摘された。「親学推進議連」なるものもあり、会長は安倍晋三で、顧問に鳩山由紀夫、森喜朗、山口那津男、渡辺喜美、平沼赳夫らが名を連ねる。また渡部恒三も参加している。要するに自民党、民主党主流派および反主流派、公明党、みんなの党、たちあがれ日本など、与野党「右派オールスターズ」の「トンデモ思想」の流れに、橋下「維新の会」が出そうとした「家庭教育支援条例案」も位置づけられるものである。

なお、この条例案の提出撤回を報じる朝日新聞は、橋下が条例案を批判したなどと書いたが、冗談じゃない、橋下は条例案を出そうとした側ではないかと、朝日の腰の引けた報道に腹が立った。

条例案を批判して格好をつけた橋下だが、今度は近現代史を学ぶ施設を大阪府市で設置すると言い出した。これにあたって橋下は、「新しい歴史教科書をつくる会」や元会員らによる教科書づくりに携わった「有識者」らに意見を聴く考えを示した。「歴史観や事実認定で意見が分かれる近現代史について『子どもらが両論を学べる施設』をつくる」のだという。「両論併記」といえば聞こえがいいが、これを報じた朝日新聞記事についた「はてなブックマーク」のコメントの1つが絶妙にたとえている通り、「天動説と地動説を対等に教える」ようなものだ。こんなニュースに接すると、「家庭教育支援条例案」の仕掛け人も橋下徹本人だったのではないかと勘ぐりたくなる。逆に言えば、この件で批判を浴びたら橋下はいつでも「つくる会」系の「有識者」とやらに責任を押しつけるだろう。橋下とはそういう人間である。しかも、何かにつけ支出を「バサーッと切る」のが大好きなはずの橋下が、こんな馬鹿げた事業に無駄金を使おうという。いったい橋下という人間はどんな神経をしているのか。

さらに呆れるのは、8日に橋下が起こした「MBS記者罵倒」事件である。25分間も延々とMBS(毎日放送=大阪)の記者に怒鳴り散らした動画がネットで流れて話題になった。この時の橋下の振る舞いはあまりにも呆れるほどひどかったので、普段は橋下の提灯持ちに余念がない大阪のスポーツ紙も橋下に批判的に報じた。

まず日刊スポーツの長い記事。
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp3-20120509-947846.html

橋下市長が記者に30分の「公開口撃」

 大阪市の橋下徹市長(42)は8日、登庁時の記者団のぶら下がり取材で、大阪府が施行した君が代起立条例に関して“逆質問”を繰り返し、30分近く、まくしたてた。「ここは議会とは違う。対等の立場」「質問に答えなければ回答はしません」「答えられなければここへ来るな」などとヒートアップ。登庁時ぶら下がり取材の全時間、キレ続けた。また同日夕、府市統合本部の会議後に開いた会見でも、終了間際に橋下氏自らこの件を切り出し、約20分にわたり持論を展開した。

 橋下市長が、登庁時のぶら下がり取材で、記者団の質問にキレた。重箱の隅をつつくように約30分、質問者を追及した。発端は、大阪府が施行した君が代起立条例での起立斉唱について、記者団から「(起立に加え)歌うことまで強制するのはおかしいのではないか」といった内容の質問が飛んだことだった。

 橋下市長は、この中の「起立斉唱」の文言的な意味を取り上げ「この言葉の中に『立つ』だけしか入っていませんか? (ゆっくりと)起・立・斉・唱・命令です」と、質問の細部にこだわった。文言をめぐるやりとりが5分ほどあり、その間に質問しようとする当該記者を何度も制して「ここは議会とは違う。(記者も)僕の質問に答えるべきだ。答えなければ質問には答えない」などと迫った。

 記者側が「歌う意味も入っている」と答えると、今度は「じゃ、誰が誰に命令しているんだ?」と詰問。代表を務める大阪維新の会は条例を提案したが、あくまでも教育委員会が決めたこととし、社員が社歌を歌うように「国民に強制しているのではない。(君が代は)公務員の社歌だ」と、再三にわたり説明した。橋下氏のブチギレの原因は、記者の質問を、君が代起立条例は橋下氏が“主導”しているようなニュアンスに、とらえたためとみられる。

 暴走モードに入った橋下市長は「(質問に)答えられないならここに来るな」「何言ってんだよ」「不細工な取材するなよ」と、言葉を乱す場面も。橋下氏のぶら下がり取材は、市役所の公式ホームページから一般視聴も可能で、記者に対し「これ全部、後で放送するからいいけれども、自分でとんちんかんさが分かんないの?」とも言い、所属社を聞き出し「そんなとんちんかんな質問しながら採用されて…」と個人攻撃のような発言もあった。

 取材の終わり際、記者が「今日はこれくらいに…」と言うと、橋下氏は「『今日はこれくらいにしときます』って、どうですか? 吉本の新喜劇でも、もっと丁寧な言い方しますよ」と、徹底的にかみついた。

 さらに、夕方には府市統合本部の会議後に会見を開き、約10分で会見が終わりかけると「ちょっと、いいですか。昼間の話を…」。自ら切り出して「あの記者、帰ったんですか?」「また来させてくださいよ」と、当該社の別の記者に話し掛けていた。

[2012年5月9日9時25分 紙面から]


次にスポーツニッポンの記事。
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/05/08/kiji/K20120508003207990.html

「答えられないなら来るな」橋下市長 記者相手にヒートアップ

 大阪市の橋下徹市長は8日、記者団のぶら下がり取材で、大阪府が施行した君が代起立条例に関し起立斉唱の職務命令を出したのは誰かを問う“逆質問”を繰り返した。「ここは議会とは違う。(記者も)僕の質問に答えるべきだ。答えなければ質問には答えない」と迫り、応じなければ取材拒否する考えを示した。

 市長は、卒業式の君が代斉唱の際に教職員の口元を見て実際に歌っているかを確認していた校長に関する質問でヒートアップ。質問した記者に「答えられないならここに来るな。勉強してから来い」と、興奮を抑えられない様子で約30分間まくしたてた。

 職務命令は府教委が出していた。

[ 2012年5月8日 12:32 ]


MBS記者と橋下とのやりとりは、ブログ『Afternoon Cafe』のエントリ「詭弁術講座」に、ブログ主・秋原葉月さんの注釈つきで紹介されているので、是非ご参照いただきたい。抱腹絶倒ものである(下記URL)。
http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-975.html

橋下徹

MBSの例の記者とのやり取りで、何が原因だったかと言うと、僕の記者に対する質問に対して記者が「答える必要はない。私が聞いているので答えよ」と平然と言ったんだよね。ここが全てだった。

などと言っているが、秋原さんのブログの文字起こしを見れば一目瞭然、橋下は自らは記者の質問にまともに答えずにはぐらかした上で「質問で質問に返して」いる。「答える必要はない」という態度を先に示したのは橋下の方である。

橋下は、「MBSの記者の無礼な質問に切れた」風を装っているが、これはおそらく演技であろう。記者は、さる2月16日と17日に同局で放送された番組『VOICE』中の特集「大阪の教育未来図―アメリカ落ちこぼれゼロ法から学ぶ」を取材した人である。この番組については、当ブログでも2月20日付エントリ「思想調査、教育カイカク、新自由主義。橋下徹に取り柄なし」でも少し触れたことがある。橋下はこの番組に怒り狂い、Twitterを連打した。私はこれを、『kojitakenの日記』の2月18日付エントリ「橋下、毎日放送(大阪)のニュース番組に痛いところを突かれてキレる(笑)」に記録しておいた。この時橋下がいかに冷静さを失っていたかは、Twitterに書かれた「VOICE」の文字が、「VOICE」、つまり最初の3文字が全角文字で、あとの2文字が半角文字になっていることからも想像がつく(笑)。

おそらく執念深い橋下は、「教育基本条例」をこっぴどく批判したこの番組をずっと根に持っていて、いつか番組のスタッフに対して報復してやろうと手ぐすね引いてその機を待ち構えていたのではないか。そして5月8日にそのチャンスが巡ってきた。私はそう邪推している。

信じられないのは、普段あれほど橋下の宣伝に余念がないスポーツ紙でさえ橋下に批判的な記事を書いているというのに、ネット民の多くは橋下を擁護し、MBSと記者を非難していることだ。私は橋下が切れ続けている動画を見て、橋下に非があるとしか思えなかったし秋原葉月さんのブログに文字起こしされた記者と橋下のやりとりを見てさらにその感を強めたが、2ちゃんねらーなどのネット民はヒステリックにMBSと記者を非難し続けるばかりだった。

今回のような権力者の横暴が許されて良いはずがないし、「長いものに巻かれろ」という、昔の大阪人気質からは考えられないような風潮が蔓延しているネットの現状も、あまりにひどく病んでいる。

以上に言及した件以外でも、橋下をめぐる話題は異常なものばかりだ。たとえば橋下が主催する「維新政経塾」のグループディスカッションで「徴兵制」がテーマとなり、25人中20人が「賛成」と答えたという件。あるいは、「維新の会」が提案する所得税の「定率課税」(フラットタックス)が国会の質疑で取り上げられた件などだ。後者について、野田佳彦首相は「今後消費税率の引き上げで税制全体の累進性が低下することをふまえれば、所得税はむしろ累進性を高める必要がある」と難色を示したと新聞記事にはあるが、元来所得税を重視するのが新自由主義者本来のあり方であり、竹中平蔵でさえその立場に立つ。橋下ら「維新の会」は、竹中平蔵や松下政経塾出身の政治家たちさえ唱えない、異様な富裕層優遇税制を提案しているのである。

今回のMBS『VOICE』は別として、こんな橋下をマスコミは持ち上げる。週刊誌や月刊誌は「橋下総理待望論」を記事にするようになり、機を見るに敏な佐藤優などは早くもそれに乗っかろうとしている。

その怒濤の流れの中で、ブログで何を書いても無駄なのかもしれないが、たとえ「蟷螂の斧」であろうが意見の発信を止めるつもりはない。
4月13日付朝日新聞に掲載された湯浅誠インタビューに対する言及がネットで少ないのを意外に思った。この記事を朝日新聞は無料配信していないが、ひところなら湯浅誠の一挙一動は大きく注目されたものだ。ネットでもよく「リアルで湯浅誠に会った」と自慢している人たちがいた。その湯浅誠が朝日新聞のオピニオン面に大々的に登場したのだから、いくら朝日が無料配信していないといってももう少し話題になると思ったが、そうはならなかった。「反貧困」は一過性のブームに過ぎなかったのかと毒づきたくもなった。

ところが、意外な人間がこの湯浅誠インタビューの記事に食いついた。橋下徹である。『kojitakenの日記』に取り上げたのだが、橋下はこんなふうにつぶやいた(Twitter3件。URLは上記『kojitakenの日記』の記事に示した)。

 政策は中身より、実現するプロセスの方が重要。しかし日本の識者は中身しか語らない。実現プロセスを度外視した政策論。グロービスの堀氏、消える魔球論やエビ投げハイジャンプはもう良い。一度でも良いので、実際のボールを投げてみてはどうか?

 それを痛切に感じたのが反貧困ネットワークの湯浅さんだろう。言うこととやることは違うと。先日の朝日のオピニオンで朝日の記者が、湯浅さんは取り込まれたのでは?と盛んに聞いていた。湯浅さんからはもっと激しい政府批判や消える魔球的な提言を聞きたかったのであろう。

 しかし湯浅さんは、政策を実現するプロセスの凄まじさを知った。ちょっと本で読み知ったアイデアを言うぐらいではダメだと。朝日の記者はそこに気付いていないのであろう。池田氏も、堀氏も、政策を実現するプロセスの凄まじさを少しでも知れば、いい加減な論が少なくなるであろう。

(橋下徹のTwitterより)


ここで橋下がいう「池田氏」とは池田信夫(ノビー)、「堀氏」とは堀義人のこと。ともに新自由主義者。このうち堀氏のいかなる言説に橋下が切れたかは知らないが、ノビーに対して切れた理由ははっきりしている。ノビーが書いたブログ記事「『橋下=小沢政権』の運命」に痛いところを突かれたためだ。

ノビーは新自由主義者であり、自らと思想信条の近い橋下及び小沢一郎に対して親和的なスタンスをとっている。だが、それは別としてブログ記事中で橋下のTwitterの論理矛盾を指摘した上、こんなことを書いている。

彼の話が支離滅裂になるのは、「小沢先生」を擁護するという結論が先に決まっていて、それに合わせて消費税に反対する理由をさがしているからだ。さすがに橋下氏も、今の財政状況で「増税に完全反対」できないことは認めるが、「今回の増税案には反対」だという。今回は反対なら、いつどういう増税ならいいのかという代案はない。財政をどうやって再建するのかという計画もない。

かつて消費税増税の急先鋒だった小沢氏が、今それに反対する理由は明白だ。現在の「反小沢」執行部を倒すためである。政治とはそういうものであり、彼の主張に論理整合性を求めるのは無理である。それを意味不明な論理で擁護する橋下氏も「政局の人」になったのだろう。

ただ私は、この政局的な勘は悪くないと思う。小沢氏が離党し、彼の資金力・組織力と橋下氏の人気を組み合わせれば、次の総選挙で第一党になる可能性もある。自民の一部が組めば「橋下首相・小沢幹事長」という細川内閣のようなパターンもありうる。

しかし問題は、何をするかだ。橋下氏の政策は組合たたきや原発反対など思いつきのポピュリズムで、このまま国政に進出しても霞ヶ関に一蹴されて終わりだろう。小沢氏の力もかつての面影はないので、細川内閣のように短い命で終わるおそれが強い。次の次に期待するしかない。

(池田信夫「『橋下=小沢政権』の運命」より)


消費税増税や原発問題に関してはもちろん私はノビーの主張に与するものではないが、橋下と小沢一郎に関するノビーの指摘は正鵠を射ている。橋下の「脱原発」はノビーも喝破する通り、単なる人気取りに過ぎない。未だに「脱原発で頑張る橋下市長を応援しよう」と繰り返す左翼人士や橋下に取り込まれてしまった「脱原発」論者もいるが、近い将来、彼らは誤りを自己批判せざるを得ない羽目に陥るだろう。

それはともかく、橋下が切れたのは「まず『小沢先生』擁護ありき」という本音をノビーに暴露されたからだ。橋下が切れるのはいつもこのパターンだ。朝日新聞大阪の丑田滋記者も、北大教授の山口二郎も、曲がりなりにも橋下の痛点を突いたから橋下は切れた。一方、香山リカは橋下の痛点を全く突けなかったから、橋下の対応は余裕綽々だった。

逆に、橋下は「使える」と見るや、論敵の籠絡にかかる。その対象が今回は湯浅誠だった。ところが、橋下が言及した朝日新聞(4/13)掲載の湯浅誠インタビュー記事で、湯浅氏は「橋下流」を痛烈に批判していた。これについても『kojitakenの日記』に書いたので、当記事では詳しく繰り返さない。

ここでは、上記『kojitakenの日記』の記事にTwitterからリンクを張っていただいた宇城輝人さん(新刊本のジャック・ドンズロ『都市が壊れるとき』の訳者)による昨年11月の大阪市長選の分析を紹介したTogetter「今大阪で何が起こっているのか、『都市が壊れるとき』の訳者が語る」(下記URL)が興味深かったので、これを紹介したい。
http://togetter.com/li/288471

よく、橋下徹を支持しているのは、橋下の政策によって不利益を蒙る低所得層だと言われることが多いが、そうではなく、富裕層ほど橋下を支持していることを示すグラフを宇城さんは示している。

中でも、平均世帯年収と「橋下率」(橋下の得票の当日有権者数に対する比率)は一目瞭然、驚くほど鮮やかな相関を示している。大阪市24区の中でも飛び抜けて平均世帯年収の低い西成区は「橋下率」も際立って低い。

また、完全失業率と「橋下率」には負の相関があり、転入率と「橋下率」には正の相関がある。

つまり、貧乏人ほど橋下を支持しているわけでもなければ、橋下のような人間を支持するのは「大阪人の特性」でも何でもない。むしろ、よその土地から来た「転勤族」の高所得層や、ずっと大阪にいた人間でも昔からの「土豪」が特に熱心に橋下を応援しているとイメージすべきだろう。

大阪で橋下をもっとも熱心に持ち上げているのはテレビ局(民放の在阪準キー局)だが、テレビ局の正社員たちは大阪人の中でも際立った高収入層だし、よその土地から大阪に出てきた人間が多い。彼らと大阪の「土豪」が橋下と結託して大阪を支配しようとしているといったところだろうか。

大阪準キー局や東京キー局などのテレビ局は、橋下をあたかも「既得権益の破壊者」であるかのように喧伝しているが、実は橋下こそ「既得権益の守護神」なのではないか。

そう思うと、昨日当ブログにいただいた下記のコメントがいかに的外れであるかがわかる。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1244.html#comment14205

橋下を批判するならもっと分かりやすくやらなきゃ意味がないよ
分かってる人なら言われなくても橋下には否定的なわけで、だまされてるのは馬鹿の目をなんとかして冷まさなければならない
そういう馬鹿には小難しいことを書いても伝わらないでしょ

2012.04.14 09:56 橋下を批判するなら


コメント主は「B層理論」の信奉者かもしれないが、全くトンチンカンなコメントである。事実は「インテリ(ぶった人間)ほど橋下を支持している」ということなのだ。それは、私の周囲を見ていても実感として了解できるところだし、「環境ディスコース」がどうのこうのと言っていた飯田哲也がいとも易々と橋下に籠絡されてしまったことなどもその例に加えて良いだろう。そして、そんなインテリたちが大衆を「橋下支持」の死地へと誘導するのである。まさに「ハーメルンの笛吹き」。

昨日たまたま目撃した、朝日新聞のインタビュー記事で自らを批判している湯浅誠を持ち上げるTwitterを連発するのも、湯浅を取り込もうとする橋下一流の手練手管かもしれない。

もちろん湯浅誠は(飯田哲也とは違って)そんな橋下の思惑に易々と引っかかることはないとは思うが、単にそれにとどまらず、上記のように「よそから来た富裕層と大阪の『土豪』」の利益代弁者にして「既得権益の守護神」たる橋下徹を徹底的に批判する言説を、湯浅誠に期待したいと強く念じる次第である。
はじめに、反応が遅くなってしまって申し訳ないが、前回の記事「ナベツネは単なるワンマンマン、橋下徹の方が1万倍危険だ」に、ブログ『【堺からのアピール】教育基本条例案を撤回せよ』を運営されている「堺からのアピール」事務局・前田純一さんから下記のコメントをいただいている。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1246.html#comment14056

橋下が渡邊への反論に逡巡した後の呟きの弱さを鋭くついて、巷のどっちもどっちを批判されて、私も目を開かされました。多くの方々にも読んでいただきたく、弊blogに貴blog名、URL明記で全文を転載させていただくことはできないでしょうか? ぜひよろしくご検討頂ければ幸甚です。もしご承諾頂けるようでしたら、誠に厚かましいお願いですが、メールでご一報頂けると嬉しいです。


コメントどうもありがとうございます。過分なご評価をいただき恐縮です。せっかくコメントをいただきながら、返答が遅れた上、メールでの回答でなくて申し訳ありませんが、この記事に限らず、当ブログの記事は引用元(ブログ名またはURLの少なくとも一方)さえ明記していただければ転載は自由です。TBまたはコメントをいただければ助かりますが、必要条件ではありません(TBは送ろうとしても通らないことがしばしばありますし)。また、まことに勝手ながら当方のPC環境の都合上、電子メールのやり取りはあまり行っておりませんので、この点につきましてはご了承ください。mixiのメッセージであれば迅速なやり取りが可能かと思います。橋下徹に "No" を突きつける、『堺からのアピール』様の今後のご健闘を期待し、応援いたします。

さて、前回に引き続いて今回も橋下批判をメインに据えた記事を書く。まず現在橋下が「ウリ」の一つにしている「脱原発」関連の話題から。

原発再稼働の件で、民主党は執行部(主流派)が原発再稼働に前のめりで、消費税増税などでは執行部との対決姿勢を鮮明にする小沢一郎も、24日にTBS系で放送された『報道特集』のインタビューで原発再稼働を事実上認める発言を行なった。『kojitakenの日記』の昨日(25日)付エントリ「小沢一郎、またも橋下徹を称賛」のコメント欄でpuyonyanさんに教えていただいたのだが、下記のようなTweetが流れている。
https://twitter.com/#!/torrecolombaia/status/183497105409708032

小沢一郎氏が今日のTBSで「必要最低限の原発はすぐには止められないと思います」と発言。これはどう贔屓目に見ても原発再稼働容認発言ですが、小沢氏支持者の貴方は小沢事務所に抗議するつもりはありますか?真面目に聞いてみたくなりました。

2012年3月24日 - 19:14 webから


同じインタビューで、小沢は例によって橋下徹に「共感する」だの「民主党のお株を奪われた」だのとゴマをすっているのだが、その橋下が原発再稼働に前のめりの民主党「野ダメ」(野田佳彦)政権に対して「原発を焦点にして解散総選挙を行なえ」と挑発しているのに対し、小沢は消費税についてはしきりに野田政権を牽制するのに原発再稼働については何も言わない。これでは民主党全体が原発推進ないし維持政党であるとしか言いようがない。思い出してみれば、「原発」が争点の一つになると思われた昨年の民主党政権は、小沢派がゴリゴリの原発推進派である海江田万里を推したために、同様に原発推進派である野田佳彦との対決となって「原発」が争点から外れてしまった。野田ら執行部ともども、小沢一郎の罪はきわめて重い。

そんな「ダメ小沢」にも助けられて橋下徹の人気がますます高まってしまう。これは、民主党からも自民党からも、河野太郎のようなごく一部の例外を除いて「脱原発」派の政治家が全然現れないせいでもあり、「保守で『脱原発』」というおいしいスタンスを橋下や「みんなの党」が占めるという構図になっている。前回にも書いたように、橋下の「掌返し」はまさにこの男の十八番だから、「脱原発」も怪しげなポピュリスト頼り、この男の気まぐれによって一瞬にして吹き飛びかねないという情けないありさまになっている。

原発についてはこのくらいにして、後半では橋下の経済政策をめぐる議論の話をしたい。前回の記事のコメント欄に杉山真大さんから下記のご意見をいただいている。
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1246.html#comment14049

(前略)suterakuso氏に
>>どうやら左翼の人たちにも資産課税や相続税があまり人気がなさそうなのは、橋下氏の逆で、どこまでも優しく、情があるから、なかなか思い切ったことができないのかな?と感じます。

資産課税や相続税の増税は、寧ろ左派や革新側が主張してきたことですよ。そうじゃないと出自の時点で「機会不平等」になるのですから。
というのか、こうしたのに激しく反発するのはどちらかというと「リベサヨ」なんじゃないかと。政府が検討している相続税の増税案でさえ大概のマイホーム家族には関係無いのに、週刊誌の煽り的な報道に載せられて「自分の稼いだ財産を分捕られる!」って脊髄反射しているのでは。


この記事を書いている時点で、「資産課税」という検索語でGoogle検索を行なうと、筆頭に引っかかるのは当ブログの記事だ。だから橋下が「資産課税」を言い出した時、この言葉を検索語とした当ブログへのアクセス数が増えた。

私は所得税の累進性再強化や分離課税の廃止などを主張しているけれども、所得格差の他にというよりそれ以上に、資産格差の問題がどうしようもなく大きいことは否定できないと思う。バブル期の地価高騰は記憶に新しいが、それ以前に70年代前半、田中角栄の日本列島改造論の時代にもすさまじい地価高騰があった。これらの時代にうまく土地転がしなどをやった人間などが「土豪」となって、「頑張ったものが報われる」レベルをはるかに超えた不当なアドバンテージを得た。その結果、「出自の時点で『機会不平等』になる」現状が生み出された。この格差は絶対に解消する必要があると私は考えている。だから、「資産課税」や「相続税増税」の文字を見ただけで激しく反発する左派、というのは「リベサヨ」と言われても仕方ないだろう。但し、橋下ら「維新の会」の主張は税金のかけ方がいささか極端であり、課税は「土豪」を主たるターゲットにしたものにとどめるべきだろう。

それ以上に問題なのは、橋下の場合、一方で格差解消にもつながることを言いながら、他方で格差拡大を推進することをやろうとすることだ。3月5日付の記事「謀略を平然と仕掛ける究極の新自由主義者・橋下徹の恐怖」でも言及した「所得税の累進税率を止めてフラットタックスを導入する」税制もその一つだ。橋下のこの主張は、ベーシックインカムと合わせると、ミルトン・フリードマンの「負の所得税」のようなものを実施しようとするものだ。大前研一の影響も受けているに違いない。所得税の累進制をなくす一方で資産課税や相続税は思いっきり重くするというのは橋下の経歴を考えれば理解できる。橋下は苛酷きわまりない逆境から這い上がった人間であり、社会に対する復讐という動機が強く考えられる。だから、万人はみな俺のように野獣のごとく戦え。橋下はそう言っているのである。

橋下は「選挙では国民に大きな方向性を示して訴える。ある種の白紙委任なんですよ」(2月12日付の朝日新聞のインタビュー)と語っている。そんな橋下を支持すると、結局どの格差を解消し、どの格差を拡大するかは、橋下という独裁者の裁量に委ねられることになる。だからこそ橋下は危険なのである。

もしこの世の人間がすべて橋下徹みたいだったら、凄惨な世界になるだろうなと思う。そのうち殺人だって合法化されるのではなかろうか。「殺された人間は自己責任」というわけだ。いや実際つい数年前の日本にもそういう極論がまかり通っていた時代があった。小泉純一郎政権の特に中期、2003年や2004年頃である。あの頃、「自己責任」という言葉がネットでもブームになった。それからもう8年ほどにもなるから、その後「自己責任論」が批判を浴び、格差や貧困に焦点を当てたNHKの番組「ワーキングプア」(2006~07年)が反響を呼び、その流れを取り入れた小沢一郎が「国民の生活が第一。」というスローガンで民主党を躍進させた。

だがそれは一過性の流行に過ぎなかった。小沢一郎は現在では「民主党は橋下市長にお株を奪われた」と繰り返し橋下を称賛しているが、橋下の政策のどこに「生活第一」の思想などあるのだろうか。小沢一郎は今から20年前には新自由主義を高らかに掲げる「新保守」の政治家として、「古い自民党」が支配する政治を打破すると言っていた。小沢のようなその時々のトレンドに乗ってコロコロと主張を変える無節操な政治家や、それを支持してきた国民が橋下のようなモンスターを生み出す一因になった。

それ以上に罪深いのはテレビである。橋下は暴力団とのつながりの深い島田紳助にすり寄り、右翼番組を制作する読売テレビ、辛坊治郎、やしきたかじんらにすり寄って、番組では核武装論を公言したり光市母子殺害事件の弁護団懲戒請求を煽るなどして大衆的人気をかち得た。いわばテレビが生み出したモンスターである。辺見庸は橋下を「テレビがひり出した糞」と評したが、これ以上的確な橋下の形容はあるまい。

その「糞」を崇め奉る多くの日本人。「橋下信者」の広がりは「小沢信者」どころではない。国民の多数がカルト宗教にかぶれているといえる現状に背筋が凍る日々が続いている。
昨日(3月18日)最終回を迎えたTBS系のテレビドラマ『運命の人』は、山崎豊子の同名の小説を映像化したものだが、今から40年前の1972年に起きた「外務省機密漏洩事件」、通称「西山事件」を題材にとった異色の作品だった。視聴者からは「日曜夜のドラマとしては重い」との意見が多く、平均視聴率は約12%とふるわなかったが、東京(中日)新聞の社説や1面掲載コラムで言及されたり、国会で岡田克也が西山太吉氏に謝罪したり、「野ダメ」こと野田佳彦首相も遺憾の意を表するなど、一定の反響はあった。

手前味噌になるが、筆者が運営しているもう一つのブログ『kojitakenの日記』で、しばしばドラマの題材である「西山事件」を取り上げたところ、6週続けて日曜日と翌日の月曜日のアクセス数が1万件を超えた。特に3月4日には日曜日の21時台と22時台の2時間だけでアクセス数が1万件を超え、「不人気ドラマ」とはいえテレビの影響力の凄まじさに改めて舌を巻いた。

ところで、このドラマに登場した「読日新聞」記者の山辺一雄というキャラクターは、読売新聞会長・主筆の渡邉恒雄(ナベツネ)をモデルとしている。ドラマでは山辺が主人公の毎朝新聞記者・弓成亮太(西山太吉氏がモデル)を救うべく活躍したが、誇張されており「山辺一雄」は過度に美化されていた。最初のうちは山辺が自由党(自民党がモデル)の大物政治家・田淵角造(田中角栄がモデル)にたかるなど悪役として描かれ、ナベツネが週刊誌に「怒りの寄稿」をしたとしてスポーツ紙などの話題になったが、ナベツネの「寄稿」が載った週刊誌というのが『サンデー毎日』(2012年2月19日号)であることや、その「寄稿」が載った次の週あたりからナベツネ、もとい山辺が一転して「善玉」として異様なまでに美化されて描かれていたこと、そしてナベツネが「寄稿」した頃にはドラマの収録は最終回を除いて既に終わっていたことを考え合わせると、ナベツネと『サンデー毎日』の共謀による手の込んだ「番宣」ではなかったかと私は疑っている。とはいえ、ナベツネが西山元記者の弁護に骨を折ったことは歴史的事実ではある。

そのナベツネが大阪市長の橋下徹を月刊誌『文藝春秋』4月号でナベツネが痛烈に批判した件が話題になっている。「日本をギリシアにせぬために 大新聞『船中八策』競作」という問題含みのタイトルのついた特集に、ナベツネは「日本を蝕む大衆迎合政治」と題した文章を寄稿している。

ナベツネの主張だが、読売新聞の社説などから想像がつくように消費税増税を強く求め、「野ダメ」(野田佳彦)内閣を支持しているが、それに加えて、相続税を免除する代わりに利子をゼロもしくはマイナスにする「無利子非課税国際」の導入を提唱しているあたりは目を引く。ナベツネは、この政策は亀井静香(国民新党)、海江田万里(民主党)、田中康夫(新党日本)らも賛同していると書いて威張っているが、これらの政治家は消費税増税には賛成していないのではないか。

で、ナベツネの橋下批判だが、「橋下徹はヒトラーになるのか」との見出しがついている。

橋下の「船中八策」に掲げられた個々の政策については、ナベツネはTPP推進や改憲の発議要件緩和には賛成だが地方分権や教育改革には反対と是々非々の態度をとっている。だが、ナベツネの「寄稿」の核心は下記の部分だ。以下『文藝春秋』より引用する。

 だが、私が橋下氏についてもっとも危惧するのは個々の政策よりも、下記のような発言だ。

「選挙では国民に大きな方向性を示して訴える。ある種の白紙委任なんですよ」(「朝日新聞」2月12日付)

 この発言から、私が想起するのは、アドルフ・ヒトラーである。第一次世界大戦の敗戦により、莫大な賠償金を課せられ、国民の間に既成政党への不満と閉塞感が渦巻いていたドイツに、忽然と登場したヒトラーは、首相になった途端「全権委任法」を成立させ、これがファシズムの元凶となった。橋下氏の「白紙委任」という言葉が失言ではないのだとすれば、これは非常に危険な兆候だと思う。この点は、はっきりと彼に説明を請うべきだろう。

 橋下氏を見ていると、もともとがテレビ番組で名前を売った人だけに、テレビの使い方が非常に巧みで、テレビで編集しやすい印象的なワンフレーズで「抵抗勢力」を攻撃する手法は、小泉純一郎元首相を彷彿とさせる。

 現在の日本の政治におけるパワーの源泉となっているのは間違いなくテレビ、それからツイッターやフェイスブックという電子メディアである。これらに共通するのは、いずれも情報が断片的かつ瞬間的であるということだ。

 いわゆるワンフレーズポリティクスにはうってつけの環境だが、同時に非常に危険な状態でもある。その瞬間、瞬間で大衆の心を捉えるワンフレーズを言えば、すべてのメディアがそれで塗りつぶされ、次の瞬間には忘れ去られて、個々の出来事の体系的な意味づけはなされない。

 国民が堕落しきった古代ローマ社会の世相を指す「パンとサーカス」という言葉があるが、残念ながら、今の日本の世相にも通じるものがある。本を読まなくなった若者は携帯端末の中に世界のすべてがあるかのように満足しきっている。

(渡邉恒雄「日本を蝕む大衆迎合政治」(『文藝春秋』2012年4月号)100-101頁)


ナベツネの寄稿の他の部分には賛同できないところが多いけれども、上記引用部分にはほぼ賛同できる。

ところで、『文藝春秋』4月号は今月10日に発売されたのだが、しばらくの間、橋下はナベツネによる自身への批判に反応しなかった。ところが、ネットで「ナベツネの橋下批判を橋下はスルーしている。チキンめ」と揶揄されるや(私もその一人である)、ようやく重い腰を上げてTwitterで反撃したのだった(下記URL)。
https://twitter.com/#!/t_ishin/status/181244848760823808

僕なんかね、制度で雁字搦めに縛られ、維新の会以外の多数会派とメディアの厳しいチェックも受けて、独裁なんてやりようがないですよ。所詮、ローカルの大阪市役所の所長ですしね。それに比べれば、渡辺氏の方が読売新聞社だけでなく政界も財界も野球界も牛耳る堂々たる独裁じゃないですかね!
(橋下徹のTwitter)


ナベツネの文章と橋下のTwitterを読み比べてみれば一目瞭然だが、全然反論になっていない。ナベツネは橋下の発言を捉えてヒトラーが成立させた法律との共通点を具体的に指摘しているが、橋下はナベツネが「独裁者だ」とただ叫んでいるだけで、具体性が何もない。

このナベツネと橋下のやりとりに関して、「お前が言うな」とか「両方独裁者でどっちもどっち」と評する声もあるけれども、とんでもない間違いである。上記引用部分に関してははっきりナベツネに理があり、橋下には理など全くない。

もっといえば、ナベツネはいしいひさいちの漫画で戯画化された「ワンマンマン」ではあるが、ファシストではない。それに対して橋下は正真正銘のファシストである。両者が同じに見える人ははっきり言ってどうかしていると思う。ナベツネと橋下のどちらが危険かといえば、橋下の方が1万倍危険だろう。石原慎太郎と比較しても橋下の方が100倍危険だと私は考えている。橋下のような人間に平然とすり寄る小沢一郎のごとき愚昧な政治家は、存在価値がもはや限りなくゼロに近づいたと言っても決して過言ではない。

橋下のふざけた態度の例が、痛烈な橋下批判で評判の秋原葉月さんのブログ『Afternoon Cafe』の最新エントリ「チキンその2・責任転嫁」に紹介されているので、以下に引用、紹介する。

1. 労組思想調査
橋下氏は「特別顧問は自分の身代り、顧問への協力拒否は僕への拒否だ」と市幹部に徹底。アンケートの全権限全責任は自分にあると明言し、自筆の署名まで入れておきながら

「アンケートは野村氏の判断です」

えっ・・・?


2. 9条改正
瓦礫を受け入れないのは憲法9条のせい、9条については日本人全体で決めるときに来ている。9条を国民投票に、とさんざん改憲を煽っている橋下氏。
9条改正の是非を船中八策に盛り込むかどうかと聞かれると

「 国に関わる問題であり、一政治集団が、ああだこうだと決めるわけではなく、国民に決めてもらう領域だ」

えっ・・・?

これ、
「9条改正は国民が選択した国民の意思なんだからね。維新の怪の責任じゃなくて国民の責任だから」
って逃げてますよね?


3. 口パク監視を責められるべきは誰?
君が代強制の張本人であり、歌わなかった教師を罵倒し放題の橋下氏。
口パク監視をしたオトモダチの中原校長を
「校長が教員の口元監視を式に影響しない方法で数秒確認し、後から本人が斉唱していなかったことを認めた一名のみを教育委員会に報告した。どこに非難される点があるのか。」
と庇い、

「非難されるとしたら君が代の起立斉唱を定めた条例とそれを命じた教育委員会だろう。批判の矛先を誤ってはならない。」http://goo.gl/2WuCu

ええっ・・・?
その条例ごり押ししたのはだれなのよ!?教育委員会に忖度させたのはだれなのよ!?

(『Afternoon Cafe』2012年3月18日付記事「チキンその2・責任転嫁」より)


似たような例はもっともっとある。沖縄の米軍基地移設問題に関して、関空を候補地として挙げておきながら、本当に待望論が聞こえてくるや神戸空港に押しつけて「知らぬ顔の半兵衛」を決め込んだ件だ。無責任と非難されようが橋下には何もこたえない。なぜなら、その時には次に大衆の気を引くネタに飛びついて刺激的なことを言い、人々はそれに気を取られて橋下が「無責任」さを指摘された件など頭からすっ飛んでしまうからだ。かくして権力者が何をやらかしても不問に付される。これほど危険なことがあるだろうか。

橋下なら、同じようなことを「脱原発」でもやるかもしれない。ギリギリまで人気取りのために「脱原発」を引っ張っておいて、いきなり手を離して知らん顔をするのである。その時、飯田哲也氏らは果たしてどんな反応をするだろうか。

「橋下の(米軍基地問題や)原発問題に関する姿勢は評価できる。だから脱原発で頑張る橋下市長を応援しよう」とか、「橋下市長は石原慎太郎や『日本会議』系の政治家と違って、根っからの『超保守』じゃない」とか、「小沢派が橋下市長と組めばアブナさは100分の1に減じられる」などなど、極楽トンボとしか言いようのない「リベラル派」ないし「左派」が少なくないことに私は危機感を募らせている。

一体何言ってんだ、橋下徹ほど危険な政治家は他にいないじゃないかと声を大にして言いたい。
私は見ていないのだが、昨日(3/4)、大阪市長の橋下徹がフジテレビの『報道2001』に出演し、所得税の累進税率を止めてフラットタックスを導入するなどと言っていたそうだ。民主党の古川元久と自民党の林芳正も番組に出演して3人で合意していたという。

少し前に、橋下が「船中八策」にベーシックインカムを盛り込んだことが話題になったが、「ベーシックインカム」プラス「フラットタックス」と聞いてピンとくるものがあった。やはり橋下(のブレーン)はミルトン・フリードマンの「負の所得税」を念頭に置いていたのだ。

実は私は昨年フリードマンの『資本主義と自由』を買い込んだが、まだ読んでいない。ある時、『kojitakenの日記』のコメント欄だったかで、あのノビー(池田信夫)が原作を書いた漫画「もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら」という本の書評を書いてほしいとのリクエストをいただいたので、そうか、フリードマンの本とノビー原作の漫画を並行して読む手があるかもしれないと思って酔狂にもこれを買ったが、こちらもどうしても読む気がしなくて全然読んでいない。

だが、今パラパラと頁をめくってみると、巻末にノビーが書いた解説の最後の項目が「負の所得税」となっているので、ここから引用する。

 フリードマンの考えていた税制改革はきわめてラディカルで、公的年金の他に法人税も廃止し、所得税の累進課税も止めて税率を一律にし、所得分配を負の所得税に一本化するというものだ。

 生活保護は、所得のない人には支給されるが、少しでも所得があると支給されない。日本のように生活保護の支給額が最低賃金より高いと、働かない方が得になってしまう。このようなモラルハザードを防ぐために、所得税の給付という形で所得を再分配することが合理的だ。

(池田信夫原作「もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら」(日経BP社, 2011年)226頁)


ベーシックインカム及び「負の所得税」については、『投資十八番』というブログの記事「『負の所得税』と『ベーシックインカム』の違い」にグラフ付きで解説されている。
http://stockkabusiki.blog90.fc2.com/blog-entry-928.html

以下再びノビーの解説から引用する。

 このしくみは、アメリカではEITC(勤労所得税額控除)として導入され、日本でも民主党が「給付つき税額控除」としてマニフェストで提案した。しかしフリードマンの提案とこれが異なるのは、彼はすべての社会福祉制度を廃止して、所得再分配を税に一本化するよう提案した点である。

 年金のように所得に関係なく年齢によって再分配する制度は不公正であり、農業補助金のように職業で再分配するのも、地方交付税のように地域で再分配するのもおかしい。貧しい人の生活を支えるという目的のためには、社会福祉はすべて所得を基準として税でやればよく、厚生労働省は廃止してもいい。

(池田信夫原作「もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら」(日経BP社, 2011年)227頁)



ここで、前々回のエントリで紹介した橋下のTwitter(下記URL)を思い出してほしい。
https://twitter.com/#!/t_ishin/status/170265966062739458

ベーシックインカムは不可能な制度だと言われています。だけど研究の一考はある。これは単純なばらまきではありません。福祉国家を歩みつつある日本。複雑怪奇な補助・助成制度。これによって行政組織は肥大化。色んな中間団体が存在し、天下りもごろごろ。これをバサーット整理する。


橋下がいったい何を狙っているかは明らかだろう。橋下が言っているのは、フリードマンやノビーに通じる、究極の新自由主義政策である。

このフリードマン、ノビー、橋下の系譜と比較すれば、安倍内閣や福田内閣で経済財政諮問会議議員を務めた八代尚宏などかわいいものだ。八代は累進課税による景気の自動安定化装置に任せて、不況時の財政出動などしなくて良いと言っている。つまり、累進課税自体は肯定しているのだ。最近のネットの俗流新自由主義者にはこの手の主張はウケが悪いらしく、ついこの間も『kojitakenの日記』のコメント欄で、彼らを「所得税信者」などと批判する「ティーパーティー支持者」に絡まれた。その名も「革命烈士」(笑)という。

いや、ネットだけではなくリアルの政界でも、名古屋市長の河村たかしなどは同様の傾向を持つ。さらにいえば、『日本改造計画』時代の小沢一郎もそうだ。一昨年頃から小沢は配下の者を河村たかしの選挙に協力させるなど、『日本改造計画』時代の思想に回帰するかのように見える。今の小沢が「経済左派」だなどと考えるのはよほどおめでたい人間だけである。

とはいえ、小沢一郎や、ましてや河村たかしでは、仮に政権をとったとしても本当に思い切った新自由主義政策はとれないだろう。現在小沢が好き勝手言っていられるのは与党内野党の立場にいるからである。しかし橋下なら何をやらかしても不思議ではない。またそんな橋下に多くの日本人が拍手喝采するだろうとの悪い予感を持っている。

橋下一派の恐ろしさは、平然と謀略を仕掛けることである。

たとえば、2月6日にテレビ朝日が「スクープ」としてこんな報道をしていた。もとのURLは下記だが、現在ではリンク切れになっている。
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/220206010.html

 スクープです。大阪市交通局の労働組合が、去年の大阪市長選挙で、現職市長の支援に協力しなければ不利益があると、職員を脅すように指示していた疑いが独自の取材で明らかになりました。

 大阪市交通局の労働組合は、去年11月の市長選で、勤務時間中に現職の平松氏支援のための「知人紹介カード」を集めていたことが発覚し、橋下市長に謝罪しています。
 さらに今回、ANNが独自に入手した紹介カードの回収リストには、「非協力的な組合員がいた場合は、今後、不利益になることを本人に伝える」との指示が書き込まれていました。

 内部告発者:「正直、恐怖を覚えた。(人を脅す)やくざと言っていいくらいの団体だと思う」

 内部告発を受けた維新の会の市議が、6日朝、事実確認のため交通局に出向きました。

 大阪維新の会の市議:「はっきりとした恫喝(どうかつ)ですよね」
 大阪市交通局・総務課長:「(リストを)ざっと見る限り、(交通局に)在籍している職員。
 職員コードもほぼ間違いない」

 リストには交通局職員の3割にあたる1867人が並び、政治活動が制限されている管理職もいます。総務部しか知らないはずの非組合員のコード番号も記され、組織ぐるみの疑いが強まっています。

(ANNニュース 2012年2月6日11時49分)


だが、これは虚報だった可能性が極めて濃厚だ。3月2日付の毎日新聞(大阪)の記事(下記URL)を紹介する。
http://mainichi.jp/kansai/archive/news/2012/03/02/20120302ddn041010016000c.html

大阪市交通局:市長選リスト「捏造」 労組が刑事告発へ

 大阪市交通局職員でつくる「大阪交通労働組合」が昨年11月の市長選の際、平松邦夫前市長の推薦人紹介カードの配布リストを作成したとされた問題で、同組合は、リストは捏造(ねつぞう)だとして容疑者不詳のまま文書偽造と同行使の容疑で刑事告発する方針を固めた。2日にも大阪地検に告発状を出す。組合はリスト中の文体が通常使用しているものとは異なることなどから偽物だと主張していた。

 リストの存在は、橋下徹市長が代表を務める大阪維新の会の杉村幸太郎市議(33)=平野区選出、1期目=が市議会で指摘。同市議によると、市交通局職員から告発があり、同局内で廃棄されたものとして持ち込まれた。

 「知人・友人紹介カード配布回収リスト」の表題で、交通局職員約1800人の名前、職員コードなどを記載。カード配布・回収時の注意事項として「非協力的な組合員がいた場合は、今後不利益になることを本人に伝え、それでも協力しない場合は各組合の執行委員まで連絡してください」と記されていた。

 同組合は、組合側が知り得ない職員コードや配布対象外である非組合員の管理職氏名などが記載されていることも偽造と判断した理由に挙げている。組合問題を調査している市特別顧問の野村修也弁護士も1日、「現段階では組合が作成したとは信じがたい。何の目的で誰が作ったか調査する」と述べた。【原田啓之】

(毎日新聞 2012年3月2日 大阪朝刊)


これに対し、橋下一派はどう動いたか。昨日のMBS(毎日放送)のニュース(下記URL)より。
http://www.mbs.jp/news/kansaiflash_GE120303112200545640.shtml

■大阪市交通局職員リスト問題 維新の会も刑事告発する方針固める

 去年の大阪市長選挙を巡り、前市長への支援を求める職員リストが見つかった問題で、大阪維新の会の市議団は「市の内部データの流出があった」として、刑事告発する方針を固めました。

 リストは維新の会の市議が入手したもので、交通局職員およそ1800人の名前に加え、組合側が平松前市長への支援を強要するような内容も書かれていました。

 組合側は2日「リストはねつ造されたもの」だとして刑事告発しましたが、維新の会側も市の内部情報を何者かが流出させたとして、地方公務員法違反で来週中にも大阪地検に刑事告発する方針を固めました。

「維新の会も冷静にリストを取り扱っているのでは」(大阪維新の会代表・橋下徹 大阪市長)

 維新の会幹部は「市の内部調査の結果を待っていたが、組合側が告発した以上、維新の会の考えも示し、捜査機関で真実を解明して欲しい」としています。

(MBSニュース 03/03 13:34)


この件に関して、今や代表的な橋下批判ブログとして有名な『Afternoon Cafe』を運営している秋原葉月さんから『kojitakenの日記』に下記のコメントをいただいた。
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20120303/1330741752#c1330823984

akiharahaduki 2012/03/04 10:19
なんと維新の怪も刑事告発するそうです。
「こんなガセネタつかませやがって、犠牲者は俺達だ!」ということらしいです。
普通内部告発があったらソレが本当かどうかを確かめるのが市の仕事でしょう、ソレをやらないで「投稿したヤツは誰だ!市を騙しやがって告発してやる!」ってもう何にたとえていいかわかりませんorz


この件に端的に見られるような陰険さはたとえば小沢一郎にはない。小沢の場合は、ひたすら「剛腕」でゴリ押しする。それ故に反発を招く。橋下の場合は策を弄する。

橋下には「思想調査」の件もある。当記事の前半で見たように、経済政策は極端な新自由主義で、対立する勢力に対しては謀略を仕掛け、職員の思想調査をする橋下の恐ろしさは、上記小沢一郎や橋下と同じ極右政治家である石原慎太郎の比ではない。そんな男が「改憲」を口にする。それでも人々は橋下に歓声をあげる。

なんとも恐ろしい時代になってしまったものだ。背筋が凍る。